【測定器:Agilent 53132Aにプリスケーラ追加】
<abstract>
I built a prescaler kit. This kit is for the Agilent Universal Counter Model 53132A.It is distributed by AKC, a group of Japanese amateur kit developers. This kit includes all components as well as a dedicated printed circuit board. It is designed to achieve high performance with fewer parts and is easy to assemble. The 53132A with the kit was able to count up to the frequency over 4GHz. I am very satisfied with it. (2020.08.19 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【Agilent 53132A】
少し前の機種ですが、このAgilent 53132A型ユニバーサルカウンタには満足しています。高精度な測定が短時間で可能だからです。もちろん「高精度」を実現するためには外部から十分な精度を持った基準を供給する必要があります。 上限周波数は225MHz(公称)ですが、私が必要とする周波数測定はほとんどがそれ以下ですから支障はありませんでした。
しかし、稀にVHF/UHF帯の周波数を測りたいこともあって、上限周波数に物足りなさを感じていたのも事実です。 オプションには3GHzまでのプリスケーラがあって、それを追加すれば上限を伸ばすことが可能です。 オプションの動作原理は単純そうですから、比較的容易に作れそうです。どうしても必要なら手作りでも・・・と思っていました。
以下、キット開発者グループ(AKC)会員のJR1KDA岩崎さんが開発されたプリスケーラキットを53132Aに付加する話です。 わたし的にはかなり満足できました。
【Chinese Option 030】
5年ほど前に必要に迫られて53132Aを購入しました。 中古品を購入したのですが何もオプションの付いていないものでした。 中途半端な精度の周波数基準は内蔵されていなくても支障はありません。 外部から高精度を供給すれば良いのですから。 ただ、第3チャネル(Ch3)のプリスケーラはあれば良かったと思いました。
ある時、中華通販を見ていたらアジレント製測定器のオプションが様々売られていることに気づきました。 調べてみたら53132A用のプリスケーラ・オプションもあったのです。 その当時も7千円弱だった筈ですから案外安いとも言えますが、使用頻度を考えると直ちに必要とも言えないためそのまま先送りになっていたのです。 いずれ中華モノを購入するか、1.2GHzくらいまで測定可能な物を自作しようと思っていました。
【Option 030 Kit】
Facebookから時々案内のメールが来ることがあります。
少し前ですが、誰か知り合いのお誕生日とかで案内のメールが来たのでした。 それで久しぶりにアクセスしてみたら、偶然にJR1KDA岩崎さんの投稿が目に入りました。
Agilentの53181A用のプリスケーラをキット化したというアナウンスでした。 確か、53181Aと53132Aは共通のオプションが使えたはずです。 そこで、さっそく頒布希望を表明しておいたのでした。 その後すぐ、詳しい案内があって頒布も始まりました。
さっそく入手したのがこのプリスケーラ・キットです。 カウンタに組み込むためのすべてのパーツが揃っています。面実装部品が殆どのため、紛れないように個々に包装してあるなどとても丁寧なキットだと思いました。 岩崎さんのサイトから資料をダウンロードして組み立て開始です。
【Kit Schematic】
回路は合理的なものです。 上の方の中華通販で購入できるものは、おそらくAgilentオリジナルのコピー品でしょう。写真を見るとかなりたくさんの部品が載っています。
しかし頒布のキットも機能は同じです。 少ない部品で済むのは恐らく開発された時代が違うからでしょう。 今では数GHzで動作する広帯域アンプやプリスケーラのチップは非常にポピュラーになりました。 移動体通信関係の進歩も貢献しています。 信号系にはわずか2つのICが使われているだけです。 広帯域アンプと1/64分周できるECLプリスケーラです。 あとは定電圧電源のICが一つだけという簡潔なものです。 ほとんどの部品が面実装型ですが製作はそれほど困難ではないでしょう。
【Mount CR Parts】
手順に従ってチップコンデンサとチップ抵抗をハンダ付けしました。 少々ハンダの盛り過ぎの感じもしますが、確実に付いているようなので良しとしました。
あいにくφ0.5mmのハンダしか無かったのでどうしても多めにハンダが付いてしまうのです。 もしハンダを購入するならφ0.3mmの細いものを使うとよいでしょう。 あるいはクリームハンダを塗布し、面実装部品を全部載せてから基板全体を加熱して一気にハンダ付けするという方法もあります。 しかし、部品数は少しですから手載せ・手ハンダでも困難はないです。
【Mount μPB1507GV】
おそらく、プリスケーラのチップ:μPB1507GVの搭載が一番難しいでしょう。 組み立て説明書にも書いてあります。 足ピッチが狭くピン数も多いからです。
慣れは必要でしょうが非常に先が細いハンダ鏝と細いハンダを使えば1ピンずつハンダ付けして行くことも可能です。 私の方法は1ピンずつではなく纏めてハンダ付けする方法です。 やや先の太いハンダ鏝と太めのハンダしかないので、1ピンずつのハンダ付けは難しいのです。 慎重にやってもどこかでハンダブリッジが発生します。 そこで、ハンダブリッジは気にせず、確実なハンダの回りを重視します。 後からハンダ吸い取りリボンを使って余分を除去すればうまく行きます。 写真はそのようにしてハンダ付けした様子です。 ここが製作最大のポイントなので入念に確認しておきます。
【SMA Connector】
SMA型コネクタ(オス)に細い同軸ケーブルをハンダ付けします。 BNCコネクタの組み立てに慣れていれば何と言うことはありません。 しかしHAMの多くはM型(UHFタイプとも言う)がお馴染みですから、だいぶ違うこれは迷うかも知れませんね。
写真のような順にパーツを挿入します。シールドの網を広げて長さを切り揃えたら先端のピンをハンダ付けします。 その後、ハウジング(外側の金具)に挿入してケーブル側の押さえを十分に締め付ければ完成です。 但し、どうしてもスッポ抜け易いのでケーブルを強く引っ張るのはやめたほうが良いでしょう。 圧着で組み立てられたコネクタつきのケーブルを買ってくると面倒がないんでしょうが、まあコネクタくらい自分で組み立てましょうね。hi
【All Units】
両端に角形のコネクタがついているフラット・ケーブルは完成品が付属しています。 SMAコネクタが付いたケーブルの他端は芯線とシールド網を分けて短めに切ってハンダ上げしておきます。 それをパネル面用のBNCコネクタの端子にハンダ付けしておきます。
このBNCコネクタはインピーダンス不整合型ですが、周波数カウンタなので大丈夫でしょう。心配なら別のものを使えば良いですが実際に支障はなかったです。
プリント基板は部品の未装着はないか確認します。 さらに電源のラインほか信号ラインもGNDパターンなどへ短絡していないか拡大鏡で十分な目視をしておきます。 私は仮配線で5Vの3端子レギュレータの動作や消費電流を確認するなどカウンタ本体への装着前に可能な確認はなるべくやっておきました。 従って、何の心配もなく装着することができました。
【Prescaler】
写真のようにカウンタ内部に装着します。 カウンタのフレーム金具にはオプション装着を想定した穴加工がされています。 従って、プリスケーラ基板の取り付けのための穴加工などは必要ありません。
いまでは特殊な工具では無いかもしれませんが、カウンタ本体からケースを外すためにトルクスネジ用のレンチあるいはドライバが必要です。 ケースは背面のパネルの左右両端と、背面下側のネジ1本の計3本のトルクスネジで止まっています。
基板を浮かせるスタッド・ボルトをフレーム金具にナット止めし、写真のような位置に基板をビス止めすれば基板の装着は完了です。ネジ止めの部分には必ずスプリング・ワッシャも入れておくことをお勧めします。もしあればネジロック(商品名)を少量塗布すれば完璧でしょう。 あとはフラット・ケーブルと同軸ケーブルを取り付ければ装着は完了となります。
部品の確認から始め、基板の組み立てやカウンタへの装着などおおよそ4時間くらいでした。 初心者の場合、もっと入念な確認を行ないながら組み立てる方が良いかも知れません。しかし休日を1日も使えば十分完成できるはずです。
【Maximum Count Frequency】
最後に最高カウント周波数や感度などの測定を行なっておきました。 写真のように約4.1GHzくらいまで測定可能でした。 3GHz以上を目標としたキットのようですが、信号の大きさなど測定条件が良ければ4GHzくらいまで計測可能になるようです。
少し注意が必要なのは、何も信号は入力せず・・・要するにCh3はオープンのまま・・・だと自己発振のような、ランダムな周波数表示になることです。 これはプリアンプなどと合わせて、ECLプリスケーラが高感度なためのようです。 個体差はあると思いますが、私の製作例では2.6GHzくらいでランダムな表示をします。 もちろん、規定の大きさの信号を与えてやればきちんと測定できるので心配はいらないでしょう。 このような現象は以前作ったECLプリスケーラでも同じように起こったのでこうしたプリスケーラでは固有の現象のようです。
1GHzの測定例ですが、最小で-30dBm、最大で-5dBmあたりまでが適当な範囲です。 これ以上大きな信号を与えると2倍あるいは3倍の周波数を表示します。 おそらくプリアンプもしくはECLが飽和してしまい、自身で発生する高調波をカウントするようになるのでしょう。 十分な感度があるので、必要に応じてアッテネータを付加するなど使い方を工夫したいと思います。 これで430MHz、1.2GHz、2.4GHzの機器など製作するとき周波数の確認ができるようになりました。
☆
最近はあまり見に行かなくなったFacebookですが、たまたま覗いてみてよかったと思います。 せっかくのKit頒布を見逃したら残念だったでしょうからね。hi hi
だからと言ってFacebookを頻繁にアクセスするつもりはありません。たぶん時々覗くくらいでしょう。 全部と言う訳ではないんですが、あそこは何となくリア充の自慢合戦の場のような雰囲気があって私にはチョッと場違いに感じるのです。(爆) 文字数制限はありますが構造的にtwitterの方が幾分マシな感じなので時々覗くことがあります。 まあ、そちらもあまりアクティブではないんですけれどネ。SNSは色々あってどれが合うのか人それぞれですしお好みもあるんでしょう。(笑)
何だか最後は変な方向へ行ってしまいました。(SRI) このプリスケーラ・キットはHAMフェアのようなイベントでの頒布もお考えだったのかも知れません。しかしコロナの現状ではイベント開催も難しそうです。 せっかくのキットが埋れてしまうのは勿体ないと思っています。 ご紹介したプリスケーラ・キットには満足しています。作りやすく、しかも十分な性能を持っていると思います。 JR1KDA岩崎さんFBなキットありがとうございました。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
2020年8月19日水曜日
2020年8月4日火曜日
【Antenna】160m Band Antenna , Fixed
【アンテナ:160mバンドアンテナを最終調整】
<abstract>
This article is a continuation of the low band antenna modification. I've been experimenting with this antenna for two months now with a temporary response. As the result was good, I completed the modification. I soldered the extension of the antenna element. As a result, the operation was very stable. It seems that a proper response is still necessary. (2020.08.04 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【恒久化完了】
160m Band用アンテナを改造する話の続きです。 前のBlog(←リンク)では様子見の意味もあって、仮の対応で1.8MHz帯に出られるようにしました。 仮設の意味は、バンドの拡張分をミノムシ・クリップで挟んだ電線で応急的に対処していたからです。
さすがにいつ迄もそのままという訳には行きません。 ミノムシ・クリップはやめてきちんとハンダ付けすることにしました。
☆
拡張された1.8MHz帯に約2ヶ月ほどオンエアしてみました。 なにぶん既に初夏ですからこのバンドは旬ではありません。 それでも物珍しさもあってか意外にオンエア局も多いようでした。 まあ多いとは言ってもメジャーなバンドじゃありませんから、オンエアしている局数は限られます。 昨今ではみんな交信済みになってだいぶ飽和してきた感じです。 FT-8モードの交信がまったく飽和てしまったら今度はCWにオンエアしようと思案しているところです。
このアンテナ、オンエアしていて国内局相手ならマズマズ飛ぶ感じなので「ミノムシ・クリップで挟んだ電線」から脱却して恒久化することにしました。 今回のBlogは自身の作業メモなので役立つお方はまずないでしょう。 おヒマじゃなければとりあえずスルーしてください。(爆)
【170m用になる?】
従来の1.9MHz帯は160mバンドと呼ばれてきました。 確かに、1910kHz±2.5kHzの波長は157mくらいですから、まあ160mバンドで良いんでしょう。(笑)
今回はエレメントを延長して1.8MHz帯のアンテナに改造します。 中心周波数は1837.5kHzで、波長は163mです。そのまま160mでも良いのかもしれませんが、1800kHzでは167mになります。 何となく170mのイメージに近くなってきました。 170mバンドと言うのはここだけの冗談としても、だいぶ低い方へシフトした感じです。(笑)
ざっと考えて72.5kHzほど共振周波数を下げることになります。 前回の仮設工事では約65cmの被覆電線を追加して1940kHzあたりに共振するようにしたのです。 でも、みの虫クリップで挟んだだけではどうしても不安定さが残るように感じていました。 一応、共振はするようですがアンテナ・チューナの挙動を観察すると何となくぎこちなくて怪しげです。(笑)
そろそろ潮時と考えて仮設を脱却することにしました。 銅線を用意しハンダ付けするだけの簡単な作業です。 始めてみると仮設とは言え自己融着テープで防水処理しておいたので雨水の侵入もなく初期状態に近い良い状態でした。 しかしミノムシ・クリップでは点接触のようなもので、どうしても不安定ですから今度はがっちりハンダ付けしておきます。
【小刻みに追い込む】
足りなくて何回も追加するのは面倒ですから長めに追加しました。 追加する電線は古いアンテナの残骸からリサイクルで調達しました。 実測で128cmの電線を2本用意し、端部を5cmほど磨いてハンダ付け部分にします。 従って有効な延長量は123cmとなります。(123cmずつ左右エレメントの両端にそれぞれ追加)
123cm追加した状態で共振周波数を測定したら1800kHzちょうどでした。 これではだいぶ低すぎますから共振点がバンドの中央付近(=1837.5kHz)に来るようカットして追い込んで行きます。次項のように測定画面で観察しながらカットして行きました。
初めはやや大胆に15cmとか20cmずつカットします。 だんだん良いところに近付いたら5cmずつ小刻みに調整して行きました。 最終的に、追加した長さが65.5cmになる所まで切り詰めてほぼ目標のところに来ました。 不足を警戒した最初の123cmはだいぶ長すぎたようです。切れ端がたくさんできてしまいました。(笑)
【最終特性は?】
左は調整を追い込んだところです。 1837kHzでSWR=1.2くらいになっています。 バンドの下端と上端ではSWR>3になりますが、あまりバンドエッジにはオンエアしませんから支障はないでしょう。
もう暫くのあいだオンエアのメインはFT-8だと思うので良く使うのは1840kHzあたりでしょう。 また、交信の合間にオンエアしているWSPRなら1836.6kHzです。 この先オンエアする予定のCWは1815kHz辺りかと思うのですが、国内局相手がメインになりそうな当局はもう少し上の方に出る方が良いでしょうか? そんなことを考えながら概ねバンドの中心付近でSWRが一番下がるように調整して終了しました。 なお、この観測は下記のTEST-2のパターンでやりました。(厳しい方になります)
画面の右の所に1910kHz±2.5kHzの位置を記入しておいたのですが、 流石にSWRが高すぎて使い物にはなりません。 どうしても戻りたくなったら足した分を切断するしかないようです。 延長コイルの逆で、短縮コンデンサを入れるって言う手があったように思うのですが、あらかじめそれなりの構造を考えておかなくてはダメなようです。将来の研究課題にしておきましょう。hi
参考・1:160mバンドのバンドプラン
1800kHzから1830kHzがCW、1830kHzから1845kHzがCWと狭帯域データ(例:FT-8など)。1845kHzから1875kHzが狭帯域の全電波形式。なお、1907.5kHzから1912.5kHzは従来通りCWと狭帯域データのみ。(2020年8月:JARLサイトによる)
参考 ・2:2020年8月19日(水)にSSB(J3E・旧A3J)などの電話モードでのオンエアが特別な申請なしに可能になりました。このバンドの免許があれば事後報告的に(遅滞なく)電話モードでのオンエアに関して届け出れば良いのだそうです。なお、詳細は必ず官報など参照されてからオンエアしてください。(2020.08.19:追記)
【全バンドの評価・1】
左は前回のBlogの評価と同じ方法で観測した4バンド逆VアンテナのSWR特性です。
概ね同じように調整を追い込んだだけですから、160mバンド以外の特性に変化はないようです。 まあ、そうでなくては困るのですが。(笑) 今回は30mバンドの特性も見えるように測定しました。 30mバンドは無短縮ですから帯域幅も広く取れています。 SWRのボトムはややバンドの上の方に外れているようですが、バンド内のSWRは1.5以下なので支障はないでしょう。実際に飛びも悪くありません。コンデイションさえ良ければ南米とかEuと交信できています。
80mと40mのSWRボトムはやや低すぎる感じもしますが、デジタルモードやCWでのオンエアがメインなのでまあまあでしょうか? SSBに出るならもう少し高い方へ調整すると良さそうです。 ただし40mバンドは200kHzに広がったのでフルカバーするのはそれなりに大変です。 80mバンドも上の方の「飛び地」にオンエアするのは難しいですね。 従って各バンドとも主にオンエアするモードに従い共振点を合わせて妥協するしかありません。
【全バンドの評価・2】
上の測定と何が違うのかと言うと、測定系の途中に入っている物が違うのです。 実際の運用では上のような状態になっています。 こちらの方は途中に入っているダミーロードとSWR計を兼ねた機器をパスしているのです。
どちらかと言えばこの状態の方が実際なのかもしれません。 アンテナ系としては余分な機器がないのでシビアに特性が現れているようです。 個々の周波数の共振特性を見ると綺麗なようですし特性もわかり易いように感じました。 それで160m Bandの調整もこちらで行なってみたわけです。 ただしバンド内に限れば極端な違いはありません。
きちんとハンダ付けしてエレメントを延長した結果、ATUのチューニングの挙動も安定したように感じます。 アンテナは屋外にある関係で、季節や気象条件などによって微妙に変化が現れるものです。 しかし仮設と比べてその時々の変動は少なくなったように思います。
☆
私が開局した当時、OMさんから「無線局はアンテナだよ」と言われたものです。 そのころはよくわかっていなかったこともあって「無線局はヤッパリ無線機」だろうと思ったものでした。(笑) しかし、いくら高性能な無線機があってもアンテナがPoorなら性能は活きてきません。 リニヤアンプを付けたところで輻射効率が悪ければせっかくのハイパワーも熱に化けるだけです。 無線局にとってアンテナが大切なことはOMが言われた通りです。 その上で高性能なリグを揃えればベストなんでしょうね。 狭い敷地に何とか工夫して上げたようなアンテナばかりの当局には夢のようなお話なんですけれどネ。(笑)
仮設の状態でもテストにはなったので十分意味はありました。 しかし何となく不安定さが感じられ気になってきたのです。 ローバンドが本格化する秋まで待っても良いかと思っていたのですが、暑さと蚊の来襲を我慢し作業して良かったと思います。 短縮+折り曲げエレメントなので160m Bandはあまり飛ばないのですが、何とか国内くらいならカバーできそうです。 電波が届いておりましたら是非コールしてください。 なお、アンテナや無線局にまつわる逸話でもあればお気軽にコメントをどうぞ。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)fm
<abstract>
This article is a continuation of the low band antenna modification. I've been experimenting with this antenna for two months now with a temporary response. As the result was good, I completed the modification. I soldered the extension of the antenna element. As a result, the operation was very stable. It seems that a proper response is still necessary. (2020.08.04 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【恒久化完了】
160m Band用アンテナを改造する話の続きです。 前のBlog(←リンク)では様子見の意味もあって、仮の対応で1.8MHz帯に出られるようにしました。 仮設の意味は、バンドの拡張分をミノムシ・クリップで挟んだ電線で応急的に対処していたからです。
さすがにいつ迄もそのままという訳には行きません。 ミノムシ・クリップはやめてきちんとハンダ付けすることにしました。
☆
拡張された1.8MHz帯に約2ヶ月ほどオンエアしてみました。 なにぶん既に初夏ですからこのバンドは旬ではありません。 それでも物珍しさもあってか意外にオンエア局も多いようでした。 まあ多いとは言ってもメジャーなバンドじゃありませんから、オンエアしている局数は限られます。 昨今ではみんな交信済みになってだいぶ飽和してきた感じです。 FT-8モードの交信がまったく飽和てしまったら今度はCWにオンエアしようと思案しているところです。
このアンテナ、オンエアしていて国内局相手ならマズマズ飛ぶ感じなので「ミノムシ・クリップで挟んだ電線」から脱却して恒久化することにしました。 今回のBlogは自身の作業メモなので役立つお方はまずないでしょう。 おヒマじゃなければとりあえずスルーしてください。(爆)
【170m用になる?】
従来の1.9MHz帯は160mバンドと呼ばれてきました。 確かに、1910kHz±2.5kHzの波長は157mくらいですから、まあ160mバンドで良いんでしょう。(笑)
今回はエレメントを延長して1.8MHz帯のアンテナに改造します。 中心周波数は1837.5kHzで、波長は163mです。そのまま160mでも良いのかもしれませんが、1800kHzでは167mになります。 何となく170mのイメージに近くなってきました。 170mバンドと言うのはここだけの冗談としても、だいぶ低い方へシフトした感じです。(笑)
ざっと考えて72.5kHzほど共振周波数を下げることになります。 前回の仮設工事では約65cmの被覆電線を追加して1940kHzあたりに共振するようにしたのです。 でも、みの虫クリップで挟んだだけではどうしても不安定さが残るように感じていました。 一応、共振はするようですがアンテナ・チューナの挙動を観察すると何となくぎこちなくて怪しげです。(笑)
そろそろ潮時と考えて仮設を脱却することにしました。 銅線を用意しハンダ付けするだけの簡単な作業です。 始めてみると仮設とは言え自己融着テープで防水処理しておいたので雨水の侵入もなく初期状態に近い良い状態でした。 しかしミノムシ・クリップでは点接触のようなもので、どうしても不安定ですから今度はがっちりハンダ付けしておきます。
【小刻みに追い込む】
足りなくて何回も追加するのは面倒ですから長めに追加しました。 追加する電線は古いアンテナの残骸からリサイクルで調達しました。 実測で128cmの電線を2本用意し、端部を5cmほど磨いてハンダ付け部分にします。 従って有効な延長量は123cmとなります。(123cmずつ左右エレメントの両端にそれぞれ追加)
123cm追加した状態で共振周波数を測定したら1800kHzちょうどでした。 これではだいぶ低すぎますから共振点がバンドの中央付近(=1837.5kHz)に来るようカットして追い込んで行きます。次項のように測定画面で観察しながらカットして行きました。
初めはやや大胆に15cmとか20cmずつカットします。 だんだん良いところに近付いたら5cmずつ小刻みに調整して行きました。 最終的に、追加した長さが65.5cmになる所まで切り詰めてほぼ目標のところに来ました。 不足を警戒した最初の123cmはだいぶ長すぎたようです。切れ端がたくさんできてしまいました。(笑)
【最終特性は?】
左は調整を追い込んだところです。 1837kHzでSWR=1.2くらいになっています。 バンドの下端と上端ではSWR>3になりますが、あまりバンドエッジにはオンエアしませんから支障はないでしょう。
もう暫くのあいだオンエアのメインはFT-8だと思うので良く使うのは1840kHzあたりでしょう。 また、交信の合間にオンエアしているWSPRなら1836.6kHzです。 この先オンエアする予定のCWは1815kHz辺りかと思うのですが、国内局相手がメインになりそうな当局はもう少し上の方に出る方が良いでしょうか? そんなことを考えながら概ねバンドの中心付近でSWRが一番下がるように調整して終了しました。 なお、この観測は下記のTEST-2のパターンでやりました。(厳しい方になります)
画面の右の所に1910kHz±2.5kHzの位置を記入しておいたのですが、 流石にSWRが高すぎて使い物にはなりません。 どうしても戻りたくなったら足した分を切断するしかないようです。 延長コイルの逆で、短縮コンデンサを入れるって言う手があったように思うのですが、あらかじめそれなりの構造を考えておかなくてはダメなようです。将来の研究課題にしておきましょう。hi
参考・1:160mバンドのバンドプラン
1800kHzから1830kHzがCW、1830kHzから1845kHzがCWと狭帯域データ(例:FT-8など)。1845kHzから1875kHzが狭帯域の全電波形式。なお、1907.5kHzから1912.5kHzは従来通りCWと狭帯域データのみ。(2020年8月:JARLサイトによる)
参考 ・2:2020年8月19日(水)にSSB(J3E・旧A3J)などの電話モードでのオンエアが特別な申請なしに可能になりました。このバンドの免許があれば事後報告的に(遅滞なく)電話モードでのオンエアに関して届け出れば良いのだそうです。なお、詳細は必ず官報など参照されてからオンエアしてください。(2020.08.19:追記)
【全バンドの評価・1】
左は前回のBlogの評価と同じ方法で観測した4バンド逆VアンテナのSWR特性です。
概ね同じように調整を追い込んだだけですから、160mバンド以外の特性に変化はないようです。 まあ、そうでなくては困るのですが。(笑) 今回は30mバンドの特性も見えるように測定しました。 30mバンドは無短縮ですから帯域幅も広く取れています。 SWRのボトムはややバンドの上の方に外れているようですが、バンド内のSWRは1.5以下なので支障はないでしょう。実際に飛びも悪くありません。コンデイションさえ良ければ南米とかEuと交信できています。
80mと40mのSWRボトムはやや低すぎる感じもしますが、デジタルモードやCWでのオンエアがメインなのでまあまあでしょうか? SSBに出るならもう少し高い方へ調整すると良さそうです。 ただし40mバンドは200kHzに広がったのでフルカバーするのはそれなりに大変です。 80mバンドも上の方の「飛び地」にオンエアするのは難しいですね。 従って各バンドとも主にオンエアするモードに従い共振点を合わせて妥協するしかありません。
【全バンドの評価・2】
上の測定と何が違うのかと言うと、測定系の途中に入っている物が違うのです。 実際の運用では上のような状態になっています。 こちらの方は途中に入っているダミーロードとSWR計を兼ねた機器をパスしているのです。
どちらかと言えばこの状態の方が実際なのかもしれません。 アンテナ系としては余分な機器がないのでシビアに特性が現れているようです。 個々の周波数の共振特性を見ると綺麗なようですし特性もわかり易いように感じました。 それで160m Bandの調整もこちらで行なってみたわけです。 ただしバンド内に限れば極端な違いはありません。
きちんとハンダ付けしてエレメントを延長した結果、ATUのチューニングの挙動も安定したように感じます。 アンテナは屋外にある関係で、季節や気象条件などによって微妙に変化が現れるものです。 しかし仮設と比べてその時々の変動は少なくなったように思います。
☆
私が開局した当時、OMさんから「無線局はアンテナだよ」と言われたものです。 そのころはよくわかっていなかったこともあって「無線局はヤッパリ無線機」だろうと思ったものでした。(笑) しかし、いくら高性能な無線機があってもアンテナがPoorなら性能は活きてきません。 リニヤアンプを付けたところで輻射効率が悪ければせっかくのハイパワーも熱に化けるだけです。 無線局にとってアンテナが大切なことはOMが言われた通りです。 その上で高性能なリグを揃えればベストなんでしょうね。 狭い敷地に何とか工夫して上げたようなアンテナばかりの当局には夢のようなお話なんですけれどネ。(笑)
仮設の状態でもテストにはなったので十分意味はありました。 しかし何となく不安定さが感じられ気になってきたのです。 ローバンドが本格化する秋まで待っても良いかと思っていたのですが、暑さと蚊の来襲を我慢し作業して良かったと思います。 短縮+折り曲げエレメントなので160m Bandはあまり飛ばないのですが、何とか国内くらいならカバーできそうです。 電波が届いておりましたら是非コールしてください。 なお、アンテナや無線局にまつわる逸話でもあればお気軽にコメントをどうぞ。 ではまた。 de JA9TTT/1
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