【アクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100の修理・その1 】
INTRODUCTION
I believe my audio system lacks bass. So I bought a used sub-woofer at a recycle store. However, the sub-woofer was not in good condition. The built-in speaker unit had a broken edge on the speaker cone, which was causing a strange noise and rendering it unusable. The theme of this Blog is to try to replace the broken edge part. (2024.10.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【TEAC SW-P100】
写真はTEAC製のアクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100です。1990年代の製品のようです。近所のリサイクルショップで¥1.1k-の値札が貼られていました。
見たところはマズマズだったのですが、残念なことに「問題あり」の故障品でした。 流石に¥1.1k-で完動品を望む方が無理かもしれませんけれど・・・。
今月のBlogはSW-P100の復活と3Dオーディオ・システムがテーマです。今回はそのパート・1です。
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【低音が足りないのだ!】
BGM用と割り切って使っているAudio Systemですが、実はちょっと「低音」が物足りないのです。ええ、何故かはわかっています。
メインのスピーカはYAMAHA NS-05という小型スピーカ・システムです。NS-05はよくできたスピーカ・システムで、強い個性は感じないものの、その再生音は自然ですしボーカルが前に出てくる感じがあって結構気に入っているのです。しかし小型なためどうしても低域が物足りないと感じてきました。
やはりφ120mmのウーファ(低域側ユニット)とバスレフ構造では低域再生に限界があって然るべきでしょう。
十分な低域再生には大きなスピーカ・ユニットを使った大型スピーカ・システムが必要なことはわかっています。しかし狭いシャック(無線室)に無理やり間借りしているようなBGM用オーディオ・システムでは望むべくもありません。少々低音が物足りないのは承知で我慢していたと言ってよいでしょう。
その一つの解決策としてサブ・ウーファを追加した3Dシステムの導入があります。 前々から構想していたのですが、追加のサブ・ウーファ(極低域用スピーカ)は意外に大型で邪魔くさい存在に見えたのです。 何回かリサイクル・ショップで見かけたのですがそれを部屋に持ち込むことは考えにくい大きさと形状でした。 ただ、もう少しセッティングし易い合理的なサブ・ウーファもあったように思うので、よい出物でもあったら・・・と思っていたのです。
☆
このBlogではリサイクル・ショップで見つけたジャンクな「アクティブ・サブ・ウーファ」を使えるように整備するのがテーマです。また今ではすっかり忘れ去られた感のある「3Dオーディオ・システム」についても触れたいと思っています。
立派なお部屋と大型の音響再生シルテムをお持ちのお方にはまったく関係のないテーマです。 費用を掛けず手軽に遊ぶためリサイクル・ショップや中華通販を利用しています。 何かの役に立つほどの内容はありませんから、時間のないお方がご覧になるのはお薦めいたしません。貧乏人が暇つぶしにジャンク品で楽しんだと言った内容です。
【SW-P100とは】
全体の外観は最初の写真のようなものです。
幅165mm、高さ500mm、そして奥行き412.5mmです。見ての通り縦長・幅狭な形状で奥行きは結構あります。重量も見た感じよりもあって12kgです。元の定価は¥40k-のようでした。
もちろん極低域再生のためのユニットですから、軽量・小型では製品として実現は困難でしょう。私が思うに「サブ・ウーファのくせに意外に小型だなぁ」という印象でした。
「低域再生=大型化」の図式がわかってない一般の人に買ってもらう為には「性能を犠牲にせずに小型化」も重要な開発テーマだったでしょう。 1990年代ともなるとずいぶん前にオーディオ・ブームは去っていました。 そのかわり大型TVをメインとしたAV機器が家庭に浸透しはじめた時期です。そんなAVシステムに付加する目的で開発された製品ではないでしょうか。
どんな場所で使われていたのかはわかりませんが、上部に製品のPR用と思われるシールが貼ってありました。 それもあってリサイクル・ショップで目に止まったのでした。 縦長で幅狭な形状ゆえ私が考えている設置場所にマッチするように思えました。
お値段は手頃ですが「音がビビる」という注意書きが貼ってありました。 要するに完動品ではなくて「ジャンク」の扱いでしょう。 陳列棚から引っ張り出して全体をざっと観察したら、見た様子では単純な構造であり万一使ってある内部のスピーカ・ユニットがNGでも代替品で補修も可能そうに思えました。作りがしっかりしているので最悪ハコ代でもと思ったのです。
写真は正面下部にある操作部とサランネットに覆われた音道の出口です。 このSW-P100は低域フィルタ(LPF)とパワー・アンプを内臓しています。 そのためアンプの電源スイッチがあって、さらにメインのスピーカと音量を合わせるためのボリウムが付いています。 なお、音の出口は写真のサランネットの部分だけなので設置は容易そうです。もちろん極低音では「箱全体が鳴る」と言うのもあるでしょう。(ごく低音域では方向感が殆どなくなるため設置場所にはかなりの自由度があります)
背面の写真は省きますが幾つかの切り替えスイッチがあります。一つはクロスオーバー周波数のスイッチで、このウーファの再生上限周波数:fc=140Hzあるいは70Hzに切り替えが可能です。
ごく小型のスピーカ・システムあるいは一般的なTV受像機などでは低域再生の限界は高くて、140Hzくらいに選ばないと中抜けになるのでしょう。 私のシステムの公称低域カットオフは60Hzですから70Hzで旨く繋がるでしょう。 他に位相切り替えスイッチが付いていて、これは設置時に確認する必要があって重要な機能です。
サブ・ウーファは現用のシステムに追加する形で導入するものです。接続方法として、プリ・アンプから左右の信号をもらうLow-Level入力と、パワー・アンプとスピーカの間に入れ、そこから低音域をピックアップする方法が選べます。 私の場合、AVアンプ:Pioneer VSA-55にローレベルのSub Woofer Outputがあるのでそこへ接続するつもりです。
SW-P100は専用のパワー・アンプ(max60W)を内臓しています。 のちほど資料を示しますがSANYOのハイブリッド型パワー・アンプICを使った2電源式のOCL型アンプが使われています。従って必要十分な低音域まで周波数特性は伸びています。
【130mmウーファが二つ】
SW-P100は直径φ130mmのコーン型スピーカユニット2個を内蔵します。スピーカは2個並列で十分大入力に耐えられるようになっています。 内蔵パワー・アンプも本当に50Wくらいなら出そうですから!
また2個並列なのはφ130mmでは低域用スピーカとしてコーン紙の面積が不足するためで、並列で2倍の面積と等価になるよう考えてあるのでしょう。さらにロング・ストローク型スピーカになっており面積不足を振幅の方で補う設計のようです。要するに小径のユニットでも設計次第で低域は伸びます。
箱の音響的な構造はバスレフ型でありスピーカのフロント側にあるダクト(音道)を強力にドライブします。公称の低域カットオフ周波数は35Hzであり、ダクトはそれに合わせてごく低い周波数で共振させ、周波数特性を低域へ伸ばしているはずです。
あとで写真がありますが、この130mmウーファは専用設計でしょう。高音域カットの目的で硬質発泡ウレタンの音響的な高域フィルタが付いていました。 極低音域以外を再生する必要はないので箱内部の定在波もそれほど問題にはならないようです。吸音材(粗毛フェルト)は片面に少量貼ってあるだけでした。 写真下方に見えるバスレフのダクトはかなり長く丈夫な厚手の紙筒(紙管)でできています。
パワー・アンプは電源トランスと一緒に背面の蓋に取り付けられています。 アンプ部で変な共振が起こらぬよう配線はよく固定してあるようです。 修理後の話になりますが、発振器で低域をスイープすると何かがすこし振動してビビる感じがあるので、さらに徹底した固定とデッドニングが必要かもしれません。(実用上は支障を感じませんが)
【動電型スピーカの構造図】
このあと、スピーカ・ユニットを修理する話になります。
動電型スピーカ(PM型ダイナミック・スピーカ)の構造と各部の名称がわからないと話が見えないでしょう。 断面図と各部の名称を示しておきました。 よくご存知の貴方のようなお方は見る必要はありません。
昔のオーディオ・マニアは、こうしたスピーカ・ユニットを購入し、厚手のベニヤ板などを加工して箱(エンクロージャ、スピーカ・ボックス)を作り、スピーカ・システムを自作したものです。 なお「スピーカ・システム」とは、低音域用スピーカ・ユニットのウーファ、中音域用のスコーカ、高音域用のツゥイータと分波用フィルタ・ネットワークを「エンクロージャ:箱」に内蔵したものを言います。
図のような「スピーカ・ユニット」も多数売られていました。 パイオニアやオンキョーと言ったオーディオ・メーカーはもともとスピーカ・ユニットのメーカーだったように記憶します。
今でもフォステクスのようなスピーカ・ユニット専業もありますが、昔は様々なメーカーがユニットを供給していたのです。 三菱電機や松下電器のような大メーカーのスピーカ・ユニットにも銘品があったのを思い出します。
ちかごろスピーカ・ユニットからオーディオ・システムを構築するような本格マニアはめっきり見かけなくなりましたね。
【エッジがボロボロだ!】
念のため、箱を開ける前に音出しをしてみたのです。 お店の言うことはウソじゃなくってホントに音がビビりました。まったく使い物になりませんね。 大音量の雑音発生機。w
スピーカ・ユニットを交換するにも、とりあえず元のユニットは外す必要があります。
外して観察したのがこの写真です。 一つ上の説明図で言うところの「エッジ」がボロボロに崩壊していました。 試しに裸のユニットのまま別のパワー・アンプでドライブしてみたら、ボイスコイルの動きは正常なようです。
異音(ビビリ音)の原因は中途半端に残ったエッジ部分のためコーンが不均等で異常な振動になるからのようです。要するにエッジの崩壊がビビリ音発生の原因であってエッジ貼替えさえしてやれば修理可能そうに思えました。
いまは便利な時代です。さっそくネットで調べてみました。 結論を言うと、1990年代〜2000年代の始めころ製造されたスピーカ・システムには、スピーカ・ユニットのエッジ部分が劣化・崩壊しているものが多数・・・むしろ無事なものは少数・・・であり、ユニット交換またはエッジの貼替えがスピーカ修理の定番になっているようです。
ユニット交換はけっこう費用がかかります。従ってジャンクの再生にはエッジの貼替えが経済的でマッチするでしょう。 しかし20年くらい前に調べた時にはそうそう都合の良い「修理用スピーカ・エッジ」など売られてはいませんでした。 鹿皮は高級な方法で、ほかにセーム革や布などを加工して代用品にする修理が殆どだった記憶があります。
ところが、例のYoutubeを見ていたら、中華製のスピーカ・エッジが売られていて、それを使って修理するのだそうです。 そんなに都合の良い代替エッジがあるのか半信半疑でしたがAmazonを見て納得でした。各種サイズが安価に売っているんです。(!) この件はあとでもう少し詳しい話があります。
【古いエッジの除去から】
貼り替えるにしても、劣化した古いエッジを取り除かねばなりません。 まずは準備として古いエッジの除去と清掃から始めることにしました。
スピーカによって劣化の仕方には違いがあると思います。このスピーカの場合、劣化した古いエッジは本当にボロボロで触ったら簡単に崩れるグズグズの状態です。コーン紙(振動板)に残る部分には、おそらくゴム系と思われる接着剤が残っており、写真のようにピンセットで摘むと容易に剥がすことができました。
多少コーン紙も剥がれてきますが、その部分は貼り替えるエッジで補われるでしょう。おそらく支障はないはず。 丁寧に剥がして接着に備えます。この部分のお掃除は思ったよりも簡単にできました。
写真でコーン紙の中央に貼ってあるグレーの発泡ウレタン(意外に硬い)は、機械的な音響フィルタだと思います。(低域を伸ばすためのコーン紙への追加質量を兼ねているのかもしれない) コーン紙から高音域の輻射は必要ないのでカットするように作ってあるのでしょうね。 妙な中〜高音域のレスポンスがあると、分割振動や高調波による異音を発する可能性が生じます。 従ってスピーカ・ユニット側で対策しておく方が有利と思われます。スピーカ屋の常識なのかも知れませんが、このあたりに老舗の音響機器メーカ:TEACの製品らしさが感じられました。
【ガスケットを剥がす】
コーン紙とは反対側のエッジ部分はガスケットとフレームに挟まれて接着されています。 貼り替えるためにはその部分に残っている古いエッジを取り除かねばなりません。
ガスケットにはスピーカを取り付けたとき箱内側と外側とを隙間なく密閉する役割があります。結構重要な部分であり、隙間があると音響特性に影響が及びます。
ガスケットは紙を円筒状に巻いたものを輪切りにして作っているようです。 厚紙をプレスで抜いて作っていると思ってました。 もしその方法だと真ん中の部分が無駄になり合理的ではありませんね。厚紙で作った円筒の輪切りが合理的ですよね。剥がしていて妙に納得しました。w
ガスケットはフレームの取り付け穴の部分(写真参照)から剥がして行くと容易でした。再利用しますから、なるべく元の円形を変形させぬよう丁寧に剥がして行きます。
ガスケット側あるいはフレーム側に古いエッジが残りますので、カッター・ナイフやスクレイパーのような道具で残ったエッジと古い接着剤をなるべく丁寧に除去しておきます。
【一つ30分くらい?】
丁寧にと言いつつも少々雑な作業になってしまいました。 一つ目のお掃除には40分くらい掛かりました。
要領がわかってきた二つ目はもっと早くて20〜25分くらいでしょうか。 フレーム側の接着剤除去が少々雑になりましたが、新しく接着するときの妨げにならなければ支障ありません。 それに見えなくなってしまう部分です。 気分の問題もありますがほどほどに済ませることにしました。
残っていた古いエッジの風化度合いは相当のものでしたね。 殆ど粉状に崩れてしまいます。 確かに30年も前の製品ですから致し方ないとは思いますが、スピーカのエッジ部分がこれほど経年で劣化するとは思ってもいませんでした。 環境にもよるでしょうが、ネットの情報なども総合すると年数が経ったらどうやらダメになるのが普通らしいです。
新しいエッジの貼付けは大変だろうと思っていたのですが、後から考えたら、むしろ大変だったのは古いエッジのお掃除の方でした。(笑)
【Amazonで交換用エッジを発注】
Amazon.co.jp以外でも売られているようです。 どうせ中国から発送されるので、Aliexpressで探しても良いのかもしれません。 ここではAmazonで買いました。
写真のように交換用のエッジの寸法が詳しく載っていました。これなら自分が必要としているパーツがどれなのか簡単にわかります。 おそらく80〜200mmくらいのスピーカ・ユニットは大変ポピュラーなので、こうしたスピーカ用の部材を専業で供給する会社があるのでしょう。日本でも昔はこういう工場がたくさんあったのだろうと思います。しかし一般人がエッジ部分を必要な少量だけ購入することなどできなかったでしょうね。
いまは電子機器の製造が中国を含む海外へ移転し、彼らの商魂のたくましさか、売れるものならパーツでもなんでも供給すると言う姿勢のおかげで簡単に手に入るわけです。 これはなかなか有り難いですね。 スピーカの例で言えば、こうした部品のお陰で修理して蘇るスピーカ・システムもたくさんあることでしょう。
古いエッジの撤去と接着剤の除去も行ない、清掃を済ませておきました。 あとは交換用のエッジが届くのを待つばかりです。
☆
【内蔵パワー・アンプの話】
公称60Wのパワー・アンプは旧・三洋電機製のハイブリッドIC:STK4036Xが使われています。
図はICの仕様書からコピーしたものです。 同社のハイブリッドICはシリコン単体で作られたモノリシックICとは異なったもので、ディスクリート構成の回路と同等のものです。 従って歪み特性など非常に優れた性能が得られており、音響的にも優れていることから多くのメーカー製オーディオ機器で使われています。
ディスクリート回路と同じように各トランジスタは個々の回路部分に最適な特性のものが選べますから回路構成上とても有利です。 各抵抗器は厚膜印刷されたのちトリミングされており製品の均質性を保っています。 従って、ディスクリートなアンプ回路を礼賛されるようなお方にもお勧めできると思っています。 なんでそんなに詳しいのかって? それは、・・・
モノリシックIC全盛の現在ではありますが、こうしたハイブリッドICはそれを超えた価値があると思っています。
SW-P100の回路をリバースエンジニアリングした訳ではありませんが、概ね推奨回路と同じような回路で使っているようです。 安全性を考えてDCアンプにはなっていませんが、OCL回路で十分低域まで周波数特性は伸びています。 サブ・ウーファの駆動用としては十分な性能のアンプでしょう。
【アンプ内蔵は有利だ】
内蔵アンプと電源トランスです。 パワー・アンプ用のハイブリッドICは右側放熱用アルミ板に付いています。 スピーカ・ユニットまでの配線が非常に短いためパワーアンプ内蔵のスピーカはとても有利です。 アンプの低い内部抵抗と相まってボイス・コイルの制動がよく効くため締まった感じの音になります。 これは配線の抵抗を含めてドライブ・アンプ系の内部抵抗が小さければ、スピーカ・コーンの振動に対して電磁制動がよく効くようになるためです。
アンプ基板にはクロスオーバー・フィルタも載っています。 趣旨から言えば、フィルタ出力をメインのアンプ系に戻すのが本来でしょう。 しかし実用上はその必要は感じませんでした。 これは私が使っているスピーカ・システムは低域まであまり周波数特性が伸びていないためです。
また交叉周波数を70Hzと低い方に選んでいる為でしょう。 従って、AVアンプからのサブ・ウーファの駆動用出力信号をこのサブ・ウーファ・システムのローレベル入力に接続すれば済むことになります。
もしも本格的な管球マニアで球のパワー・アンプをサブ・ウーファにも使いたいのでしたら、こうした内蔵アンプはパスしてしまい良質の・・・尚且つ十分なパワーを持った・・・管球式のモノラル・パワーアンプを使うのも良いでしょう。 やはり一味違うシステムになるように思います。 たぶん、それは叶わぬ望みであって、狭いシャックのBGMシステムには恐らく適用外です。(笑)
☆
ところで、交換用スピーカ・エッジですが発注してから納期に驚きました。 まあ、海外からですから3週間くらいなら驚くほどでもないのかも知れませんが・・・。約20日との納期連絡がありました。 実際にもほぼその納期で到着しました。もっと早い配達の業者もあるようなので選ぶときには確認しておくと良いです。
・・・と言うことで、交換用エッジが届くまでしばし作業はペンディングになります。
オーディオではあっても真空管の話はどこかへ行ってしまいました。 たまたま別件で訪れたリサイクル・ショップで最悪「箱代」と思って購入したサブ・ウーファをお題に致しました。 大して役に立つことは書いてありませんので暇つぶし程度の雑談だったと思います。 怪しいモノに手を出すと厄介なことになると言う教訓もありますが、様々な情報や物流の発達で昔では考えられなかったような遊び方もできる面白い時代になっていると感じた次第です。 次回は続きのスピーカ修理と音出し編です。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm
2024年10月3日木曜日
2024年9月18日水曜日
【写真】Camera and Lenses
【カメラとレンズの話 】
Prologue
My digital camera, which I've been using for a while, has stopped working. The autofocus isn't working right. I checked and found that I had been using it for as long as 11 years. And I realized I no longer need a compact camera because of the excellent camera functionality of smartphones. However, it is sometimes difficult to take pictures with a smartphone camera. In the end, I bought a mirrorless camera. I also added an adapter that allows me to use my old lenses, so I can enjoy my old lenses. (2024.09.18 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
要旨:以下は愛用カメラ故障の顛末(備忘用)です。年老いたHAMが壊れてしまったコンデジの代わりにチープなミラーレスを買い古いレンズを懐かしむといった話し。ラジオや電子回路の話は登場しません。ご覧は自由ですが、たぶん面白くないのでお奨めはしません。
ー・・・ー
【XZ-1壊れる】
永年使って手に馴染んだ道具が壊れると悲しいものです。 カメラも機械ですからいつか壊れても不思議ではありません。XZ-1が壊れてしまいました。
写真好きのように感じるかも知れませんが、私はカメラや写真のマニアではありません。 素人ですからややこしい理屈は詳しく知りません。 写真を撮るのは「事実あるいは現象の記録・伝達」が目的です。 できるだけあるがままの画像が得られれば十分であってカメラあるいは写真そのものにそれほどの興味はないのです。 これだけは初めにハッキリしておきましょう。 要するにマニアじゃありません。(いい写真を鑑賞するのは好きです)
イケてる写真が撮れるとも思っていません。 きちんと伝えられる写真が撮れたら嬉しいだけで芸術性は追求していませんから写真として見たらあまり面白くはないでしょう。 見たままが記録できたらそれで目的達成ですから。
そのような目的にいわゆる「コンデジ:XZ-1」は過不足のないカメラでした。 あまりPoorな性能では困りますが、適度に寄れてマクロが撮影でき、暗くても速めのシャッターが切れたら使いやすいカメラだと思います。XZ-1は初期価格6万円弱のカメラなので結構高性能でBlog用とか雑誌記事向けの写真撮影には十分だと感じていたのです。トラ技誌のグラビア(部分)になった写真もありましたっけ。
最近は部屋から持ち出すこともなくなっていました。スマホのカメラが高性能化したことで持って出る必要も感じなくなっていたからです。しかし屋内で細かい被写体をわかり易く写すとなるとスマホには限界もあります。 そんな時はXZ-1を使っていました。
7mm角コイルのBlog用写真を撮影していたら突然不調が発生したのです。 合焦せずレンズが繰り出したと思ったら即引っ込んでしまう動作を繰り返します。なんどやってもダメなので壊れたことを実感しました。
壊れたものは修理に出すか買い替えるしかありません。調べたら2011年発売のモデルでした。 私が買ったのは2013年7月だったので、使い始めて丸11年も経過していたのです。最近の使用頻度は下がってましたが、よく使ったものだと思います。
メーカーの修理受付期限も過ぎていて正規な修理は望めませんでした。性能・機能的に十分だと感じていただけに手に馴染んだカメラがなくなると痛手です。しかし、よく働いてくれたと言う感謝の気持ちも同時に湧いてきたのでした。(注・1)
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「コンデジ」なんて、ずいぶん安っぽいカメラで撮ってたんだね。そう思われたかもしれない。ま、その通りです。 どんな道具でもそうだと思うのですが、高性能・高機能なものがベストではないでしょう。 目的にマッチしていれば簡潔で使いやすいツールが一番便利です。 ですからデジイチとか高価で高性能なカメラがどうしても必要だとも思わなかったのです。いいカメラ買ってもイイ写真のスキルまでは付いてきませんしね・・・ それに、もしホントに必要と思ったならあっさり買っちゃう方です。w
注・1:後からわかったのですが、内部の基板に搭載されたバックアップ用リチウム2次電池がトラブルの原因かも知れません。交換して直すと言うYoutube動画がありました。その気になったら挑戦するかもしれません。
【最初の写真】
XZ-1の前にはNikonのCoolpix P-60と言う一段とチープなコンデジをだましだまし使っていました。 暫く使っていたCoolpix 950が破損したのでその代替機でした。特売で¥10kだったと思います。それも背面LCDが劣化して既に引退しています。
不満だったのは広角端でしか被写体に寄れないためマクロが弱いことでした。小さな部品や細かい配線とか撮影するには性能不足だったのです。収差が出るのは承知で凸レンズを貼って誤魔化していました。
XZ-1を購入した動機はこのあたりにあります。 またどんなレンズでもマクロ撮影では実質的に暗くなってしまいます。そんなときでも明るいレンズは早いシャッターが切れるので有利です。 近頃のカメラはみなAF(オートフォーカス)であり、しかもピントは優秀です。 不鮮明な写真の多くは手ブレが原因なのでしょう。手ブレ補正は付いていても暗い時は効果にも限界があります。 広角端〜望遠端でf1.8〜2.5のレンズは明るくて有利でした。 光学4倍、デジタル4倍のズームも重宝しました。デジタルズームは画質劣化しますがBlogの写真くらいなら十分使える範囲にありました。
マクロ撮影の性能を確かめたくて庭の花を撮影したのでしょう。初めて撮った写真の一群にこの写真がありました。カメラ任せのAutoで撮影したものです。 だいたい満足したことを思い出しました。 コンデジですから「背景ボケ」はそれほど強烈ではありませんね。
【OM-D_E-M10mkIVを買う】
さて、壊れてしまったカメラをいくら懐かしんでもどうにもなりません。
いまどきのスマホ・カメラが結構優秀なことからそれで間に合わせようか迷いました。 ただし手持ちでは細かい撮影がやりにくいため三脚用のスマホ・ホルダを買ってみたのです。
それでそこそこ使いものにはなりそうだったのですが、どうにも不満がふつふつと・・・。w
スマホ・カメラって失敗もなく旨く撮影できます。 小さなレンズと小撮像素子ゆえ被写界深度もあって概ねパンフォーカスに撮れるのはメリットでしょうね。 素人ウケする写真が上手に撮れるようにうまく作ってあるものだと感心します。 でもやっぱり・・・不満なんですよね。 カメラ任せで自分で撮ってる感が足りないからでしょうか?w
仕方ないのでXZ-1と同程度の「コンデジ」を探すことにしました。予算は同程度としましょう。 はじめてすぐ「もうそう言うカメラって売ってない」ことがわかりました。 ごく少数の固定焦点で趣味性の強い高価なコンデジなら見つかりましたが・・・。 あとは防水仕様で工事現場用とか水中カメラのような特殊な仕様のモノしか売られていないんですね。 スマホの普及によってコンデジというジャンルはあらかた駆逐されてしまった訳です。
しからば、一時流行ったネオ・コンデジと称する高倍率ズーム付きでデジイチそっくりカメラはどうだろうかと・・・。 まだ有るにはあるようですが意外に高額ですし融通のなさは「コンデジ」そのもの。それに超望遠を撮影したいわけじゃないので目的に対してミスマッチでした。 大柄なのでアウトドアなら良いのでしょうが自室で細々したものの撮影には扱いにくそうです。
☆
最近になってミラーレス・カメラが流行ってきました。 デジイチ(デジタル一眼レフ)とちがってミラーやペンタプリズムは使わず光学式ファインダはありません。 撮像素子で常に撮像し背面のLCD(液晶表示器)あるいはEVF(電子ビュー・ファインダ)に映し出す形式です。 これって考えてみたらコンデジそっくりの構造ですね。違いはレンズ交換が可能か否かと言うことくらいでしょうか? 他にも違いはあるのかも知れませんが・・・
結局、「入門用」と称するミラーレスを買いました。なにしろコンデジの代替なのですから高機能は必要ありません。撮像素子数もむやみに多い必要はないでしょう。画像ファイルがでかくなるばかりです。約2000万画素は余裕があって良いのですが過剰なくらいです。Blog写真にはXZ-1の1000万画素でも十分すぎるくらいだったのですから。
参考:現在このBlogでご覧の写真はQXGAの約300万画素に縮小しています。なお、PC用は72dpiですが雑誌など印刷物への入稿には300dpiで行ないます。高画素数が生きてきます。
NikonやCanonも好きですがお高いので手が出にくい感じでした。比較的安くて良さそうなOM System /旧・Olympusを選びました。おなじミラーレスでもコンパクトで扱いやすいのと、XZ-1のユーザ・インターフェースと類似性が感じられたからです。
本体価格は約¥100k-くらいです。予算オーバーですしホントは本体+AFマクロレンズが欲しかったのです。しかし本体だけの入手は難しくてズームレンズ付きのセット物じゃないと納期は未定になるとのことでした。
近所のカメラ屋でも聞いたら中古は少しも安くないからお薦めじゃないないんだとか。半導体不足とか円安の関係でカメラは入荷が滞っているので・・・だから中古も高い。 品薄にするのは何だかメーカーの戦略のようにも感じますが・・・。物価高騰で景気も減速気味のおり、こうしたカメラって高額商品ですからあんまり売れてないんでしょうね。(ほとんどの人にとってはスマホ・カメラで十分ですもの・笑)
抱き合わせ販売の感があってレンズ付きのセットはイマイチだったのですが¥30k-程度の違いなので買って試してみることにしました。付属品は安っぽいズーム・レンズですが使えない訳でもないでしょう。
セットのズームレンズは焦点距離:14〜42mm:f3.5〜5.6の広角系と同:40mm〜150mm:f4.0〜5.6の望遠系と言う2本だてでちょっと暗いものです。 なお、フォー・サーズシステムのカメラですから35mmに換算すると焦点距離は2倍に相当します。 35mmフィルム・カメラの換算で言えば28〜300mmをカバーするわけで、広角から望遠までカメラを始めた初心者が十分楽しめるレンズがセットになってます。
昔はレンズの明るさには大いに拘ったものでした。フィルム感度もASA=100か200が普通でした。 しかしデジカメ時代になりISO/ASA感度は随時切り替えできるようになりました。フィルムではできなかった芸当です。 それで少々暗いレンズのためシャッターが遅くなってしまい、手ブレが心配そうなら感度アップでカバーできる訳です。(Autoにしておけば自動的にそうなります)
むやみに感度アップしたら小さな入力信号をイッパイ増幅する訳ですからS/Nは悪くなります。このあたりは受信機と同じでしょう。 しかし最近の撮像素子はずいぶん進歩していてISO=800くらいならまったくノイジーにはなりません。ISO=100とか200から2絞り分くらいは楽々稼げるので暗いレンズでも何とかなるのでしょうね。
【夏空】
表に出てちょっとスナップしてきました。
広角側のズームを付け、望遠端の方(42mm)で撮影しています。 手前の雲の湧き上がってくる様子がいい感じに撮れていると思います。 まあ、こんなのは当たり前でしょうね。
2つ付いてきたズームですが、こちらの広角ズーム:14〜42mmが本命でしょう。35mm換算で標準域にあたる50mm(=25mm)を含むので普段使いになる訳です。レンズの前玉は小さくてちょっと心もとないですが、撮像素子が小さいのですから十分なサイズなんでしょう。
パンケーキ・ズームと称していて非撮影時の縮んだ状態だととても薄くて出っ張りません。付けたままでもコンデジ並みの携行性だと感じました。 近接撮影も悪くないので、このレンズだけでもセット物を買った価値はありそうです。もちろんAFレンズですしね。w
望遠側のズーム:40mm〜150mmの実写は省きましたが、こちらの画質も悪くありません。驚くほどの軽量なので持ち歩くには最適です。昔のズームレンズに比べたら、心配なくらい軽くて安っぽいんですがレンズとしての描写は問題ないです。普段使いには十分だと感じます。
ともかく、コンデジからミラーレスにやむなく乗り換えたような私には十分すぎるでしょう。 ズームレンズ2つで追加の¥30k-は悪くない投資でしたね。かなり使えそうなズームでした。 あとは手に馴染むまでじゃんじゃん撮りましょう。
カメラ故障の突然のトラブルはこれで一件落着。 お疲れさまでした。(笑)
☆ ☆
【OM-m4/3アダプタでMacro 50mm f3.5】
以下は、ミラーレス・カメラに移行したお話の長いオマケです。
昔々の話ですが、ちょっとカメラやレンズの沼にハマったことがあるのです。 メインの趣味は無線でしたので、それほど本格的にハマった訳ではありませんでしたが、カメラ本体と一通りのレンズを持っていました。
単焦点のレンズの方が明るくて良いのですが基本的にズームで揃えました。デジカメ以前の時代なので当然ですが35mmのフィルムカメラ(Olympus OM-4)でした。 交換レンズは焦点距離で21mm〜300mmまでのズーム数本と、600mmの超望遠ミラーレンズを持っていたのです。 それで何を撮影したのかと言うとお恥ずかしいのですが・・・。 すっかり忘れていますが、なるべく明るいズームを揃えたと思うので費用はかかったと思います。w
写真趣味の醍醐味を感じるにはたくさん撮影してみることが重要です。しかしフィルム・カメラの時代ですから「じゃんじゃん撮影する」には費用がたまりません。 それに撮ってその場ですぐ見られる今とはわけが違います。 写真の作法を十分学ぶには膨大な時間とたくさんの勉強代が必要だったのです。 ですから初心者レベルの写真からあんまり進歩がなかったのは仕方がなかったと思っています。
◎ お金の掛かる趣味をいくつも抱えられませんからねえ。(爆)
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ミラーレスを買って調べていたら「オールドレンズ 」がブームになっているとのことです。興味津々でしたが調べた結果を言うとフィルム・カメラ時代の古いレンズを使って「近代的デジカメ」で写真撮影を楽しむと言うのです。おもに絞り解放における古レンズの「クセの強い描写」を楽しむようです。
当然ですがオートフォーカスは働きません。 マニュアルでピント合わせをする昔のスタイルに逆戻りな訳です。 たいていカメラ側から絞りの操作もできないので、絞り優先のマニュアルモードで撮影になる訳です。シャッター押すだけとは行きませんから、もはやズブの素人向きじゃありませんね。
ただし、昔と大きく違うのは撮ってすぐその場で見られることです。それにいくら撮影しても基本的に費用はかかりません。フラッシュメモリは消去して使えばまあ普通には際限なく撮れます。失敗を恐れずジャンジャン撮れるので写真を学ぶにはとっても良い時代です。 下手な写真も数をこなせば偶然イイのが撮れる可能性もありますから。w
私の場合はオールドレンズを楽しむと言うよりも、沼に沈んでいた過去を拾い上げてもう一度試せたらというのがホンネでした。 長く放置していたのですっかり諦めていて沼底の時代遅れなガラクタはもう捨ててしまおうかと思っていたんです・・・
さっそくマウント変換アダプタというものを購入してみました。私の過去は古いOM-SYSTEMのレンズでしたのでOM→マイクロ・フォーサーズの変換アダプタを選びました。 この写真は50mm f3.5のZUIKO MACROを付けた様子です。言うまでもなく銀塩時代のレンズです。
初めはAFの35mmマクロレンズを買いたいと思っていたのですが、一般にマクロ領域ではAFでなくてもピント合わせは容易です。(AF、マニュアルのどっちでも難しいとも言えますが・笑) 古いマクロレンズで不満になったらAFマクロを買うことにして暫くコレを試してみることにしました。
なお、50mmマクロですから2倍の100mm相当の中望遠気味のレンズになります。また元々はハーフ・マクロでしたが、1:1の等倍マクロになります。撮像面から測った最小接写距離は23cmで変わりません。従ってある程度のワーキング・ディスタンスが取れるので扱い易いです。 f3.5というやや暗いレンズですが、ISO感度をアップして撮れますからあまり気になりませんでした。このレンズの場合はISO=400 or 800で使います。
【ラベンダー】
庭のラベンダーに寄れるだけ寄って撮影しました。
なんだかわからない写真かもしれませんが説明用なのでご勘弁を。ラベンダーは蕾の状態です。 表面はビロードのような紫の産毛に覆われていますね。
撮像素子面から23cmの距離から絞り5.6で撮りました。絞り優先で露出補正-0.3EV、シャッタースピードは1/500秒です。 本格的なマクロ・レンズで近接撮影ですから背景はすごくボケます。被写体が浮かびあがったような写真が撮れました。 このような背景ボケの写真は好みの分かれるところですが、ボケたらイイ写真なんだって言うマニアもおられるみたいです。w
このZUIKO MACRO 50mm f3.5は往年の銘レンズ なので写真の投稿サイト:Flickrには愛好者のグループがあります。 マクロレンズとあって皆さんの撮影対象はお花や昆虫のアップがほとんどなのですが、ポートレートや風景撮影に使って楽しむお方もあるようでした。
流石にちゃんとしたマクロ・レンズなので描写は正確でシャープですから、私が電子部品や機器の撮影に使う目的には良くマッチしていると思います。 もちろんコンデジやスマホでのマクロ撮影とは一味違うように感じますね。hi
【500円玉】
被写界深度の説明用写真です。
少々すり減った「くたびれた五百円玉」を斜め手前から撮影しています。 写真をクリックして拡大すると、ピント面は中央部分の左右帯状にあるのがわかるでしょう。
真正面から撮影すれば全面にピントを合わせることも可能ですが、斜め前からでは一部にだけピントが合います。 ピント面は手前側が浅く奥が深くなりますが、このようなマクロ撮影ではピントの合っている範囲は非常に狭くなります。
回折が気にならない範囲で「絞り」をなるべく絞ってやれば被写界深度はもう少し深くなりますが、マクロではそれも限界があります。 それに絞ればそれだけ暗くなるので手持ち撮影は手ブレが心配になってきます。
被写体にできるだけ正対するか、それが無理ならチルト・レンズといった特殊なマクロレンズを使う必要があるでしょう。(欲しいレンズなんですけどね・笑)←危ない危ない、また沼にハマっちゃうョ。
【Σ Mirror 600mm f8.0 超望遠】
マウント変換アダプタのお陰で沼の底の超望遠が試せます。
この望遠レンズは反射望遠鏡の原理を使ったもので、ちょっと古いモデルでしたが中古品があったので手を出した記憶があります。
ただし、レンズ黴(カビ)がだんだん拡大してしまい、メーカーに清掃を依頼しました。 清掃から帰ってきた頃にはカメラそのものにさえ興味を失っていて、その後は仕舞い込んだままになっていたのです。
焦点距離:600mm f8.0のときでさえ撮影は難しかったと思います。 フォーサーズに付けたら換算で倍の1,200mmという超望遠レンズですから難しさは一段と増していますね。
難しいと感じたのは2つのポイントです。 一つは安定に撮影することの難しさです。手持ちでブレずに撮影するのは不可能に近いでしょう。f8.0固定ですから早いシャッターが切れません。少なくとも1/500あるいは1/1000秒で切りたいところ。 ブレないよう、また風などで揺るがないよう安定したシャッターを切るのは容易ではなかったと思います。もちろん頑丈な三脚は必需品です。逆光気味ならフードの装着も不可欠です。シャッターはレリーズで切ります。(このカメラではスマホのアプリを使ってワイヤレスでシャッターを切る)
難しさのもう一つは、フラットな描写になってしまうことです。 これは望遠レンズ全般に言えますが、遠くのものを引っ張って撮影した写真はコントラストに乏しくメリハリのないフラットな写真になりやすいのです。 よほどの晴天で空気がクリヤーな屋外で、できるだけコントラストが得られやすい被写体を選ばないと良い写真はまず撮れません。 なかなか難しいと感じたものです。 遠方の被写体を狙うというよりも、背景に生じる「リングぼけ」を生かしたアートな作品を目指すべきなのでしょう。
(説明:リングぼけの例。どこにもピントの合っていない写真は単なるピンボケ写真ですが「リングぼけ」を説明する作例です。駐車しているクルマをピントを外して撮影しています。メッキ部分の光輝点がリング状にボケて写ります)
デジタル時代になったので沼から拾った難物のレンズに再挑戦できそうです。 ミラーレンズの絞りは固定で変えられないことから扱いにくかったのですが、いまはシャッタースピードに加えてISO感度の方でも露出を加減できるため、昔よりも格段に扱い易くなっています。 デジタル時代の恩恵ですね。
余談:上の方で写真の目的は「真実を伝える手段」みたいに書きました。しかし現実はちょっと違います。 写真のマジックとかトリックもある訳です。 広角が広い範囲を撮るレンズで望遠が遠方を見るためのレンズだと思うのは素人でしょう。 詳しく書いたらキリがありませんが、レンズの使い方一つにしても写真表現はすごく変わるのでなかなか奥深いです。(面白いです) 技術や技巧が要るので難しいものですね。 最低限の基本はわかって撮りたいと思っていますが・・・。
【KONICA HEXANON 35mm f2.8】
もしこのレンズが焦点距離:35mmでなかったら試すことはなかったでしょう。戦前からの老舗、コニカ(小西六写真工業)のHEXANON 35mm f2.8です。
なんでこんなレンズがあるのか良くわかっていません。コニカのカメラを所有したことはないので単なる凸レンズ代わりに中古品(ジャンク)を買ったのかも?? 500円くらい??
焦点距離:50mmレンズなら上のMACROだけでなくG.ZUIKO f1.4と言った明るい標準50mmもあります。35mmなので試してみたくなったのです。点検したらレンズはまあまあ綺麗でした。60年くらい前の古いレンズでしょうか。
ネットの情報によれば、このレンズはおフランスのアンジェニューとか言うレンズメーカの形式を模した古い設計の広角レンズだそうです。 「プリセット絞り」という古いけど面白い機能も付いていて、これがいま時のミラーレス・カメラにとってもマッチしていると感じました。
コニカARマウントをマイクロ・フォーサーズへ変換するマウント変換アダプタが手に入ったので試すことができました。当然ですが本来は広角レンズだったのに70mm相当のレンズになってしまいます。 まあ、これは仕方がないでしょうね。
レンズの中心部を使うことになるため、オールドレンズらしさはあまり感じられませんでした。 歪みや収差はほとんど現れないのです。ごくフツーに良く撮れるレンズです。 描写は正確で発色も良くて普段使いも可能でしょう。 もちろんマニュアルフォーカスですけれども。 マクロレンズほどの正確な描写にはなりませんが被写体に30cmまで寄れます。 画角の点でメリットがあるかも知れません。時々は装着して活用しましょう。 レトロ・フォーカスというレンズの形式から、前玉がとても大きくて立派に見えます。
◎ デジタル・カメラが進歩したお陰で古いレンズを手軽に試して遊ぶことができます。 これはHAMの通信のFT-8なんかもそうですが「デジモノ」の進歩で色々な遊びの幅が広がったのはVY-FBです。長生きはするものですね。 新しい物を採り入れる柔軟さも持ちあわせたいものです。
☆ ☆ ☆
Epilogue
愛用のコンデジが故障したことで急な出費にもなってちょっと痛手だったのですが、実はそろそろカメラを入れ替える時期に来ていたのかも知れないと思いました。
今でもそうですが、デジタル一眼レフはその必要性をあまり感じなかったのでコンデジで間に合わせて来たわけです。性能は良いとしても価格は高価すぎました。
ミラーレス・カメラも高価ではありますが、その中で安価な実用モデルであっても相当十分な機能や性能が実現されていることがわかりました。 使ってみてもっと早く入れ替えても良かったと感じましたし、昨今のデジタル機器の進歩のお陰で「安くても美味しいもの」が手に入るようになったと言えるのかもしれません。カメラの入れ替えには良い潮時だったんでしょう。
そして沼の底から過去の遺物を拾い出して遊ぶことができたのは面白かったです。ちょっと予算オーバーでしたけれど再び沼に落ちるほどの出費にはなっておりませぬ。 とっくの昔にマニアは返上している私です。(笑)
真空管のハナシはどこかへ行ってしまいました。 そろそろ飽きて来たのと日常の出来事を書くのがBlogとも言えるので近ごろ発生したカメラが壊れた事件をお題に致しました。Blogの楽屋裏の話でしたね。 さて、次回は・・・ de JA9TTT/1
(おわり)fm
【観月亭と中秋の月】
昨晩、お月見をしてきました。
近江・石山寺・・紫式部ゆかりの寺・・にて「観月亭」と輝く中秋の名月です。
スマホ(iPhone 14)の手持ちで、ここまで誰でも簡単に撮れます。 コンデジや下手なデジカメの出る幕はなくなりつつあるようです。
より芸術性のある写真を撮らなければ高度なカメラも持ち腐れかも知れませんね。
おしまい。(追加:2024.09.18)
Prologue
My digital camera, which I've been using for a while, has stopped working. The autofocus isn't working right. I checked and found that I had been using it for as long as 11 years. And I realized I no longer need a compact camera because of the excellent camera functionality of smartphones. However, it is sometimes difficult to take pictures with a smartphone camera. In the end, I bought a mirrorless camera. I also added an adapter that allows me to use my old lenses, so I can enjoy my old lenses. (2024.09.18 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
要旨:以下は愛用カメラ故障の顛末(備忘用)です。年老いたHAMが壊れてしまったコンデジの代わりにチープなミラーレスを買い古いレンズを懐かしむといった話し。ラジオや電子回路の話は登場しません。ご覧は自由ですが、たぶん面白くないのでお奨めはしません。
ー・・・ー
【XZ-1壊れる】
永年使って手に馴染んだ道具が壊れると悲しいものです。 カメラも機械ですからいつか壊れても不思議ではありません。XZ-1が壊れてしまいました。
写真好きのように感じるかも知れませんが、私はカメラや写真のマニアではありません。 素人ですからややこしい理屈は詳しく知りません。 写真を撮るのは「事実あるいは現象の記録・伝達」が目的です。 できるだけあるがままの画像が得られれば十分であってカメラあるいは写真そのものにそれほどの興味はないのです。 これだけは初めにハッキリしておきましょう。 要するにマニアじゃありません。(いい写真を鑑賞するのは好きです)
イケてる写真が撮れるとも思っていません。 きちんと伝えられる写真が撮れたら嬉しいだけで芸術性は追求していませんから写真として見たらあまり面白くはないでしょう。 見たままが記録できたらそれで目的達成ですから。
そのような目的にいわゆる「コンデジ:XZ-1」は過不足のないカメラでした。 あまりPoorな性能では困りますが、適度に寄れてマクロが撮影でき、暗くても速めのシャッターが切れたら使いやすいカメラだと思います。XZ-1は初期価格6万円弱のカメラなので結構高性能でBlog用とか雑誌記事向けの写真撮影には十分だと感じていたのです。トラ技誌のグラビア(部分)になった写真もありましたっけ。
最近は部屋から持ち出すこともなくなっていました。スマホのカメラが高性能化したことで持って出る必要も感じなくなっていたからです。しかし屋内で細かい被写体をわかり易く写すとなるとスマホには限界もあります。 そんな時はXZ-1を使っていました。
7mm角コイルのBlog用写真を撮影していたら突然不調が発生したのです。 合焦せずレンズが繰り出したと思ったら即引っ込んでしまう動作を繰り返します。なんどやってもダメなので壊れたことを実感しました。
壊れたものは修理に出すか買い替えるしかありません。調べたら2011年発売のモデルでした。 私が買ったのは2013年7月だったので、使い始めて丸11年も経過していたのです。最近の使用頻度は下がってましたが、よく使ったものだと思います。
メーカーの修理受付期限も過ぎていて正規な修理は望めませんでした。性能・機能的に十分だと感じていただけに手に馴染んだカメラがなくなると痛手です。しかし、よく働いてくれたと言う感謝の気持ちも同時に湧いてきたのでした。(注・1)
☆
「コンデジ」なんて、ずいぶん安っぽいカメラで撮ってたんだね。そう思われたかもしれない。ま、その通りです。 どんな道具でもそうだと思うのですが、高性能・高機能なものがベストではないでしょう。 目的にマッチしていれば簡潔で使いやすいツールが一番便利です。 ですからデジイチとか高価で高性能なカメラがどうしても必要だとも思わなかったのです。いいカメラ買ってもイイ写真のスキルまでは付いてきませんしね・・・ それに、もしホントに必要と思ったならあっさり買っちゃう方です。w
注・1:後からわかったのですが、内部の基板に搭載されたバックアップ用リチウム2次電池がトラブルの原因かも知れません。交換して直すと言うYoutube動画がありました。その気になったら挑戦するかもしれません。
【最初の写真】
XZ-1の前にはNikonのCoolpix P-60と言う一段とチープなコンデジをだましだまし使っていました。 暫く使っていたCoolpix 950が破損したのでその代替機でした。特売で¥10kだったと思います。それも背面LCDが劣化して既に引退しています。
不満だったのは広角端でしか被写体に寄れないためマクロが弱いことでした。小さな部品や細かい配線とか撮影するには性能不足だったのです。収差が出るのは承知で凸レンズを貼って誤魔化していました。
XZ-1を購入した動機はこのあたりにあります。 またどんなレンズでもマクロ撮影では実質的に暗くなってしまいます。そんなときでも明るいレンズは早いシャッターが切れるので有利です。 近頃のカメラはみなAF(オートフォーカス)であり、しかもピントは優秀です。 不鮮明な写真の多くは手ブレが原因なのでしょう。手ブレ補正は付いていても暗い時は効果にも限界があります。 広角端〜望遠端でf1.8〜2.5のレンズは明るくて有利でした。 光学4倍、デジタル4倍のズームも重宝しました。デジタルズームは画質劣化しますがBlogの写真くらいなら十分使える範囲にありました。
マクロ撮影の性能を確かめたくて庭の花を撮影したのでしょう。初めて撮った写真の一群にこの写真がありました。カメラ任せのAutoで撮影したものです。 だいたい満足したことを思い出しました。 コンデジですから「背景ボケ」はそれほど強烈ではありませんね。
【OM-D_E-M10mkIVを買う】
さて、壊れてしまったカメラをいくら懐かしんでもどうにもなりません。
いまどきのスマホ・カメラが結構優秀なことからそれで間に合わせようか迷いました。 ただし手持ちでは細かい撮影がやりにくいため三脚用のスマホ・ホルダを買ってみたのです。
それでそこそこ使いものにはなりそうだったのですが、どうにも不満がふつふつと・・・。w
スマホ・カメラって失敗もなく旨く撮影できます。 小さなレンズと小撮像素子ゆえ被写界深度もあって概ねパンフォーカスに撮れるのはメリットでしょうね。 素人ウケする写真が上手に撮れるようにうまく作ってあるものだと感心します。 でもやっぱり・・・不満なんですよね。 カメラ任せで自分で撮ってる感が足りないからでしょうか?w
仕方ないのでXZ-1と同程度の「コンデジ」を探すことにしました。予算は同程度としましょう。 はじめてすぐ「もうそう言うカメラって売ってない」ことがわかりました。 ごく少数の固定焦点で趣味性の強い高価なコンデジなら見つかりましたが・・・。 あとは防水仕様で工事現場用とか水中カメラのような特殊な仕様のモノしか売られていないんですね。 スマホの普及によってコンデジというジャンルはあらかた駆逐されてしまった訳です。
しからば、一時流行ったネオ・コンデジと称する高倍率ズーム付きでデジイチそっくりカメラはどうだろうかと・・・。 まだ有るにはあるようですが意外に高額ですし融通のなさは「コンデジ」そのもの。それに超望遠を撮影したいわけじゃないので目的に対してミスマッチでした。 大柄なのでアウトドアなら良いのでしょうが自室で細々したものの撮影には扱いにくそうです。
☆
最近になってミラーレス・カメラが流行ってきました。 デジイチ(デジタル一眼レフ)とちがってミラーやペンタプリズムは使わず光学式ファインダはありません。 撮像素子で常に撮像し背面のLCD(液晶表示器)あるいはEVF(電子ビュー・ファインダ)に映し出す形式です。 これって考えてみたらコンデジそっくりの構造ですね。違いはレンズ交換が可能か否かと言うことくらいでしょうか? 他にも違いはあるのかも知れませんが・・・
結局、「入門用」と称するミラーレスを買いました。なにしろコンデジの代替なのですから高機能は必要ありません。撮像素子数もむやみに多い必要はないでしょう。画像ファイルがでかくなるばかりです。約2000万画素は余裕があって良いのですが過剰なくらいです。Blog写真にはXZ-1の1000万画素でも十分すぎるくらいだったのですから。
参考:現在このBlogでご覧の写真はQXGAの約300万画素に縮小しています。なお、PC用は72dpiですが雑誌など印刷物への入稿には300dpiで行ないます。高画素数が生きてきます。
NikonやCanonも好きですがお高いので手が出にくい感じでした。比較的安くて良さそうなOM System /旧・Olympusを選びました。おなじミラーレスでもコンパクトで扱いやすいのと、XZ-1のユーザ・インターフェースと類似性が感じられたからです。
本体価格は約¥100k-くらいです。予算オーバーですしホントは本体+AFマクロレンズが欲しかったのです。しかし本体だけの入手は難しくてズームレンズ付きのセット物じゃないと納期は未定になるとのことでした。
近所のカメラ屋でも聞いたら中古は少しも安くないからお薦めじゃないないんだとか。半導体不足とか円安の関係でカメラは入荷が滞っているので・・・だから中古も高い。 品薄にするのは何だかメーカーの戦略のようにも感じますが・・・。物価高騰で景気も減速気味のおり、こうしたカメラって高額商品ですからあんまり売れてないんでしょうね。(ほとんどの人にとってはスマホ・カメラで十分ですもの・笑)
抱き合わせ販売の感があってレンズ付きのセットはイマイチだったのですが¥30k-程度の違いなので買って試してみることにしました。付属品は安っぽいズーム・レンズですが使えない訳でもないでしょう。
セットのズームレンズは焦点距離:14〜42mm:f3.5〜5.6の広角系と同:40mm〜150mm:f4.0〜5.6の望遠系と言う2本だてでちょっと暗いものです。 なお、フォー・サーズシステムのカメラですから35mmに換算すると焦点距離は2倍に相当します。 35mmフィルム・カメラの換算で言えば28〜300mmをカバーするわけで、広角から望遠までカメラを始めた初心者が十分楽しめるレンズがセットになってます。
昔はレンズの明るさには大いに拘ったものでした。フィルム感度もASA=100か200が普通でした。 しかしデジカメ時代になりISO/ASA感度は随時切り替えできるようになりました。フィルムではできなかった芸当です。 それで少々暗いレンズのためシャッターが遅くなってしまい、手ブレが心配そうなら感度アップでカバーできる訳です。(Autoにしておけば自動的にそうなります)
むやみに感度アップしたら小さな入力信号をイッパイ増幅する訳ですからS/Nは悪くなります。このあたりは受信機と同じでしょう。 しかし最近の撮像素子はずいぶん進歩していてISO=800くらいならまったくノイジーにはなりません。ISO=100とか200から2絞り分くらいは楽々稼げるので暗いレンズでも何とかなるのでしょうね。
【夏空】
表に出てちょっとスナップしてきました。
広角側のズームを付け、望遠端の方(42mm)で撮影しています。 手前の雲の湧き上がってくる様子がいい感じに撮れていると思います。 まあ、こんなのは当たり前でしょうね。
2つ付いてきたズームですが、こちらの広角ズーム:14〜42mmが本命でしょう。35mm換算で標準域にあたる50mm(=25mm)を含むので普段使いになる訳です。レンズの前玉は小さくてちょっと心もとないですが、撮像素子が小さいのですから十分なサイズなんでしょう。
パンケーキ・ズームと称していて非撮影時の縮んだ状態だととても薄くて出っ張りません。付けたままでもコンデジ並みの携行性だと感じました。 近接撮影も悪くないので、このレンズだけでもセット物を買った価値はありそうです。もちろんAFレンズですしね。w
望遠側のズーム:40mm〜150mmの実写は省きましたが、こちらの画質も悪くありません。驚くほどの軽量なので持ち歩くには最適です。昔のズームレンズに比べたら、心配なくらい軽くて安っぽいんですがレンズとしての描写は問題ないです。普段使いには十分だと感じます。
ともかく、コンデジからミラーレスにやむなく乗り換えたような私には十分すぎるでしょう。 ズームレンズ2つで追加の¥30k-は悪くない投資でしたね。かなり使えそうなズームでした。 あとは手に馴染むまでじゃんじゃん撮りましょう。
カメラ故障の突然のトラブルはこれで一件落着。 お疲れさまでした。(笑)
☆ ☆
【OM-m4/3アダプタでMacro 50mm f3.5】
以下は、ミラーレス・カメラに移行したお話の長いオマケです。
昔々の話ですが、ちょっとカメラやレンズの沼にハマったことがあるのです。 メインの趣味は無線でしたので、それほど本格的にハマった訳ではありませんでしたが、カメラ本体と一通りのレンズを持っていました。
単焦点のレンズの方が明るくて良いのですが基本的にズームで揃えました。デジカメ以前の時代なので当然ですが35mmのフィルムカメラ(Olympus OM-4)でした。 交換レンズは焦点距離で21mm〜300mmまでのズーム数本と、600mmの超望遠ミラーレンズを持っていたのです。 それで何を撮影したのかと言うとお恥ずかしいのですが・・・。 すっかり忘れていますが、なるべく明るいズームを揃えたと思うので費用はかかったと思います。w
写真趣味の醍醐味を感じるにはたくさん撮影してみることが重要です。しかしフィルム・カメラの時代ですから「じゃんじゃん撮影する」には費用がたまりません。 それに撮ってその場ですぐ見られる今とはわけが違います。 写真の作法を十分学ぶには膨大な時間とたくさんの勉強代が必要だったのです。 ですから初心者レベルの写真からあんまり進歩がなかったのは仕方がなかったと思っています。
◎ お金の掛かる趣味をいくつも抱えられませんからねえ。(爆)
☆
ミラーレスを買って調べていたら「オールドレンズ 」がブームになっているとのことです。興味津々でしたが調べた結果を言うとフィルム・カメラ時代の古いレンズを使って「近代的デジカメ」で写真撮影を楽しむと言うのです。おもに絞り解放における古レンズの「クセの強い描写」を楽しむようです。
当然ですがオートフォーカスは働きません。 マニュアルでピント合わせをする昔のスタイルに逆戻りな訳です。 たいていカメラ側から絞りの操作もできないので、絞り優先のマニュアルモードで撮影になる訳です。シャッター押すだけとは行きませんから、もはやズブの素人向きじゃありませんね。
ただし、昔と大きく違うのは撮ってすぐその場で見られることです。それにいくら撮影しても基本的に費用はかかりません。フラッシュメモリは消去して使えばまあ普通には際限なく撮れます。失敗を恐れずジャンジャン撮れるので写真を学ぶにはとっても良い時代です。 下手な写真も数をこなせば偶然イイのが撮れる可能性もありますから。w
私の場合はオールドレンズを楽しむと言うよりも、沼に沈んでいた過去を拾い上げてもう一度試せたらというのがホンネでした。 長く放置していたのですっかり諦めていて沼底の時代遅れなガラクタはもう捨ててしまおうかと思っていたんです・・・
さっそくマウント変換アダプタというものを購入してみました。私の過去は古いOM-SYSTEMのレンズでしたのでOM→マイクロ・フォーサーズの変換アダプタを選びました。 この写真は50mm f3.5のZUIKO MACROを付けた様子です。言うまでもなく銀塩時代のレンズです。
初めはAFの35mmマクロレンズを買いたいと思っていたのですが、一般にマクロ領域ではAFでなくてもピント合わせは容易です。(AF、マニュアルのどっちでも難しいとも言えますが・笑) 古いマクロレンズで不満になったらAFマクロを買うことにして暫くコレを試してみることにしました。
なお、50mmマクロですから2倍の100mm相当の中望遠気味のレンズになります。また元々はハーフ・マクロでしたが、1:1の等倍マクロになります。撮像面から測った最小接写距離は23cmで変わりません。従ってある程度のワーキング・ディスタンスが取れるので扱い易いです。 f3.5というやや暗いレンズですが、ISO感度をアップして撮れますからあまり気になりませんでした。このレンズの場合はISO=400 or 800で使います。
【ラベンダー】
庭のラベンダーに寄れるだけ寄って撮影しました。
なんだかわからない写真かもしれませんが説明用なのでご勘弁を。ラベンダーは蕾の状態です。 表面はビロードのような紫の産毛に覆われていますね。
撮像素子面から23cmの距離から絞り5.6で撮りました。絞り優先で露出補正-0.3EV、シャッタースピードは1/500秒です。 本格的なマクロ・レンズで近接撮影ですから背景はすごくボケます。被写体が浮かびあがったような写真が撮れました。 このような背景ボケの写真は好みの分かれるところですが、ボケたらイイ写真なんだって言うマニアもおられるみたいです。w
このZUIKO MACRO 50mm f3.5は往年の銘レンズ なので写真の投稿サイト:Flickrには愛好者のグループがあります。 マクロレンズとあって皆さんの撮影対象はお花や昆虫のアップがほとんどなのですが、ポートレートや風景撮影に使って楽しむお方もあるようでした。
流石にちゃんとしたマクロ・レンズなので描写は正確でシャープですから、私が電子部品や機器の撮影に使う目的には良くマッチしていると思います。 もちろんコンデジやスマホでのマクロ撮影とは一味違うように感じますね。hi
【500円玉】
被写界深度の説明用写真です。
少々すり減った「くたびれた五百円玉」を斜め手前から撮影しています。 写真をクリックして拡大すると、ピント面は中央部分の左右帯状にあるのがわかるでしょう。
真正面から撮影すれば全面にピントを合わせることも可能ですが、斜め前からでは一部にだけピントが合います。 ピント面は手前側が浅く奥が深くなりますが、このようなマクロ撮影ではピントの合っている範囲は非常に狭くなります。
回折が気にならない範囲で「絞り」をなるべく絞ってやれば被写界深度はもう少し深くなりますが、マクロではそれも限界があります。 それに絞ればそれだけ暗くなるので手持ち撮影は手ブレが心配になってきます。
被写体にできるだけ正対するか、それが無理ならチルト・レンズといった特殊なマクロレンズを使う必要があるでしょう。(欲しいレンズなんですけどね・笑)←危ない危ない、また沼にハマっちゃうョ。
【Σ Mirror 600mm f8.0 超望遠】
マウント変換アダプタのお陰で沼の底の超望遠が試せます。
この望遠レンズは反射望遠鏡の原理を使ったもので、ちょっと古いモデルでしたが中古品があったので手を出した記憶があります。
ただし、レンズ黴(カビ)がだんだん拡大してしまい、メーカーに清掃を依頼しました。 清掃から帰ってきた頃にはカメラそのものにさえ興味を失っていて、その後は仕舞い込んだままになっていたのです。
焦点距離:600mm f8.0のときでさえ撮影は難しかったと思います。 フォーサーズに付けたら換算で倍の1,200mmという超望遠レンズですから難しさは一段と増していますね。
難しいと感じたのは2つのポイントです。 一つは安定に撮影することの難しさです。手持ちでブレずに撮影するのは不可能に近いでしょう。f8.0固定ですから早いシャッターが切れません。少なくとも1/500あるいは1/1000秒で切りたいところ。 ブレないよう、また風などで揺るがないよう安定したシャッターを切るのは容易ではなかったと思います。もちろん頑丈な三脚は必需品です。逆光気味ならフードの装着も不可欠です。シャッターはレリーズで切ります。(このカメラではスマホのアプリを使ってワイヤレスでシャッターを切る)
難しさのもう一つは、フラットな描写になってしまうことです。 これは望遠レンズ全般に言えますが、遠くのものを引っ張って撮影した写真はコントラストに乏しくメリハリのないフラットな写真になりやすいのです。 よほどの晴天で空気がクリヤーな屋外で、できるだけコントラストが得られやすい被写体を選ばないと良い写真はまず撮れません。 なかなか難しいと感じたものです。 遠方の被写体を狙うというよりも、背景に生じる「リングぼけ」を生かしたアートな作品を目指すべきなのでしょう。
(説明:リングぼけの例。どこにもピントの合っていない写真は単なるピンボケ写真ですが「リングぼけ」を説明する作例です。駐車しているクルマをピントを外して撮影しています。メッキ部分の光輝点がリング状にボケて写ります)
デジタル時代になったので沼から拾った難物のレンズに再挑戦できそうです。 ミラーレンズの絞りは固定で変えられないことから扱いにくかったのですが、いまはシャッタースピードに加えてISO感度の方でも露出を加減できるため、昔よりも格段に扱い易くなっています。 デジタル時代の恩恵ですね。
余談:上の方で写真の目的は「真実を伝える手段」みたいに書きました。しかし現実はちょっと違います。 写真のマジックとかトリックもある訳です。 広角が広い範囲を撮るレンズで望遠が遠方を見るためのレンズだと思うのは素人でしょう。 詳しく書いたらキリがありませんが、レンズの使い方一つにしても写真表現はすごく変わるのでなかなか奥深いです。(面白いです) 技術や技巧が要るので難しいものですね。 最低限の基本はわかって撮りたいと思っていますが・・・。
【KONICA HEXANON 35mm f2.8】
もしこのレンズが焦点距離:35mmでなかったら試すことはなかったでしょう。戦前からの老舗、コニカ(小西六写真工業)のHEXANON 35mm f2.8です。
なんでこんなレンズがあるのか良くわかっていません。コニカのカメラを所有したことはないので単なる凸レンズ代わりに中古品(ジャンク)を買ったのかも?? 500円くらい??
焦点距離:50mmレンズなら上のMACROだけでなくG.ZUIKO f1.4と言った明るい標準50mmもあります。35mmなので試してみたくなったのです。点検したらレンズはまあまあ綺麗でした。60年くらい前の古いレンズでしょうか。
ネットの情報によれば、このレンズはおフランスのアンジェニューとか言うレンズメーカの形式を模した古い設計の広角レンズだそうです。 「プリセット絞り」という古いけど面白い機能も付いていて、これがいま時のミラーレス・カメラにとってもマッチしていると感じました。
コニカARマウントをマイクロ・フォーサーズへ変換するマウント変換アダプタが手に入ったので試すことができました。当然ですが本来は広角レンズだったのに70mm相当のレンズになってしまいます。 まあ、これは仕方がないでしょうね。
レンズの中心部を使うことになるため、オールドレンズらしさはあまり感じられませんでした。 歪みや収差はほとんど現れないのです。ごくフツーに良く撮れるレンズです。 描写は正確で発色も良くて普段使いも可能でしょう。 もちろんマニュアルフォーカスですけれども。 マクロレンズほどの正確な描写にはなりませんが被写体に30cmまで寄れます。 画角の点でメリットがあるかも知れません。時々は装着して活用しましょう。 レトロ・フォーカスというレンズの形式から、前玉がとても大きくて立派に見えます。
◎ デジタル・カメラが進歩したお陰で古いレンズを手軽に試して遊ぶことができます。 これはHAMの通信のFT-8なんかもそうですが「デジモノ」の進歩で色々な遊びの幅が広がったのはVY-FBです。長生きはするものですね。 新しい物を採り入れる柔軟さも持ちあわせたいものです。
☆ ☆ ☆
Epilogue
愛用のコンデジが故障したことで急な出費にもなってちょっと痛手だったのですが、実はそろそろカメラを入れ替える時期に来ていたのかも知れないと思いました。
今でもそうですが、デジタル一眼レフはその必要性をあまり感じなかったのでコンデジで間に合わせて来たわけです。性能は良いとしても価格は高価すぎました。
ミラーレス・カメラも高価ではありますが、その中で安価な実用モデルであっても相当十分な機能や性能が実現されていることがわかりました。 使ってみてもっと早く入れ替えても良かったと感じましたし、昨今のデジタル機器の進歩のお陰で「安くても美味しいもの」が手に入るようになったと言えるのかもしれません。カメラの入れ替えには良い潮時だったんでしょう。
そして沼の底から過去の遺物を拾い出して遊ぶことができたのは面白かったです。ちょっと予算オーバーでしたけれど再び沼に落ちるほどの出費にはなっておりませぬ。 とっくの昔にマニアは返上している私です。(笑)
真空管のハナシはどこかへ行ってしまいました。 そろそろ飽きて来たのと日常の出来事を書くのがBlogとも言えるので近ごろ発生したカメラが壊れた事件をお題に致しました。Blogの楽屋裏の話でしたね。 さて、次回は・・・ de JA9TTT/1
(おわり)fm
【観月亭と中秋の月】
昨晩、お月見をしてきました。
近江・石山寺・・紫式部ゆかりの寺・・にて「観月亭」と輝く中秋の名月です。
スマホ(iPhone 14)の手持ちで、ここまで誰でも簡単に撮れます。 コンデジや下手なデジカメの出る幕はなくなりつつあるようです。
より芸術性のある写真を撮らなければ高度なカメラも持ち腐れかも知れませんね。
おしまい。(追加:2024.09.18)
2024年9月3日火曜日
【電子管】Using the Pentode as the Audio Amp. (4)
【五極管の低周波アンプ・その4】
INTRODUCTION
The 6R-R8 pentode tube is a Japanese-designed vacuum tube that was employed in NTT's telephone relay network. It is believed that the prototype was the Philips E180F pentode. This blog presents a comparison of the two pentodes as audio-frequency amplifiers. It can be concluded that the two tubes have very similar characteristics. Therefore, they can be used in the same way. However, the pin connections are completely different and cannot be swapped. I am going to use the E180F, which I have in abundance, to build an audio amplifier. The 6R-R8 is also excellent, but I am going to use the E180F. (2024.09.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【6R-R8届く】
五極管でオーディオ・アンプの第2回で「国産の6R-R8を試したい」って書きました。
良く探したら怪しげな中古球・・・もっともこの球の新品は入手難だったはず・・・を1本だけ持っていたのですが、評価には不十分でした。それで「どなたか・・・」って書いたところさっそくOMさんに送って頂くことができました。 VY-TNX!!
6R-R8はHigh-gmな五極管で、時々ジャンクで見かけたのですが如何せん使用例のまったく乏しい球でした。 正規品は特定ユーザ向けで高価だったらしくアマチュアの手に入るのは基本的にジャンク球です。入手性は悪く雑誌などの記事にしにくかったのかも知れません。それに似たような目的・用途に使える球なら幾らでもあるわけですから・・・。 真空管の型番ですが、JIS形式ですから6R-R8とRとRの間にーハイフンが入るのが正しいです。
情報のない部品は使われないと言うセオリー通り使う人は珍しかったのです。 そんな訳でたとえ見かけたとしても積極的に手を出そうとしたことはありませんでした。手元に一本だけ見つかったのもおそらくたまたま何かの偶然で手に入ったのでしょう。(笑)
情報によれば6R-R8はWestern Electric WE-404Aの同等管のようです。またE180F/6688と電気的な特性は同等とのこと。 どちらが原型の球なのかはわかりませんがいずれも広帯域増幅器を構成するための高性能管です。 6R-R8/WE-404Aは主としてNTTやAT&Tの電話回線網で同軸中継器に使われていました。ピン配置が特殊なのはその用途に特化した結果なのでしょう。
E180F/6688のピン配置はもう少し一般的な用途を意識しているように感じます。 フレーム・グリッド管は1950年代末にフィリップス社が始めたようなのでE180Fが原型管のようにも思うのですが・・・ 足ピンの違いから6R-R8とE180Fの差し替え評価はできませんが比較してその性能と類似性を確かめてみたいと思います。
☆
レアで特殊な真空管どうしを比較すると言う話です。そのモノを持っていなければこの先を見たからといって何にも役立たないでしょう。 早々のお帰りがお薦めです。 残暑はまだまだ厳しいですが何か有意義なご趣味にでもあなたの大切なお時間をお使いください。 なかば習慣なのかもしれませんが、こんなBlogを眺めていてもしょうもないですよ。(爆)
【6R-R8とE180F/6688のテスト回路】
レアものの真空管とは言っても「ごく普通の真空管」に違いありません。フレーム・グリッド構造でHigh-gmと言う特徴はありますが、それは民生用の球でも使われていた技術です。 従って評価回路も前2回のBlogと違いません。
ちょっと前にテストしたE180F/6688と同じようにバッファ・アンプには6AU6(三結)を使っています。
評価の基本は前回(←リンク)と同じですが、今回はプレートの負荷抵抗:Rpを変えて幾つかテストしています。 前回E180Fをテストしたときゲインが予想よりかなり小さいのはプレート電流:Ipが少なすぎてトランス・コンダクタンス:gmが伸びていないのではないかと考えられました。 そこで今回は4倍くらいIpを流した状態のテストを加えました。
回路は同じですがプレート負荷抵抗:Rp、スクリーングリッド抵抗:Rc2、そしてセルフバイアス用抵抗:Rkを変えながらテストします。 結果は後ほど一覧にまとめてあります。 どのようなRp、Rc2、Rkを使ったのかはそれぞれ一覧表に記入してあります。
【バッファはいつもの6AU6で】
6AU6を三極管接続(三結)で使う方法はすでに定番化しました。(笑)
6R-R8はヒータ電圧が6.3V、電流は300mAです。これは6AU6と同じなので直列にして12.6Vを加え点灯しています。 E180F/6688も同じですので同様にしています。
なお、6R-R8のピン配置は独特です。 間違っていると正常に動作しませんから手持ち複数の資料からピン配置図を探し出し、資料を相互に比較のうえ間違いはないか十分に確認しておきました。もちろん現品を良く観察するのも確認の念押しになります。
特にヒータが3番と9番と言うのは異常にさえ感じますが恐らく使用していた機器の部品配置や配線構造に合わせて真空管のピン配置の方を最適化した結果なのでしょう。 汎用品ではなくまったくの「専用管」ですからそう言った特化が可能だったのです。
差し替えてテストができないのは大きな欠点ですが、まあ仕方がありませんね。 本来用途以外に使う方がイレギュラーな訳なので文句は言えません。 やむなく大幅な配線替えを行なってテストしました。(笑)
【実測結果・一覧】
6R-R8とE180Fの類似性は十分確認できたと思います。 足ピンの接続はまるで違いますが電気的には良く似ていました。
完全に同じとは思えませんが良く似た特性です。 従って同じような使い方をすれば良い訳です。 そうなると残念なのはピン配置が全く違うことにあります。 差し替えて音を聞いて見ると言った比較にはまったく向きませんので・・・
プレート電流を4倍に増やした結果はどうだったでしょうか? プレート負荷抵抗を240kΩから約1/4の62kΩにしました。 もしトランス・コンダクタンスが一定ならゲインは約1/4(=25%くらい)になるはずです。 結果は約80%でした。・・・逆に言えば20%減で済んだ訳です。
これはプレート電流:Ipが約4倍になってトランス・コンダクタンス:gmがずっと大きくなったためです。 概略の計算ですがgmは約3倍になっています。 プレート負荷抵抗を高くしてゲインを稼ごうとしても、この球の場合は効果があまりないことがわかります。
負荷抵抗はあまり小さくせずプレート電流を多く流すようにし、さらに可能なら電源電圧もアップしてプレート電流をある程度以上確保すると言った用法が上手い活用法のようでした。 こうした使い方はプレート回路のインピーダンスを下げる効果もあって周波数特性を伸ばす意味からも好ましいものです。 真空管の特性にマッチしている訳です。 可聴域以上に伸ばしても意味はないのですが、負帰還(NFB)を掛ける際は位相の回りが少ない方が有利です。
今回のテストでは6R-R8とE180F/6688の比較とともにプレート電流を大きくする効果を確かめることができました。
【活躍した真空管】
テストに活躍した真空管です。
主役は6R-R8とE180F/6688ですが、脇役の6AU6も安定した性能で安心感がありました。
主役2つの構造の細部を拡大して見ると幾分違いはありますが、よく似ていると感じました。 まあ、同じような特性に作ったのでしょうから似ていて当然でしょうね。
6R-R8は初期バージョン(末尾が無印)を使った装置でトラブルがあったそうです。 特定の条件で稀にしか発生しないトラブルのため原因究明は難航したそうです。 その結果は真空管:6R-R8の問題であることがわかったそうです。6R-R8Cはその対策品です。
このテストのようなオーディオ帯での使用ならまったく違いはないでしょう。 ごく稀な事故の対策品なのですから、6R-R8も6R-R8Cも同等に使える筈です。
☆
【6R-R8で再生受信機】
そもそもこのBlogはラジオ(但し「ラジオ放送」や「ラジオ受信機」ではなくって無線通信の意味のRadioです・笑)がテーマでした。あなたがどちら派なのかわかりませんがラジオファンを邪険に扱うと後ろから何か飛んできそうです。ここらでちょいラジオねた。(笑)
6R-R8を使った再生式受信機がモービル・ハム誌にあったので回路を紹介しておきます。 アームストロング型でスクリーン・グリッドから再生を掛ける珍しい形式ですがそれほど難しい回路ではありません。回路図があればあとは一般的な注意を払えば大丈夫です。製作は十分可能でしょう。
なお回路図のL1〜L3とコイルの説明がずれています。回路図が正しいとして、L1が1回、L2が24回、L3が3回巻きでしょう。MH誌に多い校正モレですね。w 他はザッと見て大丈夫そうですが、この記事には肝心な6R-R8のピン接続図がありません。読者はよ〜くご存知なのか、或いは製作する読者なんていない・・・というのが前提なんでしょうかネ?(笑)
筆者はJA7RKB十文字OMです。 B+電源はトランスレス形式でシンプルに済ませています。 さらにヒータはDC点灯で初段の球(検波管のほう)を重視して後段の球のヒータ抵抗を平滑回路に兼用する上手い手が使われています。 6R-R8の低周波アンプはハイゲインですからトランス結合にすることなく十分な感度が得られるのではないでしょうか。低周波アンプ部の部品定数はごく標準的なものです。色々いじってみたければBlogのテスト結果から良さげな定数にしてみるのも面白いかも。 イヤフォンはセラミックあるいはクリスタル型をお使ください。
6R-R8だけでなく、これまで紹介してきたどの五極管でも200倍程度のゲインは楽々得らます。 短波ラジオですから6BA6のようなバリミュー管を使うのも良いでしょう。6BX6とか6CB6のようなTV球も十分イケます。検波管にはむしろ6AU6や6AK5が向いていたようにも思います。 6R-R8なんて持ってなくても作れるので、ちょっと気になった「ラジオファン」はお試しを。 AM/CW/SSBの受信が楽しめるとのこと。詳細な記事はいらないと思いますが、もし必要ならモービル・ハム誌1991年1月号をご覧になってください。
(このBlog内の参考リンク;再生式受信機の研究→ここ)
☆
JA3のOMさんのおかげで懸案だった真空管の比較テストができました。どうもありがとうございました。 なお、6R-R8はピン配置が特殊で少々使いにくい球ですが上手な使用法がわかればジャンク球から蘇るかもしれません。 20世紀の産業遺産でもありますから捨てられしまうのではなくて電子部品として再活用の道が開かれたらFBだと思います。 もっとも価格急騰しても困りますけど。(まあ、ないでしょう・笑) 次回は再び双三極管にスポット・ライトを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)nm
INTRODUCTION
The 6R-R8 pentode tube is a Japanese-designed vacuum tube that was employed in NTT's telephone relay network. It is believed that the prototype was the Philips E180F pentode. This blog presents a comparison of the two pentodes as audio-frequency amplifiers. It can be concluded that the two tubes have very similar characteristics. Therefore, they can be used in the same way. However, the pin connections are completely different and cannot be swapped. I am going to use the E180F, which I have in abundance, to build an audio amplifier. The 6R-R8 is also excellent, but I am going to use the E180F. (2024.09.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【6R-R8届く】
五極管でオーディオ・アンプの第2回で「国産の6R-R8を試したい」って書きました。
良く探したら怪しげな中古球・・・もっともこの球の新品は入手難だったはず・・・を1本だけ持っていたのですが、評価には不十分でした。それで「どなたか・・・」って書いたところさっそくOMさんに送って頂くことができました。 VY-TNX!!
6R-R8はHigh-gmな五極管で、時々ジャンクで見かけたのですが如何せん使用例のまったく乏しい球でした。 正規品は特定ユーザ向けで高価だったらしくアマチュアの手に入るのは基本的にジャンク球です。入手性は悪く雑誌などの記事にしにくかったのかも知れません。それに似たような目的・用途に使える球なら幾らでもあるわけですから・・・。 真空管の型番ですが、JIS形式ですから6R-R8とRとRの間にーハイフンが入るのが正しいです。
情報のない部品は使われないと言うセオリー通り使う人は珍しかったのです。 そんな訳でたとえ見かけたとしても積極的に手を出そうとしたことはありませんでした。手元に一本だけ見つかったのもおそらくたまたま何かの偶然で手に入ったのでしょう。(笑)
情報によれば6R-R8はWestern Electric WE-404Aの同等管のようです。またE180F/6688と電気的な特性は同等とのこと。 どちらが原型の球なのかはわかりませんがいずれも広帯域増幅器を構成するための高性能管です。 6R-R8/WE-404Aは主としてNTTやAT&Tの電話回線網で同軸中継器に使われていました。ピン配置が特殊なのはその用途に特化した結果なのでしょう。
E180F/6688のピン配置はもう少し一般的な用途を意識しているように感じます。 フレーム・グリッド管は1950年代末にフィリップス社が始めたようなのでE180Fが原型管のようにも思うのですが・・・ 足ピンの違いから6R-R8とE180Fの差し替え評価はできませんが比較してその性能と類似性を確かめてみたいと思います。
☆
レアで特殊な真空管どうしを比較すると言う話です。そのモノを持っていなければこの先を見たからといって何にも役立たないでしょう。 早々のお帰りがお薦めです。 残暑はまだまだ厳しいですが何か有意義なご趣味にでもあなたの大切なお時間をお使いください。 なかば習慣なのかもしれませんが、こんなBlogを眺めていてもしょうもないですよ。(爆)
【6R-R8とE180F/6688のテスト回路】
レアものの真空管とは言っても「ごく普通の真空管」に違いありません。フレーム・グリッド構造でHigh-gmと言う特徴はありますが、それは民生用の球でも使われていた技術です。 従って評価回路も前2回のBlogと違いません。
ちょっと前にテストしたE180F/6688と同じようにバッファ・アンプには6AU6(三結)を使っています。
評価の基本は前回(←リンク)と同じですが、今回はプレートの負荷抵抗:Rpを変えて幾つかテストしています。 前回E180Fをテストしたときゲインが予想よりかなり小さいのはプレート電流:Ipが少なすぎてトランス・コンダクタンス:gmが伸びていないのではないかと考えられました。 そこで今回は4倍くらいIpを流した状態のテストを加えました。
回路は同じですがプレート負荷抵抗:Rp、スクリーングリッド抵抗:Rc2、そしてセルフバイアス用抵抗:Rkを変えながらテストします。 結果は後ほど一覧にまとめてあります。 どのようなRp、Rc2、Rkを使ったのかはそれぞれ一覧表に記入してあります。
【バッファはいつもの6AU6で】
6AU6を三極管接続(三結)で使う方法はすでに定番化しました。(笑)
6R-R8はヒータ電圧が6.3V、電流は300mAです。これは6AU6と同じなので直列にして12.6Vを加え点灯しています。 E180F/6688も同じですので同様にしています。
なお、6R-R8のピン配置は独特です。 間違っていると正常に動作しませんから手持ち複数の資料からピン配置図を探し出し、資料を相互に比較のうえ間違いはないか十分に確認しておきました。もちろん現品を良く観察するのも確認の念押しになります。
特にヒータが3番と9番と言うのは異常にさえ感じますが恐らく使用していた機器の部品配置や配線構造に合わせて真空管のピン配置の方を最適化した結果なのでしょう。 汎用品ではなくまったくの「専用管」ですからそう言った特化が可能だったのです。
差し替えてテストができないのは大きな欠点ですが、まあ仕方がありませんね。 本来用途以外に使う方がイレギュラーな訳なので文句は言えません。 やむなく大幅な配線替えを行なってテストしました。(笑)
【実測結果・一覧】
6R-R8とE180Fの類似性は十分確認できたと思います。 足ピンの接続はまるで違いますが電気的には良く似ていました。
完全に同じとは思えませんが良く似た特性です。 従って同じような使い方をすれば良い訳です。 そうなると残念なのはピン配置が全く違うことにあります。 差し替えて音を聞いて見ると言った比較にはまったく向きませんので・・・
プレート電流を4倍に増やした結果はどうだったでしょうか? プレート負荷抵抗を240kΩから約1/4の62kΩにしました。 もしトランス・コンダクタンスが一定ならゲインは約1/4(=25%くらい)になるはずです。 結果は約80%でした。・・・逆に言えば20%減で済んだ訳です。
これはプレート電流:Ipが約4倍になってトランス・コンダクタンス:gmがずっと大きくなったためです。 概略の計算ですがgmは約3倍になっています。 プレート負荷抵抗を高くしてゲインを稼ごうとしても、この球の場合は効果があまりないことがわかります。
負荷抵抗はあまり小さくせずプレート電流を多く流すようにし、さらに可能なら電源電圧もアップしてプレート電流をある程度以上確保すると言った用法が上手い活用法のようでした。 こうした使い方はプレート回路のインピーダンスを下げる効果もあって周波数特性を伸ばす意味からも好ましいものです。 真空管の特性にマッチしている訳です。 可聴域以上に伸ばしても意味はないのですが、負帰還(NFB)を掛ける際は位相の回りが少ない方が有利です。
今回のテストでは6R-R8とE180F/6688の比較とともにプレート電流を大きくする効果を確かめることができました。
【活躍した真空管】
テストに活躍した真空管です。
主役は6R-R8とE180F/6688ですが、脇役の6AU6も安定した性能で安心感がありました。
主役2つの構造の細部を拡大して見ると幾分違いはありますが、よく似ていると感じました。 まあ、同じような特性に作ったのでしょうから似ていて当然でしょうね。
6R-R8は初期バージョン(末尾が無印)を使った装置でトラブルがあったそうです。 特定の条件で稀にしか発生しないトラブルのため原因究明は難航したそうです。 その結果は真空管:6R-R8の問題であることがわかったそうです。6R-R8Cはその対策品です。
このテストのようなオーディオ帯での使用ならまったく違いはないでしょう。 ごく稀な事故の対策品なのですから、6R-R8も6R-R8Cも同等に使える筈です。
☆
【6R-R8で再生受信機】
そもそもこのBlogはラジオ(但し「ラジオ放送」や「ラジオ受信機」ではなくって無線通信の意味のRadioです・笑)がテーマでした。あなたがどちら派なのかわかりませんがラジオファンを邪険に扱うと後ろから何か飛んできそうです。ここらでちょいラジオねた。(笑)
6R-R8を使った再生式受信機がモービル・ハム誌にあったので回路を紹介しておきます。 アームストロング型でスクリーン・グリッドから再生を掛ける珍しい形式ですがそれほど難しい回路ではありません。回路図があればあとは一般的な注意を払えば大丈夫です。製作は十分可能でしょう。
なお回路図のL1〜L3とコイルの説明がずれています。回路図が正しいとして、L1が1回、L2が24回、L3が3回巻きでしょう。MH誌に多い校正モレですね。w 他はザッと見て大丈夫そうですが、この記事には肝心な6R-R8のピン接続図がありません。読者はよ〜くご存知なのか、或いは製作する読者なんていない・・・というのが前提なんでしょうかネ?(笑)
筆者はJA7RKB十文字OMです。 B+電源はトランスレス形式でシンプルに済ませています。 さらにヒータはDC点灯で初段の球(検波管のほう)を重視して後段の球のヒータ抵抗を平滑回路に兼用する上手い手が使われています。 6R-R8の低周波アンプはハイゲインですからトランス結合にすることなく十分な感度が得られるのではないでしょうか。低周波アンプ部の部品定数はごく標準的なものです。色々いじってみたければBlogのテスト結果から良さげな定数にしてみるのも面白いかも。 イヤフォンはセラミックあるいはクリスタル型をお使ください。
6R-R8だけでなく、これまで紹介してきたどの五極管でも200倍程度のゲインは楽々得らます。 短波ラジオですから6BA6のようなバリミュー管を使うのも良いでしょう。6BX6とか6CB6のようなTV球も十分イケます。検波管にはむしろ6AU6や6AK5が向いていたようにも思います。 6R-R8なんて持ってなくても作れるので、ちょっと気になった「ラジオファン」はお試しを。 AM/CW/SSBの受信が楽しめるとのこと。詳細な記事はいらないと思いますが、もし必要ならモービル・ハム誌1991年1月号をご覧になってください。
(このBlog内の参考リンク;再生式受信機の研究→ここ)
☆
JA3のOMさんのおかげで懸案だった真空管の比較テストができました。どうもありがとうございました。 なお、6R-R8はピン配置が特殊で少々使いにくい球ですが上手な使用法がわかればジャンク球から蘇るかもしれません。 20世紀の産業遺産でもありますから捨てられしまうのではなくて電子部品として再活用の道が開かれたらFBだと思います。 もっとも価格急騰しても困りますけど。(まあ、ないでしょう・笑) 次回は再び双三極管にスポット・ライトを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)nm
2024年8月20日火曜日
【電子管】Using the Twin-Triode as the SRPP Audio Amp.
【SRPP回路を使ったオーディオアンプ】
introduction
I had never built an SRPP circuit with twin triodes before. So I gave it a quick try. I selected three types of twin triodes. It depends on the value of the gain constant μ and the transconductance gm. The measurement results of my prototype SRPP amplifier are listed in the table. The results show that most twin triodes can be used for the purpose of this SRPP amplifier. I have experimented with them and found their characteristics to be good. (2024.08.20 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【双三極管:6CG7】
三極管が2ユニット封入された・・・いわゆる双三極管でSRPP型のオーディオ・アンプ回路を試作します。
写真は6CG7という真空管です。同じ特性の三極管二つが一個のガラス容器に封入・複合された真空管で一般に双三極管と言います。三極管二つの複合管には異なった特性のユニット2つを複合したものがあってそれらは複三極管と言います。わかりきったこと書くなって言われそうですけど真空管に馴染みの薄いお方もご覧ですので・・・。
双三極管のルーツはGT管時代の6SN7あたりでしょう。メタル管の時代になって脚が8ピンのUSベース(オクタル・ベース)に統一されたのが切っ掛けでしょうね。ガラス封じのGT管はそのローコスト版です。8脚あれば三極管二つで6脚、ヒータの2脚でちょうど8脚になります。全く独立した三極管を2つ同じ真空容器に封入できることになります。作られた理由はやはり省スペースにあるでしょう。
世の中には三極管を2つ以上使う回路はたくさんありますから省スペースには有難いことで、6SN7以外の双三極管も作られました。 その背景には真空管(電子管)がラジオ以外の分野に進出したこともあるでしょう。(UZ-30MCと言ったUZベース六脚で直熱型の双三極管もあったのですが軍用品で一般人は知らない特殊な球でした)
mt管(ミニチュア管)の時代になって、初めはすべて7ピン管でした。そのためカソードがある傍熱管の場合、どこかの電極を共有しない限り双三極管は作れません。戦前からあった6J6がそうした7ピンmt管の双三極管でした。2つの三極管のカソードを共通のピンにすることで7脚に2つの三極管を収めたわけです。 カソードを直接接地して使うなら支障はないものの、やはり完全に独立していないのは使い勝手の点ではイマイチなように思います。
足ピンを2本増やした9ピンmtのNoval管が作られ、傍熱型の双三極管がマトモな形で作れるようになります。しかもオクタルより1ピン多いので、その使い方でバラエティが生まれました。 写真の6CG7のように余った1ピンを2つのユニット間のシールド(遮蔽)に割り当てる球ができました。これは高周波や信号レベルが極端に違う用途に使うとき問題だったユニット間の干渉を防ぐためです。 もっぱら低周波やON/OFFと言った直流的な動作の場合、シールドはなくてもマズマズ使えるので、余った1ピンをヒータの中点から引き出す球が作られます。 12AT7、12AU7、12AX7などが典型例です。6.3Vだけでなく12.6Vでも点灯できるのは便利でした。
高周波系の双三極管ではシールドとして、低周波系の双三極管ではヒータの中点としたものが一般的になりました。双三極管を使う際は余ったピンの扱いに注意すべきでしょう。なお、ピン接続は1番から9番へ順に、P-G-K-H-H-P-G-K-HCTが一般的です。前の方のP-G-Kが第2ユニット、ヒータの後のP-G-Kが第1ユニットです。HCTはヒータの中点です。ただし稀に全く異なる物があるので要注意です。ヒータ中点を9番ピンに引き出さない球の場合、9番ピンは内部遮蔽:インターナル・シールド(IS)あるいは無接続:ノー・コネクション(NC)もありますのでどちらの場合も一応GND電位にしておけば良いでしょう。
☆
今回もラジオ趣味の人にはテンデ面白くないでしょうね。まあ、我慢してご覧いただく意味はありませんからヒマのない人はこの先はやめておくと宜しいです。以下、そんな程度の中身です。
参考:Elevamの真空管について:
エレバムは宮田製作所という真空管メーカのブランド名でした。ロシア革命の年、1917年に創業の老舗で東芝・マツダと違わぬ古い球メーカでした。自社ではラジオなどはほとんど作らず、もっぱら球を他社に供給するのが商売だったようです。交換用の需要も多かったのでしょう。マイナーと言うには有名すぎる球メーカだったと思います。雑誌の広告欄には各種真空管の価格表があったのですが一流品のマツダと比べて安価でした。なお、宮田製作所は現在する会社で特殊な放電管など理化学機器向けの電子管を製作しているようです。Elevamの球は古いラジオの補修用に使われて残っていることも多く珍しくもないのですが箱入り新品のmt管はちょっと珍しいかもしれません。同社の球は良くも悪くもない程度のごく平凡なものだったように思います。要するにフツーに使えます。w
【SRPPアンプ・テスト回路】
図は今回のテスト回路です。典型的なSRPP型アンプになっています。
三極管を2つ分使うオーソドックスな2段増幅アンプを真っ先にやるべきだったのですが、興味の赴くままにSRPPアンプを作りました。
カソード接地型の増幅器をR-C結合で2段繋ぐアンプはあまりにオーソドックスなのでちょっと興味が湧かなかったのです。まあ、そっちはいつテストしてもいいや・・・と言った感じです。 球メーカー発表のR-C結合アンプの資料も多数存在するので後回しにしました。
SRPPというのは、シャント・レギュレーテッド・プッシュ・プルの略です。上側の三極管がシャントレギュレータのような動作をするのでそう呼ばれるのでしょう。よく似た形のアンプにはミュー(μ)アンプというのがあります。そちらは単なる定電流源負荷のアンプで、出力の引き出し方が異なるので簡単に区別できます。
このアンプは双三極管を使うと便利な回路です。ある程度のゲインをもたせつつ、出力インピーダンスも低くできるのがメリットです。測定結果はのちほど纏めますが、カソードフォロワと違ってゲインがあるのがメリットです。もっとも三極管を二つ使うのですから・・・
カソード抵抗、Rk1とRK2は目的によって変更すべきです。この実験のように一定値(1kΩ)では、球によっては必ずしも最適ではない可能性があります。さらに同じ球を使う場合でも、想定される負荷インピーダンスが違えば設計は変わります。 しかし、ある程度おおきなインピーダンスの負荷なら最適設計でなくとも支障はないようでした。 電源利用率もまずまずで、十分大きな出力が得られるので単純な抵抗結合のアンプより有利です。 パワー管のドライブアンプにも適している筈です。実際そうしたアンプの製作例もかなり見掛けます。
なお、球のヒータとカソード間の耐電圧:HK耐圧に気をつける必要がある回路です。まったく無視しているかのような回路も見かけるのですが・・・。危ないでしょう。
【SRPPをテストした真空管】
写真にSRPPアンプをテストした真空管を示します。
選択の基準は増幅定数:ミュー(μ)の大きさの違いです。トランスコンダクタンス:gmも考慮しています。
測定の基本として中ミューの6AQ8、同じく中ミューですがHigh-gmな6DJ8、そして低ミューの6FQ7を選びました。
なお、実際には9AQ8、7DJ8、そして8FQ7/12FQ7と言ったTV用トランスレス管を使っています。もちろんトランス付き回路用の球でもOKです。
6AQ8は12AT7でも良かったのですが、ほぼ同等なので間に合わせました。また6DJ8はオーディオで使われる例が多くなっているので試してみます。6FQ7は6CG7と同特性の球でユニット間のシールドを省いた廉価版の球です。 GT管の6SN7と全くの同特性ということになります。低ミュー管の代表でしょうね。この目的には12AU7でも良かった筈です。(参考:低ミューの定義はμ≦10を言う場合もあります)
なるべく新品でテストしていますが、良さそうな中古品も使いました。チューブチェッカの判定では新品に近いので支障は感じませんでした。ただしそれぞれバラツキはあります。
厳密には多数測定して統計的処理を行なった方が良いのですが、そこまでするのは大変なのでやめました。単なる遊びですからネ。単体測定ですが傾向を見る程度でしたら役立つでしょう。
今回はポピュラーな12BH7Aと12AX7のテストが抜けてしまいました。こちらは機会をあたらめて行ないたいと思っています。結果はだいたい予想できると思いますが・・・。
【SRPPアンプの測定結果】
各部の実測電圧や得られたゲインを一覧表に纏めました。 真空管選択と使い方の検討に役立てるつもりです。
出力電圧(rms)は、入力として1V(rms)を加えた場合の実測値です。従ってそのままゲイン(V/V)倍を表します。 負荷インピーダンスによってゲインが変わるのは内部インピーダンスが存在するためです。 ただし比較的低い値ですから、負荷が軽ければゲインもアップし出力はフルスイングすると思っても良いでしょう。 テスト回路のままでも50kΩ以上の負荷なら十分すぎる性能でした。 回路の趣旨にあった結果が得られていると思います。
真空管の選択について考えます。 いま、SRPPアンプを採用する目的が低い内部インピーダンスと大きめなゲインであるなら、増幅定数:μ(ミュー)が大きくトランス・コンダクタンス:gmの大きな球がこの回路には向いています。μの大きな球はゲインが大きく、gmが大きいと内部インピーダンスが小さくなります。
例えば、12AX7のようにμ=100と大きな球はゲインはありますが、gmはあまり大きくないので内部インピーダンスが大きいため負荷インピーダンスも高く選ぶ必要があります。 大きなゲインは要らないがドライブ能力を重視なら電流が流せてgmの大きい5687のような馬力のある球が良いことになります。(5687のピン接続は変則的なので注意!)
また、プレート電流もある程度流した方がドライブ能力がアップするのは当然です。どんな球を使うか・・・という球の選択も大切ですが、その球をどう活かして使うのか、使用方法も検討すべきです。使い方が悪ければ潜在的な能力はあっても発揮してくれません。
代表的な真空管3例のデータを示しますが、極端な違いはないのでSRPPは様々な球で構成できると思って良いようです。HAMの世界ではほとんど見ないので、使った経験はなかったのですがだいぶ感触がつかめたと思います。
蛇足ながらSRPPはパワー管で構成されることもあり、OTLアンプとして使われることがあります。ただし原理は同じでも電圧増幅器とパワー・アンプでは設計法がだいぶ異なります。
【SRPPアンプ実験の意味】
SRPP回路についてはオーディオ関係の書籍に詳しい解説があります。現在ではWeb上にもたくさんの解説記事を見かけました。
たいへん詳しくて理にかなったわかり易い解説も多くて、あらためて勉強させていただけました。
数式を駆使して解析した結果はまったくその通りなのですが、では実際に作ってみる価値はないのでしょうか? 私はそうは思いませんでした。
このグラフは12AT7の特性がプレート電流、プレート電圧でどのように変化するかを示しています。中ミュー三極管の典型例として示します。 見ていただくとわかるのですが、決まった「定数」のはずの増幅定数:ミューでさえ、プレート電流で変化します。もちろんトランス・コンダクタンス:gmも然りです。
真空管の3定数の2つが変わるのですから、もう一つのプレート抵抗:rpも変動します。 要するにどのような動作をさせるかにより現実の回路の様子は結構変わるのです。結果として内部インピーダンスもゲインも変化します。
各定数の変化を加味したシミュレーションでも行なえば、任意の動作点における諸特性を求めることも可能なはずです。 しかしこんなことは単純ですから実験して傾向を掴んでおけば十分役立ちます。それにいくらシミュレーションしたってアンプは鳴りませんし。
そして真空管自体もかなりバラつくのですからいくら精密にやったところで現実と完全に一致することはないのでしょう。 このあたりに「理解するため実地でテストする意義がある」ように感じるのです。それで傾向がつかめたら十分役立つわけです。球の選択とか、その球に電流をどう流すのか・・・とか、etc。 まあ、考え方ですけどね。(笑)
☆
オーソドックス過ぎると興味を持ちにくいものです。 今回は双三極管をカスケードに接続するSRPPアンプを試してみました。 部品定数を変えながらさらに追求すべきだったと思うのですが、まずは概要を掴めたら良いとして一旦おしまいにしました。 多少ゲインなど変わりますが、様々な球で構成できる便利な回路です。アレがないから作れないとか、きっとあっちの球が良いに違いない・・・などと迷うこともなく、大差ない結果がその辺にあるような球で十分得られそうですね。 わかってやればウワサや怪しげな記事に惑わされることもありません。(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクfm
introduction
I had never built an SRPP circuit with twin triodes before. So I gave it a quick try. I selected three types of twin triodes. It depends on the value of the gain constant μ and the transconductance gm. The measurement results of my prototype SRPP amplifier are listed in the table. The results show that most twin triodes can be used for the purpose of this SRPP amplifier. I have experimented with them and found their characteristics to be good. (2024.08.20 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【双三極管:6CG7】
三極管が2ユニット封入された・・・いわゆる双三極管でSRPP型のオーディオ・アンプ回路を試作します。
写真は6CG7という真空管です。同じ特性の三極管二つが一個のガラス容器に封入・複合された真空管で一般に双三極管と言います。三極管二つの複合管には異なった特性のユニット2つを複合したものがあってそれらは複三極管と言います。わかりきったこと書くなって言われそうですけど真空管に馴染みの薄いお方もご覧ですので・・・。
双三極管のルーツはGT管時代の6SN7あたりでしょう。メタル管の時代になって脚が8ピンのUSベース(オクタル・ベース)に統一されたのが切っ掛けでしょうね。ガラス封じのGT管はそのローコスト版です。8脚あれば三極管二つで6脚、ヒータの2脚でちょうど8脚になります。全く独立した三極管を2つ同じ真空容器に封入できることになります。作られた理由はやはり省スペースにあるでしょう。
世の中には三極管を2つ以上使う回路はたくさんありますから省スペースには有難いことで、6SN7以外の双三極管も作られました。 その背景には真空管(電子管)がラジオ以外の分野に進出したこともあるでしょう。(UZ-30MCと言ったUZベース六脚で直熱型の双三極管もあったのですが軍用品で一般人は知らない特殊な球でした)
mt管(ミニチュア管)の時代になって、初めはすべて7ピン管でした。そのためカソードがある傍熱管の場合、どこかの電極を共有しない限り双三極管は作れません。戦前からあった6J6がそうした7ピンmt管の双三極管でした。2つの三極管のカソードを共通のピンにすることで7脚に2つの三極管を収めたわけです。 カソードを直接接地して使うなら支障はないものの、やはり完全に独立していないのは使い勝手の点ではイマイチなように思います。
足ピンを2本増やした9ピンmtのNoval管が作られ、傍熱型の双三極管がマトモな形で作れるようになります。しかもオクタルより1ピン多いので、その使い方でバラエティが生まれました。 写真の6CG7のように余った1ピンを2つのユニット間のシールド(遮蔽)に割り当てる球ができました。これは高周波や信号レベルが極端に違う用途に使うとき問題だったユニット間の干渉を防ぐためです。 もっぱら低周波やON/OFFと言った直流的な動作の場合、シールドはなくてもマズマズ使えるので、余った1ピンをヒータの中点から引き出す球が作られます。 12AT7、12AU7、12AX7などが典型例です。6.3Vだけでなく12.6Vでも点灯できるのは便利でした。
高周波系の双三極管ではシールドとして、低周波系の双三極管ではヒータの中点としたものが一般的になりました。双三極管を使う際は余ったピンの扱いに注意すべきでしょう。なお、ピン接続は1番から9番へ順に、P-G-K-H-H-P-G-K-HCTが一般的です。前の方のP-G-Kが第2ユニット、ヒータの後のP-G-Kが第1ユニットです。HCTはヒータの中点です。ただし稀に全く異なる物があるので要注意です。ヒータ中点を9番ピンに引き出さない球の場合、9番ピンは内部遮蔽:インターナル・シールド(IS)あるいは無接続:ノー・コネクション(NC)もありますのでどちらの場合も一応GND電位にしておけば良いでしょう。
☆
今回もラジオ趣味の人にはテンデ面白くないでしょうね。まあ、我慢してご覧いただく意味はありませんからヒマのない人はこの先はやめておくと宜しいです。以下、そんな程度の中身です。
参考:Elevamの真空管について:
エレバムは宮田製作所という真空管メーカのブランド名でした。ロシア革命の年、1917年に創業の老舗で東芝・マツダと違わぬ古い球メーカでした。自社ではラジオなどはほとんど作らず、もっぱら球を他社に供給するのが商売だったようです。交換用の需要も多かったのでしょう。マイナーと言うには有名すぎる球メーカだったと思います。雑誌の広告欄には各種真空管の価格表があったのですが一流品のマツダと比べて安価でした。なお、宮田製作所は現在する会社で特殊な放電管など理化学機器向けの電子管を製作しているようです。Elevamの球は古いラジオの補修用に使われて残っていることも多く珍しくもないのですが箱入り新品のmt管はちょっと珍しいかもしれません。同社の球は良くも悪くもない程度のごく平凡なものだったように思います。要するにフツーに使えます。w
【SRPPアンプ・テスト回路】
図は今回のテスト回路です。典型的なSRPP型アンプになっています。
三極管を2つ分使うオーソドックスな2段増幅アンプを真っ先にやるべきだったのですが、興味の赴くままにSRPPアンプを作りました。
カソード接地型の増幅器をR-C結合で2段繋ぐアンプはあまりにオーソドックスなのでちょっと興味が湧かなかったのです。まあ、そっちはいつテストしてもいいや・・・と言った感じです。 球メーカー発表のR-C結合アンプの資料も多数存在するので後回しにしました。
SRPPというのは、シャント・レギュレーテッド・プッシュ・プルの略です。上側の三極管がシャントレギュレータのような動作をするのでそう呼ばれるのでしょう。よく似た形のアンプにはミュー(μ)アンプというのがあります。そちらは単なる定電流源負荷のアンプで、出力の引き出し方が異なるので簡単に区別できます。
このアンプは双三極管を使うと便利な回路です。ある程度のゲインをもたせつつ、出力インピーダンスも低くできるのがメリットです。測定結果はのちほど纏めますが、カソードフォロワと違ってゲインがあるのがメリットです。もっとも三極管を二つ使うのですから・・・
カソード抵抗、Rk1とRK2は目的によって変更すべきです。この実験のように一定値(1kΩ)では、球によっては必ずしも最適ではない可能性があります。さらに同じ球を使う場合でも、想定される負荷インピーダンスが違えば設計は変わります。 しかし、ある程度おおきなインピーダンスの負荷なら最適設計でなくとも支障はないようでした。 電源利用率もまずまずで、十分大きな出力が得られるので単純な抵抗結合のアンプより有利です。 パワー管のドライブアンプにも適している筈です。実際そうしたアンプの製作例もかなり見掛けます。
なお、球のヒータとカソード間の耐電圧:HK耐圧に気をつける必要がある回路です。まったく無視しているかのような回路も見かけるのですが・・・。危ないでしょう。
【SRPPをテストした真空管】
写真にSRPPアンプをテストした真空管を示します。
選択の基準は増幅定数:ミュー(μ)の大きさの違いです。トランスコンダクタンス:gmも考慮しています。
測定の基本として中ミューの6AQ8、同じく中ミューですがHigh-gmな6DJ8、そして低ミューの6FQ7を選びました。
なお、実際には9AQ8、7DJ8、そして8FQ7/12FQ7と言ったTV用トランスレス管を使っています。もちろんトランス付き回路用の球でもOKです。
6AQ8は12AT7でも良かったのですが、ほぼ同等なので間に合わせました。また6DJ8はオーディオで使われる例が多くなっているので試してみます。6FQ7は6CG7と同特性の球でユニット間のシールドを省いた廉価版の球です。 GT管の6SN7と全くの同特性ということになります。低ミュー管の代表でしょうね。この目的には12AU7でも良かった筈です。(参考:低ミューの定義はμ≦10を言う場合もあります)
なるべく新品でテストしていますが、良さそうな中古品も使いました。チューブチェッカの判定では新品に近いので支障は感じませんでした。ただしそれぞれバラツキはあります。
厳密には多数測定して統計的処理を行なった方が良いのですが、そこまでするのは大変なのでやめました。単なる遊びですからネ。単体測定ですが傾向を見る程度でしたら役立つでしょう。
今回はポピュラーな12BH7Aと12AX7のテストが抜けてしまいました。こちらは機会をあたらめて行ないたいと思っています。結果はだいたい予想できると思いますが・・・。
【SRPPアンプの測定結果】
各部の実測電圧や得られたゲインを一覧表に纏めました。 真空管選択と使い方の検討に役立てるつもりです。
出力電圧(rms)は、入力として1V(rms)を加えた場合の実測値です。従ってそのままゲイン(V/V)倍を表します。 負荷インピーダンスによってゲインが変わるのは内部インピーダンスが存在するためです。 ただし比較的低い値ですから、負荷が軽ければゲインもアップし出力はフルスイングすると思っても良いでしょう。 テスト回路のままでも50kΩ以上の負荷なら十分すぎる性能でした。 回路の趣旨にあった結果が得られていると思います。
真空管の選択について考えます。 いま、SRPPアンプを採用する目的が低い内部インピーダンスと大きめなゲインであるなら、増幅定数:μ(ミュー)が大きくトランス・コンダクタンス:gmの大きな球がこの回路には向いています。μの大きな球はゲインが大きく、gmが大きいと内部インピーダンスが小さくなります。
例えば、12AX7のようにμ=100と大きな球はゲインはありますが、gmはあまり大きくないので内部インピーダンスが大きいため負荷インピーダンスも高く選ぶ必要があります。 大きなゲインは要らないがドライブ能力を重視なら電流が流せてgmの大きい5687のような馬力のある球が良いことになります。(5687のピン接続は変則的なので注意!)
また、プレート電流もある程度流した方がドライブ能力がアップするのは当然です。どんな球を使うか・・・という球の選択も大切ですが、その球をどう活かして使うのか、使用方法も検討すべきです。使い方が悪ければ潜在的な能力はあっても発揮してくれません。
代表的な真空管3例のデータを示しますが、極端な違いはないのでSRPPは様々な球で構成できると思って良いようです。HAMの世界ではほとんど見ないので、使った経験はなかったのですがだいぶ感触がつかめたと思います。
蛇足ながらSRPPはパワー管で構成されることもあり、OTLアンプとして使われることがあります。ただし原理は同じでも電圧増幅器とパワー・アンプでは設計法がだいぶ異なります。
【SRPPアンプ実験の意味】
SRPP回路についてはオーディオ関係の書籍に詳しい解説があります。現在ではWeb上にもたくさんの解説記事を見かけました。
たいへん詳しくて理にかなったわかり易い解説も多くて、あらためて勉強させていただけました。
数式を駆使して解析した結果はまったくその通りなのですが、では実際に作ってみる価値はないのでしょうか? 私はそうは思いませんでした。
このグラフは12AT7の特性がプレート電流、プレート電圧でどのように変化するかを示しています。中ミュー三極管の典型例として示します。 見ていただくとわかるのですが、決まった「定数」のはずの増幅定数:ミューでさえ、プレート電流で変化します。もちろんトランス・コンダクタンス:gmも然りです。
真空管の3定数の2つが変わるのですから、もう一つのプレート抵抗:rpも変動します。 要するにどのような動作をさせるかにより現実の回路の様子は結構変わるのです。結果として内部インピーダンスもゲインも変化します。
各定数の変化を加味したシミュレーションでも行なえば、任意の動作点における諸特性を求めることも可能なはずです。 しかしこんなことは単純ですから実験して傾向を掴んでおけば十分役立ちます。それにいくらシミュレーションしたってアンプは鳴りませんし。
そして真空管自体もかなりバラつくのですからいくら精密にやったところで現実と完全に一致することはないのでしょう。 このあたりに「理解するため実地でテストする意義がある」ように感じるのです。それで傾向がつかめたら十分役立つわけです。球の選択とか、その球に電流をどう流すのか・・・とか、etc。 まあ、考え方ですけどね。(笑)
☆
オーソドックス過ぎると興味を持ちにくいものです。 今回は双三極管をカスケードに接続するSRPPアンプを試してみました。 部品定数を変えながらさらに追求すべきだったと思うのですが、まずは概要を掴めたら良いとして一旦おしまいにしました。 多少ゲインなど変わりますが、様々な球で構成できる便利な回路です。アレがないから作れないとか、きっとあっちの球が良いに違いない・・・などと迷うこともなく、大差ない結果がその辺にあるような球で十分得られそうですね。 わかってやればウワサや怪しげな記事に惑わされることもありません。(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクfm
2024年8月4日日曜日
【電子管】Using the Triode - Pentode as the Audio Amp.
【三極五極管を使ったオーディオ・アンプ】
introduction
I have a lot of Triode-Pentode composite tubes in my junk box. They are all junk tubes from old TV sets. If I can make good use of them, I will be able to build an audio amplifier. I immediately tested them. The test results were very good. The test results are listed in the table below. I will be able to enjoy handmade audio without buying new vacuum tubes. I am a little happy. (2024.08.04 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【三極五極管:6U8A】
三極管と五極管が複合された真空管で試作したオーディオ・アンプ(=低周波増幅器)をテストします。
写真は6U8Aという真空管です。3極管と5極管が一個のガラス容器(Glass Envelope)に封入・複合された真空管で、一般にこうした球を複合管といいます。複合管には他にも様々なものがあってこれはその一つです。
複合管が作られた背景はやはり省スペースにあるでしょう。 AMラジオのように3〜5本程度の真空管で作れるなら無理に複合管を多用しなくても支障ありませんでした。それと真空管の信頼性が低かったころ複合管は不経済だったはずです。片ユニットが生きていても、もう片方が死んだら丸々一本交換しなくてはなりませんから。 一般に複合管は安くありませんし。
しかしTV受像機ではモノクロ型でも20本近い真空管が必要です。必要な機能は削れませんから複合管を使って物理的な本数を少しでも減らしたくなるわけです。その結果がこうした複合管です。 生産技術の進歩で真空管自体の信頼性が十分高くなったことも複合管が発展した理由でしょう。
実は有名な5球スーパにも複合管が使われています。検波・低周波増幅の6AV6がそれです。High-μな3極管と2つの2極管が複合されていました。しかしそれ以上の複合はあまり合理的ではなかったので複合管は使われなかったのでしょう。 それと電気に詳しくない一般の人は真空管の本数を数えて高級品と安物を区別します。機能は同等以上であっても複合管を使って3球にまとめたら安物にされかねなかったのです。だから5球スーパはそのまま5本だったんでしょう。(笑)
いま試作しているオーディオ・アンプの場合、複合管を使うと有利です。5極管の部分で十分なゲインを稼ぎ、3極管のカソード・フォロワを設ける形式のアンプに使います。 こうした複合管なら1本で構成できるので積極的に使いたくなります。
オーディオ用としてポピュラーな三極・五極複合管には6AN8があります。過去のアンプ製作記事では定番的な存在でした。またやや遅れて登場した欧州系の6BL8もポピュラーな球です。さまざまなオーディオ・アンプで使われる例を見ます。 しかし残念ながらTVではまず見かけなかったのです。 ですから6AN8や6BL8なんて私のジャンクな球箱にはありませんでした。
では似たようなTV用の複合管はオーディオへの適性はないのだろうか? なんで使わないの?? ・・・という疑問から検討が始まったような訳です。
TV用の球をオーディオに使ったらハム・レベルとかマイクロフォニックが気になるかもしれません。 でもはなから諦めず試す価値はあるでしょう。ハムはDC点灯で解決すれば良いし・・・。(腕力式解決法・爆)
☆
ラジオにしか興味のない人にはてんで面白くないハナシでしょうね。まあ、我慢して見る価値なんてありませんからヒマでも無ければやめておく方が宜しいです。以下、そんな程度の中身でしょう。
【テストに使うアンプ回路】
前回までの5極管のテストに使った回路と同じです。ハイゲインな五極管アンプ+三極管のカソード・フォロワの構成です。
電源電圧:Ebbやプレート負荷抵抗:Rbは同じ値です。さらに5極管のカソード抵抗:Rkは2kΩに固定しています。
従ってスクリーン・グリッド抵抗:Rc2だけを加減して適当な動作状態を得るようにしました。
テストに使った真空管の間で意外に違いは無かったので条件を固定してしまってもだいたい良い結果か得られています。
後ほど結果の一覧表があって、それにまとめておきましたので比較してみてください。
確かに一部の球はカソード抵抗:Rkも変えて最適化したい気がしました。そうすれば高性能化できそうではありましたが、あんがい一定の回路定数のままでも「何とかなるものだ」というのが感想です。
【テストする三極五極管】
真空管の写真を見せたからと言ってあまり意味はないのですが・・・このテストで使った球を集めてみました。これらの真空管は足ピンの接続がどれも同じです。
いずれもTV用の球です。 ホントはヒータが6.3Vの球を使いたいのですが、手持ちの大半はこうしたトランスレス用の球ばかりなのです。
ヒータが5V系の球は600mAシリーズのトランスレス用の球でしょう。どれもたいへんポピュラーなのでTVではたくさん使われていたのです。
TVでの用途も様々ですが、もとはVHFチューナ回路の局発(OSC)と混合(Mixer)用に開発された球だそうです。他の回路に使っても便利なことから徐々に汎用の球になったのです。オーディオに使うのもその転用の一つだった訳ですね。
9A8という球は、実はヒータ電圧違いの6BL8と同等の球です。 従って6BL8と同じ回路定数で正常に動作するのは当たり前と言えるでしょう。9A8をオーディオ系で使う際の注意はやはりヒータ・ハムだと思います。
他の球もヒータの面倒さえ見てやれば6BL8や6AN8と同じような使い方で活用できるのではないかと思っています。見た感じも悪くはないですし。(笑)
注:ヒータは5R-HR1のみEh=5.4V・600mA。また9A8と9JW8はEh=9.0V・300mA。他はEh=4.7V・600mAです。
【テストの様子】
ブレッド・ボードに組み立ててテストしています。 真空管1本で構成できますからコンパクトに組めます。
ブレッドボードでの注意ですが、ヒータ電流が大きいので、なるべく変換基板の直近から配線を引き出します。回路のアース系に大きな電流は流さぬようにするのがコツと言えばコツです。(笑)
複合管は入・出力の配線が交錯する可能性があって、発振はしないまでも周波数特性に影響が及ぶ場合があります。なるべく入力から出力までがストレートに並ぶように工夫すべきでしょう。 交流的にGNDレベルになるバイパス・コンデンサの系統で囲むと言った対策も効果的です。
ヒータ回路を除けば回路電流は数mA以下です。1/4Wと言った小型の抵抗器で済むのでコンパクトに作っても問題ありません。 電源電圧が高いので注意は必要ですが、半導体回路と同じ感覚でテストして何も問題はありません。 真空管回路も思ったより手軽に遊べますね。
【アンプの測定結果】
各部の実測電圧や得られたゲインを一覧表に纏めました。 動作点の検討と調整に役立てるつもりです。
一部に中古品の真空管を使っているのでバラツキが大きくなっている可能性があります。(それほどではないとは思ってますが・笑)
どの真空管でも200倍以上のゲインは楽々得られています。やはりトランス・コンダクタンス:gmの大きな球はゲインが大きくなっています。ゲインが欲しい時は6U8や6AN8と言った古い球より新しい6GH8Aのような球を使うと有利です。
単独の真空管を2本、例えば6AU6と6C4と言った構成で作るのも良いものですが、複合管でも同じような性能が得られますので少ない球数でスッキリ作りたいときには最適でしょう。 回路を検討する際の選択肢の一つとして覚えておこうと思います。
☆
3極5極複合管には準パワー管の6AW8Aのような球もあってバラエティに富んでいます。 今回はプリアンプやコントロールアンプなどを目的に純粋な小信号増幅器における複合管活用を検討してみました。 TV用に作られた多くの三極五極複合管が工夫次第でオーディオ回路で充分有効に使えそうという感触が得られたと思っています。
小信号用の複合管には双三極管があることを忘れてはいけません。 次回は各種の双三極管にスポットを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm
introduction
I have a lot of Triode-Pentode composite tubes in my junk box. They are all junk tubes from old TV sets. If I can make good use of them, I will be able to build an audio amplifier. I immediately tested them. The test results were very good. The test results are listed in the table below. I will be able to enjoy handmade audio without buying new vacuum tubes. I am a little happy. (2024.08.04 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【三極五極管:6U8A】
三極管と五極管が複合された真空管で試作したオーディオ・アンプ(=低周波増幅器)をテストします。
写真は6U8Aという真空管です。3極管と5極管が一個のガラス容器(Glass Envelope)に封入・複合された真空管で、一般にこうした球を複合管といいます。複合管には他にも様々なものがあってこれはその一つです。
複合管が作られた背景はやはり省スペースにあるでしょう。 AMラジオのように3〜5本程度の真空管で作れるなら無理に複合管を多用しなくても支障ありませんでした。それと真空管の信頼性が低かったころ複合管は不経済だったはずです。片ユニットが生きていても、もう片方が死んだら丸々一本交換しなくてはなりませんから。 一般に複合管は安くありませんし。
しかしTV受像機ではモノクロ型でも20本近い真空管が必要です。必要な機能は削れませんから複合管を使って物理的な本数を少しでも減らしたくなるわけです。その結果がこうした複合管です。 生産技術の進歩で真空管自体の信頼性が十分高くなったことも複合管が発展した理由でしょう。
実は有名な5球スーパにも複合管が使われています。検波・低周波増幅の6AV6がそれです。High-μな3極管と2つの2極管が複合されていました。しかしそれ以上の複合はあまり合理的ではなかったので複合管は使われなかったのでしょう。 それと電気に詳しくない一般の人は真空管の本数を数えて高級品と安物を区別します。機能は同等以上であっても複合管を使って3球にまとめたら安物にされかねなかったのです。だから5球スーパはそのまま5本だったんでしょう。(笑)
いま試作しているオーディオ・アンプの場合、複合管を使うと有利です。5極管の部分で十分なゲインを稼ぎ、3極管のカソード・フォロワを設ける形式のアンプに使います。 こうした複合管なら1本で構成できるので積極的に使いたくなります。
オーディオ用としてポピュラーな三極・五極複合管には6AN8があります。過去のアンプ製作記事では定番的な存在でした。またやや遅れて登場した欧州系の6BL8もポピュラーな球です。さまざまなオーディオ・アンプで使われる例を見ます。 しかし残念ながらTVではまず見かけなかったのです。 ですから6AN8や6BL8なんて私のジャンクな球箱にはありませんでした。
では似たようなTV用の複合管はオーディオへの適性はないのだろうか? なんで使わないの?? ・・・という疑問から検討が始まったような訳です。
TV用の球をオーディオに使ったらハム・レベルとかマイクロフォニックが気になるかもしれません。 でもはなから諦めず試す価値はあるでしょう。ハムはDC点灯で解決すれば良いし・・・。(腕力式解決法・爆)
☆
ラジオにしか興味のない人にはてんで面白くないハナシでしょうね。まあ、我慢して見る価値なんてありませんからヒマでも無ければやめておく方が宜しいです。以下、そんな程度の中身でしょう。
【テストに使うアンプ回路】
前回までの5極管のテストに使った回路と同じです。ハイゲインな五極管アンプ+三極管のカソード・フォロワの構成です。
電源電圧:Ebbやプレート負荷抵抗:Rbは同じ値です。さらに5極管のカソード抵抗:Rkは2kΩに固定しています。
従ってスクリーン・グリッド抵抗:Rc2だけを加減して適当な動作状態を得るようにしました。
テストに使った真空管の間で意外に違いは無かったので条件を固定してしまってもだいたい良い結果か得られています。
後ほど結果の一覧表があって、それにまとめておきましたので比較してみてください。
確かに一部の球はカソード抵抗:Rkも変えて最適化したい気がしました。そうすれば高性能化できそうではありましたが、あんがい一定の回路定数のままでも「何とかなるものだ」というのが感想です。
コラム:6BL8系を使おう
オーディオ・アンプでポピュラーな6AN8はテストしませんでした。一つは持ってないことがありますが、他とピン配置が全く違うのでわざわざ購入して試す意義を感じなかったからです。6AN8と同じピン配置の三極五極複合管は他に殆ど見ないので差し替えたテストには不向きな球です。一説によれば6BL8系より6AN8の方がピン配置的にオーディオ向きという話も聞きます。しかし実際は大差ないようで6BL8系もオーディオに多用されています。互換可能な球種が多い6BL8系(EIA 9AE)を使いましょう。
【テストする三極五極管】
真空管の写真を見せたからと言ってあまり意味はないのですが・・・このテストで使った球を集めてみました。これらの真空管は足ピンの接続がどれも同じです。
いずれもTV用の球です。 ホントはヒータが6.3Vの球を使いたいのですが、手持ちの大半はこうしたトランスレス用の球ばかりなのです。
ヒータが5V系の球は600mAシリーズのトランスレス用の球でしょう。どれもたいへんポピュラーなのでTVではたくさん使われていたのです。
TVでの用途も様々ですが、もとはVHFチューナ回路の局発(OSC)と混合(Mixer)用に開発された球だそうです。他の回路に使っても便利なことから徐々に汎用の球になったのです。オーディオに使うのもその転用の一つだった訳ですね。
9A8という球は、実はヒータ電圧違いの6BL8と同等の球です。 従って6BL8と同じ回路定数で正常に動作するのは当たり前と言えるでしょう。9A8をオーディオ系で使う際の注意はやはりヒータ・ハムだと思います。
他の球もヒータの面倒さえ見てやれば6BL8や6AN8と同じような使い方で活用できるのではないかと思っています。見た感じも悪くはないですし。(笑)
注:ヒータは5R-HR1のみEh=5.4V・600mA。また9A8と9JW8はEh=9.0V・300mA。他はEh=4.7V・600mAです。
【テストの様子】
ブレッド・ボードに組み立ててテストしています。 真空管1本で構成できますからコンパクトに組めます。
ブレッドボードでの注意ですが、ヒータ電流が大きいので、なるべく変換基板の直近から配線を引き出します。回路のアース系に大きな電流は流さぬようにするのがコツと言えばコツです。(笑)
複合管は入・出力の配線が交錯する可能性があって、発振はしないまでも周波数特性に影響が及ぶ場合があります。なるべく入力から出力までがストレートに並ぶように工夫すべきでしょう。 交流的にGNDレベルになるバイパス・コンデンサの系統で囲むと言った対策も効果的です。
ヒータ回路を除けば回路電流は数mA以下です。1/4Wと言った小型の抵抗器で済むのでコンパクトに作っても問題ありません。 電源電圧が高いので注意は必要ですが、半導体回路と同じ感覚でテストして何も問題はありません。 真空管回路も思ったより手軽に遊べますね。
【アンプの測定結果】
各部の実測電圧や得られたゲインを一覧表に纏めました。 動作点の検討と調整に役立てるつもりです。
一部に中古品の真空管を使っているのでバラツキが大きくなっている可能性があります。(それほどではないとは思ってますが・笑)
どの真空管でも200倍以上のゲインは楽々得られています。やはりトランス・コンダクタンス:gmの大きな球はゲインが大きくなっています。ゲインが欲しい時は6U8や6AN8と言った古い球より新しい6GH8Aのような球を使うと有利です。
単独の真空管を2本、例えば6AU6と6C4と言った構成で作るのも良いものですが、複合管でも同じような性能が得られますので少ない球数でスッキリ作りたいときには最適でしょう。 回路を検討する際の選択肢の一つとして覚えておこうと思います。
コラム:球の常識:ピン配図の書き方
真空管の足ピン番号は足の側(下側)から見た図を書きます。ピン番号は時計回りに順番に振ります。 上面図を書く集積回路(IC)とは常識が逆なので注意を。 個人の自由ですから球のピン配を上面図で書いても結構ですが常識外れの書き方では他の人には伝わりにくいでしょう。間違いのモトにもなります。
☆
3極5極複合管には準パワー管の6AW8Aのような球もあってバラエティに富んでいます。 今回はプリアンプやコントロールアンプなどを目的に純粋な小信号増幅器における複合管活用を検討してみました。 TV用に作られた多くの三極五極複合管が工夫次第でオーディオ回路で充分有効に使えそうという感触が得られたと思っています。
小信号用の複合管には双三極管があることを忘れてはいけません。 次回は各種の双三極管にスポットを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm
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