2026年5月31日日曜日

【回路】Practical Crystal Oscillators (1)

実用・水晶発振器・1(その1:基本波編)

Introduction
I have constructed crystal oscillator circuits using inexpensive quartz crystals readily available on the surplus market. I have produced clock generators suitable for digital circuits that oscillate reliably, as well as oscillators suitable for analogue circuits that produce clean oscillation waveforms with low phase noise. I have made effective use of bipolar junction transistors (BJTs) and field-effect transistors (FETs).(2026.05.31 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【水晶発振子・振動子】
 水晶と聞くとなんだか魅力的に感じてしまいます。子供のころ理科室に輝いていた鉱物標本が記憶に刻まれているからでしょうか?

 電子部品の「水晶発振子」に特別な感情を覚えるのもそのせいかも知れません。 未だに宝石を使った高価な電子部品というイメージがあって出物(ジャンク品,etc)に出くわすとついつい手が延びてしまうのも仕方ないのでしょう。(今は100%人工水晶製です)

 ところが単なるコレクションが目的ならともかく、電子部品として見ると「水晶発振子」の使い道はずいぶん限られるのです。 本来の目的である発振器に使うのが基本でしょう。 しかし「周波数が安定で動かない」という特徴は最大のメリットでありながら「周波数」が目的に合わなければまったく使い物になりません。ほとんどつぶしの効かない電子部品でもあるのです。(笑)

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 せっかく手に入れた電子部品ですから幾らかでも活用の機会を作りたいものです。 この先しばらく本来の用途である『発振』に使う方向で実用的な使い方を探りたいと思います。
 水晶がお好きだったらお付き合いください。 専門用語の説明はかなり省いており内容も電子回路の初心者向きではないかも知れません。 頑張ってついてきてください。w

【クリスタル・フィルタという手もあるが】
 昔は同じ周波数の水晶発振子ばかりいっぱいあっても大して役に立たないと感じたものでした。

 しかし水晶発振子の特性に着目して「フィルタ」に応用する手法が知られるようになって活用の道が開かれたのです。 大して役立たずだった大量の水晶が活かせるのですから。

 写真は8MHzのHC-49/US型水晶発振子を6つ使ってラダー型クリスタル・フィルタ(SSB用)を試作している様子です。 ラダー型クリスタル・フィルタの設計・製作については既に扱いましたので、興味があったらBlogバックナンバー(←リンク)の参照を。 水晶定数の求め方から始めて詳しく扱っています。

 ラダー型クリスタル・フィルタを作ることはジャンクの水晶発振子を消費するには有望な方法です。 選別して揃ったものを選ぶのが良いフィルタを作るコツです。同一の水晶発振子が沢山あることはとても有利です。そう思ってジャンク品を集めたものでした。 同じ水晶発振子がたくさんあるなら発振以外の用途も考えておくべきです。

 過去のBlogに試行過程を書いたように、様々な検討を経てノウハウは蓄積できたと思っています。しかし、時間と手間を惜しまず入念に設計・製作した肝心の「フィルタ」も、あんがい使う機会は少ないものです。ですから作り方がわかったらかなり満足してしまいました。 まあ、そんなにたくさん受信機やトランシーバなんて作りませんからねえ。(笑)

 済んだことですし、とりあえずフィルタに使う話はここまでにしておきます。

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【水晶発振器・真空管で】
 水晶発振子と言うくらいですから、発振回路に使うのが本命です。(水晶発振子と振動子は同じ物です)

 水晶発振子は周波数が安定した発振器の決め手です。 真空管時代から様々な発振回路が考案されてきました。

 左図は「無調整型水晶発振器」と言われるものです。ピアース回路とも言います。おもに周波数校正用の基準発振器に使われてきました。 近代的な半導体を使った発振回路も真空管時代の回路がベースになっています。特にFETを使った水晶発振回路は類似性が感じられます。

 真空管式送信機に使う水晶発振器は発振出力に「パワー」が必要なので異なった回路が使われます。 そのため近代的な小型の水晶発振子は適当ではありません。

 左図・発振回路も発振子としてFT-243型、FT-241型、HC-6/U型のように水晶板が大きくて丈夫な水晶発振子が前提になっています。 もし小型で近代的な水晶発振子で製作するのなら、プレート電圧(B+)は発振可能な範囲でなるべく低く抑えます。発振子を壊さないようにするためです。低いプレート電圧で動作し、High-gmなニュービスタ管などが最適だと思っていますが、真空管で作ることはまず無いのでこれくらいにしておきます。

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【トランジスタ・1石で発振】
 トランジスタを使った水晶発振器として最も簡単で有用な回路をはじめに扱います。

 参考:以下はいずれも半導体を使った回路で、電源電圧が低いためコンデンサは耐圧25Vまたは50Vで十分です。電解コンデンサは16V耐圧が使えます。抵抗器は1/4W型です。

 左図はトランジスタを一つだけ使った無調整型水晶発振器です。水晶発振子として最初の写真にあるようなHC-18/U,HC-49/U,HC-49/USと言った近代的で小型のものを使います。 基本波だけが対象で、いずれでもよく発振してくれます。(特殊な専用発振子を使わないとオーバートーン発振はしません)

 「無調整型」という意味は発振回路にLC同調回路を含まないという意味です。 組み立ててから何も調整せずに所定の発振状態が得られるわけです。 ただし、精密な周波数が必要なら「周波数合わせ」だけは必要です。回路図でTC1あるいはTC11で合わせます。だいたい±0.01%くらいでしたら楽に調整できます。

 表・1にあるように、回路図のコンデンサ:C1とC2の容量値を水晶発振子の周波数に合わせて選択します。 実際には同じC1とC2の値のままでも、かなり広い範囲の周波数で発振します。 もちろん確実な発振を望むのであれば表のように周波数に合わせた容量値を選ぶ必要があります。 (参考:この設計ではコンデンサのリアクタンスが目的の周波数において、おおよそC1が450Ω、C2は250Ωになるよう選んであります)

 また、表・2はコンデンサ:C1を100pF、C2を220pFに固定してしまい、どれくらいの周波数範囲で発振できるか実験した結果です。 後日の自身の参考のために直流的な動作点の情報も記載してありますが特に気にされる必要はありません。
 トランジスタとしては高周波用の代表として2SC2668Y(2SC1923Yも同等品)、中華トランジスタのS9018H、そして汎用トランジスタの2SC1815Yで試しました。

 表・2の右端のように広範囲な周波数範囲(Foscの項)で発振することが確認できました。 高周波特性の優れた(fTの高い)トランジスタなら2〜30MHzで同じ部品定数のまま発振できるのです。 2MHz以下では水晶板のカットが特殊になってくる関係からか部品定数を「低周波用」に変更する必要があります。 しかし、それ以上なら30MHzまで幅広く発振できました。(30MHz以上も可能ですが、基本波の水晶発振子はまれになります)
 表のようにトランジション周波数:fTがあまり高くない汎用トランジスタ(2SC1815Y)では高い周波数で苦しくなるのがわかります。 トランジスタのfTについてはこちら(←リンク)に実測した情報があります。

 RF用トランジスタを使えば幅広い周波数範囲で発振できますが、周波数によっては最適状態でなくなるため、発振波形や発振振幅(発振の大きさ)に影響がでます。 できたら周波数ごとにC1とC2の容量値を選ぶべきなのでしょう。 もちろん同じ周波数でも使う水晶発振子によって違いがあります。

参考:C1とC3を小さくするとオーバートーン発振のモードに飛ぶことがあります。(例えば10pFとか)ただしこの発振状態はかなり不安定です。もしオーバートーン発振が目的なら、それ用に作った回路を使う必要があります。(続編のオーバートーン発振編を参照)

【無調整型水晶発振回路(1)の試作】
 さっそく実験してみましょう。写真は10MHz:HC-49/U型水晶発振子で実験している様子です。

 トランジスタ:Q1は2SC2668Yです。コンデンサ:C1=100pF、C2=220pFです。このままで幅広い周波数範囲で発振することが確認できました。 高周波特性の良いトランジスタを使うことで、部品定数を固定したままでもかなり広い周波数で発振できます。

 2SC1815のような汎用トランジスタもかなり使えますが、やはり高周波用(RF用)を使うと有利です。 中国製のRF用トランジスタ:S9018Hはたいへん安価です。確実な発振器が欲しいなら汎用品で頑張らずに使ってみるのも良いでしょう。(国産トランジスタと足の並びが異なるので注意を!)

 水晶発振器とは言えども、部品の値が温度で変化すれば発振周波数も変動します。 上記回路図で赤の印が付いたコンデンサは特に重要です。 温度変化の少ないC0G特性またはCH特性(NP0:エヌピーゼロ特性とも言う。頭部が黒くペイントされていることが多い)のコンデンサを使います。 すこし難しいですが、C3に温度係数を持たせて温度補償することも可能です。市販の温度補償型水晶発振器:TCXOにはそのようになっている物もあります。

 なお、セラミック・コンデンサには温度特性が極めて悪いものがあって、周波数変動が大きかったり発振の起動に影響が及ぶことがあります。(高誘電率系のセラコン) 電源系のバイパス・コンデンサとしては支障ありませんが、発振状態に影響のある箇所には使えません。

【発振器(1)の発振波形】
 コレクタ側・出力端子で観測した10MHzの発振波形です。上記の製作例を観測しています。

 ご覧のように波形は鋸歯状で「美しく」はありません。 発振周波数によっても波形はかなり変わりますし、波形の大きさ:振幅も変わります。

 おもにデジタル回路のクロック発振器などに適するものです。 波形の美しさ(正弦波)にはこだわらず、簡単な回路で確実な発振が目的なのでしたら悪くない水晶発振回路だと思います。 市販されているSPXOと称するモジュールの内部も似たような回路になっているはずです。

 信号を受ける側の回路にシュミット・トリガ特性を持ったインバータICやゲートICを使うのが確実なインターフェース方法です。

 波形のことはともかくとして、コレクタ側から取り出しているので負荷回路の影響は受けにくいようでした。 電源電圧を変えると発振振幅も変化しますが、かなり広い電源電圧で発振は維持されます。条件にもよりますが、Vcc=1.5Vでも発振します。

【低位相ノイズな基本波発振回路】
 良い波形とフェーズ・ノイズ(位相ノイズ)の少なさを望むなら1石の水晶発振器では難しさがあります。

 左図は波形が綺麗でフェーズ・ノイズも少ない基本波の水晶発振回路です。 1石追加するだけで、スプリアスや発振信号の上下に現れるノイズ・サイドバンドも極めて少ない優れた正弦波の発振器が作れます。 また発振振幅がスムースに加減できるのも特徴です。

 発振部そのものは既に説明の無調整型水晶発振器(1)とほぼ同じです。 同じようにコンデンサC1、C2を(C11,C12を)発振周波数に合わせて選択する必要があります。(ただし同一容量でもだいぶ広い周波数範囲で発振します) やはり確実な発振の起動のためには周波数ごとに変える方が望ましいのです。

 特徴的なのは発振出力の引き出しかたにあります。 もっともきれいな発振電流が流れている水晶発振子の直近から引き出しています。 いわばクリスタル・フィルタを通したような発振電流が得られるため、非常に信号純度が高いわけです。 そのあとバッファ・アンプに導きます。

 回路(2)はバイポーラ・トランジスタ(普通のトランジスタ:BJT)をベース接地型のバッファ・アンプとして使った例です。 回路(3)はFETをソース接地型でバッファ・アンプを構成しています。 いずれの回路も綺麗な出力波形が得られるものです。1石の追加はたいへん効果的です。

 発振器(2)の回路をご覧になって、高周波回路に造詣のあるお方はC5:1000pFは大きすぎるように感じるかも知れません。C5:1000pFはこのままで〜30MHzまでOKです。 ベース接地型バッファ・アンプの入力インピーダンスは非常に低く、これで大丈夫なのです。

 計測用の基準信号として使ったり、発振信号に高純度を必要とする高級な通信機にもうってつけの発振器でしょう。お奨めできます。

【低位相ノイズ発振器(2)を試作】
 写真はバイポーラ・トランジスタ:BJTをバッファ・アンプに使った製作例です。

 発振周波数は1MHzです。トランジスタには2SC2668Yを2石使いました。 右にある半固定抵抗器で発振振幅(発振の大きさ)を可変できます。
 この水晶発振子(1MHz)は少し特殊なようで、回路形式によっては発振しにくさを感じたものです。 上記の回路(2)、回路(3)のいずれでもC1、C2をうまく選んでやれば問題なく発振できました。

 もちろん2MHz以上の周波数でも同じようにテストしていますがなかなか良好な発振状態でした。汎用の水晶発振器として活用できます。

【発振器(2)のエミッタ発振波形】
 発振回路(2)のエミッタ(TP1)の波形を観測しています。

 回路(2)、回路(3)ともに初めの無調整水晶発振回路(1)と基本は同じです。
 発振部の電圧を変えることで発振振幅を加減する関係で、電流負帰還型バイアス回路をやめて簡単な固定バイアス形式に変更しています。 ベースバイアス回路部分のインピーダンスを高めることは発振の起動特性の向上にも役立っています。

 従って回路に大差はないわけで、エミッタを流れる電流は(コレクタ電流も)高調波を含む鋸歯状です。 あまりきれいな波形ではないことがわかるでしょう。

【発振器(2)バッファ・アンプ出力波形】
 こちらのバッファ・アンプを通ったあとの信号はきれいな正弦波です。 もちろんバッファ・アンプで歪んではダメなので、発振振幅の調整は必要です。

 振幅の調整はオシロスコープを使うと簡単にできます。スペアナで高調波の状態を見ながら加減しても良いでしょう。 オシロスコープには十分な帯域幅を持った機種が必要です。 例えば10MHzの発振調整なら少なくとも帯域幅50MHz以上のオシロスコープが望ましいです。

 発振振幅の調整範囲はかなり広いので、たいていは歪みのない状態へ調整可能なはずです。 どうしても歪む時は発振部の部品定数を加減する必要があります。 しかしそれは稀でしょう。

 発振振幅を小さくしぼると発振の起動特性が悪くなることがあります。 どうしても小さく絞りたい時はバッファ・アンプの後で減衰させる方法をとってください。

 発振信号として高純度を要する用途ばかりでなく、一般的な発振器として気軽に使うのも良さそうです。

【低位相ノイズ発振器(3)を試作】
 バッファ・アンプにFETを使った例です。 少しですがBJTのバッファ・アンプよりも部品数を減らすことができます。

 写真は20MHzのHC-49/USを発振させている様子です。 Q11:発振部は2SC2668Y、Q12:バッファ・アンプは2SK544Fを使いました。 バッファ・アンプはソースフォロワにすることも可能です。

 この例ではソース接地型ですからゲインを持ちます。 したがって、バッファ・アンプが入力オーバーになって歪む可能性もあります。 その場合はC20を追加・加減してきれいな波形になるようにします。

 なお、本質的にはC15を周波数に応じて変えるべきです。 しかし多くの場合において220pFに固定しても使えるようでした。 もちろん出力波形を観測して歪みを感じるようでしたら表・3にあるように周波数ごとに変更すべきです。

【発振器(3)FETバッファ・アンプ出力波形】
 発振回路(3)の出力波形を観測しています。 バッファ・アンプ(Q12:2SK544F)のドレイン出力波形です。

 きれいな発振波形を目的にしているのですから当たり前かもしれませんがなかなか良い正弦波が得られています。 もちろんスペアナで見てもきれいでキャリヤの近傍ノイズも少なくて良好です。

 バッファ・アンプにBJTを使うのか、FETを選ぶのかは結局のところ好みのように思います。 少し部品が増えてもよければBJTの方が大きな出力を取り出せる可能性もあって良い点もあります。 まあ用途次第でしょう。
 以上、発振部:Q1,Q11に普通のトランジスタ(BJT)を使う回路を3つテストしました。 無調整水晶発振回路ながらも良い発振波形が得られるものもあって悪くない発振器です。

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 ここからは発振回路そのものに電界効果トランジスタ:FETを使う無調整型水晶発振器を検討します。そう言えば回路屋さんはFETのことを「フェット」って呼んでますね。(笑)

【FETを使った無調整水晶発振回路】
 左図はFETを使った無調整型水晶発振器です。 実験回路としては2種類あります。

 違う回路に見えますが発振回路としての形式は同じです。真空管のピアース回路そのまんまですね。 2種類はソース接地型にするのか、あるいはドレイン接地型にするのかといった違いです。 ただしドレイン接地型では負荷抵抗に相当する部分を高周波チョークコイル:RFCに変えてあります。(回路4Bは高周波的にドレイン接地になっています)

 RFCを使う回路(4B)は電源の利用率が良くて発振波形も良好でした。 さらに「発振の容易さ」でも優っています。 もちろん、たとえRFCとは言えどもコイルの類がお好きでないならドレインに抵抗器を置く(4A)の回路が良いでしょう。 逆に、4Aの回路のドレイン負荷抵抗:R2をRFCに置き換えることもできます。よく発振してくれます。

 FETを使った発振器にもバッファ・アンプを設けるのは有効です。負荷状態の変動に強くなります。 良好な周波数安定度を望むなら付けておくべきでしょう。

 ゲート部分のダイオード:D1,D11は発振振幅を安定させるためのものです。 ただしQ1,Q11に接合型FET(J-FET)を使う場合は必ずしも必要としません。ゲートのPN接合部が外付けダイオードと同等の働きをするためです。 MOS型の2SK241や2SK544にはその作用はないため是非とも追加すべきです。
 なくても発振しますが、あれば適度な発振状態に自己バイアスが掛かって自動的に発振振幅が安定してくれます。 ダイオードはシリコンの高速スイッチング用(Si-SW-Di)なら何でも使えます。 さらにゲルマニウム・ダイオード:Ge-Diやショットキー・ダイオード:SBDも使えますが、発振振幅が抑制されすぎる傾向があります。 Si-SW-Diが無難なようでした。

 かなりgmが大きなRF用FET・・・J310など・・・を使うとIdssが大きすぎてうまく発振状態の制御ができないことがあります。 発振の起動そのものが困難になることもあります。 その場合はRFC:L11と直列に数10〜数100Ω程度の抵抗を挿入し自己バイアスを掛けてドレイン電流を抑制します。

【発振器(4B)を試作】
 無調整型水晶発振器(4B)を試作した様子です。 基本波周波数が20MHzの水晶発振子でテストしています。

 RFC:L11としては470μHのマイクロインダクタを使いました。形状の小さなRFCの中には巻線の抵抗値が大きなものがあります。使う前にテスタで抵抗値を測って確認してください。直流で測った抵抗値が10Ω以上あると発振状態に影響が及びます。

 RFCのインダクタンスは2MHz以上では470μHあれば十分です。 5MHz以上なら270μHでも大丈夫です。 逆に低い周波数では大きなインダクタンスが必要になります。 455kHzのセラミック発振子も良く発振する回路ですが、RFCは少なくとも2.2mH以上必要です。

 部品数も少なくて発振容易な良い回路と言えます。

【発振器(4B)の出力波形】
 上記で試作した発振回路(4B)の発振波形を観測しています。 室内が暗かったので画像が荒れて見苦しいですが悪しからず。(笑)

 FETはFairchild社製のJ211(前回のBlog参照)を使っています。J211はごくシンプルな構造のFETで、特別なものではありません。
 J211は足の並びが2SK19や2SK192Aと同じですから差し替えて簡単に試せます。2026年5月現在、かなり安価に出回っています。 もちろん2SK19や2SK241と言ったポピュラーなFETでも何も問題ありません。それらを持っていればあえてJ211を手に入れる必要は無いでしょう。

 FETを使った無調整型発振器は周辺部品が少なくて作りやすいのが特徴です。 発振波形も見ての通りなかなか良好でした。

【発振器(4B)多様なFETで発振】
 基本波水晶発振回路(4B)は多彩なFETが使えるのも特徴の一つです。

 この写真はFETに2SK44(-D)を使い、20.935MHzの円筒型水晶発振子を発振させている様子です。 とてもうまく発振します。 この2SK44(-D)は黒豆型の古い三洋電機製ですが、東芝製で言えば2SK30A(-Y)と同じような低周波用のFETです。 他にもイサハヤ電子の低周波・低雑音増幅用2SK2881を試したところ、同じようにうまく使えました。

 なにも低周波用を使うことを推奨するつもりはなくて、高周波用のFETだけでなく幅広いFETが使えることを示している訳です。 もちろん、FETの性能次第で発振性能も変わります。持っているのであればRF用のFETを使うのが一番間違いないです。 しかし有り合わせのFETが使えるのはメリットだと思います。

 ほかに2N7000やBS170と言ったスイッチング用のMOS-FETでも発振します。エンハンスメント・モード特性なのでバイアスの掛け方に工夫(回路変更)を要しました。高周波特性のあまり良くないFETですが〜30MHzまで発振できるので、どうしてもという時には役立つかもしれません。一般的ではないので回路図は省きました。

【多彩な水晶発振子で発振】
 FETを使った発振回路(4B)は様々な水晶発振子で発振が可能です。

 HC-18/UやHC-49/Uと言った近代的で小型の水晶発振子がお奨めですが、写真のFT-243型のような旧式の水晶発振子でもよく発振します。

 もちろん、アクティビティが低下しているような古くて条件の悪い発振子ですからFETはRF用が向いています。 写真の例では2SK19Yを使っています。 私がHAMに入門したころ購入した3530kcの発振子が元気よく発振してくれました。 古い水晶が発振すると何故かあの頃が思い浮かんできました。 なんとなく水晶の不思議な魅力を感じませんか?(笑)

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 実用・水晶発振器の第1回は無調整型の基本波水晶発振器をテーマに幾つか検討しました。いずれの回路も十分な実用性があります。 目的として「定番の回路」を目指した訳ですから、どれか一つに絞ったら良いのかも知れません。 しかしそれぞれメリットもありますから優劣は一概には決めかねます。 むしろ持ち駒が沢山あった方が回路設計では有利ですから、臨機応変にうまくチョイスするのが良さそうです。

 ところで、実験してきた水晶発振器ですが、アマチュアがジャンクの水晶発振子で楽しく遊ぶのは何も問題ありません。 もしも条件が変わって発振しなくなっても自己責任ですし、周波数変動が大きくてもオフバンドしなければ差し支えありません。 躊躇せずに楽しみましょう。 それにこのBlogの回路はそんなに怪しいもんじゃありません。 しかし、あらゆる条件下で確実に起動する発振器は難しいものです。 もしお仕事で心配なら水晶メーカーに相談されるのも良いでしょう。(笑)

たぶん次回も「水晶発振器」が続きます。 ではまた。 de JA9TTT/1

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(つづく)←リンク fm

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