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2015年8月30日日曜日

【電子管】Making a stable valve VFO

【真空管で作る安定なVFO】
真空管も良いんだが
 さるBlogによれば、私は真空管に冷たいんだそうである。確かに、真空管と言うだけで好意的に扱うことなんかしないので愛好家から見たら冷淡だと感じるのかもしれない。 だからといって、真空管が嫌いなわけではない。 いや、むしろ逆である。

 ただ、昨今のように球(タマ)なら何でも有り難がる風潮は看過できないと思っている。 良い物は良いが駄球は何時になってもやっぱり駄目である。 無知につけ込んだ駄球の高額販売は購入者のお気の毒が目に浮かぶようだ。まあご本人が納得していればそれも良いのかもしれないが。(笑)

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 閑話休題(それはさておき)今どき真空管のVFOなんかどうするの?・・・と言われそうだ。 発熱があって安定するまでに時間がかかるから、SSBトランシーバではVFO部は早々に半導体化されたのである。 TS-510が然り、それに続いたFTDX-400もFETを使った半導体式VFOになってずいぶん安定になったのを感じたものだ。少なくともウオームアップは格段に早まった。 FETなり普通のトランジスタなりの自己発熱は少ないのだからVFOの発振周波数は安定する。そう考えてVFOと言えば半導体式が全盛になって行った。

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 半導体は消費電力が少ないから発熱も少ない・・・と言うのは本当だろうか? 何を馬鹿なと言われそうだ。 しかし意外に消費電力はあるものだ。 FETを使ったVFOで考えてみよう。Vcc=9Vで、普通の発振回路ならドレイン電流:Id=3mAくらい流したい。 ソース抵抗が入っているとそこでの消費分もあるが、単純に考えてFETでの消費電力はP=Vcc×Idだから27mWと言うことになる。なーんだ、たったの27mWかよ・・・と言うなかれ。

 FETの熱容量は小さいのである。FETの内部チップは思いのほか温度上昇する。2SK192Aで考えてみよう。規格表によれば1mWあたり1.25℃ほど上昇するようだ。 だから27mWで34℃くらい上昇する計算だ。少ないとは言え、スイッチオンからしばらく周波数変動するのは自己発熱→FET自身の温度上昇が原因なのだ。

 では温度で何が変動するのだろう? 変化するのはゲート・ソース間容量とか、ドレイン・ソース間容量のような電極間の静電容量であろう。 それぞで3〜10pFくらいあって温度係数を持っている。 他にドレイン電流Idも温度で変化があって、FETの特性からIdが変わればgmも変化し、gmが変化すればミラー容量も変化することになる。 だから単純な帰還容量:Crssの変化よりも影響は大きくなる。このように意外にも半導体式VFOのウオームアップ・ドリフトは少なくない。 FETで考えたがバイポーラト・ランジスタでも同じような物である。

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 真空管式VFOのウオームアップ・ドリフトが大きいのは常識だろう。 なにしろ発熱が大きいからだ。よく使われた6BA6クラスの球でもヒーターだけで6.3V/300mAだから2W近い。プレート損失の方も、150Vで5mAなら0.75Wだからスクリーン損失など合わせたら合計で3〜4Wくらいの発熱はあるだろう。
 自身の熱膨張で電極間容量の変化があるだろうが、周囲のCやLがモロに熱せられてしまう。良く出来たVFOでさえ30分以上のウオームアップ・タイムを要するのは仕方あるまい。 ただ、真空管自身の電極間容量は意外に小さくて自己発熱さえ少なければ・・・と考えて、1T4や3S4と言うような電池管を使ったVFOが試みられたこともあった。 しかしgmが低いので周波数安定に有利な発振回路の定数を選びにくいとか、マイクロフォニック・ノイズが大きいと言うような固有の問題もあった。 それらの球は少ないとは言え100mWくらいの発熱はあるので、半導体の登場もあって試みる人も現れなくなった。

 長く忘れられていた電池管のVFOであったが、英国のHAM、G4OEPは面白い球に着目した。 彼が見つけたのは「補聴器」用の球である。 トランジスタの登場ですぐに廃れたが、真空管を使った補聴器もあったのだ。 補聴器はコンパクトであり、電池寿命は実用上たいへん重要だ。そのようなニーズから電池寿命を延ばすためにフィラメントの消費電流が極度に小さな真空管が作られた。 G4OEPはHivac社(英国)のXFY43と言う球を使いプレート電圧も12Vで済むVFOを完成させたのである。

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 しばらく前にG4OEPのWebsiteを見て、面白いなあと思っていた。 私と同じように面白いと思ったらしく、彼に続いてG0UPLも試作したようで、こちらも興味深かった。 ただXFY43と言う球はことに入手困難らしく代替の球ではEp=12Vでは発振してくれない。 いろいろ試してもG4OEPの再現はついに出来なかった模様だ。

 以下、だいぶ前置きが長くなったがG4OEPとG0UPLの試作例を紹介しながら私の試作結果も紹介したいと思う。 なお、限られた貴重な真空管が本当の自作HAMに渡るよう、興味本位のお方は手を出さないのがマナーである。

 優れたVFOは真空管があれば出来るものではない。 温度特性に優れたコイルやバリコンと言った主要パーツのほか、ダイヤル減速メカなどVFOの製作に不可欠な機構部品の入手はほぼ絶望的である。従って球だけ手に入れてもまったくもって無駄である。 以下写真で見て鑑賞するだけに留められたい。

写真説明:左の横に寝たサブミニチュア管が「補聴器」用に開発された真空管:6418と6088である。いずれもJAN(Joint Army and Navy Standard:陸海軍統一規格) 規格品であるが、軍隊が補聴器を大量に必要とする筈はなく、低消費電力を活かし電子兵器用として転用されたものであろう。なお、右のミニチュア管:6AN5WAは大きさの比較用であり、補聴器の球ではない。

 【G4OEPのハイブリッドVFO
 G4OEP Dr.Andrew Smith氏が製作したVFOの回路である。G4OEPのWebsite(←リンク)で作品の写真もご覧になって頂きたい。 この回路図には記載は無いが温度補償のためにバイメタルを使った小容量コンデンサを付加するなど興味深い記事がある。 周波数安定度の良い自励式発振器を実現するための非常に示唆に富んだ記述があるのでぜひともご覧を。

 発振回路はColpitts(コルピッツ)型である。 ごく一般的な発振回路であるが、周波数安定を問題にすると真空管の電極間に入っているコンデンサ、回路図で言えばC4やC5を大きくせねばならず、発振させるためには真空管に相応のゲインが必要だ。

 XFY43のフィラメント電圧・電流はEf=1.25V/If=10mAである。またプレート電圧:Ep=12Vでもそこそこ大きなgmがあるらしく、図のような回路定数で確実に発振するのだという。 但しこの発振回路はXFY43なら再現可能かもしれないが、他の球では難しそうなのだ。 実際、私もほぼ同じ回路定数で試してみたがまったく発振してくれなかった。 真空管はXFY43と同じような補聴器に使うためのもので、Raytheon社の6418と6088を試した。

 【G0UPLのVFO回路集
 同じく英国のHAM:Hans Summers氏が製作したVFOの回路だ。G4OEPの製作にinspireされたのは間違いない。 まず最初は左図のFig.1から始めたが、プレート電圧:Ep=12Vでは発振せず、少なくともEp=25V以上が必要だった。発振管はXFY43と同じく補聴器用のCK512AXでフィラメント電圧・電流は0.625V/20mAである。

 フィラメント・パワーが小さい球は「パービアンス」が小さく、当然gmも小さい。従ってゲインが無いのだ。 それで幾らかでもgmが大きそうな6088を使って試したのがFig.2である。6088のフィラメント・パワーはCK512AXの2倍である。 発振回路は同じくColpitts型だ。 しかしこれもEp=12Vでは発振しなかった。少なくともEp=27V以上が必要で、これではCK512AXと同じような物だ。

 おなじ6088を使いながら回路変更したものがFig.3である。Colpitts回路をやめてFranklin(フランクリン)回路に変更している。Franklin回路は2球使うのでゲインは2段の積になるから有利なはずだ。 しかし、同じくEp=12Vでは発振しないのである。 同調回路との結合が疎になることから、むしろEpは高い必要がある。よく見ると1段目の6088の負荷は1kΩだからゲイン・アップどころかむしろ減衰器になってしまっている。
 彼はEp=12Vに拘らなかったようで、これで満足した模様だ。 実際、ヘテロダイン型VFOに纏めて実用にしているが、他の部分に普通の球を使っているため必ずしもEp=12Vである必要がなかったからだろう。 精力的な実験過程が写真とともに纏められている。G0UPLのWebsite(←リンク)も訪問されることをお奨めする。

 私からのコメントであるが、実は6088があまり良くなかったのではないかと思う。フィラメント・パワーはCK512AXや6418よりも倍も大きいのだが、Ep=12Vではgmが急に低下してしまうらしく、ゲイン不足なのだろう。これは、後ほどの私の実験でも確認されている。

 【私もVFOを試作中
 発振しないVFOは価値がない。まずは発振させることを優先に実験を進めた。どんな発振回路でも発振は可能と思うかも知れないが、それはまったくの幻想だ。回路の選択が悪いと発振しない。

 最初はG4OEPと同じColpitts発振回路から始めた。発振管は6418と言う補聴器用である。 6418は補聴器用としては最終世代らしく、フィラメント電圧・電流は1.25V/10mAである。プレート電圧:Epが低くともgmはそこそこの大きさはあるのだが、Ep=12Vではぜんぜん発振してくれない。

 発振回路にはColpitts型の変形であるGouriet - Clapp(グーリエ・クラップ)型も試してみたが同じように発振起動できない。 これらの回路は非常にポピュラーであるが、意外に発振条件が厳しいようである。発振器の数値的な解析はTESLA研究所Vačkář氏の執筆によるTesla Technical Report(Dec.1949)(←リンク)に詳しいが、他を試みた方が有望そうである。 そこでおなじColpitts型の変形でありレポートにある「Vackar型」でやってみることにした。 発振条件の厳しさに大差はないものの、回路定数を良く選んでやれば確実に発振することに成功したのである。発振管は6418で、もちろんプレート電圧:Ep=12Vだ。

 写真手前に見えるステアタイト・ボビンに巻いたコイルが周波数安定度の点では有利だが、その左に見えるトロイダル・コアに巻いたコイルも悪くない。回路は次項に示した。

 【私のハイブリッドVFO回路
 先に書いたように発振回路はVackarである。 Vackar発振器はヨーロッパ生まれなので、米国技術圏の我が国ではあまりポピュラーにはなれなかった。これは米国でも同じである。いわゆるNIH(Not Invented Here)と言うやつだ。

 Vackar回路は一時、驚異的な性能の「チェコ・テスラ発振器」として注目されたことがある。(JA-CQ Hamradio 1968年8月号pp170〜174の記事など) TESLA研究所のレポートで詳解されていた関係で、TESLA発振回路などと言われたが、論文の発表当時ならともかく、今では正しくはVackar(バッカー)型と呼ぶべきである。

 正規のVackar回路は発振管とLC共振器との結合が極力疎になるように設計されている。しかし、ゲインの小さな補聴器用の球では同様の回路定数では発振不能である。 従って、Tesla Technical Reportにあるような回路定数の選び方はできない。例えば容量比:C4/C3=6が推奨値だが、それでは発振できない。そのような訳で各部の定数はかなり弄ってあるから、もはやTTT式Vackar回路と言うべきものになっている。(笑)

 6MHzの例で示しているが、3〜8MHzで概ね類似の回路定数で行ける筈だ。 もちろん周波数が高くなるほど発振は難しくなるので、1〜2MHzくらいの低い周波数で設計すると非常に有利だ。 逆に10MHz以上で発振させるのは徐々に困難になって行く。

参考:JA-CQ誌1968年8月号に掲載された「チェコ・テスラ発振回路の実験」の顛末:
 この記事はJA1DXG加藤 丘さんの執筆で、元ネタは同誌の1961年4月号「技術展望」の短い記事である。残念なことにその「技術展望」のさらに元になった米誌(米CQ誌Dec.1960:"Czech Tesla Oscillator")に重大な間違いがあったのだ。もっとも、この米誌の記事もルーマニアのアマ無線の雑誌からの引用らしいのでどこで間違えたのか不明なのであるが・・・。
 そのため、当初は記事の実験では正常な発振が出来ず、回路を考察して半信半疑で部品の入れ替えを行なって取りあえずの成功を見ている。「な〜んだ、これってVackar回路じゃん!」と言うオチである。(当時すでにVackar回路は既知であった)

 引用して記事化する際に具体的に言えば回路図のC3とC4を入れ違えたのが元凶であった。原本のTesra Technical Reportにはもちろん誤りは無い。原典を参照しない引用記事の危うさと言ったものを感じる。もっとも、当時はInternetのような強力な情報収集手段はなかったのだからやむを得なかっただろう。
 そのほか、Vackar回路VFOに関してはJA1FG:梶井謙一OT(故人)執筆による「送信機の設計と製作」CQ出版社1964年12月10日発行:pp57〜64に写真入り製作例がある。いずれも真空管式である。

Vackar回路VFOとチェコ・テスラ発振回路(実はVackar回路と同じもの)については、今でも情報を求める人があるのでこの機会に私の調査結果を纏めておいた。これは一私見であるがGouriet -Clapp回路よりも安定度に優れるように思う。

 【発振管は6418
 発振管の話しをしよう。6481は補聴器の出力管である。高効率なイヤフォンに数mWのパワーを送り込む。この6418の前段にはマイクロフォニック・ノイズに留意した6419が使われ、補聴器としては2段増幅になっていたようだ。なお6419のフィラメント・パワーはさらに小さいがgmもずっと低いから発振管には不適当と思われる。

 6418はフィラメントが改良されている。僅か12.5mWのフィラメント・パワーとEp=15Vでgm=200μ℧が得られるのは素晴らしい。プレート電圧:Ep=12Vではプレート電流とスクリーングリッド電流を合わせて200μAも流れない。従って、トータルの消費電力はせいぜい15mWである。これは先に書いたようにFETを使った発振回路をかなり下回る数字だ。(しかし、電子デバイスとして見れば恐ろしく低性能である)

 15mWの消費電力でこの大きさのデバイスの温度上昇は僅かだろう。もちろん、内部は真空であるしフィラメントの輻射熱で電極は加熱されるに違いない。しかし、物理的な大きさから見てすぐに熱放散されてしまうだろう。 おそらく数℃の上昇しか無いはずだ。 だから、電源のON/OFFでもすぐにもとの周波数で発振を始める。

 ウオームアップ・タイムが短いと言うメリット以外に、周囲温度の影響を受けにくいと言うのも大きなメリットだ。半導体の電極間容量は温度の影響を受け易く、自身の温度上昇だけでなく周囲温度の影響も大きく受ける。真空管の場合は、基本的にガラスや電極の熱膨張による物理的な寸法変動に起因する変化のみであり、半導体のジャンクション容量のような大きな変化はないと考えられる。

 従って、生活環境程度の周囲温度の変化では真空管の各電極間容量はあまり変化しないと考えて良いだろう。 補聴器用電池管を使ったVFOの周波数変動はその殆どがコイル:Lやバリコンを含むコンデンサ:Cの温度変化によるものと考えて良さそうだ。従って、良いLCを使えばそれだけでかなり良好な周波数安定度が得られることになる。

参考:gm=200μ℧の球に1kΩの負荷でアンプを作るとゲインは0.2倍である。要するに減衰器になってしまう。10kΩの負荷でもゲインはたったの2倍だ。 だからと言って数MHzの高周波で100kΩの負荷インピーダンスを実現するのは結構難しい。それに球自身のプレートインピーダンスも低下してくる。だからVFOは発振困難なのである。

 【バッファアンプは2SK544F
 周波数安定にとって発振回路とともにバッファ・アンプも重要なポイントであろう。ここでは2SK544Fを使っている。
 VFOではソース・フォロワを重ねる形式のバッファ・アンプを良く見掛けるが、この種のFETでは図の形式の方が有利である。2SK544は帰還容量が非常に小さいのでこうした形式の方がゲインもあって有利なのだ。

 このBlogで何度も書いているように、2SK544F(三洋)は2SK241GR(東芝)や2SK439F(日立)でも良い。2SK19や2SK192Aのような帰還容量:Crssが大きなFETは同じ回路では使えないので注意を。

 アウトプット・トランスは非同調形式である。概ね50〜100Ω程度の負荷が適している。増幅している関係で大きめのパワーが得られるので後続のステージに十分な発振勢力を供給できる。 トランスは写真のような既製品ではなく、自作のトリファイラ巻きでも十分だ。代替品の製作方法は回路図にも書いておいた。具体的な巻線方法はBlogを前の方に辿ってもらえば写真入りで説明されている。

るんだろうか?
 6418のフィラメント・パワーはたったの12.5mWだ。真空管と言えばオレンジ色に燃えるヒータ/カソードをイメージするはず。フィラメントから熱電子を放射させるためにそれなりの温度にはなっているはずだが・・・。

 流石にわずかでも明るいと、光っては見えないが暗黒の状態で注意深く観測すれば写真のように赤く光るのが確認できた。 無機質なガラスと金属片で出来た電子デバイスもこうして光る様子を見ると息吹が感じられるから不思議なものである。

                   ☆ ☆ ☆

 周波数安定性を重視するVFOであるからスイッチ・オンから周波数変化の時間経過を示す必要がある。 周囲温度の変化に対する変動も観測しなくてはならない。 それらは、このあと丈夫な箱に入れてVFOの形にしてから行なうつもりだ。 ただ、BBでの試作であっても周波数安定な感触は十分実感できる。

 まず、ウオームアップ・タイムは非常に短い。 しばらく通電しておいてから、電源をOFF・・・もちろんフィラメントもOFF・・して、5分ほど経過後に電源再投入してみる。周囲温度の変動や風の流れも変わるから完全にもとの周波数には戻らないこともあるが、せいぜい3秒ほどで復帰するのが観測できる。
 連続した周波数変動の観測では、周囲温度が最大の変動要因だ。 真空管による変動は無いに等しいのでそれと無関係にコイルやコンデンサの温度変化がそのまま現れる。 だからG4OEPがバイメタルを使った「コンデンサ」で温度補償しているような手法が有効なのであろう。 きちんとした箱に入れ、LCに直接風が当たるのを避け周囲温度の影響が緩やかになるようにしたうえで「温度補償コンデンサ」の採用でウオームアップ・タイムが短く、周囲温度による変化が少なく周波数安定なVFOが完成する。

少々趣旨がぼやけてしまったが、要は「消費電力の極めて少ない真空管を活かしたVFOは半導体式に勝る」のですよ・・・と言うお話しだ。真空管好きが球を贔屓にすると言った話題ではなく、電子デバイスの特性を十分活かすのがテーマである。

                    ☆ ☆

 実用的なVFOは回路技術だけでは完結できない。ギヤダイヤルのようなバリコンの減速メカは必須だ。 温度特性の良いコイル作成のためには良質のボビンも必要だろう。 もちろん、スムースで温度特性の良いエアー・バリコンも必須のパーツである。 すでにそうしたパーツは市場から姿を消してしまった。 こうした真空管と回路的な工夫で周波数安定なVFOの可能性が開けたとしても、実用品に纏め上げるにはまだまだ様々なハードルが待ち受けているのである。de JA9TTT/1

(おわり)

14 件のコメント:

jn3xby@岩永 さんのコメント...

TTT加藤さんおはようございます。
これは、先日見せていただいた真空管を使われたのですね!
補聴器用と伺っておりましたがVFO用として入手されたということがわかりました。
スイッチオンドリフトが3秒というのは驚異的ですね!
XTALOSCでも結構熱くなるのが多いので、測ったことはありませんがスイッチオンドリフトはそこそこの時間はあるのでは?と思ってしまいます。
今回は、発振周波数を6MHzで設定されていますが何か意図があるのでしょうか?
一般的な外部VFOだと5.5MHzだったかと思いますが。近いから変更はすぐできそうな気もしますが。

TTT/hiro さんのコメント...

JN3XBY/1 岩永さん、おはようございます。 急に涼しくなりましたねえ。

早速のコメント有り難うございます。
> VFO用として入手されたということが・・・
この球はしばらく前に通販で購入しようかと思ったのです。たまたま纏めて購入するという話しがあって・・・。(笑)

> 3秒というのは驚異的ですね!
精密に計測したらもう少し長そうですが、感覚的には2〜3秒くらいですね。早いですよ。

> 6MHzで設定されていますが何か意図が・・・
図の例では6MHzですが、特に意味はありません。実験的には2〜10MHzあたりま色々でやってみました。他の周波数への変更は難しくないので5.5MHzに変更も簡単です。

真空管式のVFOですけれど、消費電流も少なく、電源電圧も共通ですから半導体と共存できるので面白そうです。

JH9JBI/1 やまもと さんのコメント...

こんにちは

 再生検波に使おうと購入したわけですが、確かにGmが低いということもあり20Vくらいかけてやらないと確実な発振状態になりませんでした。10Vでは正帰還はかかっているらしく増幅度が上がるような気はするんですが、発振側にふっても発振が確認できずという感じです。
 途中で別のほうに構ってしまって停滞してますけど12Vできちんと発振できるという実例をありがとうございました。

TTT/hiro さんのコメント...

JH9UJB/1 山本さん、こんばんは。

コメント有り難うございます。
> 再生検波に使おうと購入したわけです・・・
なるほど! そう言う目的だったのですか。

> 20Vくらいかけてやらないと・・・
プレートに20Vくらい掛けてやると格段に元気が出て来る感じです。 15V以下は極端に厳しくなる感じでした。 同じプレート電圧12Vでもヒーター(フィラメント)パワーが大きなカーラジオ用の球(=1,890mW)なら楽勝なんですけど・・・。 12.5mWのフィラメントでは厳しいです。hi hi

> 発振側にふっても発振が確認できずという感じです。
どんな回路かわかりませんが、発振が持続できるほどのゲインはないのでしょうね。

> 12Vできちんと発振できるという実例を・・・
はい、3本ほど交換してみたのですが、多少の個体差はあってもどれでも発振できました。 回路的な工夫をすれば再生検波器も可能だろうと思います。 プレート電流は100μAくらいしか流れませんから大きな出力を取り出すのは厳しそうですね。

山本さんのお陰で、ずーっと懸案次項だった実験が出来ました。一緒に購入して頂きどうも有り難うございました。

JK1LSE/本田 さんのコメント...

なるほど!、電池管を何に使うのかと思ったら、こんなことを考えていらっしゃったとは。
真空管=ドリフトと思っていたのは、固定概念に凝り固まっていたということですね。半導体だって、使い方によってはアチチで使うことだってありますよね。
究極のアナログVFOっていうのも面白いですね。高純度のC/Nが実現できそうです。
後編を期待してます。

TTT/hiro さんのコメント...

JK1LSE 本田さん、こんばんは。 めっきり涼しくて過ごし易いですね。

コメント有り難うございます。
> こんなことを考えていらっしゃったとは。
ええ、電池管は普通の用途では低性能なので魅力的ではないのですが、メリットもあることに気付かされたようなわけです。 特徴を生かせば優位な活用法もあると言うことでしょうか。hi hi

> 真空管=ドリフトと思っていた・・・
真空管=発熱物と考えて、QRHの元凶だと思っていたはずです。 逆に半導体の発熱は確かに少ないのですが、計算してみると意外の大きいのではないかとわかります。 なんで熱くもないのにウオームアップ・ドリフトがあるんだろうと不思議に感じませんでしたか? 実は、トランジスタも意外に温度は上がっていて・・・。hi

> 高純度のC/Nが実現できそうです。
想像ですが、C/Nはそれほど悪くないだろうと思っています。

> 後編を期待してます。
取りあえず後編の予定はございません。ww

私は簡単な受信機にでも使ってみたいと思っております。

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。
最近天気が悪く、雨が降る度に涼しくなっていく気がします。

真空管の方が安定度が良いというのは面白いですね。
半導体の出現がもう少し遅くなれば真空管はもっと進化していたのでは無いかと思います。Hi

低電圧でBBで実験できるのが楽でいいですね^^

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 スッキリしないお天気が続いていますが、連日の猛暑日よりも有難いですね。

コメント有り難うございます。
> 真空管の方が安定度が良い・・・
小信号回路なら半導体の発熱は皆無と誤解していました。だから自身の温度上昇も無いだろうと思っていたのが盲点だったようです。意外に温度が上がっていたんですね。 逆に、発熱の殆どない球もあると言うのも。hi hi

> 真空管はもっと進化していたのでは無いかと・・・
旧ソ連では、西側以上に電子管の技術が発展していたという話しもあります。 ヒーター無しで熱雑音の少ない高性能管とか・・・。 そう言えば、Mig21も結構真空管を使っていたと言う話しでしたね。過負荷で瞬時に壊れない特性を重視したのでしょうか・・。

> 低電圧でBBで実験できるのが楽でいいですね^^
BBの耐電圧はけっこう高そうですけど実験中に感電したくないです。 今どき高電圧の真空管回路は不注意で感電してしまいそう。12Vなら安全で良いです。hi hi

Kenji Rikitake さんのコメント...

真空管のおもしろい応用例として興味深く拝読しました。補聴器の真空管の存在は知りませんでした。

半導体の場合、確かに体積が小さいので、熱平衡に達するまでは温度上昇するのかな、という感じがしています。

Kenji Rikitake, JJ1BDX(/3)

TTT/hiro さんのコメント...

JJ1BDX/3 力武さん、こんばんは。 関西もはっきりしないお天気のようですね。

コメント有り難うございます。
> 真空管のおもしろい応用例・・・
発熱があるのが最大の問題点だった訳ですから、まるで逆の方向ですよね。hi

> 補聴器の真空管・・・
戦前から豊かだった欧米では真空管式もずいぶんあったらしいですね。 米国のSonotone社は補聴器メーカーですが、自身でも真空管を作っていたくらいです。 真空管式Hearing Aidsの展示サイトも見つかります。http://www.hearingaidmuseum.com/gallery/Vacuum%20Tube/index-vacuumtube.htm

> 熱平衡に達するまでは温度上昇する・・・
FETのチップは1mm角も無いし熱伝導の良くない樹脂に包まれています。同じ発熱量でもスポット的なので不利なのでしょうね。

JO1LZX 河内 さんのコメント...

加藤さん、皆さん、こんにちは。

ギヤーダイアルの様な機構部品が必須 に関して 私は
ヤフオク等で時々出品されるTS-520やFT-101ZなんかのVFO
を入手してギヤー部分だけを流量するのが簡単でコスパが
良いと思いますがどうでしょうか?

既にそうなさっている方には余計な話でしたね。

TTT/hiro さんのコメント...

JO1LZX 河内さん、こんばんは。 めっきり秋めいてきましたね。

コメント有り難うございます。
> ヤフオク等で時々出品されるTS-520やFT-101Z・・・・
そうですね。 河内さんが仰る通りなのですが、欲しいと思ったとき誰でもが同じもを手に入れるのは難しいでしょう。ですからから、昔のように市販品が有ったころのような一般性は無いと思います。

古いパーツをお持ちのOMさんは良いのですが、何もないところから部品を揃えてアナログVFOを作って行くのは簡単ではないと思います。 重要部品の調達手段としてジャンクの活用は大いに賛成です。 いまやそれを工夫して使うくらいしか方法はありませんから。hi

真空管式のアナログVFOを扱った意味を否定することになりますが、DDSを使ったVFOならそのような苦労は有りません。 周波数安定度も水晶発振器並みですし・・・・。 今はそう言う時代なので仕方ありません。(笑)

JA8IRQ/福島 さんのコメント...

夏のハムフェアでJF2NMYさんが発表していた出力1mWの50MHzAMトランシーバ
の終段が6418でした。
(たぶん増幅してなくて減衰器だろうと苦笑してましたが・・・)

いろいろな球があるものですね。(JA8IRQ/福島)

TTT/hiro さんのコメント...

JA8IRQ 福島さん、おはようございます。

コメント有り難うございました。
> ハムフェアでJF2NMYさんが発表していた・・・・
そうでしたか。 それは拝見しなくて残念でした。hi

> 減衰器だろうと苦笑してましたが・・・
低い電圧で使う球はgmが低くて増幅させるのはなかなか大変なんですよ。

> いろいろな球があるものですね。
他にも面白い球はあるんですが、実験しきれません。(笑)