Introduction
Do you think designing filter circuits is difficult?
There are many different types of filter circuits. Some of the more sophisticated ones can only be designed with sufficient knowledge and mathematical skills.
However, the filter circuits needed for general audio circuits and the radios used by HAMs can be easily designed.
In this blog, I'll show you how it's done with a simple example.(2024.11.16 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【OP-Ampで低周波フィルタを】
「低周波」に限ったとしても、フィルタ回路の世界はあまりにも広いのです。 設計自体は汎用ですが、ここでは一例として3D Audio用のフィルタをお題にして簡単なフィルタ回路を設計しましょう。
なんでも手っ取り早いことが尊ばれるような昨今では、自らじっくり設計・製作してみたいという人は稀になっているのかもしれません。 もちろん希望にマッチするような既製品やキットの類が容易に手に入るなら何も苦労して設計する必要はないのかもしれません。 タイパも含めて経済性も優れている筈です。
でも、それだけに頼ってしまうと自身が必要とする仕様にマッチした「便利な既製品」が存在しなかったらお手上げです。 極めて高度なフィルタは難しいとしても、シンプルな範囲で設計できるだけでもかなり有利ではないでしょうか? 一般的な回路・・・例えばラジオやオーディオ機器ならそれほど高度なフィルタは必要ないものです。 たいていシンプルなもので済むことがほとんどです。 いきなり数字を出して恐縮ですが、オーディオ回路なら-18dB/octよりも急峻なフィルタの必用はあまりないでしょう。
さっそく自家用のまとめ情報としてOP-Ampを使った低周波フィルタを設計してみましょう。 少し前のBlog(←リンク)で扱った3D-Audio System用のチャネル・フィルタを例にします。 写真はオーディオ・フィルタによく使われる真空管:12AT7とオーディオ回路に向いたOP-Ampの具体例です。
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電子機器を回路設計、部品集め、必要に応じて基板設計まで行なって製作する人はもう稀なのかもしれません。 そうした可能性がぜんぜんない人がこの先を眺めても時間の浪費になります。 今日という一日を是非とももっと有効な目的にお使いください。 しかしフィルタ回路に興味があったり、たったいま簡単なオーディオ・フィルタが欲しいのでしたら何かヒントが得られるかもしれません。
【3D-Audio System用フィルタ】
さっそく回路図です。
この回路は3D-Systemを構成するために必要なチャネル・フィルタです。 ステレオ・オーディオの左右のチャネルからごく低域の・・・この例では70Hz以下の成分を取り出すためのフィルタです。
既存のオーディオ・システムに付加することを目的に設計しました。 いま使っている左右のスピーカは再生帯域があまり低い方まで伸びていないとしましょう。 だいたい8〜16cm程度のフルレンジ・スピーカを使っているようなシステムです。
左右のチャネルの信号は70Hz以上を通すような高域フィルタ(HPF)を通過します。 そのあとはメイン・アンプに導かれて左右のスピーカを鳴らします。
このフィルタは増幅度:ゲインは1倍です。 既存のステレオ・システムのプリアンプとメインアンプの間に入れて使います。 扱うオーディオ信号の大きさは平均値で0.1〜1V(rms)程度を想定しています。
これよりも小さいとS/N比が悪くなります。 また10V(rms)といった大きな信号は歪むので注意します。 しかし、標準的なオーディオ・システムでしたらそのまま接続できる筈です。
もちろん管球式アンプを使ったオーディオ・システムでも大丈夫です。 もっとも管球式でしたらフィルタも真空管で作る方がそれらしくて良いかも知れませんが・・・
部品は容易に手に入るものを選んでいます。 OP-Ampは回路図のTL074CNに限らず、オーディオ回路に向いたものでしたら何でも大丈夫です。 最初の写真にあるようなNE5532P、NJM4580、LM833Nなど、いずれも安価で十分な性能を持っています。 もちろん、コダワリのオーディオですからもっとAudio向きのOP-Ampを使うのも良いでしょう。 気休め以上の効果が期待できるかも知れませんので。
できるだけ経済的に済ませたいなら4558型も思った以上に良好です。 外付け部品を増やせばLM358NやLM324Nも使えなくはありません。しかしこれらチープなOP-Ampはオーディオに於いては何もメリットを感じられませんね。やめておきましょう。
コンデンサと抵抗器は精度が必要です。 特にコンデンサに課題があって、1%精度といった高精度品を購入するか±10%精度の一般市販品からLCRメータやインピーダンス・ブリッジを使って選別します。 測定器さえ持っていれば(手間はかかりますが)かなり経済的です。(参考:電源のバイパス用コンデンサと入・出力部分の1μFは高精度の必要はありません)
抵抗器は1%精度の金属皮膜型が普通に買えますので問題ないでしょう。 できたらカーボン抵抗器はやめるべきです。
参考:(交叉周波数Fcの変更方法)
回路図で下記のコンデンサの大きさを変えると現状の約70Hzの交叉周波数:Fcを変更することができます。交換するコンデンサは以下のものです。必要数は10本です。
C2,C3,C4,C6,C7,C8と、C11(ただし2本並列にする)、C12(ただし2本を直列にして使う)
なお、各抵抗器の値はそのままで大丈夫です。
C=0.033μFではFc=86Hz、C=0.027μFでFc=105Hz、C=0.022μFではFc=130Hzになります。 回路はそのままで、ご自身のスピーカ・システムにマッチするように変更できます。
電源回路は含んでいませんが簡単に作れます。 プラス・マイナス15Vの電源で電流容量は100mAくらいあれば十分です。 15Vx2で0.5A程度の電源トランスとブリッジ・ダイオード、1000μF/35Vの平滑コンデンサ(2個)、あとは三端子レギュレータ:7815と7915があれば作れます。 実際には100mAも必要としないので既存の機器から分けてもらえるかもしれません。
【フィルタ特性と簡略設計法】
上記の例では70Hzで設計しました。 しかし自身のシステムの都合で他の周波数に変更したいこともあるでしょう。
例えば、私の10cmフルレンジ・スピーカのようにサブ・ウーファには120Hz以下を受け持たせないと旨くないのだ・・・とか、或いはアマ無線での用途でしたらマイクアンプに2.7kHzのLPFをいれたい・・・と言ったような場合です。
まず、フィルタの特性ですがグラフのようになります。 抵抗器:Rとコンデンサ:Cが各1つの最も簡単なフィルタの場合、-6dB/octの特性になります。
これは周波数がオクターブ、すなわち2倍になると、出力は-6dB・・・約半分に低下すると言う意味です。 同様に-12dB/octは2倍の周波数で-12dB・・・約1/4に、-18dB/octなら2倍の周波数で約1/8に低下する特性です。
なお、一般にフィルタの急峻さはXdB/octで表すことが多いのですが、10倍の周波数における減衰量:YdB/decで表す例も見ます。 decというのはDecade(10倍)という意味です。 グラフには両方を書いておきました。
RとC一つのフィルタを多段に重ねれば急峻なフィルタができそうに思うかも知れません。 しかし、それではうまくないのです。 設計遮断周波数:Fcのところで(-3dB)+(-3B)=-6dBになってしまいます。 Fcは-3dBの周波数を言う訳ですから単純に重ねたら遮断周波数が変わってしまいます。 そのため、-6dB/octのC-Rフィルタを多段に重ねるのではうまくないわけです。(方法がないわけではありませんが、R-Cのみで実現する方法はかなり煩雑です)
そうした前提で、左図に正しい-12dB/octあるいは、-18dB/octのフィルタを設計する計算式をメモっておきました。 フィルタが必要になったら思い出して使おうと思います。
・・・と、サラッと書いておしまいでも良いのですが、設計の勘所を書いておこうと思います。 コンデンサや抵抗器が任意に選べるなら良いのですが、そう都合良くは行きません。 よほどの量産品なら部品を特注で作ることが可能かも知れませんが普通はE系列(←参考リンク)の標準品から選ばなければなりません。 特にコンデンサは自由度が少なくて、なるべくE6やE12系に基づく標準品から選ぶ必要があるのです。
上記の3D-System用のフィルタは70Hzで設計していますが、厳密には70.0Hzではありません。 部品に誤差がないとして72.87・・・(Hz)になっています。 3Hz弱の誤差がありますが、使う上で支障はないので製作しやすさを優先しています。 コンデンサとして大量に手持ちのある0.039μFを使う前提で、遮断周波数:Fcが70HzになるRの値を求めると58.299kΩになります。 それに近いE12系列には56kΩがあるので、それを選ぶわけです。 もちろん、0.039μFというのは手持ちの都合なので、より一般的な0.033μFで設計しても良いわけです。その場合、Rの値は68kΩが適当です。さらに0.047μFと47kΩの組み合わせというのでもOKです。
-12dB/octの場合、中途半端な値のコンデンサが必要になるのが問題ですが、-18dB/octのときは心配ありません。 必要なコンデンサの値が0.039μFの2倍の0.078μFと0.039μFの半分の0.0195μFになるので、2本並列で2倍、2本直列で半分の容量が簡単に得られる訳です。 このようにして、できるだけ容易に入手可能なコンデンサや抵抗器で実現できるように設計すると現実的です。
たとえば、Fc=1kHzのフィルタを作るとしましょう。 計算式は:Fc=1/(2・π・C・R)です。 コンデンサは一般的な0.01μFを選ぶとします。 式を変形しRを計算すると抵抗器:Rとして15,915Ωが求まります。 このばあい、15kΩの抵抗器か16kΩの抵抗器が使えないか検討します。 15kΩを使うとFc≒1061Hzに、16kΩならFc≒995Hzになります。 E24系列の抵抗器が使えればFcの誤差が少ない16kΩがベストですが、15kΩならE12系で済みます。Fcに6%の誤差が出ても構わなければ15kΩで良いことになります。
エレクトロニクスは実用の科学なので、支障のない範囲で現実的な設計がベストということになります。 選択肢が限定されやすいコンデンサを初めに検討し(選択し)、自由度の大きな抵抗器を求めて実用的な設計に仕上げるのが常識(ノウハウ)と言った感じでしょうか。
このあと、少しだけフィルタ特性の実現法について追記します。
【-6dB/octがR-Cフィルタの基本になる】
上図の(A)の回路です。抵抗器:Rとコンデンサ:Cを一つずつ使う回路がフィルタの基本です。
なお、図は低域濾波器・ローパスフィルタ:LPFですが、抵抗とコンデンサを入れ替えると高域濾波器・ハイパスフィルタ:HPFになります。
この回路の動作は直感的によく理解できます。 コンデンサのリアクタンス:Xc=1/(ω・C)です。 なお、周波数をfとすれば、角周波数:ω=2・π・fです。 入力信号の周波数:fが高くなってXc=Rとなる周波数では出力は1/(√2)=0.7071・・・すなわち-3dBとなります。 この周波数がf=Fcです。
周波数fがFcよりどんどん高くなれば、コンデンサのリアクタンス:Xcも益々小さくなります。 従ってこの回路の出力もどんどん小さくなります。 フィルタとして旨く働くことがわかりました。 このあたりはごく直感的に納得できます。
R-Cのフィルタは真空管ラジオやアンプの電源平滑回路などに良く使われました。 基本的に-20dB/decですから、Fc=5Hzくらいに選んでも、50Hzのリプルは-20dB・・・すなわち1/10にしかなりません。 Cを10倍にして、Fc=0.5Hzにしても-40dBですから意外に効かないわけです。それに平滑コンデンサ:Cを10倍にするのは大変ですし・・・。 (フィルタは「段数」で効くので、むやみにCを増すよりも、そうするのが効果的。脱線でした・笑)
【OP-Ampを使った2次のフィルタ】
上図の(B)のフィルタ回路です。-12dB/octの特性が得られます。 〜30年くらい前までは真空管のカソード・フォロワやトランジスタのエミッタ・フォロワを使って構成していました。いまはOP-Ampを使うのが常識的でしょうか?
出力側から入力側へ正帰還を掛ける形式にするとFcあたりの特性を変えることができます。 図はダンピング係数:ξ=1/(√C1/C2))として、ξを変えて行った場合の特性変化を示します。(ξ:ギリシャ文字のグザイ)
ξ=1/(√2)=0.7071に選ぶと遮断周波数:Fcにおいて-3dBとなり、また通過帯域の振幅特性も平坦な特性が得られることがわかります。 これが(B)の-12dB/octのフイルタ特性です。
この回路の場合、ξが1/(√2)ですから、C1もC2も綺麗な値にはなりません。 ただし、R1=R2=Rを変えてやるとCを選びやすく変形することもできます。C1=2・C2に選んで、Fcに合うようにRの方を計算する訳です。 工夫の甲斐があるのでやってみると面白いです。
アクティブ素子にOP-Ampを使うと、入力インピーダンスが十分高く、出力インピーダンスが非常に小さく、しかもゲインがほぼ1.0になり、理想に近いため設計値に極めて良く一致する特性が得られます。 思ったフィルタ特性が得られないとすればおそらくRやCの誤差に原因があるでしょう。 再検討しなくてはなりません。
また、真空管のカソード・フォロワやトランジスタのエミッタ・フォロワを使うと理想通りとは行かず、定数をいじって特性を出すと言った加減が必要になります。 昔は目標の特性を出すためにかなり苦労した筈です。 OP-Ampの有難さがわかります。(理想的と言えるのはOP-Ampのゲインが十分得られる可聴域の低い方と言った低周波域に限ったはなし。 フィルタの設計遮断周波数:Fcが高くなるとOP-Ampの理想的でない所が見えてきます)
【3次フィルタで-18dB/oct】
-6dB/octと-12dB/octのフィルタを組み合わせると-18dB/octのフィルタが作れます。
ただし、単純に(A)と(B)を重ねるとうまくありません。 Fcにおいて-3dBではなく-6dBになってしまうからです。
単純に重ねただけではダメなのは、-6dB/octを重ねて-12dB/octが旨く作れないのと同じ理屈です。
一つ前の項の2次アクティブ・フィルタのグラフを見ると、ξ=0.5にすれば遮断周波数における出力は0dBですから(A)の-6dB/octと組み合わせることで旨く行きそうです。
左図はその様子を示したものです。 ξを0.5に選んだ2次のアクティブ・フィルタとR-Cのパッシブ・フィルタをカスケードにすることで-18dB/octのフィルタが作れます。
-18dB/octという特性は-60dB/decですからかなり急峻な傾斜を持ったフィルタと言えます。 3Dシステムのみならず、マルチウエー・システムの分波フィルタなど、一般的なオーディオ回路には十分な性能のフィルタと言えるでしょう。 利用範囲の広いフィルタ回路です。
さらに実際の製作でも-12dB/octよりむしろ作り易いと言えます。 ξ=0.5なら、(C)の回路におけるC2とC3が作り易いからです。 1次のフィルタ:(A)の回路と同じ値のコンデンサの直列や並列で旨く構成できるからです。
あえて欠点を言うとすれば、部品数が増えること、OP-Ampの段数が多くなってノイズが増える可能性がある・・・と言った所でしょうか? ノイズの問題はあまり低レベルの信号の場所に使わないと言った配慮で解決できるでしょう。 それに最近のOP-Ampなら真空管時代のHumやショットノイズよりずっとマシなはず。
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【ハイパス・フィルタは?】
ここまで書いて高域フィルタ、ハイパス・フィルタ:HPFの設計を忘れていることに気付きました。w
(A)の回路はRとCを入れ替えるだけなので良いとして、(B)の回路について詳しく書きます。
初めにハイパス・フィルタ回路に変換しましょう。 その時に、R1がC1に、R2はC2になるようR→Cに書き換えます。 続いて、元々のC1がR1に、C2はR2になるようC→Rに書き換えてください。 これでハイパス・フィルタ回路になりました。 以下、置き換え済みの左図を見ながら進めます。
C1=C2=Cとして、Cの値を予め決めます。 ハイパス・フィルタの遮断周波数をFcとします。 以降の設計ではR1の値とR2の値を求めることになります。 それぞれ図中の式で計算できます。 なお、3D-Systemやマルチ・ウエー・システムに使うフィルタではLPFとHPFの交叉周波数、すなわちFcは必ず一致させます。
ダンピング係数:ξはLPFの時と同じ意味です。 -12dB/octのHPFの場合は、ξ=0.7071で、(C)の-18dB/octで作る時はξ=0.5で計算すればOKです。 特に難しいこともないと思いますので、実際の設計結果(70Hzの設計例)を使って検算すれば確認できます。
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【コンデンサを選ぶはなし】
コンデンサの話をはじめるとキリがないかも知れません。 オーディオの場合、単に電気的な性能だけでなく音色と言った人の感性に依る部分もあるからです。
写真はごく一般的なポリエステル・フィルム・コンデンサで、Dupont社の商品名であるマイラ(Mylar)樹脂のフィルム使っているので、マイラ・コンデンサと呼ばれることも多いようです。
昔のペーパー(紙)コンデンサに代わって低周波回路で広く使われています。 吸水性が殆どないため、ペーパー・コンデンサで問題になった経年劣化による絶縁低下はほとんどありません。 温度特性が少し良くないと言った欠点はありますが、ごく一般的な低周波回路にはほとんどの場所に支障なく使えます。
昔ながらの巻回型のほか積層型もあって最大で数μFの容量が得られます。 ただし容量や耐電圧に比例して形状が大型化するのは仕方ありません。 1μF以上と言った大きめの容量が必要なら積層型を選ぶとかなり小型化できます。
フィルタ用として定評のあるコンデンサにはスチコン(スチロール・コンデンサ)があって、低損失でHigh-Q、低温度係数と言った優れた特性があるのですが、熱に弱く面実装できず、さらに小型化に適さないためほとんど使われなくなりました。 代替としてポリカーボネート・フィルムコンデンサがあって同じく優秀なのですが、ハイコストです。入手性もあまり良いとは言えないので困ります。 RS Compo、Digi-KeyやMouserと言った部品商社から通販で少量の入手も可能ではありますが高額になりがちです。
もちろん良いコンデンサを使うに越したことはありませんが、マイラ・コンデンサで済ませるのも現実的で悪くないと思っています。 いくらか欠点もありますが、歪みやノイズと言った大切な特性はマズマズなのでオーディオの目的には心配せず使えるでしょう。 マイラ・コンデンサはまとめて安価に入手できることも多いので、LCRメータで容量選別して使うと非常にコスパが良くなります。 まとめ買いなら単価¥10-くらいで手に入ります。
最近はなんでも面実装で製作するため、面実装になじみの良い積層セラミック・コンデンサを使いたくなるかも知れません。 まず、高誘電率系の積層セラコンはバイパス・コンデンサ以外の場所には使えないと思った方が良いです。 加わる信号の大きさや直流バイアスの大きさによって容量値が大きく変化するものが多いからです。 基本的に信号が通過する部分に使うのはやめた方が良いです。バイパス・コンデンサ専用と考えるべきです。
しかもセラミックス・コンデンサにはわずかですが圧電特性があってオーディオ信号が加わると「鳴く」ものがあります。 鳴くようなコンデンサは、逆に振動ノイズを拾ったり歪み発生の懸念があるため使ったらダメでしょう。
高誘電率系と違って温度補償系のセラコンはずっと優秀ですがアマ無線の受信機のような通信機の低周波回路ならともかく、純然たるオーディオ機器の信号系に使うのは好ましくないと思っています。 稀に数pF〜数10pFをOP-Ampの位相補償などの用途に使うこともありますが、なるべく避けたいものです。 小容量のコンデンサならディップド・マイカが良いです。
コンデンサが適切に使えるようになってやっと一人前の回路屋と言われるくらいなので、使い方は思ったよりも難しいです。まずは使ったらダメそうなコンデンサを覚えておいたらオーディオの製作に不自由はないと思ってます。
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3Dシステムやマルチウエー・スピーカ・システムに使えるシンプルな設計のフィルタを扱ってみました。 なるべく難しそうな話は避けて、もの創りに役立つような実用設計に絞ってみました。 オーディオとか一般的な低周波回路の用途ならだいたいカバーできると思っています。 計算も難しくはないので、自身の希望にあったフィルタ回路が自在に設計できたらいいなと思っています。
フィルタにはより高度なものがあって、設計をより一般化するには難解なフィルタ理論に踏み込まざるを得ないのかも知れません。 あらゆるフィルタを・・・となると一冊の専門書でも足りないくらいでしょう。 有難いことにフィルタ設計の良書がネット上にあって無償で入手できます。一段と高度な設計を希望するなら紐解いてみるのも良いと思います。 今回はこれで終わりましょう。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)fm