【3番目の中華DDSモジュール】
既にお馴染み、中華DDSモジュールである。 最近になって、またもや違うタイプが登場したと言う。 一番右のように、透明なLEDが載ったモジュールだ。
このモジュールにはNTKと言うブランド名と125MHz、3.3Vと印刷文字のあるクロック発振器が載っている。
少し前に大阪のJE6LVE/3高橋さんが購入された物が同じような特徴を持ったモジュールだったそうだ。 さらに、このBlog読者のお方が最近になって購入された物がこれだそうで、評価用にお送り頂いたのでお願いして1枚赤色LEDのものと交換して頂いた。 もちろん、詳しい評価のためだ。
【問題のあるクロック発振器】
実は、このモジュールに搭載のクロック発振器には2つの問題点がある。
写真の様に、まずは書いてある仕様が問題なのだ。
DDS-ICのAD9850を125MHzクロックで使うためには5Vで動作させなくてはならない。3.3Vでは125MHzを保証していないのだ。クロック発振器を無理を承知で5Vで使うことになる。
逆にAD9850を3.3Vで使うことは支障ないのだが、今度は125MHzクロックでの動作が保証されない。仕様書の保証範囲は3.3Vでは110MHzまでだ。 結局どちらかの定格を無視して使わざるを得ないのだ。 安全サイドは3.3Vで使うことだが、125MHzでも取りあえず動くかもしれないが、暑くなったり寒くなると誤動作するかも知れないので好ましいとは言えまい。
もう一つの問題点は次の写真である。
【ノイジーなクロックに戻ってしまった】
残念ながらノイジーなクロック発振器に戻ってしまったようだ。 以前のBlogで評価したときのように-55dBc程度のサイドバンドノイズがあって、基本的に通信機用途には「使えない」のである。
最近になって、写真と同じ125MHzクロック発振器が搭載されていて、基板上のLEDはクリヤーで青色に点灯するDDSモジュールを入手されたお方はお気の毒だがNG品を掴まされた模様である。
対処方法は奇麗なクロック発振器に交換することだが、それについては前のBlogに書いた通りだ。 一番のお薦めは100円で買える64MHzクロックへの載せ換えだろう。 DDS出力周波数で見て上限20MHzくらいで済む用途へなら消費電流も少なくなるのでベストだと思う。
備考:頒布中のDDSコントロール用マイコンも64MHz対応するのでその旨お書きを。
☆ ☆ ☆
【180MHzのクロック発振器】
おなじ中華DDSの話題なのであるが、こちらはAD9851を使う方のやや高価なモジュールに関する話しである。
以前中国からの通販で共同購入したAD9851を使うDDSモジュールには30MHzのクロックオシレータが搭載されていた。(青色基板のモジュール。aitendoの物・・最近は黒い基板らしいが・・と見た所は同じだがAD9851が載っている)
AD9851にはクロックを6遞倍する機能があって、内部は180MHzで動作できた。 当然発生可能な周波数もアップするから例えば50MHzで使いたい・・・となれば、AD9851が断然有利であろう。
しかし、30MHzクロックを内部で6逓倍すると、どうもジッター(=周波数あるいは周期の揺らぎ)が大きいのではないかと言う話しもあって、それなら内部逓倍などせずに最初から(奇麗な)180MHzクロックを与えたらどうだろうかと言う提案をしておいた。
ただし面実装型で180MHzのクロック発振器は得難いと思っていた。少なくとも安価には。
ところが、それがあったのだそうで、違う環境での相互確認のためにサンプルをお送り頂いた。LVE高橋さん、VY-TKS! お話によればどうやらハズレを掴まされた感じがするとのこと。 それで拙宅でも確認の運びと相成った。
【やっぱり・・・】
写真は、180MHz中心に全体で10MHz幅を観測している様子だ。 高分解能スペアナの守備範囲を越えているので、上限周波数の高い別のスペアナでスペクトラムを観測している。
上の写真の125MHzクロック発振器とはまた違ったスペクトラムであって、以前評価したことのある「プログラマブル・オシレータ」とそっくりであった。 案外、同じ仕組みのオシレータ回路が面実装パッケージに入っているのかもしれない。
それにしてもたいへんノイジー・・・と言うよりジッターが酷くて、最初はスペアナが不調なのかと疑ったほどだ。 機器が不調では相互確認にならない。それで念のため校正用CAL信号を観測して正常なのを確認する始末であった。 それでやっと観測結果に自信が持てたと言った案配なのである。(笑)
【だめ押しだが・・】
一応,2MHz幅でも観測してみた。 上の写真もそうだが、信号は絶え間なく激しく揺らいでおり、平均化処理をしないと旨くスペウトラムを観測できないほどなのである。(相当酷い状態)
ひょっとしたらスペクトラム拡散式のオシレータなのじゃないかと疑ったくらいだ。 それにしても中心スペクトラムは大きく存在するからそれもちょっと違う感じなのだ。 要するに,何かデジタル処理機器用のクロックなのであろう。 高速クロックでさえあれば良いような用途に使うモノなのだろう。言うまでもないが通信機の用途には不適である。
意外に安く売っていたとかで、お互い大いに期待していたのだが残念でしたと言う結末であった。 結局、安価で奇麗なクロック発振器と言うのは得難いのだ。 表示周波数を見ただけでは適否の判断はできないから、良く吟味しないととんでもないモノを使ってしまうことになりそうだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
自作の高次オーバートーン発振器も一旦は無用になってしまったと感じていた。 しかし、奇麗で間違いのないクロック発振器は得難いとなれば選択肢の一つとして再浮上しそうだ。 最近になって感じているのだが、奇麗と称する125MHzクロック発振器はあまりにも消費電流が大き過ぎるように思う。 パッケージが触れないようではちょっと発熱が過ぎる。 定格電圧は書いてないがひょっとしたら3.3V用じゃないのかと言う話しさえもあった。試みに3.3Vで動作させると常識的な消費電流に落ち着くようなのだが・・・。
どうも中華品質に翻弄され気味だが、64MHzのクロック発振器で使えばスペクトラムの心配は無く電気も喰わないので「欲張らないのが吉」ということらしい。(笑) de JA9TTT/1
(おわり)
2 件のコメント:
加藤さん、おはようございます。
さすが中華製品、色々と話題を提供してくれます(笑)
しかしこうも届く製品に差があると、やはりOSCは別で考えないと安心して頒布もできませんね。
チェックのためにスペアナが必要なようでは安価なメリットがありませんし(笑)
JE6LVE/3 高橋さん、おはようございます。 情報や試料、ども有難うございました。
さっそくのコメント有難うございます。
> こうも届く製品に差があると、やはりOSCは別で・・
そうなんですよ。 自作クロックも周波数が問題になるので、頒布マイコンにも影響が及びますし・・・。
> チェックのためにスペアナが必要なようで・・・
誰かが纏めて調達し、チェックしてから頒布すれば安心かも知れませんが、ハズレを掴まされると目も当てられません。怖くて実行できませんね。 まあ、64MHzの載せ換え前提なら+100円で対応もできるんですけれど。各自で考えてもらいましょう。(笑)
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