8月16日は送り盆の日,懐かしい本の話しでもしようか。初孫と言って可愛がってくれた祖父母が健在だった頃の・・・。
半年も前になろうか、ネット古書店で昔々読んだ本を見つけた。 懐かしさのあまり入手してみたのであった。
ワイヤレスマイクを扱う本は幾つも出版されていたがこれが印象深く感じる。 製作を主体にした内容だが、初歩的な理論も載っており電波を出してみたいと言う欲求に様々応える内容だったと思う。 半導体と真空管の混じる過渡期だったので面白かったのかも知れない。
当たり前のように色々なワイヤレスマイクが載っている。 ただ、今どき何かの役に立つのかと言われれば、それも無いのだが・・・送られて来た懐かしい本の表紙を開いた。(初版:昭和38年/1963年・・私が読んだのは1967年頃と思う)
【サブミニ管を使った50MHzトランシーバ】
記憶にあったのはこのトランシーバの製作記事であった。
リード線タイプのサブミニチュア真空管:5672と5676を使っている。 サブミニ管を使う・・・と言う部分に興味を覚えたのかも知れない。 左写真の回路図を見ればわかるが、この種のトランシーバは3A5と言う双三極管を使った物がポピュラーだろう。
入手のことを考えたら3A5が有利だった。サブミニ管を使ったからと言って一段と小型になった訳でもない。 ただ、通販では3A5もサブミニ管も普通に入手できた時代だった筈だ。 サブミニ管は町の電気屋には売っていなかったし家電品にも使われていなかったから物珍しさはあったと思う。
#他の部品はともかく、遠の昔に廃れた筈のサブミニ管が入手できるのだから今は凄い。
もう一度読んで記事は面白かったが流石に超再生のトランシーバを作る酔狂も感じなかった。hi hi
【TRIO TRH-1】
TRIO(=いまのKenwood社)のトランシーバ、TRH-1は愛称:スカイドリームと言って当時は珍しいHF帯(80mと40mバンド)のCWとAMのトランシーバであった。 ワイヤレスマイクと言いつつ、かなり本格的なキットの解説もあった訳だ。(実体配線図付き)
受信部は標準的な5球スーパーにBFOが付いた程度の代物である。 送信部は6AR5の水晶発振にUY-807の電力増幅が付いた構成であった。 まあ、80mと40mなら実用範囲の構成だと思う。
あまりのシンプルさに初心者にさえ馬鹿にされそうな構成ではあるが、今になって思えば意外に実用性があったのかも知れない。 アルミ弁当箱シャシにアルミパネルと言う自作送受信機が全盛の時代にあって、オールインワンで持ち運べるコンパクトさはメーカー製キットならではの物だったろう。何しろ発売は1963年頃なのだから。(回路図がないと寂しいのでコメント付きで追加:2012.08.19)
混んでいるバンドでは選択度を何とかする必要はあるが、CWならかなりQSOできそうだ。 ファイナルは10Wも出るUY-807だし、けしてワイヤレスマイクの範疇にはなく、立派な送信機なのだから。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時々ワイヤレスマイクが欲しくなることがある。 身近な音源をラジオに飛ばしたいからだ。 それにはFMステレオが良い。「高度な」ワイヤレスマイクもワンチップで簡単に作れる時代になった。安価な市販品だってある。 そんな時代だからワイヤレスマイクも電子入門者の興味対象ではなくなってしまった。 作ってみたいなどと言い出すのは恐らく「昔のラジオ少年」くらいのものであろう。 スマホで友達と簡単に「交信」できるのだから若者にとって目新しさなど何処にもない。今はワイヤレス時代なのである。(だからヒモ付きのHF-PLCなど既に時代遅れだと言うのに・・・)
TRH-1のコンセプトは今でも面白そうだ。 5球スーパーのまんまでも良いかも知れないが、受信部は少し強化してLA1600にBFOを付けて・・・もちろん世羅多フィルタも付けてやろうよ。 送信部は真空管かな? やっぱりUY-807・・だろうか? え?VFOも付けてDDSで行けって? 板金が億劫だから何処かに良さそうな中古でも落ちていないかなあ。(爆)
お盆も過ぎれば8月も後半、読経の後ろの蝉時雨に少年の頃を思い出す。 残した宿題に手を焼いた苦い思い出も蘇るのだが・・・。 こうして大人の夏休みも終わって行く。 この本を手にした頃、何時かは何でも纏めて試してやろうと思ったものだった。 今からでもそれは遅くないと思いたい。 de JA9TTT/1
(おわり)
18 件のコメント:
こんばんは。
ワイヤレスマイクの制作記事は定番でしたが、当時は受信するFMラジオが自宅になく、
No.88コイルを使ったAMワイヤレスマイクを作ってました。
当時の制作記事、今だと電波法違反になるものが多そうですね。特に球式は(笑)
JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。 関西のお天気は如何でしたか? 今日の北関東は暑かったです。(汗)
さっそくのコメント有難うございます。
> 当時は受信するFMラジオが自宅になく・・・
FMラジオは有っても、放送しているのはNHKだけ・・・と言う時代が長かったですからね。 なので、ラジオと言えば拙宅でもAMと短波でした。(笑)
> 今だと電波法違反になるものが多そうですね。
真空管式では6BE6を使うワイヤレスマイクが多かったのですが、少し長いアンテナを繋ぐと違法状態だったでしょうね。・・・ずいぶん良く飛びましたから。(爆)
そうかと言って、2SA52とかゲルトラを使った本当の意味でのワイヤレスマイクはちっとも飛ばなかったです。 考えてみれば波長の長いAM帯でわずか1mくらいのアンテナ線だけで飛ぶわけなかったです。(笑)
こんばんは
流行にのってタブレットを入手しました。
ちと隔世の感があります
5672、5678と5676は以前安売りしていたので結構入手しました。リード線を切るのが勿体無く、延ばした状態だと高インピーダンスで発振しやすくなるのとマイクロフォニック雑音が大きくて結構扱いづらかったですね。思いきりが肝心ですねhi
JH9JBI/1 山本さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> 流行にのってタブレットを入手しました。
ソレでご覧になっているんでしょうか? レイアウトなどが最適ではないかもしれませんね・・・。 何時何処からでもご覧になれますね。これからもこのBlogを宜しくです。(笑)
> 以前安売りしていたので結構入手しました。
お書きのように、オーディオに使おうとするとマイクロフォニックノイズが大きくて旨くないんです。 それでラジオ以外に使い道もないのでお安いのだと思います。RF性能が格別良い訳でもないので通信機にもイマイチですしね。hi hi
> 思いきりが肝心ですねhi
短く切って一列タイプのICソケットに刺して使うのが良いですよ。 直接配線と違って使い回しもできますから足切りも思い切れます。(笑)
電池も良くなっていますから、サブミニ管で遊ぶのにも良い時代ですね。hi hi
拙宅には泉弘志さんの「図解ワイヤレスマイク製作集」(誠文堂新光社)という類書があります。これには真空管を使った製作例が3つ掲載されていますが、シリコントランジスタを使った製作例も多いので、ずっと新しいものだとお思います。実体配線図が非常にわかりやすいです。これは私がアマチュア無線の世界にはいるきっかけになった本の一つです。
JR2WZQ 河野さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> 「図解ワイヤレスマイク製作集」という類書が・・・
昔はラジオ作りの次にやってみたい事の一つでしたから、ワイヤレスマイクの記事や本には人気がありましたね。焼き直して繰り返し出版されたのだと思います。 hi hi
> アマチュア無線の世界にはいるきっかけに・・・
そう言う道筋でHAMになったお方は大勢おられそうですね。(笑) 強い電波を合法的に出そうとすればやっぱりHAMしかありませんので。hi hi
加藤さん、皆さん、こんにちは。
私も1972年、小6の夏休みの自由研究でFMワイヤレスマイクを作ったのですが、受信するFMラジオが家になくて、本当に動いているのかどうか確認することもできず。ちょうど40年前の今頃でした。
JG1EAD 仙波さん、こんにちは。 今日も残暑が厳しいですね。Over 35℃です。hi hi
コメント有難うございます。
> 自由研究でFMワイヤレスマイクを作ったのですが・・・
FMのワイヤレスマイクは真空管時代にも存在したように思うのですが、FMラジオは家庭には普及しませんでしたね。
高校生のころ「R-10.7」と言うTRIOのIFTを買ってFMラジオを自作したのですがあまり良く聞こえませんでした。GDMは良く聞こえるのに・・。(笑)
アンテナが良くなかったのが理由かもしれませんが、ローカルのNHK-FMの他は実験局のFM東海と言う時代でしたので・・・。
FMラジオ自体にまだ魅力がなかったので普及しなかったのだと思います。 NHKはクラッシック音楽が主体でしたし・・・。 暫くしてFM-TOKYOもできて手軽なステレオ音源になったのはFBでした。
> ちょうど40年前の今頃でした。
あの頃も暑い夏休みだったのでしょうね。 さっきからミンミン蝉が暑苦しいです。(笑)
こうして夏も終わって行きますね。 行く夏を惜しみましょう。hi hi
こんにちは。
処暑だそうですが、毎日干からびるほど暑い
日が続いております。
このテの雑誌/書籍は神保町の「M」書店が
有名?ですが、記事の内容も良いのですが
お値段もなかなか「良い」ので手が出ません
それでも見に行くたびに入れ替わって行き
ますので売れているのでしょう。
私にとって自作送信機第1号はFMのワイヤレス
マイクでした。丸鉛筆にスズメッキ線を巻いて
コイルを作り、周波数の調整はコイルを伸ばし
たり縮めたりして・・あのころは作るものは
成功、成功で気をよくしていたもの、最近は
失敗とか途中頓挫の連続です。
ところで当時のアマ無線送信機の記事を見る
とほとんど3.5/7Mcしかありませんが、当時
入門の電信/電話級は3.5と7McしかOKになら
なかったからのようですね(私の時代はすでに14以外はOKになっていました)
JI1TWW 半田さん、こんばんは。 毎日暑いですね。
コメント有難うございます。
> お値段もなかなか「良い」ので手が出ません・・・
神田に探しに出るお方は多いので、高くても売れるのでしょう。 欲しければ幾らでも・・・と言うお方も居られますから。(笑)
> 自作送信機第1号はFMのワイヤレスマイクでした。
私は時代からAMのワイヤレスマイクでしたね。ただ、意外に早く免許を取ったのでその次は12BY7がファイナルの2ステージでしたね。
FMワイヤレスはずっと後になってTrで作りました。
> ほとんど3.5/7Mcしかありませんが・・・
21MHzは後からできたバンドです。また、1アマ以外はバンドの制限がありました。
資格による制限がなかったのは3.5/7/50MHzくらいでしたので作るのが容易な3.5/7MHzが製作記事のメインだったのでしょうね。
あと、田舎の50MHzはEスポでも出ないと相手はいなかったですね。 1967年にTRIOのトラ千が出てから人気が出てきましたっけ。 その後1970年代になると高校生に人気のバンドになりました。
いずれにしてもOMさんには懐かしい時代でしょう。hi hi
連投失礼致します。
土曜、日曜とハムフェアがありまして、これが終わると
今年の夏もおわり、という気分になります。勤務の関係
で土曜は40分ほど、日曜は休業日だったので11時過ぎ
から見ましたが、やはり「お宝」(暗号名:ゴミ)は
1日目の昼までのようですね。2日目は本当の意味で
「ゴミ」が多くなっていたようです。15時を過ぎると
撤収するブースも出始める状況でしたね。
ところでTRH-1、807終段は定番ですね。アイデアル等
の市販のケースも807用に採寸されていたようです。
学生時代、ラジオデパートの石○とか吉●とかのいわゆる
「タマ屋」で買った807、ローカル局がその807終段の
送信機を入手、私の虎の子の807をセットしたところ、
1本は8W、もう1本は「ババババーー」と内部で放電
する始末。それ以後「タマ屋」の言う事は信用でき
なくなりました。暑い晩夏にお寒い話で失礼しました。
JI1TWW 半田さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> 2日目は本当の意味で「ゴミ」が多くなっていた・・・
昨今は電子機器の製造は海外移転していますのでジャンクの発生がないばかりか、たとえ発生しても廃棄物処理法がうるさいので横流しできません。 良いジャンクが出て来ない理由でしょうね。
> 「タマ屋」の言う事は信用できなくなりました。
きちんとした球屋もありましたが、60〜70年代には中古を新品と言って売る店とか、何でもアリでしたね。
私はむしろ中古球を狙って安く買ってました。しかしボケた807もあって、50MHzともなると5Wも出ないなど色々でした。HF帯で10Wは何とか出てくれましたね。
807の使用例が多かったのは安くて何処でも買える送信管と言えばそれくらいしか無かったからでしょう。hi hi
私も『図解ワイヤレス・マイク製作集』を持っていました。
緑色のペン先ケースに入れた超小型のワイヤレスマイクに凄く憧れた
記憶があります。
当時、北海道の田舎で小学校(中学校かな??)に通っていた私には
部品が入手出来ずに悔しい思いをしていました。
超小型のマグネチックマイクとマイクロディスク型のトランジスタが
ネックになっていたと思います。 トランジスタは『2SC185』でしたね。
まあ、完成したところで我が家にはFMラジオがありませんでしたが。
懐かしいな。 あれからXX年…
『誠文堂新光社』の本には色々と夢を見させてもらいました。
お陰で私は(も?)道を踏み外しました。(笑)
連投連投で失礼します。
TRH-1、半世紀前の機械ですがナゼか気になります。回路
としては2ステージ+5球スーパですが、デザインが良い。
スピーカと同調ツマミ部を左右対称、シンメトリに配置
したこと、角を丸めてハンドル付けて持ちやすくしたこと
が大きいと思います。泊りがけの旅行でも電源さえ確保
出来れば運用できます。か?
デザイン面は今でも大変参考になると思います。
JR8LJS/1 豊川さん、こんばんは、
コメント有難うございます。
> 『図解ワイヤレス・マイク製作集』を持っていました。
それも有名なワイヤレスマイクの本でしたね。見た事があります。 シリコンTrの2SC185など使っていて、すこし新しいと思います。
> 部品が入手出来ずに悔しい思いを・・・
私も田舎に住んでいましたので、部品には苦労しました。 真空管用の部品は白黒TVやラジオを分解して流用しましたが、半導体は通販で買わないと手に入らない時代でした。 CR類を含めて、小型部品は特に手に入りにくかったです。
> お陰で私は(も?)道を踏み外しました。(笑)
お互いさま。(爆)
JI1TWW 半田さん、こんばんは。
再々のコメント有難うございます。
> 半世紀前の機械ですがナゼか気になります。
かなり珍しいRigだと思います。 幾らも売れなかったでしょう。
> 泊りがけの旅行でも電源さえ確保出来れば運用できます。か?
そんな感じで使うのを想定していたのだと思います。 使った事はありませんが、学校のクラブに残骸があったように思います。 但し、良いリグだったと言う話はあまり聞きませんね。hi hi
> デザイン面は今でも大変参考になると思います。
今風にアレンジすれば、実用的なリグが作れると思います。 TRH-1は鉄製の箱やシャシなので頑丈ですが、かなり重たいから持って歩くにはもっと軽くしないとたいへんでしょうね。(笑)
再びこんにちは。
私が「図解ワイヤレスマイク製作集」を買った頃は、お小遣いも限られていましたから、ラジオやテレビのジャンク基板からトランジスタやダイオードや抵抗やコンデンサを半田ごてを使って取り外して何度も使い回したものです。今では新品のトランジスタが安く買えますけど、昔そうやって手に入れた部品は今でもなかなか捨てられないです。(爆)
JR2WZQ 河野さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> ジャンク基板からトランジスタやダイオードや・・・
今でこそ正規の製作にはなるべく新品部品を使いますが、昔は分解した部品の再利用はごく当たり前でしたね。 外した半導体をずいぶんリユースしたものです。今でも時々しますよ。(笑)
> 今では新品のトランジスタが安く買えますけど・・・
そうですね。 小学生のお小遣いが500円とか1000円の時代にトランジスタは低周波小信号用でさえ100円以上しましたからね。 RF用とかパワーTrはお小遣いでは買えません。外して使えたらすごく得した気がしたものです。(笑)
> 今でもなかなか捨てられないです。(爆)
中古部品とは言ってもお宝でしたからね。(爆)
コメントを投稿