【電子部品:日本の古いトランジスタ】
【日立:HJ22D】
写真の黒い電子部品は、日立製作所がトランジスタの量産を始めた頃のものです。 リード線が短いのは新品ではないからです。 たしか、修理に値しないような古いトランジスタ・ラジオから調達したように思います。昔々のお話しです。
部品箱の電子部品にもそれぞれに物語があると思います。 でもゲルトラはやはり懐かしすぎるでしょうね。 「私の・・」からお声も掛からないだろう・・・と選んだテーマでもないのですが。(笑)
・・・
前が何時だったか思い出せないほど久しぶりにゲルマニウム・トランジスタで6石スーパ(←参考図あり)を作りました。そう言えばもっと古い石もあったなあ・・・と思い出しました。 ブレッドボード製作ですから「取っ替え引っ替え」はお手の物です。 これだけ古いと貴重品かもしれませんが、足が短い中古の石ではたいした価値はないでしょう。早速これで遊んでみることにします。
あとで対照表が出てきますが、後世の2SA12と言うトランジスタのご先祖にあたります。型番が2SAXX形式になったのは1960年4月以降ですから50年はゆうに経過しているでしょう。いや還暦近いかも知れません。 だいぶ足のメッキが酸化していたので少々磨いてやりました。 これ今でも働くんでしょうか?
【HJ22Dに通電する】
いきなり通電されたら石もビックリするかも知れないので、テスター(指針式)のΩレンジで各PN接合の様子を見てからにしました。(注:×1Ωレンジは使ってはいけません。過大電流で壊すこと有り) 長く寝かせた球とちがって寝覚めが悪いなんて言う半導体はないでしょう。 ICBOは大きくなっていませんから気密漏れや汚染は大丈夫そうです。hFEもそこそこあります。
HJ22Dはアロイ型のPNPトランジスタです。アロイ型は「ジャンクション型トランジスタ」としては初期のものでした。不安定なポイント・コンタクト型を卒業しやっと安定した構造になったのです。 ハンダ封止という古典的な組み立て方法でパッケージングされています。 封止のあとで黒く塗装し、手で型番を捺印したような手作り感いっぱいのトランジスタです。
量産された接合型トランジスタとしては最初期のものでしょう。 電流利得=1となるトランジション周波数:fTは僅かに8MHzしかありません。 それでも低周波用ではなくて高周波用のひとつ、中間周波増幅用です。ここで言う中間周波とは455kHzですけれど。
それで、働いたかって? 何の問題もなくちゃんと働きましたよ。 ゲインも新しいトランジスタと違わない感じで。 トランジスタの寿命は半永久なんて今じゃだれも信じませんが、50年以上経ってもこのトランジスタは立派に生きていました。
【日立:2SA12】
なぜか2SA11と言うのは登録がなかったらしいのです? 2S11と言うのが日本電信電話公社専用にあったらしいのでその関係かも知れません。 従って日本のトランジスタ規格表で最初に登場するのは2SA12です。 2SB11も存在しなくて、2SC11と2SD11が存在するのも面白いですね。
2SA12はHJ22Dと同じ電気的特性ですが、形状はまったく違います。 組み立て方法が変わったからです。 ステム(台座)とキャップの部分を電気溶接で組み立てるようになりました。ハンダ付けより生産性が向上し信頼性も向上しました。HJ22Dはやはりかなりの旧式なのです。
こちらはTO-1と言うパッケージ形状です。統一されたトランジスタの形状としては最初の物です。ちなみに、2SC1815はTO-92型パッケージです。 既知かも知れませんが、今も見かけるTO-XX型の「TO」と言うのは、「Transistor outline」・・・即ち「トランジスタの外形」と言う意味そのものです。(参考:半導体技術協会JEDECのTOアーカイブ:TO-archive)
#このちょっとメッキが錆びて来た2SA12も立派に動作しました。
【東芝:2SA53】
2SA12の同等品と言えば東芝の2SA53でしょう。これにも旧型番があって2S53です。 同じようにゲルマニウム時代の6石スーパーでは定番トランジスタでした。
2SA52の自励コンバータのあと2SA53のIFアンプが2段、1N60で検波、そして2SB54の低周波アンプのあとは2SB56ppでパワーアンプと言うラインナップでした。(参考:2SA53の一方を2SA49とするものもあります)
ちなみに日立の方なら、2SA15-2SA12-2SA12-1N34A-2SB75-2SB77ppとなります。
性能は2SA12と違いません。まったく同じように動作します。 中和容量も同じで大丈夫でした。 カタログ性能を見ても殆ど違いがないくらいの互換品です。 もちろん、この2SA53もちゃんと使えました。 写真の2SA53は捺印文字が緑色なので通信工業用のグリーン・シリーズのようです。 確か頂き物だったはず。TKS JL1KRA !
☆
【ゲルトラのラジオで】
All Ge-Trで6石ラジオを試作し日立のラインナップと東芝、日電のそれぞれで試みました。いずれも後期の高性能なゲルトラではなくて、ごく初期の石ばかりを集めたものです。
全部シリコンの近代的な石・・例えば2SC1815,etc・・で作ったものと比べても遜色ない性能が得られました。もちろん各々に最適化はしてありますし、設計利得は同じになるよう計算しています。違いがなくても当然なのですが。
VHF帯ともなると、性能差が歴然としてくるかも知れませんが少なくともHF帯なら違いは感じないでしょう。或はGe-Mesa型でも使えば50MHzくらいゲルトラでも楽勝です。
周囲温度の上昇のように環境が悪くなるとゲルマは不利です。しかし日常の生活環境ならまずまず使えそうな「受信機」が作れます。 ならば作るのかと問われれば・・・答えはやや否定的ではあるのですが・・・。 単に珍しい物を使ったと言うだけではどうも意義が・・・(笑)
【旧型トランジスタの型番対照表】
神戸工業、日立、松下、日電、ソニー、東芝の旧型トランジスタと2SA・・・形式になってからの対照表です。 旧型番は各社が思い思いに命名していた様子がうかがえて面白いです。
非常に古いトランジスタ・ラジオの修理の時にでも資料にして下さい。 そうは言っても代替品の方も手に入らないかも知れませんけれど。(笑)
そんなときはバイアス関係を少し定数変更してやればシリコンのPNPで代替出来ます。機能優先で復活させたいなら工夫してみると良いでしょう。場合により高性能化されることもあります。
標準的な6石スーパの動作として、コンバータ段がIc=500μAくらい、IF初段も500μA、IF2段目が1mA、低周波ドライバ段が1.5mAくらいになるようバイアス抵抗を加減すれば大丈夫。低周波パワーアンプは各々1.5mAくらいで良いでしょう。いずれも無信号時のコレクタ電流値です。(エミッタで測っても概ね同じです)
なお、電気的な特性は同じではあってもHJ22Dと2SA12のように外観形状まで同じと言う訳ではありません。
この表以外に、三菱もTJ○○と言う旧型トランジスタを作っていました。 三洋電機は2SA・・・の時代になってからの生産開始でシャープはトランジスタを作っていません。 他の家電品メーカーは日立やSONYと言った逸早く量産に成功したメーカーからトランジスタを購入してラジオを量産していました。 トランジスタ・ラジオが輸出家電製品の花形だったのは'60年代初めのころです。
☆
デバイスも集めて眺めるだけでは大して面白くないでしょう。 ぜひ何か作って働かせたいものです。 既にラジオは身の回りに溢れていますし、ICとかDSPとか近代的なものが登場しています。 ですから作るのは恒久的な「作品」でなくても良いでしょう。いじって遊べる程度で十分です。 ラジオ用のトランジスタはやっぱりラジオで試すのが一番でしょうか? 50年の歳月を超えたトランジスタから聞こえてくるAMラジオ放送は何となく神秘的に囁くように聞こえました。de JA9TTT/1
(おわり)
2015年4月18日土曜日
2015年4月4日土曜日
【部品】DBM Chip from Russia, K174ΠC1
【ロシアからやって来たDBMチップ:K174ΠC1】
【K174ΠC1】
西側のアルファベットで書けばK174PS1となりますが、ロシアの表記ではK174ΠC1と言う名前のDBM-ICです。
このDBMチップのオリジナルは独SIEMENS社(ジーメンス社)の「S042P」のようです。 型番表記はまったく異なりますがが内部等価回路やピン接続から見て、S042Pのセカンドソースと思って良さそうです。 近ごろ東側デバイスに凝っているYさんにお譲り頂きました。
e-Bayもしくは、ロシア・旧東欧系のお店で手に入るようですが多分いまでは作られていませんから古い在庫品でしょう。 ロシア・東欧(旧ソ連圏)では通信機関係に使っていたのではないでしょうか。 FMラジオのような家電品への活用も見かけましたがどうだったのでしょう。 製造量が限られていたなら、いずれ手に入らなくなりそうです。
オリジナルのSIEMENS製S042Pもヨーロッパ系の部品販売店で稀に見かけますが入手はあまり期待できそうにありません。Euの半導体各社は一時期米国や日本メーカーに圧倒され早々に見切りをつけたところが多かったのです。東欧製より先に生産中止になっていたはずです。 以下、ご覧頂くと悪くないチップなのですが普通にお店で買えるものではありませんからお奨めしにくいです。機能は他のICで代替できますので無理するほどの逸品でもないでしょう。 よって読み物としてご覧頂くのが適当ですから、以下もしお暇ならどうぞ。
★
写真のように、Dual-Inline 14ピンです。足ピンのピッチは概ね西側のそれと類似のようですが、外観に微妙な違いがあって独特の雰囲気を感じます。 ロゴマークが違うので別メーカとは思いますが、ラジオ用チップのK174XA10(TA7613AP同等品)と良く似た感じです。 東側のICチップの特徴なのでしょうか。 例によってDate Codeの付け方が西側と同じだとすれば1992年の初めのチップと言うことになります。
【S042P・K174ΠC1の内部等価回路】
基本的にギルバート・セル型のDBM-ICです。 すこし工夫が見られるのは、下段の差動対のエミッタが切り離された部分です。
単なるDBMとして使う場合はPin10とPin12のエミッタ同士を結んで使います。 あるいは抵抗を入れてやると差動ゲインを調節することができます。 さらに、この下側差動対を上手に使ってLCの自励もしくは水晶発振回路を構成することもできます。 使い方に制約があって設計しにくいのですが、SA612やTA7358Pと同じようにこのIC一つでコンバータ回路が作れます。 そのような使い方にメリットはあまりないだろうと思いますが、省部品にはなるので面白い発想です。
上記のような使用方法から一般的なギルバートセル型DBMとは違って、下段の差動対の方にキャリヤもしくはLocal-OSCを注入する方法が標準になっています。 信号は上段の2組の差動対の方へ加えます。 上段の差動対にはエミッタ抵抗が入っていないのでリニヤな差動入力電圧範囲は制限されてしまい大きな信号が扱えない不利があります。 もちろん一般的なDBM-ICのように下段に信号、上段にキャリヤまたは局発を加える使い方でも原理的に支障はありませんから、そのように使っても良いはずです。
バイアス回路が内蔵されているので、外付け抵抗器が要らずチップ周辺はスッキリしています。MC1496Pと比べたらかなり使い易いです。 電源電圧は12Vくらい掛けた方が良いですが下は5Vあたりまで使えそうです。 回路電流は12Vのとき2mAと少なめの設計なので、省電力です。ただしダイナミックレンジはそこそこでしょう。特別高性能を目指したDBM-ICではないのだと思います。
【テストしてみる】
次項に回路図を示しますが、メーカー指定の使い方でテストしてみました。 局発信号の大きさと、そのとき扱える信号の大きさがどう変わるのかを見るのが目的です。
実際に使う際に、局発もしくはキャリヤを何Vにして、信号の大きさをどこまでに留めるべきかがわかるはずです。 ゲインもわかるので後続するアンプの設計も可能になります。
Pin11とPin13に加えるキャリヤもしくは局発信号の部分、及びPin7とPin8に加える信号の部分は、バイファイラ巻の広帯域RFトランスを使っています。 Pin2とPin3の出力部分には455kHzのIFTを入れてあるので、出力は455kHzに限定されます。
写真のようなブレッドボードを使った評価ですが、K174ΠC1にはたくさんのGNDピンがあるので適宜GNDラインに結んでおくことにより安定した性能が得られています。 評価する周波数帯は局発やキャリヤ周波数など概ね1MHzあたりまでを選んでいます。 ICの規格上はFMラジオの周波数帯まで使えます。
参考)実際に内部回路のGNDラインに接続されているのは14番ピンのみです。他の1、4、6、9番ピンは無接続のN.CピンなのですがシールドのためにGNDして使用します。
【テスト回路】
左図はミキサー回路として評価する状態で書いてあります。 R1〜R3は発振器や測定系のための終端抵抗なので、実用回路では必要ないものです。 信号及びキャリアの入力端子ともに数kΩのインピーダンスを持つのでドライブは容易です。
出力回路には回路図のような巻数比のIFTを使っていますが、最適負荷と言う訳ではありません。 用途目的に応じて最適化すれば幾分性能は良くなる筈です。 以下の評価では、図のようなもので行ないました。従って一般性がある訳ではないことを予め書いておきます。 ただし、異常な負荷状態ではなくて、ごく標準的な状態になっています。従って実用の際にも類似の使い方で良いでしょう。
電源電圧を変えた特性も測定しておくべきでしたが、時間がなかったので以下は12Vの結果だけを示します。 等価回路から見て、Vcc=5Vあたりで使うのが下限のはずで、性能を悪くしないためにもできたらVcc=9Vくらい掛けたいものです。
【バラモジとしての評価波形・1】
写真の入力トランス:T2は低周波を通せないのでパスしてC結合で低周波:1kHzを与えています。(50Ωの終端あり) キャリヤ周波数は455kHzです。 1kHzは約-10dBmを加えて、このように奇麗なDSBが得られました。
IFTの負荷の1kΩ両端に0.6Vppくらい得られます。 写真はバランス調整を省略した状態ですが約30dBのキャリヤ・サプレッションが得られました。 SSB送信機では是非ともバランス調整を設けるべきで、バランス調整により容易に50dB以上が得られます。
【バラモジとしての評価波形・2】
上記と同じですが、過大入力を与えた時の状態です。 1kHzは上よりも10dB大きな0dBmを加えました。 写真のように飽和して「フラット・トップ」になってしまいます。
歪み方は他のDBM-ICと同じようですから過大入力には注意すべきです。 特に、フィルタ・タイプのSSBジェネレータの場合、フィルタから出てきたSSBを復調し、耳で聞いただけでは歪みをあまり感じないことがあります。 実際には写真の程度にピークが圧迫されたフラット・トップ状態になっている可能性もあるのでDSBの状態で波形を確認すると良いでしょう。上の写真のようなリニヤな範囲で使うのが正しいです。 この写真の縦軸目盛りは上の写真の倍の0.2V/divになっているので注意して下さい。
【ミキサーとしての評価】
局発=1,455kHz、信号=1,000kHzとして入出力特性を測定してみました。 出力周波数:Fif=1455-1000=455(kHz)です。
局発レベルは、-20dBm、-10dBm、0dBm、+8dBmの4種類で実測しました。 信号の方は10dBまたは5dBステップで、-120dBm〜+7dBmまで127dBの範囲で変化させます。
負荷回路に上記回路図のIFTが入っているので、一般化するのは難しいかも知れませんが、おおよそ-10dBmくらいまでの入力範囲で使えばリニヤな動作と言えます。 この種のギルバートセル型DBMは差動増幅回路を電源電圧に対して積み重ねている関係で、電源の利用率が悪いですから電圧性の歪みが発生し易いのです。
もっとたくさん電流を流し、負荷インピーダンスを下げて使うパワフルなチップもありますがS042P/K174ΠC1はそのようなチップではありませんから、ほどほどのダイナミックレンジと言うことになるでしょう。
局発は-10〜0dBmで十分なようです。 それ以上与えてもダイナミックレンジの拡大は微々たるものです。 逆に-20dBmでは変換ゲインの低下も大きくなるので下限でしょう。
なお、グラフの曲線の左下部分でやや持ち上がりがあるのは、測定に使ったオシレータのノイズ・フロアが見えているためです。 DBM-ICそのものはさらに10dB以上ノイズレベルが低いようでした。 受信機のフロントエンドに使っても悪くないS/Nが得られそうです。
【RFレベル測定器】
ノイズ・フロアに掛かるほどの微小信号まで読み取るのは広帯域なRF電圧計では無理があります。 ここでは、hp3586Aと言う選択レベル計:Selective Level Meter(SLM)を使っています。簡単に言えばSメータが良く校正された受信機のような測定器です。高分解能スペアナの発達で廃れてしまった測定器です。大きくて重たい二時代前の機械ですが小さな信号は読み取り易いのです。選択度は主に400Hzを使って測定しました。
この種の評価では下の方は-60dBm程度までの測定で済ませれば十分ですから、RFミリボルト・メータを使えば良いでしょう。455kHzにてmVの信号まで測定できる電子電圧計はたくさん存在します。 ただし、広帯域な電圧計は外乱の影響を受け易いのでしかるべきシールドを行なって、なるべく測定系を低インピーダンスに保つような工夫をします。 なお、検波プローブ型のRF電圧計(=P型バルボル)ではここまでの細かい測定は難しいです。
特定の測定器が無いと「何もできない」と言う印象を与えたくないので測定のことは詳しく触れないことにしています。しかしグラフを見て同等の評価を試みる人もあるかも知れないので紹介してみました。(科学的なレポートとして使用計器や評価条件など詳細に書くのは当然ですが、あえてBlogでは記述を省略しています。手元記録には詳細が書いてあるのはもちろんです)
SLMの代わりにスペアナの管面から読み取っても良いです。カーソル機能を使えば読み易いでしょう。近ごろそちらの方法がポピュラーです。スペアナの機種によりノイズ・フロアやRBW(分解能帯域幅)も違うため測定限界は異なりますが-80dBm程度まで十分読めると思います。アッテネータ+ジェネカバ受信機(レベル比較用に)と言う組み合わせもあります。 要は工夫次第で何とでもなるので、あまり道具に捕らわれ過ぎませんように。 殆ど使わない遊休設備を増やすのでは勿体ないですし、増えたら管理の面倒も増すばかりです。所詮は自家用データなのですから手持ちの道具をやりくりしながら評価すれば十分でしょう。(笑)
★ ★ ★
またまたレア・パーツの登場で失礼しましたがロシア生まれを手短に紹介してみました。 実はS042Pの名前は前から知っていたのですが、着目していませんでした。今回触ってみて意外に面白いチップだと思いました。時間が取れれば自励式コンバータの実験もやりたかったですね。
戦前戦後を通じて日本は米国の技術圏内にあったのでヨーロッパや東欧圏のエレクトロニクスは縁遠い傾向があります。特に戦後は米国一辺倒になった感じです。 このDBM-ICのように米国系とは異なった発想で作られた面白いデバイスも多々存在する筈なので視野を広く持つべきだと思っています。 ずいぶん前に評価したTCA440もそのようにして見つけたEu発のデバイスでした。 皆さんおなじみの3端子ラジオだってルーツは英国にあるのですから。
入手性の問題は常にありますが、個人が数個使う程度なら手に入る可能性はあるので諦めない方が良いです。 モノによっては、注目されていないために驚くほど安価に手に入ることさえあります。逆に使い切れないほど押し付けられるとか・・。(爆) 要は「見る目の有無」と言えるのかも知れません。 ディスコンになったデバイスを血眼になって探すより幾らかでも建設的でしょう。 Yさんが東欧デバイスのマニアになるのが何となくわかった気がしました。de JA9TTT/1
#次回のバラモジはレアものではない路線で行きたいと思っていますが・・・。
☆
警告:通販で特別酷い目にあった経験はありませんが、様々な事故が報告されています。 商品が届かない、不良品や偽物が届く、最悪は支払い情報が漏洩するなど様々なトラブル事例を目にします。 海外・国内を問わず通販の利用は必ずご自身の判断と責任でお願いします。 このBlog筆者はその結果に責任は持てません。
(おわり)
【K174ΠC1】
西側のアルファベットで書けばK174PS1となりますが、ロシアの表記ではK174ΠC1と言う名前のDBM-ICです。
このDBMチップのオリジナルは独SIEMENS社(ジーメンス社)の「S042P」のようです。 型番表記はまったく異なりますがが内部等価回路やピン接続から見て、S042Pのセカンドソースと思って良さそうです。 近ごろ東側デバイスに凝っているYさんにお譲り頂きました。
e-Bayもしくは、ロシア・旧東欧系のお店で手に入るようですが多分いまでは作られていませんから古い在庫品でしょう。 ロシア・東欧(旧ソ連圏)では通信機関係に使っていたのではないでしょうか。 FMラジオのような家電品への活用も見かけましたがどうだったのでしょう。 製造量が限られていたなら、いずれ手に入らなくなりそうです。
オリジナルのSIEMENS製S042Pもヨーロッパ系の部品販売店で稀に見かけますが入手はあまり期待できそうにありません。Euの半導体各社は一時期米国や日本メーカーに圧倒され早々に見切りをつけたところが多かったのです。東欧製より先に生産中止になっていたはずです。 以下、ご覧頂くと悪くないチップなのですが普通にお店で買えるものではありませんからお奨めしにくいです。機能は他のICで代替できますので無理するほどの逸品でもないでしょう。 よって読み物としてご覧頂くのが適当ですから、以下もしお暇ならどうぞ。
★
写真のように、Dual-Inline 14ピンです。足ピンのピッチは概ね西側のそれと類似のようですが、外観に微妙な違いがあって独特の雰囲気を感じます。 ロゴマークが違うので別メーカとは思いますが、ラジオ用チップのK174XA10(TA7613AP同等品)と良く似た感じです。 東側のICチップの特徴なのでしょうか。 例によってDate Codeの付け方が西側と同じだとすれば1992年の初めのチップと言うことになります。
【S042P・K174ΠC1の内部等価回路】
基本的にギルバート・セル型のDBM-ICです。 すこし工夫が見られるのは、下段の差動対のエミッタが切り離された部分です。
単なるDBMとして使う場合はPin10とPin12のエミッタ同士を結んで使います。 あるいは抵抗を入れてやると差動ゲインを調節することができます。 さらに、この下側差動対を上手に使ってLCの自励もしくは水晶発振回路を構成することもできます。 使い方に制約があって設計しにくいのですが、SA612やTA7358Pと同じようにこのIC一つでコンバータ回路が作れます。 そのような使い方にメリットはあまりないだろうと思いますが、省部品にはなるので面白い発想です。
上記のような使用方法から一般的なギルバートセル型DBMとは違って、下段の差動対の方にキャリヤもしくはLocal-OSCを注入する方法が標準になっています。 信号は上段の2組の差動対の方へ加えます。 上段の差動対にはエミッタ抵抗が入っていないのでリニヤな差動入力電圧範囲は制限されてしまい大きな信号が扱えない不利があります。 もちろん一般的なDBM-ICのように下段に信号、上段にキャリヤまたは局発を加える使い方でも原理的に支障はありませんから、そのように使っても良いはずです。
バイアス回路が内蔵されているので、外付け抵抗器が要らずチップ周辺はスッキリしています。MC1496Pと比べたらかなり使い易いです。 電源電圧は12Vくらい掛けた方が良いですが下は5Vあたりまで使えそうです。 回路電流は12Vのとき2mAと少なめの設計なので、省電力です。ただしダイナミックレンジはそこそこでしょう。特別高性能を目指したDBM-ICではないのだと思います。
【テストしてみる】
次項に回路図を示しますが、メーカー指定の使い方でテストしてみました。 局発信号の大きさと、そのとき扱える信号の大きさがどう変わるのかを見るのが目的です。
実際に使う際に、局発もしくはキャリヤを何Vにして、信号の大きさをどこまでに留めるべきかがわかるはずです。 ゲインもわかるので後続するアンプの設計も可能になります。
Pin11とPin13に加えるキャリヤもしくは局発信号の部分、及びPin7とPin8に加える信号の部分は、バイファイラ巻の広帯域RFトランスを使っています。 Pin2とPin3の出力部分には455kHzのIFTを入れてあるので、出力は455kHzに限定されます。
写真のようなブレッドボードを使った評価ですが、K174ΠC1にはたくさんのGNDピンがあるので適宜GNDラインに結んでおくことにより安定した性能が得られています。 評価する周波数帯は局発やキャリヤ周波数など概ね1MHzあたりまでを選んでいます。 ICの規格上はFMラジオの周波数帯まで使えます。
参考)実際に内部回路のGNDラインに接続されているのは14番ピンのみです。他の1、4、6、9番ピンは無接続のN.CピンなのですがシールドのためにGNDして使用します。
【テスト回路】
左図はミキサー回路として評価する状態で書いてあります。 R1〜R3は発振器や測定系のための終端抵抗なので、実用回路では必要ないものです。 信号及びキャリアの入力端子ともに数kΩのインピーダンスを持つのでドライブは容易です。
出力回路には回路図のような巻数比のIFTを使っていますが、最適負荷と言う訳ではありません。 用途目的に応じて最適化すれば幾分性能は良くなる筈です。 以下の評価では、図のようなもので行ないました。従って一般性がある訳ではないことを予め書いておきます。 ただし、異常な負荷状態ではなくて、ごく標準的な状態になっています。従って実用の際にも類似の使い方で良いでしょう。
電源電圧を変えた特性も測定しておくべきでしたが、時間がなかったので以下は12Vの結果だけを示します。 等価回路から見て、Vcc=5Vあたりで使うのが下限のはずで、性能を悪くしないためにもできたらVcc=9Vくらい掛けたいものです。
【バラモジとしての評価波形・1】
写真の入力トランス:T2は低周波を通せないのでパスしてC結合で低周波:1kHzを与えています。(50Ωの終端あり) キャリヤ周波数は455kHzです。 1kHzは約-10dBmを加えて、このように奇麗なDSBが得られました。
IFTの負荷の1kΩ両端に0.6Vppくらい得られます。 写真はバランス調整を省略した状態ですが約30dBのキャリヤ・サプレッションが得られました。 SSB送信機では是非ともバランス調整を設けるべきで、バランス調整により容易に50dB以上が得られます。
【バラモジとしての評価波形・2】
上記と同じですが、過大入力を与えた時の状態です。 1kHzは上よりも10dB大きな0dBmを加えました。 写真のように飽和して「フラット・トップ」になってしまいます。
歪み方は他のDBM-ICと同じようですから過大入力には注意すべきです。 特に、フィルタ・タイプのSSBジェネレータの場合、フィルタから出てきたSSBを復調し、耳で聞いただけでは歪みをあまり感じないことがあります。 実際には写真の程度にピークが圧迫されたフラット・トップ状態になっている可能性もあるのでDSBの状態で波形を確認すると良いでしょう。上の写真のようなリニヤな範囲で使うのが正しいです。 この写真の縦軸目盛りは上の写真の倍の0.2V/divになっているので注意して下さい。
【ミキサーとしての評価】
局発=1,455kHz、信号=1,000kHzとして入出力特性を測定してみました。 出力周波数:Fif=1455-1000=455(kHz)です。
局発レベルは、-20dBm、-10dBm、0dBm、+8dBmの4種類で実測しました。 信号の方は10dBまたは5dBステップで、-120dBm〜+7dBmまで127dBの範囲で変化させます。
負荷回路に上記回路図のIFTが入っているので、一般化するのは難しいかも知れませんが、おおよそ-10dBmくらいまでの入力範囲で使えばリニヤな動作と言えます。 この種のギルバートセル型DBMは差動増幅回路を電源電圧に対して積み重ねている関係で、電源の利用率が悪いですから電圧性の歪みが発生し易いのです。
もっとたくさん電流を流し、負荷インピーダンスを下げて使うパワフルなチップもありますがS042P/K174ΠC1はそのようなチップではありませんから、ほどほどのダイナミックレンジと言うことになるでしょう。
局発は-10〜0dBmで十分なようです。 それ以上与えてもダイナミックレンジの拡大は微々たるものです。 逆に-20dBmでは変換ゲインの低下も大きくなるので下限でしょう。
なお、グラフの曲線の左下部分でやや持ち上がりがあるのは、測定に使ったオシレータのノイズ・フロアが見えているためです。 DBM-ICそのものはさらに10dB以上ノイズレベルが低いようでした。 受信機のフロントエンドに使っても悪くないS/Nが得られそうです。
【RFレベル測定器】
ノイズ・フロアに掛かるほどの微小信号まで読み取るのは広帯域なRF電圧計では無理があります。 ここでは、hp3586Aと言う選択レベル計:Selective Level Meter(SLM)を使っています。簡単に言えばSメータが良く校正された受信機のような測定器です。高分解能スペアナの発達で廃れてしまった測定器です。大きくて重たい二時代前の機械ですが小さな信号は読み取り易いのです。選択度は主に400Hzを使って測定しました。
この種の評価では下の方は-60dBm程度までの測定で済ませれば十分ですから、RFミリボルト・メータを使えば良いでしょう。455kHzにてmVの信号まで測定できる電子電圧計はたくさん存在します。 ただし、広帯域な電圧計は外乱の影響を受け易いのでしかるべきシールドを行なって、なるべく測定系を低インピーダンスに保つような工夫をします。 なお、検波プローブ型のRF電圧計(=P型バルボル)ではここまでの細かい測定は難しいです。
特定の測定器が無いと「何もできない」と言う印象を与えたくないので測定のことは詳しく触れないことにしています。しかしグラフを見て同等の評価を試みる人もあるかも知れないので紹介してみました。(科学的なレポートとして使用計器や評価条件など詳細に書くのは当然ですが、あえてBlogでは記述を省略しています。手元記録には詳細が書いてあるのはもちろんです)
SLMの代わりにスペアナの管面から読み取っても良いです。カーソル機能を使えば読み易いでしょう。近ごろそちらの方法がポピュラーです。スペアナの機種によりノイズ・フロアやRBW(分解能帯域幅)も違うため測定限界は異なりますが-80dBm程度まで十分読めると思います。アッテネータ+ジェネカバ受信機(レベル比較用に)と言う組み合わせもあります。 要は工夫次第で何とでもなるので、あまり道具に捕らわれ過ぎませんように。 殆ど使わない遊休設備を増やすのでは勿体ないですし、増えたら管理の面倒も増すばかりです。所詮は自家用データなのですから手持ちの道具をやりくりしながら評価すれば十分でしょう。(笑)
★ ★ ★
またまたレア・パーツの登場で失礼しましたがロシア生まれを手短に紹介してみました。 実はS042Pの名前は前から知っていたのですが、着目していませんでした。今回触ってみて意外に面白いチップだと思いました。時間が取れれば自励式コンバータの実験もやりたかったですね。
戦前戦後を通じて日本は米国の技術圏内にあったのでヨーロッパや東欧圏のエレクトロニクスは縁遠い傾向があります。特に戦後は米国一辺倒になった感じです。 このDBM-ICのように米国系とは異なった発想で作られた面白いデバイスも多々存在する筈なので視野を広く持つべきだと思っています。 ずいぶん前に評価したTCA440もそのようにして見つけたEu発のデバイスでした。 皆さんおなじみの3端子ラジオだってルーツは英国にあるのですから。
入手性の問題は常にありますが、個人が数個使う程度なら手に入る可能性はあるので諦めない方が良いです。 モノによっては、注目されていないために驚くほど安価に手に入ることさえあります。逆に使い切れないほど押し付けられるとか・・。(爆) 要は「見る目の有無」と言えるのかも知れません。 ディスコンになったデバイスを血眼になって探すより幾らかでも建設的でしょう。 Yさんが東欧デバイスのマニアになるのが何となくわかった気がしました。de JA9TTT/1
#次回のバラモジはレアものではない路線で行きたいと思っていますが・・・。
☆
警告:通販で特別酷い目にあった経験はありませんが、様々な事故が報告されています。 商品が届かない、不良品や偽物が届く、最悪は支払い情報が漏洩するなど様々なトラブル事例を目にします。 海外・国内を問わず通販の利用は必ずご自身の判断と責任でお願いします。 このBlog筆者はその結果に責任は持てません。
(おわり)
2015年3月20日金曜日
【部品】Low Cost RFC Set
【部品:お手ごろ高周波チョークコイルセットの評価】
【aitendoのRFCセット】
抵抗:Rやコンデンサ:Cはパーツボックスに揃えていても、インダクタ(コイル):Lは揃えていませんでした。 それと言うのも、コイルはRやCよりも一段と理想と離れた部品なので、画一的なシリーズを揃えても役立たないことがあるからです。 要するに、その時々の用途・目的に応じたインダクタが必要と言うことです。
しかし、ラフな用途と言うのもあるもので、実際には幾つか飛びとびの値で用意してありました。 Eシリーズで用意していなかった理由のもう一つは、コイル類は比較的高価な部品だからでもあります。 何時か使うかも知れないと、多種多様なものを揃えておくのも無駄が多いと言うか、勿体ない気がしていたのでした。
そうした状況が変わったとも言えませんが例によって中華パーツなら安価に揃えられます。Aliexpressを見ていると直輸入すれば一段と安価なのですが、他のパーツを注文するついでに「RFCセット」が購入しておきました。 形状が統一されたアキシャル・リードタイプで、0.22μH〜470μHの範囲がおおよそE6シリーズ相当で19種類揃えです。各20本ずつ入っていて、合計で380本です。 このマイクロ・インダクタのセットは1,950円ですから1本当たり5円少々と言ったお値段でした。
☆ ☆ ☆
上にも書きましたが、インダクタは電子部品としては理想から遠い(*1)ので、吟味してからでないとどのような用途に使えるのか、あるいは使っては駄目なのかの判断できません。以下では、高周波回路の適性があるのかを中心に評価してみました。 結果は一覧表に纏めてあってそれが全てなのですが、あくまでも自家用データです。 一般のパーツに広く適用できる訳ではなくて特定のショップの特定商品の評価レポートです。 同じものを買った人には幾らか役立つデータかも知れませんが購入を促す意図はありませんのでそのおつもりでお願いします。 もちろん買ってもいない人にとって殆ど意味のないデータなのは言うまでもありません。
*1:インダクタは理想から遠いとは:
純粋にインダクタンスだけを持った電子部品は存在しません。必ず巻線による抵抗成分が直列に含まれるほか、分布容量と言うキャパシタンス分が並列して入っている部品です。さらに、誘電体(フェライトなど)による磁芯を持つコイルではその誘電体の周波数特性がインダクタンスや損失量の変化となって現れます。一筋縄とは行かない「複雑な部品」です。
【1/4Wと言うのは外形サイズのことか?】
素人が誤解しそうなラベルが付いています。 もちろん、コイルにも電力容量と言うものがない訳ではありません。 しかし「1/4W」と言うように表示して売る例は見ませんから、多分これは1/4W型の抵抗器と同じサイズと言う意味なのでしょう。(笑)
こうした高周波チョークコイル:RFCの定格としては、インダクタンス値:Lのほか、直流(DC)抵抗値:DCR、それと電流容量:I(max)で示されるのが普通です。さらに、特にHigh-Qに作られたものにあってはある周波数での無負荷Qの値:Quが規格されていることがあります。 このRFCは単体でインダクタンスと誤差の表示(±10%)があるだけなので他はまったくわかりません。 従って、ある程度自分で調べる必要があるのです。そうでないとどのような範囲まで使って大丈夫なのかわかりません。
【抵抗器とは地色が違う?】
一見して抵抗器と同じ形であり、しかもインダクタンスはカラーコード表示です。 従って抵抗器と間違い易いのです。 ただ、こうした「マイクロ・インダクタ」の場合は塗装の地色が緑掛かっていることが多いようです。 はっきりとキミドリ色のことさえあります。
インダクタの塗装について、地色を何にするか規格がある訳でもないと思いますが、このような緑っぽいことが多いのです。(水色っぽいRFCもあったように思いますが) 整理しておくと、ベージュ(薄茶色)がカーボン抵抗、青味を帯びたグレーが金属皮膜抵抗、灰白色が酸化金属皮膜抵抗・・・と言った常識かと思います。まあ、これが絶対ではありませんので個々のケースで判断しないと間違えてしまいます。LCRメータが欲しい理由でもある訳です。
インダクタンス値は有効数字の帯が2桁分で、乗数が1桁分で示されます。そして誤差が1桁分の合計4本のカラーコード表示になっています。 単位はマイクロ・ヘンリー(μH)です。 この例では、黄・紫・茶・銀なのでインダクタンスは47×10^1=47×10=470(μH)で、その誤差±10%となります。
【実測結果】
19種類のマイクロ・インダクタについて、実測で評価してみました。 高周波回路で使えるか否かをテーマにしているので評価周波数は高めになっています。 なお、評価数:n=1であり、しかも同一規格品の複数評価によればバラツキが大きかったので傾向を見る程度のものと考えています。
1μHと言った、小さなインダクタンスの場合、主に高い周波数で使われるでしょう。 一方、470μHくらいの大きめのインダクタは低い周波数用として使うことが多いと思います。 実際に使いそうな周波数で評価しておくことにしました。
ただし、数10μH〜470μHと言った大きめのインダクタンスのものは、内部にフェライトコアが使ってあるのは間違いないようで、そのコアの周波数特性がかなり現れています。 そのため数100kHzとは言え高い周波数で測定するとコア材(フェライト)の周波数特性がもろに現れる特性となります。 そのためインダクタンスの誤差がたいへん大きくなりました。 物理的な大きさから考えて、透磁率:μ(ミュー)の大きなフェライト磁芯を使っているでしょう。 従って、温度特性は良くない筈です。 種類が豊富で便利そうだと思って発振コイルやVXOコイルに使ったなら周波数の温度変動で困るに違いありません。 磁芯が使ってあるようなRFCは同調回路やそれに類する目的には不適当です。
確認のため1kHzで測定したところ、まずまずの実測値でした。このことから考えて、このマイクロ・インダクタは1kHzで測定した値を規格としているようです。 従って、それ以外の周波数で使おうとするなら改めて評価しないと設計値との誤差が大きくて驚くことになるでしょう。 1μH以下と言った小さなインダクタンスの物はフェライトではなく、アルミナなど非磁性体を巻芯にしているようですから周波数特性はずっと良好でした。
【リード・インダクタンス】
写真の測定例は0.22μHのインダクタです。 上のように長いリード線の状態で測定すると、0.234μHとなります。 一方、下のように最短のリード線では0.208μHになりました。
0.22μHと言った、小さなインダクタンスでは「リード・インダクタンス」が効いてきます。 実際に使用する際も、適当な長さに切り詰めるなど気を使って実装しないと誤差が大きくなってしまいます。
逆に、数100μH程度のインダクタではリードインダクタンスの影響度合いは僅かなので多少長めのリード線で実装しても大丈夫なことが多いでしょう。もちろん、物理的に不安定な状態に実装すると振動で電気的なノイズを誘発する原因になるので注意します。
こうしたRFCのようにシールドされていなくて、而も磁気回路が閉じていない「開磁型インダクタ」はコイル相互の磁気結合が起こるので要注意です。 密着して複数並べるとコイル相互が磁束で結合します。 隣接させるなら軸方向をそれぞれ90度ずらせ磁束が交わらぬように注意しましょう。 RFCには磁気結合を考えて「閉磁型インダクタ」も市販されているので検討してみると良いです。 とかくインダクタンス部品は扱いが厄介なのです。
【巻線抵抗】
極端な低抵抗の抵抗器でもなければ、リード線を含む内部抵抗が気になる電子部品はあまりないでしょう。 しかし、こうしたRFCでは巻線抵抗は大きな問題です。インダクタンスに直列に入ってくるからです。 写真はごく低抵抗を測定する方法として、4端子法で巻線抵抗を測定している様子です。低インダクタンスのRFCでは巻線抵抗は小さいので有効な測定法です。この例では0.079Ωでした。
インダクタンスが小さなうちは巻線長は短いし比較的太目の巻線が使ってあるので巻線抵抗はあまり気にならないでしょう。 しかしインダクタンスが大きくなると当然巻数を稼がなくてはならず、細い線を沢山巻くことになります。 いくら銅線でも細くて長ければ、その抵抗は無視できなくなってきます。
このインダクタの例で言えば、470μHの直流的な抵抗値:DCRは約10Ωもあります。 従って少し大きめの電流を流すと電圧降下が生じます。 その電圧降下分の損失は熱になるので発熱で燃えてしまうことさえあります。コイルの黒焼きができるのです。(笑) コイルには流せる電流の上限があることも忘れてはいけませんね。
☆ ☆ ☆ ☆
買ってはみたものの、どうも素性がわからないので使う気になれませんでした。使うのは良く調べてからと思っていました。 しかし、そのままにしておくと何時までたっても使わない部品になってしまいそうです。Blogネタも纏まっていなかったので、評価してみることにしたのです。
結論から言えば、ごく普通のマイクロ・インダクタでした。 従って、簡単なRF阻止用のチョークコイルとして使うのには何ら支障は無さそうです。 これはこの部品の存在目的からして当たり前でしょう。 サイズが小さいので心配したDC抵抗も思ったよりも小さ目です。 数mAしか流さない普通の用途なら電圧降下は気にしなくても良いでしょう。開磁型ではありますが磁芯がごく小さいので磁気飽和の可能性は考えておくべきでしょう。
当然ながらフェライト磁芯が使ってあるものの周波数特性はあまり良くありませんでした。 HF帯で共振回路やLPFとかHPFと言った用途に使えなくもありませんが良く検討しないと希望する性能が得られず悩むことになるでしょう。 これは、このRFCに限らず先人が言っている通り「RFCを共振に使うのは旨くない」ということの実証でもあります。de JA9TTT/1
(おわり)
注意:お買い物は自己責任でお願いします。ショップの対応ほか商品についての責任は持てませんのであなた自身の判断でお願いします。価格は2015年3月現在のものです。
【aitendoのRFCセット】
抵抗:Rやコンデンサ:Cはパーツボックスに揃えていても、インダクタ(コイル):Lは揃えていませんでした。 それと言うのも、コイルはRやCよりも一段と理想と離れた部品なので、画一的なシリーズを揃えても役立たないことがあるからです。 要するに、その時々の用途・目的に応じたインダクタが必要と言うことです。
しかし、ラフな用途と言うのもあるもので、実際には幾つか飛びとびの値で用意してありました。 Eシリーズで用意していなかった理由のもう一つは、コイル類は比較的高価な部品だからでもあります。 何時か使うかも知れないと、多種多様なものを揃えておくのも無駄が多いと言うか、勿体ない気がしていたのでした。
そうした状況が変わったとも言えませんが例によって中華パーツなら安価に揃えられます。Aliexpressを見ていると直輸入すれば一段と安価なのですが、他のパーツを注文するついでに「RFCセット」が購入しておきました。 形状が統一されたアキシャル・リードタイプで、0.22μH〜470μHの範囲がおおよそE6シリーズ相当で19種類揃えです。各20本ずつ入っていて、合計で380本です。 このマイクロ・インダクタのセットは1,950円ですから1本当たり5円少々と言ったお値段でした。
☆ ☆ ☆
上にも書きましたが、インダクタは電子部品としては理想から遠い(*1)ので、吟味してからでないとどのような用途に使えるのか、あるいは使っては駄目なのかの判断できません。以下では、高周波回路の適性があるのかを中心に評価してみました。 結果は一覧表に纏めてあってそれが全てなのですが、あくまでも自家用データです。 一般のパーツに広く適用できる訳ではなくて特定のショップの特定商品の評価レポートです。 同じものを買った人には幾らか役立つデータかも知れませんが購入を促す意図はありませんのでそのおつもりでお願いします。 もちろん買ってもいない人にとって殆ど意味のないデータなのは言うまでもありません。
*1:インダクタは理想から遠いとは:
純粋にインダクタンスだけを持った電子部品は存在しません。必ず巻線による抵抗成分が直列に含まれるほか、分布容量と言うキャパシタンス分が並列して入っている部品です。さらに、誘電体(フェライトなど)による磁芯を持つコイルではその誘電体の周波数特性がインダクタンスや損失量の変化となって現れます。一筋縄とは行かない「複雑な部品」です。
【1/4Wと言うのは外形サイズのことか?】
素人が誤解しそうなラベルが付いています。 もちろん、コイルにも電力容量と言うものがない訳ではありません。 しかし「1/4W」と言うように表示して売る例は見ませんから、多分これは1/4W型の抵抗器と同じサイズと言う意味なのでしょう。(笑)
こうした高周波チョークコイル:RFCの定格としては、インダクタンス値:Lのほか、直流(DC)抵抗値:DCR、それと電流容量:I(max)で示されるのが普通です。さらに、特にHigh-Qに作られたものにあってはある周波数での無負荷Qの値:Quが規格されていることがあります。 このRFCは単体でインダクタンスと誤差の表示(±10%)があるだけなので他はまったくわかりません。 従って、ある程度自分で調べる必要があるのです。そうでないとどのような範囲まで使って大丈夫なのかわかりません。
【抵抗器とは地色が違う?】
一見して抵抗器と同じ形であり、しかもインダクタンスはカラーコード表示です。 従って抵抗器と間違い易いのです。 ただ、こうした「マイクロ・インダクタ」の場合は塗装の地色が緑掛かっていることが多いようです。 はっきりとキミドリ色のことさえあります。
インダクタの塗装について、地色を何にするか規格がある訳でもないと思いますが、このような緑っぽいことが多いのです。(水色っぽいRFCもあったように思いますが) 整理しておくと、ベージュ(薄茶色)がカーボン抵抗、青味を帯びたグレーが金属皮膜抵抗、灰白色が酸化金属皮膜抵抗・・・と言った常識かと思います。まあ、これが絶対ではありませんので個々のケースで判断しないと間違えてしまいます。LCRメータが欲しい理由でもある訳です。
インダクタンス値は有効数字の帯が2桁分で、乗数が1桁分で示されます。そして誤差が1桁分の合計4本のカラーコード表示になっています。 単位はマイクロ・ヘンリー(μH)です。 この例では、黄・紫・茶・銀なのでインダクタンスは47×10^1=47×10=470(μH)で、その誤差±10%となります。
【実測結果】
19種類のマイクロ・インダクタについて、実測で評価してみました。 高周波回路で使えるか否かをテーマにしているので評価周波数は高めになっています。 なお、評価数:n=1であり、しかも同一規格品の複数評価によればバラツキが大きかったので傾向を見る程度のものと考えています。
1μHと言った、小さなインダクタンスの場合、主に高い周波数で使われるでしょう。 一方、470μHくらいの大きめのインダクタは低い周波数用として使うことが多いと思います。 実際に使いそうな周波数で評価しておくことにしました。
ただし、数10μH〜470μHと言った大きめのインダクタンスのものは、内部にフェライトコアが使ってあるのは間違いないようで、そのコアの周波数特性がかなり現れています。 そのため数100kHzとは言え高い周波数で測定するとコア材(フェライト)の周波数特性がもろに現れる特性となります。 そのためインダクタンスの誤差がたいへん大きくなりました。 物理的な大きさから考えて、透磁率:μ(ミュー)の大きなフェライト磁芯を使っているでしょう。 従って、温度特性は良くない筈です。 種類が豊富で便利そうだと思って発振コイルやVXOコイルに使ったなら周波数の温度変動で困るに違いありません。 磁芯が使ってあるようなRFCは同調回路やそれに類する目的には不適当です。
確認のため1kHzで測定したところ、まずまずの実測値でした。このことから考えて、このマイクロ・インダクタは1kHzで測定した値を規格としているようです。 従って、それ以外の周波数で使おうとするなら改めて評価しないと設計値との誤差が大きくて驚くことになるでしょう。 1μH以下と言った小さなインダクタンスの物はフェライトではなく、アルミナなど非磁性体を巻芯にしているようですから周波数特性はずっと良好でした。
【リード・インダクタンス】
写真の測定例は0.22μHのインダクタです。 上のように長いリード線の状態で測定すると、0.234μHとなります。 一方、下のように最短のリード線では0.208μHになりました。
0.22μHと言った、小さなインダクタンスでは「リード・インダクタンス」が効いてきます。 実際に使用する際も、適当な長さに切り詰めるなど気を使って実装しないと誤差が大きくなってしまいます。
逆に、数100μH程度のインダクタではリードインダクタンスの影響度合いは僅かなので多少長めのリード線で実装しても大丈夫なことが多いでしょう。もちろん、物理的に不安定な状態に実装すると振動で電気的なノイズを誘発する原因になるので注意します。
こうしたRFCのようにシールドされていなくて、而も磁気回路が閉じていない「開磁型インダクタ」はコイル相互の磁気結合が起こるので要注意です。 密着して複数並べるとコイル相互が磁束で結合します。 隣接させるなら軸方向をそれぞれ90度ずらせ磁束が交わらぬように注意しましょう。 RFCには磁気結合を考えて「閉磁型インダクタ」も市販されているので検討してみると良いです。 とかくインダクタンス部品は扱いが厄介なのです。
【巻線抵抗】
極端な低抵抗の抵抗器でもなければ、リード線を含む内部抵抗が気になる電子部品はあまりないでしょう。 しかし、こうしたRFCでは巻線抵抗は大きな問題です。インダクタンスに直列に入ってくるからです。 写真はごく低抵抗を測定する方法として、4端子法で巻線抵抗を測定している様子です。低インダクタンスのRFCでは巻線抵抗は小さいので有効な測定法です。この例では0.079Ωでした。
インダクタンスが小さなうちは巻線長は短いし比較的太目の巻線が使ってあるので巻線抵抗はあまり気にならないでしょう。 しかしインダクタンスが大きくなると当然巻数を稼がなくてはならず、細い線を沢山巻くことになります。 いくら銅線でも細くて長ければ、その抵抗は無視できなくなってきます。
このインダクタの例で言えば、470μHの直流的な抵抗値:DCRは約10Ωもあります。 従って少し大きめの電流を流すと電圧降下が生じます。 その電圧降下分の損失は熱になるので発熱で燃えてしまうことさえあります。コイルの黒焼きができるのです。(笑) コイルには流せる電流の上限があることも忘れてはいけませんね。
☆ ☆ ☆ ☆
買ってはみたものの、どうも素性がわからないので使う気になれませんでした。使うのは良く調べてからと思っていました。 しかし、そのままにしておくと何時までたっても使わない部品になってしまいそうです。Blogネタも纏まっていなかったので、評価してみることにしたのです。
結論から言えば、ごく普通のマイクロ・インダクタでした。 従って、簡単なRF阻止用のチョークコイルとして使うのには何ら支障は無さそうです。 これはこの部品の存在目的からして当たり前でしょう。 サイズが小さいので心配したDC抵抗も思ったよりも小さ目です。 数mAしか流さない普通の用途なら電圧降下は気にしなくても良いでしょう。開磁型ではありますが磁芯がごく小さいので磁気飽和の可能性は考えておくべきでしょう。
当然ながらフェライト磁芯が使ってあるものの周波数特性はあまり良くありませんでした。 HF帯で共振回路やLPFとかHPFと言った用途に使えなくもありませんが良く検討しないと希望する性能が得られず悩むことになるでしょう。 これは、このRFCに限らず先人が言っている通り「RFCを共振に使うのは旨くない」ということの実証でもあります。de JA9TTT/1
(おわり)
注意:お買い物は自己責任でお願いします。ショップの対応ほか商品についての責任は持てませんのであなた自身の判断でお願いします。価格は2015年3月現在のものです。
2015年3月6日金曜日
【部品】Shopping AKIHABARA 2015 Part 1
【秋葉原で買い物:2015年第一弾】
【aitendoの電源トランス】
田舎者は交通費が掛かるのでそうそう頻繁に秋葉原詣ではできません。 それでも月に1回くらいは都内に出ている感じです。 そんな時は努めて秋葉原に寄るよう心掛けています。そして何か買い忘れないようにショッピング・リストも欠かせません。
1970年代に「信越電機商会」(いまの秋月電子通商)が通販から秋葉原に進出して来て自作ファンの人の流れが大きく変わった記憶があります。それまではラジオセンター、東京ラジオデパート、ニュー秋葉原センター、ちょっと足を延ばして旧万世橋駅近くの"ラジオガアデン"あたりまで回ればほぼすべてだったのですが・・・。
☆
昨今では中華パーツをまとめて扱っている「aitendo」へ人の流れができてきました。そこは秋葉原でも踏み入れたこともない様なとんでもない場所にあるのですが・・・。 昨年末に新店舗に移ってから扱い商品が激増し、それまでの「表示デバイスのショップ」からパーツ全般へと大変貌しました。 商品数はとても多くて当てもなく丹念に物色していたら半日いても足りないほどです。予め狙いを良く定めて行かないと探しきれません。店内には来店者の検索用にタブレット端末が置かれているくらいです。w
皆さんおなじみになってきたので利用者は多いでしょう。しかし交通費を掛けてお店に行くのはたいへんですから全国的に見ればwebショップの通販利用者が殆どだと思います。 ところが店頭特価品と言うのがあって通販よりお買い得なお値段で置いてあります。 ですから秋葉原に出掛けたら外せないお店になって来ました。 写真のトランスも1,650円のところが店頭特価の777円(税別)に大幅ディスカウント中です。新装移転特価の名残の品かも知れません。(注・1)
どんな電源トランスかと言えば1次が100Vで2次側が250V(170Vタップ付き)の真空管機器用です。残念ながらヒータ用6.3V巻線がないので別に必要です。 整流・平滑後のDCでマージンを見込んで50mA@250Vくらい取れそうですから5球スーパに間に合う程度の容量です。また、6AQ5クラスのQRPなCW送信機なら十分足りるでしょう。 電源トランスも高くなっているので1,650円でもまずまずですし777円ならとてもお買い得です。足りないヒーター分はACアダプタ等で工夫すれば良いです。(もちろん使いもしない物にお金を使うのは勿体ないですよ・笑)
注・1:こうした輸入品の電源トランスは国内メーカのものと違って日本の安全規格やJIS規格には準拠していないでしょう。このトランスは1次と2次の巻線が分離型なので悪くない構造ですが安全を考え必ずヒューズを入れて使います。自己責任で安全に使うことになります。
【ツマミがお手頃】
きちんとした製作物に纏めるにはパネルを立て、しっかりした箱に入れる必要があります。 しかし電気部品に比べ外装パーツが高価なのはいつも悩みです。 シャシやキャビネットもそうですが、ちょっと洒落たデザインのツマミともなるとひとつ数100円もします。黒い樹脂モールドのツマミは安いのは良いのですが、そればかりでは味気ないのです。
aitendoには様々なツマミがあって、どれも安いのが有難いです。 ただし、安易にチープなデザインばかり並べると出来上がりが「中華製品」の風貌になってどうも頂けない感じです。(笑)
この写真のツマミは数ある中ではまずまずのデザインです。 軸止め構造も優れています。 良く見かけるツマミのように横穴から押しネジでシャフトに止める構造ではありません。 写真手前のようにキャップの中にあるネジによってシャフト全周から締め付ける構造になっています。正面から止められるので位置決めがし易く、ネジも大きいのでしっかり固定できます。 仕組みは簡単ですから手に取って構造を眺めてみると面白いでしょう。 私は前から同じ構造のスイス製を好んで使っていました。しかしaitendoのように一つ50円ではとても買えませんでした。
新しく買うならこのツマミはお奨めです。 色は他に数色あって一回り大きいサイズもあります。 外国製ツマミには稀に適合する軸の太さがインチサイズ(1/4インチ)のものがあります。 これも心配したのですが国産品と同じφ6mm用でした。 他に種類は限られるようですが細軸用もあったと思います。 なお店頭在庫品は手に取って良く見る必要があります。 軸側から見て締め付け金具がちゃんと付いていることを確認しましょう!(金具が脱落しているものを見かけたので)
【30MHzの水晶発振子】
表示周波数が高いので3次オーバートーン水晶発振子かもしれないと思いつつ試しに買ってみました。 この30MHzの水晶発振子が基本波かオーバートーンなのかは、店員のお姉さんに聞いても答えはないと思います。
昔の常識では30MHzの水晶は3次オーバートーン型です。 だいたい20MHz以上はオーバートーンだったのです。 それが基本波で25MHzくらいまで作れるようになり、いまでは50MHzあたりまで見かけるようになりました。メーカーによれば技術的にはVHF帯の高い方まで基本波で作れるのだそうです。
もし、写真のこれが30MHzの基本波ならFBです。例えば3次オーバートーンで90MHzが得られるでしょう。 5次で150MHz、もしも7次オーバートーン発振も可能なら210MHzが一気に得られます。 さっそく調べてみたら基本波が30MHzの水晶発振子でした。 だから5個で100円はお買い得です。 ただし主共振周波数の近くにスプリアス共振が多く見られましたからラダーフィルタ向きではありません。 近ごろは背の低いHC-49/USが全盛なので大きなHC-49/U型は処分品らしく売り切れで終了しそうです。
【IFTきっと】
コイル巻き用の10mm角ボビンキットです。 ここで言う「IFT」とは、455kHzのIFTでしょう。そう言っているだけあって、コア材の上限周波数は2MHz位でした。 それ以上の周波数ではQが低くなって良いコイルになりません。 従ってFCZコイルの代替品は作れない訳です。(ちょっと残念)
「6石ラジオ」に使うIFTセットやBC帯の局発コイルを作るには最適な素材だと思います。 巻線は自分でせねばならず、そのままでは使えませんからモノグサにはいま一つかも知れません。 しかし用途・目的に応じたIFTなり局発コイルが自由に作れるのは有益です。 例えば性能の良くないゲルマニウム・トランジスタに最適化したIFTのような、いま時の市販品では得られない特殊品が自在に作れます。 市販の455kHz用IFTには様々な構造がありますが、このキットは巻線し易く組み立ても容易なのでとても良い構造でした。
写真はお店で直接購入したものです。店頭特価は過激な77円で、通販でも100円ですから嬉しいお値段です。それでコイル4個作れる分の部品が入っています。
写真・手前は製作の実例です。 付いてくるコアは塗装されていないフェライト原色です。 手前の見本品はIFTを含むすべてのコイルが手作りのトランジスタ・ラジオ用として巻いたもので、JIS規格の色にコアを着色してあります。市販品そっくりのIFTが作れました。(笑) なお、この「IFTきっと」についてはいずれ巻き方を含め、使い方など詳しくを扱うつもりです。
参考:トランジスタ技術誌2015年10月号pp66〜82にて、この「IFTきっと」の詳しい使用方法と、作ったIFTを使用する6石スーパの記事が掲載されました。6石スーパはゲルトラを使ったものと、すべて2SC1815Yで作った2種類が掲載されています。(追記:2015.9.11)
【ちいさな7セグLED表示器】
数字表示器は大きいほど視認性が良いとは言えデザインや機能のバランスを考えるとあまり大きなものでは困ることがあります。ハンディな機器に大きなLEDではバランスが悪いでしょう。
そんな時に使う小さなLED表示器がコレです。 右の赤い4桁のものが最近販売されました。半球状の拡大レンズ付きになっていて「泡つぶ」のように見えるので「バブルLED」と称しています。 左下の1桁LEDは一般的な物としては小型のLED表示器ですからバブルLEDはごく小さいことがわかります。
昔々、数字表示にLEDを使う電卓や腕時計の時代がありました。1970年代も終わりの頃だったと思います。それらにはこのようなLED表示器が使ってありました。 消費電力の関係でほどなくLCD表示に置き換わったのでLED表示器はすぐジャンクに出回りました。 しかし文字が小さくて用途が限定されていたので私は手を出しませんでした。当然のようにダイナミック点灯専用なので使いにくかったこともあります。 いま思えばジャンクなお値段だったので幾つか買っておけば良かった・・・と思っても後の祭りと言うものです。
この4桁赤色LEDはSparkfun Electoronicsと言う電子ホビーのショップが企画した商品らしく、秋葉原では千石電商が扱っています。一つ330円でした。aitendoではないのでご注意を。hi
参考:写真左上の多桁のものはhp製で同社の電卓用でしょう。(現在は入手困難)
以上、最近になって秋葉原散策で目に止まった品々を紹介してみました。お好みの物があったようでしたら早速入手されては如何ですか? え、死蔵品が増えるばっかりだって?(笑)
☆ ☆
昔々、秋葉原に「信越電機商会」ができたころ、そのインパクトたるや強烈でした。激安半導体や怪しい系のキットに魅了されてしまい、多くの自作ファンがすっかり「信越依存症」になってしまったのを思い出します。 aitendoはそれに匹敵するインパクトがあると思いますが如何でしょうか? かなり怪しい系の部品・キットも多いですから、自作初心者や万人向けとは言い難いかもしれません。売り子しかいなくて技術的なことがわかる店員は不在です。 しかし見る目を持った「自作マニア」には面白グッズが溢れていて楽しいお店です。このままだと「aitendo依存症」になってしまいそうです。(笑) お手軽に遊べるなら中華製の電子グッズも結構ですから、ずっと長く続いてほしいものです。この手のお店はそこが懸念材料だと思っています。de JA9TTT/1
(おわり)
注意:お買い物は自己責任でお願いします。ショップの対応ほか各商品について責任は持てませんのであなた自身の判断でお願いします。価格は2015年2月現在のものです。
【aitendoの電源トランス】
田舎者は交通費が掛かるのでそうそう頻繁に秋葉原詣ではできません。 それでも月に1回くらいは都内に出ている感じです。 そんな時は努めて秋葉原に寄るよう心掛けています。そして何か買い忘れないようにショッピング・リストも欠かせません。
1970年代に「信越電機商会」(いまの秋月電子通商)が通販から秋葉原に進出して来て自作ファンの人の流れが大きく変わった記憶があります。それまではラジオセンター、東京ラジオデパート、ニュー秋葉原センター、ちょっと足を延ばして旧万世橋駅近くの"ラジオガアデン"あたりまで回ればほぼすべてだったのですが・・・。
☆
昨今では中華パーツをまとめて扱っている「aitendo」へ人の流れができてきました。そこは秋葉原でも踏み入れたこともない様なとんでもない場所にあるのですが・・・。 昨年末に新店舗に移ってから扱い商品が激増し、それまでの「表示デバイスのショップ」からパーツ全般へと大変貌しました。 商品数はとても多くて当てもなく丹念に物色していたら半日いても足りないほどです。予め狙いを良く定めて行かないと探しきれません。店内には来店者の検索用にタブレット端末が置かれているくらいです。w
皆さんおなじみになってきたので利用者は多いでしょう。しかし交通費を掛けてお店に行くのはたいへんですから全国的に見ればwebショップの通販利用者が殆どだと思います。 ところが店頭特価品と言うのがあって通販よりお買い得なお値段で置いてあります。 ですから秋葉原に出掛けたら外せないお店になって来ました。 写真のトランスも1,650円のところが店頭特価の777円(税別)に大幅ディスカウント中です。新装移転特価の名残の品かも知れません。(注・1)
どんな電源トランスかと言えば1次が100Vで2次側が250V(170Vタップ付き)の真空管機器用です。残念ながらヒータ用6.3V巻線がないので別に必要です。 整流・平滑後のDCでマージンを見込んで50mA@250Vくらい取れそうですから5球スーパに間に合う程度の容量です。また、6AQ5クラスのQRPなCW送信機なら十分足りるでしょう。 電源トランスも高くなっているので1,650円でもまずまずですし777円ならとてもお買い得です。足りないヒーター分はACアダプタ等で工夫すれば良いです。(もちろん使いもしない物にお金を使うのは勿体ないですよ・笑)
注・1:こうした輸入品の電源トランスは国内メーカのものと違って日本の安全規格やJIS規格には準拠していないでしょう。このトランスは1次と2次の巻線が分離型なので悪くない構造ですが安全を考え必ずヒューズを入れて使います。自己責任で安全に使うことになります。
【ツマミがお手頃】
きちんとした製作物に纏めるにはパネルを立て、しっかりした箱に入れる必要があります。 しかし電気部品に比べ外装パーツが高価なのはいつも悩みです。 シャシやキャビネットもそうですが、ちょっと洒落たデザインのツマミともなるとひとつ数100円もします。黒い樹脂モールドのツマミは安いのは良いのですが、そればかりでは味気ないのです。
aitendoには様々なツマミがあって、どれも安いのが有難いです。 ただし、安易にチープなデザインばかり並べると出来上がりが「中華製品」の風貌になってどうも頂けない感じです。(笑)
この写真のツマミは数ある中ではまずまずのデザインです。 軸止め構造も優れています。 良く見かけるツマミのように横穴から押しネジでシャフトに止める構造ではありません。 写真手前のようにキャップの中にあるネジによってシャフト全周から締め付ける構造になっています。正面から止められるので位置決めがし易く、ネジも大きいのでしっかり固定できます。 仕組みは簡単ですから手に取って構造を眺めてみると面白いでしょう。 私は前から同じ構造のスイス製を好んで使っていました。しかしaitendoのように一つ50円ではとても買えませんでした。
新しく買うならこのツマミはお奨めです。 色は他に数色あって一回り大きいサイズもあります。 外国製ツマミには稀に適合する軸の太さがインチサイズ(1/4インチ)のものがあります。 これも心配したのですが国産品と同じφ6mm用でした。 他に種類は限られるようですが細軸用もあったと思います。 なお店頭在庫品は手に取って良く見る必要があります。 軸側から見て締め付け金具がちゃんと付いていることを確認しましょう!(金具が脱落しているものを見かけたので)
【30MHzの水晶発振子】
表示周波数が高いので3次オーバートーン水晶発振子かもしれないと思いつつ試しに買ってみました。 この30MHzの水晶発振子が基本波かオーバートーンなのかは、店員のお姉さんに聞いても答えはないと思います。
昔の常識では30MHzの水晶は3次オーバートーン型です。 だいたい20MHz以上はオーバートーンだったのです。 それが基本波で25MHzくらいまで作れるようになり、いまでは50MHzあたりまで見かけるようになりました。メーカーによれば技術的にはVHF帯の高い方まで基本波で作れるのだそうです。
もし、写真のこれが30MHzの基本波ならFBです。例えば3次オーバートーンで90MHzが得られるでしょう。 5次で150MHz、もしも7次オーバートーン発振も可能なら210MHzが一気に得られます。 さっそく調べてみたら基本波が30MHzの水晶発振子でした。 だから5個で100円はお買い得です。 ただし主共振周波数の近くにスプリアス共振が多く見られましたからラダーフィルタ向きではありません。 近ごろは背の低いHC-49/USが全盛なので大きなHC-49/U型は処分品らしく売り切れで終了しそうです。
【IFTきっと】
コイル巻き用の10mm角ボビンキットです。 ここで言う「IFT」とは、455kHzのIFTでしょう。そう言っているだけあって、コア材の上限周波数は2MHz位でした。 それ以上の周波数ではQが低くなって良いコイルになりません。 従ってFCZコイルの代替品は作れない訳です。(ちょっと残念)
「6石ラジオ」に使うIFTセットやBC帯の局発コイルを作るには最適な素材だと思います。 巻線は自分でせねばならず、そのままでは使えませんからモノグサにはいま一つかも知れません。 しかし用途・目的に応じたIFTなり局発コイルが自由に作れるのは有益です。 例えば性能の良くないゲルマニウム・トランジスタに最適化したIFTのような、いま時の市販品では得られない特殊品が自在に作れます。 市販の455kHz用IFTには様々な構造がありますが、このキットは巻線し易く組み立ても容易なのでとても良い構造でした。
写真はお店で直接購入したものです。店頭特価は過激な77円で、通販でも100円ですから嬉しいお値段です。それでコイル4個作れる分の部品が入っています。
写真・手前は製作の実例です。 付いてくるコアは塗装されていないフェライト原色です。 手前の見本品はIFTを含むすべてのコイルが手作りのトランジスタ・ラジオ用として巻いたもので、JIS規格の色にコアを着色してあります。市販品そっくりのIFTが作れました。(笑) なお、この「IFTきっと」についてはいずれ巻き方を含め、使い方など詳しくを扱うつもりです。
参考:トランジスタ技術誌2015年10月号pp66〜82にて、この「IFTきっと」の詳しい使用方法と、作ったIFTを使用する6石スーパの記事が掲載されました。6石スーパはゲルトラを使ったものと、すべて2SC1815Yで作った2種類が掲載されています。(追記:2015.9.11)
【ちいさな7セグLED表示器】
数字表示器は大きいほど視認性が良いとは言えデザインや機能のバランスを考えるとあまり大きなものでは困ることがあります。ハンディな機器に大きなLEDではバランスが悪いでしょう。
そんな時に使う小さなLED表示器がコレです。 右の赤い4桁のものが最近販売されました。半球状の拡大レンズ付きになっていて「泡つぶ」のように見えるので「バブルLED」と称しています。 左下の1桁LEDは一般的な物としては小型のLED表示器ですからバブルLEDはごく小さいことがわかります。
昔々、数字表示にLEDを使う電卓や腕時計の時代がありました。1970年代も終わりの頃だったと思います。それらにはこのようなLED表示器が使ってありました。 消費電力の関係でほどなくLCD表示に置き換わったのでLED表示器はすぐジャンクに出回りました。 しかし文字が小さくて用途が限定されていたので私は手を出しませんでした。当然のようにダイナミック点灯専用なので使いにくかったこともあります。 いま思えばジャンクなお値段だったので幾つか買っておけば良かった・・・と思っても後の祭りと言うものです。
この4桁赤色LEDはSparkfun Electoronicsと言う電子ホビーのショップが企画した商品らしく、秋葉原では千石電商が扱っています。一つ330円でした。aitendoではないのでご注意を。hi
参考:写真左上の多桁のものはhp製で同社の電卓用でしょう。(現在は入手困難)
以上、最近になって秋葉原散策で目に止まった品々を紹介してみました。お好みの物があったようでしたら早速入手されては如何ですか? え、死蔵品が増えるばっかりだって?(笑)
☆ ☆
昔々、秋葉原に「信越電機商会」ができたころ、そのインパクトたるや強烈でした。激安半導体や怪しい系のキットに魅了されてしまい、多くの自作ファンがすっかり「信越依存症」になってしまったのを思い出します。 aitendoはそれに匹敵するインパクトがあると思いますが如何でしょうか? かなり怪しい系の部品・キットも多いですから、自作初心者や万人向けとは言い難いかもしれません。売り子しかいなくて技術的なことがわかる店員は不在です。 しかし見る目を持った「自作マニア」には面白グッズが溢れていて楽しいお店です。このままだと「aitendo依存症」になってしまいそうです。(笑) お手軽に遊べるなら中華製の電子グッズも結構ですから、ずっと長く続いてほしいものです。この手のお店はそこが懸念材料だと思っています。de JA9TTT/1
(おわり)
注意:お買い物は自己責任でお願いします。ショップの対応ほか各商品について責任は持てませんのであなた自身の判断でお願いします。価格は2015年2月現在のものです。
2015年2月19日木曜日
【部品】DBM Chip with NFB, MC-1451
【NFBの掛かったDBMチップ:MC-1451】
【SSB復調用DBM-IC:MC-1451】
けして嫌いではないのですが、いわゆる『レアもの』を無理に探し出してまで使おうとは思いません。 珍品はネタとして人目を引くかも知れませんが、珍しさだけでは直ちにユニークで意味のあるテーマとは思えないからです。 ですから、ただ単に珍しいものをBlogの題材にして・・・と言うは考えは持っていません。
ですが、それが珍しいパーツであっても実際に目の前に置かれてしまうと、これは「何とか旨く使ってみたい」とか「では試してみよう!」と思ってしまいます。 以下、少々珍しい部品を扱いますが「レアものお奨めBlog」でないことは予めご理解ください。 電子部品を扱うなら、できるだけ誰でも手に入る普遍的なものをテーマにしたいと思っています。(笑)
☆
写真のMC-1451と言うICはアナログ時代の通信関係機器に使われていた特定用途専用部品です。MC-と付いていますがMotorola Semiconductor社の製品ではありません。 N社は混成集積回路(ハイブリッドIC)をMicrocircuitと呼び、MC-の型番を付けていました。 写真・上側の黒いものが新型で下側の白い方は旧型です。 このMC-1451はSSB波を復調するDBM部と低周波アンプ部が集積さています。 フィルタを通ったキャリヤ周波数128kHzのUSB波(Upper Side Band:上側帯波)が入力信号です。 そこに128kHzのキャリヤ信号を加えてプロダクト検波を行ないます。出力信号は低周波の音声帯域です。
ギルバートセルを基本としたDBM部と、OPアンプ形式の低周波増幅部が内部で直結されていて切り離して使うことはできません。 また電源電圧も21Vに最適化されていて融通が利きません。 要するに他の用途には使いにくいので何となく敬遠気味のICでした。 ところがたまたま等価回路を眺めていて、面白そうな回路構成だと感じたのです。
−・・・−
すでに過去のデバイスです。一般市販されたことも無いので入手の見込みはほぼ無いでしょう。 従ってこれは自家用の情報として纏める意味からBlogで扱っています。 以下の評価はごくわずかのお方にはかなり有用かも知れませんが、その他ほとんどのお方には無意味でしょう。 ここらで深入りせずお帰りもお勧めです。 まあ、お暇でしたら「世の中にはこういう石(デバイス)もあるんだ」と言うことで、お付き合い頂くのも宜しいかも知れない・・・。(笑) なお、このチップが搭載されたジャンクをHAMフェアで見かけたこともありますから、取り外し中古品として入手できる可能性も皆無とは言えない?
☆ ☆
【MC-1451の中身】
電源電圧が固定されていて融通性が無い、あるいは使用回路も限定されているなど、面白味のないチップだと思って見過ごしてきました。 そのような特徴は見直したところで変わる訳でもないのですが、興味深いことに気付きました。
左図は内部等価回路です。 MC-1451はハイブリッド構造のICです。 シリコンのチップ、すなわちシリコン小片上に作られたモノリシック(単結晶的な)なICを中核にしています。 さらに使用目的の回路に必要な周辺の部品をセラッミック基板上に搭載して集積したハイブリッド構造のICです。 近ごろではあまり見られない形式のICです。
図中の1点鎖線で囲まれた範囲がシリコンのチップです。この中の回路がシリコンの小片の上に載っています。 その外側にある部品がセラミック基板に載った部品でいずれも印刷された抵抗器です。 シリコンのチップは同じセラミック基板上に接着され、引出し配線はセラミック基板にワイヤボンディングされています。 現在なら完全モノリシック化も可能だと思います。 開発当時、精度の良い抵抗器は印刷抵抗を使ってトリミングする必要があったのでしょう。そうした理由でハイブリッドIC化したものと思います。
図の左側の部分がギルバートセルをコアにしたDBM回路です。 このDBMはもっぱらSSB信号を復調し音声を取り出すのが目的です。 キャリヤ信号のレベルシフトやバイアス回路が付いており、さらにNFB(負帰還)を掛けるための回路も集積されているのでだいぶ複雑になっています。
図の右側の部分はμPC157A(=LM301A)に類似のOPアンプのような回路になっています。ただし差動入力・差動出力の完全平衡型になっているのが珍しいです。 これは、出力負荷が低周波トランスなので差動出力にすると同じ電源電圧で2倍の振幅が取れて有利だからです。 Push-Pull動作は歪みにも有利でしょう。
そして珍しいのはOPアンプの部分だけなくDBMの部分を含んだオーバーオールなNFBが掛かっている点です。 周波数特性の平坦化、ゲインの均質化のほかに復調歪みの改善が目的でしょう。 解析していて、この「NFBの掛かったSSB復調器」にたいへん興味を覚えたのです。 使いにくいし用途も限定されているので見過ごしていたICでしたが、このNFBの掛かった・・・と言う部分に興味を惹かれてしまいました。
【MC-1451の評価回路】
図は評価回路であるとともに実用の際に使用する回路でもあります。 電源電圧は21Vであって少々特殊です。 オリジナルでは+接地の-21Vを電源とした回路で使われていましたが、使いにくいのでマイナス接地の回路に改めています。
キャリヤ(復調用搬送波)は-10dBm、0dBm、+7dBm(75Ω系)に切り替えて特性をとってみました。 キャリヤ及び信号の入力端子は50Ωや75Ωではないので不整合ですがDi-DBMとは違って整合していなくても支障ありません。 ちなみに各端子のインピーダンスですが、キャリヤ入力端子は10kΩ(差動で20kΩ)以上、信号入力端子は3.7kΩ(差動で7kΩ)くらいです。 信号出力のインピーダンスは75Ω(差動で150Ω)になっています。
電源電圧は標準+21Vですが、下げて行ってどこまで正常動作するか調べてみました。 徐々に最大出力が小さくなりますが、+18Vくらいまで正常に動作します。 当たり前ですが総合的に見て+21Vで使うのがベストでした。従って評価も+21Vで行ないます。
IC内部にツェナーDiで電圧を作っている部分があって、その関係で最低電圧が決まるようです。 せめて+12〜15Vで使えたら良かったのですがちょっと残念です。
【テスト回路の様子】
例によってブレッド・ボードでテストします。
このMC-1451は128kHzで使うことを前提にしているので、回路構成上あまり高い周波数は無理があります。 性能低下しない周波数として1MHzあたりが実用上限と考えられます。(周波数を変えて調べました)
1MHzと言うこともあって、ブレッドボードでテストしています。特に支障ないようでした。 復調回路なので、キャリヤ漏れはあまり気になりませんからDBMのバランス調整は省略しています。 必要に応じて付けようと思いましたが、キャリヤ周波数が復調周波数とかけ離れているならなくて大丈夫です。
漏れてくるキャリヤと上側へ変換される信号の除去の為に、インダクタ:2.2mHとコンデンサ:1,000pFを使った簡単な低域フィルタ(LPF)を出力部に入れてあります。(2.2mHは右上の青い筒状部品) このLPF部分は少々問題があるので本式に使うときには再設計のつもりです。
【MC-1451の様子】
最初の写真にあるように、MC-1451には新旧2つのタイプがあります。 こちらが旧型のようです。 新型は樹脂でモールドされているのに対し、こちらはセラミック基板を覆うカバーが爪で止められているだけの構造です。
従って、簡単に中の様子をうかがうことができるのですが、殆どの場合、黒色の樹脂製カバーを外す際に爪が折れてしまいます。 従って無理に中を見ようとしない方が良いでしょう。 なお内部回路は新旧どちらも同じのようです。 差し替えてみても差は感じられません。 文字の印刷面から見た時、1番ピンの位置が新旧では左右反対なので注意します。 この写真のものでは左から「10,9,8,・・・2,1」の並びです。右端の赤い丸印が1番ピンを示すマークです。黒い新型は型番印刷面から見ると逆の順です。
【復調波形】
キャリヤ信号fc:1,000kHz、0dBm/75Ωを与えています。 信号の方はfs:1,001kHz、-10dBm/50Ωです。 従って、復調出力はfs-fcですから、1kHzです。
オシロスコープの波形からは奇麗な正弦波にしか見えませんので、歪み特性を調べてみることにしました。 同時に、キャリヤ信号の注入量をパラメーターとし、入出力電圧の関係も調べました。実際に使う時のためにキャリヤ信号の最適レベルを探っておきます。
テストしていての感想ですが、NFBが掛かっている為でしょうか広い入力範囲で奇麗な正弦波が保たれるようでした。 過大入力で飽和傾向になっても・・・当然歪み率は悪くなって行くのですが・・・極端に波形が崩れないはその効果かも知れません。
【MC-1451の復調特性】
最適なキャリヤ信号の大きさと言うものがあるように思えたので、-10dBm、0dBm、+7dBmの3種類で評価しました。 いずれも75ΩのSGで整合終端はしていないので概ね開放端電圧に近いと思います。
信号の方は、Pin4の手前で50Ωに終端して信号を加えています。 周波数は1,001kHzです。 999kHzでも同じだったので上側と下側の違いはないようです。 なお、実際に使われていた時も信号はUSB側でした。
キャリヤレベルが-10dBmのとき、復調歪みは最少でした。(青い塗りつぶしドットのライン) ただし、復調のゲインが低下して同じ入力に対する出力電圧は小さくなります。 また飽和傾向が早くから現れるのでこの歪み特性を見ただけで-10dBmが良いとは結論できません。 +7dBm(黒の塗りつぶしドット)にしても0dBmと比べ変化の度合いは少ないようです。概ね-5〜0dBmあたりのキャリヤを与えるのが良さそうです。
通信機においては1%未満の歪み率と言うのはなかなか良好だと思います。単純なアンプ回路ならまだしも、非線形な動作を伴う復調回路ですから良い性能と言えそうです。 なお、455kHzではどうか調べてみましたが、概ね同様だったので1MHzの例で代表します。
グラフで信号レベルが下がると歪み率が悪化するのはノイズの影響が出てくるからです。アンプを必要な帯域幅に絞り回路も良くシールドすればだいぶ改善されます。 信号の歪みが大きくなってくる訳ではありません。 加える信号を最大でも0dBmを超えぬ程度に留めておけば音の良いSSB復調(受信)ができるのではないでしょうか。
【復調周波数特性】
DBM回路そのものは高周波回路のミキサーにも使える性能を持っています。原理的に周波数特性は良好で広帯域です。 従って復調回路に使った時も復調出力は広帯域にわたり平坦です。(DBM部に続くアンプ部分が周波数上限を制限しています)
ここでは簡易なテストの意味から漏れてくるRF(=キャリヤの漏れと和の周波数の信号)をカットできれば良いとして簡単なLCのLPFで済ませました。そのために、数10kHzのところに盛り上がりができました。
本格的に使う時は、インピーダンスを考え、整合したLPFを入れれば良いでしょう。そうすれば盛り上がりのない平坦な周波数特性が得られますから、そのつもりでご覧頂ければと思います。 MC-1451の復調周波数特性ではなく外付けLPFの周波数特性が見えてしまっている訳です。
以上、MC-1451の復調特性を評価してみました。実用するための情報が得られました。
☆
電源電圧が21Vと言うことから用途は限定されてしまうかも知れません。 AC電源の受信機(RX)なら電源整流回路を少し工夫して21Vを作るのは難しくありません。 12V電源の機械の場合、DC/DCコンバータで昇圧する手もありますが、そこまでして使う価値はないでしょう。
早速思いつく用途としてはR-390AやR-392と言った455kHz:IF出力を持ったRXの外付けSSB受信アダプタがあります。これらRXはSSB向きの検波器を内蔵しておらず、いま一つ復調音が悪いのです。 RF/IFゲインを絞って受信すれば何とかなるのですが、今風RXのようにSSB受信でもばっちりAGCを効かせて受信したいものです。 前々から外付けで『良い音』のSSBアプタが欲しいと思っていました。有望な活用候補にしておきます。 消費電流は10mA未満なので他の真空管機に内蔵するのも良さそうです。 ただし復調回路そのものがゲインを持つので信号レベルを見直す必要があるでしょう。 最初からMC-1451を使う前提で半導体式の受信機を設計するのも面白そうです。
いろいろ妄想が膨らんできたところでおしまいにします。 もしもこのICをお持ちなら面白い受信機なりアダプタが作れそうですからぜひともお試しを。 20世紀に置いてきた技術遺産にも優れモノがあったことを実感できるでしょう。 de JA9TTT/1
#ブラジルのネットショップでMC-1451Eを見つけました。システムの補修用に輸出されたパーツの流出品でしょうか。ポルトガル語なので良くわかりませんが未使用品が手に入る可能性もある?
#次は私なりにソ連製のDBMでも扱おうかな? それってレアものだなあ・・・(爆)
(おわり)
【SSB復調用DBM-IC:MC-1451】
けして嫌いではないのですが、いわゆる『レアもの』を無理に探し出してまで使おうとは思いません。 珍品はネタとして人目を引くかも知れませんが、珍しさだけでは直ちにユニークで意味のあるテーマとは思えないからです。 ですから、ただ単に珍しいものをBlogの題材にして・・・と言うは考えは持っていません。
ですが、それが珍しいパーツであっても実際に目の前に置かれてしまうと、これは「何とか旨く使ってみたい」とか「では試してみよう!」と思ってしまいます。 以下、少々珍しい部品を扱いますが「レアものお奨めBlog」でないことは予めご理解ください。 電子部品を扱うなら、できるだけ誰でも手に入る普遍的なものをテーマにしたいと思っています。(笑)
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写真のMC-1451と言うICはアナログ時代の通信関係機器に使われていた特定用途専用部品です。MC-と付いていますがMotorola Semiconductor社の製品ではありません。 N社は混成集積回路(ハイブリッドIC)をMicrocircuitと呼び、MC-の型番を付けていました。 写真・上側の黒いものが新型で下側の白い方は旧型です。 このMC-1451はSSB波を復調するDBM部と低周波アンプ部が集積さています。 フィルタを通ったキャリヤ周波数128kHzのUSB波(Upper Side Band:上側帯波)が入力信号です。 そこに128kHzのキャリヤ信号を加えてプロダクト検波を行ないます。出力信号は低周波の音声帯域です。
ギルバートセルを基本としたDBM部と、OPアンプ形式の低周波増幅部が内部で直結されていて切り離して使うことはできません。 また電源電圧も21Vに最適化されていて融通が利きません。 要するに他の用途には使いにくいので何となく敬遠気味のICでした。 ところがたまたま等価回路を眺めていて、面白そうな回路構成だと感じたのです。
−・・・−
すでに過去のデバイスです。一般市販されたことも無いので入手の見込みはほぼ無いでしょう。 従ってこれは自家用の情報として纏める意味からBlogで扱っています。 以下の評価はごくわずかのお方にはかなり有用かも知れませんが、その他ほとんどのお方には無意味でしょう。 ここらで深入りせずお帰りもお勧めです。 まあ、お暇でしたら「世の中にはこういう石(デバイス)もあるんだ」と言うことで、お付き合い頂くのも宜しいかも知れない・・・。(笑) なお、このチップが搭載されたジャンクをHAMフェアで見かけたこともありますから、取り外し中古品として入手できる可能性も皆無とは言えない?
☆ ☆
【MC-1451の中身】
電源電圧が固定されていて融通性が無い、あるいは使用回路も限定されているなど、面白味のないチップだと思って見過ごしてきました。 そのような特徴は見直したところで変わる訳でもないのですが、興味深いことに気付きました。
左図は内部等価回路です。 MC-1451はハイブリッド構造のICです。 シリコンのチップ、すなわちシリコン小片上に作られたモノリシック(単結晶的な)なICを中核にしています。 さらに使用目的の回路に必要な周辺の部品をセラッミック基板上に搭載して集積したハイブリッド構造のICです。 近ごろではあまり見られない形式のICです。
図中の1点鎖線で囲まれた範囲がシリコンのチップです。この中の回路がシリコンの小片の上に載っています。 その外側にある部品がセラミック基板に載った部品でいずれも印刷された抵抗器です。 シリコンのチップは同じセラミック基板上に接着され、引出し配線はセラミック基板にワイヤボンディングされています。 現在なら完全モノリシック化も可能だと思います。 開発当時、精度の良い抵抗器は印刷抵抗を使ってトリミングする必要があったのでしょう。そうした理由でハイブリッドIC化したものと思います。
図の左側の部分がギルバートセルをコアにしたDBM回路です。 このDBMはもっぱらSSB信号を復調し音声を取り出すのが目的です。 キャリヤ信号のレベルシフトやバイアス回路が付いており、さらにNFB(負帰還)を掛けるための回路も集積されているのでだいぶ複雑になっています。
図の右側の部分はμPC157A(=LM301A)に類似のOPアンプのような回路になっています。ただし差動入力・差動出力の完全平衡型になっているのが珍しいです。 これは、出力負荷が低周波トランスなので差動出力にすると同じ電源電圧で2倍の振幅が取れて有利だからです。 Push-Pull動作は歪みにも有利でしょう。
そして珍しいのはOPアンプの部分だけなくDBMの部分を含んだオーバーオールなNFBが掛かっている点です。 周波数特性の平坦化、ゲインの均質化のほかに復調歪みの改善が目的でしょう。 解析していて、この「NFBの掛かったSSB復調器」にたいへん興味を覚えたのです。 使いにくいし用途も限定されているので見過ごしていたICでしたが、このNFBの掛かった・・・と言う部分に興味を惹かれてしまいました。
【MC-1451の評価回路】
図は評価回路であるとともに実用の際に使用する回路でもあります。 電源電圧は21Vであって少々特殊です。 オリジナルでは+接地の-21Vを電源とした回路で使われていましたが、使いにくいのでマイナス接地の回路に改めています。
キャリヤ(復調用搬送波)は-10dBm、0dBm、+7dBm(75Ω系)に切り替えて特性をとってみました。 キャリヤ及び信号の入力端子は50Ωや75Ωではないので不整合ですがDi-DBMとは違って整合していなくても支障ありません。 ちなみに各端子のインピーダンスですが、キャリヤ入力端子は10kΩ(差動で20kΩ)以上、信号入力端子は3.7kΩ(差動で7kΩ)くらいです。 信号出力のインピーダンスは75Ω(差動で150Ω)になっています。
電源電圧は標準+21Vですが、下げて行ってどこまで正常動作するか調べてみました。 徐々に最大出力が小さくなりますが、+18Vくらいまで正常に動作します。 当たり前ですが総合的に見て+21Vで使うのがベストでした。従って評価も+21Vで行ないます。
IC内部にツェナーDiで電圧を作っている部分があって、その関係で最低電圧が決まるようです。 せめて+12〜15Vで使えたら良かったのですがちょっと残念です。
【テスト回路の様子】
例によってブレッド・ボードでテストします。
このMC-1451は128kHzで使うことを前提にしているので、回路構成上あまり高い周波数は無理があります。 性能低下しない周波数として1MHzあたりが実用上限と考えられます。(周波数を変えて調べました)
1MHzと言うこともあって、ブレッドボードでテストしています。特に支障ないようでした。 復調回路なので、キャリヤ漏れはあまり気になりませんからDBMのバランス調整は省略しています。 必要に応じて付けようと思いましたが、キャリヤ周波数が復調周波数とかけ離れているならなくて大丈夫です。
漏れてくるキャリヤと上側へ変換される信号の除去の為に、インダクタ:2.2mHとコンデンサ:1,000pFを使った簡単な低域フィルタ(LPF)を出力部に入れてあります。(2.2mHは右上の青い筒状部品) このLPF部分は少々問題があるので本式に使うときには再設計のつもりです。
【MC-1451の様子】
最初の写真にあるように、MC-1451には新旧2つのタイプがあります。 こちらが旧型のようです。 新型は樹脂でモールドされているのに対し、こちらはセラミック基板を覆うカバーが爪で止められているだけの構造です。
従って、簡単に中の様子をうかがうことができるのですが、殆どの場合、黒色の樹脂製カバーを外す際に爪が折れてしまいます。 従って無理に中を見ようとしない方が良いでしょう。 なお内部回路は新旧どちらも同じのようです。 差し替えてみても差は感じられません。 文字の印刷面から見た時、1番ピンの位置が新旧では左右反対なので注意します。 この写真のものでは左から「10,9,8,・・・2,1」の並びです。右端の赤い丸印が1番ピンを示すマークです。黒い新型は型番印刷面から見ると逆の順です。
【復調波形】
キャリヤ信号fc:1,000kHz、0dBm/75Ωを与えています。 信号の方はfs:1,001kHz、-10dBm/50Ωです。 従って、復調出力はfs-fcですから、1kHzです。
オシロスコープの波形からは奇麗な正弦波にしか見えませんので、歪み特性を調べてみることにしました。 同時に、キャリヤ信号の注入量をパラメーターとし、入出力電圧の関係も調べました。実際に使う時のためにキャリヤ信号の最適レベルを探っておきます。
テストしていての感想ですが、NFBが掛かっている為でしょうか広い入力範囲で奇麗な正弦波が保たれるようでした。 過大入力で飽和傾向になっても・・・当然歪み率は悪くなって行くのですが・・・極端に波形が崩れないはその効果かも知れません。
【MC-1451の復調特性】
最適なキャリヤ信号の大きさと言うものがあるように思えたので、-10dBm、0dBm、+7dBmの3種類で評価しました。 いずれも75ΩのSGで整合終端はしていないので概ね開放端電圧に近いと思います。
信号の方は、Pin4の手前で50Ωに終端して信号を加えています。 周波数は1,001kHzです。 999kHzでも同じだったので上側と下側の違いはないようです。 なお、実際に使われていた時も信号はUSB側でした。
キャリヤレベルが-10dBmのとき、復調歪みは最少でした。(青い塗りつぶしドットのライン) ただし、復調のゲインが低下して同じ入力に対する出力電圧は小さくなります。 また飽和傾向が早くから現れるのでこの歪み特性を見ただけで-10dBmが良いとは結論できません。 +7dBm(黒の塗りつぶしドット)にしても0dBmと比べ変化の度合いは少ないようです。概ね-5〜0dBmあたりのキャリヤを与えるのが良さそうです。
通信機においては1%未満の歪み率と言うのはなかなか良好だと思います。単純なアンプ回路ならまだしも、非線形な動作を伴う復調回路ですから良い性能と言えそうです。 なお、455kHzではどうか調べてみましたが、概ね同様だったので1MHzの例で代表します。
グラフで信号レベルが下がると歪み率が悪化するのはノイズの影響が出てくるからです。アンプを必要な帯域幅に絞り回路も良くシールドすればだいぶ改善されます。 信号の歪みが大きくなってくる訳ではありません。 加える信号を最大でも0dBmを超えぬ程度に留めておけば音の良いSSB復調(受信)ができるのではないでしょうか。
【復調周波数特性】
DBM回路そのものは高周波回路のミキサーにも使える性能を持っています。原理的に周波数特性は良好で広帯域です。 従って復調回路に使った時も復調出力は広帯域にわたり平坦です。(DBM部に続くアンプ部分が周波数上限を制限しています)
ここでは簡易なテストの意味から漏れてくるRF(=キャリヤの漏れと和の周波数の信号)をカットできれば良いとして簡単なLCのLPFで済ませました。そのために、数10kHzのところに盛り上がりができました。
本格的に使う時は、インピーダンスを考え、整合したLPFを入れれば良いでしょう。そうすれば盛り上がりのない平坦な周波数特性が得られますから、そのつもりでご覧頂ければと思います。 MC-1451の復調周波数特性ではなく外付けLPFの周波数特性が見えてしまっている訳です。
以上、MC-1451の復調特性を評価してみました。実用するための情報が得られました。
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電源電圧が21Vと言うことから用途は限定されてしまうかも知れません。 AC電源の受信機(RX)なら電源整流回路を少し工夫して21Vを作るのは難しくありません。 12V電源の機械の場合、DC/DCコンバータで昇圧する手もありますが、そこまでして使う価値はないでしょう。
早速思いつく用途としてはR-390AやR-392と言った455kHz:IF出力を持ったRXの外付けSSB受信アダプタがあります。これらRXはSSB向きの検波器を内蔵しておらず、いま一つ復調音が悪いのです。 RF/IFゲインを絞って受信すれば何とかなるのですが、今風RXのようにSSB受信でもばっちりAGCを効かせて受信したいものです。 前々から外付けで『良い音』のSSBアプタが欲しいと思っていました。有望な活用候補にしておきます。 消費電流は10mA未満なので他の真空管機に内蔵するのも良さそうです。 ただし復調回路そのものがゲインを持つので信号レベルを見直す必要があるでしょう。 最初からMC-1451を使う前提で半導体式の受信機を設計するのも面白そうです。
いろいろ妄想が膨らんできたところでおしまいにします。 もしもこのICをお持ちなら面白い受信機なりアダプタが作れそうですからぜひともお試しを。 20世紀に置いてきた技術遺産にも優れモノがあったことを実感できるでしょう。 de JA9TTT/1
#ブラジルのネットショップでMC-1451Eを見つけました。システムの補修用に輸出されたパーツの流出品でしょうか。ポルトガル語なので良くわかりませんが未使用品が手に入る可能性もある?
#次は私なりにソ連製のDBMでも扱おうかな? それってレアものだなあ・・・(爆)
(おわり)
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