【I-Fアンプとマーカー発振器を兼ねる工夫:1AB6/DK96】(まとめ編)
Introduction
Communication receivers require a calibration function for the readout frequency. I am designing a receiver using vacuum tubes, but I will add the calibration function without increasing the number of tubes. To achieve this, I experimented with a circuit that serves as both a second intermediate frequency amplifier and a marker oscillator. The marker oscillator circuit I tested, using a 200kHz crystal oscillator, worked extremely well. With this, all components for the battery-powered tube receiver have been experimentally verified. I have summarized them in a block diagram.(2025.12.20 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【周波数マーカーは必須の装備】
電池管を使って受信機を創るプロジェクトです。 コリンズタイプのダブル・スーパ受信機を作ります。この最終回ではその「まとめ」を行ないます。
前回のBlog(←リンク)では第2周波数変換を扱いました。 これで主要な構成要素の検討は終わりました。 おおむね実用になりそうな性能が得られるでしょう。
受信周波数の安定度は第2局発でほとんどが決まります。 周波数の読み取りもその部分で行なうことになります。 ダイヤル面に7000〜7200kHzの200kHz幅を展開する予定ですが、アナログ読取りで行くことになります。 したがって最低限の機能としてバンドエッジを知るためのマーカーオシレータは必須です。 今回のBlogは第2IFアンプとマーカーオシレータを兼用する回路の実験を目的とします。
☆
半導体技術が進歩した現在、周波数の読み取りはデジタル技術を使えば楽々可能です。せっかく通信型受信機を作るならそうすべきなのかもしれません。しかしここではできるだけ「電池管」(乾電池用の真空管)だけを使って『使い物になりそうな』受信機を目指したいと思っています。 同時にできるだけ少ない球数で実現したいものです。 従って普通の受信機設計ではやらないようなことをやらねばなりません。まさかIFアンプとマーカーオシレータを兼用するなんてねえ。 写真はそんな実験の様子です。(笑)
まあ、大したお話ではないので興味がわかないとお感じならこの先はパスされてください。すでに年末です。あなたの貴重な時間を大切に使いましょう。
【低い周波数の水晶発振子】
例えば1MHzとか10MHzのような高い周波数の水晶発振子で発振させ、それを分周して100kHzや25kHzを得ると言った手は使え(使い)ません。 電池管でもおそらく分周器の製作は不可能ではありませんが、球数ばかり増えてしまって「何のこっちゃ」ってなります。(笑)
ですから基本周波数が100kHzと言った低い周波数の水晶発振子を使うことになります。
写真は100kHzと200kHzの水晶発振子です。 HC-13/U型の100kHzでも良いのですが、もう少し小型の200kHzで行こうと思います。周波数が倍になってだいたい半分のサイズです。
【100kHz:HC-13/Uは不安定】
大きな水晶発振子に共通と思われますが、HC-13/U型の100kHz水晶には欠点があります。受信機のマーカーオシレータくらいなら使えるのですが、周波数基準用としては不安定です。例えば周波数カウンタのタイムベースには不向きでしょう。温度係数もありますが『姿勢誤差』が問題です。
具体的には発振子を縦にするのか横にするのか、あるいは寝かせるのかなど姿勢を変えると周波数が変わるのです。 周波数が低いため水晶板そのものが大きくできています。そのため重力の影響を受けわずかに「たわむ」のでしょう。地球上にある限り重力から逃れられず姿勢で周波数が動くわけです。 HC-13/U型水晶発振子は内部の水晶板が片持ち支持構造なので重力の影響を受け易いのでしょう。 個体差もありますが実際に100kHzのHC-13/Uでは数Hzの変化が認められます。(於・7MHzの校正点) 低い周波数でも腕時計に使うような音叉型小型水晶発振子なら大丈夫なのですが・・・。
200kHzのHC-6/Wでも『姿勢誤差』と無縁ではないのでしょうが顕著にはわかりません。100kHz/HC-13/Uより有利です。
【I-Fアンプとマーカー発振を兼ねる回路】
5グリッド七極管:1AB6/DK96を使って、I-Fアンプ(中間周波増幅器)とマーカー発振器を兼ねる回路です。 マーカー発振器の周波数は200kHzです。
フィラメント、第1グリッド、第2グリッドの3つで構成される三極管で水晶発振を行ないます。 これがマーカー発振器になります。 中間周波信号は第3グリッドに加えられ普通に増幅されます。 1AB6/DK96の相互コンダクタンス:gmは専用の五極管:1AJ4/DF96よりもやや小さいのですが、受信機としてはI-Fアンプを2段にすることで十分なゲインが得られます。 なお、第1I-Fアンプ部にこの回路を使うとマーカー発振の漏洩が後続のI-F増幅段に影響します。 従ってこの回路は第2I-Fアンプの部分に使います。
発振の確実性を得る目的で第2グリッドには概略200kHzに同調したLC共振回路(タンク回路)を置きます。最適な発振状態を得るため、そのLC回路の共振周波数は調整する必要があります。200kHzよりやや高い周波数に合わせます。ここではコイルのコアで共振を加減しています。 発振波形ですが、第1グリッド側はきれいな正弦波状です。ここからマーカー信号を取出し小容量:2pFで結合してRFアンプに導きます。
水晶発振子は上記で説明どおり200kHz、HC-6/W型です。 LC共振回路(タンク回路)には7mm角の可変インダクタを使いました。(東光:7PLA型) 発振周波数の微調整は第1グリッド側の可変コンデンサ:C2で行ないます。 これでJust 200kHzに合わせられます。 真空管は1AB6/DK96を使いましたが、1R5あるいは1R5-SFで作ることもできます。次項を参考にしてください。
【AN/GRC-9/RT-77のマーカ・I-Fアンプ部】
ここで試作したマーカ発振を兼ねるI-Fアンプ回路は米陸軍の野戦用無線機:AN/GRC-9/RT-77の受信部を参考にしています。第二次大戦から朝鮮戦争で多数使われたポピュラーな軍用無線機です。
AN/GRC-9/RT-77は2〜12MHzをカバーするHF帯の移動用AM/CW用トランシーバで、電池管を主体に構成されています。受信部は高1中2のシングル・スーパでI-Fは456kHzです。そのダイヤル目盛りの校正用として200kHzのマーカ発振器が付いています。 小型化と省電力を目的に最低限の球数で構成されています。 そのためマーカ発振器とI-Fアンプを兼ねたのでしょう。そうすることでマーカ発振用の真空管が省けます。(トランジスタなんて存在しなかった時代の苦肉の設計ですから・笑)
図の回路でモードスイッチをCALのポジションにすると、1R5・第1グリッドのGNDが解除されます。同時に第2グリッドの高周波バイパスが解除されてマーカーが発振開始します。そのマーカ信号をRFアンプのグリッドへ結合して200kHz毎の校正ポイントが得られます。
参考までにAN/GRC-9/RT-77の送信部は、直熱送信管:2E22がファイナル管で、AMで7W、CWで15Wを得ています。AMは2E22のサプレッサ・グリッド変調という珍しい形式です。送信可能な周波数は受信部と同じで、可変周波発振器:VFOのほか水晶発振(Band毎2ch内蔵)も選べます。なお、外観写真をはじめ詳細な情報はネット上にたくさん存在します。
【発振波形を観察する】
発振波形を観察してみました。 1AB6/DK96の第1グリッドを測定しています。
第2グリッド・・・発振三極管のプレート相当・・・にも200kHzの信号が現れますが、プラス側の半サイクルが圧縮された歪み波形になっています。 マーカー回路の趣旨から言えば波形に歪みがあって高調波が豊富な方が望ましいと思います。 しかし実際には波形のきれいな第1グリッド側(写真の観測ポイント)からマーカー信号を取り出しています。
マーカー信号は受信信号と比較すれば極めて強力です。当然RF-Amp.で歪むはずですからそれで良いのかもしれません。
【マーカーの周波数を合わせる】
回路図のC2で周波数を200kHzちょうどに合わせられます。
受信周波数の読取り精度はマーカーの周波数が決めます。 従って良く合っていて安定していなくてはなりません。初期精度を上げるためには周波数調整を行ないます。 少し通電エージングしてから周波数合わせします。
第1グリッドに周波数カウンタのプローブを当てて測定するとプローブを外したとき誤差を生じます。最も良いのはマーカー発振器の高調波と標準電波・・WWV/WWVHなど・・を別の受信機で受信しながらC2でゼロビートを得る方法が良いでしょう。
200kHzという低い周波ですから発振周波数は十分安定しています。 ただし、実際の校正周波数である7000kHzや7200kHzでは高調波を利用しますから、35〜36倍で効いてきます。マーカー発振器の周波数安定度はたいへん重要です。
【消費電流を観察する】
回路の全電流を実測しています。 B+が50Vのとき約780μA流れました。 これはマーカーが発振した状態における全電流です。
単なる第2IF-アンプとして動作しているときの消費電流は異なります。 マーカーが発振している状態では第1グリッドで自己整流が起こって負バイアスが発生するからです。 負バイアスのためプレート電流も、第2グリッド電流も抑制されます。
マーカーの発振を止めて単なるI-Fアンプとして動作させたときの消費電流は935μA前後に増えます。 使用した1AB6/DK96(手持品のNo.1)での電流値であり、球が変わったり発振状態が変化すると電流も違ってきます。もちろん大きく変わるものではありませんが。
【余録:YEWの3201型テスター】
写真に写っている「3201型回路計」はYEW:横河電機のスタンダードモデルでした。電気工作が趣味の一般的なアマチュアは三和や日置のテスターを買いました。YEWのテスターは計測のプロの持ち物で研究室などで見かけるものです。 JIS規格品ですし、その信頼性が買われたからでしょう。(それだけに高額でした) アナログ好きの私は100kΩ/Vに惹かれてしまい持っておりましたが、あまり使い勝手が良いとは言えず滅多に使っていません。 堅牢そうにできていますが大きくて狭い実験机ではかなり持て余し気味だからです。(笑)
結局のところいつも使っている三和のFX-110が使いやすいしスケールも読みやすいように感じます。比較してみても指示精度に違いはありませんでしたから、三和のテスターで不満はないのです。 デジタル時代の今更ではありますが日本製のアナログテスターはどれもたいへん良くできています。(もちろん今どき安価なDMMが最も実用的ですけれど・・・)
☆
【電池管受信機の最終構成】
今回のマーカー回路を兼ねるI-Fアンプで計画している受信機に必要な全ての要素について実験は済みました。
まとめの意味でブロック・ダイヤグラムに書き落としてみます。 この図でご覧のように電池管を7球使ったダブルスーパ・ヘテロダイン受信機になりました。 図にありませんが受信選択度を決める帯域フィルタにはメカニカルあるいはセラミック・フィルタを使うつもりです。 もしゲイン不足を感じるようならあきらめてLC回路のIFTで済ますかもしれません。 このあたりはまだ少しだけ検討を要する部分です。
☆
しばらくお休みしているBlogですが、尻切れのようでいかにも纏まりに欠けます。予定に残っていたマーカー発振器の実験を追加した上で、目標の受信機として「まとめ」を行なうことに致しました。 さして状況も変わっていないので、すぐ製作に進むのは難しいと思っています。 いつか展望がひらけてきたら再始動するという約束でこの「電池管で作る通信型受信機」というテーマを終えましょう。 もちろん新たなテーマによるBlogの再始動もぼちぼち考えておきたいところです。何かできそうなことから始めましょう。 未来に乞うご期待。(笑) 2025年の師走も押し詰まって参りました。皆様にとって2026年(令和八年)が輝ける一年でありますように! ではまたいつかお会いしましょう。 de JA9TTT/1
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→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(おわり)nm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→いまここ
Radio Experimenter's Blog
Something NEW for your eyes !
2025年12月20日土曜日
2025年6月11日水曜日
【電子管】Testing the 2nd Converter (Part 2)
【第2周波数変換をテストする(2)】(追試編)
Introduction
In the Collins-type receiver I designed in my last blog, the second local oscillator determines the frequency stability. I use a self-converter circuit to save power in my design using battery tubes. I use a 1AB6/DK96 battery tube in the converter circuit, but the local oscillator coil is the most important part. The first core material I used with high permeability didn't have good temperature characteristics. So I decided to wind an air core coil. And I test it.(2025.06.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管の第2コンバータ・追試】
電池管を使って受信機を創るプロジェクトを進めています。 コリンズタイプのダブル・スーパ受信機を作る話として検討を進めます。
第2コンバータはLC共振回路を使った自励発振式の局発回路を使っています。 前回のBlog(←リンク)ではフェライト・コア入りのボビンに巻いた局発コイルで試しました。 実用になりそうな性能ではあるものの、周囲温度変化による周波数ドリフトは大きめでした。
その対策として、ステアタイト製ボビンに巻いた局発コイルを作ってみました。 今回のBlogはそのコイルを試すのが目的です。
☆
せっかく通信型受信機をつくるなら「まともな真空管」を使ったらどうか・・・というご意見もあるでしょう。 電池管であろうが普通の球だろうが実験・製作の手間はさして違いませんから。 乾電池を電源にする受信機を作るのが目的なら別ですが、結局AC電源で使うことになるのでは普通の球で作る方がマシな物が作れるでしょうね。 ここでは長年ジャンク箱に眠ってきた「電池管を使う」というのが一つの目的になっていますので方針を継続したいと思います。
あまり興味が湧かないとお感じならこの先はパスしてください。永いようでも短い人生、限られた貴重な時間を有効に使いましょう。 意味を感じないことに時間を浪費してはもったいないですから。
【第2コンバータの回路設計】
回路図は前回のBlogの再掲載になりますが、このテストではおもに+B電源(真空管のプレート系電源)の電圧を67.5Vとして動作させた時のデータがまとめてあります。
これまで手近にある電源の都合で+B=50Vでテストしてきました。 今回は50Vでは本来の性能が発揮し切れないように感じたため、+67.5Vにアップしてみました。 同時に第2グリッド(発振用三極管のプレート相当)の電圧を調整しているドロッパ抵抗を加減してみました。(27kΩ→15kΩへ変更) これによって発振部のgmがアップし、少々発振が弱い局発コイルでも何とかなるようにしています。
本質的な対策としては、局発コイルのプレート側フィードバック・コイルを巻き直す(多くする)べきです。ここでは巻き直さずに済ませる方向で検討しました。
参考:(電池管の電源事情)電池管を使うラジオ回路の電源電圧はある程度決まっていました。低い方から22.5V、45V、67.5V、90Vがよく使われていました。 これらの電圧は市販されていた積層乾電池の公称電圧に由来しています。 従って、こうした電圧における動作例が真空管の規格表に掲載されていたのです。 特に67.5Vは最もポピュラーで、起電圧が1.5Vの素電池(マンガン電池)を45個積層したBL-M145と言う型番の積層乾電池が有名でした。 クリスタル・イヤフォンで聴くような簡易なラジオの製作記事では22.5V(電池の型番はBL-MV15等)もよく使われていました。 フィラメント用の電源はUM-1やUM-2と言った電圧1.5Vで容量が大きめの単電池を使いました。
【トラッキング・エラーを計算する】
既にトラッキング回路の設計は済んでいます。 今回テストするコイルもそれに基づいて製作したものです。
理想状態で計算した結果と現実では幾分か違いが出て当然です。 ただし周波数も低いうえ、許容されるストレー容量も案外大きいことから、計算結果とよく一致するのではないでしょうか?
計算上どの程度のトラッキングエラーが発生するのか、掴んでおきます。 その結果、たったの250kHzだけカバーする仕様では、トラッキングエラーはせいぜい100Hz程度のようです。 トラッキングの調整をする際にRF同調側を可変範囲の両端ではなく幾らか「内側の周波数」で合わせ込めば重要な周波数付近の誤差をもっと小さくできます。
なおこの設計ではトラッキングエラーのカーブは2次曲線的になって中心付近で最も誤差が大きくなる特性です。これは可変範囲がかなり狭いからです。だからと言って問題になるほどのエラーではありません。支障なく使えます。 局発側のトラッキング調整(=受信周波数範囲を合わせる)ではコイルは固定でパッディング・コンデンサを加減する方法で行なう予定です。
【第2コンバータの発振波形】
第1グリッドで発振波形を観測しています。 ただしこの写真は+B=50Vにおける測定例です。
はじめは+B電源は50Vで検討を進めていました。 確実な発振は得られたのですがやや発振が弱いように感じたのです。 そこで二つの対策が考えられました。
一つ目はコイルの巻き直しです。プレート側のフィードバックコイルを13回巻きから15回以上にすることです。 もう一つ結合を密にするために同調側との距離を減らすことです。場合によっては同調側のコールドエンドの上に重ねて巻き密着させてしまいます。
しかしいずれも厄介なので第三の方法として回路定数である程度カバーできないか検討してみました。 それと+B電圧をアップするのも効果があるはずです。
結局、コイルの作り直しも大変ですから回路電圧のアップと部品定数の変更で何とかしました。 まず+Bを+50Vから+67.5Vへとアップします。 さらに第2グリッドのドロッパ抵抗:R2を小さくしてみるのです。 標準設計ではR2=27kΩですが、これを15kΩや10kΩに減じます。
そうすると第2グリッド電圧がアップし、流れる電流も増えるのでgmが大きくなって発振も強勢になります。 そうは言ってもむやみに電流を増やすのは考えものです。 電池管は特に最大電流が小さいからです。過剰な陰極電流(Ip+Isgなどの合計)はエミ減(陰極の電子放射能力の減退:エミッション減退)に繋がって球の寿命を縮めます。(あまりにも短命では困りますが、今さら球の長寿命に拘る理由もないんですけれども・笑)
検討の結果R2=15kΩが概ね適当な値であることがわかりました。もちろんこれは局発コイルの作り方によっても変わります。 上記の回路図はそのような部品定数になっています。 従って、現状で発振振幅は約8.6Vppが得られており、まずまずの動作状態になっています。
静止画ばかり見ていても面白くありません。 試みにタイムラプス・ビデオを撮影しました。 このビデオは20秒ごとに静止画を撮影し繋いで動画にしています。 11時17分頃から回路への通電開始とともに撮影も開始し、12時20分頃までおおよそ1時間少々の間の周波数の変動を捉えてみました。電源投入から1時間の周波数変動ということになります。再生時間は36秒間です。
肝心の周波数変動ですが、スタートから徐々に周波数が下がって行きますが、途中から上昇に転じるのがわかるでしょうか? その間に300Hzくらい変化しました。 前のコイルは同じようなテストで10kHz弱の変化があったので明らかに改善されていると思います。
一旦下降して再び戻るのは、周囲温度の変化があったからです。 最初温度上昇があり、その後は換気を行なったので元の周囲温度に戻ったのでしょう。 コイルの温度係数は+ですので、温度上昇でインダクタンスが増えて共振周波数は下がります。 簡単ではないと思いますが、温度係数がややマイナス気味のコンデンサで温度補償すると言う手もありそうですね。
コイルを裸のままで観測するなんてナンセンスですが、あくまでも比較テストですので正規の測定前の様子見だと思ってください。こんな実験ですが良い結果を得たと思っています。 ステアタイトのボビンに巻いたコイルはやはり安定しています。
タイムラプスはいまだ試行中なので、次回はもっとわかりやすい時計の指針位置にするとか、撮影を工夫してスタートしてみたいと思います。 今回はちょっとわかりにくいですが、初めてなのでsri。 見てるだけのお客サンも評価作業の雰囲気だけでも味わってください。(笑)
【コイルを固定してしまう】
高周波ワニスを塗る順番が逆だよって言われそうですね。 経験によればサンハヤトの高周波ワニスのインダクタンスへの影響はほとんど問題になりません。 従って、あとから塗ってもあまり支障はないと思っています。
巻き直しが発生したとき、ワニスが塗ってあると厄介なため、確認が済んでから塗布することにしたのです。
防湿効果と巻線の固定の意味からも高周波ワニスの塗布はあった方が良いでしょう。 なお、この高周波ワニスは販売終了になっています。 代替品が線材屋さんなどで小分けされて販売されています。 できれば塗布した方が良いので手に入れておくことをお薦めします。コイル全般に使えます。(こうしたコイルを巻くことは稀になっていますけれど・笑)
発泡スチロール樹脂をちぎって溶剤に溶かし代用品を作るというアイディアが昔からありました。しかし巻線との密着性があまり良くないので今一つだと思います。むかし作って試したことがあります。
☆
【高性能菅でテスト:6AJ8 / ECH81】
低性能な電池管ばかり相手をしていたら少々疲れてしまいました。電池管ではない高性能な真空管を試してみましょう。これは息抜きの実験です。(笑)
6AJ8 / ECH81は欧州系のコンバータ管です。FM / AMラジオ用として開発された真空管です。
米国系の技術が主流になった戦後の日本ではあまり知られていない存在でしょう。 真空管式のAM/FMラジオが作られたごく短い間だけ国内でも使われた球でした。(1960年代始め)
当時、NHK-FMと東海大の実験局:FM東海しか存在しませんでした。そのため魅力に乏しいFM放送は殆ど注目されず、FM付きラジオも商売にはならなかったようです。一般家庭には普及しませんでした。 FM放送が大衆化したのは'70年代のラジカセ時代になってからです。もちろん真空管ラジオの時代は終わっていました。(参考:FM東海は現在あるエフエム東京の前身にあたります)
6AJ8は五グリッド管(七極管)と三極管の複合管です。 FM受信のとき、七極管の部分は10.7MHzのFM用中間周波増幅器として動作します。 AM受信では三極管の部分で局発を行ない七極部で周波数変換します。AMの中間周波数は455kHzでした。
6AJ8は変換コンダクタンスが大きいのでゲインが高く、等価雑音抵抗も低いため良く知られているコンバータ管:6BE6の3倍くらいFBな球です。 ただ、通信機への応用例はほとんど見られず、高性能とわかってはいても使われない球でした。 わたしも使ったことはありませんでした。(「通信型受信機の解説と実際」JA1FG梶井OM(故人)の著書:CQ出版社・初版1966年にわずかな使用例がある)
その理由は、一般市販のコイルセット(例えばTRIOのSシリーズコイルなど)の局発コイルがそのままでは使えないためです。既成コイルの改造が必要とあっては手を出す人も稀だったのでしょう。それに球数をいとわない通信機用としては他の形式の周波数変換回路(ミキサー回路)の方が6AJ8/ECH81よりも優れていたからです。
今回の一連の電池管を使った実験では二次巻線付きの局発コイルが必須だったため自作しました。 その派生で6AJ8/ECH81もテストできた訳です。 いずれ詳細をレポートできたらと思っています。 ざっとした評価ですがなかなか良い球です。 なお、トランスレス・ラジオ用の球としては12AJ7 / HCH81があってヒータ電圧違いの同等管です。
☆
ステアタイトボビンに巻いた局発コイルが適切か否か調べるために実験しました。 確実な発振が起こってくれて、周波数も安定してくれたらという期待を込めて。
どうやらそれは目論見通り旨く行ったようです。 電池管の受信機用としてはちょっと大げさですがこのコイルを使ってみましょう。 では。 de JA9TTT/1
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(つづく)←リンク fm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→いまここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
Introduction
In the Collins-type receiver I designed in my last blog, the second local oscillator determines the frequency stability. I use a self-converter circuit to save power in my design using battery tubes. I use a 1AB6/DK96 battery tube in the converter circuit, but the local oscillator coil is the most important part. The first core material I used with high permeability didn't have good temperature characteristics. So I decided to wind an air core coil. And I test it.(2025.06.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管の第2コンバータ・追試】
電池管を使って受信機を創るプロジェクトを進めています。 コリンズタイプのダブル・スーパ受信機を作る話として検討を進めます。
第2コンバータはLC共振回路を使った自励発振式の局発回路を使っています。 前回のBlog(←リンク)ではフェライト・コア入りのボビンに巻いた局発コイルで試しました。 実用になりそうな性能ではあるものの、周囲温度変化による周波数ドリフトは大きめでした。
その対策として、ステアタイト製ボビンに巻いた局発コイルを作ってみました。 今回のBlogはそのコイルを試すのが目的です。
☆
せっかく通信型受信機をつくるなら「まともな真空管」を使ったらどうか・・・というご意見もあるでしょう。 電池管であろうが普通の球だろうが実験・製作の手間はさして違いませんから。 乾電池を電源にする受信機を作るのが目的なら別ですが、結局AC電源で使うことになるのでは普通の球で作る方がマシな物が作れるでしょうね。 ここでは長年ジャンク箱に眠ってきた「電池管を使う」というのが一つの目的になっていますので方針を継続したいと思います。
あまり興味が湧かないとお感じならこの先はパスしてください。永いようでも短い人生、限られた貴重な時間を有効に使いましょう。 意味を感じないことに時間を浪費してはもったいないですから。
【第2コンバータの回路設計】
回路図は前回のBlogの再掲載になりますが、このテストではおもに+B電源(真空管のプレート系電源)の電圧を67.5Vとして動作させた時のデータがまとめてあります。
これまで手近にある電源の都合で+B=50Vでテストしてきました。 今回は50Vでは本来の性能が発揮し切れないように感じたため、+67.5Vにアップしてみました。 同時に第2グリッド(発振用三極管のプレート相当)の電圧を調整しているドロッパ抵抗を加減してみました。(27kΩ→15kΩへ変更) これによって発振部のgmがアップし、少々発振が弱い局発コイルでも何とかなるようにしています。
本質的な対策としては、局発コイルのプレート側フィードバック・コイルを巻き直す(多くする)べきです。ここでは巻き直さずに済ませる方向で検討しました。
参考:(電池管の電源事情)電池管を使うラジオ回路の電源電圧はある程度決まっていました。低い方から22.5V、45V、67.5V、90Vがよく使われていました。 これらの電圧は市販されていた積層乾電池の公称電圧に由来しています。 従って、こうした電圧における動作例が真空管の規格表に掲載されていたのです。 特に67.5Vは最もポピュラーで、起電圧が1.5Vの素電池(マンガン電池)を45個積層したBL-M145と言う型番の積層乾電池が有名でした。 クリスタル・イヤフォンで聴くような簡易なラジオの製作記事では22.5V(電池の型番はBL-MV15等)もよく使われていました。 フィラメント用の電源はUM-1やUM-2と言った電圧1.5Vで容量が大きめの単電池を使いました。
【トラッキング・エラーを計算する】
既にトラッキング回路の設計は済んでいます。 今回テストするコイルもそれに基づいて製作したものです。
理想状態で計算した結果と現実では幾分か違いが出て当然です。 ただし周波数も低いうえ、許容されるストレー容量も案外大きいことから、計算結果とよく一致するのではないでしょうか?
計算上どの程度のトラッキングエラーが発生するのか、掴んでおきます。 その結果、たったの250kHzだけカバーする仕様では、トラッキングエラーはせいぜい100Hz程度のようです。 トラッキングの調整をする際にRF同調側を可変範囲の両端ではなく幾らか「内側の周波数」で合わせ込めば重要な周波数付近の誤差をもっと小さくできます。
なおこの設計ではトラッキングエラーのカーブは2次曲線的になって中心付近で最も誤差が大きくなる特性です。これは可変範囲がかなり狭いからです。だからと言って問題になるほどのエラーではありません。支障なく使えます。 局発側のトラッキング調整(=受信周波数範囲を合わせる)ではコイルは固定でパッディング・コンデンサを加減する方法で行なう予定です。
【第2コンバータの発振波形】
第1グリッドで発振波形を観測しています。 ただしこの写真は+B=50Vにおける測定例です。
はじめは+B電源は50Vで検討を進めていました。 確実な発振は得られたのですがやや発振が弱いように感じたのです。 そこで二つの対策が考えられました。
一つ目はコイルの巻き直しです。プレート側のフィードバックコイルを13回巻きから15回以上にすることです。 もう一つ結合を密にするために同調側との距離を減らすことです。場合によっては同調側のコールドエンドの上に重ねて巻き密着させてしまいます。
しかしいずれも厄介なので第三の方法として回路定数である程度カバーできないか検討してみました。 それと+B電圧をアップするのも効果があるはずです。
結局、コイルの作り直しも大変ですから回路電圧のアップと部品定数の変更で何とかしました。 まず+Bを+50Vから+67.5Vへとアップします。 さらに第2グリッドのドロッパ抵抗:R2を小さくしてみるのです。 標準設計ではR2=27kΩですが、これを15kΩや10kΩに減じます。
そうすると第2グリッド電圧がアップし、流れる電流も増えるのでgmが大きくなって発振も強勢になります。 そうは言ってもむやみに電流を増やすのは考えものです。 電池管は特に最大電流が小さいからです。過剰な陰極電流(Ip+Isgなどの合計)はエミ減(陰極の電子放射能力の減退:エミッション減退)に繋がって球の寿命を縮めます。(あまりにも短命では困りますが、今さら球の長寿命に拘る理由もないんですけれども・笑)
検討の結果R2=15kΩが概ね適当な値であることがわかりました。もちろんこれは局発コイルの作り方によっても変わります。 上記の回路図はそのような部品定数になっています。 従って、現状で発振振幅は約8.6Vppが得られており、まずまずの動作状態になっています。
【局発周波数のドリフト特性:タイムラプス・ビデオ】
(参考:このビデオは再生しても音はでません)
静止画ばかり見ていても面白くありません。 試みにタイムラプス・ビデオを撮影しました。 このビデオは20秒ごとに静止画を撮影し繋いで動画にしています。 11時17分頃から回路への通電開始とともに撮影も開始し、12時20分頃までおおよそ1時間少々の間の周波数の変動を捉えてみました。電源投入から1時間の周波数変動ということになります。再生時間は36秒間です。
肝心の周波数変動ですが、スタートから徐々に周波数が下がって行きますが、途中から上昇に転じるのがわかるでしょうか? その間に300Hzくらい変化しました。 前のコイルは同じようなテストで10kHz弱の変化があったので明らかに改善されていると思います。
一旦下降して再び戻るのは、周囲温度の変化があったからです。 最初温度上昇があり、その後は換気を行なったので元の周囲温度に戻ったのでしょう。 コイルの温度係数は+ですので、温度上昇でインダクタンスが増えて共振周波数は下がります。 簡単ではないと思いますが、温度係数がややマイナス気味のコンデンサで温度補償すると言う手もありそうですね。
コイルを裸のままで観測するなんてナンセンスですが、あくまでも比較テストですので正規の測定前の様子見だと思ってください。こんな実験ですが良い結果を得たと思っています。 ステアタイトのボビンに巻いたコイルはやはり安定しています。
タイムラプスはいまだ試行中なので、次回はもっとわかりやすい時計の指針位置にするとか、撮影を工夫してスタートしてみたいと思います。 今回はちょっとわかりにくいですが、初めてなのでsri。 見てるだけのお客サンも評価作業の雰囲気だけでも味わってください。(笑)
【コイルを固定してしまう】
高周波ワニスを塗る順番が逆だよって言われそうですね。 経験によればサンハヤトの高周波ワニスのインダクタンスへの影響はほとんど問題になりません。 従って、あとから塗ってもあまり支障はないと思っています。
巻き直しが発生したとき、ワニスが塗ってあると厄介なため、確認が済んでから塗布することにしたのです。
防湿効果と巻線の固定の意味からも高周波ワニスの塗布はあった方が良いでしょう。 なお、この高周波ワニスは販売終了になっています。 代替品が線材屋さんなどで小分けされて販売されています。 できれば塗布した方が良いので手に入れておくことをお薦めします。コイル全般に使えます。(こうしたコイルを巻くことは稀になっていますけれど・笑)
発泡スチロール樹脂をちぎって溶剤に溶かし代用品を作るというアイディアが昔からありました。しかし巻線との密着性があまり良くないので今一つだと思います。むかし作って試したことがあります。
☆
【高性能菅でテスト:6AJ8 / ECH81】
低性能な電池管ばかり相手をしていたら少々疲れてしまいました。電池管ではない高性能な真空管を試してみましょう。これは息抜きの実験です。(笑)
6AJ8 / ECH81は欧州系のコンバータ管です。FM / AMラジオ用として開発された真空管です。
米国系の技術が主流になった戦後の日本ではあまり知られていない存在でしょう。 真空管式のAM/FMラジオが作られたごく短い間だけ国内でも使われた球でした。(1960年代始め)
当時、NHK-FMと東海大の実験局:FM東海しか存在しませんでした。そのため魅力に乏しいFM放送は殆ど注目されず、FM付きラジオも商売にはならなかったようです。一般家庭には普及しませんでした。 FM放送が大衆化したのは'70年代のラジカセ時代になってからです。もちろん真空管ラジオの時代は終わっていました。(参考:FM東海は現在あるエフエム東京の前身にあたります)
6AJ8は五グリッド管(七極管)と三極管の複合管です。 FM受信のとき、七極管の部分は10.7MHzのFM用中間周波増幅器として動作します。 AM受信では三極管の部分で局発を行ない七極部で周波数変換します。AMの中間周波数は455kHzでした。
6AJ8は変換コンダクタンスが大きいのでゲインが高く、等価雑音抵抗も低いため良く知られているコンバータ管:6BE6の3倍くらいFBな球です。 ただ、通信機への応用例はほとんど見られず、高性能とわかってはいても使われない球でした。 わたしも使ったことはありませんでした。(「通信型受信機の解説と実際」JA1FG梶井OM(故人)の著書:CQ出版社・初版1966年にわずかな使用例がある)
その理由は、一般市販のコイルセット(例えばTRIOのSシリーズコイルなど)の局発コイルがそのままでは使えないためです。既成コイルの改造が必要とあっては手を出す人も稀だったのでしょう。それに球数をいとわない通信機用としては他の形式の周波数変換回路(ミキサー回路)の方が6AJ8/ECH81よりも優れていたからです。
今回の一連の電池管を使った実験では二次巻線付きの局発コイルが必須だったため自作しました。 その派生で6AJ8/ECH81もテストできた訳です。 いずれ詳細をレポートできたらと思っています。 ざっとした評価ですがなかなか良い球です。 なお、トランスレス・ラジオ用の球としては12AJ7 / HCH81があってヒータ電圧違いの同等管です。
☆
ステアタイトボビンに巻いた局発コイルが適切か否か調べるために実験しました。 確実な発振が起こってくれて、周波数も安定してくれたらという期待を込めて。
どうやらそれは目論見通り旨く行ったようです。 電池管の受信機用としてはちょっと大げさですがこのコイルを使ってみましょう。 では。 de JA9TTT/1
*ご覧になってご感想、ご質問、ご要望などございましたらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンク fm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→いまここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
2025年5月27日火曜日
【電子管】Testing the 2nd Converter circuit: 1AB6 / DK96
【第2周波数変換をテストする】(活用編)
Introduction
In the Collins-type receiver I designed in my last blog, the second local oscillator determines the frequency stability. I use a self-converter circuit to save power in my design using battery tubes. I use a 1AB6/DK96 battery tube in the converter circuit, but the local oscillator coil is the most important part. The first core material I used with high permeability didn't have good temperature characteristics. So I decided to wind an air core coil.(2025.05.27 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管の第2コンバータ】
電池管を使って受信機を創るプロジェクトを進めています。 コリンズタイプで受信機を作る方向で検討を続けます。
前回のBlog(←リンク)では第1コンバータであるクリスタル・コンバータ部をテストしました。今回はそれに続く第2コンバータを検討します。
写真はテスト途中のものです。まずは局発コイルを巻き、オシレータ・トラッキングの設計を検証しています。必要なカバレッジが得られるか確認しているところです。 もちろんここは周波数安定度を決めますからとても重要な部分です。その検討も行ないました。
バリコンは予定通りFM3連・AM2連のタイプを使います。カバーする周波数の範囲が250kHzと、ごく狭いことから、容量の小さい方のFM用3連バリコンの部分を使うことにしました。
☆
詳しくはこれ以降の部分で明らかになりますが一般的にアマチュアが作るコリンズタイプ受信機の後半部分は単なるシングルスーパと等価なものです。要するにシンプルな短波ラジオのようなものですから周波数帯こそ違いますが中波BCバンドのラジオとさしたる違いはないわけです。 周波数カバー範囲は短波帯ではありますが、一般的に2〜3MHzあたりのごく低い方を選ぶので難しい周波数帯でもありません。
シンプルなラジオ並みの設計ですからあまり興味の対象ではないかも知れませんね。 今回も暇人専用コンテンツです。あなたの貴重なお時間を大切に!
【第2コンバータの周波数関係】
すでに前々回のBlog(←リンク)においてブロック図で検討していますが、もう少し具体的な設計に踏み込んでみます。 第2中間周波は455kHzの設計です。
まず、受信周波数範囲ですが7MHzのHAMバンドをフルカバーする設計で考えます。 7.000〜7.200MHzのカバーが必要ですが、上下に多少のマージンを設けます。
従ってカバレッジの設計としては25kHzずつのマージンを設けて6.975〜7.225MHzとしましょう。可変範囲としては7.100MHzを中心に250kHz幅になります。
なぜもっと広い周波数範囲にしないのかと言う疑問もあるでしょう。例えば7.000〜7.500の500kHz幅にするとか、7.0〜8.0MHzの1MHzでも良いのではと思われるでしょう。
これはダイヤル機構が関係します。 しっかりしたダイヤル機構が構築できるなら500kHzや1MHzでも良いのです。(要スプリアス検討) ここでは簡略にする必要からなるべく狭く設計したいと思っています。 ダイヤルスピードがSSBやCWのチューニングに適することも大切です。
具体的には、バリコン付属の減速ギヤ+ボールドライブを考えているのでカバー範囲をあまり広くするとダイヤルがクリチカル過ぎて操作性が低下してしまいます。 まあ選択度も良くないのでAMの受信なら少々クリチカルなダイヤルでも大丈夫なのですが・・・ここではSSB/CWも受信対象ですので。
バリコンは最初の写真にあるものを使い周波数範囲を決めクリスタルコンバータの局発周波数を5.12MHzとして第2コンバータの具体的な周波数設計を行なってみました。左図で確認してください。
【第2コンバータの回路設計】
左図は具体的な第2コンバータ回路です。 コンバータ管には1AB6/DK96を使います。
受持つ周波数範囲は1.855〜2.105MHzと中波のちょっと上ですし、カバー範囲も狭いのでコンバータ管は1AB6/DK96ではなくて1R5(-SF)でも大丈夫でしょう。上記周波数帯を455kHzへ周波数変換します。
周波数も低いですから引っ張り現象(Pull-in)もほとんど問題にならない筈です。 ただし多少なりとも有利な1AB6/DK96を使います。もし手持ちがあるなら1L6や1U6も適する筈です。1U6は1AB6/DK96同様に25mAフィラメントの省エネ管です。(どちらも1AB6/DK96と互換球ではないので回路変更を要する)
1stコンバータ・・・クリコン部の出力には強力な局発の成分:5.12MHzがかなり漏れて来ます。 そのため第2コンバータが入力オーバーで飽和しないよう、入力部に2段の同調回路を置きます。
それ以外はBC帯の自励式コンバータ回路と違いはありません。 この回路もキーポイントは局発回路で、特にコイルにあります。 まずはその試作から始めました。 最初の写真はコア入りのボビンに巻いて試作した局発コイルで局発部分の動作を確認している様子です。
【発振波形で確認】
最初にコア入りの小型ボビンで試作した局発コイル(OSC Coil)で発振を確認します。
巻数比が適正か否かの確認が先決でそれは発振々幅の観測からわかります。他にもグリッド抵抗:R1=27kΩを流れるグリッド電流で確認する方法もあります。
写真のように第1グリッドで見て8Vpp得られていますからマズマズと言えるでしょう。電源電圧が低いためか、やや発振が弱い感じもしますが取り敢えず使えそうです。
具体的には東光製の「10PA」と言う形式のコイルボビンに巻いています。ツヅミ型の芯コアと外側の調整式ツボ型コアという構造になったものです。
いずれのコア材も透磁率:μが大きいらしく少ない巻き数で大きなインダクタンスが得られます。そのため作り易いメリットがあります。また一次側巻線と二次側巻線の結合度が高くて発振コイル用には向いています。
しかしこのコイルは少量の入手が難しいのでこれ以上の詳細は省きます。是非とも欲しいお方には差し上げますので連絡ください。少量なら手持ちがあります。
類似のコア材としてaitendoの「IFTきっと」があって同じように使えます。(巻き回数は異なる。未製作ですが、1次側:39回、2次側:10回で良いはず)
【発振はするが・・】
発振周波数を確認しています。2310kHzというのは受信機としての受信周波数で言えば低端にあたる6975kHzになります。(-455+2310+5120=6975(kHz))
トラッキング回路の設計検証と周波数安定度の様子を見るのが目的です。
表示周波数の下位桁が文字化けしていますが、カメラのシャッターが開いている間に周波数変動があって数字が多重露光になっているためです。
1Hz以下の部分ですし、何のシールドもされていないブレッドボード製作ですから常に微小な周波数変動があっても不思議ではないでしょう。 水晶発振ではなくてLC発振ですから。(笑)
短時間の周波数安定度を見ていて、概ね実用できそうな感触をもちました。 そのため通電のまま暫く放置して変動を観察してみました。
目的の周波数帯:7.000〜7.200MHzが逃げてしまうほどの周波数変動はありませんでしたが、思ったより大きな変化があるようでした。 電源ONから数時間で10kHzくらいの変化するようです。 通電初期の変動は大きいのですが、すぐに安定してきて変動量が減って行きます。しかしジワジワした変動は残るようです。
通電したままでエージングが進めばもっと安定してくる可能性もありますが、どうもミュー:μの大きなコア材を使ったコイルは周囲温度の変動に敏感な感じでした。透磁率μの温度係数がかなり大きいのでしょう。 未検討ですがaitendoの「IFTきっと」を使う方が幾らかマシかも知れません。
☆
周波数カバレッジには問題はないようです。 トラッキング回路の設計・計算は大丈夫として周波数安定度はもう少し何とかしたいと思いました。 コア入りの局発コイルは調整に便利なのですが・・・思いきって空芯コイルを試すことにしました。
【マヂック・ハンダ?】
部材ストックからステアタイト製のボビンを見つけました。直径は1インチ:25.4mmで長さは63mmなので、2・1/2インチのようです。
すっかり忘却していて出所不明ですが、おそらく自励発振式のLC-VFOを作るつもりでストックしておいたのでしょう。 使わなければいずれ不燃ごみの運命ですから使ってやることにしました。
ところで「マヂック・ハンダ」って知ってますか? コイル好きでしたらバーアンテナとかコイルの端に巻線を止めるための樹脂が塗ってあったのを覚えているでしょう? いえいえ、コイル全体に塗る高周波ワニスのことではありませんよ。
見知ってはいたのですが、どんな「物質」でどう「扱う」のかは知りませんでした。 インターネット時代になってから知識が広まり、あるとき材料の入手と使い方の情報がもたらされました。(情報源はJA2EP/JH1FCZ・大久保OMのところだったように思います)
タイトボビンに空芯コイルを巻くなんて滅多にありませんのでコレを使うこともほとんどありません。この機会に「マヂック・ハンダ」を活用してみましょう。
棒状の樹脂が販売されていて使い方は簡単です。 ハンダ鏝のような高温のコテ先で溶かして塗布するだけです。(サトー電気で売っていた(いる?)との情報あり)
ただし専用コテならともかく、ハンダ鏝をそのまま使うとコテ先が傷んでしまいます。 滅多に使うものではないので応急的にハンダ鏝の先にアルミ・フォイルを巻きつけて使いました。 一般的なハンダ鏝のような300℃以上にもなるようでは高すぎるのですが、よく溶けて作業性は悪くありません。 ただし高温のまま放置するとコテ先に残った樹脂がコゲてくるようでした。
【巻数は?】
マヂック・ハンダはうまく使えて、コイルの巻線固定に使えました。 綺麗に仕上げるにはちょっとコツがいるようですが・・・
空芯コイルの巻数とインダクタンスの関係は昔から計算式が良く知られています。 長岡氏係数表を使って形状寸法から計算できます。
経験からかなり高精度で算出が可能なこのとはわかっていますが、可能なら実寸法を求めてから計算する方がより精度よく求められます。 ここでは60回巻いて寸法を求めてから計算してみることにしました。もちろんインダクタンスの実測も行ないます。 巻線にはφ0.4mmのポリウレタン銅線(ウレメット線:UEW線とも言う)を使います。 周波数が低いことから大きめのインダクタンスが必要なので密着巻きで作ります。
数えながら手巻きしたのですが、最終的には現物の巻線を数えて確認しました。写真に撮って画像拡大して数えると容易です。59回巻きでしたね。(笑) ノギスなど使って巻き幅も実測しておきます。 これらの寸法はコイル設計に使います。 59回巻きのコイルのインダクタンスは実測で約63μHありました。計算値とほぼ一致です。
参考:寸法形状からインダクタンスを求める方法を左図に示します。 寸法を実測して電卓で計算すればかなり高精度にインダクタンス値が求まります。 空芯のコイルに限ります。コア入りのインダクターには適用できませんのでご注意を!
【コイル設計】
ステアタイト・ボビンに密着巻きしますのでコイルの内径はボビン径の25.4mmです。
さて、何回巻いたら目的のインダクタンス・・・この例では52μHが得られるのでしょうか?
巻線の直径、内径、巻幅などを計算ソフトにインプットすればインダクタンスが計算できます。 これは自作の計算アプリですが、ほかにもWeb上のコイル計算サイトがあるようですから利用すれば簡単に求められます。
形状の実測から寸法を求めていますのでかなり精度の良いインダクタンス計算ができるでしょう。 計算と実測での比較検証によれば誤差1%くらいの精度があるようでした。なかなかの高精度ですね。 ここでは51回巻けば目的とする52μHのコイルが作れそうです。
【コイルを巻く】
実測による補正で52〜53回巻きで目的のインダクタンス付近になりました。 1〜2回違いですから計算通りと言えるでしょう。
現実のコイルには分布容量があって、単純に共振周波数を見つけるだけではそれが分離できません。 従って高精度のコンデンサと合わせて共振点を一箇所だけ求めて計算したところでインダクタンスは正確には得られません。
正確なインダクタンスを求めるには2〜3つの共振周波数から計算するのが良いでしょう。未知のインダクタンスのほか実際に分布容量も含めて計算で求められます。 磁気コア入りコイルの場合、コアの周波数特性が現れるので精度が落ちます。 しかし空芯コイルなのでコアは空気ですから周波数特性は概ね無視できます。従ってかなり高精度で計算できます。数個の既知の容量値のコンデンサとそれらとによる実測の共振周波数から、未知の分布容量とインダクタンスを連立方程式で計算します。角周波数:ωなど入ってきますが計算そのものは中学生レベルの算数ですね。ww
ちなみに4種の精密な値のコンデンサを使い、得られた4つの共振周波数から求める方法で計算した結果、このコイルのインダクタンスは52.4μH、分布容量は4.23pFでした。53回巻きでちょうど良かったようです。
しかしながら実際に回路に入れて使う場合、配線によるインダクタンスや回路自体の分布容量とか真空管の管内容量もあって影響の完全な予想は困難です。コイル単体ではほどほどの所へインダクタンスが収まれば申し分ないはず。 最終的には周波数の微調整で追い込むわけです。 今回はインダクタンスの加減が容易ではないのでパッディング・コンデンサの方で周波数カバレッジを調整します。
写真のようにフィードバック用コイルも巻いて完成させました。 フィードバックコイルの巻き数は決めかねたのですが、やや多めの13回巻きでやってみます。巻線の間隔は約2mmです。
このBlogの作成時点では実回路に入れた検証は済んでいません。従ってもし旨くないようでしたら巻き直す可能性があります。 空芯コイルは本来再現性が良くて同じ材料さえあれば作り易い筈なのですが2次巻線があるとなかなか厄介なものですね。
☆
中波ラジオのコンバータ回路と同じような製作ですが周波数安定度を決めますので重要度の高い部分です。 肝心の局発コイルはコア入りボビンを使うと製作・調整が容易ですが温度係数は大きくなりがちです。 φ1インチのタイト・ボビンで空芯コイルを作るのは少々やりすぎかも知れませんが興味のおもむくままに製作してみました。あとはきちんと発振してくれたら良いのですが・・・もちろん周波数安定度も気になります。 乞うご期待。(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクnm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→いまここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
Introduction
In the Collins-type receiver I designed in my last blog, the second local oscillator determines the frequency stability. I use a self-converter circuit to save power in my design using battery tubes. I use a 1AB6/DK96 battery tube in the converter circuit, but the local oscillator coil is the most important part. The first core material I used with high permeability didn't have good temperature characteristics. So I decided to wind an air core coil.(2025.05.27 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管の第2コンバータ】
電池管を使って受信機を創るプロジェクトを進めています。 コリンズタイプで受信機を作る方向で検討を続けます。
前回のBlog(←リンク)では第1コンバータであるクリスタル・コンバータ部をテストしました。今回はそれに続く第2コンバータを検討します。
写真はテスト途中のものです。まずは局発コイルを巻き、オシレータ・トラッキングの設計を検証しています。必要なカバレッジが得られるか確認しているところです。 もちろんここは周波数安定度を決めますからとても重要な部分です。その検討も行ないました。
バリコンは予定通りFM3連・AM2連のタイプを使います。カバーする周波数の範囲が250kHzと、ごく狭いことから、容量の小さい方のFM用3連バリコンの部分を使うことにしました。
☆
詳しくはこれ以降の部分で明らかになりますが一般的にアマチュアが作るコリンズタイプ受信機の後半部分は単なるシングルスーパと等価なものです。要するにシンプルな短波ラジオのようなものですから周波数帯こそ違いますが中波BCバンドのラジオとさしたる違いはないわけです。 周波数カバー範囲は短波帯ではありますが、一般的に2〜3MHzあたりのごく低い方を選ぶので難しい周波数帯でもありません。
シンプルなラジオ並みの設計ですからあまり興味の対象ではないかも知れませんね。 今回も暇人専用コンテンツです。あなたの貴重なお時間を大切に!
【第2コンバータの周波数関係】
すでに前々回のBlog(←リンク)においてブロック図で検討していますが、もう少し具体的な設計に踏み込んでみます。 第2中間周波は455kHzの設計です。
まず、受信周波数範囲ですが7MHzのHAMバンドをフルカバーする設計で考えます。 7.000〜7.200MHzのカバーが必要ですが、上下に多少のマージンを設けます。
従ってカバレッジの設計としては25kHzずつのマージンを設けて6.975〜7.225MHzとしましょう。可変範囲としては7.100MHzを中心に250kHz幅になります。
なぜもっと広い周波数範囲にしないのかと言う疑問もあるでしょう。例えば7.000〜7.500の500kHz幅にするとか、7.0〜8.0MHzの1MHzでも良いのではと思われるでしょう。
これはダイヤル機構が関係します。 しっかりしたダイヤル機構が構築できるなら500kHzや1MHzでも良いのです。(要スプリアス検討) ここでは簡略にする必要からなるべく狭く設計したいと思っています。 ダイヤルスピードがSSBやCWのチューニングに適することも大切です。
具体的には、バリコン付属の減速ギヤ+ボールドライブを考えているのでカバー範囲をあまり広くするとダイヤルがクリチカル過ぎて操作性が低下してしまいます。 まあ選択度も良くないのでAMの受信なら少々クリチカルなダイヤルでも大丈夫なのですが・・・ここではSSB/CWも受信対象ですので。
バリコンは最初の写真にあるものを使い周波数範囲を決めクリスタルコンバータの局発周波数を5.12MHzとして第2コンバータの具体的な周波数設計を行なってみました。左図で確認してください。
【第2コンバータの回路設計】
左図は具体的な第2コンバータ回路です。 コンバータ管には1AB6/DK96を使います。
受持つ周波数範囲は1.855〜2.105MHzと中波のちょっと上ですし、カバー範囲も狭いのでコンバータ管は1AB6/DK96ではなくて1R5(-SF)でも大丈夫でしょう。上記周波数帯を455kHzへ周波数変換します。
周波数も低いですから引っ張り現象(Pull-in)もほとんど問題にならない筈です。 ただし多少なりとも有利な1AB6/DK96を使います。もし手持ちがあるなら1L6や1U6も適する筈です。1U6は1AB6/DK96同様に25mAフィラメントの省エネ管です。(どちらも1AB6/DK96と互換球ではないので回路変更を要する)
1stコンバータ・・・クリコン部の出力には強力な局発の成分:5.12MHzがかなり漏れて来ます。 そのため第2コンバータが入力オーバーで飽和しないよう、入力部に2段の同調回路を置きます。
それ以外はBC帯の自励式コンバータ回路と違いはありません。 この回路もキーポイントは局発回路で、特にコイルにあります。 まずはその試作から始めました。 最初の写真はコア入りのボビンに巻いて試作した局発コイルで局発部分の動作を確認している様子です。
【発振波形で確認】
最初にコア入りの小型ボビンで試作した局発コイル(OSC Coil)で発振を確認します。
巻数比が適正か否かの確認が先決でそれは発振々幅の観測からわかります。他にもグリッド抵抗:R1=27kΩを流れるグリッド電流で確認する方法もあります。
写真のように第1グリッドで見て8Vpp得られていますからマズマズと言えるでしょう。電源電圧が低いためか、やや発振が弱い感じもしますが取り敢えず使えそうです。
具体的には東光製の「10PA」と言う形式のコイルボビンに巻いています。ツヅミ型の芯コアと外側の調整式ツボ型コアという構造になったものです。
いずれのコア材も透磁率:μが大きいらしく少ない巻き数で大きなインダクタンスが得られます。そのため作り易いメリットがあります。また一次側巻線と二次側巻線の結合度が高くて発振コイル用には向いています。
しかしこのコイルは少量の入手が難しいのでこれ以上の詳細は省きます。是非とも欲しいお方には差し上げますので連絡ください。少量なら手持ちがあります。
類似のコア材としてaitendoの「IFTきっと」があって同じように使えます。(巻き回数は異なる。未製作ですが、1次側:39回、2次側:10回で良いはず)
【発振はするが・・】
発振周波数を確認しています。2310kHzというのは受信機としての受信周波数で言えば低端にあたる6975kHzになります。(-455+2310+5120=6975(kHz))
トラッキング回路の設計検証と周波数安定度の様子を見るのが目的です。
表示周波数の下位桁が文字化けしていますが、カメラのシャッターが開いている間に周波数変動があって数字が多重露光になっているためです。
1Hz以下の部分ですし、何のシールドもされていないブレッドボード製作ですから常に微小な周波数変動があっても不思議ではないでしょう。 水晶発振ではなくてLC発振ですから。(笑)
短時間の周波数安定度を見ていて、概ね実用できそうな感触をもちました。 そのため通電のまま暫く放置して変動を観察してみました。
目的の周波数帯:7.000〜7.200MHzが逃げてしまうほどの周波数変動はありませんでしたが、思ったより大きな変化があるようでした。 電源ONから数時間で10kHzくらいの変化するようです。 通電初期の変動は大きいのですが、すぐに安定してきて変動量が減って行きます。しかしジワジワした変動は残るようです。
通電したままでエージングが進めばもっと安定してくる可能性もありますが、どうもミュー:μの大きなコア材を使ったコイルは周囲温度の変動に敏感な感じでした。透磁率μの温度係数がかなり大きいのでしょう。 未検討ですがaitendoの「IFTきっと」を使う方が幾らかマシかも知れません。
☆
周波数カバレッジには問題はないようです。 トラッキング回路の設計・計算は大丈夫として周波数安定度はもう少し何とかしたいと思いました。 コア入りの局発コイルは調整に便利なのですが・・・思いきって空芯コイルを試すことにしました。
【マヂック・ハンダ?】
部材ストックからステアタイト製のボビンを見つけました。直径は1インチ:25.4mmで長さは63mmなので、2・1/2インチのようです。
すっかり忘却していて出所不明ですが、おそらく自励発振式のLC-VFOを作るつもりでストックしておいたのでしょう。 使わなければいずれ不燃ごみの運命ですから使ってやることにしました。
ところで「マヂック・ハンダ」って知ってますか? コイル好きでしたらバーアンテナとかコイルの端に巻線を止めるための樹脂が塗ってあったのを覚えているでしょう? いえいえ、コイル全体に塗る高周波ワニスのことではありませんよ。
見知ってはいたのですが、どんな「物質」でどう「扱う」のかは知りませんでした。 インターネット時代になってから知識が広まり、あるとき材料の入手と使い方の情報がもたらされました。(情報源はJA2EP/JH1FCZ・大久保OMのところだったように思います)
タイトボビンに空芯コイルを巻くなんて滅多にありませんのでコレを使うこともほとんどありません。この機会に「マヂック・ハンダ」を活用してみましょう。
棒状の樹脂が販売されていて使い方は簡単です。 ハンダ鏝のような高温のコテ先で溶かして塗布するだけです。(サトー電気で売っていた(いる?)との情報あり)
ただし専用コテならともかく、ハンダ鏝をそのまま使うとコテ先が傷んでしまいます。 滅多に使うものではないので応急的にハンダ鏝の先にアルミ・フォイルを巻きつけて使いました。 一般的なハンダ鏝のような300℃以上にもなるようでは高すぎるのですが、よく溶けて作業性は悪くありません。 ただし高温のまま放置するとコテ先に残った樹脂がコゲてくるようでした。
【巻数は?】
マヂック・ハンダはうまく使えて、コイルの巻線固定に使えました。 綺麗に仕上げるにはちょっとコツがいるようですが・・・
空芯コイルの巻数とインダクタンスの関係は昔から計算式が良く知られています。 長岡氏係数表を使って形状寸法から計算できます。
経験からかなり高精度で算出が可能なこのとはわかっていますが、可能なら実寸法を求めてから計算する方がより精度よく求められます。 ここでは60回巻いて寸法を求めてから計算してみることにしました。もちろんインダクタンスの実測も行ないます。 巻線にはφ0.4mmのポリウレタン銅線(ウレメット線:UEW線とも言う)を使います。 周波数が低いことから大きめのインダクタンスが必要なので密着巻きで作ります。
数えながら手巻きしたのですが、最終的には現物の巻線を数えて確認しました。写真に撮って画像拡大して数えると容易です。59回巻きでしたね。(笑) ノギスなど使って巻き幅も実測しておきます。 これらの寸法はコイル設計に使います。 59回巻きのコイルのインダクタンスは実測で約63μHありました。計算値とほぼ一致です。
参考:寸法形状からインダクタンスを求める方法を左図に示します。 寸法を実測して電卓で計算すればかなり高精度にインダクタンス値が求まります。 空芯のコイルに限ります。コア入りのインダクターには適用できませんのでご注意を!
【コイル設計】
ステアタイト・ボビンに密着巻きしますのでコイルの内径はボビン径の25.4mmです。
さて、何回巻いたら目的のインダクタンス・・・この例では52μHが得られるのでしょうか?
巻線の直径、内径、巻幅などを計算ソフトにインプットすればインダクタンスが計算できます。 これは自作の計算アプリですが、ほかにもWeb上のコイル計算サイトがあるようですから利用すれば簡単に求められます。
形状の実測から寸法を求めていますのでかなり精度の良いインダクタンス計算ができるでしょう。 計算と実測での比較検証によれば誤差1%くらいの精度があるようでした。なかなかの高精度ですね。 ここでは51回巻けば目的とする52μHのコイルが作れそうです。
【コイルを巻く】
実測による補正で52〜53回巻きで目的のインダクタンス付近になりました。 1〜2回違いですから計算通りと言えるでしょう。
現実のコイルには分布容量があって、単純に共振周波数を見つけるだけではそれが分離できません。 従って高精度のコンデンサと合わせて共振点を一箇所だけ求めて計算したところでインダクタンスは正確には得られません。
正確なインダクタンスを求めるには2〜3つの共振周波数から計算するのが良いでしょう。未知のインダクタンスのほか実際に分布容量も含めて計算で求められます。 磁気コア入りコイルの場合、コアの周波数特性が現れるので精度が落ちます。 しかし空芯コイルなのでコアは空気ですから周波数特性は概ね無視できます。従ってかなり高精度で計算できます。数個の既知の容量値のコンデンサとそれらとによる実測の共振周波数から、未知の分布容量とインダクタンスを連立方程式で計算します。角周波数:ωなど入ってきますが計算そのものは中学生レベルの算数ですね。ww
ちなみに4種の精密な値のコンデンサを使い、得られた4つの共振周波数から求める方法で計算した結果、このコイルのインダクタンスは52.4μH、分布容量は4.23pFでした。53回巻きでちょうど良かったようです。
しかしながら実際に回路に入れて使う場合、配線によるインダクタンスや回路自体の分布容量とか真空管の管内容量もあって影響の完全な予想は困難です。コイル単体ではほどほどの所へインダクタンスが収まれば申し分ないはず。 最終的には周波数の微調整で追い込むわけです。 今回はインダクタンスの加減が容易ではないのでパッディング・コンデンサの方で周波数カバレッジを調整します。
写真のようにフィードバック用コイルも巻いて完成させました。 フィードバックコイルの巻き数は決めかねたのですが、やや多めの13回巻きでやってみます。巻線の間隔は約2mmです。
このBlogの作成時点では実回路に入れた検証は済んでいません。従ってもし旨くないようでしたら巻き直す可能性があります。 空芯コイルは本来再現性が良くて同じ材料さえあれば作り易い筈なのですが2次巻線があるとなかなか厄介なものですね。
☆
中波ラジオのコンバータ回路と同じような製作ですが周波数安定度を決めますので重要度の高い部分です。 肝心の局発コイルはコア入りボビンを使うと製作・調整が容易ですが温度係数は大きくなりがちです。 φ1インチのタイト・ボビンで空芯コイルを作るのは少々やりすぎかも知れませんが興味のおもむくままに製作してみました。あとはきちんと発振してくれたら良いのですが・・・もちろん周波数安定度も気になります。 乞うご期待。(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクnm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→いまここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
2025年5月13日火曜日
【電子管】Testing the Battery Tube X-tal Converter : 1AB6 / DK96
【1AB6 /DK96でクリスタル・コンバータを】(活用編)
Introduction
I have made a prototype crystal converter circuit using a 1AB6/DK96 battery tube. This circuit is located at the top of the Collins-type receiver and has a significant impact on the receiver's performance. I made a prototype for design verification. The results obtained were good. When the antenna was connected, it was found that the received signal in the 7 MHz band could be received with good sensitivity. This is a step forward to the production of the receiver.(2025.05.13 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管のクリコン】
いわゆるコリンズ・タイプと称する形式で受信機の検討を進めています。(前回のBlog←リンク参照) コリンズ社が考案者という訳ではないのですが、メカトロニクスの粋を結集し一つの受信システムとしてまとめ上げた功績からそう呼ばれるようになったようです。
入力信号は水晶発振器を使った局発により周波数変換されます。 その後、可変I-Fの第1中間周波を経たのち再度周波数変換されて固定周波数の第2I-Fに変換されます。 今回のBlogではこの最初の周波数変換、1st コンバータを扱います。
第1周波数変換は受信機のはじめの方にありますので真っ先にローノイズな性能が求められます。 RFアンプを前置するのは当然ですが、全体のノイズ性能を左右するのでやはりローノイズなコンバータ回路が望まれるのです。 特にHF帯のハイバンド以上では空間ノイズが低下することからローノイズ・コンバータ(ミキサー)は必須です。
ここでは5グリッド管の自励式コンバータをテストします。 目的は7MHz帯の通信用受信機のコンバータとして必要な性能を備えているか否かを判断するためです。 もちろん最適な動作条件(回路の部品定数)を得るのも目的です。
常識的に言えば水晶発振の局発を用意し五極管のグリッド注入型ミキサーとするのが良いでしょう。ローノイズでゲインも十分得られるからです。(ただし2球必要です) ここでは球数の削減を目的に5グリッド管(7極管:コンバータ管)で自励式コンバータ回路を試みます。(もちろん局発は水晶発振ですけれど) 5グリッド管を使えば単球で済みますが、これで性能は大丈夫でしょうか?
☆
ケチケチ設計のコリンズ・タイプ受信機になってしまいそうです。w マトモな設計の受信機を作るつもりならそもそも電池管なんかやめた方が賢明です。普通の球を使って作る方が報われやすいです。電池管はデバイスとしての性能が違い過ぎですね。
例えば米軍用トランシーバ:RT-66〜68シリーズの基本設計は電池管式です。ただし高周波増幅だけは6AK5を使っています。たぶん電池管の1T4とか1L4では性能不十分なのでしょう。このRTシリーズがHF帯ハイバンドからVHF帯というのも関係ありますけれど。
すべて電池管で作ると性能は期待できませんが7MHz帯ですから何とかなるんじゃないかと思ってテストしています。 つまらんと思ったらこの先はおやめください。 上っ面をざっと眺めたところで貴方が企んでいる高性能受信機設計にはほとんど役に立たないでしょう。 まあ考え方次第ですが。 私は得るものはあると信じています。(笑)
【七極管クリコン回路】
「クリコン」とはクリスタル・コンバータの略で、クリスタル・・・水晶発振子のこと・・・を使った発振器を使うコンバータ回路のことです。 真空管としては1AB6/DK96だけでなく1R5-SFで作ることもできます。 1R5(-SF)でも水晶発振で使えば引き込み現象も実用上問題にならないはずです。 実際に水晶発振のテストまでは進めてあります。
今回は1AB6/DK96で試すことにしました。 1AB6/DK96でも問題なく水晶発振が可能でした。 発振回路はピアースPG相当(無調整回路)で周波数は5.12MHzです。のちに写真がありますがきれいな正弦波(第1グリッド側で観測)で発振しています。
第4グリッドはB+直結の回路になっていますが、追加の試験によるとドロッパ抵抗(100kΩ)とバイパス・コンデンサ(0.01μFくらい)を挿入しておく方が良いようです。ドロッパ抵抗を挿入すると状態が変わるため各実測値は異なってきます。 回路図のまま作っても支障はないため、図中の数値や以下の評価結果はドロッパ抵抗なしの例で示しました。
入力の同調回路で昇圧された7MHz帯の受信電波は第3グリッドに加えられ、局発の5.12MHzと混合され差のヘテロダインで1.88〜2.08MHzに周波数変換されます。 なお、今回はコンバータ回路の要素実験なのでRFアンプなしのコンバータ単独でテストします。
実際の受信機ではコンバータの前に高周波増幅(RFアンプ)を設けます。 またこの第1周波数変換の後ろは、おなじく1AB6/DK96を使った第2周波数変換が続く予定です。
今回は第1周波数変換単独でテストする都合から、そのままテストできるよう便宜的に低インピーダンスにステップダウンして変換出力を取り出しています。そのため変換利得は犠牲になってしまいます。
既存のジェネカバ受信機で1.88〜2.08MHzを受信してみることで実際に7MHzのHAMバンドがどのように周波数変換されて聞こえるのか、コンバータ回路としての性能が感覚的にわかるはずです。
従って製作する受信機とはT2(出力同調回路)の部分が異なります。 受信機では2段の同調回路を重ねた形の可変同調回路を予定します。 その構成なら50Ωにステップダウンはしませんから2つの同調回路の結合損失程度の僅かなロスで済むはずです。 第1周波数変換回路としてはプラスのゲインになるでしょう。
【キーポイントは水晶発振】
やはりキーポイントは水晶発振にあります。 確実な発振が起こらなければ周波数変換はなされません。 第1グリッド、第2グリッド(プレートに相当)とフィラメント(カソード)の三極によるスタンダードな水晶発振回路を構成します。
ただし電池管はgmが低いため発振回路の部品定数を最適な状態に選ぶ必要があります。 たいへんポピュラーなラジオ用五極管:6BA6と同じような部品定数では発振してくれないことがあります。
発振強度はC4(10pF)とC6(27pF)によって加減します。 この定数は比較的強力に発振するように選んであります。 もう少し弱い発振でも大丈夫そうですが強めに発振するよう選びました。もちろん選び方が悪いと発振してくれません。 さらに1R5-SFとではかなり異なりました。
水晶発振子は5.12MHzですが、これは手持ちの都合です。 幸いスプリアスがバンド内に入ることはありません。 周波数の選び方が悪いとスポットでスプリアスが現れることがあります。
5.12MHzの水晶発振子は市販品があります。使ったものの形状はHC-49/Uです。他の形状の水晶発振子でも大丈夫ですが発振子によっては回路定数の見直しを要する場合があります。gmが低い電池管はゲインが低いため部品定数選びは幾分シビアというのが大まかな印象です。
【発振波形を見る】
第1グリッド側で発振波形を観測してみました。
19Vppあって、かなり大きいように感じるかもしれません。 これくらいで支障はないようです。 むしろ変換コンダクタンス:gcの点から見てこれくらい必要なようでした。 これが小さいとだんだん変換ゲインが低下してきます。
プローブを当てると対GND間のキャパシタンス:Cが増えたのと等価になります。 C4(10pF)が数pFくらい増えたことになります。 その結果、やや発振振幅は大きくなる(発振が強くなる)方向の影響が出ています。(グリッド電流Ig1を測りながらプローブを当ててみると影響がわかります)
【Philipsのデータシートでは?】
いくら低性能なコンバータ管とは言っても諦めずにフルに性能を発揮させたいものです。 動作状態確認のためPhilips社の1AB6/DK96のデータシートを参照しましょう。
横軸には第1グリッドに加えられる局発の電圧がとってあります。 描かれたカーブは変換コンダクタンス、プレート抵抗、第1グリッド電流です。
このうち、変換コンダクタンスに着目しましょう。 それによると局発の電圧が5Vrmsあたり(=14Vpp程度)でピークになります。それより小さくても大きくても変換コンダクタンスは低下します。 ただし大きい方の変化は緩やかです。
周波数が固定の水晶発振器ですから最適化はだいぶ容易です。 何か条件が変わって発振振幅が変動しても影響が少ないようにやや大きめの局発が加わるようにします。
グラフを読むと変換コンダクタンス:gcはだいたい300μ℧くらいになります。 6BE6の変換コンダクタンス:gc≒475μ℧と比べたら小さいのですがこれが電池管コンバータの実力です。 むしろ五十分の1にも満たない陰極(フィラメント or カソード)の加熱電力で300μ℧が得られるとは驚きとも言えます。
【受信してみよう】
RFアンプなしのコンバータ単体ですが、実験的にそのままアンテナを繋いで受信してみました。
7,000kHzが1,880kHzに周波数変換されますから、7006.64kHzを受信していることになります。 実際には局発の5120kHzに+250Hzほど誤差があるため、その分だけ高い周波数を受信しています。まあ、わずかですが。
スペクトラム表示を見てもらうとわかりますが、HAM局の電波が並んで結構良く聞こえます。 すこしノイズっぽい感じもしますが、コンバータ管直結ですからこんなものなのでしょう。 RFアンプをつければ間違いなく実用性能になります。 7MHzは空間ノイズのレベルが高くてNF≧20dBの受信機でも支障ないくらいです。 低性能な電池管で作った自称「通信型受信機」ではあってもまずまずの実力を発揮するでしょう。
定性的な評価だけでなく定量的なゲイン測定も試みました。 簡易な測定ですが、はじめにSSGで7010kHzで40dBμを与えます。 そのときのIC-756のSメータの読みを精密に記録(記憶)しておきます。 その後、IC-756にSSGから変換された周波数とおなじ1890kHzを直接与えて同じだけSメータが振れるようSSGの出力を加減します。 その読みと先の40dBμとの差からゲインがわかります。 簡易ですがこれである程度の精度でゲインが測定できます。
各部のインピーダンスが正確に50Ωではないと言った誤差要因はありますが10dBも狂うことはないでしょう。 実測によれば-4dBくらいのゲインになりました。 T2がステップダウントランスなので20dBくらいゲインを低くしている訳です。
☆
コンバータ管で「周波数変換できるのは当たり前だよ」 確かにそうなのですが、クリコンの製作例が見当たらなければ当たり前のことでも自身で確かめてみるのがこのBlogの方針です。 机上の検討だけでなく要素実験しておけば設計の確実性がアップします。 今回は受信機の感度に関して重要なポイントになりそうな第1周波数変換回路(クリスタル・コンバータ)をテストしておきました。 意外に良い成績だったと思います。 まずまず使い物になる感触が得られました。
次回もHAM用受信機に向けた回路要素を検討したいと思っています。電池管を活用した通信機の可能性が広げられたらだんだん面白くなってきます。 ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクfm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→いまここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
Introduction
I have made a prototype crystal converter circuit using a 1AB6/DK96 battery tube. This circuit is located at the top of the Collins-type receiver and has a significant impact on the receiver's performance. I made a prototype for design verification. The results obtained were good. When the antenna was connected, it was found that the received signal in the 7 MHz band could be received with good sensitivity. This is a step forward to the production of the receiver.(2025.05.13 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【ペンタ・グリッド管のクリコン】
いわゆるコリンズ・タイプと称する形式で受信機の検討を進めています。(前回のBlog←リンク参照) コリンズ社が考案者という訳ではないのですが、メカトロニクスの粋を結集し一つの受信システムとしてまとめ上げた功績からそう呼ばれるようになったようです。
入力信号は水晶発振器を使った局発により周波数変換されます。 その後、可変I-Fの第1中間周波を経たのち再度周波数変換されて固定周波数の第2I-Fに変換されます。 今回のBlogではこの最初の周波数変換、1st コンバータを扱います。
第1周波数変換は受信機のはじめの方にありますので真っ先にローノイズな性能が求められます。 RFアンプを前置するのは当然ですが、全体のノイズ性能を左右するのでやはりローノイズなコンバータ回路が望まれるのです。 特にHF帯のハイバンド以上では空間ノイズが低下することからローノイズ・コンバータ(ミキサー)は必須です。
ここでは5グリッド管の自励式コンバータをテストします。 目的は7MHz帯の通信用受信機のコンバータとして必要な性能を備えているか否かを判断するためです。 もちろん最適な動作条件(回路の部品定数)を得るのも目的です。
常識的に言えば水晶発振の局発を用意し五極管のグリッド注入型ミキサーとするのが良いでしょう。ローノイズでゲインも十分得られるからです。(ただし2球必要です) ここでは球数の削減を目的に5グリッド管(7極管:コンバータ管)で自励式コンバータ回路を試みます。(もちろん局発は水晶発振ですけれど) 5グリッド管を使えば単球で済みますが、これで性能は大丈夫でしょうか?
☆
ケチケチ設計のコリンズ・タイプ受信機になってしまいそうです。w マトモな設計の受信機を作るつもりならそもそも電池管なんかやめた方が賢明です。普通の球を使って作る方が報われやすいです。電池管はデバイスとしての性能が違い過ぎですね。
例えば米軍用トランシーバ:RT-66〜68シリーズの基本設計は電池管式です。ただし高周波増幅だけは6AK5を使っています。たぶん電池管の1T4とか1L4では性能不十分なのでしょう。このRTシリーズがHF帯ハイバンドからVHF帯というのも関係ありますけれど。
すべて電池管で作ると性能は期待できませんが7MHz帯ですから何とかなるんじゃないかと思ってテストしています。 つまらんと思ったらこの先はおやめください。 上っ面をざっと眺めたところで貴方が企んでいる高性能受信機設計にはほとんど役に立たないでしょう。 まあ考え方次第ですが。 私は得るものはあると信じています。(笑)
【七極管クリコン回路】
「クリコン」とはクリスタル・コンバータの略で、クリスタル・・・水晶発振子のこと・・・を使った発振器を使うコンバータ回路のことです。 真空管としては1AB6/DK96だけでなく1R5-SFで作ることもできます。 1R5(-SF)でも水晶発振で使えば引き込み現象も実用上問題にならないはずです。 実際に水晶発振のテストまでは進めてあります。
今回は1AB6/DK96で試すことにしました。 1AB6/DK96でも問題なく水晶発振が可能でした。 発振回路はピアースPG相当(無調整回路)で周波数は5.12MHzです。のちに写真がありますがきれいな正弦波(第1グリッド側で観測)で発振しています。
第4グリッドはB+直結の回路になっていますが、追加の試験によるとドロッパ抵抗(100kΩ)とバイパス・コンデンサ(0.01μFくらい)を挿入しておく方が良いようです。ドロッパ抵抗を挿入すると状態が変わるため各実測値は異なってきます。 回路図のまま作っても支障はないため、図中の数値や以下の評価結果はドロッパ抵抗なしの例で示しました。
入力の同調回路で昇圧された7MHz帯の受信電波は第3グリッドに加えられ、局発の5.12MHzと混合され差のヘテロダインで1.88〜2.08MHzに周波数変換されます。 なお、今回はコンバータ回路の要素実験なのでRFアンプなしのコンバータ単独でテストします。
実際の受信機ではコンバータの前に高周波増幅(RFアンプ)を設けます。 またこの第1周波数変換の後ろは、おなじく1AB6/DK96を使った第2周波数変換が続く予定です。
今回は第1周波数変換単独でテストする都合から、そのままテストできるよう便宜的に低インピーダンスにステップダウンして変換出力を取り出しています。そのため変換利得は犠牲になってしまいます。
既存のジェネカバ受信機で1.88〜2.08MHzを受信してみることで実際に7MHzのHAMバンドがどのように周波数変換されて聞こえるのか、コンバータ回路としての性能が感覚的にわかるはずです。
従って製作する受信機とはT2(出力同調回路)の部分が異なります。 受信機では2段の同調回路を重ねた形の可変同調回路を予定します。 その構成なら50Ωにステップダウンはしませんから2つの同調回路の結合損失程度の僅かなロスで済むはずです。 第1周波数変換回路としてはプラスのゲインになるでしょう。
【キーポイントは水晶発振】
やはりキーポイントは水晶発振にあります。 確実な発振が起こらなければ周波数変換はなされません。 第1グリッド、第2グリッド(プレートに相当)とフィラメント(カソード)の三極によるスタンダードな水晶発振回路を構成します。
ただし電池管はgmが低いため発振回路の部品定数を最適な状態に選ぶ必要があります。 たいへんポピュラーなラジオ用五極管:6BA6と同じような部品定数では発振してくれないことがあります。
発振強度はC4(10pF)とC6(27pF)によって加減します。 この定数は比較的強力に発振するように選んであります。 もう少し弱い発振でも大丈夫そうですが強めに発振するよう選びました。もちろん選び方が悪いと発振してくれません。 さらに1R5-SFとではかなり異なりました。
水晶発振子は5.12MHzですが、これは手持ちの都合です。 幸いスプリアスがバンド内に入ることはありません。 周波数の選び方が悪いとスポットでスプリアスが現れることがあります。
5.12MHzの水晶発振子は市販品があります。使ったものの形状はHC-49/Uです。他の形状の水晶発振子でも大丈夫ですが発振子によっては回路定数の見直しを要する場合があります。gmが低い電池管はゲインが低いため部品定数選びは幾分シビアというのが大まかな印象です。
【発振波形を見る】
第1グリッド側で発振波形を観測してみました。
19Vppあって、かなり大きいように感じるかもしれません。 これくらいで支障はないようです。 むしろ変換コンダクタンス:gcの点から見てこれくらい必要なようでした。 これが小さいとだんだん変換ゲインが低下してきます。
プローブを当てると対GND間のキャパシタンス:Cが増えたのと等価になります。 C4(10pF)が数pFくらい増えたことになります。 その結果、やや発振振幅は大きくなる(発振が強くなる)方向の影響が出ています。(グリッド電流Ig1を測りながらプローブを当ててみると影響がわかります)
【Philipsのデータシートでは?】
いくら低性能なコンバータ管とは言っても諦めずにフルに性能を発揮させたいものです。 動作状態確認のためPhilips社の1AB6/DK96のデータシートを参照しましょう。
横軸には第1グリッドに加えられる局発の電圧がとってあります。 描かれたカーブは変換コンダクタンス、プレート抵抗、第1グリッド電流です。
このうち、変換コンダクタンスに着目しましょう。 それによると局発の電圧が5Vrmsあたり(=14Vpp程度)でピークになります。それより小さくても大きくても変換コンダクタンスは低下します。 ただし大きい方の変化は緩やかです。
周波数が固定の水晶発振器ですから最適化はだいぶ容易です。 何か条件が変わって発振振幅が変動しても影響が少ないようにやや大きめの局発が加わるようにします。
グラフを読むと変換コンダクタンス:gcはだいたい300μ℧くらいになります。 6BE6の変換コンダクタンス:gc≒475μ℧と比べたら小さいのですがこれが電池管コンバータの実力です。 むしろ五十分の1にも満たない陰極(フィラメント or カソード)の加熱電力で300μ℧が得られるとは驚きとも言えます。
【受信してみよう】
RFアンプなしのコンバータ単体ですが、実験的にそのままアンテナを繋いで受信してみました。
7,000kHzが1,880kHzに周波数変換されますから、7006.64kHzを受信していることになります。 実際には局発の5120kHzに+250Hzほど誤差があるため、その分だけ高い周波数を受信しています。まあ、わずかですが。
スペクトラム表示を見てもらうとわかりますが、HAM局の電波が並んで結構良く聞こえます。 すこしノイズっぽい感じもしますが、コンバータ管直結ですからこんなものなのでしょう。 RFアンプをつければ間違いなく実用性能になります。 7MHzは空間ノイズのレベルが高くてNF≧20dBの受信機でも支障ないくらいです。 低性能な電池管で作った自称「通信型受信機」ではあってもまずまずの実力を発揮するでしょう。
定性的な評価だけでなく定量的なゲイン測定も試みました。 簡易な測定ですが、はじめにSSGで7010kHzで40dBμを与えます。 そのときのIC-756のSメータの読みを精密に記録(記憶)しておきます。 その後、IC-756にSSGから変換された周波数とおなじ1890kHzを直接与えて同じだけSメータが振れるようSSGの出力を加減します。 その読みと先の40dBμとの差からゲインがわかります。 簡易ですがこれである程度の精度でゲインが測定できます。
各部のインピーダンスが正確に50Ωではないと言った誤差要因はありますが10dBも狂うことはないでしょう。 実測によれば-4dBくらいのゲインになりました。 T2がステップダウントランスなので20dBくらいゲインを低くしている訳です。
☆
コンバータ管で「周波数変換できるのは当たり前だよ」 確かにそうなのですが、クリコンの製作例が見当たらなければ当たり前のことでも自身で確かめてみるのがこのBlogの方針です。 机上の検討だけでなく要素実験しておけば設計の確実性がアップします。 今回は受信機の感度に関して重要なポイントになりそうな第1周波数変換回路(クリスタル・コンバータ)をテストしておきました。 意外に良い成績だったと思います。 まずまず使い物になる感触が得られました。
次回もHAM用受信機に向けた回路要素を検討したいと思っています。電池管を活用した通信機の可能性が広げられたらだんだん面白くなってきます。 ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクfm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→いまここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
2025年4月28日月曜日
【電子管】Planning a Battery Tube receiver
【電池管で受信機をプランする】(計画編)
Introduction
I started thinking about how I could make a receiver using a battery tube. There are two directions for that receiver. One is a single-super heterodyne format. It's just like what you'd find in a home radio receiver. The other is a double-super heterodyne format. The Collins type is especially wonderful in the double-super format. I decided to go for it. I've started looking for parts that I can use for the receiver. I'm really hoping I can find the right parts.(2025.04.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【これから造る受信機は:】
中波BCバンドあるいは短波を含む2バンドのポータブル・ラジオならすでに検討した回路の延長で作れます。 当地は関東地方にあって比較的都会に近いのでラジオ局はみな強力です。スタンダードな4球式電池管スーパーで実用になるのです。「電池管を使ってみたい」という願望に対し、それも一つの回答と言えるでしょう。
ここではもう一歩踏み込んで通信型受信機と言えそうなRadio Receiverを計画したいと思うのです。 一般的なラジオと何が違うかと言えば、感度、選択度、安定度でしょう。 これらは受信機の3要素と言われるものです。 もう一つ付け加えるとすればダイヤル機構の重要さがあります。
ラジオ放送局は一般に大電力であり巨大なアンテナで送信しています。それに対して多くのHAM局はせいぜいPo=1kWであってアンテナも貧弱で大したものではありません。 HF帯のLow BandではフルサイズのDPアンテナに100Wが標準でしょうか? それでさえアパマンHAM全盛の昨今では贅沢なくらいかも知れません。
要するに放送局と比べれば1/100〜1/1000くらいの設備と言えます。電界強度で考えると40dB〜60dBは違うはず。それだけ高感度でなければ満足な受信はできません。十分なゲインを望めば増幅段数は増えます。ラジオ並みの設計では不足です。
(参考:TA2003Pのようなラジオ用ICチップで受信機を作るとHAM用としては不十分な性能になってしまう理由でもあります。やはりラジオ放送用のチップなのです)
選択度に関しては微妙なところです。 もちろん本格的な通信型受信機を目指すなら受信対象とする電波形式にあった帯域幅のI-Fフィルタを備えねばなりません。それでは簡易な受信機には高級過ぎるでしょう。フィルタのロスを補おうとすれば増幅段数は増えてしまいます。 耳フィルタで頑張る前提で簡略化する必要がありそうです。
いかなる受信機も周波数安定度は良いに越したことはありません。 しかし電池管の受信機をFT-8の様なデジタルモードで使おうとは思いません。CWとSSBが普通に聞こえれば良いでしょう。 そう考えてLC発振の局発で何とかならないものでしょうか?
こんな前提から受信機の構成を考え始めました。
☆
電池管とはどんな電子デバイスなのか?・・・答えはあらかた得られたと思っています。 ラジオを超えた通信型受信機の範囲へ発展させることも十分可能だと思います。可能性がわかったらもう十分なのかも知れません。 あえて低性能な電子デバイスを無理を承知で使って性能の良くない機械を作ったところでだれも感心しません。 物好きと思われるだけです。(笑)
その通りだとわかっていますが乗りかかった船とも言いますのでもう少しこの方向で検討しておきます。 おヒマでしたらお付き合いを。もちろんさしたるお役には立たんでしょう。 暇人専用、忙しい貴方は時間を無駄にされませんように。
【シングルかダブルか?】
現実味のない「夢の受信機」を語ることも可能ですが、ここでは実際に手元にある部品を活用する前提で「超現実的な方向」で考えてみたいと思います。
ラジオを超えた受信機とは言っても、スーパ・ヘテロダイン形式で作る以上基本は同じです。
一つはそのままシングルスーパを拡張する方向です。 感度や選択度が不足する部分は増幅段数を増す方向で考えます。 低周波を増やせば音量は増えますが感度は良くなりません。感度向上にはRFアンプとI-Fアンプを補います。
左図の(A)はそうした構成の一例です。 一般的な球を使った高1中2と違うのところは局発回路でしょう。球数をケチるために自励式コンバータで済ませます。 これはプロダクト検波回路部分も同じです。 セラロックを使った自励式BFOのプロダクト検波器として最少の球数で実現します。 周波数安定度に多少の心配はありますが、受信周波数範囲を狭く絞ってやれば実用的な安定度も難しくはないはずです。
左図の(B)はより発展させた形式です。 いわゆるコリンズタイプのダブルスーパになっています。 ただしここでも最少の球数にこだわっており、第1・第2のいずれの周波数変換も自励コンバータです。 もちろんプロダクト検波も同様です。I-F1段ではゲイン不足かも知れません。想定ではおおよそ5球スーパ以上、高1中2以下になるはずなので少々不満を感じそうです。
もしも暫くのあいだシャックで実戦的に使いたいのでしたらI-F2段が良いでしょう。 コンバータ部にも変換ゲインはありますから丸々一段分のゲインが不足する訳ではありません。 IFTにもゲインが得られ易いものを使うと言った配慮を行なえばかなりカバーできます。1段少なくして多少なりとも簡略に済ますか、それとも安心を取るのかここは思案どころ。
【部品を吟味:IFT】
7メガ帯くらいまでなら高1中2形式でも十分な実用性があるでしょう。 しかしラジオの延長のようであまり面白くありません。(笑) 上記(B)のダブルスーパで行きたいと思います。
球数を減らすと性能が下がるのでホントを言えばI-Fは2段がいいです。その場合IFTはT-11かT-21が良いでしょうね。 メカフィルも良いのですが通過Lossが大きくて電池管1本分のゲインは確実に損します。 無理は承知でこの1段用のIFTを使ったダブルスーパを考えたいと思います。
写真のTRIO T-6 IFTは昔買ったものです。受信機の計画変更のためお蔵入りになってそのまま永い年月が過ぎました。 最近テストしたところ大丈夫そうですから使ってやりたいと思います。 いちおう選択度重視のIFTですがラジオ放送に対しての重視を意味しますからHAMバンドでは選択度が不足なのは当然です。耳フィルタで頑張りましょう。(爆)
【1段用IFT:TRIO T-6】
IFT T-6は1段増幅用なのでハイ・インピーダンスの設計になっています。ただしgm =2m℧程度の球、例えば6BD6や6D6が想定です。検波は6AV6あるいは6Z-DH3Aの2極管検波を想定している筈です。IFT-Bのインピーダンス50kΩはそれが前提です。
電池管:1AJ4/DF96あるいは1T4(-SF)を使うとgmはせいぜい1m℧ですからゲイン半減です。 検波回路の負荷インピーダンスをなるべく高くとって所定の負荷インピーダンスよりも高くなるような使い方を工夫する必要があるでしょう。選択度も良くなる方向なので悪くないはずです。
図右下の特性曲線に鉛筆書きの選択度が書いてありますが、これは私が東光の簡易メカフィル:MFH-40Kの特性をプロットしたものです。T-6は高選択度型とは言っても簡易メカフィルにさえも負けるくらいですから碌にキレないのです。ラジオ用ですからねえ(爆)
☆
IFT以外のコイルも必要でTRIOのSシリーズコイルで言えばSE-RF付きがあれば使えそうです。 残念ですが持ってませんし手にも入りませんので何かのボビンに巻いて自製するしかありません。 200〜300kHz幅をカバーすれば良いので難しくはありませんが、周波数安定度を確保する必要からイイカゲンなボビンに巻くと失敗するでしょう。手持ちから検討する必要があって素材のチョイスが肝心です。
【部品を吟味:ギヤ付バリコン】
コリンズタイプですから第1-IFは周波数可変です。簡単に言えば1.88〜2.08MHzのシングルスーパを作るのと等価です。(実際には250kHzカバーを予定) バリコンを使って局発を可変し第2コンバータの局発と段間同調回路をトラッキングさせます。 この設計は既に済んでいます。
左写真Bのバリコンを実測したところ、FM用のセクション(3連分ある)の実質的な可変容量は18pFありました。 設計してみるとあまり無理のない定数で可変同調回路が実現できました。 1:3の減速ギヤが付いているので1回転半で周波数範囲をカバーすることになります。
ダイヤル・ノブ直結でもなんとか実用可能かも知れませんが、かなり同調はシビアになるでしょう。更に1:3のボールドライブ等で減速するのが良さそうですね。 このバリコンを使うと右回転で周波数が下がるダイヤルになってしまいますがこれは止むを得ません。折り返して裏返るという手もありますけれど・・・。
☆
ダイヤル機構はもう少し考える必要もありそうですが取り敢えずこれ以上思いつきませんのでここまでにしておきます。 モノバンドで考えていますのでバンド切り替えのスイッチは不要です。コイルは切り替えず2〜3バンドカバーなら可能でしょう。 他に必要そうな部品もありますが何とかなると思っています。 プリセレクタのバリコンは電気的に見てポリバリでも大丈夫です。ただし構造からポリバリでは発振が恐ければ上記のエア・バリコンと同じものを使う手もあります。AMセクションを使うとカバー範囲が広く取れます。
シンプルな路線で行きますので手持ち部品の工夫・流用で何とかしたいものです。
☆ ☆
【1AB6/DK96のプロダクト検波】
前回ネタ(←リンク)の続きとして同じ5グリッド管の1AB6/DK96でもプロダクト検波器を試作しました。
1R5-SFの手持ち本数があれば1AB6/DK96での試作は不要でした。 あいにく1本しかなかったので回路設計の自由度をアップする意味で1AB6/DK96でも追試してデータを採っておきました。
よく似た球ではありますが使い方は異なっています。刺し替えただけでは動作しません。一旦解体して再組み立てしています。写真は試行途中の様子なので部品リードが長いままだったり配置も最適化されていません。
おなじセラロックを使って試作していますが、最適な回路定数は微妙に異なっており試作して確認する意味がありました。 最適化した上で得られる性能には大差はないようですから、機能ブロックとして置き換えは可能でしょう。
フィラメント電流:If=50mAの1R5を使っても良いのですが、少しでも省エネに作りたいので1AB6/DK96でも試しておきました。 1AB6/DK96でプロダクト検波を試した人なんて世界中にほとんどいないでしょうね。 ここだけの話し、けっこう使えます。w
【1AB6/DK96のプロダクト検波回路】
(図面:Ver. 1.0.1 UP 20250504)
1AB6/DK96が1R5-SFと大きく異なるのは第4グリッドの扱いです。 1R5(-SF)の第2・第4グリッドは内部で結ばれてからピンに引き出されています。従って分離はできません。
1AB6/DK96ではそれぞれ独立です。 第2グリッドが発振管のプレートに相当します。第4グリッドは五極管のスクリーン・グリッド相当で純粋に電子加速用のグリッドであり加える電圧によって特性は大きく変わります。 電圧を高く掛ける方がIpが大きくなりgm(gc)もアップするようです。
ただし電圧には制限があります。Ep=85Vで使うときは第4グリッドの電圧を60Vに抑えて使います。逆にプレート電圧も64.5V以下で使うならドロッパ抵抗は不要でプレート電源に直結でも大丈夫です。ここではEp=50Vですから左回路図におけるドロッパ抵抗のR6=120kΩは必ずしも必要なかったようです。(その後の検討によれば第4グリッドのドロッパ抵抗:R6は常に入れる方が良いようです。100kΩを推奨)
この実験回路の詳しいデータを必要とする人はまずおられないでしょう。今回は省略します。 まったく同一と言うわけではありませんが1R5(-SF)のプロダクト検波器と似たものと思って間違いではありません。もし必要ならあらためて前回Blog(←リンク)の参照を。
☆
要素実験は済んできたので、そろそろ最終的な着地点を考えないといけません。事前のテストが必要な項目があれば順次進めて行きましょう。 モノバンドのコリンズタイプ受信機を構想して更に考えたいと思います。次回もHAM用受信機に向けた検討を続けます。具体化してだんだん面白くなってきましたかね?(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
→私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクnm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→いまここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
Introduction
I started thinking about how I could make a receiver using a battery tube. There are two directions for that receiver. One is a single-super heterodyne format. It's just like what you'd find in a home radio receiver. The other is a double-super heterodyne format. The Collins type is especially wonderful in the double-super format. I decided to go for it. I've started looking for parts that I can use for the receiver. I'm really hoping I can find the right parts.(2025.04.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【これから造る受信機は:】
中波BCバンドあるいは短波を含む2バンドのポータブル・ラジオならすでに検討した回路の延長で作れます。 当地は関東地方にあって比較的都会に近いのでラジオ局はみな強力です。スタンダードな4球式電池管スーパーで実用になるのです。「電池管を使ってみたい」という願望に対し、それも一つの回答と言えるでしょう。
ここではもう一歩踏み込んで通信型受信機と言えそうなRadio Receiverを計画したいと思うのです。 一般的なラジオと何が違うかと言えば、感度、選択度、安定度でしょう。 これらは受信機の3要素と言われるものです。 もう一つ付け加えるとすればダイヤル機構の重要さがあります。
ラジオ放送局は一般に大電力であり巨大なアンテナで送信しています。それに対して多くのHAM局はせいぜいPo=1kWであってアンテナも貧弱で大したものではありません。 HF帯のLow BandではフルサイズのDPアンテナに100Wが標準でしょうか? それでさえアパマンHAM全盛の昨今では贅沢なくらいかも知れません。
要するに放送局と比べれば1/100〜1/1000くらいの設備と言えます。電界強度で考えると40dB〜60dBは違うはず。それだけ高感度でなければ満足な受信はできません。十分なゲインを望めば増幅段数は増えます。ラジオ並みの設計では不足です。
(参考:TA2003Pのようなラジオ用ICチップで受信機を作るとHAM用としては不十分な性能になってしまう理由でもあります。やはりラジオ放送用のチップなのです)
選択度に関しては微妙なところです。 もちろん本格的な通信型受信機を目指すなら受信対象とする電波形式にあった帯域幅のI-Fフィルタを備えねばなりません。それでは簡易な受信機には高級過ぎるでしょう。フィルタのロスを補おうとすれば増幅段数は増えてしまいます。 耳フィルタで頑張る前提で簡略化する必要がありそうです。
いかなる受信機も周波数安定度は良いに越したことはありません。 しかし電池管の受信機をFT-8の様なデジタルモードで使おうとは思いません。CWとSSBが普通に聞こえれば良いでしょう。 そう考えてLC発振の局発で何とかならないものでしょうか?
こんな前提から受信機の構成を考え始めました。
☆
電池管とはどんな電子デバイスなのか?・・・答えはあらかた得られたと思っています。 ラジオを超えた通信型受信機の範囲へ発展させることも十分可能だと思います。可能性がわかったらもう十分なのかも知れません。 あえて低性能な電子デバイスを無理を承知で使って性能の良くない機械を作ったところでだれも感心しません。 物好きと思われるだけです。(笑)
その通りだとわかっていますが乗りかかった船とも言いますのでもう少しこの方向で検討しておきます。 おヒマでしたらお付き合いを。もちろんさしたるお役には立たんでしょう。 暇人専用、忙しい貴方は時間を無駄にされませんように。
【シングルかダブルか?】
現実味のない「夢の受信機」を語ることも可能ですが、ここでは実際に手元にある部品を活用する前提で「超現実的な方向」で考えてみたいと思います。
ラジオを超えた受信機とは言っても、スーパ・ヘテロダイン形式で作る以上基本は同じです。
一つはそのままシングルスーパを拡張する方向です。 感度や選択度が不足する部分は増幅段数を増す方向で考えます。 低周波を増やせば音量は増えますが感度は良くなりません。感度向上にはRFアンプとI-Fアンプを補います。
左図の(A)はそうした構成の一例です。 一般的な球を使った高1中2と違うのところは局発回路でしょう。球数をケチるために自励式コンバータで済ませます。 これはプロダクト検波回路部分も同じです。 セラロックを使った自励式BFOのプロダクト検波器として最少の球数で実現します。 周波数安定度に多少の心配はありますが、受信周波数範囲を狭く絞ってやれば実用的な安定度も難しくはないはずです。
左図の(B)はより発展させた形式です。 いわゆるコリンズタイプのダブルスーパになっています。 ただしここでも最少の球数にこだわっており、第1・第2のいずれの周波数変換も自励コンバータです。 もちろんプロダクト検波も同様です。I-F1段ではゲイン不足かも知れません。想定ではおおよそ5球スーパ以上、高1中2以下になるはずなので少々不満を感じそうです。
もしも暫くのあいだシャックで実戦的に使いたいのでしたらI-F2段が良いでしょう。 コンバータ部にも変換ゲインはありますから丸々一段分のゲインが不足する訳ではありません。 IFTにもゲインが得られ易いものを使うと言った配慮を行なえばかなりカバーできます。1段少なくして多少なりとも簡略に済ますか、それとも安心を取るのかここは思案どころ。
【部品を吟味:IFT】
7メガ帯くらいまでなら高1中2形式でも十分な実用性があるでしょう。 しかしラジオの延長のようであまり面白くありません。(笑) 上記(B)のダブルスーパで行きたいと思います。
球数を減らすと性能が下がるのでホントを言えばI-Fは2段がいいです。その場合IFTはT-11かT-21が良いでしょうね。 メカフィルも良いのですが通過Lossが大きくて電池管1本分のゲインは確実に損します。 無理は承知でこの1段用のIFTを使ったダブルスーパを考えたいと思います。
写真のTRIO T-6 IFTは昔買ったものです。受信機の計画変更のためお蔵入りになってそのまま永い年月が過ぎました。 最近テストしたところ大丈夫そうですから使ってやりたいと思います。 いちおう選択度重視のIFTですがラジオ放送に対しての重視を意味しますからHAMバンドでは選択度が不足なのは当然です。耳フィルタで頑張りましょう。(爆)
【1段用IFT:TRIO T-6】
IFT T-6は1段増幅用なのでハイ・インピーダンスの設計になっています。ただしgm =2m℧程度の球、例えば6BD6や6D6が想定です。検波は6AV6あるいは6Z-DH3Aの2極管検波を想定している筈です。IFT-Bのインピーダンス50kΩはそれが前提です。
電池管:1AJ4/DF96あるいは1T4(-SF)を使うとgmはせいぜい1m℧ですからゲイン半減です。 検波回路の負荷インピーダンスをなるべく高くとって所定の負荷インピーダンスよりも高くなるような使い方を工夫する必要があるでしょう。選択度も良くなる方向なので悪くないはずです。
図右下の特性曲線に鉛筆書きの選択度が書いてありますが、これは私が東光の簡易メカフィル:MFH-40Kの特性をプロットしたものです。T-6は高選択度型とは言っても簡易メカフィルにさえも負けるくらいですから碌にキレないのです。ラジオ用ですからねえ(爆)
☆
IFT以外のコイルも必要でTRIOのSシリーズコイルで言えばSE-RF付きがあれば使えそうです。 残念ですが持ってませんし手にも入りませんので何かのボビンに巻いて自製するしかありません。 200〜300kHz幅をカバーすれば良いので難しくはありませんが、周波数安定度を確保する必要からイイカゲンなボビンに巻くと失敗するでしょう。手持ちから検討する必要があって素材のチョイスが肝心です。
【部品を吟味:ギヤ付バリコン】
コリンズタイプですから第1-IFは周波数可変です。簡単に言えば1.88〜2.08MHzのシングルスーパを作るのと等価です。(実際には250kHzカバーを予定) バリコンを使って局発を可変し第2コンバータの局発と段間同調回路をトラッキングさせます。 この設計は既に済んでいます。
左写真Bのバリコンを実測したところ、FM用のセクション(3連分ある)の実質的な可変容量は18pFありました。 設計してみるとあまり無理のない定数で可変同調回路が実現できました。 1:3の減速ギヤが付いているので1回転半で周波数範囲をカバーすることになります。
ダイヤル・ノブ直結でもなんとか実用可能かも知れませんが、かなり同調はシビアになるでしょう。更に1:3のボールドライブ等で減速するのが良さそうですね。 このバリコンを使うと右回転で周波数が下がるダイヤルになってしまいますがこれは止むを得ません。折り返して裏返るという手もありますけれど・・・。
☆
ダイヤル機構はもう少し考える必要もありそうですが取り敢えずこれ以上思いつきませんのでここまでにしておきます。 モノバンドで考えていますのでバンド切り替えのスイッチは不要です。コイルは切り替えず2〜3バンドカバーなら可能でしょう。 他に必要そうな部品もありますが何とかなると思っています。 プリセレクタのバリコンは電気的に見てポリバリでも大丈夫です。ただし構造からポリバリでは発振が恐ければ上記のエア・バリコンと同じものを使う手もあります。AMセクションを使うとカバー範囲が広く取れます。
シンプルな路線で行きますので手持ち部品の工夫・流用で何とかしたいものです。
☆ ☆
【1AB6/DK96のプロダクト検波】
前回ネタ(←リンク)の続きとして同じ5グリッド管の1AB6/DK96でもプロダクト検波器を試作しました。
1R5-SFの手持ち本数があれば1AB6/DK96での試作は不要でした。 あいにく1本しかなかったので回路設計の自由度をアップする意味で1AB6/DK96でも追試してデータを採っておきました。
よく似た球ではありますが使い方は異なっています。刺し替えただけでは動作しません。一旦解体して再組み立てしています。写真は試行途中の様子なので部品リードが長いままだったり配置も最適化されていません。
おなじセラロックを使って試作していますが、最適な回路定数は微妙に異なっており試作して確認する意味がありました。 最適化した上で得られる性能には大差はないようですから、機能ブロックとして置き換えは可能でしょう。
フィラメント電流:If=50mAの1R5を使っても良いのですが、少しでも省エネに作りたいので1AB6/DK96でも試しておきました。 1AB6/DK96でプロダクト検波を試した人なんて世界中にほとんどいないでしょうね。 ここだけの話し、けっこう使えます。w
【1AB6/DK96のプロダクト検波回路】
(図面:Ver. 1.0.1 UP 20250504)
1AB6/DK96が1R5-SFと大きく異なるのは第4グリッドの扱いです。 1R5(-SF)の第2・第4グリッドは内部で結ばれてからピンに引き出されています。従って分離はできません。
1AB6/DK96ではそれぞれ独立です。 第2グリッドが発振管のプレートに相当します。第4グリッドは五極管のスクリーン・グリッド相当で純粋に電子加速用のグリッドであり加える電圧によって特性は大きく変わります。 電圧を高く掛ける方がIpが大きくなりgm(gc)もアップするようです。
ただし電圧には制限があります。Ep=85Vで使うときは第4グリッドの電圧を60Vに抑えて使います。
この実験回路の詳しいデータを必要とする人はまずおられないでしょう。今回は省略します。 まったく同一と言うわけではありませんが1R5(-SF)のプロダクト検波器と似たものと思って間違いではありません。もし必要ならあらためて前回Blog(←リンク)の参照を。
☆
要素実験は済んできたので、そろそろ最終的な着地点を考えないといけません。事前のテストが必要な項目があれば順次進めて行きましょう。 モノバンドのコリンズタイプ受信機を構想して更に考えたいと思います。次回もHAM用受信機に向けた検討を続けます。具体化してだんだん面白くなってきましたかね?(笑) ではまた。 de JA9TTT/1
*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
→私で可能な範囲で対応いたします。
(つづく)←リンクnm
【乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。
第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→いまここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ
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