2011年4月3日日曜日

【部品】Thermistor

【Thermistor:Disc Type】円盤形サーミスタ
 サーミスタと言えばトランジスタ・ラジオの教科書にも必ず説明が出てくる電子部品だ。 昔からトランジスタ・ラジオのB級Push-Pull低周波出力段の温度補償に使われていたからだろう。

 写真はメーカー不詳だがそうしたラジオ用のものである。ずいぶん前から拙宅のジャンクボックスに眠っていた。 オレンジ色は150mWクラスの出力段用で茶色は500mWクラス用だろうか。

使用目的から、低い電圧のところで比較的大きめの電流を流す必要があるので低抵抗に作ってある。 25℃の抵抗:R25は数10〜数100Ωと言ったところだ。B定数は3000K(ケルビン)程度の物が多い。

 左図は一般に入手可能であった東芝製のサーミスタとその特性一覧である。 主にゲルマニウム・トランジスタを使ったB級プッシュ・プルアンプのアイドリング電流を温度補償するために使用する。 目的から、被温度補償トランジスタとは良く熱結合するよう実装する必要がある。 そのため、細く長いリード線が付いていた。 既に過去の部品であって入手するのは困難だ。(2016.04.06追記)

#ポピュラーなサーミスタ:有名な東芝のD22AはR25=200Ω、B定数=3250K、許容動作電流=5mA、主に2SB56のB級PPアンプ用であった。

【6 Transistor Radio】AM 6石ラジオ/6石スーパー
 サーミスタはゲルマニウム・トランジスタを使ったラジオに良く使われていた。低周波出力段の無信号バイアス電流(=アイドリング電流)の安定用に使っている。(R13がサーミスタ)

 図はその一例で、B級プッシュプル出力段のアイドリング電流を温度安定させるために用いる。 温度上昇するとコレクタ電流が急増しさらなる発熱から熱暴走する危険がある。それを抑えるのが目的だ。そのためサーミスタはトランジスタの近傍に置き熱的に結合させるのが良い。(既成品AMラジオの部品を流用しで再設計した。図中の数値は試作後に実測した値を示す)

 サーミスタの抵抗値は温度低下に対して指数関数的に増加するので並列抵抗を入れて効き過ぎないように加減する。そうしないと少しの温度降下でアイドリング電流過大になってしまう。温度上昇する方向では温度補償の効き方が過剰になる傾向にあるが、高い温度での電流減少は安全方向なので良しとしているのであろう。ゲルマニウム・トランジスタはVbeが小さいうえIcbも流れるからクロスオーバー歪みが極端に悪化しないのも幸いしている。

 トランジスタ・ラジオのメーカーによって低周波出力段の無信号バイアス電流の温度補償にお好みがあったようだ。 東芝はおもにサーミスタを使い、日立や松下はバリスタ・ダイオードを使うケースが多い。 この設計では日立の古典的なゲルマニウム・トランジスタを使ったのでバリスタの方が良かったのかもしれない。もちろんサーミスタでも支障はないが。 いずれにしてもバイアス回路はそれぞれ最適設計する必要がある。

 サーミスタは高感度で一般に熱時定数も小さいので温度補償特性は良好である。 一方、バリスタは温度検知感度は低いが減電圧補償にも効果があるので電池が電源のラジオには有利である。バリスタ・ダイオードはなるべく出力トランジスタの近傍に配置し密に熱結合した方が良い。 サーミスタかバリスタか、このあたりどのような性能を重視するかでメーカーの好みが別れたものと思う。(注:ここで言うバリスタはエレキーのPhoto-MOS保護に使ったものとは別もの。過電圧保護用バリスタではなくてバイアス安定用のバリスタ・ダイオードと言うもの)

#シリコン・トランジスタの時代になるとバリスタ・ダイオードを使うケースが多くなった。

【Thermistor:Sensor Type】センサー用サーミスタ
 サーミスタは温度センサとしても良くも用いられる。 温度センサには「白金測温抵抗体」や「熱電対(ねつでんつい)」がよく使われる。 サーミスタはこれらよりもやや精度で劣るものの温度感度が良い(=出力電圧が大きい)ので簡単な回路で扱い易い特徴がある。

 写真の物は25℃の抵抗が10kΩのサーミスタである。秋葉原の国際ラジオから通販(残念ながら同社は2014年5月末に廃業した)で購入した。製造メーカーはSEMITEC・石塚電子である。(103AT-2型:R25=10kΩ、B定数=3435K)

 温度センサとしては数kΩ以上のものが適している。 やや大きめの電圧を加えても自己発熱が少なく、温度に対する電圧感度を高くできるからだ。 抵抗値は温度に対し指数関数的に低下するから、室温でこの程度の抵抗値がないと高い温度では低くなり過ぎてしまう。もちろん室温付近で使うのが目的ならもう少し低い数kΩのサーミスタで良い。

【温度は26℃くらい?】
 ファンヒーターから温風が来る場所で測定したので10kΩよりもやや低かった。26〜27℃くらいだろうか? (テスタは抵抗×100Ωレンジ)

 これは常温から100℃あたりで使うのに丁度良いサーミスタだ。 いま目的とするのは80℃で、1.6kΩくらいの抵抗値になるからだ。なお、サーミスタの温度と抵抗値の計算はここ(←リンク)などを利用すると便利。

 温度センサとしての用途の他に各種電子回路の温度補償用にも良いだろう。 但し上の例のようなB級プッシュプル出力段にはあまり適当ではない。(抵抗が高過ぎてうまく使えない)

【OCXOのヒータ・コントロール】
 オーブン制御型水晶発振器:OCXOの自作は難しくない。 水晶発振回路は一般的なもので良く、オーブンを設けサーミスタで温度検出して加熱用ヒータを制御してやれば良い。 これはそうしたヒータ・コントロール回路の一例だ。(注:回路及び部品定数は変更される可能性あり)

 センサは上記の10kΩサーミスタを使いヒータにはPNPトランジスタそのものの発熱を使っている。 従ってヒートシンクとトランジスタの熱結合を良くする意味から、コレクタ・フィンを直接GNDできるPNPトランジスタを発熱体に用いた。 サーミスタ部分の電圧をモニタすれば制御状態を監視することができる。温度モニタになるわけだ。モニタ用にバッファ・アンプも付けておいた。 基準電圧の側を外部から操作できるようにしておけば温度可変型のオーブンにもできる。 回路はオーソドックスだが、このあたりが私の工夫の部分だ。

 銅板のような熱伝導の良い金属板に(1)発振回路の水晶振動子、(2)PNPトランジスタQ1、(3)サーミスタをそれぞれ旨く熱結合するよう実装する。 もちろん熱放散してしまわぬよう熱的に浮かせる『熱絶縁』に努め周囲は断熱材で覆う。

 さらには水晶振動子と発振回路をもう一回り囲って同じように温度安定化してやればベストであろう。すなわちダブルオーブン型だ。 その場合はPNPトランジスタで発熱させるのではなく、マンガニン線などのヒータ線を巻いて「囲み」を加熱するようにする。 温度は内側より多少低い程度に設定するのが良いはず。

#言うまでもないが、ここで使う水晶振動子はOCXO用として80℃を指定したものを使う。

               −・・・−

 やや珍し系のデバイスとしてサーミスタを扱ってみた。 温度センサは各種あるがサーミスタは高感度なので簡単な回路構成で温度制御しやすい特徴がある。高級なOP-Ampなど高価な部品を使わなくても高性能が実現できる。 但し長期間連続して高温度の環境で使うのならより安定性に優れるガラス封止型のサーミスタの方が安心かもしれない。しかし実験的にはこのサーミスタが十分使える。 de JA9TTT/1

(おわり)

2011年3月14日月曜日

【HAM】 Emergency Rigs

●2011年3月11日14時46分・・・東北地方太平洋沖地震・・・が発生した。

この地震に被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
また、救援復旧活動に従事される皆様に感謝致します。

当地も激しく揺れたが、さしたる被害が無かった幸運に感謝している。

 災害発生時に於ける、日常の備えについては既に多くが語られている。もし在宅中の災害発生であれば有効活用し得る可能性も有る。救援が届くまで自身や家族を守るために各自で最低限の備えは行なっておきたいものだ。

                −・・・−

 非常時にどの程度の意味があるのか実際は未知数である。しかしアマチュア無線局の視点で何か出来ることは無いか考えてみたい。 もちろん、こうした機器が非常通信で必要にならぬことが一番であるが・・・。

【FT-70GC】(八重洲無線)
 2〜30MHzをカバーするHF帯のSSB/CW機だ。Powerは10W出るのでアンテナ次第ではかなりの通信距離がある。FT-817よりパワーが大きいのは有利だが大きくて重い。受信も送信もジェネカバである。

 電池寿命は連続数時間であるから長時間の停電が起こればじきに使えなくなってしまう。 移動用車両に搭載した無線機と連携し、徒歩で探査した状況を伝達する用法が適当ではないか。そうなれば車載用充電器の備えも必要だろう。

 十分なDC電源(12V)が確保可能なら、半固定局を設営して遠距離間の連絡にも使える可能性がある。 その場合は可搬型アンテナ・チューナもセットで用いるべきだが徐々に大掛かりになってくる。

【PRC-74B】(米陸軍:ヒューズ社製)
 2〜16MHzをカバーする。元々はUSB/CW機であるが、写真のものはLSBも出せるよう改造してある。 HF帯のHAM-Bandは3.5、7MHzではLSBで運用されているからUSBだけでは困るからだ。具体的にはFrequency Generator Moduleを新たに作り替えてUSB用だけでなくLSB用のキャリア発振も可能なようにした。PLL回路を使った完全オリジナルな回路である。

 下部の電池ボックスには、専用充電池が使われるのであるが、その供給が最大の問題だ。米軍なら兵站でカバーできるかもしれないが・・・。 可搬型ではあるが、半固定用と考えて運用すべきかもしれない。アンテナ・チューナを内蔵し十分なパワーもあるので有望だろう。 但し、そう考えると今なら車載電源で運用可能なHF機は幾らでもあるから、それを使うのがベストと言うことになる。


【KX1】(米エレクラフト社製キット)
 7MHzを主に、10、14MHzのCWでオンエア可能だ。CWのみだから十分な意思疎通には電信の技量を要するのが難点かもしれない。 しかし少ない電力で長時間動作するし、広い電源電圧を許容するから非常用としても有効だろう。

 オートアンテナチューナも内蔵するから、許容するアンテナの範囲も広い。 大きめの金属物体をアースとして任意長のロングワイヤでオンエアすることも十分可能だ。 普段滅多に使わないリグだが、1.5Vで単三サイズのリチウム乾電池(長期保存性に優れる。但し充電はできない)を入れてある。 アンテナ用のワイヤ類とイヤホンなど、必要品一式を非常袋に入れておく必要を感じた。もちろん外部電源用のコードとアース用配線も合わせて。

                −・・・−

 グループ間の近距離通信ならV/UHFハンディ機が有効だ。もちろん、そうした機器も対で確保しておきたい しかし地形の関係や、かなり孤立した状況下で連絡手段を確保するにはHF帯が有効ではないだろうか。 UHF帯のリピータが継続して使えるのは商用電源が活きている場合だけだ。

 車載機でHF帯を運用した経験から言えば昼間の7MHzと夜間の3.5MHz は数10kmから1,000kmあたりまで、SSBで十分な実用性があった。 アンテナは車載のホイップ・アンテナである。 半固定で比較的大きなアンテナが設営できるならより安定した通信を確保できる。 機材一式もさして大掛かりではない。工夫すれば常時車に載せておくことも可能である。

 緊急事態に臨みHAMとして何か可能かと考えるなら準備の意味はあるだろう。 インターネットに代表される通信ネットワークは災害には脆いものだ。 最後は既存の通信インフラに頼ること無く、ポイントとポイントの間を結ぶ無線通信機器が有効に機能することになるのだろう。アフリカで活動するNGOのHF帯活用事例にも示唆されるものがあった。

 もちろん、こうした事態が起こらぬことを祈っている。 de JA9TTT/1

# 非常時対応は常に維持してこそ意味がある。しかしそれが一番難しいことだ。

(おわり)

2011年2月11日金曜日

【AVR】more AVR Keyer

【AVR Electric Keyer 】
 プログラムのバージョンアップはマイコン工作の常であろう。配線変更や部品追加を伴わずに機能の追加・改良が簡単にできることも多い。 このAVRエレキーもご多分に漏れない。 さっそくプログラムのバージョンアップだ。 但し、機能を活かす為にすこし配線の変更も必要になった。これは前のBlogの続きである。


 追加したいと思っていたものに「オートパワーオフ機能」があった。 スイッチの切り忘れには効果的だ。 言うまでもなく乾電池を電源にした機器にはあった方が良い。
 AVRマイコン自身に省エネ機能があってBASCOM-AVRからも利用できる。 さっそく盛り込むことにした。 前のBlogでAVRキーヤーを扱ってからJN3XBY岩永さんのBlogでも改造があって改良にあたってはそれも参考にさせて頂いている。


 私はオートスリープ機能だけ盛り込んだ。 なるべく元のプログラムをいじらぬ方針で臨んだので岩永さんのバージョンとはだいぶ違う感じになった。(笑) 貴方がメッセージメモリも必要なら岩永さんの所を参照されたい。 私はいらないので機能追加しないと思う。

 プログラムはコンパイル済みのHEXファイルで供給するが、前のBlogのようなTEXTエディタにコピペする方式はやめた。Dropboxと言うクラウド・スペースに保管する方法にしたので、以下のリンクから直接ダウンロードできる。(このクラウドに危険はない・笑) このファイルは専ら作った人自身が使う趣味の製作用である。それ以外の目的で利用したいなら連絡と承認が必要だ。


☆ Tiny26L_Keyer_V320.hexのダウンロードは==>こちらから。
参考:ATtiny26Lは、ATtiny26の低電圧バージョン。上記のHEXファイルは、ATtiny26でも使える。 但し、電源電圧の下限は26Lの2.7Vに対してLナシは4.5Vなので注意を。

【AVR Electric Keyer Ver.1.1.1】シンプルバージョン
 前のBlog:AVR Keyer Part.1にあった回路に相当するものだ。キーイング・デバイスにはデジタル・トランジスタを使うバージョンである。回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。


 回路の変更は以下の通り。

(1)可変抵抗器(VR)の接続変更。
オートパワーオフ(Auto Sleep )機能を追加したので、Sleep中はVRに電流が流れ続けないように対策しないと勿体ない。このため、VRのホットエンドを電源ライン(Vcc)からではなく、ポートPA2(Pin.18)から取るようにした。
 ポートの出力インピーダンスは低いから、High(=1)を出力するれば軽負荷において電源電圧近くまで振れる。従って、機能的には前と同じにできる。 Sleep状態に入ったらポート出力をOFFしてしまえば、VRに電流は行かないから無駄に電池を消費しなくなる。

(2)オートパワーオフ(Auto Sleep)の有り/無し選択を追加。
オートパワーオフの入り切り機能が付いている。
 オートパワーオフは電池電源のエレキーには必要な機能だが機器組込み用なら無闇にオートパワーオフしない方が良い。 消費電流は静止状態で4mAほどなので組込み用にはオートパワーオフはたぶん必要ない。
 ポートPA7(Pin.11)をGNDに接続しLowレベルに保てばオートパワーオフ機能はナシにできる。 逆にポートPA7(Pin.11)をオープン(=無接続)状態にすればオートパワーオフ機能付きになる。ピン(Pin.11)は内部でPull-UPしてある。

 この機能はわざわざスイッチを設ける必要はなくてどちらにするか決めて作れば良い。或は基板上にジャンパー・ピンでも設けておけば十分だろう。
☆☆ 約5分間パドルの操作をしないとSleep状態になって電池を節約する。Sleep状態からは、パドルの長点(Dash)で抜け出せる。

 Sleep状態とは言っても電源電流は完全なゼロではなく、僅かに漏れるので電源SWは省略すべきでない。 オートパワーオフ機能は電源SWの切り忘れ対策用である。 切り忘れても電池はずいぶん長く持つとは思うが、使わない時にはスイッチのオフを。


               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【ATtiny861A】
 AVR Keyerの開発はATtiny26Lで行なった。 これは手持ちがあったからだ。 以前はATtiny26LもポピュラーなAVRマイコンの一つだった。 しかしメーカーが生産をやめてから秋月電子通商では販売されなくなった。 旧型が不良在庫になっても困るからだろう。


 AVRマイコンのメーカー:ATMEL社によれば、代替品はATtiny261A、ATtiny461A、ATtiny861Aだという。 機能追加された部分を除けばピン配置を含めて上位コンパチ品のようだ。 ただし、あくまでも新チップなのでまったく同じプログラムがそのまま動く訳ではない。

 秋月電子通商ではこのシリーズのうち、メモリー容量の大きなATtiny861A(プログラム用Flashメモリは8kB)だけを扱っている。 2011年2月現在の単価は¥200-で数量割引が無いのは残念だ。皆が使うようになれば安くなる可能性もあるだろう。
 今は大丈夫でも旧型になりつつあるATtiny26Lはいずれ入手できなくなる。 このATtiny861Aで「乗換え」の確認をしておくことにした。

# エレキーのようにHAMシャックの基本的な装備品は長い期間作れるようにしておきたいものである。
【ATtiny861A Electric Keyer】
 乗換えにあたりソースプログラムの再コンパイルは必要である。 もちろん、その前にBASCOM-AVRの初期設定を変更しChip定義ファイルはattiny861.datを選んでおく。クロックも1MHz(=1000000)であることを確認しておく。 ヒューズビットの操作は必要ない。

 それさえしておけば同じソースプログラムで同じように動くことが確認できた。 流石にBASCOM-AVR、このあたりが高級言語コンパイラの威力である。(笑)
 再コンパイルで出来上がるオブジェクト(実際に書込まれる機械語プログラム)は異なるので、前のATtiny26L用HEXファイルは通用しない。 従って、HEXファイルから作るなら、以下のリンクから861A用を別途ダウンロードする必要がある。

 プログラムは同じくHEXファイルで供給するが、同様にクラウド・スペースに保管する方法にしたので、以下のリンクから直接ファイルをダウンロードできる。 このファイルは専ら作った人自身が使う趣味の製作用である。それ以外の目的で利用したいなら連絡と承認が必要だ。

☆ Tiny861A_Keyer_V320.hexのダウンロードは==>こちらから。

【Piezo Speaker】圧電スピーカ(圧電発音体)

 回路図の記号を見たOMさんから『クリスタルスピーカは入手できないが・・・』と言うメールを頂いた。 回路記号は同じだが『圧電スピーカ』のことである。 スピーカーとは言ってもブザーやアラームのような「発音」専用だ。 音声や音楽の再生にはまったく不適当だ。(スピーカとは言わず「圧電サウンダ」とも言うくらいなので) しかし、エレキーのサイドトーンモニタくらいには十分使える。

 写真は秋月電子通商で購入したもの。 右下の音圧周波数特性図のように鋭いピークが並ぶ「ひどい」特性なのでクセのある音がする。 こんな特性だが、マイコンのポートから矩形波でドライブするにはむしろ好都合なようだ。 正弦波では共振周波数にぴったり合わせないと音が小さい。 しかし高調波をタップリ含む矩形波なら、周波数はアバウトでもそれなりに音が出てくれる。何らかの音が出れば済む用途には便利だと思う。

 マイコンで音を出すには便利だと思い数個購入しておいた。写真はφ22mmの比較的大きなもの。村田製作所製のマークがあって、これは@50円だった。 書いてないが、Made in Japanではないだろう。

【hidspx-GUI】ATtiny861Aを扱う。

 あたらしいチップのように思ったのだが開発されたのはしばらく前らしい。 秋月電子通商で扱うようになるまでポピュラーではなかったと思う。 『手に入らないチップ=絵に描いた餅』だった訳だ。

 それで書込みツールの対応状況を心配をしたが問題は無かった。 もちろん、BASCOM-AVRのGUI環境からUSBaspなどのUSBライタを使って書込んでも良い。

 さきほどダウンロードした.hexファイルをこの画面から書込んでやる。 なお、この例ではHIDaspxライタが接続してある。 このエレキー製作ではヒューズビットの操作は不要なのでプログラムだけ書込めばオシマイだ。

【AVR Electric Keyer Ver.3.1.1】低電源電圧用

 この回路はATtiny861A向きだ。 ATtiny26Lでも動作するが,その場合は乾電池を3本にして4.5Vで使うのが良い。 ATtiny861Aは電源電圧1.5Vまで働くので乾電池は2本で行ける。 但し、Photo-MOS Relayのドライブには電圧が低くなり過ぎるので旨くない。

 この回路は最近のリグ向きと割り切ってしまい、トランジスタでキーイングすることにした。 なるべく低い電圧まで動作し消費電流も少なくなるようにHfeが特別大きな、俗に言う「スーパーβトランジスタ」を使っている。(Vbeが大きくなるので低電圧回路にダーリントン接続は不向きだ)
 2SC3112の入手は容易だがメーカのサイトによれば新規採用非推奨品になっている。2SC3112と2SC3113はパッケージ違いの同等品なのでどちらでも良い。Hfeランク「B」を使った。 2SC1815ならBLランクで代用できるがわざわざ購入するほどのものではない。R7を4.7kΩくらいにしてやれば2SC1815GRで済むし、前と同じようにデジトラでも良いと思う。

 なお、回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。

【AVR Electric Keyer Ver.3.2.1】標準回路

 この回路はATtiny26LとATtiny861Aのどちらでも快適に動作する。乾電池を3本にして4.5Vで使っている。 ATtiny861Aは電源電圧1.5Vまで働くが、Photo-MOS Relayのドライブには電圧が(結局はLEDの電流が)必要なので、1.5Vまで下がっては旨くない。電源電圧は2.7Vくらいを下限と考えた設計だ。(一般に、乾電池の終止電圧は0.9V/Cellとして機器設計する)

 機器組込み用なら最初の簡略な回路でも良いが、こちらは独立した筐体に組立てる本格的な「エレクトリック・キーヤー」を作りたい時に適当だろう。 使っているPhoto-MOS Relayやサージアブソーバーなど詳細については、前のBlogに詳しいのでそちらの参照を。

 同じく、回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。

【AVRエレキー頒布について】

 自分で書込むのが面倒なお方に、書込み済みAVRマイコンを用意している。 頒布は、前のBlog(←リンク)と同じ要領で行なうので、ご希望ならそちらの参照を。
 機能は互換性があるので今後すべてSleep機能付きになる。 まずはATtiny26Lで頒布を再開するが手持ちが無くなればいずれATtiny861Aに移行するつもり。
 今のところATtiny861Aは移行確認用しか手持ちにない。tiny861Aを希望するお方には都合をつけるが、すぐに無くなるのでその時は暫くお待ち頂くことになると思う。

 繰り返しになるが、頒布はATtiny26L-8PU(プログラムはVer.3)+20pin ICソケット+Photo-MOS Relay(Panasonic製:AQV224N)がセットだ。 他の部品は手持ちがありそうだし秋葉原や通販で入手容易なものばかりだ。なお、AQV224Nは手持ちがあるうち含めるが、無くなったら自己調達を。HSR312と概ねおなじだ。

ATtiny26L-8PUが無くなったら自動的にATtiny861A-PUの頒布に移行する。 Blog公開から時間が経過していても部品が続く限りいつまででも供給するので、欲しくなったらメールで問い合わせを。(写真は頒布準備が進むAVRキーヤーチップセット.2011.2.13)



               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


参考までに、ATtiny861Aを使ったエレキーの静止状態に於ける消費電流を示す。

測定日:2011.02.03  室温:20℃

電源電圧(V)    電流(mA)
5.0V        3.55mA
4.5         2.70
4.0        2.20
3.5         1.85
3.0        1.51
2.5        1.24
2.0        1.00
1.5        0.76

静止状態における回路電流でキーイングで増加する。

動作下限電圧は約1.4vであった。ATtiny861Aはずいぶん低い電圧まで動く。
参考:ATtiny26Lは、規格表の下限電源電圧は2.7Vであるが、おおよそ2.5Vくらいまで働く。 このエレキーに於いて消費電流は上記のATtiny861Aとあまり違わない感じ。


               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【AVR Keyer 製作後記】

 PICマイコンを利用したエレキーはたくさん登場している。たとえば愛称:TiCKやPK-2等を試したこともあった。AVRマイコンで作る人は少ない感じだが皆無ではない。
 少し前に『パドルを買ったのでエレキーチップが欲しい』という会話があった。たしかPICを使ったものなら沢山あった筈と答えて、上記を紹介したのだが・・・米国からこれだけを買うのも面倒そうだった。

 JN3XBY岩永さんがAVRで製作されていたのを思い出す。探したら丁寧な製作記が見つかった。前にも見たはずだが興味を覚えなかったのか半分忘れていた。 もっとコンパクトなチップが良いかもしれないが、20PinのATtiny26Lなら手持ちにあった。さっそくROMに書込んで実際にキーイングし、これなら行けそうだと感じた。

 そのままそっくりでは芸の無い話しなので、好みに従い少しチューニングしてみた。 それだけで満足な感じにできた。あとはオートスリープ機能でもあれば概ね完璧だろうと言う所で、結局それも実現できた。キーヤーとしてはこれでOKだろう。 昔、カーチス社から出ていた8044とか言うエレキーチップと同じようにはなってると思う。 もちろんマイコン式の可能性はより広くてウエイトの可変とかスピードメーター機能とか・・・考えれば際限もない。今はそう言う時代なのである。

 昨年のCQ Hamradio誌(2010年6月号)にエレキー基板が付録になったからか市販キットは絶滅危惧の状況だ。 それにPICにしろAVRマイコンにしてもプログラムが公開され、誰でも(?)簡単に(??)作れるとあっては、キット商売も旨く行かないだろう。無闇に高機能なエレキーも使いにくいだけで、シンプルで使い易ければそれ以上は要らない。そうなれば付加価値も付けずらいから「商売モノ」が減るのも道理だ。
 少し気の利いたリグにはエレキーが内蔵されている。独立したエレキーのニーズも少ないだろう。 それでもシンプルなQRP機や自作トランシーバにもエレキーは欲しい。 安価でコンパクトならリグ1台ごとに内蔵してしまうのも良かろう。そんな考えもよぎったので集中的に採り上げることにした。

 さて、ここまで来て思った。 マイコン式エレキーの製作は楽しいのだろうか? はっきり言って製作の面白味はあまりない。 RTLは論外としても、TTLやC-MOSロジックを並べた方が作り甲斐がある。 ただし楽しんで(苦労して?)配線しても、出来上がりの性能・機能は似たようなものだ。 結果だけが欲しい人にはマイコン式が向いているし、製作過程が楽しい人は真空管式でもディスクリート半導体式でもやって見るのが良い。こんなところが「趣味」の楽しみ方なのかもしれない。 な〜んにもしないでネットを徘徊するだけじゃ一番つまらんってこと。(笑) de JA9TTT/1

備考:手持ちのマイコンが無くなったので書込み済みチップの頒布は全て終了しています。
なお、HEX形式の書き込みデータのダウンロードは復活しておいたのでご自身で製作されたいならご利用されたし。ご質問などあればご連絡を。各キーヤのソース・ファイルのご要望にはお応えできません。あしからず。

(おわり)

2011年1月30日日曜日

【AVR】AVR Keyer Part 2

【AVR Electric Keyer Ver.2】部品面
 AVRマイコンを使ったエレキーのVer.2だ。機能的には前のBlog、Part_1(←リンク)で紹介した、Ver.1で概ね満足していたので、ソフトウエアの変更はわずかだ。 サイドトーンの音程可変機能の追加と好みでスピード調整範囲の小変更したくらいだ。改造前のオリジナルはJN3XBY岩永さんのBlog(←リンク)を参照。

 回路(ハードウエア)の違いはパドル接続部分へRFI対策+静電気保護を追加したこと、及びキーイングをデジタル・トランジスタからPhoto-MOS Relayに変更した部分だ。 Ver.1の基板を流用・改造したので必ずしも最適な部品配置ではないが写真のようになっている。

【AVR Electric Keyer Ver.2】配線面
 例によってあまりお見せするような物ではないが配線面の様子だ。部品を追加したが、もともと簡単な回路なので配線は簡単なものだ。

 プログラムの検討にも使ったので、ISPコネクタは残してある。キーヤーとしては不要なので、機器に組込んだり付加装置として使う場合には不要だ。

 部品を揃えてから配線に要する時間は2時間程度だろう。

【AVR Electric Keyer Ver.2.1.2】回路図
 Ver.2の回路図だ。 サイドトーンの音程を可変するための可変抵抗(VR3)が追加になった。もちろん、内蔵プログラムもそれ用に変更している。 無段階ではなく少しステップ状の音程変化だが概ね好みの音に調整できる。 このVR3はパネルに出す必要はないと思うので基板上に半固定抵抗を付けておいた。

 自家用なら最初から好みの音程にプログラミングしてしまえば済む。 一般的には変えられた方が便利だと思い可変型にしてみた。 サイドトーンの音量を変えるための可変抵抗(VR2)も追加してある。 もちろんサイドトーンが不要ならいずれの部品も省略できる。 その場合マイコンのPin_19(PA1)はGNDに接続しておく。出力端子Pin_4(PB3)には何も接続しない。

 ダイオード:D1は発光ダイオード(赤色LED)。D2〜D5は1S1588のようなごく一般的なスイッチング用ダイオード。D6は1W型のツェナーダイオード(Vz=6.2Vのもの)で過電圧保護用である。RD6.2FはNEC製だが他のメーカー製でも良い。秋葉原なら鈴商にあるようだ。

 回路図の表記で、1nFとあるコンデンサ(C4,C5)は1,000pFあるいは、0.001μFのことである。(nFとはナノ・ファラドのこと) 耐圧表記のないコンデンサは全て25V以上の耐圧があれば良い。極性の書いてないコンデンサはセラミック型(積層セラコン)、極性表示のあるものはのアルミ電解コンデンサを使う。

 各抵抗器は誤差5%で1/8〜1/4W型のものを。カーボン型あるいは金属皮膜型のどちらでも良い。 サイドトーン用スピーカーは圧電型を使う。 パドル端子やリレー出力端子は各自の好みで選ぶ。回路基板はなるべくなら金属製の箱に収納すべきだ。

 電源は乾電池を推奨するが、実測の出力電圧が2.7〜5.5Vの範囲内のACアダプタでも良い。マイコンの定格電圧をオーバーしてしまうので、5.5Vを越えてはいけない。ACアダプタ専用にするなら5VのレギュレータICを入れると良い。

 回路図で、青色で配線された部分はプログラム書込み用である。頒布(後方参照)の書込み済みマイコンから作り始めるなら必要ないのでISPコネクタと合わせて省略できる。

 パドル接続部分とキーイング・アウトプット部分の強化については、以下写真と説明を参照。

【パドル接続部分】
 RFの回り込み対策と静電気で壊れない対策を追加した。

 ダイオードと抵抗で静電気対策を行なった。地域にもよるが冬期の太平洋岸は乾燥注意報が連日出ており電子機器の静電気対策は必須なようだ。

 エレキーのパドル接続部分は半導体ICの端子が外まで引き出されている。無防備では静電気の「パチッ」でICが壊れる危険がある。 AVRマイコンのポートは内部でPull-UPしてあっても数10kΩのインピーダンスになっている。 また半導体内部のPull-UP抵抗は微細なものなので、大きな放電エネルギーには耐えられそうにない。 外付け抵抗でPull-UPしダイオードで過電圧をバイパスしておけば当地の様な『静電気発生地帯』でもかなり安心できる。

 また、HAM局によってはオンエアする時に強力なRF電界におかれるだろう。RFI対策をしないと誤動作することがある。予めパドル入力部分で対策しておこう。 直列抵抗とコンデンサの付加でRFIにかなり強くなる。 同調フィーダーやロングワイヤー系のアンテナを使うとシャックのRF電界はかなり高くなることがある。 そんな時はパドルの配線部分にフェライト・ビーズとコモンモード・チョークの追加も必要そうだ。 逆に数WのQRP局なら何もしなくても大丈夫だ。


【キーイング出力の対策】
 出力回路にはフォトカプラの一種、フォト・モス・リレー(Photo-MOS Relay)を使った。

 無線機内部へ組込み用ならVer.1のような「デジトラ」のキーイングで十分だ。 しかし別の箱に組込んで、独立したエレキーとして作るならキーイング接点のところはマイコン部分と絶縁される形式がベストだ。 実際に様々なリグに使う可能性があるので昔は高速リレーを使っていた。 機械的なリレー接点はチャタリングと寿命の問題があって、今ならそうした欠点のない半導体リレーが良い。

 Photo-MOS Relayは機械的なリレー接点と同じく無極性だから便利だ。 接点OFF時の耐電圧も高く真空管リグの『ブロッキング・バイアス・キーイング』にも安心して使える。 無極性だからプラス接地でもマイナス接地でも支障ない。 しかし欠点もあって定格を越えた過負荷には案外脆い。 その対策に過電圧保護のサージアブソーバー/バリスタ(ZNR/TNR)と過電流保護の自己復帰型ヒューズ(Polyswitch)を入れて保護しておく。

 おおむねこうした対策をしておけば、いざと言うとき故障で使えない事態を防ぐことができる。

【Photo-MOS Relay】
 フォト・モス・リレーは:発光ダイオード、光電池、MOS-FETを複合したデバイスである。 最近盛んに使われるようになった。
 ドライブ側(1次側)のLEDに数〜10mA程度の電流を流すと光が出る。(もちろん、内部で) その光が空隙を越えて2次側の光電池(太陽電池)に当たる。光電池に光が当たると電圧が発生する。その起電圧でMOS-FETのゲートをONにドライブする。その結果、2次側出力回路のMOS-FETがONすることになる。 また、1次側のLEDを消灯すればMOS-FETもOFFする。

 このように、1次側の電流ON/OFFで、2次側出力のMOS-FETをON/OFFすることができる。 1次側と2次側のON/OFF伝達は「光」によっており電気的な接続は無いので絶縁が保たれる。1次・2次間の絶縁耐圧は数kVあるのが普通だ。

 出力側には2つのMOS-FETが内蔵されていて、その接続方法により極性のあるDC専用、或は無極性でAC/DC両用の接点として使うことができる。 このFETの耐電圧が接点OFF状態の耐圧になる。数10V〜数100Vのものが市販されている。 FETの電流容量が最大接点電流に相当し、数10mA〜数100mAの物が多い。もっと大きな電流の開閉にはPower-MOS FETなどを外付けする。 なお、Photo-MOS Relayは他のフォト・カプラに比べ動作速度がやや遅い、値段が高いなどの欠点がある。(遅いとは言ってもエレキーにはまったく問題ない)

 写真はPanasonic製とFairchild製のPhoto-MOS Relayである。手前の6ピンのものは互換できる。Fairchild製のHSR312は秋月電子通商で、Panasonic製のAQV224NはRSコンポーネンツで入手できる。そのほかPanasonic製の各種が秋葉原の千石電商でも入手できるようだ。

追記:フォト・モス・リレー:HSR312は秋月の販売が終了したようだ。一時的な販売だった模様だ。これから買うなら代替としてパナソニック電工のAQY214EHが安価で入手性も良さそうだ。但し、外形は4ピンの小型タイプになってるのでカタログを参考に配線を。保護の仕方など、使い方はまったく同じで良い。入手先には、秋葉原の千石電商ほか日本橋のマルツパーツなどがあり、いずれも単価300円程度だ。通販でも購入できる。(2013.05.01)

【過電圧・過電流保護素子】
 写真はバリスタ(ZNR/TNR)とポリスイッチ(Polyswitch)である。 良く似た形状をしているが、目的・用途も動作メカニズムも異なっている。

 バリスタは、双方向特性を持ったツェナーダイオードのようなデバイスである。 端子間の電圧がブレークダウン電圧を越えると導通しその電圧以上にならぬように働き回路を保護する。写真のものは270Vで動作する。 ブレークダウン電圧は数10Vから1kV以上まで各種の市販品がある。大きさは耐エネルギー量で決まっているので目的により選定する。秋葉原では多くのお店で見かけるが、秋月電子通商に幾つかあるようだ。(←220Vのものを調達する)

 右のポリスイッチは自己復帰型のヒューズのような素子だ。通常は低抵抗だが規格の保護電流を越えると急に高抵抗を示し電流を遮断(制限)する。 自己発熱による特性を利用してるので、素子が冷却すればまた低抵抗の状態に復帰する。 従って普通のヒューズのように交換の手間が無い。 但し、完全な遮断ではなく漏れ電流があり、また遮断時の耐電圧も決まっているので回路によりどの素子を使うべきか選定が必要だ。写真のものは秋月電子通商で購入した100mAのもの。

 エレキーの接点(Photo-MOS Relay)にはどのような回路が接続されるかわからないので、壊れないように過電圧と過電流の保護を設けておくと安全・安心だ。 アマチュアの自作品なのだから自己責任で省略しても良いが、「うっかり」に備えておくと結局は自分が助かることになる。

               * * * * *


【AVRエレキー頒布要領】
 マイコンにあまり興味はないが『エレキーが・・』と言うお方に書込み済みAVRマイコンを頒布します。

 頒布はATtiny26L-8PU(プログラムは最新バージョン)+20pin ICソケット+Photo-MOS Relay(Panasonic製:AQV224N)がセットだ。 他の部品は手持ちがありそうだし秋葉原や通販で入手容易なものばかりだ。なお、AQV224Nは手持ちがあるうち含めるが、無くなったら自己調達を。HSR312と概ね互換できる。

頒布は以下(1)または(2)のどちらかの方法で:
 (1)1セットあたり「SASE+物々交換品」と交換にお送りする。SASEとは、返信用封筒に切手(定形外の120円分)を貼り返信用宛先を書いたもの。
 (2)商売ではないので物々交換が基本だが、適当なブツがなければ1セットあたり「SASE+500円」でも受け付ける。(切手代用は不可。定額小為替や銀行口座振込など)

 自作する人にはタダで差し上げたいくらいだが、無償だと取りあえず貰っておいて死蔵するだけの人が現れるそうなのでこのようにさせてもらっている。 メールは「ttt.hiroアットマークgmailドットcom」(カタカナ部分は半角の文字記号に)で届く。

 手持ちのATtiny26Lが無くなるまで対応の予定。 ATtiny26Lはまだ入手できるが生産は終了しているらしい。 互換の代替品はATtiny261A_461A_861Aなので検討確認が済めばそちらに切り替えるかもしれない。なお、前のBlogにあるHEXデータはATtiny26またはATtiny26L用のものでATtiny261A_461A_861Aには使えないと思うので注意を。

追記:Sleep機能の追加(2011.02.10)
乾電池電源向きの『Sleep機能』を追加したので頒布を再開します。これから頒布するものはすべて新バージョン(Ver.3)です。 互換性を維持したので、このページに掲載の回路でも動作するが、別のBlogに掲載の回路を推奨。 前バージョン(Ver.2)の機能を含むので今後はすべて新バージョン(Ver.3)を頒布する。 新バージョンの詳細は別のBlog(←リンク)で確認を。 前バージョンでの頒布数は僅だったが、もしご希望があれば書き換えてVer.3にバージョン・アップします。お手数ですが書き換えのATtiny26Lと返送用SASEを同封してお申し込みを。

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 無線電信(CW)で交信する際の負担軽減と、奇麗な信号を目的としてエレキー:Electric Keyerは、真空管時代から研究され製作されてきた。 JA-HAM局に占めるCW人口は少ないが、ベテランを中心に長く楽しむ人が多いようだ。  総HAM局数は減少していてもCW局は減っていないように感じられる。HF帯ではいつも賑やかなCWが聞こえてくる。

 クラッシックな縦振れ電鍵派、メカニックなバグキー派、スマートなエレキー派に別れるようだが、オンエアはエレキーが一番楽なように思う。 没個性的と言われつつも交信の負担が少ないのは確かで、殆どエレキーでオンエアしている。

 コンテスターにはメッセージメモリ機能が欲しいのかもしれない。私はバンドやコンディションによってCQの出し方を変えるのでメッセージメモリ機能はなくても支障ない。長・短点メモリの機能があれば十分快適だと感じる。このAVRキーヤーは「使える」エレキーだと思う。 de JA9TTT/1

(おわり)

==>続編あり:more AVR Keyer(←リンク)

2011年1月29日土曜日

【AVR】AVR Keyer Part 1

【AVR Electric Keyer】AVRマイコンを使ったエレキー
 エレキーはマイコン工作の定番の一つだろう。エレキーはもともと簡単な「論理回路」で実現されていたからワンチップ・マイコン向きなのである。マイコン式のエレキーはTTLとかC-MOSで作るキーヤーの後で扱うつもりだったが、必要があって製作したのでBlogネタにした。

 写真はAVRマイコン、ATtiny26Lを使ったエレキー基板だ。マイコン:1個、トランジスタ:1個、発光ダイオード(LED):1本、抵抗器:2本、基板の外付けで可変抵抗器:1個、コンデンサ:3本、ISPコネクタ、ICソケット、基板、端子などで構成された簡単なハードウエアである。マイコンを使わずに製作すればICはずいぶん多くなるし、伴って配線もずっと複雑になる。 たったこれだけで立派にエレキーが作れるのは流石にワンチップ・マイコン式だ。

【AVR Electric Keyer】配線面
 部品総数が少ないのだから、配線も非常に簡単である。主に端子へ引き出すための配線であり、部品相互を繋ぐものはわずかだ。 マイコンさえあればごく短時間で製作できる。

 この例ではプログラムを作成し、書込んでテストする機能を持たせているのでエレキーとしては不要な部品を含んでいる。 使うためだけの製作なら不要な部品、不要な配線もあるのでそれらを省けば一層簡単に作ることができる。

 例によって配線はお見せするような物でもないが製作の参考になるかもしれないので。

【AVR Keyer Ver.1.0.1】開発用回路
 キーイング・スピードの加減は可変抵抗:VRで行なう。よりマイコンらしくパドル操作でスピードの加減をする方法もあるが、使い勝手を考えるとVR式の方が優れるように感じる。(これは好み)
 プログラムはオンボード書込み・・・要するにこの基板にマイコンチップ(ATtiny26L)を載せたままで書き換えをするのでそのためのコネクタが付いている。 図の左上あたりにあるISPコネクタはキーヤーとしては不要な部分だ。なお、ISPコネクタには7ピン一列式を使っているが各自の開発環境に合わせる。

 消費電流はわずかなので電源は乾電池が良い。電源電圧を安定化する必要は無くて実験では下限2.5Vくらいまで動作した。電源電圧の上限は5.5Vなので注意を。マンガン型単3乾電池3本で連続1,000時間以上動作する計算だ。乾電池の終止電圧は1本あたり0.9Vなので、3本直列で使うと電池がカラになるまできっちり動作してくれる。或は小型化するならリチウム乾電池(1個)も向いている。

【AVR Keyer Ver.1.0.1D】製作版回路
 上記回路図からISPコネクタを除去しただけの回路図。 書込み済みのマイコンからスタートするならこの回路で良い。

 一層の省部品で試すなら、C2:0.1μF、C3:10μF/16Vが省ける。またReset端子のPull-up抵抗(R1:10kΩ)はなくても動作する。LEDとその直列抵抗(R2:2200Ω)もエレキーとしては必要ない部分だ。テストをするだけなら省いても良いだろう。
 このように非常に少ない外付け部品でも動作する。もちろん、そうした部品はまったく不要と言う訳ではない。より安定で確実な動作をさせるにはあった方が良いのは勿論である。LEDも動作の確認に役立つものだ。

 サイドトーン付きである。圧電スピーカは必要に応じて追加し不要なら端子を遊ばせておくだけで良い。 なお、普通のスピーカ(ダイナミック・スピーカ)も使えなくはないが、1kΩ:8Ω程度のマッチング・トランスを間に入れるべきだ。 サイドトーンは矩形波なのでブザーチックな音がする。 多くのRigはサイドトーン・オシレータを内蔵している。不要なことも多いからON/OFFできるようSWを付けた方が良い。 


【デジタル・トランジスタ】DTC114YA
 HAMには馴染みの無い部品かもしれない。この型番に拘る必要はなく、ほかにも使える『デジトラ』はたくさんある。 増幅ではなくスイッチ的な回路に使うには数個の抵抗器が省略できて便利なトランジスタだ。 上記のエレキー回路ではキーイング・トランジスタに使用している。

 もちろん、2SC1815(Y,GR,BL)のような汎用(はんよう)トランジスタと抵抗器2本で代替しても良い。 手持ちにDTC114YA(ROHM製)があったので使ったまで。 デジトラは増幅系には向かないので持て余し気味で、こうしたマイコン回路に率先して使わないと出番はない。

【プログラムの話し】
 マイコンと言えばプログラムの話しが大半を占めることになる。何から何までプログラムで処理しているからこそ回路が簡単になっている。プログラミングの話しが主役になるのは当然だろう。 ここでは、JN3XBY岩永さんの解説記事(←リンク)を参照させて頂くことにしてプログラムの話しは省略させてもらった。 ステップ・バイ・ステップで実験しながら進める丁寧な解説記事があってBASCOM-AVRで作るマイコン式エレキーの開発過程が詳しくわかる。

 AVRマイコンのプログラム開発用ツール:BASCOM-AVRの愛用者なら解説を読みながら自身で容易にできるだろう。 最終回のソースリストからコピぺでいきなり作ることもできる。 AVRマイコンの鬼門(?)の一つ、ヒューズビットの書き換えはしなくて良い。購入したままで良いから初心者でも安心だ。(注:内部の1MHzクロックで動作している)

 しかしBASCOM-AVRの開発環境が無いと少々面倒かもしれない。 以下のリストは処理済みのHEXリストである。ここからスタートすれば、BASCOM-AVRは必要としない。 以下のリストをそっくりコピーして、「メモ帳」か「ワードパッド」のようなテキストエディタに貼付け、たとえば『keyer.hex』のような拡張子が.hexの(任意の)名前でセーブする。

 プログラムライタはAVRマイコンに書込みできる物なら、例えばHIDaspxでもUSBaspでも何でも良い。 それを使いGUI環境かコマンド・プロンプト(DOS窓)からセーブしておいた.hexファイルを書込めば出来上がる。
 ライターにHIDaspxを使い書込みソフトはhidspxを使うとすれば『hidspx keyer.hex』のコマンド一発で書込める。非常に簡単だ。keyer.hexはhidspxと同じディレクトリに置いておくこと。 BASCOM-AVRの環境がなくてもエレキー用マイコンが作れる訳だ。試してはいないが、Macintoshの環境でもできるはず。

 長短点メモリ付き、スクイーズ機能も付いている。マイコン学習用のお遊び習作品ではなくて、オンエアの実戦に使える本格機能を持ったエレキーである。もし良いエレキーが欲しいと思っているなら是非お薦めできる製作だ。

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:060310001C930E930895FA
:00000001FF

以上、先頭が:で始まる行をそっくりそのままコピペして『keyer.hex』ファイルを作成する。プログラムのソースはJN3XBY岩永さんの物と基本的に同じだ。好みで少しだけパラメータを変えてみたが本質は違わない。ソース・プログラムをいじってみたいならオリジナルの記事を参照されたい。なお上記hexファイルを個人の用途以外で使いたいなら連絡を。

 上記は実際に動作しているものなので大丈夫なはずだ。もしも旨く行かない時はまずはご自身で考えて自己解決の努力も。(ご質問も可)

注:上記プロフラムはPart 2で紹介のVer.2。サイドトーン周波数の可変機能あり。オートスリープ機能はナシ。対象のMPUはATyiny26Lである。 オートスリープ機能付きはVer.3以降なので、別のBlogを参照。

 プログラム済みのエレキーチップが欲しいだけならこれさえ面倒かもしれない。 この際AVRマイコンで遊んでもらいたいと思うが、マイコンに興味はなくてエレキーが必要なだけのお方に書き込み済みの頒布も計画したい。(詳しくは続きで)

次回は本格的な外付けキーヤとしてもう一歩話しを進めてみよう。de JA9TTT/1

(つづく)←リンク