2026年10月26日月曜日

【回路】Super-Regenerative Receivers (4)

【超再生式受信機・その4 実験編(3)】

Introduction
I achieved good results by using a junction-type field-effect transistor (J-FET) in a super-regenerative detector. In my experiment, I used a Japanese-made 2SK19Y as the J-FET. While this is one option, many other J-FETs designed for high-frequency and small-signal applications can be used. However, you may need to adjust the component values slightly. The resulting performance should be nearly identical. I’m enjoying listening to local FM broadcasts with the super-regenerative receiver I built. The sound quality from that receiver is quite decent. I’m pleased that an FM receiver can be built with a simple circuit and just a few components. (2026.10.26 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【超再生検波器:J-FET-Type No.F01】
 前回のBlog(←リンク)ではトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路を試作して検討しました。まあまあの受信性能が得られたと思います。 今回はNPNやPNPと言った普通のバイポーラ・ジャンクション・トランジスタ(BJT)ではなく、「接合型電界効果トランジスタ」:J-FETを使った超再生検波器を試作します。

 最近は・・・とは言っても既に20年以上も前に考案されたので十分な時間が経過していますけれど、超再生検波器にJ-FETを使う例が見られるようになっています。

 普通のトランジスタを使った超再生検波器(受信機)は過去に製作経験がありましたが、FETで検波する超再生は作った記憶がありません。最近はFETの使用例をかなり見るので一度は作ってみたいと思っていました。

 写真は高周波用の代表的なJ-FET:2SK19Yです。 既に廃番のFETですが高周波用J-FETとしてたいへんポピュラーです。高周波用の代表として選びました。なお2SK192AYが同等品です。 結果はなかなか良好でした。ただしこのFETが特に超再生向きというわけではないようです。

 いくらか周辺部品の定数変更は必要ですが数種のFETでおおむね同様の成績が得られました。 どうやらFETをコモン・ゲート形式の回路で作った超再生検波器はなかなか良い性能が得られるようです。

                   ☆

 ますは過去の例に倣って製作し、回路定数を変えながら良さそうなところを探ってみました。 以下に回路図を示します。

【回路図:J-FET-Type No.F01】
 前回と大きく違う部分は同調回路に7mm角のシールド付きコイルを使ったところです。

 J-FETを使った超再生だからコイルを変えたというよりも調整の容易さから変更したものです。 アンテナとの結合もリンク形式に変更しました。 
 リンク形式はアンテナと検波回路との結合度の加減が難しいように感じます。 また感度の点ではC結合でドレインに結合する方がやや有利でした。 その代わり選択度が良くなるようです。さらに写真のようにシールド付きのコイルを使ったのでボディー(ハンド)・エフェクトも軽減されました。手を近づけるだけで状態が変わると言った現象が軽減されます。

 コイルはアンテナ側が1回、同調側が5回巻きになっています。(コイル製作の参考リンク→こちら:リンク先の777M-No.05を使いました)

 検波出力はBJTを使った回路よりも大きく得られました。同じ条件で比較して感度も良いと思います。

 FETには2SK19Yを使って実験を始めました。最適化するために加減が必要なのはソースとGND間に入っている抵抗器:R2(4.7kΩ)と並列のコンデンサ:C5(4700pF)です。 RFC:CH1は10〜20μHが適当で、ここでは15μHを使いました。自作品ではなくて既製のRFCです。
 正帰還量が不足してVHFの発振が弱い場合はドレインとソース間に入っているコンデンサ:C3(5pF)を大きくします。
 これらを加減すれば同等・類似特性のJ-FETで概ね同じような成績が得られます。ただし、おなじ2SK19でもIdssの違うGRやBLランク品ではR2の加減が必要です。Idssが違えば別種のFETと考えるべきかも知れません。

 結局のところFETを使ったからと言って無調整にはならず、トランジスタ(BJT)と同じように個々のデバイス特性にマッチさせる「調整」が必要です。

 参考までに2SK19Yと差し替えてそのまま旨く動作したFETには、2SK192AY、2SK41E、2SK54Bがあります。これらは2SK19Yとたいへん良く似たJ-FETです。他にも代替候補はあるはずですが実験していません。

 低周波アンプは前回の実験のままです。低周波アンプ用のIC:LA3020を使ったものでゲイン:Gv≒55dBです。これは代替の低周波アンプでかまいません。同じようなゲインがあれば性能に違いは現れません。

 回路図でOptionとして点線で囲まれた部分はクェンチング・ノイズを軽減するための回路です。これはexJA2EP/JH!FCZ:大久保OM(故人)によって提案された工夫で、この超再生受信器特集の初回(←リンク)で紹介したものです。(少し回路変更しています)

 全体的にみてオーソドックスな回路です。部品数も少なく、まずまず良く聞こえるのでお勧めできるFMラジオです。

【超再生受信機・外観:J-FET-Type No.F01】
 70〜90MHzというVHF帯を扱うラジオなのでブレッドボード向きとは言えません。

 製作していて、すこし不安定さを感じたので本格的に製作されるならナマ基板の銅箔面を土台(全面GND)にする形式など、VHF帯に向いた製作方法で作ることをお勧めします。もちろんハンダ付けするのが良いです。

 ブレッドボードで試す場合、超再生検波回路の部分はGNDで囲むように製作し、なおかつストレー容量が過度に増えぬよう意識して組み立ててください。 接触不安定を特に嫌うので部品のリード線はよく磨いておきます。各部品のリード線も必要最低限できるだけ短くします。

 面倒そうに感じるかも知れませんが、部品数はごく少ないですからいくらか試行錯誤すれば動作できるはずです。 あまり難しく考える必要もないと思います。 もちろん、モヤシの山盛りのような長いジャンパー線を使った配線ではマトモに動作しないでしょう。卑しくもVHF帯の受信機なんですから。(笑)

【超再生受信機・第二検波器:J-FET-Type No.F01】
 FCZ式で言うところの、第2検波器に相当する回路部分が写真左上のあたりに見えます。

 もとの回路では直列抵抗(10kΩ)でデカップリングとスムージングを行なう形式になっています。 効果はあるのですが信号の減衰が大きいので上記回路図のように変更しています。

 クエンチング・ノイズの低減効果はあまり変わらず、信号の減衰が6dBくらい減らせるので受信感度的に得をします。

 『FCZ式の際2検波』のダイオードには1N34A(ゲルマニウム・ポイントコンタクト型)を使っています。 これは1N60や1K60で代替して差し支えありません。ほかにもゲルマ・ダイオードは沢山あるのでどれでも大丈夫でしょう。

 以下は参考ですが、低周波アンプ部で高域ノイズを大きくカットしている関係でクェンチング・ノイズはそれほど邪魔に感じないのでOptionの回路は無くてもあまり支障はないと思いました。 もちろん第2検波形式を否定するものではありません。

【クエンチ波形:J-FET-Type No.F01】
 バイポーラ・トランジスタを使った超再生検波回路との違いに興味があったのですが、このクエンチ波形を見る限りあまり違いはありませんでした。この波形観測はC4:0.01μFのホット側(GNDではない側)を見ています。

 波形を観察しながら受信していて、検波器の挙動もBJTの回路とあまり違いを感じません。
 受信信号があると音声信号に引っ張られてクェンチ周波数が揺らぎます。高い周波数の方向へ引っ張られるのが面白いです。 FM波を受信しているからかもしれません。

 AM波でキャリヤ周波数が一定していると少し違う挙動を示します。 その場合も信号(AM波)が入力されるとクェンチ周波数は高い方へ動きます。

【復調波形:J-FET-Type No.F01】
 低周波アンプ:U1の出力波形です。 FMラジオを受信している「ある瞬間」の波形です。

 この超再生FM受信機はまずまず安定に受信できるので放送を聴きながらこのBlogを書いています。

 おもにNHK-FM(前橋放送局:81.6MHz)を聞いています。 回路図にあるJ3、J4のAF Output端子から信号を引き出して外付けのオーディオアンプのAUX端子につなぎ、ちゃんとしたスピーカ(一応Hi-Fi用・笑)を鳴らしています。(笑)

 音質優良とはいいかねますが、だいたいAMラジオなみだと思えば良いでしょう。普通のラジオとしてけっこう番組を楽しめると思います。現状ではあまり音質を意識した設計はしていないので見直すことで改善の余地はあると思います。

 周波数の高いVHF帯の受信でありAFC(自動周波数コントロール)の機能も付いていないので周波数変動が心配でした。 しかし超再生検波器には周波数の引き込み作用があって、同調ダイヤルはそのままで長時間同じラジオ局を聴き続けることができました。

 ただし部品には温度係数があって「周波数変動」は実際に存在します。 そのためスロープ検波の状態が徐々に変化して復調音質の変化(劣化)が見られました。良い音で聴くためには時々の再同調が必要です。 おそらくAM波でしたらそのような変動は感じないだろうと思いますがデビエーションの広いFM放送波なので同調周波数の変動がわかるのでしょう。

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 感度はまずまずですが選択度は良くないので遠方のFM放送局受信には難があります。 「弱肉強食的」な特性があって信号が強い局に近い周波数の弱い局は受信できません。 ご近所にある(電波の強い)FMラジオ局でしたら実用的に聞こえるラジオ回路です。

 きちんとした箱に収納してやりチューナのように製作すれば手軽にFM放送を楽しめる自作品になるでしょう。 だんだんAM放送が姿を消していますからこれから自作で楽しむラジオとして有望かもしれません。
 製作の再現性ではコイル作りが課題になると思いますが、もう少し作り方を追い込んで行けば誰でもとは言えぬかも知れませんが、少し製作に慣れたお方なら電子工作の一つとして十分楽しめる製作だろうと思います。

 もちろん、ちゃんと作るのでしたらブレッドボードではなくナマ基板の上に構築する組み立て方法が推奨できます。 もしプリント基板化するのでしたらなるべくGND面積を広く取りなおかつ分布容量が少なくなるようなパターン設計をしてください。

 アマチュア無線局と比べてFM放送局は一般に信号が強いのでRFアンプ(高周波増幅器)は無くても良く受信できます。しかし超再生検波器は原理上ノイズ電波の輻射源になるので、その防止の意味からRFアンプの付加を推奨します。

                    ☆

 第3回からあまり時間が経って気が抜けてしまわぬうちに第4回として電界効果トランジスタ:FETを使った超再生検波回路を扱うことにしました。 前回までのBJTと比較してFETで良い成績が得られたと思います。ご近所のFM放送局を聴いてみると言った簡単ラジオとしてなかなか有望でしょう。 しばらくお休みの予定でしたが順当なBlogの更新になりました。hi
 さて、次回は何にしましょうか。まだ何か試してないテーマがありそうでしたら続きにしましょうか? え、真空管だろうって?(爆) とりあえず超再生受信機の特集は終わりにします。ではまた。 de JA9TTT/1

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(おわり)fm

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