2026年11月9日月曜日

【回路】Super-Regenerative Receivers (5)

【超再生式受信機・その5 番外編】

Introduction
While gathering information on super-regenerative receivers, I came across a book that caught my attention. It’s a practical guide to the design and construction of radio-controlled devices. Since it was published 50 years ago, it’s not exactly state-of-the-art. Apparently, radio-controlled receivers using super-regenerative detectors were quite popular back when the book was first published. Moreover, the book mentions that they were easy to build, so I wanted to find out exactly what ingenious techniques were involved. Let’s take a look at the circuits in the book. (2026.11.09 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【図解・ラジコンの設計と製作】
 ここまで超再生式受信機について4回ほどBlogを続けてきました。 初回(←リンク)で紹介したFCZ式超再生受信機を調べていて気になったお話があったので深掘りしてみましょう。

 そのFCZ誌:No.41号の記事が切っ掛けです。 タイトルは『息子の戦車が親父のオモチャに化けた話』で、執筆はJE1EHS 宮川直丈OMで同誌への投稿記事です。

 私が気になったのは次の部分です。

 『それはラジコン界で「野にあるタンポポ」という程普及している超再生式受信機が、ハム界ではなぜ使用されないのかと言うことでした。』という宮川OMの疑問の部分です。 なお、FCZ誌は全文がネット上で公開されています。興味があれば参照されてください。 

 私はラジコンに詳しいわけではないので「それほど普及している(いた)のか?」と思ったわけです。

 ラジコンマニアにも電子回路に詳しいお方もあると思いますが、多くは「ラジコンが作りたい!」のであって、電子工作はそれを実現するための一手段に過ぎないでしょう。 したがって製作者に電子工作のスキルをあまり期待できませんから、記事では確実に作れる「電子回路」を重視せざるを得なかったはずです。 要するに、誰が作っても失敗のないラジコン受信機が求められたでしょうね。

 自身で超再生式受信機を製作してみて、なかなか難しい製作であると感じていたので、その失敗のない確実なラジコン受信機とはどんなものなのか、おおいに気になったわけです。

                   ☆

 こんな切っ掛けで該当のの書籍を探していたところ、うまく入手することができました。 以下、簡単に紹介して感じたことなど綴ってみたいと思います。 まったくの雑談ですから超再生式検波器・受信機の番外編として気軽にご覧いただければ幸いです。 ご感想やツッコミのコメントも歓迎です。お手柔らかに。(笑) このさき、約7分で読めます。

【簡易なラジコン受信機】
 FCZ誌No.41にも回路図の記載はあるのですが、超再生検波器の部分だけでラジコン受信機全体の回路図ではありません。左図はラジコン受信機そのものの回路です。最も簡単な例として書籍冒頭の部分に登場するものです。

 簡単に受信機の働きを説明すると、送信電波に乗ってくるトーン信号でリレーをオンオフするだけのものです。 正確に言えばトーンがあったらリレーがオン、なければオフという単純な機能です。 電波はトーン信号で振幅変調(AM変調)されています。

 それでラジコンできるのか疑問があると思いますが、リレーの接点でオンオフするのはサーボモータです。一回オンで右に舵を切り、オフで自動的にセンターに戻る、次のオンで左に、オフでセンターに戻るというシーケンスを持たせてあれば左右のコントロールができるわけです。 自動車でしたら壁に当たったらバックに反転するようにでもしておけば狭い場所でも遊べるでしょう。 ラジコンの説明が目的ではないので程々にしますが、単純なオンオフだけで制御を工夫するなかなか面白い世界のようです。 1bitマイコンみたいな世界でしょうか。hi hi

 肝心の超再生式受信機の部分ですが、基本的に無調整でも動作するよう考えてあるみたいです。fTが十分に高いトランジスタを使うのがポイントだそうで、この例ではFMラジオ用のGe-Mesa型を使っています。 製作後の確認方法ですが、テスト端子にクリスタルイヤホンを仮付けしてクェンチング・ノイズの発生を確かめます。「ザーッ」というノイズがあればOKです。 しかしダメならベースに入っている0.01μFのどちらか、あるいは両方を交換してみる必要がある・・・という説明がありました。(さらに、それでもクェンチが出ずダメなら石(Tr)を換えろ、RFCを換えろ、エミッタ抵抗を1〜2kΩで加減してみろ・・・何だか我々のRX製作と似てきましたね・笑)

 一発で旨く行けばそれで終了でしょうが、ダメなら結局のところ、我々が超再生式受信機をテストするのと同じことをしているわけです。 例題の回路が確実に動作する・・・少なくとも私が作ったFMラジオよりも確実そうなのにはいくつか理由があるでしょう。
 ます、周波数が27MHz帯でありだいぶ低いことです。 そのため配線長やストレー容量のような不確実な要素は少ないのです。 同じことは使用するデバイス・・・具体的にはトランジスタにも言えて、周波数が低いことは有利に働きます。 プリント基板化しているのも均質な性能の確保には効果的です。
 そして、求める性能にもだいぶ違いがあるのです。 シンプルなラジコンですので、ラジコンの対象物を目視可能な距離に多少の余裕を持っただけの到達距離があれば十分ということでしょう。 飛行機では数100m〜2kmくらい必要かもしれません。しかし自動車やボートならせいぜい300mも届けば十分遊べるでしょうね。 なお、現在は強力な不法CB無線局が横行していますから選択度の悪い超再生式ラジコン受信機の実用性は殆どないものと思われます。(27MHz帯の場合)

 何kmも何10kmも先の相手局と交信できるような受信性能を追求するハムの世界の受信機と求めるものはだいぶ違います。ハム局の電波はずっと強いとは言え、距離の二乗に反比例しますから実際の受信電界強度はずいぶん小さくなります。 このようなわけで、感度を追求するといった受信機より、誰が作っても確実に動作する受信機としてラジコン受信機があるのでしょう。

◎以下余談ですが、このラジコン受信機製作記事の冒頭に面白いことが書いてありました。
 曰く『まず超再生と聞いただけで自作したくなくなる人も何人かいると思います』・・・要するに超再生で痛い目に遭っている人って当時からたくさん居られたということなのでしょうね。
 超再生を毛嫌いする風潮があったのはクェンチング・ノイズが耳障りでうるさいだけじゃなくって、そもそも旨くクェンチングしなくって大苦戦した経験者が大量に(?)存在したということなのでしょう。 図らずも同じ経験をしてしまったわけです。(爆)

【簡易なラジコン送信機】
 本題は外れますが、シンプルなラジコン受信機の相手となる送信機の方も紹介しておきます。我々が作るシンプルなAM送信機にも共通する部分があって意外に面白いものです。

 この時代(1960〜1970年代)でもラジコン送信機は水晶発振式が基本のようです。 もちろんもっと古い時代には自励発振式だったのでしょうが、送信機の周波数が不安定なのでは不確実性がだいぶ増してしまいます。
 ですからラジコン用として既成の水晶発振子(27.120MHz:3次オーバートーン)が安価に手に入るようになって、水晶発振式が常識になったものと思われます。

 水晶発振回路はピアースB-C型です。これはこのBlog(←リンク)で少し前に扱った回路で確実性の高いオーバートーン型水晶発振器です。水晶発振子さえマトモなら誰が作っても旨く発振してくれるはずです。

 水晶発振の次段はC級増幅のパワー・アンプになっています。 2SC32を使っていますから上手に作ると100mWくらい出ると思うので、電波法で云々のことは書かれていませんがアンテナ次第では十分オーバーパワーだったかも知れません。(笑) 27.120MHzはいわゆるISM用周波数として指定されていましたので、その辺りは少々うやむやでもヨシとしたしたのかも知れません。 もちろんメーカーが商品として作ったらそうも行きませんが・・・。   送信部としては我々にはおなじみの「水晶発振+パワー・アンプ」のオーソドックスな2ステージ型です。

 変調はAMですが、音声の送出は必要ないので低周波のトーン・オシレータが信号源です。 こうしたラジコンでは400〜700Hzあたりが標準的に使われたようです。 1石の低周波発振器で、ハートレー型低周波発振器になっています。 それほど澄んだ正弦波での変調波形は要求しないのでしょう。シンプルな発振回路になっています。簡単化のため発振器のパワーだけでAM変調する必要から「パワー発振器」になっています。

 AM変調方式はコレクタ変調で水晶発振とパワー・アンプの両方に掛ける形式です。 終段のパワー・アンプにだけ掛けたのでは深い変調はかかりません。水晶発振の段(前段)にも掛けることで、パワー・アンプのベース・コレクタ同時変調のように動作し深い変調が掛かるのです。 これは我々が自作する通話用のAM送信機でもまったく同じで、ドライバ段と終段の両方に振幅変調をかけないと良いAM変調波は得られないものです。

 アンテナからの輻射効率も課題になった筈ですが1/4λ・フルサイズでは全長2.6mものホイップアンテナになってしまいます。取り回しやすいように短いアンテナが好まれるでしょうから、センタ・ローディング形式のホイップアンテナが使われています。

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 徒然なるままに『図解・ラジコンの設計と製作』誌から超再生の部分的なエッセンスを取り出して自作ハムの視点で考察してみました。
 ところで初めの私の疑問に対する答えですが、確かにシンプルな機能が活かせるラジコン製作では超再生式受信機を使ったシングル・チャネル式がたくさん使われていました。お題の超再生検波部はほぼワンパターンです。1970年当時のラジコンはこうした形式が主流として十分活躍していたものと思われます。
 しかし本書の後半に登場するより複雑な機能の追加(多チャネル化)や比例制御(プロポ)を実現するためには、安定な性能が得られるスーパー形式の受信機になっていました。超再生式はごく簡単なラジコンの範囲にとどまります。まあ、これは当然でしょうね。

 同じ回路を見ても各局それぞれのお考えがあると思います。 また「何故そういう回路なの?」という疑問もあるかも知れません。 もしそうお感じでしたら図書館、etc.でラジコン関係の書籍をお手にとってみることをお勧めします。 昔から自作HAMにはラジコンに造詣の深いお方も多くて、もう一つの趣味としてお楽しみだったようです。 共通点も多いので親和性のある趣味なのでしょう。

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 昨今のラジコンはここで扱ったようなシンプルなものはありません。2〜3000円で売ってるチープなおもちゃのラジコンカーでさえずっと高級な機能が当たり前です。送・受信性能も確実なものになっています。それには半導体の進歩があります。 以前調べたことがあるのですが、ラジコンの送・受信機専用に作られたIC(集積回路)が種々あって、それこそ誰が作っても同じレベルの製品が作れるようになっているのです。もちろん超再生とは決別しています。

 ラジコンといえば現代戦争の道具でもあります。人命や財産を奪う「兵器」として使われてしまうのは悲しいことですが、その発展には目を見張るものがあります。 数1000km先のターゲットを目がけて衛星電波で測位しながら自立飛行し、最後は操作者が画像で目標を認識して確実に命中させる・・・これもラジコンと言ってしまえばオモチャに聞こえますが近代戦の極めて重要なツールとして日々発展し続けているのが現実です。 HAMやラジコンで楽しく遊べるような平和な世界が実現できますよう願うばかりです。

 これで超再生受信機の特集は「ほんとうに」(笑)終了といたします。さて、次回は何にしましょうか。ではまた。 de JA9TTT/1

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(おわり)nm

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