どんな製作でもそうだが、基板のままでは完成品にあらず。そのままでは何れジャンクの運命だ。 せっかく作ったKeyerなので箱(ケース)に入れた。 これでやっと「真の完成」と言う訳だ。 参考:micto TO keyerの基板部分の製作Part 1は:==> こちら。
実はmicro TO Keyerには実用性の懸念があった。「長短点メモリなし」と言うシンプルさゆえ使い勝手は如何ほどのものだろう。 実際に試してからでないとケースに入れていきなり遊休品と言う運命さえありえる。 そこで基板バラックのままでオペレーションを想定した試運転をしてみた。
「箱に入れた=マズマズ使えそう」と言うことだ。 ラフなパドル操作ではミスが出易い。長・短点が出たのを聞いてからパドル操作が必要なので高速キーイングではエラーが目立つ。 しかしゆったりした速度で、人間の側が合わせる(訓練する・hi)ことで使えそうだ。 既存のC-MOS Keyer(移動運用向け簡易型)も似たようなものだから何とかなるだろう。
サブシャシ(なま基板を使用)を設け、その上に回路基板を載せる構造にした。 これはケース下部にたくさんネジが出ないようにする為である。 ケース下部は厚さが4mmほどのアルミ押出材であり十分なネジ山が確保できる。ネジの頭が出ない構造を目指した。
写真は前後のパネル兼上蓋の部分とサブシャシ間の配線の様子だ。 配線完了のあとサブシャシをケース下部に載せてネジ止めすれば終了だ。 こうしないとケース下部の側壁が干渉して配線しにくい。 他に配線し易い構造の箱もあったのだがデザインは今ひとつだった。 反面、このケースのデザインは悪くないのだが配線がやりにくい構造だ。
基板内の配線より、こうした筐体内部の配線の方が厄介である。 お盆なので連続した作業ができなかった。 結局、筐体の加工から配線完了まで三日間も掛かってしまった。 盆行事の合間の細切れな作業だからやむを得ないだろう。 おまけに部材が足りなくなり閉店間際のホームセンタに飛び込んだり・・・。hi
サブシャシと上蓋の間を配線する構造にしたので配線は比較的容易だった。 配線終了後に下部シャーシに載せ2点ネジ止めで完了した。
全面塗装されたケースなのでシールド状態に懸念もあるが、回り込みなどあれば後で対策したいと思う。 Low Powerでの運用しかしないのでRFの回り込みもまず問題ないだろう。
先日作ったKeyer基板の他に、電源部とキーイング・リレー部、及びサイドトーン部を載せた基板を追加した。回路はごくありきたりなのでこの部分の図面は省略する。 なお、電源トランスはケースサイズから内蔵できそうにないのでACアダプタ形式にした。
電源部はμPC317(LM317Aと同じ)を使って電圧可変型の安定化電源を構成している。 これは、もしKeyer部分に不満があった場合にそこだけ交換してグレードアップできるようにするためだ。 出力電圧は3.2〜5.6Vまで可変できるのでTTL化したKeyer部に載せ換えられる。
Keying Relayの部分については、次項で触れる。
キーイング・モニタ用にサイドトーン発振器を内蔵した。この部分は簡略化のために既製品の電子ブザーを使ってみた。 音色を聞いてから購入したかったのだが、秋葉原でも試して買えるお店はなかった。 その中で概略の周波数が書いてあったお店で購入した。
好みもあるので自分で発振回路を構成した方が良いと思う。 しかし電子ブザーは小型で簡単なのが良い。それ自身が発音体なのでスピーカも不要だ。かなり大きな音がするが、箱の中なので静かな部屋には丁度良い感じ。 やや甲高い耳につく音だが、サイドトーン回路を内蔵しないリグと使う際の非常用なのでこれでも十分だ。 サイドトーンはON/OFFできる。
手前の黒い頭の丸形デバイスが並ぶのがmicro TO Keyerそのものである。 これについては前のBlogに書いた。
同じサイズの基板に電源やKeying Relayを載せた。 肝心のKeying Relayだが、オリジナルの製作記事ではリードリレーが使ってあった。
リードリレーの手持ちもあったが、所詮は接点式なのでチャタリングと接点寿命が気になる。 チャタリング対策には水銀接点リードリレーと言う手もあるが、今はPhoto-MOS Relayが一番だろう。 MOS-FETを使った電子スイッチだからチャタリングはないし接点寿命も心配無用だ。(但し、定格オーバーすると容易に破損する)
写真奥の基板上にある真白い角形部品がそれである。フォト・カプラの一種だ。ここで使ったHSR312:Fairchild製はOFF時の耐電圧が250V、ON時の許容通過電流は190mAである。 ON抵抗は15Ωほどあるからスイッチと完全な等価ではない。 トランジスタを使ったフォトカプラと違いPhoto-MOS Relayには極性がないのが良い所だ。 トランジスタ時代のリグにも真空管時代のブロッキング・バイアス・キーイングしていたリグにも機械接点式(リレー式)とほぼ同じように使える。
QRPな真空管式送信機ならカソードキーイングさえ可能そうだ。但しそれは試していない。
パネル面には電源スイッチ、キーイング・スピードつまみ、サイドトーン・モニターのON/OFF、パドル・ジャックを取付けた。
構造上、配線の引き回しが長くなるので、束線バンドで整理してある。 パイロット・ランプは、電源ONでまずは薄く点灯し、キーイングで明るくブリンクするようにした。 動作確認にもなるし視覚的な効果もあった。
パドル・ジャックはステレオ・タイプのイヤフォン・ジャックを使っている。これは拙宅の既存キーヤーとの互換性を考えたためである。 一般には大型のステレオ・ジャックの方が望ましいように思う。 パドルがGndに接続されるとDot/Dashが出る回路なので、ジャックのコモンがアースされるタイプでも大丈夫だ。
サイドトーン・モニタのON/OFFはセンターOFF型のトグルスイッチを使っている。上側に倒すとサイドトーンがオンされ、中立位置でOFF、さらに下側に倒すとキーイング・リレー(Photo-MOS Relay)が連続ONになり送信機のチューニングなど便利が良いようになっている。このあたりはARRL-HBの回路を踏襲した。
キーイング・アウトプットのジャックは2つがパラになっている。これは片方にハンドキーあるいはバグキーを装着しておくためだ。 もちろん、出力端子はシャシから(絶縁されて)フローティングしており、マイナス接地でもプラス接地でも任意の電位の所に接続できる。
例えばFTDX-401やTS-510のような旧式トランシーバではブロッキング・バイアス・キーイングになっていた。 リグのシャシ側に対しキーイング端子はマイナス数10Vの負電圧になっている。そのために、昔作ったKeyerでは高耐圧PNP-Trを使ったレベルシフト型のキーイング・トランジスタを付加していた。
一方、比較的新しいリグではシャシに対して5〜12V程度の正の低い電圧をキーイングすれば良いようになっている。 これらの何れに対しても無難に対応する為にはメカ接点のリレーが最も簡単だが、現在ではPhoto-MOS Relayの採用がベストである。
電源入力端子は標準的なDCジャックを使っている。但し、内部にブリッジ・ダイオードが入っており無極性になっている。 平滑コンデンサも入っているからACを加えても大丈夫だ。 だいたい7〜12V程度のDCアダプタが良い。所用電流は約100mAである。
【micro TO Keyer Testing Movie】
ケースに入れてテスト中の様子である。 今回はサイドトーン・モニタの音が聞こえるのでどの様な感じかわかり易いと思う。 普通にキーイングできるのでマズマズ実用になりそうだ。
出来たばかりなので簡単なテストでの感触である。 Speedツマミの位置は10時くらいが良い所だ。 12時の位置まで早めると指が追いつかずエラーするので少々訓練を要する感じだ。 もっとも、あまり早く送ると受信の耳が追いつかない。hi hi 「平和」に9時くらいのポジションでの〜んびりオンエアするのが良さそうである。
没個性的かも知れないが、長・短点比が3:1の奇麗な符号が送れる。 クセのない教科書通りのモールス符号は受信し易いが、あまり遅くすると短点が中点のように感じて旨くない。 ゆっくり送る為には長・短点を延ばし単純にスピードを落とすのではだめで、符号の間合いを長く取るようにする方がCW初心者にも取り易く優しいオペレーションのようだ。
☆20世紀に置き忘れて来た懐かしいICを使った製作だったが実用になるものが出来たようだ。
# 21世紀にマッチした、マイコン式エレキーは:=>こちらから。
(おわり)










