【AD9833をオーバー・クロックで使う】
abstract
I will now attempt to overclock the DDS-IC AD9833. According to the datasheet, the upper clock limit of the AD9833 is 25MHz. My guess is that 25MHz is too low.
In my tests, the AD9833 worked fine even with a clock of over 100MHz. I will get a clean 30MHz signal from the AD9833 DDS module.Now the $2 DDS module has a new value. (2020.12.30 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
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クロック上限25MHzは低すぎ?】
前回のBlog(←リンク)のようにAD9833は波形の発生機能やコマンドの与え方のような使い方から見てAD9834の簡略版(サブセット)に違いないようです。
そのAD9834にはクロック上限が50MHzのAD9834BRUZと75MHzの同CRUZの2種類あって、AD9833の25MHzよりもずっと高くなっています。
上限周波数をわざわざ低く作るような設計もあるかも知れませんが、他の機能はそっくりなのにそこだけ大幅に違うと言うのも何だか不思議な感じがしませんか。 私の読みとしては、実際にはもっと高いクロック周波数まで使えるのではないかと思うのです。これはAD9833搭載のDDSモジュールの評価を進めていてずっと気になっていたことです。でも、モジュール(基板)には既に25MHzのクロック・オシレータがハンダ付けされています。これを交換しなくてはテストできませんから疑問解消はペンディングにしていたのです。
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大したことでは無くとも気になったまま年越しするのも何ですから、ここはハッキリさせておきたいと思います。・・・と言うことで、このBlogは自身の疑問を解消してスッキリ年越しするためのものです。(笑) 特にお勧めもしませんが、新しい年にAD9833のDDSモジュールのフル活用を計画するなら参考にでもして下さい。
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搭載クロックを剥がす】
モジュールには25MHzのクロック・オシレータが搭載されています。3.2×2.5mmサイズの表面実装型発振器です。オーバー・クロックを試みるには邪魔ですから除去することにします。たぶんもう一度基板に戻す可能性は低いとは思いますが、再利用できるよう綺麗にはずしたいと思います。
部品や基板そのものにダメージを与えずに実装された部品を外すためのツールが出回っています。手軽に使えるものとしては低温ハンダを使った面実装部品の取り外しキットがあります。
ハンダとは言っても接合を目的としたものではありません。 比較的低い温度で溶融しますので部品と基板が暖かいうちはハンダは「液状」のままです。その溶けているうちにピンセットで摘んでダメージを与えすに引き剥がすことが出来るわけです。あとは残存した「低温ハンダ」を吸い取りリボンや吸引器で清掃すればOKです。
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端子の配置は?】
写真はクロック・オシレータを除去したDDSモジュールの様子です。残っていた低温ハンダも清掃してあります。低温ハンダは本来の意味でのハンダ付けには適していないようですから、除去した方が良いでしょう。その上で必要に応じて正規のハンダ付けを行ないます。
搭載されていたオシレータはごく標準的なものです。規格品のようですから端子配置も規格化されているでしょう。現物の基板パターンと合わせて確認したところ、写真に書き込んだような端子配置になっていました。あとはこのハンダ付け用パッドを利用して外部からクロックを与えてオーバー・クロックを試みれば良いでしょう。その結果次第ですが3.2×2.5mmサイズの発振器でもっと高い周波数の物に載せ換えると言った改造も可能です。
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トランスを介して与える】
外部の発振器からクロックを与えます。機器間の電位差など考慮してRFトランスを介してクロックを与えるようにします。これはAD9834のオーバー・クロックを試みた時と同じ方法です。+2VのDCバイアスが掛かっており、クロック信号はそれに重畳する形でDDS-ICに加えられます。AD9833は9834に類似と考えられますが、同じ方法で試すことで比較することができます。
具体的なテスト方法はAD9834のオーバー・ドライブ実験と同じです。回路図や詳しい写真は後ほどリンクがあるので必要に応じて参照して頂けたらと思います。
当然ですが外部からクロックを与えるための端子は設けられていません。AD9833 DDSモジュールの該当パターン・ランドの所から細いポリウレタン電線で引き出しておきました。
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まずは50MHzから】
配線が済んだら25MHzの外部クロックで基本的な確認を行なっておきます。配線やクロックの与え方に問題がないことがわかったので、さっそくオーバー・クロックを試みました。
最初は50MHzからです。AD9833の25MHzというのはどう考えても低すぎるように感じます。そこでさっそく2倍の50MHzでやってみました。いくら2倍のクロック周波数で動作しても、スペクトラムが汚くては使い物にはなりません。でも、写真のように綺麗ですからあっさり合格です。
#やはり25MHzというのは余裕がありすぎる上限周波数だったのですね。想像に過ぎませんが営業上の戦略から上位のチップ:AD9834と規格上の差を設けているのではないでしょうか?
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70MHzではどうか?】
70MHzで入念にテストしたのは、大きな理由があります。 あわよくば67.108864MHzのクロックで動作できないだろうか?・・と思ったからです。もし可能なら0.25Hz刻みの端数のないステップで信号発生ができるようになるからです。制御ソフトの上からも扱いが容易になって有利でしょう。
70MHzのクロックで写真のように綺麗なスペクトラムが得られましたから問題なく使えそうでした。念のため少し低い67.108864MHzのクロックでも確認していますが、もちろんOKです。
参考:67.108864MHzは1×2^26(Hz)です。AD9833やAD9834のアキュムレータが28ビットなので、端数のない周波数ステップを得るのに有利です。ちょうど半分の33.554432MHzも悪くありませんが、なるべく高い周波数のクロックを与えた方が実用可能な周波数範囲は広くなります。 さらに67.108864MHzの2倍の134.217728MHzで動作すればFBなのですがAD9833や9834では無理なようです。
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限界は115MHzあたり】
ではオーバー・クロックの限界はどの辺りなのでしょうか? どうやら115MHzくらいのようでした。
何個か試さないとバラツキまではわかりませんが、100MHzを少し超えたあたりなのは間違いないように思います。この辺りの特性もどうやらAD9834と同じということのようですね。ICチップ製造のC-MOSプロセスは同じなのでしょうか?
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スペクトラムもきれい】
写真のように115MHzのクロックではきれいな信号が得られています。写真は示しませんが、広帯域に見たスプリアスも問題はありませんでした。
ただし115MHzというのは限界に近いためここまで使えるとは思わない方が良いでしょう。マージンがなさ過ぎます。何かの条件が少し変わっただけで破綻する可能性があるでしょう。入念に観測したところ、もう少し上の117MHzでは周期的に周波数をスイープして行く幽霊のような妙なスプリアスが見えました。115MHzは本当の限界と言えるでしょう。個体差もあるはずです。
実際に使うには十分なマージンを見込みたいと思います。用途次第ですが50MHz、75MHzあたりが無難なように思います。もちろん67.108864MHzも良いでしょう。さらに十分な確認を行なった上で90 or 100MHzが実用的な上限周波数ではないでしょうか。これらの周波数は3rdあるいは5thのオーバートーン水晶発振で得やすい周波数なのも好都合です。
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クロックが120MHzだと】
実は、与えるクロックをどう加減しても出力が出てこなくなる「上限周波数」はもっと高いのです。115MHzを越えたらAD9833の動作がピタッと止まる訳ではありません。
115MHz以上は使えない周波数だと思うので、深く追求はしていませんが恐らく150MHz以上でも何らかの「動作」はする筈です。
しかし写真の120MHzは既に使えない周波数なのです。お空で恥をかかないためにも無線機には使おうと思わない方が良いでしょう。(下記)
(参考)テストに使った外部発振器(SSG)に問題はないのでしょうか? スペクトラムが115MHzより上で急激に劣化しているかもしれません。もしそうならDDS出力も劣化するでしょう。 以前の評価では大丈夫だった筈ですが、改めて調べなおしました。 それによると使ったSSGは120MHz以上でも信号の品質に何ら違いはありませんでした。このSSGはPLL形式ですがまずまず綺麗なスペクトラムです。従ってクロック信号源としてSSGに問題はありません。以前のAD9834も含め、今回調べたAD9833のクロック上限周波数も正しく評価できていると思います。
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スペクトラムが汚い】
写真は120MHzのクロックを与えた時の出力スペクトラムです。 周波数カウンタやオシロスコープだけで観測していると異常な動作はわからないのでしょう。この周波数では与えるクロックの大きさをどう加減してみても綺麗なスペクトラムにはなりませんでした。
しかも実際に周波数カウンタで観るとちゃんと設定値の「33.6MHz」を示すのです。大元のクロックさえフラついていなければ、周波数カウンタの表示も安定したままを示します。これでは使えると勘違いしてしまいそうですが、もはや使えないことはこのスペクトラムを見たらわかるでしょう。少なくとも通信機のようなデリケートな用途に使ったらダメです。限界を極めるのならこの辺は十分に確認した方が良さそうです。
30MHzから120MHz以上まで、適宜クロック周波数を上げながら、正常に動作するクロック信号の大きさを観測しました。その数値データもあるのですが、纏めてみて基本的にAD9834でオーバー・クロックを試みた時と同じようなグラフになりました。実際の使い方としては、正常な動作が可能な周波数範囲内でおおよそ2Vppくらいの振幅で与えれば十分です。波形は矩形波でも正弦波でも大丈夫です。
種々の考察を含め、AD9833のオーバーク・ロック検討はそのままAD9834の例が適用できます。したがってこれらに適した自作のクロック発振器もまったく同じものが使えることになります。水晶発振子とFETを1石使ったオーバートーン発振回路が良いでしょう。 あるいは3225サイズの水晶発振器は入手容易なので75MHzなどへ置き換えるのも良いでしょう。
もし興味があれば諸々のことは過去の関連Blogを参照してください。
(1)DDSをHAM用無線機に使うコンセプトは:AD9834編・・・
ここ(←リンク)
(2)さらにAD9834を使った新DDS-VFOの企画・設計編・・・・
ここ
(3)AD9834 DDS-ICを少々オーバー・ドライブで使ってみる・・・
ここ
(4)ではAD9834のオーバー・クロックはどこまで行けるのか?・・・
ここ
(5)さらなるAD9834のオーバー・クロックは可能なのか?・・・
ここ
(6)まだでしたらAD9833の基本的な使い方(前回のBlog)・・・
ここ
(7)実際にこのAD9833で作ったDDS-VFOの製作例は・・・
ここ
◎お正月がヒマ過ぎるのなら過去に遡って読み返すのもFBかもしれませんね。
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仕様の範囲を大幅に超えた使い方は邪道だと言われそうです。それはそうなのですが、25MHzと100MHzではあまりに違いがあり過ぎます。そこまで使えるのならDDSモジュールの価値はずっと高くなるでしょう。アマチュアが自家用の製作に使って楽しむ分には何もはばかられることはありません。せいぜい10MHzがやっとだったのが、30MHz以上まで実用になればHF帯をフルカバーできることになります。非常に意味があると思いました。無理のない範囲で十分活用したいものだと思います。 基本は買ったまま25MHzのクロックで使うのが良いでしょう。しかしそれ以上の可能性が明らかになったのは年末の収穫でした。(笑)
出掛けることがはばかられた1年でした。電子工作も何か「ネタ」がなければ進みません。国内外を含めた通販が発展したお陰で、なんとか楽しむことができたのは幸いでした。家人からはゴミの山と邪魔者扱いされつつも、溜め込んだジャンクも様々に役立ってくれました。この先はワクチンの効果で少しずつでも緩和されることを祈りたいと思います。楽しいお正月を! de JA9TTT/1
(おわり)
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