【NECの1962年版デバイスデータブック】
1962年(昭和37年)と言えば、真空管から半導体全盛への入り口にあたる時代でしょう。
アマチュアのエレクトロニクスはもう少し後まで、真空管の時代が続きました。 しかし複雑化する多くのエレクトロニクス装置は急速に半導体化が進んで行ったのです。
1962年(昭和37年)と言えば、真空管から半導体全盛への入り口にあたる時代でしょう。
アマチュアのエレクトロニクスはもう少し後まで、真空管の時代が続きました。 しかし複雑化する多くのエレクトロニクス装置は急速に半導体化が進んで行ったのです。
そんな時代の電子デバイスのデータブックをJA7HNV秋篠さんに頂きました。 これは毎年お得意さん向けに発行していた冊子のようです。さっそく拝見すると真空管は簡略に扱うだけで、主に半導体を扱いコンパクトな約450ページに納めてありました。
真空管の資料は既に十分流布していると考えて割愛したのでしょう。 時代が新進の半導体へ向かっていたことを伺わせてくれます。(まだ各社からは分厚い真空管ハンドブックが出ていたころです)
真空管の資料は既に十分流布していると考えて割愛したのでしょう。 時代が新進の半導体へ向かっていたことを伺わせてくれます。(まだ各社からは分厚い真空管ハンドブックが出ていたころです)
【半導体は詳しいデータが】
このデータブックでは、真空管は一品種一行の簡単なデータ一覧に纏められてしまっていますが、発展著しいトランジスタは詳しいデータが掲載されています。(写真は、VHF帯用トランジスタ2SA244と2SA245のページ)
このデータブックでは、真空管は一品種一行の簡単なデータ一覧に纏められてしまっていますが、発展著しいトランジスタは詳しいデータが掲載されています。(写真は、VHF帯用トランジスタ2SA244と2SA245のページ)
1960年代に入りトランジスタの品種も急増した頃でした。(1960年/昭和35年4月1日より、現在も続くJIS/EIAJ/JEITA式の統一半導体命名法が始まる)PNPのRF用2SA型、同じくPNPのAF用2SB型も既に300番台に近付いています。また、ゲルマニウム型で登場したNPNのRF用・2SC型も、一気にシリコン化が進み間もなく200番台と言う時代です。
結晶内の電子速度が速いので、超高周波用はゲルマニウムに歩があるのではないかとも言われていたころでした。 いずれ今のSi-Geのヘテロジャンクション型超高周波デバイスでゲルマも復活を果たすのですが、このあと暫くはシリコン全盛の時代になりました。(笑)
結晶内の電子速度が速いので、超高周波用はゲルマニウムに歩があるのではないかとも言われていたころでした。 いずれ今のSi-Geのヘテロジャンクション型超高周波デバイスでゲルマも復活を果たすのですが、このあと暫くはシリコン全盛の時代になりました。(笑)
真空管式も試みられていましたが、電池の消耗が甚だしいので維持費がたいへんでした。 67.5Vや90Vと言った高価な積層乾電池が必要ですし、球数が多ければ、フィラメント用乾電池もあっという間に空になりました。 電池も今ほど性能は良くなかったから尚更だったのです。
そうは言っても球数の少ないもの(例えば3A5シングルとか)は、実験は楽しいですがお世辞にも実用的とは言えないので、半導体が手に入るようになれば、当然「ソリッドステート」(何とも懐かしい響き・笑)の方向へ進んで行きました。
そうは言っても球数の少ないもの(例えば3A5シングルとか)は、実験は楽しいですがお世辞にも実用的とは言えないので、半導体が手に入るようになれば、当然「ソリッドステート」(何とも懐かしい響き・笑)の方向へ進んで行きました。
この時代、アマチュアの自作トランシーバと言えばやはり6mAM機が定番です。 受信部は短波帯トランジスタ・ラジオにクリスタル・コンバータを付加したスタイルでした。
送信部は水晶制御の2〜3ステージでファイナルは写真の2SC32かCB用でちょっと安い2SC38が多かったと思います。
参考:2SC32は通信工業用で本来高価なのですが、RF用以外の汎用にたくさん使われたためジャンクが多量に出回り一つ¥100-くらいから手に入りました。
送信部は水晶制御の2〜3ステージでファイナルは写真の2SC32かCB用でちょっと安い2SC38が多かったと思います。
参考:2SC32は通信工業用で本来高価なのですが、RF用以外の汎用にたくさん使われたためジャンクが多量に出回り一つ¥100-くらいから手に入りました。
2SC32の簡略なデータはCQ出版のデータブックにあります。 しかし、「レトロな半導体の特性曲線まで掲載された資料」はある意味貴重なものかも知れません。 さっそくPDF化しておきました。データブックを書籍とすれば著作権が残ります。しかし単なる資料集と見ればコピーをお分けしても支障ないでしょう。(希望者への頒布は既に終了しています)
後世、2SC32もメサ型からエピタキシアル・メサ型に改良され、大電流域のリニヤリティが大幅に改善されたようです。電流容量も大きくなりました。 このデータは旧型で性能が悪かった初期のものと言うことになります。
最後になりましたが、JA7HNV 秋篠さん、貴重な資料ありがとうございました。
(おわり)
(Bloggerの新仕様対応済み。2017.03.31)
(おわり)
(Bloggerの新仕様対応済み。2017.03.31)