2009年4月21日火曜日

【HAM】素敵なお便り

Aさんから思いがけず、素敵なお便りを頂いた。

Web Siteを閉じたのは、もうずーっと昔のような気もする今日この頃である。もう忘れ去られてしまったかもしれない。 そこに真空管を使った実験記事があって、プレート電圧もたったの12Vで働く球(カーラジオ用真空管)を使った7MHz帯のCW送信機を紹介していた。

この写真の下の方に置いて撮影したのがソレである。 そのとき、同じような製作をされたいお方に発振段用と終段管用の12V管を2本セットで頒布した。 思いのほか人気があって確か全部で30セット近くお送りしたと思う。

さっそく7MHzのCW送信機を製作され、遠くEUまで飛ばしたお方もあったようだ。 ただし、せいぜいPo=20〜40mWなので、実用的ではなかったはずだ。(24V掛けて100mWも出したお方もあったが・笑) 暫く遊んでおしまいになったと想像する。もちろん、楽しく遊んで頂けたのならVY-FBだ。真空管で懐かしい製作のあとはQRPpな送信機で実際の交信も楽しんで、思い出を残して頂けたことだろう。

さて、今日頂いたお便りは、ちょっと違う作り方をされたお話である。サイト記事そのままではなく、50MHz帯の送信機のファイナルに頒布の12V管を使った製作である。 VXO付きでドライバ段まで半導体で作ったハイブリッド構成のAM送信機なのである。

頂いた写真を、もう少しアップでご覧頂きたい。

CW用ではなくAM送信機だ。 変調は終段のプレート/スクリーン・グリッド同時変調と言う本格派だ。(笑) ファイナル管の12J8(スクリーングリッド四極管)は、元来が低周波増幅を目的にした球である。 それをVHF帯で使うのだから、パワーを出すにはご苦労があったようだ。 20mW弱になったそうだが、そこは混信も少なく、皆さんの耳も良い50MHzバンドである。 見晴らしの良い所で移動運用されたらずいぶん交信できたそうだ。

しかも、ご覧のように視覚的にも楽しめるよう纏められている。真空管が見える美しい筐体に製作されていて、とても素晴らしい「作品」である。真空管を使いながらも、懐古趣味的ではない部分にとても魅力を感じる製作である。Aさん、楽しいお便り、どうも有難うございました。 なお、HAMフェアの自作品コンテストにご参加のようなので、ここではごく簡単なご紹介にとどめさせて頂いた。


閑話休題かつて存在した、拙サイトでは様々な製作や実験を公開してきた。 そんな拙い記事をご参考にしていただき、思いもよらぬFBな製作をされたお話をたくさん伺っている。それぞれ素晴らしいお話ばかりだ。そして、オリジナルを発展させたこの送信機は一段と輝きを放つ作品である。感心しながらお便りを拝見させて頂いた。

こんなお便りを頂くと、『サイトを公開して来た意味もあったのだなあ・・』と感じる。しかし、もうやめておこう。 こんな素敵なお話ばかりなら嬉しいのだが・・・。

2009年4月13日月曜日

【HAM】136kHz送信機(?)

長波帯送信機の終段部分だ。

左下に終段のトランジスタが見える。その右がタンク回路、さらにその右がフィルタになっている。周波数が低いので、同調コイルはバンク巻になっており、共振回路のコンデンサも大容量のマイカコンデンサである。 これで10W(PEP)くらい出る。なお、SSB用の設計なのでバイアスの掛かったリニヤ・アンプ形式になっている。



ミキサー、ドライバ、局発部である。

この送信機は1500kHzでSSBを発生させ、それを長波帯に周波数変換している。 写真にはないが、上の方にSSBジェネレータ部があって、1500kHzのSSB用クリスタルフィルタも載っている。

フィルタを出た1500kHz/SSBはDual Gate MOS FET/3SK35で長波帯に周波数変換され、ドライバの2SC503で増幅される。 なにしろ周波数が低いので、ゲインは十分得られる。必要以上に段数を重ね過剰なゲインになるのは危険だから最小限のステージ数で済ませている。
 信号レベルがまだ低い部分の同調回路にはフェライトのツボ型コア・ボビンに巻いたトランスが使われている。 このようなボビンを使わないと巻数が多くて巻ききれないだろう。HF帯の送信機のセンスがそのまま通じない部分だ。むしろ、低周波の同調形式のアンプを作るつもりの方が旨く行く。

ドライバー段(2SC503):

卑しくもシリコン・トランジスタなら135kHz帯に使えないようなものは稀だろう。むしろ、高価な送信機用など使わず、オーディオ用やスイッチング用から選ぶ方が、HF帯のパラスチック・オシレーションを起こし難いはずだ。
 バイパス・コンデンサには容量の大きなものが必要である。もちろんセラミック・コンデンサでも良いが1μFとか0.47μFくらいは必要だからマイラー・コンデンサ等でも良い。 低周波域のゲインが上がりすぎぬよう注意が必要で、過剰に大きなバイパス・コンデンサを使うと、超低周波の発振を伴う可能性があるので注意したい。このあたり、デカップリングの技(わざ)は無線屋よりもオーディオ屋さんの方が良く心得ているような気がする。(笑)

終段電力増幅部(2SC521A):

この送信機はSSB用なので、全段リニヤアンプになっているが我々の136kHz送信機はCW専用で良い。従って、デバイスもSW電源用のPower-MOS FETあたりを使うのが今風で良いだろう。

2SC521Aは東芝の汎用パワートランジスタで、一時期はパワーTrの定番のようになっていた。悪くない石なのだが、今どきこれを探す意味も無いと思う。ただし、シリコンのパワートランジスタでも、『丈夫さ』を最優先にした物のなかには、100kHzでさえもゲイン低下する物があるので、一応確認した方が良いだろう。どこかのメーカーの2N3055は駄目だったように思う。

 なお、スイッチング用のPower-MOS FETなら周波数特性の心配はいらないし、安価で丈夫なのでお薦めできる。 ゲインが上がりすぎないようハイ・インピーダンスのデバイスとは言え、極力低インピーダンスでドライブするよう設計するのが重要なノウハウである。
 EIRP=1Wを目指すには、送信機の出口では少なくとも50〜100Wは必要そうなので、2SC521Aシングルでは無理である。アンテナ次第ではあるが下手をすれば500〜1kWも欲しくなるかも知れない。従って、このままではQRP送信機の域を出ないものと思われる。(笑)

『135kHz帯の送信機も何とかしなくては』と思っていて、ジャンクの長波帯送信機ユニットがあったのを思い出した。 さっそく見つけ出して調べたら周波数は少々高くて200kHz辺りのようであった。 改造で下げられるか微妙なところだがGWにでも試してみよう。このBlogはその下調べのようなものだ。 おそらくファイナル部が同調形式の送信機を作ると、部品など良く似た感じになるのではないだろうか。

 実はこれとセットになったスポット周波数の受信部もあるのだが、流石に使う気にならず。受信はパソコン解析方式が本命だが、せめて汎用受信機を使うか専用のコンパクトなDC受信機でも自作したいと思っている。 一番厄介なのは、もちろんこうした送信機なんかではなくてアンテナである。それはまた考えることにしよう。

2009年4月9日木曜日

【旅】101

台北 の101である。

TAIPEI 101は、ドバイの『ブルジュ・ドバイ』818mに抜かれ世界二位の超高層ビルになった。ただ、ドバイのそれは金融危機に翻弄され未だ竣工していない。だから誰でも登れる建物として、これが今でも世界一だろう。509mである。
怪しそうな写真になってしまったが、夜間は青のイルミネーションが点灯する。まさしく見上げる高さであり、この位置からは頂部の飾り照明は見えない。


地上約400mから:

展望台まで分速1000メーターを越える超高速エレベータで37秒・一気に到着する。日本の東芝エレベータ製だそうだ。そして、こんな夜景が満喫できる。(展望台は地上382.5mにあり)
頂部の中央には、660トンの油圧駆動の『錘:(TMD:マスダンパー)』が太いワイヤーでぶら下がっている。台風の直撃や地震で揺すられた時、逆方向に振らせ制震する機構である。 人間のいないタワーの頂部なら、揺れても支障無いかもしれないが、ビルではそうも行かない。実際、そんな時に『錘』の働きをみたいものである。(そうとう揺れるらしい・笑)


日本の101である。(笑)

八重洲無線FT-101は時を旅して来た。発売は1970年だが機種名を伏せたテスト機は1969年の広告に登場している。つい、このあいだの出来事だとばかり思っていたら40年過ぎていた。(^^;

FT-101は米国でも大活躍したから、もちろん拡張されたJAの7MHzバンドでも活躍する。 バンド拡張はその当時からしばしば言われていたのだが、実現には40年も掛かってしまった訳だ。長い旅を続けて来たFT-101でバンド拡張を祝おうではないか。

FT-101のμ同調(ミューどうちょう=Slug tune):

PRE-SELECTORツマミで駆動される。メカニカルとエレクトロニクスが調和していた時代のRIGには動きの面白さもある。
 R-390A/URRの驚きこそ無いが、安価で合理的に達成されたFT-101のコレもなかなかのモノだ。数個のコイルで多バンドに対応でき、コンパクトに作れたのはこのお陰だろう。なお、Low Bandではこれだけではインダクタンス不足であり、直列の固定コイルが追加される。局発コイルを合わせても7個でHF帯をフルカバーするのだから効果は大きい。(ちなみに、調べてみたらTS-520では該当する部分に24個のコイルがあった)

日本の101が作ったアマ無線機の様々な記録は容易に塗り替えられそうにない。そして数々の伝説と共にこれからも時を旅するはずだ。

祝いの宴の後も、時々は灯を入れてやりたいものだ。

2009年4月1日水曜日

【書籍】今月のQST(4)

今日から四月である。2009年も四分の一終わったことになる。まったく早いものだ。

例によって1929年のQST誌である。今月もご希望の方に。

4月号は表紙にあるように、立体構造に組立てられた『無線電話送信機』が15ページにわたって特集されている。なかなかの大作で、もちろん振幅変調/AMである。他にも『汎用音声増幅器』・・変調器のようなもの?・・のほか、『自作電流計』、新型のスクリーングリッド四極管:『RCA Radiotron UX-865の紹介』など、今月も無線回路(=真空管回路)が日進月歩して行く様子が感じられ興味深い。全118ページ。

PDF版をお送りするので『QST希望』のタイトルでメールを。お名前・コールサインを書き『ttt.hiroアットマークgmail.コム』まで。 折り返し添付で返信。(約13.4MBあり。メールボックスの容量制限にご注意! QSTの頒布について、来月号以降もご希望されるかコメントを添えて下さい。届いたQSTは個人の範囲でご覧を。 本日(4月1日)より数日間対応の予定。 遠慮せずどうぞ。==>1週間経ったので終えました。なお、4〜12月号に纏めて対応したので、来月以降『今月のQST』はございません。(記2009年4月7日)

☆1929年(昭和四年)当時の東京(You Tubeの動画)は削除しました。