【ラジオが好きなんです!】
【トラ技2014年8月号に】
紹介するのも、いささか手前味噌、我田引水のようで気が引けるのですが、10日発売のトランジスタ技術誌8月号に記事を書かせていただきました。
このブログ・タイトルのように「ラジオが好き!」なお方に楽しんで頂けるなら嬉しいので、紹介しておくことにします。(まあ、誰も紹介なんかしてくれないでしょうから自分でPRでも・・・笑)
メイン特集は「トランジスタ工房」と言う記事でこちらもなかなか面白い内容が詰まっていますから、そちら目的にお求めも損ではないと思います。(私の担当じゃありません)
【ラジオ好きに特集】
←いささか各章のタイトルの付け方がハッタリっぽい気もしなくもありませんが編者お好みで付けている部分もあるので勘弁してやって下さい。m(_ _)m
活字離れ・書籍離れが進んだ昨今では、本は読んでもらってナンボのものなので目次から本文の方へしっかり誘導できなくちゃ駄目なんでしょうね。(笑)
技術誌なんだし中身はタイトルから少々割り引いてもらって丁度良いと思いますが、そんなに外れちゃいないとも言えるので例によって「ウソっぽい」なんて目くじらを立てないようお願いしておきます。
全9章で見開きの2ページで一つのパートになるよう考えたのですが図面や写真を豊富に入れると意味ある内容は無理でした。実際は章立てに変更され、およそ倍くらいのボリュームになっています。ごくサワリだけの紹介記事ではなくて本気の内容を心がけたつもりです。もちろん至らぬところも多々あるとは思いますが・・・。 なお、どの章からつまみ食いしてもわかるようになっています。興味のある部分からお読み下さい。
【中身みほん?】
最初の方の章はラジオのごく基本的なことが書いてあります。但し「ラジオの技術」を詳細に網羅するには幾らページがあっても無理と言うもので、ラジオ理解のためのほんの入り口程度になっています。
本命は第4章のデバイス・ガイド以降であって特に第5章からの製作編です。 写真の第9章はその最終章でDSPラジオICを扱っています。 DSPラジオのモジュールについては過去に幾つか記事も見かけましたが、ICチップレベルで扱うのはあまり無かったと思います。
詳しくは長くなってしまうので、読んでのお楽しみにしますが、実際出来上がったDSPラジオは実用的な性能なので興味本位で作った物が実用品にもなるので、聞く方の「ラジオ好き!」にもお奨めできそうです。
☆
【楽屋裏】
「ラジオ製作の素(もと)」と言うテーマで打診があったのは4月の初めでした。 ラジオの歴史はいささか長いので原理・原則の部分は過去の良書が幾らでも存在します。今さら私ごときが気負ってみところで「ラジオの本質」など簡単に何とかなるような話しではありません。 それに締め切りは僅か2ヶ月後の5月末とあっては、とても手に負えないのは目に見えていました。
そもそも「素(もと)」とは何でしょうか? いろいろ考えて、具体的に「鳴るラジオ」が作れるための「要素」のことだろうと結論付けました。
その「要素」には何があるのだろうか? 部品レベルから集めてラジオを作るには何が必要なのだろうか? 結局、2014年の「いま」手に入るラジオ部品にはどんな物があり、それらをどの様に料理すれば聞こえるラジオが作れるのかと言う「具体的な情報」こそが「ラジオ製作の素」になるのでしょう。
・・・と言う訳で、学問めいたものは無くて実用情報ばかりです。 それではトラ技誌の品位を貶めないか、いささか気にはなりましたが、ここはプラクティカルな内容で纏めることにしました。ですから自前で評価した結果とか、お値段なんかの実用情報も盛込んであります。
☆
そのあたりずっと気になっていたので「トラ技」の意向を伺ってみました。 端的に言えば、いまのトラ技誌にとって「個人読者」が一番大切と言うお話しです。 かつては企業の現場向け情報誌だったこともありました。 いまでもその傾向がない訳ではありませんがそれが決定的に重要とも言えない状況にあるようです。 むしろ個人で電子の世界を楽しむ人たちに有用な情報を提供する雑誌でありたいと言うのが昨今だそうです。 それならばラジオ好きが喜びそうな企画もわるくありません。ちょっとだけホッとすることができました。
読んだらいろいろご批判もあだろうと思いますが、ここはお手やわらかで。もちろん前向きな提案や要望など後々積極的に反映したいと考えています。
昨今のトラ技誌に目をやるとかしこまった記事ばかりではなく、カジュアルな「楽しめる」記事も数多くなっているようです。 頭の痛くなるテーマばかりではありませんから一度ご覧になることをお勧めします。 de JA9TTT/1
(おわり)
【追記:訂正】
トラ技2014年8月号の回路図の一部に修正があります。
P170 図3で、IC1:Si4825-A10の配線にミスがありました。 9番ピンからR1を通る配線は、ピン14番のラインに接続されるのが正しいです。 16番ピンからのラインではありません。
左図の×印の部分をカットし、その下のラインの赤丸の部分に接続します。 なお、間違えて配線してあってもICが破損することはありません。 修正すれば大丈夫です。 入稿した際の図面も確認しましたがトレースで発生したミスを見落としたようです。 修正の上、お詫びいたします。
以上です。(2014.11.4)
2014年7月1日火曜日
【電子管】Electron tubes popular in QRPers
【電子管・写真集】QRPerにポピュラーな真空管
【QRP用真空管】
もっぱらQRP用に作られた送信管がある訳ではありません。 巷の受信管を工夫するのもその方法の一つです。 それでも幾つかポピュラーなQRP向き真空管がありました。
但しポピュラーとは言っても1970年代の話しですから、どれほどいまに通用するのかはわかりません。
単に真空管写真を並べただけでは「真空管コレクター」に成り下がりますが、見たことも無い物のリストを掲載しただけではイメージできないでしょう。ここでは紹介の意味を込めて写真集で綴ります。
もちろん、いまどき真空管など実用的なテーマではなくて単に眺めて楽しむもの、あるいは新たなコレクションの切っ掛けくらいかも知れません。 しかし何時かはその波が大空へ飛び立つことを夢見ながら構想(妄想?)するのもまた楽し。 まぁ、いつものようにお暇ならどうぞ。まったくの暇つぶし用ですからネ。(笑)
☆
【国際的なQRP用真空管一覧】
おそらく、QST誌あたりがオリジナルだったかも知れませんが、そんな一覧があったことを思い出します。昔の手書きメモが残っていました。
それに幾つかデータを足して一覧にしました。 それにしても古い球が多いです。 どれほどポピュラーだったのかはわかりませんが確かにQRPな球が並んでいます。 本質的にハイパワーが難しい「電池管」が多いのは必然でしょうか? 以下,手元に有った現物を簡単なコメント付きで紹介します。 もしも興味が湧いてきたら左の写真をクリックして大きな絵でじっくり堪能してください。 登場はこの表の順になっています。
【6J6W / 6101】NEC製
6J6はVHF用の双三極管です。 カソードが共通になっていて少し使いにくい球です。
電子走行時間を短くするためカソードとプレートの距離を縮めています。プレート・グリッド間容量:Cpgを少なくし、しかも放熱してプレート損失を十分確保するために変わった電極構造になっています。
Push-Pull形式の水晶発振器で3W程度のパワーを目指すのに相応しいのですが、JAでは発振管=終段管は認められません。(注:保証認定の場合) 発振段を別に設けてPush-Pullのアンプで使うのが適当でしょう。
6J6W/6101と言うのは6J6と電気的特性は同じで高信頼度・耐振構造のもです。
【955】RCA製
おなじみエーコン管(どんぐり管)です。 小さな電極の三極管が一つ封入されています。(acorn tube←リンク)
955と言えばスーパーリゼと言うくらいVHF帯の黎明期には定番だったそうです。戦前からあった真空管でした。
ごく少ないパワーでも混信が少なく見通し距離の通信で済むVHF帯なら送信にも使えます。 スーパーリゼのバイアスを変えて自励発振させて使うトランシーバ向きと言うことかも知れません。レッヘル線を使った同調回路で144MHz帯以上も可能ですがHAMバンドの広い50MHzあたりが良いのでしょうねえ。
写真後方は955用のソケットですが、すこぶる装着しにくく事故になり易いので十分に注意してください。
【3A5】RCA製
50MHzのポータブル・トランシーバと言えば3A5と言うくらい1960年代に流行った双三極球です。 まだ高周波用トランジスタが高価で庶民には縁遠かったころ、こうした電池管がポータブル無線機の電子デバイスでした。 フィラメントを乾電池で点灯し、プレート電圧:B+には積層電池を使いました。67.5V等の高い電圧の電池が市販されていました。
受信時には超再生検波(スーパーリゼ)を行ない、送信時には自励もしくは水晶発振させます。 残り片側は低周波増幅に使います。受信時にはイヤフォンを鳴らし、送信では変調管にします。マイクにはカーボン型を使いました。 そうした形式のトランシーバはもちろん保証認定など通りませんからごく短距離用の無免許トランシーバでお遊び程度にしか使えません。もしも「大っぴら」にオンエアすれば無線設備基準に抵触するはずです。(周波数不安定もあるが主にスプリアス輻射が問題)
Push-Pullのアンプで使うのが良いです。 プレート・グリッド間容量:Cpgが大きいですからHF帯と言えどもタスキがけ式の中和が必要です。2ステージの送信機の終段にしてきちんと使えばもちろん正式のQRP送信機にもなりえます。
【6HA5】Westinghouse製
VHF帯用の高周波増幅用三極管です。 上のリストにはありませんが、「6F4」の手持ちが無かったのでピンチヒッターとして登場してもらいました。 6F4は955とおなじエーコン管で、6HA5とは形が違います。
V/UHF用の受信管は電極が小さくできていて、外形そのものもミニチュアです。 排気チップまで含めたガラス部の高さは1.5インチしかありません。mt管としても最小サイズでしょう。
6HA5はフレームグリッド構造の高性能管でいま見ても素晴らしい性能です。6m帯クリコンのTopに使ったらLow-Noiseでしょう。 スーパーリゼに使う例は目にしませんが良好だろうと想像されます。 送信用としては出力0.5〜1Wが安全な範囲です。 入力容量が小さく、gmも大きいのでVXO回路にも向いています。
【12AU7】松下電子工業製
Low-μな三極管として代表的な双三極管です。 汎用管であってQRPな送信機にも使えます。
但し、三極管なので中和が必要です。 どうしても中和は面倒ならGG-Ampの手もありますがいま一つパッとしない感じです。 できたらPush-Pull形式でタスキがけ式の中和をとって使いたいものです。
非常にポピュラーな真空管なので、ごくありふれていますがオーディオでも使っている関係で価格はだいぶ高騰しています。 そのかわりお金さえ出せば容易に新品が買えます。欧州系ではECC-82が同等。数字管は5814Aが同等ですがヒーター電流は幾分多くなります。 写真はもちろんタダの中古品です。(笑)
【6C4】United製
写真後方に見える12AU7の片割れです。 従って電気的な特性はまったく同じです。 三極管が一つしか封入されていないのでプレート損失の点では幾分有利なはずですが規格上は同じ値のようです。
オーディオ関係では12AU7の方を使うことが殆どですが、高周波関係では6C4も結構使われています。 これは受信機の保守用に準備してたもので、ミキサー回路に使っていた筈です。 現用品もまず劣化しないので交換するチャンスは無いでしょう。
ブランドのUnitedと言うのはたぶん商社だと思います。製造したメーカーはわかりませんが作りから見て古臭いので東欧製かもしれません。一応、Made in U.S.Aとはなっています。NOSな球を再印刷したのかも知れません。hi
【3A4】Tung-Sol製
ある程度パワーが出る送信機用に作られた電池管です。 五極管であって第二次大戦〜朝鮮戦争あたりの米陸軍用無線機に使われていました。(TVドラマ「コンバット」に良く登場した有名なBC1000トランシーバなど)
もちろん、低周波増幅にも使えますがフィラメント電流が大きいので電池が電源のアンプには向いていません。 また電池管は安易に低周波回路に使うとマイクロフォニックノイズが出るので要注意です。
3A4は周波数上限が低い関係でどちらかと言えばHF帯向きでしょう。 50MHzでも使えないことはありません効率が悪くても仕方ありませんね。 VHF帯にはあとで出て来る3B4の方が良いです。
電池管は直熱なので数秒で起動しますので受信時に送信機はフィラメントOFFでも行けます。意外に省電力と言えるかも知れません。 但し、フィラメントをON/OFFしながらのブレークイン交信は無理なので連続点灯しなくてはなりません。
【3D6 / 1299】メーカー不詳
3D6も電池管です。 ロクタル管の直熱ビーム管です。 ソケットが珍しいので良くわかるように撮影してみました。 ピンは8脚ですが特殊なロックイン・ソケットと言うものを使います。 センターキーの部分でソケットにロックされ抜けにくいのでスパイ用トランシーバには案配が良さそうです。(笑)
ロクタル管はどれも大きさが揃えてあります。 QRPな送信管ですが普通のロクタル管のサイズです。 後ろに並んでいる6AK5と比べて結構大きな球ですがそれほどパワーは出ません。
上の一覧表にあっても現物を見たことはありませんでした。 数年前のHAMフェアで朽ち果てそうなホール紙の箱に入ったコレが売られていて初めて現物を見ました。 特別魅力的な球ではありませんが気になっていました。 確かラジコン送信機に使った回路例を見たことがあったと思います。
銀色に光って格好良いので2本で送信機を作ってみたくなってきます。
【3B4】日立製
非常に有名なPRC-6(←リンク)と言う米軍用6m帯トランシーバのファイナル管です。 PRC-6は(だいぶ大型ですが)一応ハンディタイプのFMトランシーバです。
3B4はVHF帯まで使える直熱のビーム管です。 もちろん、日立が米軍のPRC-6用に供給した訳では無く、戦後国産化された無線機用(自衛隊のJPRC-6とか?)に製造したものでしょう。
HF帯〜VHF帯までQRPな送信機には向いています。 但し、他の電池管と違ってフィラメント電圧が低いので要注意です。
一般的な電池管がEf=1.4Vなのに対して,3B4はEf=1.26Vです。 そのまま1.5Vを掛けてしまうと寿命に影響があるので直列抵抗で幾分ドロップさせて使います。
【6AK6】GE製
6AK6はれっきとした電力増幅用5極管です。だからソレなりのパワーが出ます。 そのため送信機に使う例があっても不思議ではありません。
6BA6や6BD6と同じサイズのmt管なのでコンパクトな送信機が作れます。 しかもヒーターの消費電力の少なさは特筆ものです。 6BA6のような小信号用受信管の僅か半分、6.3Vで150mAしか喰いません。 しかもそこそこのパワーが出るのだから大したものです。 カソードの性能が良いのでしょう。
国産品は殆ど無かったらしく、昔は秋葉原でも見かけませんでした。米国には大量にあるらしく最近は輸入品を良く見かけます。 フィラメントが細いので切れ易い印象があります。ヒーター断による故障が見られるようです。(受信機で事例有り)
【12AT7WC】Sylvania製
中μの双三極管です。 12AU7よりも電流を流しにくいのでパワーもやや出しにくいです。
歪みが幾らか大きいのと、μの値が中途半端なのでオーディオではあまり人気がありません。 無線用にはまったく支障なくて、低周波だけでなく検波や発振にも使える万能な球です。
コレと言った特徴はありませんが、12AU7や12AX7よりも無線ぽい印象があります。オーバートーン発振とミキサに使うクリコン回路を良く見かけました。
12AT7WCの添字のWCと言うのは耐震構造の高信頼度管でそのCバージョンと言う意味の改良型です。数字管では6201が同等です。もちろん、普通の12AT7と同じように使って支障ありません。欧州系ではECC-81が同等です。
【12BH7A】松下電子製
TV受像機ではポピュラーな双三極管です。 12AU7などの12A○7シリーズの2倍のヒーターパワーです。 従って馬力があるので大きめのパワーが出せます。
その昔はポンコツのTVを分解すれば幾らでも手に入ったものですが、昨今は三極管と言うだけでオーディオの世界でもてはやされてずいぶん価格アップしています。
HAMの応用も可能なので手持ちがあれば使ってみると良いでしょう。 やはり三極管ですからGG-Ampで行くか中和付きのアンプに仕立てることになります。欧州系ではECC-99が同等管ですが見たことはありません。
【6AK5】東芝製
VHF帯用の5極管で、エーコン管の954に替わるものとして広く使われました。 VHFマンだったJA1FC藤室OM(故人)曰くその性能差たるや歴然でまったく6AK5に軍配が上がると仰います。 第二次大戦時中にレーダーの広帯域IFアンプ用として多用されました。 そのほか高周波用の高性能管として幅広く使われました。
オリジナルはWE社製で電話中継機用でしたが製造ノウハウが公開され各社が兵器用に量産しました。 なお東芝など日本メーカーは終戦後に技術導入してやっと製造できるようになりました。数字管では5654が同等です。
コンパクトな五極管の代表で好きな球です。 一番最初の写真の様に発振+終段の2ステージQRP送信機(CO-PA)のファイナルに使って見たいです。 オーディオでは人気がないので、お店にあれば安価だと思います。 プレート耐圧が低く無理をすると壊れ易いのでいたわって使いましょう。頑張っても2Wがやっとでしょう。
パワーの小さな受信管なら、どれもQRP用の真空管になりえます。 まだまだ幾らでもあるのでリストの他にもチャレンジしてみると面白いです。 もちろん、mt管だけでなく、GT管やST管にもQRPに適した球があります。 日本固有の6Z-P1などQRP向きだと思いますが国際性はまったく無いのでもっぱらJA局相手でしょうか。(笑) あまり拘らずに、安価な受信管で楽しめるのがQRP送信機の良い所です。 電源も100V:100Vの絶縁トランスを使い倍電圧整流すると丁度良い電圧が得られます。 電池管なら倍電圧整流しなくても良いでしょう。全般に部品費用も掛からないので手軽に「真空管」を楽しめます。
☆ ☆ ☆
【QRP送信機の構想】
小さめの真空管を並べてやれば良いので、QRP送信機は種々の形式が考えられます。 どんな球を並べても良いので、型番にあまり捕われずにチャレンジされたら良いです。
しかし、交信の際にリグのラインナップを紹介するならファイナル管はなるべくポピュラーなものが良いです。
ここでリストアップした球はかつて真空管式の手作りリグが盛んだったころには誰でも知っていてポピュラーだったのかも知れません、しかしいまではおそらく年配者を除けば知る人も僅かでしょう。 代表的なものと言うことで写真紹介しておきました。 そんな球を使っている局と交信できた時には思い出してもらえたらと思います。
自身も真空管以外に必要なパーツはあらかた揃えてあって、例によってあとは「やる気+根気」でオンエアももうすぐそこにあると思います。 ライセンスの問題も考慮済みです。
特報!:おりしもJL1KRA中島さんの「新QRPプラザ」(←リンク)にて『夏のクリスタル祭り』が開催されています。(2014年7月1日現在) シンプルな真空管式送信機にとってジャストQRP周波数のクリスタル(水晶発振子)はとても嬉しいものです。 だんだん水晶の特注も難しくなって来ました。もし計画をお持ちなら7003kHzとか手に入れておくと構想も一段と現実味をおびてくるに違いありません。 同時にすこし周波数が高めのクリスタルも手に入れておき真空管式VXOにチャレンジするのも興味深いです。 これは一般論ですが、真空管式VXOはFET式ほどたくさん引張れませんから程々に高い周波数でやると成功し易いです。==>注文殺到のため品切れで、残念ながらセール終了だそうです。またのセールが楽しみだなあ。(2014/7/5)
☆
真空管の時代も遠くなってしまい見たことも無い世代が社会の大半になってきました。 ガラス細工は眺めていても楽しいかも知れませんが、実際にそれで作って波が出れば一段と興味深いでしょう。 電信用送信機なら部品もごく僅かで済みます。 配線も簡単ですから一台作っては如何でしょうか? de JA9TTT/1
(おわり)
【QRP用真空管】
もっぱらQRP用に作られた送信管がある訳ではありません。 巷の受信管を工夫するのもその方法の一つです。 それでも幾つかポピュラーなQRP向き真空管がありました。
但しポピュラーとは言っても1970年代の話しですから、どれほどいまに通用するのかはわかりません。
単に真空管写真を並べただけでは「真空管コレクター」に成り下がりますが、見たことも無い物のリストを掲載しただけではイメージできないでしょう。ここでは紹介の意味を込めて写真集で綴ります。
もちろん、いまどき真空管など実用的なテーマではなくて単に眺めて楽しむもの、あるいは新たなコレクションの切っ掛けくらいかも知れません。 しかし何時かはその波が大空へ飛び立つことを夢見ながら構想(妄想?)するのもまた楽し。 まぁ、いつものようにお暇ならどうぞ。まったくの暇つぶし用ですからネ。(笑)
☆
【国際的なQRP用真空管一覧】
おそらく、QST誌あたりがオリジナルだったかも知れませんが、そんな一覧があったことを思い出します。昔の手書きメモが残っていました。
それに幾つかデータを足して一覧にしました。 それにしても古い球が多いです。 どれほどポピュラーだったのかはわかりませんが確かにQRPな球が並んでいます。 本質的にハイパワーが難しい「電池管」が多いのは必然でしょうか? 以下,手元に有った現物を簡単なコメント付きで紹介します。 もしも興味が湧いてきたら左の写真をクリックして大きな絵でじっくり堪能してください。 登場はこの表の順になっています。
【6J6W / 6101】NEC製
6J6はVHF用の双三極管です。 カソードが共通になっていて少し使いにくい球です。
電子走行時間を短くするためカソードとプレートの距離を縮めています。プレート・グリッド間容量:Cpgを少なくし、しかも放熱してプレート損失を十分確保するために変わった電極構造になっています。
Push-Pull形式の水晶発振器で3W程度のパワーを目指すのに相応しいのですが、JAでは発振管=終段管は認められません。(注:保証認定の場合) 発振段を別に設けてPush-Pullのアンプで使うのが適当でしょう。
6J6W/6101と言うのは6J6と電気的特性は同じで高信頼度・耐振構造のもです。
【955】RCA製
おなじみエーコン管(どんぐり管)です。 小さな電極の三極管が一つ封入されています。(acorn tube←リンク)
955と言えばスーパーリゼと言うくらいVHF帯の黎明期には定番だったそうです。戦前からあった真空管でした。
ごく少ないパワーでも混信が少なく見通し距離の通信で済むVHF帯なら送信にも使えます。 スーパーリゼのバイアスを変えて自励発振させて使うトランシーバ向きと言うことかも知れません。レッヘル線を使った同調回路で144MHz帯以上も可能ですがHAMバンドの広い50MHzあたりが良いのでしょうねえ。
写真後方は955用のソケットですが、すこぶる装着しにくく事故になり易いので十分に注意してください。
【3A5】RCA製
50MHzのポータブル・トランシーバと言えば3A5と言うくらい1960年代に流行った双三極球です。 まだ高周波用トランジスタが高価で庶民には縁遠かったころ、こうした電池管がポータブル無線機の電子デバイスでした。 フィラメントを乾電池で点灯し、プレート電圧:B+には積層電池を使いました。67.5V等の高い電圧の電池が市販されていました。
受信時には超再生検波(スーパーリゼ)を行ない、送信時には自励もしくは水晶発振させます。 残り片側は低周波増幅に使います。受信時にはイヤフォンを鳴らし、送信では変調管にします。マイクにはカーボン型を使いました。 そうした形式のトランシーバはもちろん保証認定など通りませんからごく短距離用の無免許トランシーバでお遊び程度にしか使えません。もしも「大っぴら」にオンエアすれば無線設備基準に抵触するはずです。(周波数不安定もあるが主にスプリアス輻射が問題)
Push-Pullのアンプで使うのが良いです。 プレート・グリッド間容量:Cpgが大きいですからHF帯と言えどもタスキがけ式の中和が必要です。2ステージの送信機の終段にしてきちんと使えばもちろん正式のQRP送信機にもなりえます。
【6HA5】Westinghouse製
VHF帯用の高周波増幅用三極管です。 上のリストにはありませんが、「6F4」の手持ちが無かったのでピンチヒッターとして登場してもらいました。 6F4は955とおなじエーコン管で、6HA5とは形が違います。
V/UHF用の受信管は電極が小さくできていて、外形そのものもミニチュアです。 排気チップまで含めたガラス部の高さは1.5インチしかありません。mt管としても最小サイズでしょう。
6HA5はフレームグリッド構造の高性能管でいま見ても素晴らしい性能です。6m帯クリコンのTopに使ったらLow-Noiseでしょう。 スーパーリゼに使う例は目にしませんが良好だろうと想像されます。 送信用としては出力0.5〜1Wが安全な範囲です。 入力容量が小さく、gmも大きいのでVXO回路にも向いています。
【12AU7】松下電子工業製
Low-μな三極管として代表的な双三極管です。 汎用管であってQRPな送信機にも使えます。
但し、三極管なので中和が必要です。 どうしても中和は面倒ならGG-Ampの手もありますがいま一つパッとしない感じです。 できたらPush-Pull形式でタスキがけ式の中和をとって使いたいものです。
非常にポピュラーな真空管なので、ごくありふれていますがオーディオでも使っている関係で価格はだいぶ高騰しています。 そのかわりお金さえ出せば容易に新品が買えます。欧州系ではECC-82が同等。数字管は5814Aが同等ですがヒーター電流は幾分多くなります。 写真はもちろんタダの中古品です。(笑)
【6C4】United製
写真後方に見える12AU7の片割れです。 従って電気的な特性はまったく同じです。 三極管が一つしか封入されていないのでプレート損失の点では幾分有利なはずですが規格上は同じ値のようです。
オーディオ関係では12AU7の方を使うことが殆どですが、高周波関係では6C4も結構使われています。 これは受信機の保守用に準備してたもので、ミキサー回路に使っていた筈です。 現用品もまず劣化しないので交換するチャンスは無いでしょう。
ブランドのUnitedと言うのはたぶん商社だと思います。製造したメーカーはわかりませんが作りから見て古臭いので東欧製かもしれません。一応、Made in U.S.Aとはなっています。NOSな球を再印刷したのかも知れません。hi
【3A4】Tung-Sol製
ある程度パワーが出る送信機用に作られた電池管です。 五極管であって第二次大戦〜朝鮮戦争あたりの米陸軍用無線機に使われていました。(TVドラマ「コンバット」に良く登場した有名なBC1000トランシーバなど)
もちろん、低周波増幅にも使えますがフィラメント電流が大きいので電池が電源のアンプには向いていません。 また電池管は安易に低周波回路に使うとマイクロフォニックノイズが出るので要注意です。
3A4は周波数上限が低い関係でどちらかと言えばHF帯向きでしょう。 50MHzでも使えないことはありません効率が悪くても仕方ありませんね。 VHF帯にはあとで出て来る3B4の方が良いです。
電池管は直熱なので数秒で起動しますので受信時に送信機はフィラメントOFFでも行けます。意外に省電力と言えるかも知れません。 但し、フィラメントをON/OFFしながらのブレークイン交信は無理なので連続点灯しなくてはなりません。
【3D6 / 1299】メーカー不詳
3D6も電池管です。 ロクタル管の直熱ビーム管です。 ソケットが珍しいので良くわかるように撮影してみました。 ピンは8脚ですが特殊なロックイン・ソケットと言うものを使います。 センターキーの部分でソケットにロックされ抜けにくいのでスパイ用トランシーバには案配が良さそうです。(笑)
ロクタル管はどれも大きさが揃えてあります。 QRPな送信管ですが普通のロクタル管のサイズです。 後ろに並んでいる6AK5と比べて結構大きな球ですがそれほどパワーは出ません。
上の一覧表にあっても現物を見たことはありませんでした。 数年前のHAMフェアで朽ち果てそうなホール紙の箱に入ったコレが売られていて初めて現物を見ました。 特別魅力的な球ではありませんが気になっていました。 確かラジコン送信機に使った回路例を見たことがあったと思います。
銀色に光って格好良いので2本で送信機を作ってみたくなってきます。
【3B4】日立製
非常に有名なPRC-6(←リンク)と言う米軍用6m帯トランシーバのファイナル管です。 PRC-6は(だいぶ大型ですが)一応ハンディタイプのFMトランシーバです。
3B4はVHF帯まで使える直熱のビーム管です。 もちろん、日立が米軍のPRC-6用に供給した訳では無く、戦後国産化された無線機用(自衛隊のJPRC-6とか?)に製造したものでしょう。
HF帯〜VHF帯までQRPな送信機には向いています。 但し、他の電池管と違ってフィラメント電圧が低いので要注意です。
一般的な電池管がEf=1.4Vなのに対して,3B4はEf=1.26Vです。 そのまま1.5Vを掛けてしまうと寿命に影響があるので直列抵抗で幾分ドロップさせて使います。
【6AK6】GE製
6AK6はれっきとした電力増幅用5極管です。だからソレなりのパワーが出ます。 そのため送信機に使う例があっても不思議ではありません。
6BA6や6BD6と同じサイズのmt管なのでコンパクトな送信機が作れます。 しかもヒーターの消費電力の少なさは特筆ものです。 6BA6のような小信号用受信管の僅か半分、6.3Vで150mAしか喰いません。 しかもそこそこのパワーが出るのだから大したものです。 カソードの性能が良いのでしょう。
国産品は殆ど無かったらしく、昔は秋葉原でも見かけませんでした。米国には大量にあるらしく最近は輸入品を良く見かけます。 フィラメントが細いので切れ易い印象があります。ヒーター断による故障が見られるようです。(受信機で事例有り)
【12AT7WC】Sylvania製
中μの双三極管です。 12AU7よりも電流を流しにくいのでパワーもやや出しにくいです。
歪みが幾らか大きいのと、μの値が中途半端なのでオーディオではあまり人気がありません。 無線用にはまったく支障なくて、低周波だけでなく検波や発振にも使える万能な球です。
コレと言った特徴はありませんが、12AU7や12AX7よりも無線ぽい印象があります。オーバートーン発振とミキサに使うクリコン回路を良く見かけました。
12AT7WCの添字のWCと言うのは耐震構造の高信頼度管でそのCバージョンと言う意味の改良型です。数字管では6201が同等です。もちろん、普通の12AT7と同じように使って支障ありません。欧州系ではECC-81が同等です。
【12BH7A】松下電子製
TV受像機ではポピュラーな双三極管です。 12AU7などの12A○7シリーズの2倍のヒーターパワーです。 従って馬力があるので大きめのパワーが出せます。
その昔はポンコツのTVを分解すれば幾らでも手に入ったものですが、昨今は三極管と言うだけでオーディオの世界でもてはやされてずいぶん価格アップしています。
HAMの応用も可能なので手持ちがあれば使ってみると良いでしょう。 やはり三極管ですからGG-Ampで行くか中和付きのアンプに仕立てることになります。欧州系ではECC-99が同等管ですが見たことはありません。
【6AK5】東芝製
VHF帯用の5極管で、エーコン管の954に替わるものとして広く使われました。 VHFマンだったJA1FC藤室OM(故人)曰くその性能差たるや歴然でまったく6AK5に軍配が上がると仰います。 第二次大戦時中にレーダーの広帯域IFアンプ用として多用されました。 そのほか高周波用の高性能管として幅広く使われました。
オリジナルはWE社製で電話中継機用でしたが製造ノウハウが公開され各社が兵器用に量産しました。 なお東芝など日本メーカーは終戦後に技術導入してやっと製造できるようになりました。数字管では5654が同等です。
コンパクトな五極管の代表で好きな球です。 一番最初の写真の様に発振+終段の2ステージQRP送信機(CO-PA)のファイナルに使って見たいです。 オーディオでは人気がないので、お店にあれば安価だと思います。 プレート耐圧が低く無理をすると壊れ易いのでいたわって使いましょう。頑張っても2Wがやっとでしょう。
パワーの小さな受信管なら、どれもQRP用の真空管になりえます。 まだまだ幾らでもあるのでリストの他にもチャレンジしてみると面白いです。 もちろん、mt管だけでなく、GT管やST管にもQRPに適した球があります。 日本固有の6Z-P1などQRP向きだと思いますが国際性はまったく無いのでもっぱらJA局相手でしょうか。(笑) あまり拘らずに、安価な受信管で楽しめるのがQRP送信機の良い所です。 電源も100V:100Vの絶縁トランスを使い倍電圧整流すると丁度良い電圧が得られます。 電池管なら倍電圧整流しなくても良いでしょう。全般に部品費用も掛からないので手軽に「真空管」を楽しめます。
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【QRP送信機の構想】
小さめの真空管を並べてやれば良いので、QRP送信機は種々の形式が考えられます。 どんな球を並べても良いので、型番にあまり捕われずにチャレンジされたら良いです。
しかし、交信の際にリグのラインナップを紹介するならファイナル管はなるべくポピュラーなものが良いです。
ここでリストアップした球はかつて真空管式の手作りリグが盛んだったころには誰でも知っていてポピュラーだったのかも知れません、しかしいまではおそらく年配者を除けば知る人も僅かでしょう。 代表的なものと言うことで写真紹介しておきました。 そんな球を使っている局と交信できた時には思い出してもらえたらと思います。
自身も真空管以外に必要なパーツはあらかた揃えてあって、例によってあとは「やる気+根気」でオンエアももうすぐそこにあると思います。 ライセンスの問題も考慮済みです。
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真空管の時代も遠くなってしまい見たことも無い世代が社会の大半になってきました。 ガラス細工は眺めていても楽しいかも知れませんが、実際にそれで作って波が出れば一段と興味深いでしょう。 電信用送信機なら部品もごく僅かで済みます。 配線も簡単ですから一台作っては如何でしょうか? de JA9TTT/1
(おわり)
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