【カメラとレンズの話 】
Prologue
My digital camera, which I've been using for a while, has stopped working. The autofocus isn't working right. I checked and found that I had been using it for as long as 11 years. And I realized I no longer need a compact camera because of the excellent camera functionality of smartphones. However, it is sometimes difficult to take pictures with a smartphone camera. In the end, I bought a mirrorless camera. I also added an adapter that allows me to use my old lenses, so I can enjoy my old lenses. (2024.09.18 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
要旨:以下は愛用カメラ故障の顛末(備忘用)です。年老いたHAMが壊れてしまったコンデジの代わりにチープなミラーレスを買い古いレンズを懐かしむといった話し。ラジオや電子回路の話は登場しません。ご覧は自由ですが、たぶん面白くないのでお奨めはしません。
ー・・・ー
【XZ-1壊れる】
永年使って手に馴染んだ道具が壊れると悲しいものです。 カメラも機械ですからいつか壊れても不思議ではありません。XZ-1が壊れてしまいました。
写真好きのように感じるかも知れませんが、私はカメラや写真のマニアではありません。 素人ですからややこしい理屈は詳しく知りません。 写真を撮るのは「事実あるいは現象の記録・伝達」が目的です。 できるだけあるがままの画像が得られれば十分であってカメラあるいは写真そのものにそれほどの興味はないのです。 これだけは初めにハッキリしておきましょう。 要するにマニアじゃありません。(いい写真を鑑賞するのは好きです)
イケてる写真が撮れるとも思っていません。 きちんと伝えられる写真が撮れたら嬉しいだけで芸術性は追求していませんから写真として見たらあまり面白くはないでしょう。 見たままが記録できたらそれで目的達成ですから。
そのような目的にいわゆる「コンデジ:XZ-1」は過不足のないカメラでした。 あまりPoorな性能では困りますが、適度に寄れてマクロが撮影でき、暗くても速めのシャッターが切れたら使いやすいカメラだと思います。XZ-1は初期価格6万円弱のカメラなので結構高性能でBlog用とか雑誌記事向けの写真撮影には十分だと感じていたのです。トラ技誌のグラビア(部分)になった写真もありましたっけ。
最近は部屋から持ち出すこともなくなっていました。スマホのカメラが高性能化したことで持って出る必要も感じなくなっていたからです。しかし屋内で細かい被写体をわかり易く写すとなるとスマホには限界もあります。 そんな時はXZ-1を使っていました。
7mm角コイルのBlog用写真を撮影していたら突然不調が発生したのです。 合焦せずレンズが繰り出したと思ったら即引っ込んでしまう動作を繰り返します。なんどやってもダメなので壊れたことを実感しました。
壊れたものは修理に出すか買い替えるしかありません。調べたら2011年発売のモデルでした。 私が買ったのは2013年7月だったので、使い始めて丸11年も経過していたのです。最近の使用頻度は下がってましたが、よく使ったものだと思います。
メーカーの修理受付期限も過ぎていて正規な修理は望めませんでした。性能・機能的に十分だと感じていただけに手に馴染んだカメラがなくなると痛手です。しかし、よく働いてくれたと言う感謝の気持ちも同時に湧いてきたのでした。(注・1)
☆
「コンデジ」なんて、ずいぶん安っぽいカメラで撮ってたんだね。そう思われたかもしれない。ま、その通りです。 どんな道具でもそうだと思うのですが、高性能・高機能なものがベストではないでしょう。 目的にマッチしていれば簡潔で使いやすいツールが一番便利です。 ですからデジイチとか高価で高性能なカメラがどうしても必要だとも思わなかったのです。いいカメラ買ってもイイ写真のスキルまでは付いてきませんしね・・・ それに、もしホントに必要と思ったならあっさり買っちゃう方です。w
注・1:後からわかったのですが、内部の基板に搭載されたバックアップ用リチウム2次電池がトラブルの原因かも知れません。交換して直すと言うYoutube動画がありました。その気になったら挑戦するかもしれません。
【最初の写真】
XZ-1の前にはNikonのCoolpix P-60と言う一段とチープなコンデジをだましだまし使っていました。 暫く使っていたCoolpix 950が破損したのでその代替機でした。特売で¥10kだったと思います。それも背面LCDが劣化して既に引退しています。
不満だったのは広角端でしか被写体に寄れないためマクロが弱いことでした。小さな部品や細かい配線とか撮影するには性能不足だったのです。収差が出るのは承知で凸レンズを貼って誤魔化していました。
XZ-1を購入した動機はこのあたりにあります。 またどんなレンズでもマクロ撮影では実質的に暗くなってしまいます。そんなときでも明るいレンズは早いシャッターが切れるので有利です。 近頃のカメラはみなAF(オートフォーカス)であり、しかもピントは優秀です。 不鮮明な写真の多くは手ブレが原因なのでしょう。手ブレ補正は付いていても暗い時は効果にも限界があります。 広角端〜望遠端でf1.8〜2.5のレンズは明るくて有利でした。 光学4倍、デジタル4倍のズームも重宝しました。デジタルズームは画質劣化しますがBlogの写真くらいなら十分使える範囲にありました。
マクロ撮影の性能を確かめたくて庭の花を撮影したのでしょう。初めて撮った写真の一群にこの写真がありました。カメラ任せのAutoで撮影したものです。 だいたい満足したことを思い出しました。 コンデジですから「背景ボケ」はそれほど強烈ではありませんね。
【OM-D_E-M10mkIVを買う】
さて、壊れてしまったカメラをいくら懐かしんでもどうにもなりません。
いまどきのスマホ・カメラが結構優秀なことからそれで間に合わせようか迷いました。 ただし手持ちでは細かい撮影がやりにくいため三脚用のスマホ・ホルダを買ってみたのです。
それでそこそこ使いものにはなりそうだったのですが、どうにも不満がふつふつと・・・。w
スマホ・カメラって失敗もなく旨く撮影できます。 小さなレンズと小撮像素子ゆえ被写界深度もあって概ねパンフォーカスに撮れるのはメリットでしょうね。 素人ウケする写真が上手に撮れるようにうまく作ってあるものだと感心します。 でもやっぱり・・・不満なんですよね。 カメラ任せで自分で撮ってる感が足りないからでしょうか?w
仕方ないのでXZ-1と同程度の「コンデジ」を探すことにしました。予算は同程度としましょう。 はじめてすぐ「もうそう言うカメラって売ってない」ことがわかりました。 ごく少数の固定焦点で趣味性の強い高価なコンデジなら見つかりましたが・・・。 あとは防水仕様で工事現場用とか水中カメラのような特殊な仕様のモノしか売られていないんですね。 スマホの普及によってコンデジというジャンルはあらかた駆逐されてしまった訳です。
しからば、一時流行ったネオ・コンデジと称する高倍率ズーム付きでデジイチそっくりカメラはどうだろうかと・・・。 まだ有るにはあるようですが意外に高額ですし融通のなさは「コンデジ」そのもの。それに超望遠を撮影したいわけじゃないので目的に対してミスマッチでした。 大柄なのでアウトドアなら良いのでしょうが自室で細々したものの撮影には扱いにくそうです。
☆
最近になってミラーレス・カメラが流行ってきました。 デジイチ(デジタル一眼レフ)とちがってミラーやペンタプリズムは使わず光学式ファインダはありません。 撮像素子で常に撮像し背面のLCD(液晶表示器)あるいはEVF(電子ビュー・ファインダ)に映し出す形式です。 これって考えてみたらコンデジそっくりの構造ですね。違いはレンズ交換が可能か否かと言うことくらいでしょうか? 他にも違いはあるのかも知れませんが・・・
結局、「入門用」と称するミラーレスを買いました。なにしろコンデジの代替なのですから高機能は必要ありません。撮像素子数もむやみに多い必要はないでしょう。画像ファイルがでかくなるばかりです。約2000万画素は余裕があって良いのですが過剰なくらいです。Blog写真にはXZ-1の1000万画素でも十分すぎるくらいだったのですから。
参考:現在このBlogでご覧の写真はQXGAの約300万画素に縮小しています。なお、PC用は72dpiですが雑誌など印刷物への入稿には300dpiで行ないます。高画素数が生きてきます。
NikonやCanonも好きですがお高いので手が出にくい感じでした。比較的安くて良さそうなOM System /旧・Olympusを選びました。おなじミラーレスでもコンパクトで扱いやすいのと、XZ-1のユーザ・インターフェースと類似性が感じられたからです。
本体価格は約¥100k-くらいです。予算オーバーですしホントは本体+AFマクロレンズが欲しかったのです。しかし本体だけの入手は難しくてズームレンズ付きのセット物じゃないと納期は未定になるとのことでした。
近所のカメラ屋でも聞いたら中古は少しも安くないからお薦めじゃないないんだとか。半導体不足とか円安の関係でカメラは入荷が滞っているので・・・だから中古も高い。 品薄にするのは何だかメーカーの戦略のようにも感じますが・・・。物価高騰で景気も減速気味のおり、こうしたカメラって高額商品ですからあんまり売れてないんでしょうね。(ほとんどの人にとってはスマホ・カメラで十分ですもの・笑)
抱き合わせ販売の感があってレンズ付きのセットはイマイチだったのですが¥30k-程度の違いなので買って試してみることにしました。付属品は安っぽいズーム・レンズですが使えない訳でもないでしょう。
セットのズームレンズは焦点距離:14〜42mm:f3.5〜5.6の広角系と同:40mm〜150mm:f4.0〜5.6の望遠系と言う2本だてでちょっと暗いものです。 なお、フォー・サーズシステムのカメラですから35mmに換算すると焦点距離は2倍に相当します。 35mmフィルム・カメラの換算で言えば28〜300mmをカバーするわけで、広角から望遠までカメラを始めた初心者が十分楽しめるレンズがセットになってます。
昔はレンズの明るさには大いに拘ったものでした。フィルム感度もASA=100か200が普通でした。 しかしデジカメ時代になりISO/ASA感度は随時切り替えできるようになりました。フィルムではできなかった芸当です。 それで少々暗いレンズのためシャッターが遅くなってしまい、手ブレが心配そうなら感度アップでカバーできる訳です。(Autoにしておけば自動的にそうなります)
むやみに感度アップしたら小さな入力信号をイッパイ増幅する訳ですからS/Nは悪くなります。このあたりは受信機と同じでしょう。 しかし最近の撮像素子はずいぶん進歩していてISO=800くらいならまったくノイジーにはなりません。ISO=100とか200から2絞り分くらいは楽々稼げるので暗いレンズでも何とかなるのでしょうね。
【夏空】
表に出てちょっとスナップしてきました。
広角側のズームを付け、望遠端の方(42mm)で撮影しています。 手前の雲の湧き上がってくる様子がいい感じに撮れていると思います。 まあ、こんなのは当たり前でしょうね。
2つ付いてきたズームですが、こちらの広角ズーム:14〜42mmが本命でしょう。35mm換算で標準域にあたる50mm(=25mm)を含むので普段使いになる訳です。レンズの前玉は小さくてちょっと心もとないですが、撮像素子が小さいのですから十分なサイズなんでしょう。
パンケーキ・ズームと称していて非撮影時の縮んだ状態だととても薄くて出っ張りません。付けたままでもコンデジ並みの携行性だと感じました。 近接撮影も悪くないので、このレンズだけでもセット物を買った価値はありそうです。もちろんAFレンズですしね。w
望遠側のズーム:40mm〜150mmの実写は省きましたが、こちらの画質も悪くありません。驚くほどの軽量なので持ち歩くには最適です。昔のズームレンズに比べたら、心配なくらい軽くて安っぽいんですがレンズとしての描写は問題ないです。普段使いには十分だと感じます。
ともかく、コンデジからミラーレスにやむなく乗り換えたような私には十分すぎるでしょう。 ズームレンズ2つで追加の¥30k-は悪くない投資でしたね。かなり使えそうなズームでした。 あとは手に馴染むまでじゃんじゃん撮りましょう。
カメラ故障の突然のトラブルはこれで一件落着。 お疲れさまでした。(笑)
☆ ☆
【OM-m4/3アダプタでMacro 50mm f3.5】
以下は、ミラーレス・カメラに移行したお話の長いオマケです。
昔々の話ですが、ちょっとカメラやレンズの沼にハマったことがあるのです。 メインの趣味は無線でしたので、それほど本格的にハマった訳ではありませんでしたが、カメラ本体と一通りのレンズを持っていました。
単焦点のレンズの方が明るくて良いのですが基本的にズームで揃えました。デジカメ以前の時代なので当然ですが35mmのフィルムカメラ(Olympus OM-4)でした。 交換レンズは焦点距離で21mm〜300mmまでのズーム数本と、600mmの超望遠ミラーレンズを持っていたのです。 それで何を撮影したのかと言うとお恥ずかしいのですが・・・。 すっかり忘れていますが、なるべく明るいズームを揃えたと思うので費用はかかったと思います。w
写真趣味の醍醐味を感じるにはたくさん撮影してみることが重要です。しかしフィルム・カメラの時代ですから「じゃんじゃん撮影する」には費用がたまりません。 それに撮ってその場ですぐ見られる今とはわけが違います。 写真の作法を十分学ぶには膨大な時間とたくさんの勉強代が必要だったのです。 ですから初心者レベルの写真からあんまり進歩がなかったのは仕方がなかったと思っています。
◎ お金の掛かる趣味をいくつも抱えられませんからねえ。(爆)
☆
ミラーレスを買って調べていたら「オールドレンズ 」がブームになっているとのことです。興味津々でしたが調べた結果を言うとフィルム・カメラ時代の古いレンズを使って「近代的デジカメ」で写真撮影を楽しむと言うのです。おもに絞り解放における古レンズの「クセの強い描写」を楽しむようです。
当然ですがオートフォーカスは働きません。 マニュアルでピント合わせをする昔のスタイルに逆戻りな訳です。 たいていカメラ側から絞りの操作もできないので、絞り優先のマニュアルモードで撮影になる訳です。シャッター押すだけとは行きませんから、もはやズブの素人向きじゃありませんね。
ただし、昔と大きく違うのは撮ってすぐその場で見られることです。それにいくら撮影しても基本的に費用はかかりません。フラッシュメモリは消去して使えばまあ普通には際限なく撮れます。失敗を恐れずジャンジャン撮れるので写真を学ぶにはとっても良い時代です。 下手な写真も数をこなせば偶然イイのが撮れる可能性もありますから。w
私の場合はオールドレンズを楽しむと言うよりも、沼に沈んでいた過去を拾い上げてもう一度試せたらというのがホンネでした。 長く放置していたのですっかり諦めていて沼底の時代遅れなガラクタはもう捨ててしまおうかと思っていたんです・・・
さっそくマウント変換アダプタというものを購入してみました。私の過去は古いOM-SYSTEMのレンズでしたのでOM→マイクロ・フォーサーズの変換アダプタを選びました。 この写真は50mm f3.5のZUIKO MACROを付けた様子です。言うまでもなく銀塩時代のレンズです。
初めはAFの35mmマクロレンズを買いたいと思っていたのですが、一般にマクロ領域ではAFでなくてもピント合わせは容易です。(AF、マニュアルのどっちでも難しいとも言えますが・笑) 古いマクロレンズで不満になったらAFマクロを買うことにして暫くコレを試してみることにしました。
なお、50mmマクロですから2倍の100mm相当の中望遠気味のレンズになります。また元々はハーフ・マクロでしたが、1:1の等倍マクロになります。撮像面から測った最小接写距離は23cmで変わりません。従ってある程度のワーキング・ディスタンスが取れるので扱い易いです。 f3.5というやや暗いレンズですが、ISO感度をアップして撮れますからあまり気になりませんでした。このレンズの場合はISO=400 or 800で使います。
【ラベンダー】
庭のラベンダーに寄れるだけ寄って撮影しました。
なんだかわからない写真かもしれませんが説明用なのでご勘弁を。ラベンダーは蕾の状態です。 表面はビロードのような紫の産毛に覆われていますね。
撮像素子面から23cmの距離から絞り5.6で撮りました。絞り優先で露出補正-0.3EV、シャッタースピードは1/500秒です。 本格的なマクロ・レンズで近接撮影ですから背景はすごくボケます。被写体が浮かびあがったような写真が撮れました。 このような背景ボケの写真は好みの分かれるところですが、ボケたらイイ写真なんだって言うマニアもおられるみたいです。w
このZUIKO MACRO 50mm f3.5は往年の銘レンズ なので写真の投稿サイト:Flickrには愛好者のグループがあります。 マクロレンズとあって皆さんの撮影対象はお花や昆虫のアップがほとんどなのですが、ポートレートや風景撮影に使って楽しむお方もあるようでした。
流石にちゃんとしたマクロ・レンズなので描写は正確でシャープですから、私が電子部品や機器の撮影に使う目的には良くマッチしていると思います。 もちろんコンデジやスマホでのマクロ撮影とは一味違うように感じますね。hi
【500円玉】
被写界深度の説明用写真です。
少々すり減った「くたびれた五百円玉」を斜め手前から撮影しています。 写真をクリックして拡大すると、ピント面は中央部分の左右帯状にあるのがわかるでしょう。
真正面から撮影すれば全面にピントを合わせることも可能ですが、斜め前からでは一部にだけピントが合います。 ピント面は手前側が浅く奥が深くなりますが、このようなマクロ撮影ではピントの合っている範囲は非常に狭くなります。
回折が気にならない範囲で「絞り」をなるべく絞ってやれば被写界深度はもう少し深くなりますが、マクロではそれも限界があります。 それに絞ればそれだけ暗くなるので手持ち撮影は手ブレが心配になってきます。
被写体にできるだけ正対するか、それが無理ならチルト・レンズといった特殊なマクロレンズを使う必要があるでしょう。(欲しいレンズなんですけどね・笑)←危ない危ない、また沼にハマっちゃうョ。
【Σ Mirror 600mm f8.0 超望遠】
マウント変換アダプタのお陰で沼の底の超望遠が試せます。
この望遠レンズは反射望遠鏡の原理を使ったもので、ちょっと古いモデルでしたが中古品があったので手を出した記憶があります。
ただし、レンズ黴(カビ)がだんだん拡大してしまい、メーカーに清掃を依頼しました。 清掃から帰ってきた頃にはカメラそのものにさえ興味を失っていて、その後は仕舞い込んだままになっていたのです。
焦点距離:600mm f8.0のときでさえ撮影は難しかったと思います。 フォーサーズに付けたら換算で倍の1,200mmという超望遠レンズですから難しさは一段と増していますね。
難しいと感じたのは2つのポイントです。 一つは安定に撮影することの難しさです。手持ちでブレずに撮影するのは不可能に近いでしょう。f8.0固定ですから早いシャッターが切れません。少なくとも1/500あるいは1/1000秒で切りたいところ。 ブレないよう、また風などで揺るがないよう安定したシャッターを切るのは容易ではなかったと思います。もちろん頑丈な三脚は必需品です。逆光気味ならフードの装着も不可欠です。シャッターはレリーズで切ります。(今はスマホのアプリでワイヤレスで切る)
もう一つは、フラットな描写になってしまうことです。 これは望遠レンズ全般に言えますが、遠くのものを引っ張って撮影した写真はコントラストに乏しくメリハリのないフラットな写真になってしまいます。 よほどの晴天で空気がクリヤーな屋外で、できるだけコントラストが得られやすい被写体を選ばないと良い写真はまず撮れません。 なかなか難しいと感じたものです。 遠方の被写体を狙うというよりも、背景に生じる「リングぼけ」を生かしたアートな作品を目指すべきなのでしょう。
デジタル時代になったので沼から拾った難物のレンズに再挑戦できそうです。 ミラーレンズの絞りは固定で変えられないことから扱いにくかったのですが、いまはシャッタースピードに加えてISO感度の方でも露出を加減できるため、昔よりもかなり使い易くなっています。 デジタル時代の恩恵ですね。
余談:上の方で写真の目的は「真実を伝える手段」みたいに書きました。しかし現実はちょっと違います。 写真のマジックとかトリックもある訳です。 広角が広い範囲を撮るレンズで望遠が遠方を見るためのレンズだと思うのは素人でしょう。 詳しく書いたらキリがありませんが、レンズの使い方一つにしても写真表現はすごく変わるのでなかなか奥深いです。(面白いです) 技術や技巧が要るので難しいものですね。 最低限の基本はわかって撮りたいと思っていますが・・・。
【KONICA HEXANON 35mm f2.8】
もしこのレンズが焦点距離:35mmでなかったら試すことはなかったでしょう。戦前からの老舗、コニカ(小西六写真工業)のHEXANON 35mm f2.8です。
なんでこんなレンズがあるのか良くわかっていません。コニカのカメラを所有したことはないので単なる凸レンズ代わりに中古品(ジャンク)を買ったのかも?? 500円くらい??
焦点距離:50mmレンズなら上のMACROだけでなくG.ZUIKO f1.4と言った明るい標準50mmもあります。35mmなので試してみたくなったのです。点検したらレンズはまあまあ綺麗でした。60年くらい前の古いレンズでしょうか。
ネットの情報によれば、このレンズはおフランスのアンジェニューとか言うレンズメーカの形式を模した古い設計の広角レンズだそうです。 「プリセット絞り」という古いけど面白い機能も付いていて、これがいま時のミラーレス・カメラにとってもマッチしていると感じました。
コニカARマウントをマイクロ・フォーサーズへ変換するマウント変換アダプタが手に入ったので試すことができました。当然ですが本来は広角レンズだったのに70mm相当のレンズになってしまいます。 まあ、これは仕方がないでしょうね。
レンズの中心部を使うことになるため、オールドレンズらしさはあまり感じられませんでした。 歪みや収差はほとんど現れないのです。ごくフツーに良く撮れるレンズです。 描写は正確で発色も良くて普段使いも可能でしょう。 もちろんマニュアルフォーカスですけれども。 マクロレンズほどの正確な描写にはなりませんが被写体に30cmまで寄れます。 画角の点でメリットがあるかも知れません。時々は装着して活用しましょう。 レトロ・フォーカスというレンズの形式から、前玉がとても大きくて立派に見えます。
◎ デジタル・カメラが進歩したお陰で古いレンズを手軽に試して遊ぶことができます。 これはHAMの通信のFT-8なんかもそうですが「デジモノ」の進歩で色々な遊びの幅が広がったのはVY-FBです。長生きはするものですね。 新しい物を採り入れる柔軟さも持ちあわせたいものです。
☆ ☆ ☆
Epilogue
愛用のコンデジが故障したことで急な出費にもなってちょっと痛手だったのですが、実はそろそろカメラを入れ替える時期に来ていたのかも知れないと思いました。
今でもそうですが、デジタル一眼レフはその必要性をあまり感じなかったのでコンデジで間に合わせて来たわけです。性能は良いとしても価格は高価すぎました。
ミラーレス・カメラも高価ではありますが、その中で安価なモデルであっても相当十分な機能や性能が実現されていることがわかりました。 使ってみてもっと早く入れ替えても良かったと感じましたし、昨今のデジタル機器の進歩のお陰で「安くても美味しいもの」が手に入るようになったと言えるのかもしれません。カメラの入れ替えには良い潮時だったんでしょう。
そして沼の底から過去の遺物を拾い出して遊ぶことができたのは面白かったです。ちょっと予算オーバーでしたけれど再び沼に落ちるほどの出費にはなっておりませぬ。 とっくの昔にマニアは返上している私です。(笑)
真空管のハナシはどこかへ行ってしまいました。 そろそろ飽きて来たのと日常の出来事を書くのがBlogとも言えるので近ごろ発生したカメラが壊れた事件をお題に致しました。Blogの楽屋裏の話でしたね。 さて、次回は・・・ de JA9TTT/1
(おわり)fm
【観月亭と中秋の月】
昨晩、お月見をしてきました。
近江・石山寺・・紫式部ゆかりの寺・・にて「観月亭」と輝く中秋の名月です。
スマホ(iPhone 14)の手持ちで、ここまで誰でも簡単に撮れます。 コンデジや下手なデジカメの出る幕はなくなりつつあるようです。
より芸術性のある写真を撮らなければ高度なカメラも持ち腐れかも知れませんね。
おしまい。(追加:2024.09.18)
2024年9月18日水曜日
2024年9月3日火曜日
【電子管】Using the Pentode as the Audio Amp. (4)
【五極管の低周波アンプ・その4】
INTRODUCTION
The 6R-R8 pentode tube is a Japanese-designed vacuum tube that was employed in NTT's telephone relay network. It is believed that the prototype was the Philips E180F pentode. This blog presents a comparison of the two pentodes as audio-frequency amplifiers. It can be concluded that the two tubes have very similar characteristics. Therefore, they can be used in the same way. However, the pin connections are completely different and cannot be swapped. I am going to use the E180F, which I have in abundance, to build an audio amplifier. The 6R-R8 is also excellent, but I am going to use the E180F. (2024.09.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【6R-R8届く】
五極管でオーディオ・アンプの第2回で「国産の6R-R8を試したい」って書きました。
良く探したら怪しげな中古球・・・もっともこの球の新品は入手難だったはず・・・を1本だけ持っていたのですが、評価には不十分でした。それで「どなたか・・・」って書いたところさっそくOMさんに送って頂くことができました。 VY-TNX!!
6R-R8はHigh-gmな五極管で、時々ジャンクで見かけたのですが如何せん使用例のまったく乏しい球でした。 正規品は特定ユーザ向けで高価だったらしくアマチュアの手に入るのは基本的にジャンク球です。入手性は悪く雑誌などの記事にしにくかったのかも知れません。それに似たような目的・用途に使える球なら幾らでもあるわけですから・・・。 真空管の型番ですが、JIS形式ですから6R-R8とRとRの間にーハイフンが入るのが正しいです。
情報のない部品は使われないと言うセオリー通り使う人は珍しかったのです。 そんな訳でたとえ見かけたとしても積極的に手を出そうとしたことはありませんでした。手元に一本だけ見つかったのもおそらくたまたま何かの偶然で手に入ったのでしょう。(笑)
情報によれば6R-R8はWestern Electric WE-404Aの同等管のようです。またE180F/6688と電気的な特性は同等とのこと。 どちらが原型の球なのかはわかりませんがいずれも広帯域増幅器を構成するための高性能管です。 6R-R8/WE-404Aは主としてNTTやAT&Tの電話回線網で同軸中継器に使われていました。ピン配置が特殊なのはその用途に特化した結果なのでしょう。
E180F/6688のピン配置はもう少し一般的な用途を意識しているように感じます。 フレーム・グリッド管は1950年代末にフィリップス社が始めたようなのでE180Fが原型管のようにも思うのですが・・・ 足ピンの違いから6R-R8とE180Fの差し替え評価はできませんが比較してその性能と類似性を確かめてみたいと思います。
☆
レアで特殊な真空管どうしを比較すると言う話です。そのモノを持っていなければこの先を見たからといって何にも役立たないでしょう。 早々のお帰りがお薦めです。 残暑はまだまだ厳しいですが何か有意義なご趣味にでもあなたの大切なお時間をお使いください。 なかば習慣なのかもしれませんが、こんなBlogを眺めていてもしょうもないですよ。(爆)
【6R-R8とE180F/6688のテスト回路】
レアものの真空管とは言っても「ごく普通の真空管」に違いありません。フレーム・グリッド構造でHigh-gmと言う特徴はありますが、それは民生用の球でも使われていた技術です。 従って評価回路も前2回のBlogと違いません。
ちょっと前にテストしたE180F/6688と同じようにバッファ・アンプには6AU6(三結)を使っています。
評価の基本は前回(←リンク)と同じですが、今回はプレートの負荷抵抗:Rpを変えて幾つかテストしています。 前回E180Fをテストしたときゲインが予想よりかなり小さいのはプレート電流:Ipが少なすぎてトランス・コンダクタンス:gmが伸びていないのではないかと考えられました。 そこで今回は4倍くらいIpを流した状態のテストを加えました。
回路は同じですがプレート負荷抵抗:Rp、スクリーングリッド抵抗:Rc2、そしてセルフバイアス用抵抗:Rkを変えながらテストします。 結果は後ほど一覧にまとめてあります。 どのようなRp、Rc2、Rkを使ったのかはそれぞれ一覧表に記入してあります。
【バッファはいつもの6AU6で】
6AU6を三極管接続(三結)で使う方法はすでに定番化しました。(笑)
6R-R8はヒータ電圧が6.3V、電流は300mAです。これは6AU6と同じなので直列にして12.6Vを加え点灯しています。 E180F/6688も同じですので同様にしています。
なお、6R-R8のピン配置は独特です。 間違っていると正常に動作しませんから手持ち複数の資料からピン配置図を探し出し、資料を相互に比較のうえ間違いはないか十分に確認しておきました。もちろん現品を良く観察するのも確認の念押しになります。
特にヒータが3番と9番と言うのは異常にさえ感じますが恐らく使用していた機器の部品配置や配線構造に合わせて真空管のピン配置の方を最適化した結果なのでしょう。 汎用品ではなくまったくの「専用管」ですからそう言った特化が可能だったのです。
差し替えてテストができないのは大きな欠点ですが、まあ仕方がありませんね。 本来用途以外に使う方がイレギュラーな訳なので文句は言えません。 やむなく大幅な配線替えを行なってテストしました。(笑)
【実測結果・一覧】
6R-R8とE180Fの類似性は十分確認できたと思います。 足ピンの接続はまるで違いますが電気的には良く似ていました。
完全に同じとは思えませんが良く似た特性です。 従って同じような使い方をすれば良い訳です。 そうなると残念なのはピン配置が全く違うことにあります。 差し替えて音を聞いて見ると言った比較にはまったく向きませんので・・・
プレート電流を4倍に増やした結果はどうだったでしょうか? プレート負荷抵抗を240kΩから約1/4の62kΩにしました。 もしトランス・コンダクタンスが一定ならゲインは約1/4(=25%くらい)になるはずです。 結果は約80%でした。・・・逆に言えば20%減で済んだ訳です。
これはプレート電流:Ipが約4倍になってトランス・コンダクタンス:gmがずっと大きくなったためです。 概略の計算ですがgmは約3倍になっています。 プレート負荷抵抗を高くしてゲインを稼ごうとしても、この球の場合は効果があまりないことがわかります。
負荷抵抗はあまり小さくせずプレート電流を多く流すようにし、さらに可能なら電源電圧もアップしてプレート電流をある程度以上確保すると言った用法が上手い活用法のようでした。 こうした使い方はプレート回路のインピーダンスを下げる効果もあって周波数特性を伸ばす意味からも好ましいものです。 真空管の特性にマッチしている訳です。 可聴域以上に伸ばしても意味はないのですが、負帰還(NFB)を掛ける際は位相の回りが少ない方が有利です。
今回のテストでは6R-R8とE180F/6688の比較とともにプレート電流を大きくする効果を確かめることができました。
【活躍した真空管】
テストに活躍した真空管です。
主役は6R-R8とE180F/6688ですが、脇役の6AU6も安定した性能で安心感がありました。
主役2つの構造の細部を拡大して見ると幾分違いはありますが、よく似ていると感じました。 まあ、同じような特性に作ったのでしょうから似ていて当然でしょうね。
6R-R8は初期バージョン(末尾が無印)を使った装置でトラブルがあったそうです。 特定の条件で稀にしか発生しないトラブルのため原因究明は難航したそうです。 その結果は真空管:6R-R8の問題であることがわかったそうです。6R-R8Cはその対策品です。
このテストのようなオーディオ帯での使用ならまったく違いはないでしょう。 ごく稀な事故の対策品なのですから、6R-R8も6R-R8Cも同等に使える筈です。
☆
【6R-R8で再生受信機】
そもそもこのBlogはラジオ(但し「ラジオ放送」や「ラジオ受信機」ではなくって無線通信の意味のRadioです・笑)がテーマでした。あなたがどちら派なのかわかりませんがラジオファンを邪険に扱うと後ろから何か飛んできそうです。ここらでちょいラジオねた。(笑)
6R-R8を使った再生式受信機がモービル・ハム誌にあったので回路を紹介しておきます。 アームストロング型でスクリーン・グリッドから再生を掛ける珍しい形式ですがそれほど難しい回路ではありません。回路図があればあとは一般的な注意を払えば大丈夫です。製作は十分可能でしょう。
なお回路図のL1〜L3とコイルの説明がずれています。回路図が正しいとして、L1が1回、L2が24回、L3が3回巻きでしょう。MH誌に多い校正モレですね。w 他はザッと見て大丈夫そうですが、この記事には肝心な6R-R8のピン接続図がありません。読者はよ〜くご存知なのか、或いは製作する読者なんていない・・・というのが前提なんでしょうかネ?(笑)
筆者はJA7RKB十文字OMです。 B+電源はトランスレス形式でシンプルに済ませています。 さらにヒータはDC点灯で初段の球(検波管のほう)を重視して後段の球のヒータ抵抗を平滑回路に兼用する上手い手が使われています。 6R-R8の低周波アンプはハイゲインですからトランス結合にすることなく十分な感度が得られるのではないでしょうか。低周波アンプ部の部品定数はごく標準的なものです。色々いじってみたければBlogのテスト結果から良さげな定数にしてみるのも面白いかも。 イヤフォンはセラミックあるいはクリスタル型をお使ください。
6R-R8だけでなく、これまで紹介してきたどの五極管でも200倍程度のゲインは楽々得らます。 短波ラジオですから6BA6のようなバリミュー管を使うのも良いでしょう。6BX6とか6CB6のようなTV球も十分イケます。検波管にはむしろ6AU6や6AK5が向いていたようにも思います。 6R-R8なんて持ってなくても作れるので、ちょっと気になった「ラジオファン」はお試しを。 AM/CW/SSBの受信が楽しめるとのこと。詳細な記事はいらないと思いますが、もし必要ならモービル・ハム誌1991年1月号をご覧になってください。
(このBlog内の参考リンク;再生式受信機の研究→ここ)
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JA3のOMさんのおかげで懸案だった真空管の比較テストができました。どうもありがとうございました。 なお、6R-R8はピン配置が特殊で少々使いにくい球ですが上手な使用法がわかればジャンク球から蘇るかもしれません。 20世紀の産業遺産でもありますから捨てられしまうのではなくて電子部品として再活用の道が開かれたらFBだと思います。 もっとも価格急騰しても困りますけど。(まあ、ないでしょう・笑) 次回は再び双三極管にスポット・ライトを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)nm
INTRODUCTION
The 6R-R8 pentode tube is a Japanese-designed vacuum tube that was employed in NTT's telephone relay network. It is believed that the prototype was the Philips E180F pentode. This blog presents a comparison of the two pentodes as audio-frequency amplifiers. It can be concluded that the two tubes have very similar characteristics. Therefore, they can be used in the same way. However, the pin connections are completely different and cannot be swapped. I am going to use the E180F, which I have in abundance, to build an audio amplifier. The 6R-R8 is also excellent, but I am going to use the E180F. (2024.09.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【6R-R8届く】
五極管でオーディオ・アンプの第2回で「国産の6R-R8を試したい」って書きました。
良く探したら怪しげな中古球・・・もっともこの球の新品は入手難だったはず・・・を1本だけ持っていたのですが、評価には不十分でした。それで「どなたか・・・」って書いたところさっそくOMさんに送って頂くことができました。 VY-TNX!!
6R-R8はHigh-gmな五極管で、時々ジャンクで見かけたのですが如何せん使用例のまったく乏しい球でした。 正規品は特定ユーザ向けで高価だったらしくアマチュアの手に入るのは基本的にジャンク球です。入手性は悪く雑誌などの記事にしにくかったのかも知れません。それに似たような目的・用途に使える球なら幾らでもあるわけですから・・・。 真空管の型番ですが、JIS形式ですから6R-R8とRとRの間にーハイフンが入るのが正しいです。
情報のない部品は使われないと言うセオリー通り使う人は珍しかったのです。 そんな訳でたとえ見かけたとしても積極的に手を出そうとしたことはありませんでした。手元に一本だけ見つかったのもおそらくたまたま何かの偶然で手に入ったのでしょう。(笑)
情報によれば6R-R8はWestern Electric WE-404Aの同等管のようです。またE180F/6688と電気的な特性は同等とのこと。 どちらが原型の球なのかはわかりませんがいずれも広帯域増幅器を構成するための高性能管です。 6R-R8/WE-404Aは主としてNTTやAT&Tの電話回線網で同軸中継器に使われていました。ピン配置が特殊なのはその用途に特化した結果なのでしょう。
E180F/6688のピン配置はもう少し一般的な用途を意識しているように感じます。 フレーム・グリッド管は1950年代末にフィリップス社が始めたようなのでE180Fが原型管のようにも思うのですが・・・ 足ピンの違いから6R-R8とE180Fの差し替え評価はできませんが比較してその性能と類似性を確かめてみたいと思います。
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レアで特殊な真空管どうしを比較すると言う話です。そのモノを持っていなければこの先を見たからといって何にも役立たないでしょう。 早々のお帰りがお薦めです。 残暑はまだまだ厳しいですが何か有意義なご趣味にでもあなたの大切なお時間をお使いください。 なかば習慣なのかもしれませんが、こんなBlogを眺めていてもしょうもないですよ。(爆)
【6R-R8とE180F/6688のテスト回路】
レアものの真空管とは言っても「ごく普通の真空管」に違いありません。フレーム・グリッド構造でHigh-gmと言う特徴はありますが、それは民生用の球でも使われていた技術です。 従って評価回路も前2回のBlogと違いません。
ちょっと前にテストしたE180F/6688と同じようにバッファ・アンプには6AU6(三結)を使っています。
評価の基本は前回(←リンク)と同じですが、今回はプレートの負荷抵抗:Rpを変えて幾つかテストしています。 前回E180Fをテストしたときゲインが予想よりかなり小さいのはプレート電流:Ipが少なすぎてトランス・コンダクタンス:gmが伸びていないのではないかと考えられました。 そこで今回は4倍くらいIpを流した状態のテストを加えました。
回路は同じですがプレート負荷抵抗:Rp、スクリーングリッド抵抗:Rc2、そしてセルフバイアス用抵抗:Rkを変えながらテストします。 結果は後ほど一覧にまとめてあります。 どのようなRp、Rc2、Rkを使ったのかはそれぞれ一覧表に記入してあります。
【バッファはいつもの6AU6で】
6AU6を三極管接続(三結)で使う方法はすでに定番化しました。(笑)
6R-R8はヒータ電圧が6.3V、電流は300mAです。これは6AU6と同じなので直列にして12.6Vを加え点灯しています。 E180F/6688も同じですので同様にしています。
なお、6R-R8のピン配置は独特です。 間違っていると正常に動作しませんから手持ち複数の資料からピン配置図を探し出し、資料を相互に比較のうえ間違いはないか十分に確認しておきました。もちろん現品を良く観察するのも確認の念押しになります。
特にヒータが3番と9番と言うのは異常にさえ感じますが恐らく使用していた機器の部品配置や配線構造に合わせて真空管のピン配置の方を最適化した結果なのでしょう。 汎用品ではなくまったくの「専用管」ですからそう言った特化が可能だったのです。
差し替えてテストができないのは大きな欠点ですが、まあ仕方がありませんね。 本来用途以外に使う方がイレギュラーな訳なので文句は言えません。 やむなく大幅な配線替えを行なってテストしました。(笑)
【実測結果・一覧】
6R-R8とE180Fの類似性は十分確認できたと思います。 足ピンの接続はまるで違いますが電気的には良く似ていました。
完全に同じとは思えませんが良く似た特性です。 従って同じような使い方をすれば良い訳です。 そうなると残念なのはピン配置が全く違うことにあります。 差し替えて音を聞いて見ると言った比較にはまったく向きませんので・・・
プレート電流を4倍に増やした結果はどうだったでしょうか? プレート負荷抵抗を240kΩから約1/4の62kΩにしました。 もしトランス・コンダクタンスが一定ならゲインは約1/4(=25%くらい)になるはずです。 結果は約80%でした。・・・逆に言えば20%減で済んだ訳です。
これはプレート電流:Ipが約4倍になってトランス・コンダクタンス:gmがずっと大きくなったためです。 概略の計算ですがgmは約3倍になっています。 プレート負荷抵抗を高くしてゲインを稼ごうとしても、この球の場合は効果があまりないことがわかります。
負荷抵抗はあまり小さくせずプレート電流を多く流すようにし、さらに可能なら電源電圧もアップしてプレート電流をある程度以上確保すると言った用法が上手い活用法のようでした。 こうした使い方はプレート回路のインピーダンスを下げる効果もあって周波数特性を伸ばす意味からも好ましいものです。 真空管の特性にマッチしている訳です。 可聴域以上に伸ばしても意味はないのですが、負帰還(NFB)を掛ける際は位相の回りが少ない方が有利です。
今回のテストでは6R-R8とE180F/6688の比較とともにプレート電流を大きくする効果を確かめることができました。
【活躍した真空管】
テストに活躍した真空管です。
主役は6R-R8とE180F/6688ですが、脇役の6AU6も安定した性能で安心感がありました。
主役2つの構造の細部を拡大して見ると幾分違いはありますが、よく似ていると感じました。 まあ、同じような特性に作ったのでしょうから似ていて当然でしょうね。
6R-R8は初期バージョン(末尾が無印)を使った装置でトラブルがあったそうです。 特定の条件で稀にしか発生しないトラブルのため原因究明は難航したそうです。 その結果は真空管:6R-R8の問題であることがわかったそうです。6R-R8Cはその対策品です。
このテストのようなオーディオ帯での使用ならまったく違いはないでしょう。 ごく稀な事故の対策品なのですから、6R-R8も6R-R8Cも同等に使える筈です。
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【6R-R8で再生受信機】
そもそもこのBlogはラジオ(但し「ラジオ放送」や「ラジオ受信機」ではなくって無線通信の意味のRadioです・笑)がテーマでした。あなたがどちら派なのかわかりませんがラジオファンを邪険に扱うと後ろから何か飛んできそうです。ここらでちょいラジオねた。(笑)
6R-R8を使った再生式受信機がモービル・ハム誌にあったので回路を紹介しておきます。 アームストロング型でスクリーン・グリッドから再生を掛ける珍しい形式ですがそれほど難しい回路ではありません。回路図があればあとは一般的な注意を払えば大丈夫です。製作は十分可能でしょう。
なお回路図のL1〜L3とコイルの説明がずれています。回路図が正しいとして、L1が1回、L2が24回、L3が3回巻きでしょう。MH誌に多い校正モレですね。w 他はザッと見て大丈夫そうですが、この記事には肝心な6R-R8のピン接続図がありません。読者はよ〜くご存知なのか、或いは製作する読者なんていない・・・というのが前提なんでしょうかネ?(笑)
筆者はJA7RKB十文字OMです。 B+電源はトランスレス形式でシンプルに済ませています。 さらにヒータはDC点灯で初段の球(検波管のほう)を重視して後段の球のヒータ抵抗を平滑回路に兼用する上手い手が使われています。 6R-R8の低周波アンプはハイゲインですからトランス結合にすることなく十分な感度が得られるのではないでしょうか。低周波アンプ部の部品定数はごく標準的なものです。色々いじってみたければBlogのテスト結果から良さげな定数にしてみるのも面白いかも。 イヤフォンはセラミックあるいはクリスタル型をお使ください。
6R-R8だけでなく、これまで紹介してきたどの五極管でも200倍程度のゲインは楽々得らます。 短波ラジオですから6BA6のようなバリミュー管を使うのも良いでしょう。6BX6とか6CB6のようなTV球も十分イケます。検波管にはむしろ6AU6や6AK5が向いていたようにも思います。 6R-R8なんて持ってなくても作れるので、ちょっと気になった「ラジオファン」はお試しを。 AM/CW/SSBの受信が楽しめるとのこと。詳細な記事はいらないと思いますが、もし必要ならモービル・ハム誌1991年1月号をご覧になってください。
(このBlog内の参考リンク;再生式受信機の研究→ここ)
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JA3のOMさんのおかげで懸案だった真空管の比較テストができました。どうもありがとうございました。 なお、6R-R8はピン配置が特殊で少々使いにくい球ですが上手な使用法がわかればジャンク球から蘇るかもしれません。 20世紀の産業遺産でもありますから捨てられしまうのではなくて電子部品として再活用の道が開かれたらFBだと思います。 もっとも価格急騰しても困りますけど。(まあ、ないでしょう・笑) 次回は再び双三極管にスポット・ライトを当てて活用を試みたいと思っています。ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)nm
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