2024年6月22日土曜日
【電子管】Using the Pentode as the Audio Amp. (3)
introduction
I have many pentodes for RF. This blog is a continuation of the previous one. This time I will build an audio amplifier with pentodes for RF with 7-pin mt tubes. Hopefully I can expand the use of those pentodes. I tested three types of pentodes: 6CB6, 6AK5, and 19M-R10. The 19M-R10 is an original Japanese tube made for NTT's telephone relay network. All of the tubes can be used in audio amplifiers. (2024.06.22 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【再び五極管をテストする】
前回Blog(←リンク)の続きです。 前回は9ピンmt管(Novel管とも言う)のRF用五極管を試してみました。
既にテストした6BX6、6EJ7、そして6688/E180Fのいずれも、わかって使えばそれなりに「使えそう」と言う結果でした。 電圧増幅用の五極管はまだまだたくさんの種類があります。今回は手持ちの中から7ピンmt管を選んでみました。 これらもうまく使えるなら活用につながります。さっそくうまい使い方を発掘してみましょう。一般的に9ピンmt管よりも7ピンmt管タイプの五極管の方がポピュラーかもしれません。
前回と同じように、ごく基本的なアンプをブレッド・ボード(BB)上に製作しました。 五極管の単管アンプではなく、同じようにバッファ・アンプを設けてあります。前回同様バッファ・アンプは五極管を三極管接続(三結)にしたカソード・フォロワです。
検討対象の球が6.3V管の場合にはバッファ・アンプに6AU6を使います。これは前回と同じです。 対象の球が19M-R10の場合はバッファも同じ19M-R10にしました。これはヒータ回路の都合です。 なお、三結のカソード・フォロワとして使うのでしたら6AU6と19M-R10ではたいした違いはありません。
写真・右側が検討対象の五極管です。この写真では19M-R10が刺さっています。 左側はバッファ・アンプの19M-R10で三極管接続のカソード・フォロワです。 回路図は前回のBlog(←リンク)に掲載しているのでそちらを参照してください。
☆
なんだかんだの前にさっさと実験を継続しましょう。今回も無線関係(ラジオ)のハナシはほとんど登場しないので「ラジオ作り」をご期待されていると面白くないです。早々のおかえりが宜しいかもです。 もちろんコメントでラジオのお話をされても一向に構いません。いつものようにコメント歓迎です!!
【五極管:6CB6の場合】
さっそく始めましょう。簡単に6CB6の話です。
6CB6は米国系のTV球です。欧州名はありません。 初期のTV(モノクロ)はトランス付きだった関係でヒータ電圧が6.3Vの6CB6が使ってありました。その後、TVのトランスレス化が進むようになって600mAヒータの3CB6が主流になりました。 6CB6は稀にオーディオ・アンプに使われることもありましたが、流石に3CB6はTV専用でオーディオに使う例は見ませんね。
6CB6や3CB6はTV受像機のI-Fアンプ用(映像中間周波増幅用)として多用されました。松下電器のTVを除き多くのメーカ製TVで使われたので、解体すると大量に得られた真空管です。
以下は検討して得られた6CB6の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=750kΩ、Rk=2.2kΩです。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=55V前後になるでしょう。大きく外れる可能性は低いですが、その場合はスクリーン抵抗:Rc2を加減します。Rc2を大きく変えた場合、カソード電圧:Ekp≧0.8Vを確認しておきます。ゲインは約220倍(≒47dB)得られました。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定) 6BCB6は6AU6よりもトランスコンダクタンス:gmが高いのでやや大きなゲインが得られます。
上に書きましたが、6CB6はオーデイオ・アンプに使われることがあって、RCA社のデータ・ブックにはR-C結合アンプの定数表が掲載されています。 参考までに紹介しておくと以下のようになっていました。(RC-22,pp498参照)
Ebb=180Vにおいて、Rb=220kΩ、Rc2=620kΩ、Rk=1800Ωです。ゲインは208倍(46.4dB)となっています。 データ・ブックには他の動作条件のデータも掲載されていますので必要に応じて真空管データブック:RC-22を直接参照されてください。 RCAのRC-22(1963年版)はInternet archive org.にて誰でも無償で参照できます。
私が実験的に得たデータと幾らか違いはありますが概ね類似しています。 RCAのデータで多少ゲインが低いのはRbが220kΩなのと、次段が直結のカソード・フォロワではなくて負荷抵抗Rcf:470kΩになっているからです。また、カソード抵抗:Rkが1.8kΩなのはプレート電圧の選び方の違いによると思います。しかしどちらでも大差はないはずです。
6CB6は高周波の汎用品でした。gmが高いことから水晶発振にはもってこいで、私も何度もお世話になった球です。 (高周波の)ミキサー回路の適性もあって受信機・送信機に幅広く使われました。
シールド付きソケットを使う必要があることに注意します。6AU6や6BX6と違って管内シールドはありません。プレートは剥き出しなので外から良く見えます。管内シールドを省いているのは出力容量の低減が目的のようです。しかし実用上シールド付きソケットが必須なのですからかえって不便に感じられます。
オーディオ・アンプに使うときも扱う信号が微小な場合はシールド付きソケットを使うべきです。メイン・アンプのように大きめの信号しか扱わなければ普通の7ピンソケットでも大丈夫でしょう。 もちろん高周波回路に使うのならどんな場合もシールド付きソケットが無難です。同じ7ピンでピン配置も類似なので6AU6,6BA6,etcと差替えて試すことも可能です。 ソケットのところでピン2と7を結んでおくと良いです。
【五極管:6AK5の場合】
6AK5はミニチュア管の五極管として戦前からあった球です。同等の数字管には5654があります。欧州名はEF95です。
もともと電話中継網(AT&T)の広帯域増幅用でウエスタン・エレクトリック社のWE-408Aあるいは類似管が原型のようです。(但し408Aのヒータは20V 0.1A)
しかしVHF帯の通信機やレーダー受信機などへの適性があったことから戦争遂行を目的に製造技術が移転されて非常に多くの米国メーカで生産されました。6AK5として登録された際にヒータ電圧も一般的な6.3Vに変更されています。
6AK5については戦後VHFマンとしてご活躍されたJA1FC藤室OM(故人)に伺ったことがあります。日本で戦前・戦後に愛用されたVHF管は954(エーコン管)が有名でしたが、お話しによれば月とスッポンだったそうです。言うまでも無いでしょうが6AK5が優ってます。(笑)
以下は検討して得られた6AK5の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=820kΩ、Rk=2.7kΩです。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=60V前後になるでしょう。大きく外れる可能性は低いですが、その場合はスクリーン抵抗:Rc2を加減します。Rc2を大きく変えた場合、念のためカソード電圧:Ekp≧0.8Vを確認しておきます。ゲインは約210倍(≒46dB)得られました。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定) 6AK5は6AU6とトランスコンダクタンス:gmが同じくらいなので同じようなゲインが得られます。
めったに見かけないと思いますが6AK5(ただし同等管:5840)のR-C結合アンプ定数表を見つけました。参考までに紹介しておくと以下のようになっていました。
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=700kΩ、Rk=1800Ωです。ゲインは140倍(43dB)となっています。だいぶゲインが低いのは次段がカソード・フォロワではなくて負荷抵抗Rcf:510kΩになっているためです。交流負荷抵抗を求めて補正計算すると概ね差のないゲインであることがわかります。
それから、こうしたR-C結合増幅器では問題になりませんが6AK5はプレートやスクリーンの耐電圧がだいぶが低いです。耐圧は180Vしかありません。間違っても大きなパワーを出そうと思って高い電圧を掛けてはいけません。電極間で放電することがあってダメにしてしまいます。w
6AK5は純粋にRF用(高周波用)の球だと思っていましたが、近年ではオーディオ・アンプに使う人も現れて驚いています。 もちろん単なる五極管ですから低周波増幅に使って何も悪いことはないわけです。オーディオ・アンプ系への適性はあります。
過去にオーディオ系に使わなかったのは6AU6のように安価で優秀な五極管があったからです。 6AK5は純粋に通信用の球なので見かけによらず高価です。 前に登場した松下電器の価格表(1960年代)によれば6AU6が570円なのに対して6AK5は1,500円なのです。 我々HAMにとって6AK5はジャンクで100円もしない安球でしたが正規にはそうではありません。それで民生機器には使われなかったのでしょう。市販ラジオやTVで見かけない理由でしょうね。(参考:たいへん初期のTV受像機でRFアンプに使われていたそうです)
HAMの世界では50MHz用クリコン(クリスタル・コンバータ)の定番の球でした。RFアンプに使えば十分なゲインが得られNF値も良好でした。ミキサー回路への適性もあるのでクリコン製作のために買い求めたものです。 私が子供のころ米軍ジャンクとおぼしき6AK5は未だに出回っており総じて安価だったのです。しかし地元のラジオ屋さんでは手に入らなくて秋葉原のジャンク屋を巡った記憶が蘇ります。(笑)
こんにちでも6AK5で作ったクリコンはまずまず実用になるでしょう。あまり混変調特性は芳しくないかも知れませんが・・。 ノスタルジーの追求にはもってこいですがやめておきます。 オーディオ・アンプでの適性もあるのでそちらで活躍してもらおうと思っています。小ぶりでかわいいので好きですねえ。w
【五極管:19M-R10の場合】
19M-R10は特殊な球です。もっぱら旧・電電公社の電話中継網で使われました。 もちろん高価ですし、間違っても民生機器には使いません。ですから本来なら手に入り難いはずなのですが・・・。
特殊な球でありながらよほど多量に使われていたのでしょう。保守で交換したらしい球の一部が廃棄を免れて出回っていたのです。
保守作業では良否に関わらず使用開始から一定時間で交換していたはずです。ですからエージング済みの優良品(笑)がたくさん混じって出回ったのです。ミニチュア管ではありますが、ちょうどWE-310Aのような通信用のスペシャルな五極管です。ちなみに目標MTBFは10万時間だそうです。(注:用途・目的は同じでもWE-310Aと同じ特性という意味ではありません)
19M-R10は民生用の6CB6と類似特性と言われています。 しかし見た目はまるで違っていて、がっちりした管内シールドがあって電極の保持構造も見るからに強固です。 従ってマイクロフォニックが少なくて小信号増幅にはマッチしているように思えます。写真はNEC日本電気製ですがTEN神戸工業製も見かけます。 旧・電電公社の通信研究所で開発し各社が生産した特注品でしょう。 欧州名がないのは当然として米国名もありません。付与された型番はJIS形式です。(型番の途中にハイフォンが入っている)
なお、こうした19V管のヒータはDCで点灯していました。電話局には大容量の蓄電池があってフローティング充電しながら使っていました。 ちなみにヒータ用の電源は22V/10,000AHと言ったような超大容量の蓄電池です。調整器で19Vに落として与えていました。プレート回路の方も130V/800AHと言った蓄電池だったそうです。(すごい)
このような事情からヒータ・ハムの対策はあまり行なわれていない可能性があります。AC19Vでの点灯は不向きではないでしょうか。19Vと電圧は高い反面、電流は0.1Aと少ないことからDC点灯で使いましょう。
データシートによると19V管は頻繁なヒータのON/OFFは好ましくないそうです。ヒータ線が細いので突入電流で切れやすいのでしょうか。 局では一度電源を投入したら入れっぱなしですから支障なかったんでしょうね。(起動時の突入電流対策を行なったそうです)
前置きが長くなりました。以下、検討して得られた19M-R10の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=1MΩ、Rk=2.7kΩです。
この状態で、カソード・フォロワ:19M-R10のEkt=60V前後になるでしょう。大きく外れる可能性は低いですが、その場合はスクリーン抵抗:Rc2を加減します。Rc2を大きく変えた場合、念のためカソード電圧:Ekp≧0.8Vを確認しておきます。
ゲインは約220倍(≒47dB)得られました。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定) 19M-R10は6CB6とトランスコンダクタンス:gmがほぼ同じなので同じようなゲインが得られています。6CB6と同等の電気的特性というのは本当のようです。
特殊な環境・使用条件で使われていた球ですがオーディオ・アンプ用として有望そうです。
良好なシールド構造、強固な耐震構造などが持ち味の球なのでオーディオのプリ・アンプに適しているかも知れません。 ゆっくり起動して突入電流が緩和できるような19V電源を作れば安全に電源のON/OFFができる筈です。 ゲインも過剰ではないので扱いやすそうです。 組合わせてプリ・アンプを作るには19V管の19R-LL1、19R-P11が揃っていて不自由はありません。 もっとも、これらの球でオーディオが良い音で鳴るのかどうかはわかりませんけど。(爆)
☆
【アルテック型パワー・アンプ】
回路図がないのも寂しいのでアルテック型パワー・アンプの回路を貼っておきます。
アンプ初段が五極管になっており、P-K分割型ドライバ(三極管)との間は直結になっています。 Hi-Fiアンプには有名な回路がたくさんあって優劣を競う状況にありますが、アルテック型は構成がシンプルなので人気の回路です。メーカのパワー・アンプにもよく見られた形式です。
事実、比較的感度の高い近代的な出力管ならこうしたシンプルな構成でもドライブ不足にはなりません。 初段が五極管なら十分なオープンループ・ゲインが得られますからNFBを掛けるには十分でしょう。 構成がシンプルなのは負帰還を掛けるとき有利に働きます。 C-R一つずつで位相補償できるのも増幅段数が少ないシンプルさゆえです。
ここで五極管のテストに使ったのもそのまま活用できる可能性を考えたからです。 P-K分割の部分は殆どゲインはないのでアンプ全体のゲインは初段でだいたい決まってしまいます。初段が三極管ではゲイン不足を感じるでしょうね。
実験してきた近代的な五極管を使うと左図の6SJ7よりも大きめのゲインが得られる筈です。 従ってクローズド・ループ・ゲインの減少をあまり心配せずに十分なNFBを掛けることができます。 ぜひお試しになってください。
【バリミュー管は瑞々しいのか?】
テストしてきた五極管はすべてシャープ・カットオフ特性の球でした。 電圧増幅用五極管にはリモート・カットオフ特性の球もたくさんあります。 そうした球は使えないのでしょうか? mt管では6BA6や6BD6、そして写真の6EH7などが代表的です。
結論から言うと十分使えます。 測定器での評価ではシャープ・カットオフ管より不利です。 特にアンプ全体のゲインを抑えて大きめの入力信号がその五極管に加わるような設計だと歪み特性が悪くなります。
そもそも入出力の関係が非直線な特性になるよう特別に作られた球です。ラジオやTV受像機の高周波回路に使う目的の球です。 前提として小さめの信号・・・せいぜい数10mVppくらいでしょうか・・を想定している筈です。 そのような信号ならバイアス電圧を変えて増幅度を可変すると言った自動利得調整(AGC)の目的に最適だからです。 それと想定のI-Fアンプ(中間周波増幅器)は狭帯域特性ですから非直線性による二次歪みが少々あっても帯域外になって顕著には現れません。
バリミュー管/可変増幅率真空管(リモート・カットオフ管)をオーディオ帯でテストしてみたら意外に使えそうでした。思っていたよりも良さそうな感触を得ました。 少し歪みが多くなって2次高調波が含まれます。その方が瑞々しく聞こえるというお方もいるのだそうです。 そのようなわけでシャープ・カットオフ管と類似特性のリモート・カットオフ管が差替えできるようにしておくと面白いかもしれません。 そんな組み合わせとして、6AU6には6BA6が、6CB6には6BZ6が、そして6EJ7なら6EH7があります。いずれも後者がリモート・カットオフ管です。
測定数値を重視されるなら向いていないと思いますが自分の耳で聞いて自身にピッタリな音を探したいと言うお方には楽しめるのではないでしょうか。 バリミュー管/可変増幅率真空管はオーディオの対象外と考えず、遊びと思って試したら面白いです。 使用にあたってはいくらか定数を変えた方が良いです。 特性上、Ipが流れやすい傾向がありRkをやや大きくする必要があります。プレート電圧を見ながら両立できそうな回路定数を見つけ差し替えてみるのが良さそうです。
☆
ところで、真空管にはそれぞれ背景となる歴史や物語が埋もれているように思います。 トランジスタにはあまり無いバックグラウンドかもしれません。 それぞれの真空管には目的の機器・回路があり、それに向かって開発された球には生まれてきたストーリーがあるのでしょう。 それがみなさんが真空管に特別の感慨を抱かれる理由(わけ)ではないでしょうか。 たかが電子デバイスとは言ってもそこには何か「物語」があって欲しいのです。それは懐かしいあのときが蘇る「わたしだけのストーリー」でも良いのでしょうね。
なんだか五極管テストの話がノスタルジックな方向になってしまいました。 いろいろ書きましたが得られるゲインに違いはあってもどれも同じようにオーディオ・アンプに使えそうです。 著名な球が手持ちにあるならそれを使うべきでしょう。あえて変な球を買い求めるのはナンセンスです。 しかしオーディオでポピュラーな球が手元になくても代替になりそうな真空管は結構ゴロゴロしています。 あらたに買い求めることもなく私の遊びの目的には十分そうです。色々試しながら楽しい時間を過ごしたいものですね。
五極管活用をテーマに3回続けました。私には「手持ちの活用」という目的があるので良いとして見てるだけの人はこんなのはどうでもいいんでしょうね? 面白いですか?(笑) 次回は更に他の手持ち真空管をどう活かすべきか考えます。複合管などが対象です。 そちらも目的はオーディオで、と言うことになります。 このあと事情があって1〜2回お休みを頂くかも知れません。 お待たせ致しますが良かったらそれまでにお手元の五極管をテストされてみたら如何でしょう? 少しは面白くなるかも? 実際、手にしたご感想など教えてください。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクfm
2024年6月6日木曜日
【電子管】Using the Pentode as the Audio Amp. (2)
introduction
I have a lot of pentodes for RF. In this blog I will build an audio amplifier with 9-pin NOVAL based pentodes for RF. If they can be used well, they will expand their applications. I tried three different types: 6BX6, 6EJ7 and E180F. They all seem to work well enough for audio amplifiers. They are very high gain and should be used with care. (2024.06.06 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【五極管:テスト・アンプ】
これからさき何をやりたいのか? すなわち目的ですが、これははっきりしてます。
手元の真空管はいわゆるポピューラーな球と同じようには使えないのだろうか?・・・という疑問が出発点です。 旨く使えるなら手持ちの活用につながりますし、もしダメならそれなりの理由を知れば納得することができるでしょう。 もちろん方針はうまい使い方の発掘ということですが。
さっそく手元の電圧増幅用五極管を使ってテスト用のアンプを作ってみます。 やってみるまでもないよと言われるかも知れません。 いきなり本番のアンプに組んで様子を見る、旨くなければ方針転換すればイイんだよ・・・という考え方もあるでしょう。まあ人それぞれでしょうね。
ごく基本的なアンプをブレッド・ボード(BB)上に製作してみました。基本的な特性を見るには最適です。 テスト対象の五極管とバッファ・アンプの2段構成です。これは後ほど扱う三極・五極複合管において好結果が得られた形式です。評価方法を継承しました。
五極管の単管でアンプを作ることはあまりないでしょう。複数段のアンプが普通です。 単管では測定器の接続で状態が変化してしまい正しい特性が評価できない可能性があります。五極管アンプは出力インピーダンスが高いからで周波数特性は特に大きな影響を受けます。
バッファ・アンプがあれば影響を軽減でき、ほとんど無視できる程度になります。測定系の配線が少々長くなっても大丈夫です。そのような訳でバッファ付きのアンプにして評価しました。実際の活用場面に即した評価法とも言えます。
写真・右側が評価対象の五極管で、この写真では6BX6が刺さっています。 左側はバッファ・アンプの6AU6で三極管接続のカソード・フォロワです。 詳しくはこの後の回路図で。
ブレッド・ボードに不安を持つかも知れません。 実際は旨く行きますが心配になるとすれば耐電圧と発熱の問題でしょうか?
プレートやスクリーン・グリッド回路には高電圧が加わりますが十分な耐圧があって250V程度なら心配無用です。 流石に1kVとかやってませんが350Vなら実績もあって何も問題ありませんでした。 こうした小信号アンプではプレートやスクリーンの電流はせいぜい数mAなので電流は心配ないでしょう。 プレートやスクリーン抵抗の電圧降下は大きいのですが各電流はごく少ないので発熱は僅かです。たいてい100mWもありません。
主に1/4Wの抵抗器を使っていますが熱的にも大丈夫です。もちろんもっと大電流が流れる所にはワット数の大きな抵抗器を使います。予想される消費電力の2倍以上の容量を持った抵抗器が目安です。(これは常識の範囲かも?・笑)
ヒータ回路(フィラメント回路)の電流も小信号の球では300mA〜600mAです。多数の接続箇所をまたぐと幾らか電圧降下しますが供給元で加減すれば補正できます。ヒーターは基本的にDC点灯します。従ってヒータ・ハムの誘導はありません。
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アンタは何でもBBで作るって揶揄されそうですが恒久的ではないこうした評価回路には適当だと思っています。写真撮影しておけば再現性も確保できます。 いつも思うのですがアルミ・シャーシに穴加工は面倒なんです。実験する気も重くなります。w BBはハンダコテ不要で部品交換も自在なので試行錯誤にも最適です。ただし感電だけは要注意ですね。w
ストレー・キャパシティが心配で・・・気持ちはわかりますが過去のBlog(←リンク)をご覧になれば支障ないことがわかるでしょう。BBも使い方しだいです。それにせいぜい数100kHzまでのオーディオ帯ですからね。
なんだかんだ迷う前にさっそく実験してみましょう。わかってやれば真空管も半導体回路の手軽さで試せます。真空管+BBはオススメです。 このさき口先介入がご専門のお方には「目の毒」なので早々のおかえりが宜しいかもです。 無線関係(ラジオ)は登場しないので其方のお話をご期待されていると面白くないです。さっさとお帰りが宜しいかもです。w
例によってコメント歓迎! ラジオに絡んだコメももちろんOK!!
【五極管・テスト回路】
テストに使う回路です。 低周波信号のアンプになっていて、信号は左から入り増幅されて右に出ます。かなりゲイン(増幅度)があって数mVの低周波信号が数Vに増幅されて出て来ます。ゲインは使う真空管によって変わります。
テスト対象の五極管は左側です。 プレートに入るRb、スクリーン・グリッドに入るRc2、カソードのRkを選んで評価します。これらの値を決めるのが一つの目的とも言えるでしょう。
このうちプレートのRbは初めから100kΩ、250kΩ(240kΩ)、470kΩと言ったアンプ一般に使われる値を選びます。(特別な負荷条件を想定するならそれに即した数値を選びます)
その状態で適切なスクリーン電圧になり、動作点がちょうど良い所に来るようカソード抵抗:Rkを加減し最適化します。
変更すべき要素が複数あるので難しい部分もありますが、やって見ると然るべき所に落ち着くようです。 既存の球の定数一覧表など参照すれば割合容易に類似の結果が得られるわけです。
回路図で右側の球はバッファ・アンプです。(ゲインはほぼ1倍のカソードフォロワ) バッファ・アンプには6C4、6AB4等の単三極管が使えます。しかし良さそうな手持ちが見つからず、手元の五極管:6AU6のスクリーン・グリッドをプレートに結び三極管接続にして代用しました。(双三極管:12AU7や12AT7の片側を使う方法もあります)
五極管とバッファ・アンプの間は直結です。直結アンプ形式は段間の時定数を減らすための常套手段です。 これはアルティック型パワー・アンプでよく見る形式です。アルティック型アンプではプレート側にもカソード側と同じ抵抗を入れてプッシュプル・アンプのP-K分割型ドライバ・アンプとして使います。 6AU6のグリッド側にあるC6とR8は位相補正用で負帰還を掛ける際に必要になります。このアンプは無帰還でテストするのでとりあえず不要です。
バッファ・アンプ(カソード・フォロワ)の出力インピーダンスは概略1/gmですから、数100Ωになります。 そのため測定用のプローブやシールド線など配線を取付けてもほとんど影響は受けません。 これはこの種のアンプを実用に供するする際にも使えるテクニックです。 プリ・アンプの出力部にもバッファ・アンプを設けておけばメイン・アンプまで少々配線を引き回してもハイ落ちやノイズの誘導が防げるわけです。 プリ・アンプの出力部にはバッファ・アンプをぜひ設けておきたいですね。(gmが大きな中μの三極管が向いている)
☆
このアンプでは:評価対象の五極管において適当と考えられる動作点を探るのが主目的です。 とりあえず上述のようにプレート負荷抵抗:Rbはいくつか決めてしまいます。 プレート電圧:Eppも適当になるよう決めればプレート電流は計算で求まります。 その際にスクリーン・グリッド抵抗:Rc2とカソードのバイアス抵抗:Rkを加減します。スクリーングリッド電圧:Esgの要件はEsg≦Eppです。さらにカソード電圧:Ekpは1V以上が目安です。これがグリッド・バイアス電圧になります。(グリッド・バイアス電圧としては概ね-1V以下を目処とします)
☆具体的には:
(1)RbとEppを決めてしまう。例えば240kΩと50Vのように想定します。
(2)その状態でEsg≦Eppが必要ですから、別途電源を用意し、例えばEsg=35Vや40Vに設定し動作させます。
(3)カソード抵抗Rkを10kΩ程度の可変抵抗に置変え、加減してプレート電圧:Eppが予定の電圧(例:50V)になるよう調整します。この状態でスクリーン電流:Isgを読んでおきます。Isgの値はあとでスクリーン抵抗:Rc2の算出に使います。
(4)カソードとGND間のDC電圧:Ekpを測定しておきます。これがバイアス電圧になります。可変抵抗の値をオーム計で測ってカソード抵抗:Rkの値を得ます。
これでおおむね想定の動作状態が求められます。ただしカソード電圧:Ekpは1V以上でなくてはうまくありません。(低くても0.8Vくらいまで) そのうならないときはスクリーン電圧を変更して再試行することになります。 球メーカのやり方は不明なのですが、ここでは概ねこのような方法で動作条件を得ています。 具体的に得られるのは、スクリーンのドロッパ抵抗:Rc2とカソード抵抗:Rkの値です。
ここまで求めたら入出力の直線性や歪み率の変化、周波数特性などを評価します。プレートを大きくスイングさせるつもりならサチュレーションとクリップの始まるポイントを確認しておくと後々役立ちます。(←オシロスコープで観測します)どちらかへ偏りがひどければこの段階でプレート電圧を変えてみるとか動作点を変えて様子を見る必要があるでしょうね。
それぞれの球の評価過程を延々と書いても退屈なだけです。 まだまだ沢山ある項目の評価が終わった訳でもないので、以下においては実験中の暫定的な回路定数を各真空管ごとに簡単にメモっておきました。もしも興味でもあったらご自身でもテストしてみてください。今のところ電源電圧:Ebbはすべて150Vです。Ebbは±50Vくらい違っても結果に大きな差は出ないでしょう。
【五極管・6BX6の場合】
まずは簡単に6BX6の話です。
6BX6は欧州系の9ピンmt管です。欧州名はEF80です。おもにTV受像機のI-Fアンプ用(映像中間周波増幅用)として使われました。松下電器のTVを解体すると大量に得られた真空管でした。
松下は戦後フィリップス社から製造技術を導入し欧州系の真空管をたくさん作って自社製のTVで使いました。他社製のTVでは殆ど見かけません。JVC日本ビクターのTVくらいでしょうか?
以下は検討して得られた6BX6の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=1.1MΩ、Rk=2.2kΩです。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=55V前後になるでしょう。大きく外れる可能性は低いですが、その場合はスクリーン抵抗:Rc2を加減します。Rc2を大きく変えた場合、カソード電圧:Ekp≧0.8Vを確認しておきます。ゲインは約290倍(≒49dB)得られました。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定) 6BX6はトランスコンダクタンス:gmが高いのでかなりハイゲインです。なかなかの性能です。(トランスコンダクタンス:昔は相互コンダクタンスと言った。昔の単位は℧:モーでした。いまは導電率S:ジーメンスを使います)
今になって見ると汎用性があって悪くない球なのですがRF回路を含め活用例は少なかったのであまり歓迎しませんでした。ジャンクで手に入っても使い道のない球だと思ったものです。ただ、規格表を参照し現品を観察すると他の五極管、例えば6AU6などと同様に使えるのではないかと思えました。9ピン管なので6AU6,6BA6,etcと差替えの互換性がないのはかなり問題でしたが・・・。
自身ではAM送信機の変調器・初段アンプに使ったことがあります。マイク・アンプ用として6AU6代用の役目を十分果たしてくれたことを覚えています。なぜ低周波回路に使われないのか不思議に思ったくらいでした。そとから見える網目状の円筒は管内シールドでシールド付きソケットが要らないのはFBでした。 ただし、いくつか差替えて比較しているとマイクロフォニックが出る球があったのを思い出します。
【コラム:真空管のノイズ】
真空管のノイズには幾つかがあります。ヒータ・ハム、マイクロフォニック、ショットノイズが3大ノイズでしょう。(低周波アンプの場合)
ヒータは交流で点灯するのが普通なので、それが誘導されてハム音(HUM)が出ます。真空管自体の対策としてはヒータ線をスパイラルにする、電極構造を検討し管内のシールドを強化するといった方法で低減できます。もちろん配線の巧拙も問題ですがオーディオ・プリアンプのようなハイゲインなアンプでは完全な解決にはDC点灯以外にはないように思います。昔はハム対策済みの球もHi-Fi用として売っていたのですが手持ち活用なのでそれは望めません。
マイクロフォニック雑音は真空管の電極が機械的に振動することが原因です。グリッドなどの電極やマイカ板の保持が強固でないと機械的な緩みの影響があって「マイクロフォン」のように音や振動を拾ってしまいます。スピーカ内蔵のラジオやギター・アンプ等では酷い時にはハウリングのような状態になります。オーディオ用の球:6267などは特に気を配った構造や組立てを行なってマイクロフォニックを防いでいます。しかし6BX6のようなRF用の球ではそれほど重視していない可能性があります。
ショットノイズ(散射雑音)は熱電子流を使っている真空管においては宿命的なもので、「サーっ」というバックグラウンンド・ノイズとしてハイゲインなアンプでは感じられます。カソードの材質を改良するといった対策を行なうようですが完全に取除くことは難しいでしょう。いま時の超ローノイズな半導体にはとても勝てません。w
そのほかにも様々なノイズがあって、プレート電流が超低周波で揺らぐフリッカ・ノイズなどもあります。 高周波では等価雑音抵抗が問題になってRFアンプのノイズ・フィギャを劣化させる原因になります。
【五極管・6EJ7の場合】
6EJ7はフレーム・グリッド構造を採用した高性能管です。6BX6と同じようにTV受像機のI-Fアンプに使われました。
同じ9ピンmt管でピン配置も同じになっています。この球もヨーロッパ系なので国産品は松下電器(松下電子工業)から登場しました。ちなみに欧州名はEF184です。
カラーTV時代になると従来型の球では性能が不足したため各社のTVに使われるようになりました。
写真は左が松下製、右は日立製です。東芝製もあったと思います。
フレーム・グリッドの詳細は長くなるのでやめておきますが、簡単に言えば極細線でグリッドを密に巻きカソードの直近に密接させて配置したことにあります。従って非常にgmが高くなり大きな増幅度だけでなく、等価雑音抵抗が小さくてミキサー管としても高性能なのでHAMの無線機(YAESU FT-200,etc)でも使用例がありました。
しかし6EJ7をオーディオで使った例を目にしたことはありません。 一説によるとフレーム・グリッド管は直線性がよろしくないという話があります。 構造上カソードのインゼル効果の発生などから確かに歪みに対し不利な面もあります。しかしこれは本当でしょうか? あまりにgmが高いので使いにくいのが敬遠の最たる理由のように思っています。
以下は検討して得られた6EJ7の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=510kΩ、Rk=2.2kΩです。 6EJ7は6BX6よりも同じEsgにおいてスクリーン電流が大きいため、Rc2は小さくする必要があります。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=55V前後になるでしょう。スクリーン電流が幾分バラつく傾向があって必要に応じてスクリーン抵抗:Rc2を加減してみます。ゲインは約400倍(≒52dB)得られます。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定)
6EJ7はトランスコンダクタンス:gmが特に高い球なのでかなりハイゲインです。素晴らしい性能ですが、よくわかって使わないとオーディオでは持て余すかもしれません。w
上の方でフレーム・グリッド管は歪みの関係で敬遠気味と書きました。もしそうなら最近もてはやされている双三極管:6DJ8もダメなはずです。同じフレーム・グリッド管ですからね。
6EJ7を試した範囲では特に悪いこともないように感じます。普通の五極管なみです。
やはり6EJ7は過剰にハイゲインなのが敬遠の理由でしょう。 フレーム・グリッド管は構造的に電極の保持が強固に作られているので6BX6よりマイクロフォニックでは有利なはずです。ゲインが高いのでそれも程度問題かもしれませんけれど。w
アンプなど実用の機器に使った実績がないので何とも言えませんが上手に使えば高性能が活きるのではないでしょうか。例えば五極管の単段で構成している英Leak社やQuad社のプリアンプようなEQアンプに使えばイコライジング・カーブが設計どおり得易いでしょう。 RF用の球なのでヒータ・ハムは出易い可能性があります。もちろん「DC点灯を推奨」でしょうね。 十分な発振対策の上で試してみたいと思います。 使いこなせれば6EJ7はオーディオでも有望な球ではないでしょうか。
【五極管・E180F/6688の場合】
6688/E180Fは名実ともにスペシャルな球です。
球の側面には「SQ」の文字があって、これは「Special Quality tube:特別な品質の真空管」を意味しているのですから・・・。
おそらく普通は手に入りにくい筈ですが中古品(ジャンク)なら意外にたくさん出回っていたのです。 金メッキ足やSQの文字に釣られてしまい集まってしまいました。すべてジャンクなので劣化品もあると思いますが使わない手はないでしょう。「腐っても鯛」かも知れません。(笑)
写真は左がオリジナルと思われるPhilips社のE180F、右はセカンドソースあるいは技術提携品の松下の6688/E180Fです。E180Fが欧州名で6688は米国名のようです。 1960年代の松下の真空管定価表をみると6688は3,600円もする高価な球です。前回Blogの「6267」が690円、ラジオ球の6BA6などは375円でした。まだ大卒の初任給は2万5千円くらいの時代です。
お値段に驚いていても仕方ありません。さっそく使ってみました。
以下は検討して得られた6688/E180Fの使い方です:
注意:6BX6,6EJ7とはピン配置が異なっています。ピン8と9の交換が必要
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=750kΩ、Rk=2.2kΩです。 6688は6BX6よりも同じEsgにおいてスクリーン電流はやや大きいため、Rc2は小さめにする必要があります。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=60V前後になるでしょう。流石に(?)バラつきは少ないようですが必要に応じてスクリーン抵抗:Rc2を加減してみます。ゲインは約280倍(≒49dB)が得られます。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定)
6688/E180Fはトランスコンダクタンス:gmが特に高い球なのでかなりハイゲインです。6EJ7と同じフレーム・グリッド構造の球です。規格表の上では6EJ7よりHigh-gmなのですが、私の実験ではゲインは下回っています。それでも素晴らしい性能ですが、ちょっと思惑はずれでした。(笑)
原因はいくつか考えられますが、一つはジャンクなのでトランスコンダクタンス:gmが落ちて劣化しているのかも知れません。(大いにあり得ますね)
もう一つ、この回路定数が最適になっていない可能性です。6688/E180Fは高周波広帯域増幅用の球です。 業務用映像機器のビデオ・アンプなどが主な用途ではないでしょうか? やや大きめの電流を流し、低めの負荷インピーダンスで使うのが前提でしょう。 こうしたHigh-gmな球をIpが僅か1mA以下で使うとEg-Ip特性の下部湾曲部に掛かってgmが上がらないように思います。球によってはバラツキも出やすいでしょう。
6688/E180Fは電源電圧:Ebbをアップする、負荷抵抗:Rbを小さく選ぶとかトランス負荷で使いもう少しプレート電流:Ipを流す方が良さそうです。 よくわかって使えばオーディオでも活かせます。 耐震構造をうたっていますのでマイクロフォニックは少ないでしょう。 規格上、ヒータ・ハムのレベルは必ずしも低くないためプリ・アンプに使うのでしたらDC点灯が安心です。 なお金メッキ足の球はソケットの方も金メッキ品の採用が本来です。(オーディオの人が大好きな「金ぴか」・爆)
蛇足ながら6688/E180Fの国産類似管には旧・電電公社規格品:6R-R8(C)があります。6R-R8はWE-404Aの同等管でもあります。但し6688/E180Fとはピン配置がまったく異なるため差し替えたテストはできません。6R-R8はテストしてませんが同等に扱えるでしょう。純国産品種として、ぜひ試してみたい球のひとつです。hi hi
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9ピン五極管の特集になりました。RF用五極管の別の一面が窺えたように思います。
今回はRb=240kΩのデータだけになりましたが他の条件でもテストしています。 現状ではBlogの進行に評価・纏めが追いついていないので限定した情報のみになりました。もう少し詳しいデータの採取も考えているので結果は必要に応じて追加して行くつもりです。 まずは手持ちで活用してみたい球を選び条件を絞った評価から始めている段階です。
6BX6は一般に駄球の扱いなのであなたのジャンク箱にもゴロゴロしているかも知れません。6EJ7もオーディオ的には猫またぎだったでしょうか? どちらも試してみて自作アンプに十分使えるという結論でいいでしょう。(笑)
(注:どの球もラジオの低周波アンプにも使えますが、そのまま使ったらゲイン過剰です。試すなら負帰還増幅器にして低周波アンプとしてちょうど良いゲインに加減します。回路はケース・バイ・ケースなのでご自身で研究してみてください)
別にみんなと同じアンプを作ってみたいわけじゃありませんので変わった球で遊べたらそれだけでも満足です。 定番な球や著名回路の部品定数にこだわる必要もないわけです。 ジャンク箱に永く眠っていた真空管が活かせたら嬉しいです。 真空管も単なる電子部品ですから電子工学の理屈に逆らわぬ使い方をすれば問題ないでしょう。 謎めいた伝説とか迷信などはいりません。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm