<Abstract>
I built a prototype AM radio using Motorola's IC: MC3340P in the AGC circuit. The purpose of this is to test if the MC3340P electronic attenuator can be used for radio and wireless communication devices.
The MC3340P is a low-frequency device. As a result of my trial, I found out that it can be used for high frequency circuits as well.
I think it is possible to make a receiver with good AGC characteristics by applying it well. (2020.07.21 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【AM-Radio 機能試作・1】
二つ前のBlog(←リンク)でモトローラ/ONセミ製のMC3340Pと言う電子ボリウムを扱いました。 MC3340Pは低周波用のデバイスですが、周波数特性が伸びていることから、低周波のAGCアンプだけでなくラジオのIFアンプへの応用も示唆されたのです。
そこで、さっそくMC3340Pを使ったAMラジオを試作しました。 まずは中間周波増幅器(IFアンプ)として思ったように動作するのか、ごく基本的な実験から始めました。 優秀なAGC特性・・・端的に言えば広いAGC範囲と低歪みな特性・・・を持ったIFアンプの製作はなかなか難しいものです。MC3340Pを使うことでそれが可能になるか確かめました。結果はかなりFBなようです。
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シンプルにAMラジオで試してみましょう。もちろん単なるAMラジオを作るのが目的ではないので専用のラジオ用ICチップは使いません。ラジオは作りますが、今回は「ラジオ作り」そのものが目的ではありませんので。
ここでは電子ボリウム用のMC3340Pがラジオや通信機のAGC回路にうまく使えるのか実際にテストしてみます。 まずはAMラジオで様子を見ますが、より本格的な通信機に使えるかどうかも検討したいと思っています。
MC3340Pの可能性が確かめられれば良いのでなるべく手間を省いて実験します。便利なICを多用することにしました。実験回路はそのままラジオとして使うことも十分可能ですが、実用品にするならもう少し改良したら良くなる所もありそうです。今回はありきたりのラジオ製作がゴールではありませんのでそのつもりでどうぞ。
【AM-Radio 3340 Schematic】
さっそく実験回路です。中間周波が455kHzのスーパー・ヘテロダイン形式のAMラジオです。 6石ラジオの途中にMC3340Pを付け加えたような回路でも良いのですが、遊びの意味もあって新規のラインナップで考えました。
周波数変換(コンバータ)はデュアルゲート・MOS-FET:BF998を使った自励式コンバータです。 DG-MOS-FETをこうしたAMラジオのコンバータ回路に使う例は見ませんでしたが旨く動作してくれるようです。感度もまずまずですからもっと使われても良いのではないでしょうか。
コンバータに続くIFフィルタ(中間周波フィルタ)は中心周波数が455kHzで通過帯域幅が15kHzのセラミック・フィルタを使いました。ここでラジオの選択度が決まります。使ったフィルタは選択度が良い(特にスカート特性が良い)ため混信もなく、また十分な通過帯域幅があってAMラジオながら再生音域も広く得られます。市販のラジオが3kHzくらいまでしか再生できないのに対して7kHz以上の再生音域が得られそれだけHi-Fi(ハイファイ)になります。もしアマチュア無線用(AM波対象)なら帯域幅6kHzくらいのフィルタが適当ですが、AMラジオの受信にはずっと広い方が良いでしょう。混信さえなければ20kHzくらいでも良いくらいです。(但し夜間は9kHzのビート音の可能性があってノッチなどで対処が必要)
セラミック・フィルタの次はMC3340Pです。ここにAGCを掛けます。AGC回路はFETを併用する方式にしました。 検波出力が小さめなので、AGCの効きを良くする目的でカットオフ電圧が小さい2SK544Fを使います。通信機なら増幅型AGCも考えるのですが、単なるAMラジオなのでシンプルに済ませました。 MC3340Pの後はLA1221と言う差動アンプ形式のIF-Amp.用ICを2つ使って十分なゲインを得ています。LA1221はCanパッケージのトランジスタのような形をした4ピンのコンパクトなICです。 MC3340Pを含めたIFアンプ全体で50dBくらいのゲインがあります。 検波回路はゲルマニウム・ダイオード:1N34Aを使った標準的なものです。検波した電圧を平滑してAGC電圧としています。
初めはIFアンプ+検波器だけで実験していました。 セラミック・イヤフォンで聞いていたのですが、使い物になりそうだったので低周波アンプを追加しました。 低周波アンプは定番のLM386タイプです。 LM386にも少々飽きてきたので別のICでも・・・と思ったのですが、あえて凝る意味もないのであっさり定番で済ませました。(笑)
全体の消費電流はICを多用したため少し大きめです。無信号状態で約27mAでした。上手に作った6石ラジオなら10mA程度で済むのですが、MC3340Pを試すのが目的ですから省エネ方向の追求はしませんでした。各部が安定して動作してくれたらテストには十分だと思います。
【Converter : BF998】
コンバータには少し前のBlog(←リンク)でテストしたBF998型デュアル・ゲートMOS-FETを使いました。 また、別のBlogではDG-MOS-FETで自励コンバータ形式(←リンク)のクリスタル・コンバータを試したのですがなかなか旨く働いてくれました。 これらの実験結果に基づき、今回は水晶発振ではなく変形ハートレー型のLC発振回路を使った自励式コンバータを構成してみました。これはとても旨く動作しています。
BF998はヨーロッパ系のDG-MOS-FETですが秋葉原や通販で安価に手に入ります。 国産品で代替するなら3SK35ほかディプレッション型のデュアル・ゲートMOS-FETならほとんどのものが使えます。(例:3SK35、2SK41、3SK45、3SK51、3SK59、3SK65、3SK73など候補はたくさんあります)
アンテナコイルには、フェライト・バーアンテナを使いました。試作品では長さ120mm、直径10mmのものを使いました。このバーアンテナだけで十分な感度があります。 基本的に外部アンテナは不要でしょう。 外部アンテナは遠距離受信に効果がありますが、このラジオはローカルの放送局を良い音で聴くのが仕様です。
市販のAMラジオ用局発コイルが使えると自分で巻いて作る手間が省けます。 性能など検討の結果、市販の既製品も支障なく使えましたが、後ほど局発コイルとIFTを手作りするための図面・資料があります。詳しくはそちらで。
【OSC Level : at BF998 Source】
DG-MOS-FETの第1ゲート部分を使った変形ハートレー型の局部発振回路です。 ゲート部分に入れたダイオード(Si-Di)の整流作用で自動的にバイアスが掛かって発振振幅が安定します。 D1:1N914は重要な役割があるので省略しないでください。1N914の代替には一般的な小信号用シリコン・ダイオードなら大抵のものが使えます。1N4148、1S2076A、1S1588、1SS53、1SS178などなど。
受信周波数範囲は520〜1620kHzなので、局発の発振周波数は+455kHzの975〜2075kHzです。 その範囲で発振振幅は概ね一定に保たれています。 写真では1Vppですが、もう少し小さめに調整しても良いようでした。 組み立てが済んでからVR1:10kΩで発振レベルあるいは変換ゲインを見て加減します。
(注:写真は未調整の段階で撮影したため上記の周波数範囲をやや外れています。ただし範囲調整後も発振振幅に変化はありませんでした)
【AMR-3340 : Making Coils】
局発コイル(T2)と検波回路部分のIFT(中間周波トランス:T3)の作り方です。 aitendoで売っている「IFTきっと」を使って製作しました。 巻線はφ0.08mmのポリウレタン被覆電線(UEW電線)を用意します。 ここでは最大容量が275pFの等容量型2連バリコン(ポリバリコン)を使う前提で局発コイルを設計しました。 この図のコイルの足ピンの番号はすべてコイルを底面(足ピンのある側)から見た時のものです。
しかし、市販品の局発コイルやIFTも十分使えます。 バーアンテナ・コイルなどと一緒にバリコンも合わせて購入すればコイル製作の手間は掛かりません。 AMラジオ用のコイル類は秋葉原あるいはラジオ部品の通販サイトで購入できます。 もちろん「IFTきっと」を使って自分で巻けば非常に経済的です。手間か費用かの選択と言うことですね。
なお、一般的に市販されているAMラジオ用のポリバリコンはアンテナ同調側が約140pF、局発側が約82pFのトラッキングレス型が多いようです。 従って局発コイルもそれにあったものを購入します。局発コイルとしてはインダクタンスが約360μHくらいのものが良いはずです。(SLV-C01と言う型番の市販品がある)なお、こうした市販の局発コイルを使うときには回路図のC5:330pFは不要なので除去(取り除き短絡)します。 またバーアンテナ(T1)の方はインダクタンスが550μHくらいあるものを選ぶことになります。入手しやすい市販品として例えばSL-55X(あさひ通信)などが良いでしょう。バーアンテナはフェライトコアが大きなものが高感度です。(一般的にはコアが大きい方が良いが、コアの材質・種類にもよる)
参考:コロナのクラスタ発生もあり秋葉原には行きにくい状況にありますが、「東京ラジオデパート」の
【IF-Filter and IF-Amp】
選択度を決めるIFフィルタには「セラミック・フィルタ」を使いました。 写真・左側に見えるブルーの箱型がIFフィルタです。 京セラ製のKBF-455R15Aを使っています。これは製造中止品のようですから手に入ったもので代替すれば良いでしょう。村田製作所の製品が入手しやすいようです。 使用するフィルタの終端インピーダンスに合わせてR5とR6を変更します。(回路図では1.5kΩ) 一般的に終端インピーダンスは1〜2kΩのものが多いです。手に入ったフィルタのインピーダンスがわからないときは回路図のまま作っても良いでしょう。 このラジオの場合、セラミック・フィルタがないからと言ってIFTで代替すると選択度不足になるのでお勧めできません。
AGC回路に使うMC3340Pの詳細は前のBlog(←リンク)を参照してください。ここでは455kHzの中間周波増幅回路のところに使っていますが考え方は低周波の場合と同じです。 但し、周波数特性を伸ばすためPin.6はオープン状態で使います。
MC3340Pだけではゲインが足りません。LA1221と言うIFアンプ用のICを2つ使ってさらに2段増幅しました。 LA1221はちょっとしたRF/IFアンプには便利なのですが、かなり旧式なのでおそらく入手は困難です。 IFアンプ部分で40〜60dBのゲインが得られればどんな方法でも良いです。 手に入った部品で代替すれば十分です。トランジスタやFETでも良いですが、いまでしたら高速OP-Amp.の採用も有りでしょう。拙宅ではLM359NもIFアンプの候補でした。
LA1221はもともとFM受信機用のICです。そのため、あまり大きな信号を扱うとリミッタ特性が現れてうまくありません。しかしこの例のように2段増幅ならリニアに増幅する範囲内でした。従ってAMやSSBのような振幅変調系のIFアンプに使っても支障はありません。同じ回路で試したいお方に差し上げますのでお問い合わせを。
【Detector】
検波回路はゲルマニウム・ダイオード:1N34Aを使ったオーソドックスなものです。 IFT(=中間周波トランス)を使わぬ形式も可能ですが普通のトランジスタ・ラジオと同じ回路にしました。検波ダイオードは1N60や1K60も使えます。1SS97などのRF用ショットキ・バリヤ・ダイオード(SBD)でも大丈夫です。 ここで使用したIFTは自作品ですが、市販で見かけるSLV-C04(コアは黒色)が同じように使えます。
IF信号を検波することで得られる直流(DC)電圧の成分は概ね信号の大きさに比例します。 図の回路では負のDC電圧が得られますのでその電圧を平均化してからAGC制御用のFET:2SK544Fのゲートに与えます。 AMラジオでは常識的な平均値型のAGC回路になっています。 なお、2SK544Fの代替として2SK241GRと2SK439F(ピン配置要注意)がありますが、この用途の場合2SK19GRや2SK192AGRもほぼ同じように使えます。
【Audio Amp.】
初めの頃はセラミック・イヤフォンで実験していました。 しかし、イヤフォンは鬱陶しいのでスピーカを鳴らすことにしました。 100mWくらいのパワーがあれば実験には十分です。 アンプ回路は何でも良かったのですが、オーソドックスに「386型IC」を使いました。
回路はメーカーの資料に「ラジオ用」として紹介されているものを参照しました。入力部のLPFや出力部のRFCで高周波の回り込みを防ぐ工夫がされています。
写真のものはJRC製のNJM386BDですが、一般的なLM386Nでも支障ありません。 BlogではJRC製が頻繁に登場していますが単に手持ち在庫の都合に過ぎません。
もちろん、他の低周波アンプ用のICでも良いのですが、電源電圧=9Vに適当な物となると意外に選択肢は少ないように思います。 ディスクリートで作っても良いのですが、今回はあえて部品数を増やす意味を感じなかったので定番の「386」で済ませました。 386なら秋葉原や通販で容易に手に入るのも良いところです。
【AM-Radio 3340 EVX-2】
以上で全てです。 MC3340PのIF-AGC回路への適性を見極めるのが目的です。 IFアンプ部分だけを作って測定器による評価だけでも良かったのかも知れません。
しかし、なるべく具体的な応用例があった方が実感が湧きやすいものです。そう思ってAMラジオの形に纏めてみました。 試作したラジオが非常に優秀だとは思いませんが、良くAGCが効いているのは実感できました。 感度的にもマズマズなので実用品として使うことも十分可能でしょう。 何れにしてもMC3340Pが受信機のIFアンプ回路に旨く使えるかの確認になりました。 AGC特性については下記の参考・3に概略の評価結果を追記しました。
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参考・1:このラジオの調整について
このラジオはスーパーヘテロダイン型なので、トラッキング調整が必要です。
◎次のような道具を用意します: 周波数カウンタ、テストオシレータ、DMM、調整用ドライバ、ジェネカバ・受信機(=周波数カウンタの代わり) 、直流安定化電源
☆以下の手順で調整します。
(1)製作の確認:電源を与える前に部品の付け忘れや誤配線がないか入念に確認します。
(2)消費電流の確認:DMMを使います。まず電源電圧を9Vにセットし、電源から流れる電流が測れる状態に配線します。電源を加えたら素早く電流値を読み取ります。回路図に書かれた値と大幅に違う場合(±50%以上)は誤配線やショート、配線もれなどが考えられるので一旦電源を切って再確認します。
(3)IFTの調整:テストオシレータを使います。アンテナ端子から変調をかけた455kHzの信号を与えます。周波数は正確である必要があります。60dBμ以上加える必要があるかもしれませんが、信号が聞こえたらIFT:T3を調整して一番大きな音が聞こえる様にします。最大のところがわかりにくい時はテストオシレータの出力を適宜加減します。
(4)受信範囲の調整:周波数カウンタを使います。Q1:BF998のソース電極:S端子の部分に周波数カウンタを接続します。 (A)バリコンを最大容量の位置(一番低い周波数側)にします。発振周波数が975kHzになるように局発コイル:T2のコアを調整します。 (B)次にバリコンを最小容量の位置(一番高い周波数のところ)にします。発振周波数が2075kHzになるように、半固定コンデンサ:C4を調整します。 上記の(A)と(B)を交互に繰り返します。両端で概ね5kHz以内まで合って来たら最後に(B)を行なって終了します。これで520kHz〜1620kHzが受信できるようになります。 なお、周波数カウンタは測定可能な範囲でなるべく小容量で結合させると精度良く調整できます。 ジェネカバ受信機を使って調整しても良いです。その場合、受信機からのアンテナ線を作ったラジオのコンバータ部:BF998のあたりに近付けます。SSBモードで受信すると発振の存在がわかり易いです。上と同じ手順で(A)975kHzと(B)2075kHzの周波数でビート音が聞こえるよう局発コイルと半固定コンデンサを調整します。
(5) アンテナ回路の調整:テストオシレータを使います。テストオシレータの出力はワンターンコイルでバーアンテナに結合すると良いです。 (C)まず変調した600kHzをアンテナ端子へ加えます。バリコンを回してテスト信号を受信します。その状態でバーアンテナ上の同調コイルをフェライトコア上でスライドさせ一番よく聞こえる位置に仮固定します。テスト信号が強すぎるとわかりにくいのでテストオシレータの出力を適宜加減します。 (D)テストオシレータの周波数を1400kHzにします。バリコンを回しその信号が受信できたら更によく聞こえるようにトリマコンデンサ:C3を調整します。 これら(C)とD)を交互に繰り返します。どちらでもよく聞こえるようになったら最終的に(D)の調整で終了します。 パラフィンなどでバーアンテナの同調コイルを固定して完了です。
# なお、テストオシレータが用意できない場合、(3)のIFT調整は後回しにします。(5)のアンテナ回路の調整は実際にラジオ局を受信しながら行なうこともできます。その場合、低い方は500〜600kHz、高い方は1200〜1500kHzのローカル放送局を2つ選んで調整します。例えば関東の場合はNHK第1(594kHz)とニッポン放送(1242kHz)などが良いでしょう。高い方はRFラジオ・日本(1422kHz)が良いのですが地域によっては受信困難です。 (3)を飛ばしたとき、IFTの調整は受信できるラジオのうち、弱めの局を聴きながらよく聞こえるように合わせておきます。
このラジオはアンテナコイル(バーアンテナ)への負荷効果が小さいため、アンテナ同調回路における選択度はかなり良好です。同様に感度的にも有利です。これはDG-MOS-FETを使った効果です。 ただし完全な調整を行なわないと本来の感度が得られません。手順に従い入念に調整します。
参考・2:Sメータの付け方(簡易版)
同調点表示器と言ったほうが良いかも知れませんが、簡単にSメータが付けられます。FET:Q2 2SK544FのソースとGND間に入っている抵抗:R10(820Ω)のGND側を切ってGNDとの間にラジケータを挿入します。ラジケータの極性はR10側がプラス、GND側がマイナスです。 ラジケータの内部抵抗がわかればその分だけR10を減らすとなお良いです。 このSメータは逆振れ型で500μA程度のラジケータがよく振れます。 無信号のとき振り切れる場合はラジケータとパラに抵抗を入れて一杯に振れるよう加減します。ごく簡易なものですがメータがあるとラジオもサマになります。(笑)
参考・3:AGC特性(追記:2020.07.25)
測定器を使ったAGC特性の評価結果です。入力として変調信号が400Hzで変調度30%の1000kHz・AM信号で評価してみました。 強さを変えて採った代表的な特性ですが、AGCの有効範囲は約60dB程度でした。 60dB(1000倍)の入力変化で検波出力の変化は12.8dB(約4.4倍)に収まります。6石スーパと比べはるかに優秀です。 なお、IFアンプ自体はさらに大きな入力信号を扱えるのですがコンバータ段が先に飽和しました。しかし大電力放送局の至近でもなければ心配ないでしょう。コンバータ段は感度か大入力特性優先なのかを考えてバイアス調整すると効果的でした。 アンテナがバーアンテナなので測定には「テストループ」を使うべきですが、今回は使用せず簡易評価です。従って絶対感度は求めていません。現状で強弱の違いはありますが関東一円の民放局が受信できます。 これは当たり前ですが、MC3340Pの特性をフルに発揮させるには受信機全体のレベル配分がとても重要です。さらに高性能化するための指針としては、IFアンプのゲインをもう10dB程度アップするかDCアンプを付加して増幅型のAGCにしたいところです。ラジオではなく通信型受信機なら間違いなくそうすべきでしょう。
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もともとMC3340Pを使ってみるのが目的です。 AMラジオではあまり見たことのないようなデバイスを多用した「変わったラジオ」になりました。 前から研究テーマの一つだったDG-MOS-FETを使った自励式コンバータも実験できました。この自励式コンバータは短波帯でも十分使えそうです。 あえて珍しいようなデバイスを使ってAMラジオを作る意味はないかもしれませんが気分転換にはなりましたね。(笑) MC3340Pを試して受信機のAGC回路への適性があることもわかったのは収穫です。 今回は455kHzでテストしましたが、もう少し高い周波数でもかなり使えそうです。
さらに使い方を工夫してちょっと高級な受信機でも試用してみたいと思っています。 既に良好なAGC特性を持ったIFアンプとしてはAD603を使ったものをテスト済みです。一方、MC3340Pの特徴はその扱い易さにあります。特に低い周波数のIFアンプには有利でしょう。それ自体は低ゲインですから発振しやすいと言ったトラブルもありませんから。
AMラジオは何回も作ったので、ありきたりのデバイスで作っても面白くありません。 あまり定番にとらわれず手持ちの部品を積極的に使ってみました。従って実験した回路は必ずしも理想的ではない部分もありますが、少し変わった部品でラジオを作ってみたいなら面白いかも知れません。定番の部品を使ったラジオを卒業したら試してみてはいかがですか? ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm