【FT-101ZDにニューライフを:第3回】
【FT-101ZDのWARCバンド対応】
『FT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!』の3回目である。 Part 2(←リンク)では手始めに汚れの酷い内部の清掃から始めた。これから行なう改造や再調整の下準備であった。
いよいよ、ここからが本来の目的であるWARC Bandの改造である。 FT-101ZDではPart 1で書いたように、後期型であるMark ⅢからWARC Band対応になった。 それ以前のモデルも改造でWARC Bandにオンエアは可能だが、追加バンド用の水晶発振子ほかコイルなど多数の部品が必要である。 ここではMark Ⅲに絞って話しを進める。他についてはまた機会があればと言うことで。(WARC:ワークと読む)
FT-101ZD Mark Ⅲは、写真のようにもともとWARC Band対応になっている。全バンドともに受信だけは最初から可能だ。 但しMark Ⅲであっても当初発売のモデルにあっては30、17、12mの3つのBandは送信できないようになっていた。 途中で30m Band(10MHz)が許可されるとそこは送信可能になったようだが、相変わらず17、12mの2つのBandは送信できなかった。(注:30m Bamdの許可は1982年4月1日である。FT-101ZDの製造終了時期にあたるから30mが送信可能なモデルはなかった可能性もある)
Part 1にも書いたように、17mと12mの二つが許可されたのは30m Bandの許可から遅れること7年後の1989年であった。すでにその頃にはFT-101ZDなど製造も販売もされていなかった。 結局のところ全てのバンドが送信可能なFT-101Z/ZDは国内出荷されなかったことになる。 途中でユーザーによって改造されていれば別だが、そうでなければWARCバンドにオンエアしたいなら以下の改造は必須なようだ。(たぶん、FT-901シリーズも事情は同じ)
(参考)FT-101ZDの製造時期について:デジタル表示無しのFT-101Zの発売は1978年12月ころ、デジタル周波数表示付きのFT-101ZDは3ヶ月後の1979年2月だったようだ。生産終了時期は良くわからないが後継機のFT-102が発売されたは1982年4月ころだから、その頃までには終了していただろう。製造番号によれば、この機体は1982年3月の生産らしいから最終生産に近いのかも知れない。在庫品が残っていたとすればディスカウントされてその後も暫く売られていたはずだ。(あとで調べたら1982年いっぱいは販売されていた模様)
以下では、上記の3バンド送信禁止、2バンド送信禁止のいずれの状態にも適用可能な内容になっている。
注・1:毎度のことであるが、作業はコンセントからACコードを引き抜いてから行なうこと。 生命に危険が及ぶ高電圧が内在することを常に念頭において安全優先で作業を。
注・2:以下を参照した結果、万一事故の発生や機器の破損などが起こっても責任を負わない。作業は各人の技量に基づき自身の責任に於いて実施を。 もし自信がないなら工賃を支払ってでもメーカーあるいは必要な技術を持つハムショップなどに依頼することをお薦めする。
【シールドカバーの除去】
キャビネットの上下を外したら、作業台の上に裏返しにする。 終段管のある方を手前に、即ち正面パネルが右手に来るように配置する。
写真の様に、左のパンチング・メタルのカバーと、右に何個か丸穴の開いているシールド板が目に入るだろう。
WARC Bandの送信禁止を解除するには、右側の何個か穴の開いている方のシールド板を外す必要がある。 なお、暫く使った機械ではシールド内部の清掃も行なう必要があるので、左のパンチング・メタルの方も外しておく。
【ネジはスポンジの下に】
シールド板を止めるネジは、数条貼ってあるスポンジテープの下に隠れている。 上から触ってネジの感触が認められる部分を探し出し、このように掘り出す必要がある。私が掘り出すまでネジはスポンジに埋まっていたのでメーカー出荷以来、ここを開けたのは初めてだったようだ。
このスポンジの役目は止めネジの弛み止めのほか、ファンモーターの振動やトランスの唸りが伝わって異音を発しないように対策した物と思われる。
スポンジの劣化が激しいようなら全部除去しても支障はないと思うが、あとから隙間テープのような物を要所に貼っておく方が良さそうだ。
【WARC Band送信禁止部分】
中央付近の青い線が盛り上がった部分が該当箇所だ。 青い配線は隙間に畳み込まれていたが、作業を行う関係ですべて手前に引き出してある。
バンドスイッチのウエファ(ベークの接点板)で、パネル側から数えて4枚目のウエファDと5枚目のウエファEの部分が該当箇所だ。 現物と対比しながら十分な確認を。
なお、先に書いた様に送信禁止には2つのバージョンが存在する。 この写真例は全てのWARC Band、即ち3バンドともに送信禁止されているバージョンのものである。
【図で見るWARC Band 送信禁止解除方法】
送信禁止方法の理屈は次項をご覧頂くとして、ともかく解除するには左図のような配線替えを行なえば良いことがわかった。
30mバンドの送信が可能なバージョンでは1本だけ配線が少ない筈だ。 いずれも図の一番右側の絵と同じになるよう一部配線の撤去と配線変更を行なえば良い。
私が参照した資料は1989年7月号のモービルハム誌である。この号は18MHz(17m Band)と24MHz(12m Band)が追加で許可になった際の特集号であった。 そのため改造は既に10MHz(30m Band)が送信できるモデルを前提にしていた。
手持ちの実機ではそれ以前のバージョンであって、全WARC Bandともに送信禁止されたモデルだったから少々迷いが生じた。 しかし理屈がわかれば何のことはない。上図の中央のようになっていたものを一番右側の様にすれば良い訳だ。
【FT-101ZDのWARC Band送信禁止方法】
後世のマイコン搭載機なら、ソフトウエア的な対処で特定バンドの送信禁止ができる。 しかし、マイコン非搭載のFT-101ZDではそうした方法はとれない。(このあたりは、FT-901でも同じ)
WARC Bandの送信禁止は、ドライバ段のプレート同調回路の共振周波数を大きくずらすことで行なっていた。 即ち、左図のように30、17、12m Bandのポジションにスイッチされると、ドライバ段の同調コンデンサは40m Band(7MHz)のものが選択されるように配線されていた。
そうなっては、各WARC Bandともに終段管は殆どドライブされない、もしパワーが出たとしても微々たる物に過ぎない筈だ。 これで実質的に送信禁止できることになる。 関係するスイッチはウエファDだけの筈だが、配線を中継する為にウエファEの遊び端子を利用している。 電気的にはウエファEはまったく関係ない。
【WARC Band送信禁止解除後の回路】
取説に添付の回路図は左図のようになっているだろう。 これは各WARC Bandを含め、すべてのバンドで送信可能な状態に書いてあるものだ。 確かに最終形はこうなるのだが・・・。
しかしこの回路図をいくら眺めていてもどんな方法で送信禁止しているのかは想像すらできなかった。それがわからなくては禁止解除もできまい。 よもやWARC Bandのドライバ段の同調をずらすなど思いもよらなかった方法だ。hi hi
まったく旨い方法を考えたものである。 送信部が完全に死んだ訳ではないが実質的に送信できないようになっている。そうするために追加した部品はわずかな配線材だけなのだ。 部品費用の掛からない実利的な旨い方法だと感じた。設計担当者の工夫が感じられる。
なお、配線の状態を見るとJA向けモデルに限って実施していた措置のようだ。 生産ラインでは全バンド送信を含めて完全な状態で製造し、JA向けにはあとから禁止措置が追加さたように見える。 こうしないと保証認定機種にしてもらえなかったのだろうか?
【WARC Bandも送信可能に】
濃い青色の線が30mと20m Bandのポジションを結ぶ配線で、ループ状になった空色の線は17m と15m Bandのポジションを結ぶ配線だ。外して余った配線を再利用するのも良い。
ほかに、12m Bandを送信禁止にする濃い青色の配線があると思う。 それはハンダ付けを外して撤去するか、スイッチの端子の根元でカットしてしまえば良い。
入念な目視確認を行ない、他の配線や部品にダメージを与えていないかチェックしておく。 作業中は余計な場所にハンダを垂らさぬよう注意が必要だ。
【トリマコンデンサ・ボード】
説明が後先になるが、トリマコンデンサ・ボードは一旦外しておくと作業しやすい。 スイッチ回りに手をつける前に外しておく方が良かった。
ホードは裏面に配線が付いているので無理に引張らない様にし、シャシの隅の方へ一時退避しておく。 調整済みのトリマコンデンサなのでなるべく手を触れない方が良い。
【これで完成!】
作業中に外しておいたトリマコンデンサ・ボードを元に戻したら作業は終了だ。
あとは良く目視確認を行なってから、シールド板を元に戻して完了である。 必要があればネジ部には新しい隙間テープでも貼っておこう。
それほど難しい作業ではないから理屈を理解して作業すべき場所を間違えなければ1時間ほどで完了できる。 これでWARC Bandを含め全バンドの送受信が可能になった筈だ。 故障していない限り特別な調整は必要なく、あとは通電して動作確認を行なえば良い。
もちろん、改造してオンエアする為にはライセンスの問題はクリヤしておかねばならない。WARCバンドのうち10MHzは2アマ以上、18MHzは3アマ以上のライセンスで運用できる。24MHz帯は全資格がオンエアできる。ステーション・ライセンスも該当バンドの運用許可が必要だ。 FT-101Zを対象に変更に関する電子申請とTSSの保証認定取得に関してはJF1DIR・広瀬さんのBlog記事が参考になるでしょう。
☆ ☆ ☆ ☆
全半導体機に傾いていたこともあるが、当時は仕事が忙しかったこともあって、この時代のRigはあまり詳しくなかった。縁あってお譲り頂いたものの、手付かずのまま放っておいたのもさして興味がなかったからだ。 WARC Bandのこうした送信禁止はごく当たり前の手法だったのかもしれない。おなじ八重洲無線のFT-901もWARC Band付きモデルに共通の方法のようだ。 理屈がわかってしまえば対処方法もあるはず。まったく同じではないとは思うが、あとはFT-901オーナー自身でご研究を。
Kenwoodの当時の機械では、該当バンドのコイル類が基板に搭載されていなかった。そのためFT-101ZDやFT-901のように簡単にWARC Bandも・・・と言う訳にも行かないことがある。 八重洲のこのシリーズは、同調回路がミュー同調なのでそもそも広帯域だった。それが禍いして送信禁止をするには工夫を要した感じだが、のちのちWARC Bandを活かすには八重洲無線の方法が断然有利なようだ。
WARC Band対応だけでずいぶん長くなってしまった。次回はCWフィルタを装着し、電源を再投入するまでの過程を追うつもりだ。de JA9TTT/1
(つづく)←リンク・Part 4へ
2013年7月20日土曜日
【HAM】 A New life for FT-101ZD Part 2
【FT-101ZDにニューライフを:第2回】
【FT-101ZD】
写真は、レストアの済んだFT-101ZDだ。Part 2からは、こうなるまでの過程をご一緒に楽しんで頂きたいと思う。出来上がりは単なるシャックの「飾り」ではなく、良く整備すれば実用性能が得られる。
同時に、自身の作業メモを兼ねているので、その所々で気付いたポイントも書き留めて行く。
今から30年前の無線機とはどんな物だったのか、初めてなら目新しいしかもしれない。あるいはあらためて振り返り懐かしく思うお方もあるだろう。 高度成長からバブル経済へと向かう古き良き時代の無線機復活物語だ。 さあFT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!
注:整備開始は電源ケーブルをコンセントから抜いてから!(これが基本のキ)
【電源部分の清掃】
Part 1(←リンク)にも登場した写真だが、このように埃の堆積でかなり汚れていた。 写真の電源部分は、正面パネルから向かって左奥に位置している。
大きな電解コンデンサは終段用800Vを平滑する為のコンデンサだ。容量は各々200μF/500WVである。 800Vはトランスの320V巻線を両波倍電圧整流して得ている。 なお、受信時などほぼ無負荷状態では900V以上に上昇する。 高圧で尚かつ容量もある電源部なので内部をいじる際には危険を伴う。
この部分は発熱するので風通しが良いようになっている。キャビネットの通風穴の為に上からの埃が堆積し易い構造だ。 基板上に見える半固定抵抗器はファイナルのバイアス電圧調整(アイドリング電流調整)なので、ときどき点検・再調整を行ない同時に清掃もしておくと良い部分だ。
【高圧集塵】
このセラコンには高電圧が掛かっている。 この場所に限らず高電圧が掛かった部分には埃が付き易いものだ。 電気集塵器とおなじ原理であって、高電圧の掛かった場所には特にこのような黒いスス状の埃が付着している。
よほど酷くなければそれほど危険はないが、それも程度問題だろう。 昔の真空管式TVでは埃が原因で火災が起こったくらいなのでスス状の埃もたくさん溜まれば漏電の危険もありそうだ。このホコリは触れると周辺が真っ黒になるので、いじらずに掃除機で吸取ってしまうのが良い。
【空気の通路のホコリ】
終段管の冷却エアーが通る場所にはこのような綿ボコリが付着している。 空冷機構のある機械は内部が汚れ易いので定期的な清掃は必須と思って良い。
接点がむき出しのスイッチでは、甚だしいと接触不良の原因にもなる。 同じく掃除機で丁寧に吸取っておこう。 合わせて接点の状態を目視点検する。
こうした多段のロータリー・スイッチでバンド切換えする形式のリグでは、ここが原因の不具合が良く発生する。 特定のバンドで受信感度が落ちたり送信パワーが出ない事があって、スイッチの汚れによる接触不良が最たる原因だ。
【ファイナル・ボックス】
奥まった部分なので開けるのが億劫になる場所だ。 終段管(ファイナル・チューブ)は送信時に数10Wの発熱があるから強制通風されている。 ホコリを含んだ空気がたくさん流れてくる関係でこのように酷い状態になっている。
こうなってしまうと、輻射による放熱も空冷の効果も悪くなるからファイナル・チューブには甚だ居心地が悪かろう。
バリコンの羽根の間にも埃の堆積が見られるので掃除機で吸い取るだけではなく、エアー・ダスターなどのスプレーを使うのも良い。 但し、間違っても(熱くなっている)ファイナル・チューブに掛けたりしないように!(割れる)
注意:終段管の部分には高電圧が掛かっている。電源OFFしても200μFと言う大容量のコンデンサには電荷が暫く残っている。 電源OFFしたあと十分な時間を置かずに触れば間違いなく強い電撃を受けることになる。 テスターで電圧を確認し、電荷が残っていたら十分放電するなどの感電防止対策は必須である。不用意に電源が入らぬよう、ACコードをコンセントから抜いてから作業するのは基本の「キ」である。 命に関わるので安全作業に自信のない人はやってはいけない。その意味からも真空管機は経験のない人には向いてない。
【6146B】
真空管は取り外さないと奇麗にできない。 外す時には、金属製のハカマの部分を持って、左右にゆっくり揺すりながら丁寧に持ち上げる。 あまり角度を付けて揺すると、真空管ベースの中央部にある「キー」の部分が折れてしまうことがあるので十分な注意を!
このGE製6146Bの印刷は消え易いようで、水拭きしたら右の球のように文字が流れてしまった。 文字消えしないように注意深く清掃した方が良い。 水を含ませ固く絞った布でそっと拭けば奇麗になる。 左のようになればOKだ。 取り出した6146Bは少々ゲッターが焼けた感じも見えるがテストしたら十分なエミッションがあったので交換不要だった。
【奇麗になったファイナル・ボックス】
真空管を外してから内部を奇麗に掃除した。 バリコンなど周辺の部品を目視チェックしてから真空管を元に戻しておく。
RFCからパラ止めを通ってプレートキャプに行く配線はあまりゆとりが無い。真空管に無理の掛からないように取り回しておくこと。 無用な力がかかると送信時の膨張でクラックが入ってしまう危険がある。
ボックスのシールドカバーが高圧部分に当たらないことを良く確認してから確実にネジ止めしておく。
【ファンモーター】
風を作る大元のファンモーターはたぶん汚れが酷いはず。 本体リアパネルから外して清掃しよう。
外してみたら、このような有様だった。 掃除機で奇麗に吸取ってから必要があればハウジングからモーターも取り出して羽根の部分も拭き掃除しておく。(今回はそこまでしなかった)
潤滑の為に注油するとかえってホコリが付き易くなる。 モーターのゴロが出ている場合は、丁寧に分解したあとで軸受け部分を洗浄すると良い。その際に少量の潤滑を行なう程度にとどめるべきだ。 間違ってもCRC556のような潤滑剤を直接噴射してはいけない。 当座は良くなったように見えても、ホコリの固着で次に不調になった時にはもはや復旧は困難だ。
【ドライバ段とRF部】
FT-101ZDのファンモーターは吸い出し式である。 そのため、ファイナル・ボックスの回りの部分にも空気は流れている。 ドライバ段の真空管:12BY7Aの部分にも通風があるよう考慮されており、それなりに汚れていた。(写真は清掃済みのもの)
球の周辺を清掃し12BY7Aも奇麗に拭いておく。この12BY7AはNECのロゴ入りだが、どこか他メーカーからのOEM品かもしれない。特に劣化は見られない。他のSSB機も含めドライバ管の12BY7Aが劣化するケースには未だに遭遇したことはない。無闇な交換は不要だ。周辺部品の故障でもない限り12BY7Aが劣化する可能性は殆ど考えられない。
真空管を見ると何でも交換してみたがるのは素人修理の典型だ。私も予備の球は持っているが12BY7Aの交換が必要だった事はない。アマ無線機で送信状態が何万時間にも及ぶことは無いから普通は壊れないのだろう。 12BY7Aは家庭用のTV受像機には必ずと言って良いほど使われていた球だ。毎日6時間以上受像し約5年で約1万時間を超えるが、それで交換が必要なことなどなかった。 送信時にしかプレート電流が流れないSSBトランシーバのドライバ管:12BY7Aが消耗劣化することなど考えられないのである。もちろん、事故でもあれば別だがそれさえも稀だ。
なお、写真に見えるミュー同調部分ほかRF部分の基板部分へのホコリ付着は少ないだろう。 この部分を被うキャビネットには通気穴がないので上からの埃の堆積は少ないのだ。 それでも使用年月の経過で幾許かのホコリの浸入はあるので清掃はしておこう。柔かくて毛足の長い刷毛などを使いながら、掃除機で丁寧に吸い取っておく。
☆ ☆ ☆
まずは内部の清掃から始めた。 このあとはWARC Band改造やCWフィルタの取り付けが待っている。まずは清掃にしておかないと作業中に手指や衣服が汚れてしまうし、コネクタなどの接触面を汚す可能性がある。 ツマミや外装の清掃は勿論必要だがそれらに先立って内部から奇麗にしておく必要がある。整備の第一歩だと思う。
このFT-101ZDは様子から見て、購入後に一度も清掃していなかったようだ。外観も含め内部もだいぶ汚い状態だった。 それが年式以上に古ぼけて見えた原因だった。 おなじFT-101ZDなのにやや年式の新しいこの機体の方がずっと古びて見え程度も悪そうに感じたのもそのせいだったようだ。 WARC Bandの送信禁止解除とCWフィルタの装着まで話しを進めたかったが、お掃除だけで少々長くなってしまったので次回にしよう。de JA9TTT/1
(つづく)←リンク・Part 3へ
【FT-101ZD】
写真は、レストアの済んだFT-101ZDだ。Part 2からは、こうなるまでの過程をご一緒に楽しんで頂きたいと思う。出来上がりは単なるシャックの「飾り」ではなく、良く整備すれば実用性能が得られる。
同時に、自身の作業メモを兼ねているので、その所々で気付いたポイントも書き留めて行く。
今から30年前の無線機とはどんな物だったのか、初めてなら目新しいしかもしれない。あるいはあらためて振り返り懐かしく思うお方もあるだろう。 高度成長からバブル経済へと向かう古き良き時代の無線機復活物語だ。 さあFT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!
注:整備開始は電源ケーブルをコンセントから抜いてから!(これが基本のキ)
【電源部分の清掃】
Part 1(←リンク)にも登場した写真だが、このように埃の堆積でかなり汚れていた。 写真の電源部分は、正面パネルから向かって左奥に位置している。
大きな電解コンデンサは終段用800Vを平滑する為のコンデンサだ。容量は各々200μF/500WVである。 800Vはトランスの320V巻線を両波倍電圧整流して得ている。 なお、受信時などほぼ無負荷状態では900V以上に上昇する。 高圧で尚かつ容量もある電源部なので内部をいじる際には危険を伴う。
この部分は発熱するので風通しが良いようになっている。キャビネットの通風穴の為に上からの埃が堆積し易い構造だ。 基板上に見える半固定抵抗器はファイナルのバイアス電圧調整(アイドリング電流調整)なので、ときどき点検・再調整を行ない同時に清掃もしておくと良い部分だ。
【高圧集塵】
このセラコンには高電圧が掛かっている。 この場所に限らず高電圧が掛かった部分には埃が付き易いものだ。 電気集塵器とおなじ原理であって、高電圧の掛かった場所には特にこのような黒いスス状の埃が付着している。
よほど酷くなければそれほど危険はないが、それも程度問題だろう。 昔の真空管式TVでは埃が原因で火災が起こったくらいなのでスス状の埃もたくさん溜まれば漏電の危険もありそうだ。このホコリは触れると周辺が真っ黒になるので、いじらずに掃除機で吸取ってしまうのが良い。
【空気の通路のホコリ】
終段管の冷却エアーが通る場所にはこのような綿ボコリが付着している。 空冷機構のある機械は内部が汚れ易いので定期的な清掃は必須と思って良い。
接点がむき出しのスイッチでは、甚だしいと接触不良の原因にもなる。 同じく掃除機で丁寧に吸取っておこう。 合わせて接点の状態を目視点検する。
こうした多段のロータリー・スイッチでバンド切換えする形式のリグでは、ここが原因の不具合が良く発生する。 特定のバンドで受信感度が落ちたり送信パワーが出ない事があって、スイッチの汚れによる接触不良が最たる原因だ。
【ファイナル・ボックス】
奥まった部分なので開けるのが億劫になる場所だ。 終段管(ファイナル・チューブ)は送信時に数10Wの発熱があるから強制通風されている。 ホコリを含んだ空気がたくさん流れてくる関係でこのように酷い状態になっている。
こうなってしまうと、輻射による放熱も空冷の効果も悪くなるからファイナル・チューブには甚だ居心地が悪かろう。
バリコンの羽根の間にも埃の堆積が見られるので掃除機で吸い取るだけではなく、エアー・ダスターなどのスプレーを使うのも良い。 但し、間違っても(熱くなっている)ファイナル・チューブに掛けたりしないように!(割れる)
注意:終段管の部分には高電圧が掛かっている。電源OFFしても200μFと言う大容量のコンデンサには電荷が暫く残っている。 電源OFFしたあと十分な時間を置かずに触れば間違いなく強い電撃を受けることになる。 テスターで電圧を確認し、電荷が残っていたら十分放電するなどの感電防止対策は必須である。不用意に電源が入らぬよう、ACコードをコンセントから抜いてから作業するのは基本の「キ」である。 命に関わるので安全作業に自信のない人はやってはいけない。その意味からも真空管機は経験のない人には向いてない。
【6146B】
真空管は取り外さないと奇麗にできない。 外す時には、金属製のハカマの部分を持って、左右にゆっくり揺すりながら丁寧に持ち上げる。 あまり角度を付けて揺すると、真空管ベースの中央部にある「キー」の部分が折れてしまうことがあるので十分な注意を!
このGE製6146Bの印刷は消え易いようで、水拭きしたら右の球のように文字が流れてしまった。 文字消えしないように注意深く清掃した方が良い。 水を含ませ固く絞った布でそっと拭けば奇麗になる。 左のようになればOKだ。 取り出した6146Bは少々ゲッターが焼けた感じも見えるがテストしたら十分なエミッションがあったので交換不要だった。
【奇麗になったファイナル・ボックス】
真空管を外してから内部を奇麗に掃除した。 バリコンなど周辺の部品を目視チェックしてから真空管を元に戻しておく。
RFCからパラ止めを通ってプレートキャプに行く配線はあまりゆとりが無い。真空管に無理の掛からないように取り回しておくこと。 無用な力がかかると送信時の膨張でクラックが入ってしまう危険がある。
ボックスのシールドカバーが高圧部分に当たらないことを良く確認してから確実にネジ止めしておく。
【ファンモーター】
風を作る大元のファンモーターはたぶん汚れが酷いはず。 本体リアパネルから外して清掃しよう。
外してみたら、このような有様だった。 掃除機で奇麗に吸取ってから必要があればハウジングからモーターも取り出して羽根の部分も拭き掃除しておく。(今回はそこまでしなかった)
潤滑の為に注油するとかえってホコリが付き易くなる。 モーターのゴロが出ている場合は、丁寧に分解したあとで軸受け部分を洗浄すると良い。その際に少量の潤滑を行なう程度にとどめるべきだ。 間違ってもCRC556のような潤滑剤を直接噴射してはいけない。 当座は良くなったように見えても、ホコリの固着で次に不調になった時にはもはや復旧は困難だ。
【ドライバ段とRF部】
FT-101ZDのファンモーターは吸い出し式である。 そのため、ファイナル・ボックスの回りの部分にも空気は流れている。 ドライバ段の真空管:12BY7Aの部分にも通風があるよう考慮されており、それなりに汚れていた。(写真は清掃済みのもの)
球の周辺を清掃し12BY7Aも奇麗に拭いておく。この12BY7AはNECのロゴ入りだが、どこか他メーカーからのOEM品かもしれない。特に劣化は見られない。他のSSB機も含めドライバ管の12BY7Aが劣化するケースには未だに遭遇したことはない。無闇な交換は不要だ。周辺部品の故障でもない限り12BY7Aが劣化する可能性は殆ど考えられない。
真空管を見ると何でも交換してみたがるのは素人修理の典型だ。私も予備の球は持っているが12BY7Aの交換が必要だった事はない。アマ無線機で送信状態が何万時間にも及ぶことは無いから普通は壊れないのだろう。 12BY7Aは家庭用のTV受像機には必ずと言って良いほど使われていた球だ。毎日6時間以上受像し約5年で約1万時間を超えるが、それで交換が必要なことなどなかった。 送信時にしかプレート電流が流れないSSBトランシーバのドライバ管:12BY7Aが消耗劣化することなど考えられないのである。もちろん、事故でもあれば別だがそれさえも稀だ。
なお、写真に見えるミュー同調部分ほかRF部分の基板部分へのホコリ付着は少ないだろう。 この部分を被うキャビネットには通気穴がないので上からの埃の堆積は少ないのだ。 それでも使用年月の経過で幾許かのホコリの浸入はあるので清掃はしておこう。柔かくて毛足の長い刷毛などを使いながら、掃除機で丁寧に吸い取っておく。
☆ ☆ ☆
まずは内部の清掃から始めた。 このあとはWARC Band改造やCWフィルタの取り付けが待っている。まずは清掃にしておかないと作業中に手指や衣服が汚れてしまうし、コネクタなどの接触面を汚す可能性がある。 ツマミや外装の清掃は勿論必要だがそれらに先立って内部から奇麗にしておく必要がある。整備の第一歩だと思う。
このFT-101ZDは様子から見て、購入後に一度も清掃していなかったようだ。外観も含め内部もだいぶ汚い状態だった。 それが年式以上に古ぼけて見えた原因だった。 おなじFT-101ZDなのにやや年式の新しいこの機体の方がずっと古びて見え程度も悪そうに感じたのもそのせいだったようだ。 WARC Bandの送信禁止解除とCWフィルタの装着まで話しを進めたかったが、お掃除だけで少々長くなってしまったので次回にしよう。de JA9TTT/1
(つづく)←リンク・Part 3へ
2013年7月13日土曜日
【HAM】 A New life for FT-101ZD Part 1
【FT-101ZDにニューライフを】
写真は八重洲無線のFT-101ZD型トランシーバだ。 FT-101を名乗ってはいても、FT-101初代無印、FT-101B、FT-101Eの系列とは非なるものだ。 それらは、2回周波数変換のCollins Type受信部と、それを逆に辿る送信部で構成されていた。
FT-101Zはどちらかと言えば、同じ八重洲無線ならFT-200に近いかも知れない。 バンド・ワイズ機能(可変帯域幅機能)のための追加2回の周波数変換を除けばたった1回だけの周波数変換である。要するにシングルスーパー構成の受信部だ。送信部もその逆を辿る。ミキサー段の多さ=性能が劣化・・・に目覚め始めた時代のリグである。
詳しことはこの先々明らかになると思うが、まずは年代物トランシーバを登場させたのかを書かねばなるまい。
【FT-101ZD MKⅢ】
FT-101ZDには大きく分けて3つの世代があった。 その最終世代は俗にMark Ⅲと呼ばれている。 Mark Ⅲは何が違うのかと言えばWARCバンドが含まれることだろう。 もちろん八重洲無線のリグの常で、同じ型番でも機能や性能・・・もちろん回路やデバイスも異なるもの多岐にわたるが、Mark Ⅲではバンドが増えているのが最大の特徴だ。ツマミの銀色の飾りでも簡単に区別できる。
WARCバンド(ワーク・バンド)は、JAではまず10MHzバンドから許可された。(1982年4月1日) その後7年3ヶ月も経過した1989年7月1日に18MHzと24MHzの二つが追加許可になった。 私がオンエアしたのは10MHzからであったが、その頃のシャックは全半導体機になっていた。だから真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしたことはなかった。
最近になって、ファイナルとドライバだけではあっても真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしてみたくなった。 拙宅には真空管ファイナルで全WARC Bandに対応するのはこのFT-101ZDしかない。 但しWARCバンドは送信禁止措置がなされていて、それを解除しなくてはならない。しかも一本のジャンパー線やダイオードのカットと言った簡単な方法では解除できない模様だ。
(もう少し新しいFT-102やTS-830、TS-530などがあったら良かったのだが・・・笑)
【XF-8.9HC CWフィルタ】
このCW用クリスタル・フィルタは、さる大OMに頂いたものだ。数年前に他界されたのでもはや遺品である。生前に頂いたとき「ぜひ活用して下さい」とのコメントが付いていた。 だから何とか活かしたい。
この周波数のクリスタル・フィルタを使うリグは限られている。拙宅で他に使うとすればFT-901あたりだが、そちらには既にCWフィルタは付いている。生憎それはWARCバンドなしのモデルだ。復活させてやりたいFT-101ZDには付いていないから、こちらで活用するのがベストだ。
以前、可変帯域の機能を使っでCWにオンエアしたこともあったが、無いよりマシではあっても代用品には限界があると感じた。ぜひともちゃんとしたCWフィルタが欲しいものだ。黒点サイクル24のピークでコンディション良好になっている18MHz/CWにオンエアの予定だ。EuとやるにはCWフィルタ無しでは手前のU-Zoneの混信がだいぶたいへんだ。hi
【FT-101ZDのIF基板】
FT-101Z以前のFT-101シリーズや、FT-901ならCWフィルタ装着はいともたやすい。 それに対してFT-101Zのシリーズは構造がまるで違っていて、このような基板重層構造なのである。
簡単にプラグイン式の基板を外して、ささっとフィルタを実装して・・・と言うのは通用しない。 上になった基板をまず外したら幾つかのコネクタも外し、ネジも何本か取らないと基板にアクセスできないのだ。 このIF基板さえ取り外せばフィルタの装着そのものはごく簡単そうである。 そこまで辿り着くのは面倒そうで、どうも気が重い。しかし、ここはやるしかないナ。
【だいぶ汚れが・・・】
この、FT-101ZDは汚れている。 上の方のパネル面の写真も見てもらえばわかるが、お掃除なんか一切したことがないのではないか。
以前はタバコ臭かったと思うので積もったホコリも何となくヤニっぽい感じ。 年数がたったお陰で殆ど臭わないのがせめてもの救いだ。
ここはしっかりお掃除してやらないと活躍してもらえないだろう。丸洗いまでは必要なさそうだが、入念な清掃は要りそうに見える。(重要:たとえどんなに汚れていても、水や水性の洗剤での丸洗いは電子機器の寿命を縮めてしまうのでやるべきではない。電子部品が劣化する原因のかなりが水分の存在にある。どうしても洗いたいなら解体して大丈夫な部品だけで行なうべきだ。水分が内部に浸透してしまうトランスやコイル類は洗ってはいけない。完全乾燥はほとんど不可能だ。見かけを綺麗にしても機器の寿命を縮めては意味がない)
なお、これとは別に惚れ惚れするくらい美しいFT-101ZDもあってそちらを積極的に使いたかった。しかしそちらは残念なことにWARCバンドの無いモデルだった。だから今回の目的には程度のあまり良くないコレを整備するしか無かったのである。
【局発の水晶群】
FT-101ZDの特徴は水晶発振とVFOをプリミックスして局発を作っていることにつきるかも知れない。 写真は、各バンド用の水晶発振回路だ。 水晶発振子を切り替えるのではなく、発振回路ごとまるまる電子的に切り替える方式だ。
それでは不経済のように見えるだろう。発振用トランジスタがバンドの数だけ必要になるし他の部品も同様にいっぱい必要なのだ。 しかしユニットとしては完成し易いので、部品のコストよりも機能実現の容易さと作り易さを優先したのであろう。 それにFT-101ZDの時代にもなればトランジスタのお値段はCR部品とさして違わなくなっていた。トランジスタが少々多くなっても機能がスッキリ整理されるなら、その方が良いと言う設計法も合理的になってきた時代なのだろう。
☆ ☆ ☆
KenwoodのTS-590の登場によって再び低い第一IF周波数へ周波数変換する形式が見直されている。 確かに良い特性のフィルタに真っ先に通すことができればその後の信号処理はだいぶ楽になる。 FT-101ZDもMark ⅢともなればミキサーはDi-DBMになりIIP3もかなり改善されている。もちろん信号処理系は全てアナログだから、ごくごく弱い信号がデジタル処理に埋もれて見失うことも無さそうだ。 FT-901の廉価版として登場したFT-101ZDだが、この頃にもなると部分的にはそれを凌駕するほどになっていた。一概に大衆向け廉価モデルだと言って侮れないようだ。
製造番号によれば、このFT-101ZDは1982年3月に製造されたらしい。すでに30年以上ゆうに経過しているから電子機器としての寿命は尽きているだろう。 しかし専用部品に致命的な故障が無ければ不具合を丹念に補修して行くことで初期状態に近づけることもできそうだ。1980年代にもなれば日本製電子部品のクオリティは非常に高くなっていたはず。昨今のチャイナクオリティとは明らかに別物だ。 真空管機で全WARCバンドにオンエア、そして遺品のCWフィルタ活用と言う目的でまずは始めてみよう。de JA9TTT/1
(つづく)←リンク・Part 2へ
写真は八重洲無線のFT-101ZD型トランシーバだ。 FT-101を名乗ってはいても、FT-101初代無印、FT-101B、FT-101Eの系列とは非なるものだ。 それらは、2回周波数変換のCollins Type受信部と、それを逆に辿る送信部で構成されていた。
FT-101Zはどちらかと言えば、同じ八重洲無線ならFT-200に近いかも知れない。 バンド・ワイズ機能(可変帯域幅機能)のための追加2回の周波数変換を除けばたった1回だけの周波数変換である。要するにシングルスーパー構成の受信部だ。送信部もその逆を辿る。ミキサー段の多さ=性能が劣化・・・に目覚め始めた時代のリグである。
詳しことはこの先々明らかになると思うが、まずは年代物トランシーバを登場させたのかを書かねばなるまい。
【FT-101ZD MKⅢ】
FT-101ZDには大きく分けて3つの世代があった。 その最終世代は俗にMark Ⅲと呼ばれている。 Mark Ⅲは何が違うのかと言えばWARCバンドが含まれることだろう。 もちろん八重洲無線のリグの常で、同じ型番でも機能や性能・・・もちろん回路やデバイスも異なるもの多岐にわたるが、Mark Ⅲではバンドが増えているのが最大の特徴だ。ツマミの銀色の飾りでも簡単に区別できる。
WARCバンド(ワーク・バンド)は、JAではまず10MHzバンドから許可された。(1982年4月1日) その後7年3ヶ月も経過した1989年7月1日に18MHzと24MHzの二つが追加許可になった。 私がオンエアしたのは10MHzからであったが、その頃のシャックは全半導体機になっていた。だから真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしたことはなかった。
最近になって、ファイナルとドライバだけではあっても真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしてみたくなった。 拙宅には真空管ファイナルで全WARC Bandに対応するのはこのFT-101ZDしかない。 但しWARCバンドは送信禁止措置がなされていて、それを解除しなくてはならない。しかも一本のジャンパー線やダイオードのカットと言った簡単な方法では解除できない模様だ。
(もう少し新しいFT-102やTS-830、TS-530などがあったら良かったのだが・・・笑)
【XF-8.9HC CWフィルタ】
このCW用クリスタル・フィルタは、さる大OMに頂いたものだ。数年前に他界されたのでもはや遺品である。生前に頂いたとき「ぜひ活用して下さい」とのコメントが付いていた。 だから何とか活かしたい。
この周波数のクリスタル・フィルタを使うリグは限られている。拙宅で他に使うとすればFT-901あたりだが、そちらには既にCWフィルタは付いている。生憎それはWARCバンドなしのモデルだ。復活させてやりたいFT-101ZDには付いていないから、こちらで活用するのがベストだ。
以前、可変帯域の機能を使っでCWにオンエアしたこともあったが、無いよりマシではあっても代用品には限界があると感じた。ぜひともちゃんとしたCWフィルタが欲しいものだ。黒点サイクル24のピークでコンディション良好になっている18MHz/CWにオンエアの予定だ。EuとやるにはCWフィルタ無しでは手前のU-Zoneの混信がだいぶたいへんだ。hi
【FT-101ZDのIF基板】
FT-101Z以前のFT-101シリーズや、FT-901ならCWフィルタ装着はいともたやすい。 それに対してFT-101Zのシリーズは構造がまるで違っていて、このような基板重層構造なのである。
簡単にプラグイン式の基板を外して、ささっとフィルタを実装して・・・と言うのは通用しない。 上になった基板をまず外したら幾つかのコネクタも外し、ネジも何本か取らないと基板にアクセスできないのだ。 このIF基板さえ取り外せばフィルタの装着そのものはごく簡単そうである。 そこまで辿り着くのは面倒そうで、どうも気が重い。しかし、ここはやるしかないナ。
【だいぶ汚れが・・・】
この、FT-101ZDは汚れている。 上の方のパネル面の写真も見てもらえばわかるが、お掃除なんか一切したことがないのではないか。
以前はタバコ臭かったと思うので積もったホコリも何となくヤニっぽい感じ。 年数がたったお陰で殆ど臭わないのがせめてもの救いだ。
ここはしっかりお掃除してやらないと活躍してもらえないだろう。丸洗いまでは必要なさそうだが、入念な清掃は要りそうに見える。(重要:たとえどんなに汚れていても、水や水性の洗剤での丸洗いは電子機器の寿命を縮めてしまうのでやるべきではない。電子部品が劣化する原因のかなりが水分の存在にある。どうしても洗いたいなら解体して大丈夫な部品だけで行なうべきだ。水分が内部に浸透してしまうトランスやコイル類は洗ってはいけない。完全乾燥はほとんど不可能だ。見かけを綺麗にしても機器の寿命を縮めては意味がない)
なお、これとは別に惚れ惚れするくらい美しいFT-101ZDもあってそちらを積極的に使いたかった。しかしそちらは残念なことにWARCバンドの無いモデルだった。だから今回の目的には程度のあまり良くないコレを整備するしか無かったのである。
【局発の水晶群】
FT-101ZDの特徴は水晶発振とVFOをプリミックスして局発を作っていることにつきるかも知れない。 写真は、各バンド用の水晶発振回路だ。 水晶発振子を切り替えるのではなく、発振回路ごとまるまる電子的に切り替える方式だ。
それでは不経済のように見えるだろう。発振用トランジスタがバンドの数だけ必要になるし他の部品も同様にいっぱい必要なのだ。 しかしユニットとしては完成し易いので、部品のコストよりも機能実現の容易さと作り易さを優先したのであろう。 それにFT-101ZDの時代にもなればトランジスタのお値段はCR部品とさして違わなくなっていた。トランジスタが少々多くなっても機能がスッキリ整理されるなら、その方が良いと言う設計法も合理的になってきた時代なのだろう。
☆ ☆ ☆
KenwoodのTS-590の登場によって再び低い第一IF周波数へ周波数変換する形式が見直されている。 確かに良い特性のフィルタに真っ先に通すことができればその後の信号処理はだいぶ楽になる。 FT-101ZDもMark ⅢともなればミキサーはDi-DBMになりIIP3もかなり改善されている。もちろん信号処理系は全てアナログだから、ごくごく弱い信号がデジタル処理に埋もれて見失うことも無さそうだ。 FT-901の廉価版として登場したFT-101ZDだが、この頃にもなると部分的にはそれを凌駕するほどになっていた。一概に大衆向け廉価モデルだと言って侮れないようだ。
製造番号によれば、このFT-101ZDは1982年3月に製造されたらしい。すでに30年以上ゆうに経過しているから電子機器としての寿命は尽きているだろう。 しかし専用部品に致命的な故障が無ければ不具合を丹念に補修して行くことで初期状態に近づけることもできそうだ。1980年代にもなれば日本製電子部品のクオリティは非常に高くなっていたはず。昨今のチャイナクオリティとは明らかに別物だ。 真空管機で全WARCバンドにオンエア、そして遺品のCWフィルタ活用と言う目的でまずは始めてみよう。de JA9TTT/1
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2013年6月15日土曜日
【部品】Standard E-series
電子部品の実用知識:標準E系列について:
☆はじめに:
自身の参照を主目的として旧webサイトには部品のE系列のページがあった。 今や殆どの電子部品が採用していてE系列はポピュラーである。 それでも、その値はE12系列にはあったのか、あるいはE24系列だろうか? ・・・と言うように考えてしまうこともある。 基本的に過去記事の再掲載はしない方針なのだが、近ごろ忘れっぽくなって来たので自家用にもう一度作っておくことにした。 従って内容は以前のweb版と同じだ。
☆任意の値の抵抗器やコンデンサは必要か?:
トランジスタで増幅回路の設計をしている。 バイアス回路の設計を始めると、例えば123Ωのエミッタ抵抗が欲しいとか、17kΩのベース・ブリーダ抵抗があれば・・・とか。 また発振回路の周波数を決めるコンデンサには238pFが丁度良いのだが・・・と思うことがあるだろう。 しかし、実際に(容易に)手に入る部品は一定のルールに従った飛び飛びの値である。
なぜ123Ωの抵抗や238pFのコンデンサは無いのだろうか? もちろん無限の種類の抵抗器やコンデンサを用意出来ないからだが、もう一つの大きな理由は電子部品には「誤差」が付き物だからだ。 更に多くの回路では10%や20%の部品誤差があっても正常動作するものだし、そのように設計しておくのが「良い設計」でもある。 従って123Ωや238pFはなくても120Ωや220pFがあれば事足りる。
☆誤差と刻み:
誤差を前提とすれば、無闇に細かい刻みは不要で、一定の間隔ごとの数値で良いことがわかる。では、例えば1KΩ〜10KΩの間を1KΩおきの抵抗を用意しておくべきだろうか?
一見わかり易くて便利そうに感じるがこれは不合理だ。 いま誤差10%とすれば10kΩの抵抗は、9kΩから11kΩの範囲にある。 ところが、9kΩの抵抗は8.1kΩから9.9kΩの範囲にあることになる。 誤差のために9kΩの抵抗値と10kΩの抵抗値がオーバーラップしてしまう。 即ち、表示が10kΩの抵抗より、9kΩの抵抗の方が抵抗が高いという困った現象が現実に起こり得るのだ。 9KΩだと電圧が高いから10KΩに交換しよう・・そうしらもっと電圧が高くなってしまった・・と言うようなことが起きれば大混乱だ。 誤差は真値のパーセントで考えるので、等差数列ではうまくないのだ。実際には誤差を考慮した上で、等比数列で用意されている。
☆E系列とは:
誤差を考えたときに、隣りの値とオーバーラップすることなく合理的な数値の並びになるように、等比数列で決めたのがE系列と言われるもの。 これは、1を基数とすれば、その次の値を10^(1/E)倍になるように決めるものである。 一般には、E3、E6、E12、E24と呼ばれる等比数列が用いられている。もっとも合理的な方法として、元々は米国で採用されたが、今では日本工業規格JISにも決められている。
参考:旧JISではR-5、R-10、R-20と言ったR系列が使用されていた。意味するところはE系列と同じで、数値は10^(1/R)倍の等比数列になっていた。E系列に変更したのは国際共通化(米国化?)の流れからであろう。12進が基調のE系列よりも10進が基調のR系列の方が日本人には良さそうな気もするのだが・・・。 R系列はコンデンサの耐圧区分などで今でも見かけるようだ。例えば、耐電圧が16V、63V、125V、250V、315V・・・などの種類があるのはR-10系列の名残と思う。
●E6系列の具体例:
10^(1/6)=1.46779926・・・である。また、有効数字は2桁とする。従って、1kΩの次は1.5kΩとなる。1.5kΩの次は、その1.46779926・・倍で、2.2kΩだ。さらに、その次は3.3kΩ、その次は4.7kΩ、その次は6.8kΩ、そして桁が上がって10kΩとなり、15KΩ、22KΩ・・・と言うように繰り返えす。
以下の表はよく使われるE系列を示したものだ。一般の電子部品はこの系列に従った値で市販されている。 従って、ありそうな値の250Ωとか、450pFと言った部品は普通は使われていない。 秋葉原では例外的に250pFのコンデンサや500Ωの抵抗器などが、主に「アマチュア相手」に売っている。しかし、それらは旧JISの名残であって、新規設計では下表のようにE系列から選ぶのが合理的だ。 ラジオなど一般電子機器の修理にあたってもE系列から近似の値から選べば十分であり、その方が機器の保守も容易になる。
●E96系列:
滅多に使うことも無いのだがE96系列を一覧で示す。 これが必要になるのはよほど特殊な回路の筈で、入手性も悪いしコストも割高になる。一覧表にあるからと言って採用するのはあまり得策ではない。 但し同じ回路を大量に製作するような場合であって、もしもE96系列から選ぶことで無調整化が図れる・・・などの大きなメリットがあるなら意味はあるだろう。特注することを前提に採用したらどうだろうか。 なお、誤差はB(±0.1%)あるいは、C(±0.25%)から選択することになる。 もしもF(±1%)でも良いのなら上記のE24から選んで済ませるべきだと思う。 なお、E24系列の次にはE48系列というものあるのだが、E96よりも見ないように思うので省略した。
例:100Ω台の場合、100Ω、102Ω、105Ω、107Ω・・・191Ω、196Ωそして200Ωになる。この例のように非常に小刻みな値が選べるが普通の部品店に置いてあることは稀なので『絵に描いた餅』と同じようなものかも。 確か、秋葉原のラジオデパートにはE96の抵抗を扱うお店が有ったように思うが・・・。ほかに、RSコンポーネンツでも各種入手できる(1個単位では買えない)が当然ながら誤差0.1%といった高精度抵抗器なのでかなり割高である。しかし、昔より容易に手に入るのは良い時代と思う。 他にE192と言うのもあるのだが・・・誰が使うのだろう。(笑)
☆抵抗器と値の選び方:
以上のような訳で、E系列から選ぶのが回路屋の常識と言うことになる。 現在市販されている抵抗器はカーボン抵抗では誤差5%(記号はJ)が、金属皮膜抵抗では誤差1%(記号はF)が一般的だ。従ってカーボン抵抗ならE6かE12で、金属皮膜ならE12かE24のいずれでも良いことになる。 またセメント抵抗ではE6が、酸化金属皮膜抵抗ではE12が多い。 いまや主流の表面実装用チップ抵抗器でもE12系列(部分的にはE24系列も可)ならたいてい問題は無い。 使用する抵抗器の品種が決まれば自ずと数値および誤差の範囲も決まってしまう。 それを無視して選択すれば、特注品になってコストや納期の点でたいへん不利だ。(お馬鹿な設計と言うことなのだが、何気にやってしまいそう・笑)
同様に、E24系列の抵抗値を指定しながら誤差は10%で良いと言うのもナンセンスで、それならE12あたりから近似の値を選ぶのが合理的と言うか常識と言うべきだろうか。
☆コンデンサの種類と値の選び方:
コンデンサは抵抗器よりも選べる数値は少ない。 また、どのE系列で用意されているのかはコンデンサの種類による。 例えば電解コンデンサではE6系列が普通だ。 フィルム系のコンデンサもE6が多く、せいぜいE12までだ。 一番品揃えの良いセラミックコンデンサでもE24でカバーされるのは一部の範囲のみである。 従ってなるべくE12系列で済ませ、E6系列で済むように努力すべきだ。 そうすれば入手性は良いし、コストでも有利だ。
即ち、・・0.47、0.68、1.0、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8、10、15、22・・と言う数列で選ぶのが良い。
☆コイルの値と選び方:(参考程度)
コイルの既製品は選択肢が殆ど無い。自身の用途にピッタリな市販品が存在することは稀かもしれない。 E6系列あるいはE12系列のうち一部の値の「インダクタ」が市販されているのみだ。 製品に使うならコイルメーカー(例えば、ここやこことかここなど)のカタログを良く調べる必要がある。 秋葉原や日本橋の店頭で手に入る種類はごく少ない。
同調回路に使うようなコイルはトロイダルコア(サトー電気などで買う)を使って自製するのが手っ取り早い。 ノイズ対策用のインダクタは規格化されているので入手し易い。 但し同調回路に使うのはQuや温度係数の問題もあるのでダメだと思った方が賢明だ。
SW電源に使うコイルはインダクタンス値だけでなく、動作周波数と扱える電流・電力容量が重要な要素なので既製品はたいへん限られる。SW電源用ICのアプリケーション・マニュアル等を参照し最適な物を特注しないと電源としての変換効率が上がらない。コイルとは言ってもRF用とは別世界である。
ラジオ作りにフェライト・バーアンテナ・コイルの既製品を欲しがる人も多いが市販ラジオに使ってあるような物は特注品であろう。同じ物は手に入らないと思った方が良い。
但しフェライト・コア材の市販品は幾らか見かけるので、リッツ線などを自分で巻けば最適な品が手に入る。 同調側巻き数は、使用バリコンの容量に合わせて必要なインダクタンスになるようにする。 タップの位置、あるいはベース側巻線は同調側の10%程度から実験してみればたいてい旨く行くだろう。もちろん、ちゃんとした設計手法はあって使うコア材の種類とフェライト・バーの形状寸法が決まれば具体的な数字で示すこともできる訳だ。
昔は既成のバーアンテナ各種がラジオ用に、例えばミューラー電機etc.から出ていたのだが・・・。
左は、たいへん古い雑誌から取ったミューラー電機の広告ページである。(転載不可) もうどこにも売ってはいまい。 上の写真が広告下段にあるミューラー0840TR型。φ8mmで長さ40mmの意味らしい。昔はラジオ製作の定番コイルだった。0840TRの公称インダクタンスは300μH。
今はアイコー電子のPA-63Rと言うのが入手容易で自作ラジオにはよく使われているようだ。 PA-63Rの公称インダクタンスは360μHとのこと。最大容量:250〜300pF程度のバリコンと一緒に使う。
(脱線も程々にしておこう)
☆はじめに:
自身の参照を主目的として旧webサイトには部品のE系列のページがあった。 今や殆どの電子部品が採用していてE系列はポピュラーである。 それでも、その値はE12系列にはあったのか、あるいはE24系列だろうか? ・・・と言うように考えてしまうこともある。 基本的に過去記事の再掲載はしない方針なのだが、近ごろ忘れっぽくなって来たので自家用にもう一度作っておくことにした。 従って内容は以前のweb版と同じだ。
☆任意の値の抵抗器やコンデンサは必要か?:
トランジスタで増幅回路の設計をしている。 バイアス回路の設計を始めると、例えば123Ωのエミッタ抵抗が欲しいとか、17kΩのベース・ブリーダ抵抗があれば・・・とか。 また発振回路の周波数を決めるコンデンサには238pFが丁度良いのだが・・・と思うことがあるだろう。 しかし、実際に(容易に)手に入る部品は一定のルールに従った飛び飛びの値である。
なぜ123Ωの抵抗や238pFのコンデンサは無いのだろうか? もちろん無限の種類の抵抗器やコンデンサを用意出来ないからだが、もう一つの大きな理由は電子部品には「誤差」が付き物だからだ。 更に多くの回路では10%や20%の部品誤差があっても正常動作するものだし、そのように設計しておくのが「良い設計」でもある。 従って123Ωや238pFはなくても120Ωや220pFがあれば事足りる。
☆誤差と刻み:
誤差を前提とすれば、無闇に細かい刻みは不要で、一定の間隔ごとの数値で良いことがわかる。では、例えば1KΩ〜10KΩの間を1KΩおきの抵抗を用意しておくべきだろうか?
一見わかり易くて便利そうに感じるがこれは不合理だ。 いま誤差10%とすれば10kΩの抵抗は、9kΩから11kΩの範囲にある。 ところが、9kΩの抵抗は8.1kΩから9.9kΩの範囲にあることになる。 誤差のために9kΩの抵抗値と10kΩの抵抗値がオーバーラップしてしまう。 即ち、表示が10kΩの抵抗より、9kΩの抵抗の方が抵抗が高いという困った現象が現実に起こり得るのだ。 9KΩだと電圧が高いから10KΩに交換しよう・・そうしらもっと電圧が高くなってしまった・・と言うようなことが起きれば大混乱だ。 誤差は真値のパーセントで考えるので、等差数列ではうまくないのだ。実際には誤差を考慮した上で、等比数列で用意されている。
☆E系列とは:
誤差を考えたときに、隣りの値とオーバーラップすることなく合理的な数値の並びになるように、等比数列で決めたのがE系列と言われるもの。 これは、1を基数とすれば、その次の値を10^(1/E)倍になるように決めるものである。 一般には、E3、E6、E12、E24と呼ばれる等比数列が用いられている。もっとも合理的な方法として、元々は米国で採用されたが、今では日本工業規格JISにも決められている。
参考:旧JISではR-5、R-10、R-20と言ったR系列が使用されていた。意味するところはE系列と同じで、数値は10^(1/R)倍の等比数列になっていた。E系列に変更したのは国際共通化(米国化?)の流れからであろう。12進が基調のE系列よりも10進が基調のR系列の方が日本人には良さそうな気もするのだが・・・。 R系列はコンデンサの耐圧区分などで今でも見かけるようだ。例えば、耐電圧が16V、63V、125V、250V、315V・・・などの種類があるのはR-10系列の名残と思う。
●E6系列の具体例:
10^(1/6)=1.46779926・・・である。また、有効数字は2桁とする。従って、1kΩの次は1.5kΩとなる。1.5kΩの次は、その1.46779926・・倍で、2.2kΩだ。さらに、その次は3.3kΩ、その次は4.7kΩ、その次は6.8kΩ、そして桁が上がって10kΩとなり、15KΩ、22KΩ・・・と言うように繰り返えす。
以下の表はよく使われるE系列を示したものだ。一般の電子部品はこの系列に従った値で市販されている。 従って、ありそうな値の250Ωとか、450pFと言った部品は普通は使われていない。 秋葉原では例外的に250pFのコンデンサや500Ωの抵抗器などが、主に「アマチュア相手」に売っている。しかし、それらは旧JISの名残であって、新規設計では下表のようにE系列から選ぶのが合理的だ。 ラジオなど一般電子機器の修理にあたってもE系列から近似の値から選べば十分であり、その方が機器の保守も容易になる。
| 系列 | 数 列 | |||||||||||||||||||||||
| E3 | 1.0 | 2.2 | 4.7 | |||||||||||||||||||||
| E6 | 1.0 | 1.5 | 2.2 | 3.3 | 4.7 | 6.8 | ||||||||||||||||||
| E12 | 1.0 | 1.2 | 1.5 | 1.8 | 2.2 | 2.7 | 3.3 | 3.9 | 4.7 | 5.6 | 6.8 | 8.2 | ||||||||||||
| E24 | 1.0 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 1.5 | 1.6 | 1.8 | 2.0 | 2.2 | 2.4 | 2.7 | 3.0 | 3.3 | 3.6 | 3.9 | 4.3 | 4.7 | 5.1 | 5.6 | 6.2 | 6.8 | 7.5 | 8.2 | 9.1 |
●E96系列:
滅多に使うことも無いのだがE96系列を一覧で示す。 これが必要になるのはよほど特殊な回路の筈で、入手性も悪いしコストも割高になる。一覧表にあるからと言って採用するのはあまり得策ではない。 但し同じ回路を大量に製作するような場合であって、もしもE96系列から選ぶことで無調整化が図れる・・・などの大きなメリットがあるなら意味はあるだろう。特注することを前提に採用したらどうだろうか。 なお、誤差はB(±0.1%)あるいは、C(±0.25%)から選択することになる。 もしもF(±1%)でも良いのなら上記のE24から選んで済ませるべきだと思う。 なお、E24系列の次にはE48系列というものあるのだが、E96よりも見ないように思うので省略した。
| 10.0 | 10.2 | 10.5 | 10.7 | 11.0 | 11.3 | 11.5 | 11.8 | 12.1 | 12.4 | 12.7 | 13.0 | |
| 13.3 | 13.7 | 14.0 | 14.3 | 14.7 | 15.0 | 15.4 | 15.8 | 16.2 | 16.5 | 16.9 | 17.4 | |
| 17.8 | 18.2 | 18.7 | 19.1 | 19.6 | 20.0 | 20.5 | 21.0 | 21.5 | 22.1 | 22.6 | 23.2 | |
| 23.7 | 24.3 | 24.9 | 25.5 | 26.1 | 26.7 | 27.4 | 28.0 | 28.7 | 29.4 | 30.1 | 30.9 | |
| 31.6 | 32.4 | 33.2 | 34.0 | 34.8 | 35.7 | 36.5 | 37.4 | 38.3 | 39.2 | 40.2 | 41.2 | |
| 42.2 | 43.2 | 44.2 | 45.3 | 46.4 | 47.5 | 48.7 | 49.9 | 51.1 | 52.3 | 53.6 | 54.9 | |
| 56.2 | 57.6 | 59.0 | 60.4 | 61.9 | 63.4 | 64.9 | 66.5 | 68.1 | 69.8 | 71.5 | 73.2 | |
| 75.0 | 76.8 | 78.7 | 80.6 | 82.5 | 84.5 | 86.6 | 88.7 | 90.9 | 93.1 | 95.3 | 97.6 |
例:100Ω台の場合、100Ω、102Ω、105Ω、107Ω・・・191Ω、196Ωそして200Ωになる。この例のように非常に小刻みな値が選べるが普通の部品店に置いてあることは稀なので『絵に描いた餅』と同じようなものかも。 確か、秋葉原のラジオデパートにはE96の抵抗を扱うお店が有ったように思うが・・・。ほかに、RSコンポーネンツでも各種入手できる(1個単位では買えない)が当然ながら誤差0.1%といった高精度抵抗器なのでかなり割高である。しかし、昔より容易に手に入るのは良い時代と思う。 他にE192と言うのもあるのだが・・・誰が使うのだろう。(笑)
☆抵抗器と値の選び方:
以上のような訳で、E系列から選ぶのが回路屋の常識と言うことになる。 現在市販されている抵抗器はカーボン抵抗では誤差5%(記号はJ)が、金属皮膜抵抗では誤差1%(記号はF)が一般的だ。従ってカーボン抵抗ならE6かE12で、金属皮膜ならE12かE24のいずれでも良いことになる。 またセメント抵抗ではE6が、酸化金属皮膜抵抗ではE12が多い。 いまや主流の表面実装用チップ抵抗器でもE12系列(部分的にはE24系列も可)ならたいてい問題は無い。 使用する抵抗器の品種が決まれば自ずと数値および誤差の範囲も決まってしまう。 それを無視して選択すれば、特注品になってコストや納期の点でたいへん不利だ。(お馬鹿な設計と言うことなのだが、何気にやってしまいそう・笑)
同様に、E24系列の抵抗値を指定しながら誤差は10%で良いと言うのもナンセンスで、それならE12あたりから近似の値を選ぶのが合理的と言うか常識と言うべきだろうか。
☆コンデンサの種類と値の選び方:
コンデンサは抵抗器よりも選べる数値は少ない。 また、どのE系列で用意されているのかはコンデンサの種類による。 例えば電解コンデンサではE6系列が普通だ。 フィルム系のコンデンサもE6が多く、せいぜいE12までだ。 一番品揃えの良いセラミックコンデンサでもE24でカバーされるのは一部の範囲のみである。 従ってなるべくE12系列で済ませ、E6系列で済むように努力すべきだ。 そうすれば入手性は良いし、コストでも有利だ。
即ち、・・0.47、0.68、1.0、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8、10、15、22・・と言う数列で選ぶのが良い。
☆コイルの値と選び方:(参考程度)
コイルの既製品は選択肢が殆ど無い。自身の用途にピッタリな市販品が存在することは稀かもしれない。 E6系列あるいはE12系列のうち一部の値の「インダクタ」が市販されているのみだ。 製品に使うならコイルメーカー(例えば、ここやこことかここなど)のカタログを良く調べる必要がある。 秋葉原や日本橋の店頭で手に入る種類はごく少ない。
同調回路に使うようなコイルはトロイダルコア(サトー電気などで買う)を使って自製するのが手っ取り早い。 ノイズ対策用のインダクタは規格化されているので入手し易い。 但し同調回路に使うのはQuや温度係数の問題もあるのでダメだと思った方が賢明だ。
SW電源に使うコイルはインダクタンス値だけでなく、動作周波数と扱える電流・電力容量が重要な要素なので既製品はたいへん限られる。SW電源用ICのアプリケーション・マニュアル等を参照し最適な物を特注しないと電源としての変換効率が上がらない。コイルとは言ってもRF用とは別世界である。
ラジオ作りにフェライト・バーアンテナ・コイルの既製品を欲しがる人も多いが市販ラジオに使ってあるような物は特注品であろう。同じ物は手に入らないと思った方が良い。
但しフェライト・コア材の市販品は幾らか見かけるので、リッツ線などを自分で巻けば最適な品が手に入る。 同調側巻き数は、使用バリコンの容量に合わせて必要なインダクタンスになるようにする。 タップの位置、あるいはベース側巻線は同調側の10%程度から実験してみればたいてい旨く行くだろう。もちろん、ちゃんとした設計手法はあって使うコア材の種類とフェライト・バーの形状寸法が決まれば具体的な数字で示すこともできる訳だ。
昔は既成のバーアンテナ各種がラジオ用に、例えばミューラー電機etc.から出ていたのだが・・・。
左は、たいへん古い雑誌から取ったミューラー電機の広告ページである。(転載不可) もうどこにも売ってはいまい。 上の写真が広告下段にあるミューラー0840TR型。φ8mmで長さ40mmの意味らしい。昔はラジオ製作の定番コイルだった。0840TRの公称インダクタンスは300μH。
今はアイコー電子のPA-63Rと言うのが入手容易で自作ラジオにはよく使われているようだ。 PA-63Rの公称インダクタンスは360μHとのこと。最大容量:250〜300pF程度のバリコンと一緒に使う。
(脱線も程々にしておこう)
☆真空管ラジオの修理用部品について:
以下は古い機器修理の話しだ。 例えば9R4や9R59等を含む古い真空管ラジオは「製造当時の常識」に沿った部品が使われている。 そのためE系列にはない値の部品が使われていることも多い。 真空管ラジオが作られた時代の部品誤差は今よりもずっと大きかった。 従って、修理用には元々使ってあった部品の値から±20%の範囲にある近似値から選べば十分で代替できる。 ±10%以内で選ぶならやり過ぎなくらいだ。例えば、もとが250pFなら220pFで良いし、もとが450Ωなら470Ωを選べば良い。
但し、スーパー・ヘテロダインのパッディング・コンデンサだけはなるべく近い値の物が良く、例えば430pFが使ってあるなら、100pFと330pFを並列にして430pFを作ると言った配慮をすべきだ。 他の部分のコンデンサはそこまでする必要は無い。
☆定格電圧と定格電力のこと:
真空管回路は電圧が高いため、コンデンサの定格電圧と抵抗器のワット数に注意したい。 真空管時代のコンデンサは耐圧250Vが普通だったが、いま売っているものは半導体回路用なので耐圧50V以下が一般的だ。 コンデンサの購入には定格電圧を良く確認しなくてはなるまい。 もちろんカソード回路のバイパス・コンデンサのように加わる電圧が低いことがわかっているなら使って大丈夫だ。 電源系のバイパス・コンデンサと前段プレートと次段グリッド間のカップリングコンデンサには十分な耐電圧が欲しい。
コンデンサの種類に言及すると際限が無くなるが、ペーパー・コンデンサやMPコンデンサは未使用品でも使うべきではない。今あるものは数10年も経過している超古い在庫品が多いから既に絶縁が低下しておりリーク電流が流れると思うべきだ。 回路が正常に動作しないばかりか真空管を傷める原因にもなるので使わない方が良い。 音が変わると言う人もいるが、リーク電流で次段のバイアスが変わり動作点が狂ってしまったからではないか? フィルム・コンデンサあるいはメタライズ・フィルム・コンデンサのような近代的で絶縁性に優れたものをお薦めする。 マイカ・コンデンサならモールド型はやめてディップド・マイカにするか、NP0型のセラコンを選ぶのが良い。写真は手前が使っちゃいけないペーパー・コンデンサ(=オイル・コンデンサ)、奥の青いのはお薦めのフィルム・コンデンサ。
コンデンサの種類に言及すると際限が無くなるが、ペーパー・コンデンサやMPコンデンサは未使用品でも使うべきではない。今あるものは数10年も経過している超古い在庫品が多いから既に絶縁が低下しておりリーク電流が流れると思うべきだ。 回路が正常に動作しないばかりか真空管を傷める原因にもなるので使わない方が良い。 音が変わると言う人もいるが、リーク電流で次段のバイアスが変わり動作点が狂ってしまったからではないか? フィルム・コンデンサあるいはメタライズ・フィルム・コンデンサのような近代的で絶縁性に優れたものをお薦めする。 マイカ・コンデンサならモールド型はやめてディップド・マイカにするか、NP0型のセラコンを選ぶのが良い。写真は手前が使っちゃいけないペーパー・コンデンサ(=オイル・コンデンサ)、奥の青いのはお薦めのフィルム・コンデンサ。
部品屋の店頭に並ぶ小さな抵抗器は1/4W型が多い。それらもグリッド・リーク抵抗のような小信号部分には支障無く使える。 しかし加わる電圧が高いと抵抗器で消費される電力は格段に大きくなる。 消費される電力は掛かる電圧の二乗に比例することに注意すべきだ。 例えば1kΩに10Vなら消費電力は0.1Wなので1/4W型の小さな抵抗器で十分だ。 しかし10倍の100Vが加わっているなら消費電力は100倍の10Wである。その場合は余裕をみて20W型以上の大きな抵抗器でないと安心できない。
昨今のセメント抵抗(中身は巻線抵抗器)や酸化金属皮膜抵抗を使うと部品の小型化ができる。 それらは昔のカーボン抵抗より耐熱特性に優れているからだ。 逆に昔のように大きなカーボン抵抗など市販されていない。 そのため同じW(ワット)数でも交換用部品が非常に小型になっているのに驚くかもしれない。こうした小型化された抵抗器に同じ電力を消費させると表面温度は非常に高くなる。 それでも壊れはしないが、周囲を空けて通風を良くすると言った注意は必要だ。 場合によっては定格電力ではなくて「物理的なサイズ」で選んで、熱放散を良くし高温化を防ぐと言った配慮も必要になる。
昨今のセメント抵抗(中身は巻線抵抗器)や酸化金属皮膜抵抗を使うと部品の小型化ができる。 それらは昔のカーボン抵抗より耐熱特性に優れているからだ。 逆に昔のように大きなカーボン抵抗など市販されていない。 そのため同じW(ワット)数でも交換用部品が非常に小型になっているのに驚くかもしれない。こうした小型化された抵抗器に同じ電力を消費させると表面温度は非常に高くなる。 それでも壊れはしないが、周囲を空けて通風を良くすると言った注意は必要だ。 場合によっては定格電力ではなくて「物理的なサイズ」で選んで、熱放散を良くし高温化を防ぐと言った配慮も必要になる。
☆自作派HAMの常備品は:
自作や修理好きのHAMのパーツボックス常備品は、抵抗はE12系列で、コンデンサはE6系列で揃えておけば殆どカバーできる。 それでも50種類以上になるので取り出し易いパーツボックスもお忘れなく。 なお、100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩの4種類の抵抗器と、0.001μF、0.01μF、0.1μFのセラミックコンデンサは使用頻度が高いのでそれぞれ100本以上あっても無駄にはならない。 他は10〜30本も常備すれば幅広く自作が楽しめる。(写真が無いと寂しいので貼っておくが参考程度に)
今では便利なLCRメータ(←参考リンク)も手軽に手に入るから、並列や直列で必要な値を合成することが出来る。アクティブ・フィルタとかAF-PSNのように高い部品精度を要する製作も手持ち部品のやりくりで何とでもなるだろう。 なるべく少ない品揃えで済むような設計も推奨されるべきで、無理の無い範囲で値を丸めて製作してみると言った方法でもまずまずの物が作れる。あまり設計数値に振り回されずに楽しみたいと思っている。de JA9TTT/1
(おわり)
自作や修理好きのHAMのパーツボックス常備品は、抵抗はE12系列で、コンデンサはE6系列で揃えておけば殆どカバーできる。 それでも50種類以上になるので取り出し易いパーツボックスもお忘れなく。 なお、100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩの4種類の抵抗器と、0.001μF、0.01μF、0.1μFのセラミックコンデンサは使用頻度が高いのでそれぞれ100本以上あっても無駄にはならない。 他は10〜30本も常備すれば幅広く自作が楽しめる。(写真が無いと寂しいので貼っておくが参考程度に)
今では便利なLCRメータ(←参考リンク)も手軽に手に入るから、並列や直列で必要な値を合成することが出来る。アクティブ・フィルタとかAF-PSNのように高い部品精度を要する製作も手持ち部品のやりくりで何とでもなるだろう。 なるべく少ない品揃えで済むような設計も推奨されるべきで、無理の無い範囲で値を丸めて製作してみると言った方法でもまずまずの物が作れる。あまり設計数値に振り回されずに楽しみたいと思っている。de JA9TTT/1
(おわり)
2013年6月1日土曜日
【部品】SMD Clock on a DDS Module
【新種DDSモジュール】
中華DDSモジュールそのものは私の中では「おわコン」のつもりだ。 むしろどう活用して行くのかにテーマは移っていて、そうした活用法にニーズも移っているように思う。 しかし周回遅れ気味の今ごろ入手を試みるお方もまだあるようなので現在の入手状況に即応した話題も必要そうだ。
従って、もう飽き飽きと思うが再々のテーマで中華DDSを扱うことにした。 飽きてるお方は以下のお話は全部パスで宜しく。(笑)
* * *
最近になって小型DDSモジュールに「新種」が登場したそうだ。 さっそく現物をご提供を頂いたので評価してみよう。 基板の外形寸法や部品の置き方など、前の小型DDSモジュールと同じようだ。(写真)
但し、基板レジストは青色で、クロック・オシレータ付近のみならず全体のパターンも違うようにも見える。 前のものを参照して再設計したのだろうか。回路は同じ模様だ。 馬鹿に安過ぎるから実装されているDDS-IC:AD9850はFakeではないかと言う話しもあるが、確証は得られていない。
見てのように、特徴的なのはDDSチップ:AD9850にクロックを与える125MHz発振器が表面実装型(SMD型)になったことだ。 かねてよりこの中華DDSモジュールのクロック発振器には悩まされて来た。 さて、この表面実装型の125MHzクロック発振器はどんな物なのだろうか?
(注:クロックの脇に立っている2本のピンは観測用に私が付けたもの)
【表面実装型125MHzクロック】
さっそく実測結果を示そう。 写真の様に比較的奇麗だったCanタイプオシレータよりやや悪い結果であった。 比較して、おおよそ10dBくらいスプリアスレベルは高いようだ。
スペクトラムの出方から見て内部はPLL式であろう。 しかし、それほど悪い訳ではないので実際に信号を発生させて様子を見て判断することにしたい。 ジッターだらけのあのオシレータよりずっと良いのは間違いないので十分期待できると思う。
PLLのクロック・フィードスルーらしきがキャリヤから750Hz離れた両側に存在し、レベルは約-66dBcである。 他のスプリアスは更に-10dBくらい低いので問題になるとすればこの両脇の大きなものだろう。 なお、実際にDDSオシレータの出力を数100遞倍したら付随スプリアスが問題になったと言うレポートも見るので、UHFやSHF帯を目指すならDDS+クリスタルPLLでクリーンナップすると言った相応の対処が必須なようだ。
【15MHzのスペクトラム】
15MHzを発生させ、前の評価と同じ条件で観測した。 写真を比較してもらえたらと思う。
基本的に、十分良好であった。 右の方に見えるスプリアスは、例によって環境起因によりものだ。 左に小さく見えるのはホンモノのスプリアスのようだが、-80dBcより小さいので、支障になることはまずないだろう。
このような結果なので、十分使えるモジュールのようである。 私が見たサンプルは1枚だけだが、他のお方の評価でも同じようだからこのクロックは「当たり」だと思う。
【7MHzのスペクトラム】
近傍に目立ったスプリアスは見られない。 ノイズフロア付近に幾つかあるような気配もあるが、環境起因のノイズではないだろうか。
奇麗であって、良く出来た水晶発振器と肩を並べる性能と言える。 磁気フラックスがRFCに誘導していたり汚れた電源で揺さぶられている水晶発振器などこれに及ばぬケースも多々ある。 これくらいならかなり良い性能だ。
DACのビット数が有効に効いている10MHzあたりまでの低い周波数帯では全般にスプリアスは少なく、得られる信号は良好である。
【広帯域で見る】
いままで信号の近傍ばかり見て来た。 ある程度離れた周波数のスプリアスならフィルタで何とかできると言う目論見があるからだ。 フィルタでは如何ともし難い近傍スプリアスに着目して来た訳だ。
この観測ではDDSから10MHzを発生させたときに、0〜150MHzまでの周波数域に発生する全スプリアスを見ている。 左端が0Hzで、その右に見える背の高いスペクトルが目的信号の10MHzだ。 その右足下に見える小さな2つはスプリアス信号である。 信号のすぐ右側は2倍高調波の20MHzであってこれはある程度やむを得ない。 24MHzの所に見えるのはDDSの設定を変えても周波数変化しない固定周波数のスプリアスだ。ジャスト24MHzのあたりに出ている。
画面の右端の方にある大きめの信号は125MHzのクロック漏れだ。 そのすぐ左に存在するのは折り返しスプリアスだ。 この折り返しスプリアスは、125MHzを起点として主信号の周波数とは逆方向に動いて行く。 すなわち、この状態では125-10=115(MHz)になっている。 主信号が20MHzになると105MHzに移って現れる。これは原理的に避け難いスプリアスだ。 従って低域濾波器(LPF)を入れて阻止する。 しかし主信号を上げて行くと、125MHzの半分の位置で主信号と密着してしまう。 その周波数あたりでは簡単なフィルタくらいでは分離できない。 そのため実用上限周波数をクロックの1/3程度と考えて、過度に高級なフィルタを使わずに済ませるようにして実用にする。
☆
この表面実装型クロックが実装されたDDSモジュールは悪くなかった。 消費電流も少なめで有難い。 こうしたモジュールが継続してくれれば嬉しいのだが、そうは行かないらしい。 この後に入手したらまた前に戻り、しかもクロックもだめだったと言うようなお話しも。 この先も面実装型のクロックが実装さているからと言って安心などできまい。 相変わらず油断ならない中華クオリティである。hi
大量纏め買いは大損害のリスク有りだ。 必要分を少量買って様子を見る・・と言うのも通用しないのは誠に悩ましいところ。 もしもダメな時はどうするかを心配しながら買うようでは不安で仕方あるまい。 あるいは少し高くとも確認済みが手に入るなら安心だろう。 特にスペクトラムの観測手段を持ち合わせぬなら尚更だ。 もちろんクロック発振器の自作をいとわなければ何でもOKなのだが・・・。
☆ ☆ ☆
今回、良さそうなクロックが実装されたモジュールで広帯域に観測してみることにした。結果は全般に奇麗なことがわかった。 特に10MHzあたりまでなら、かなり良好であり受信機の局発用にも躊躇いを感じさせないものだ。 しかし20〜30MHzともなると目的信号の上下にずいぶんスプリアスが見え始める。 高い周波数で使うならやはりフィルタは相応の吟味が必要そうだ。 言うまでもないがDDSにはなるべく高い周波数の(もちろん奇麗な)クロックが有利である。AD9850/51よりも新しい世代のDDSチップは有利である。そうした最新チップを実装した中華DDSモジュールの登場を期待しよう。 de JA9TTT/1
(おわり)
中華DDSモジュールそのものは私の中では「おわコン」のつもりだ。 むしろどう活用して行くのかにテーマは移っていて、そうした活用法にニーズも移っているように思う。 しかし周回遅れ気味の今ごろ入手を試みるお方もまだあるようなので現在の入手状況に即応した話題も必要そうだ。
従って、もう飽き飽きと思うが再々のテーマで中華DDSを扱うことにした。 飽きてるお方は以下のお話は全部パスで宜しく。(笑)
* * *
最近になって小型DDSモジュールに「新種」が登場したそうだ。 さっそく現物をご提供を頂いたので評価してみよう。 基板の外形寸法や部品の置き方など、前の小型DDSモジュールと同じようだ。(写真)
但し、基板レジストは青色で、クロック・オシレータ付近のみならず全体のパターンも違うようにも見える。 前のものを参照して再設計したのだろうか。回路は同じ模様だ。 馬鹿に安過ぎるから実装されているDDS-IC:AD9850はFakeではないかと言う話しもあるが、確証は得られていない。
見てのように、特徴的なのはDDSチップ:AD9850にクロックを与える125MHz発振器が表面実装型(SMD型)になったことだ。 かねてよりこの中華DDSモジュールのクロック発振器には悩まされて来た。 さて、この表面実装型の125MHzクロック発振器はどんな物なのだろうか?
(注:クロックの脇に立っている2本のピンは観測用に私が付けたもの)
【表面実装型125MHzクロック】
さっそく実測結果を示そう。 写真の様に比較的奇麗だったCanタイプオシレータよりやや悪い結果であった。 比較して、おおよそ10dBくらいスプリアスレベルは高いようだ。
スペクトラムの出方から見て内部はPLL式であろう。 しかし、それほど悪い訳ではないので実際に信号を発生させて様子を見て判断することにしたい。 ジッターだらけのあのオシレータよりずっと良いのは間違いないので十分期待できると思う。
PLLのクロック・フィードスルーらしきがキャリヤから750Hz離れた両側に存在し、レベルは約-66dBcである。 他のスプリアスは更に-10dBくらい低いので問題になるとすればこの両脇の大きなものだろう。 なお、実際にDDSオシレータの出力を数100遞倍したら付随スプリアスが問題になったと言うレポートも見るので、UHFやSHF帯を目指すならDDS+クリスタルPLLでクリーンナップすると言った相応の対処が必須なようだ。
【15MHzのスペクトラム】
15MHzを発生させ、前の評価と同じ条件で観測した。 写真を比較してもらえたらと思う。
基本的に、十分良好であった。 右の方に見えるスプリアスは、例によって環境起因によりものだ。 左に小さく見えるのはホンモノのスプリアスのようだが、-80dBcより小さいので、支障になることはまずないだろう。
このような結果なので、十分使えるモジュールのようである。 私が見たサンプルは1枚だけだが、他のお方の評価でも同じようだからこのクロックは「当たり」だと思う。
【7MHzのスペクトラム】
近傍に目立ったスプリアスは見られない。 ノイズフロア付近に幾つかあるような気配もあるが、環境起因のノイズではないだろうか。
奇麗であって、良く出来た水晶発振器と肩を並べる性能と言える。 磁気フラックスがRFCに誘導していたり汚れた電源で揺さぶられている水晶発振器などこれに及ばぬケースも多々ある。 これくらいならかなり良い性能だ。
DACのビット数が有効に効いている10MHzあたりまでの低い周波数帯では全般にスプリアスは少なく、得られる信号は良好である。
【広帯域で見る】
いままで信号の近傍ばかり見て来た。 ある程度離れた周波数のスプリアスならフィルタで何とかできると言う目論見があるからだ。 フィルタでは如何ともし難い近傍スプリアスに着目して来た訳だ。
この観測ではDDSから10MHzを発生させたときに、0〜150MHzまでの周波数域に発生する全スプリアスを見ている。 左端が0Hzで、その右に見える背の高いスペクトルが目的信号の10MHzだ。 その右足下に見える小さな2つはスプリアス信号である。 信号のすぐ右側は2倍高調波の20MHzであってこれはある程度やむを得ない。 24MHzの所に見えるのはDDSの設定を変えても周波数変化しない固定周波数のスプリアスだ。ジャスト24MHzのあたりに出ている。
画面の右端の方にある大きめの信号は125MHzのクロック漏れだ。 そのすぐ左に存在するのは折り返しスプリアスだ。 この折り返しスプリアスは、125MHzを起点として主信号の周波数とは逆方向に動いて行く。 すなわち、この状態では125-10=115(MHz)になっている。 主信号が20MHzになると105MHzに移って現れる。これは原理的に避け難いスプリアスだ。 従って低域濾波器(LPF)を入れて阻止する。 しかし主信号を上げて行くと、125MHzの半分の位置で主信号と密着してしまう。 その周波数あたりでは簡単なフィルタくらいでは分離できない。 そのため実用上限周波数をクロックの1/3程度と考えて、過度に高級なフィルタを使わずに済ませるようにして実用にする。
☆
この表面実装型クロックが実装されたDDSモジュールは悪くなかった。 消費電流も少なめで有難い。 こうしたモジュールが継続してくれれば嬉しいのだが、そうは行かないらしい。 この後に入手したらまた前に戻り、しかもクロックもだめだったと言うようなお話しも。 この先も面実装型のクロックが実装さているからと言って安心などできまい。 相変わらず油断ならない中華クオリティである。hi
大量纏め買いは大損害のリスク有りだ。 必要分を少量買って様子を見る・・と言うのも通用しないのは誠に悩ましいところ。 もしもダメな時はどうするかを心配しながら買うようでは不安で仕方あるまい。 あるいは少し高くとも確認済みが手に入るなら安心だろう。 特にスペクトラムの観測手段を持ち合わせぬなら尚更だ。 もちろんクロック発振器の自作をいとわなければ何でもOKなのだが・・・。
☆ ☆ ☆
今回、良さそうなクロックが実装されたモジュールで広帯域に観測してみることにした。結果は全般に奇麗なことがわかった。 特に10MHzあたりまでなら、かなり良好であり受信機の局発用にも躊躇いを感じさせないものだ。 しかし20〜30MHzともなると目的信号の上下にずいぶんスプリアスが見え始める。 高い周波数で使うならやはりフィルタは相応の吟味が必要そうだ。 言うまでもないがDDSにはなるべく高い周波数の(もちろん奇麗な)クロックが有利である。AD9850/51よりも新しい世代のDDSチップは有利である。そうした最新チップを実装した中華DDSモジュールの登場を期待しよう。 de JA9TTT/1
(おわり)
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