【買い物ガイド 2016 その1】
【中華ポリバリコン:443AB型】
日本国内ではずいぶん前からバリコンは生産されなくなりました。 いま存在する国産品はごく僅かな市場在庫だけでしょう。 特にポリバリコンは海外製を頼るしか無い状況になっています。(送信機用は細々とした国内生産がある)
写真は「443AB型」と言う中国製のポリバリコンです。良く見て頂くと引き出し端子にメッキ不良による錆が見られるなど、けして良い品質とは言えません。しかし等容量の2連バリコンともなると入手できるものはごく限られています。中波専用のトラッキングレス型バリコンならたくさん見掛けるのに、等容量の2連バリコンは限られてしまいます。きちんと使える部品であれば価値があると言えるでしょう。 なお、ショップにはBE-443AB型と言う品がありますがBEが付かないこれは別物です。
443AB型は最大容量が大きめで、等容量の2連バリコンなので中波帯のラジオは勿論ですが、短波を含む多バンドラジオを作るのにも向いています。 HAM/BCL用としてはHF帯のプリセレクタを製作するのにも良いでしょう。 秋葉原と通販で単価100円くらい(2016年4月現在)で買えるので入手してみました。 (入手先:aitendoの通販←リンク)
シャフトは短いので普通のツマミを付けるには延長シャフトが必要です。専用の延長シャフトも売っていますが、φ6mmのカラーと2.6mmのネジを使えば簡単に延長できます。 取り付けネジも2.6mmのビスですが長すぎるとバリコンを痛めてしまいます。取り付けパネルの厚みなどを考慮し長さには十分気をつけます。
【可変容量特性の測定】
国産のバリコン、例えば往年のミツミ製やアルプスの製品なら安心して使えました。2連バリコンのセクション間の容量誤差は厳密に規定されていたからです。連動誤差を気にする必要などなかったのです。
しかし、中華製パーツの仕様書を鵜呑みにするのは危険です。信じると痛い目に遭うことがあります。ww
443AB型は等容量の2連バリコンと言うことですから回転角と容量の関係、及び2つのセクション間の容量誤差を実測してみることにします。
写真は市販の分度器を細工してポリ・バリコンが取り付けられるようにした治具です。大きめのツマミと指針が付けてあります。 このような治具を用意した上で容量計を使って回転角と容量の関係を実測してみます。回転角度は目見当ですが±0.5度くらいの再現性はありそうです。 もっと正確にやりたいならシャシに固定し大型のバーニア・ダイヤルを付けると良いでしょう。(そこまでやる必要は無いと思いますが・笑)
【443AB型の可変容量特性】
測定結果です。 結論から言うと、セクション間の連動誤差はごく僅かであり、国産品のポリ・バリコンに劣らぬたいへん良い性能でした。
2個について測定しましたが、バラツキもあまりありません。もっと多量に調べると違う結果が出る可能性もありますが、まずは実用になる性能が得られていると考えて良いでしょう。
なお、国産のポリ・バリコンでも開発初期の頃はローターの加工が良くないため、ポリエチレンシートを巻き込んでしまう不良が頻発したそうです。 暫く前になりますが台湾製のポリバリコンでは10回も回転しないうちにそのような不良がほぼ100%で発生してたいへん困ったことがありました。
実際に10回転くらいで壊れることは無さそうですが、このバリコンも回転寿命に関しては十分な評価をしていないので期待した程の寿命はない可能性もあります。 取りあえず容量可変特性については合格ですが耐久性など使いながら評価して行きたいと思います。
国産品の入手が限られて来たので、安価なパーツとして取りあえず使える部品として考えたいと思います。あとは各自ご自身の判断で使ってみて下さい。電気的な性能は悪くありません。 前のBlogで扱った短波ラジオ(←リンク)の製作にも変更なしで使えます。
備考:443AB型はネットショップの説明ではFM用2連を含む4連バリコンのように書いてあります。 実際にはAM用の等容量2連ポリ・バリコンにFM用の4連バリコンが一緒になった6連バリコンでした。
回転軸と反対の面に4つのトリマ・コンデンサが付属しています。この4つのトリマ・コンデンサは、FM用の4連バリコンにそれぞれ並列になっています。内部で接続されているので切り離すことはできません。 トリマ・コンデンサを最小容量にセットした時、FMセクションは2.9〜23pFの可変範囲があります。またトリマ・コンデンサの容量可変範囲は約10pFです。
FMセクションはFMラジオ専用と言うわけではなく、小容量のバリコンとして、セクション単独あるいは複数セクションを並列にして様々に活用することができます。(記述変更:2016.04.28)
☆
【中華トランジスタ:S9018H型】
表面実装型のトランジスタならまだ幾らでも手に入ります。 しかし、リード線付きのトランジスタは次々に製造中止が告げられています。 汎用品はまだ容易に手に入るのであせって買い溜める必要も無いとは思います。しかしいずれ入手できなくなる時が来るかも知れません。
「発展途上国のトランジスタ」と言うものがあって、写真のトランジスタ:S9018もその一つです。中国製らしいですが安価なので途上国に広く出回っています。 ほかにもS90XXと言う型番のトランジスタが数種類ありますが、国産品で困るわけでもないのであまり食指も動きませんでした。
S9018はそれらのトランジスタの中では最も高周波特性が良いものです。 同等以上の国産品もまだ簡単に手に入るので、あえて使う必要は無いのかも知れません。しかし評価しておけばいつか役立つかも知れません。他の90XX型トランジスタよりも幾らか魅力的です。
S9018は秋葉原のショップや通販で10個100円で手に入る高周波用です。2SC1815のような汎用トランジスタ(はんようトランジスタ:特に用途を定めない雑多な目的に使えるトランジスタのこと)と比べ高周波においては明らかに高性能です。 数MHz以上では2SC1815等の汎用品を無理して使うよりも、S9018を使った方が有利です。もし高周波用トランジスタを持っていないならパーツボックスにストックしておけばいつか役立ちます。
Aliexpressで検索すると1,000個単位で数ドルで売っているのが目に止まります。中華直輸入なら確かに安いのですが、2SC1815のような汎用性はありません。いくら安くても使い切れないほど在庫するのはナンセンスです。100円か200円分も買っておけば十分でしょう。半導体は陳腐化しますし。(笑)
【S9018Hのピン接続】
ピン配置は2SC1815や2SC1923等とは異なっているので十分注意します。足ピンの中央はベースです。コレクタではありません。
足ピンを下に向け型番の捺印面を正面に見た場合、左から右へエミッタ、ベース、コレクタの順です。左の写真も参照して下さい。
S9018はNPN型トランジスタです。カタログ比較では2SC387や2SC1923(どちらも東芝製)などと類似特性だと思えば良いです。2SC1906や2SC1907(どちらも日立製)とも良く似ています。いずれとも足の並びは違いますが十分代替可能でしょう。
写真の右端はS9018とは無関係なのですが、2N5401と言う高耐圧のPNP型のトランジスタです。これは高周波用ではありません。 通販で購入したS9018(aitendo←リンク)に異品として混入していました。流石に中華パーツですね。お店で購入する時には良く確認して下さい。通販品を使う際も同様です。良く型番を見ずに使ってしまうと結果は悲惨です。(爆) 中華トランジスタはほかにイーエレ(←リンク)などでも販売されています。
参考:型番印刷ミスの可能性も考えたのですが、混入品を確認した結果PNPトランジスタでしたから、小袋詰めの際に2N5401が混合してしまったようです。
【SS9018HのfT特性】
SS9018と言うのは米Fairchild社の同等品のようです。ネットでS9018の規格をサーチすると真っ先にヒットします。
この図は、Fairchild社のSS9018HのfT特性図です。これによればIc=1mAでfT=800MHzくらいです。fTのピークは1GHzを超えており、その時のIc=5〜6mAとなっています。小信号で使い易い特性に作られていると思います。 しかしこの特性はFairchild社のSS9018の特性なので注意を要します。中華製は次の図を見て下さい。
【S9018のfT特性】
安価で手に入る中華製S9018のfT特性は左図ではないでしょうか。図は中華系メーカ(JCST:江蘇長電科技)のS9018カタログからピックアップしたものです。
これによれば、Ic=1mAのとき、fT=400MHz少々と言ったところです。 FairchildのSS9018と比べて半分くらいしかありません。 まあ、それでもfTは高いトランジスタだと言えますが・・・。 fTのピークもIc=20mA近くのようなのでだいぶ特性は違います。
このあたり、SS9018の規格を参照すると実際のS9018では性能不足が起こる可能性もあるので注意しておきたいと思います。
勿論、バラツキもありますし中華製のS9018とは言っても複数の会社が作っている共通品のようですから、中にはFairchildのSS9018と同じような特性のものも存在する可能性はあります。Fairchild社も自身では製造せずにそうした物を調達・販売している筈ですから。(笑)
参考:件のS9018HのfTについて、実測してみた後日談(←リンク)があります。予想と違った意外な結果でした。(2017.7.10)
【S9018HのhFE特性】
S9018は高周波用トランジスタなので、コレクタ電流の最大値は小さめです。 従って、2SC1815のような汎用品と違って何にでも使うようなトランジスタではありません。
コレクタ耐圧:Vceoも低くて18Vが最大です。従ってL負荷の場合は半分のVcc=9V以下で使えば安全です。 また、左図のようにhFEカーブから見てコレクタ電流も20mA程度までの範囲で使う方が良いでしょう。 これはS9018が劣っていると言うよりも、高周波用トランジスタの一般的な特性です。耐圧が低く電流容量も小さいのは高周波特性を良くした結果だと言えます。
【S9018のhFEバラツキについて】
ところで、中華製のS9018は何故か売っているものはhFEの分類がHランクのものばかりです。 S9018Hと言うのはhFEが 97〜146の範囲の選別品なのです。 本当にHランク品か「眉唾もの」なので実物で確認した方が良いでしょう。 たぶん、顧客から「S9018 H 331をくれ」と言う注文ばかりが来るので無条件に「S9018 H 331」と印刷しているのではないかと強く疑われます。331と言うのは本来製造時期を示すロット番号の筈ですから全部が同じ筈はありません。ww
「怪しい」と言っているだけでは想像でしかないので、実際にhFEのバラツキを測定してみました。 その結果、n=44の標本統計になりますが、平均hFE(ave)=102.6、標準偏差S=8.61となりました。サンプル内における最小hFE(min)=94、最大hFE(max)=125でした。 実測では規格範囲より僅かにhFEの小さい物が混じっていましたが、概ね正しく選別がなされているようです。hFEは測定コレクタ電流によっても変わるので多少の違いはその影響も考えられます。
中華S9018は一般的なトランジスタよりもhFEランクの刻みが細かいので、果たしてどうだろうかと思いましたが意外な結果でした。(参考:例えば2SC1815ならYランクはhFE=120〜240と2倍の範囲に取っています)
【S9018Hのお薦めの使い方】
1MHzから150MHzあたりまでの小信号高周波増幅や高周波発振回路に向いています。VHF帯の超再生検波にも良いでしょう。 最近作った中華版PIXIE-Ⅱの水晶発振部にも使われていました。 このBlogの例では、短波ラジオや50MHzのクリコンに最適です。 送信機の用途ではPo=100mW以下のQRPpなら使えそうです。 5個くらいパラにして0.3W程度でしょうか?
【S9018Hを試す】
カタログ比較だけでは検証不十分です。 さっそく50MHzのクリコン(←リンク)で確認してみました。 足の並びが違うので写真のように少々不自然になりましたが注意すれば支障はありません。
写真では高周波増幅に使った例ですが、周波数変換の部分もS9018Hに交換して確認しています。 精密な比較ではありませんが、2SC1923Yや2SC535Cと比べて違いを感じません。 S9018は高周波用トランジスタとしてFBに使えます。 ほか、短波ラジオ(←リンク)でも確認してみましたが、流石に高周波用なので十分満足行く性能が得られています。
455kHzの中間周波増幅用には少々fTが高すぎるのですが、コレクタ・ベース間容量:Cobが小さいことから安定に動作しました。 コンバータ部でも受信バンド上端においてブロッキング発振など見られないので支障無く使えています。
☆
昔からあったような高周波回路の部品は徐々に姿を消す傾向にあります。ありきたりの電子機器はワンチップIC化されてきたので、昔ながらのRF用パーツはニーズが減って来たのでしょう。 ラジオのような高周波利用の家電品ニーズが無くなった訳ではないでしょうが作るための部品は世代交代しています。 特に国産のRF用パーツは製造中止が続出しています。 少々怪しいと思いながらも、中華パーツの中から良さそうなものを確認しながら使って行く必要が出てきたようです。上手に使えば非常にコストパフォーマンスの良い回路が作れそうです。 de JA9TTT/1
(おわり)fm
ご注意:このBlogはアフェリエイトBlogではありません。特定の商品やショップをお奨めする意図はありません。公開している商品情報やリンクは単なる参考です。お買い物は貴方ご自身の判断と責任でお願いします。
【熊本・大分大地震のお見舞い】
【熊本城:2016年3月15日】
写真は先月の半ばに熊本城を訪れた時のものです。 晴天に恵まれ、素晴らしい姿を見ることができました。 最上階から熊本市街を一望したのも記憶に新しいところです。 熊本訪問の前には湯布院にも立ち寄りました。
それから1ヶ月後の4月14日夜に始まる大地震で熊本県・大分県で甚大な被害が発生し、多数のお方が今なお避難生活を続けて居られます。 お見舞い申し上げるとともにTVから伝わる変わり果てた景色に心を痛めております。 被災者の方々の日常が少しでも早く復旧され、また熊本城もいつか以前のような美しい姿で再建されますこと、心から祈っております。 de JA9TTT/1
2016年4月7日木曜日
【回路】Crystal Converter Design (2)
【回路:クリスタル・コンバータ:part 2】
【クリコンのかなめ】
シンプルなクリスタル・コンバータを作ってみましょう。 前回(←リンク)の続きです。 シンプルで低消費電流、実用的な性能のクリスタル・コンバータができました。
クリスタル・コンバータ、略して「クリコン」の要(かなめ)と言えばやはり局発(Local-OSC)でしょう。 スーパー・ヘテロダインの原理を使いますから、局発回路が確実な発振をしてくれなくては機能はストップしてしまいます。
クリコンはその名の通り、クリスタル(水晶発振子)を使った発振器を使います。 VHF帯を周波数変換するためには高い周波数の発振器が必要で、周波数安定度の点から「自励発振器」では実現困難なため水晶発振器を使うのが普通です。
まずは、確実な発振が可能か否か実際に部分試作して確かめました。 必要な周波数が高いことから水晶はオーバートーン発振させます。 オーバートーン発振用に作られた水晶発振子を使えば確実ですが手持ちの活用から一般的な水晶発振子をオーバートーンモードで使うことにします。 オーバートーン用ではない水晶発振子でオーバートーン発振させても支障はありませんが保証外になるので販売目的の製品に使うのは旨くありません。しかし、アマチュア的には何ら支障はありません。本来とは想定外の発振をさせるため事前確認しておけば確実です。
50MHz帯を5MHz帯に周波数変換するため50-5=45MHzの局発が必要です。 45MHzを得るために基本波の周波数が15MHzの水晶発振子を3次オーバートーン発振させるか、同じく9MHzの水晶を5次オーバートーン発振で行くのか比較テストしました。 オーバートーン発振の場合、基本波の周波数をちょうどn倍(nは奇数に限る)した値にはなりません。 整数倍から幾らかずれるのが普通なのです。 その結果、どちらの水晶でも確実な発振は可能でしたが発振した周波数には違いがありました。 15MHzの水晶が約45.035MHzで、9MHzの方が44.993MHzで発振しました。
オーバートーン発振での周波数のずれ具合は同一ロットの水晶では同じような傾向を示します。しかし周波数は同じでもまったく別の水晶では異なった傾向を示すようです。 高い方へずれるのか低い方へずれるのか、実験した範囲で明確な規則性は見いだせませんでした。 ですから15MHzの水晶なら3次オーバートーンで必ず45.000MHzの35kHz上で発振する訳ではありません。9MHzの5次オーバートーンが7kHz低かったのも手持ちの水晶のたまたまの現象でしょう。 ちゃんとしたオーバートーン用水晶では目的のオーバートーン周波数で発振するように周波数調整してあるわけです。
ここでは45.000MHzに近かった9MHzの水晶を使うことにします。 本来の目的外ですからジャスト3倍や5倍の発振周波数にならないのはやむを得ませんが、なるべく目的周波数に近い方を選びました。少しでしたら周波数調整も可能です。
【試作50MHzクリコンの回路図】
試作した50MHz用クリコンの回路図です。 高周波増幅のあと、水晶発振と周波数変換を1つのトランジスタで兼用する自励コンバータを使った2石クリコンです。
デバイス数の削減は優先項目ではありませんが興味のあった回路なので参考にしてみました。 後ほどオリジナルの回路が登場しますが、そのままではなく改良を行なっています。 改良のポイントはバイアス回路で、トランジスタのバラツキに強くすることにあります。 そのため、トランジスタを差し替えても無調整で行けます。(もちろん程度問題ですが・笑)
Q1の高周波増幅(RF-Amp.)はベース接地型です。 エミッタ接地型にしてより高いゲインを得ることも可能ですが中和回路が必要になります。 周波数変換部分にもゲインがあるのでRF-Amp.はベース接地型で行くことにしました。 ベース接地のアンプは入力側と出力側のインピーダンス比でゲインが決まります。 入力はタップダウンしてあり、かなり低く、負荷側はタップ無しなので比較的インピーダンスが高いため十分なゲインがあります。
Q2は周波数変換と局発を兼用する回路で自励式コンバータの一種です。 局発回路としては3次、5次のいずれでもオーバートーン発振できます。 但しこの回路ではそれ以上の高次発振は難しそうでした。 このQ2の回路は周波数変換の機能を兼ねるので発振レベルが大きくなりすぎないようにするのが肝心です。T3の巻き数比やQ2のコレクタ電流で加減します。旨く動作させればゲイン、NFなど他励式コンバータに遜色の無い性能が得られます。局発注入レベルの調整が不要なのも良い点です。 ベースバイアス部分のC6はあった方が良さそうに感じますが、これがあるとブロッキング発振が起こります。なくても感度に影響を感じませんから付けないことにしました。
このクリコンに推奨するトランジスタは2SC1923Yあるいは2SC2668Yです。この2つは外観こそ少し違いますがまったくの同等品です。 50MHzですからfTが高いトランジスタを使います。 ほかに2SC535C、2SC387Aや2SC668EなどfTが500MHz以上のTrがFBでしょう。それぞれ比較テストしましたが性能はどれも類似でした。 何れも数10円のトランジスタですから良い性能のトランジスタを使うと安心できます。 残念ながら汎用品の2SC1815Yでは十分な性能は期待できません。fTが足りないので局発の発振が困難でした。またRF-Amp.に使ってもゲインは低めです。
このクリコンは水晶さえきちんと発振すればあとは特に難しいところはありません。上記のようなトランジスタを使えば問題ない筈ですが、うまく発振しないようなら水晶発振子の問題かも知れません。別の水晶に交換すると簡単に問題が解消する可能性があります。 たとえばaitendoで購入した9MHz(HC-49/US)の水晶では5次オーバートーン発振はできませんでした。3次オーバートーンの方が楽ですから15MHzの水晶を優先しても良いでしょう。
ポピュラーな14.318MHzの水晶発振子(HC-49/U)も旨く3次オーバートーン発振しました。悪くない選択だと思います。この場合7MHz帯に周波数変換されます。 クリコンの全消費電流は約2.4mAと省エネです。(電源電圧は6Vで設計しています)
【50MHzクリコンのコイル製作図】
たった2石のシンプル回路ですが、コイルは4つ必要です。 参考にしたオリジナル記事ではφ8mmのトランジスタ用ボビンに巻き線していました。 これは10Kタイプのボビンが出回る以前の記事だったからでしょう。
一部のコイルについては指定通りφ8mmのボビン(東光のモノコイル同等)でも試作してみました。 しかし巻き線しにくいのですべて10Kボビンに変更しました。 10Kボビンも幾つか種類があって、ここではコア材のμがやや小さい「VHF用」と称するものを使っています。
たまたまですがφ8mmのボビンと同じ巻き数になりました。 10Kボビンに巻いたコイルのQはあまり高くありませんが、実用性能が得られています。 なお、大きめのインダクタンスが必要になることから、5MHzの出力コイル:T4のみμが少し大きいコア材の10Kボビンを使いました。そのような10Kボビンを持っていなければ他と同じボビンに巻けるだけ巻き、同調容量のC9:100pFを大きくしても良いでしょう。 巻き線はすべてφ0.16mmのポリウレタン電線(UEW線)です。
既成のFCZコイル(同等品含む)はタップの位置や2次側の巻き数が適当ではないためそのままでは使えません。 巻き線されていないボビン素材を購入して巻くか、巻かれたコイルを分解して巻き直し改造します。 各コイルはAmidonのトロイダルコア(例:T25-#10など)とトリマコンデンサを使う形式に変更することも可能です。所定のインダクタンスになるように巻き線しタップ位置や2次巻き線の比率が近似になるようにします。
備考:一覧表のように同じインダクタンスでも使用する同調容量が異なるのは、配線によって付加されるストレー容量に違いがあるからです。 プリントパターン化する場合にも実際に合わせて同調容量を加減する必要があるかも知れません。
【ブレッドボードで試作】
50MHzと言うVHF帯になることから、ブレッドボードでの試作に不安を感じました。 配線インダクタンスを減らすためアースラインを複数にしたり列を飛ばすなどストレー容量にも考慮した結果、支障ない成績が得られました。
ブレッドボード起因の動作不安定も見られずHF帯となんら変わりません。 部品配置や配線を良く考えて作ればブレッドボードでも50MHzくらいまで行けることがわかりました。 以前行なったブレッドボードの分布容量や配線インダクタンスの調査が役に立っています。(トラ技:2014年3月号に記事あり)
使う部品にも注意を払っています。コイルはブレッドボード用の変換基板には実装せず、足ピンにメッキ線を足して最短配線になるようにしています。 バイパス・コンデンサは高周波特性の良いセラコンを使うのは当然として、VHF帯の製作であることを意識し各部品の足は必要最短にカットします。 勿体ないからと言って部品の足を長いままにするとアンプが発振したり、逆に発振回路が発振しないなどのトラブルに見舞われるかも知れません。 50MHzは立派な高周波ですから低周波のようなモヤシ配線の手法は通用しません。(笑)
【局発波形】
局発の発振波形です。 コイル:T3の2次側、あるいはQ2のベースで、300〜400mV(rms)の発振振幅 になる筈です。 離調させる方法で、振幅を増減してみましたが発振はこのくらいの大きさが最適な値にあるようでした。
T3の調整ですが、オシロスコープまたはRF電圧計を使います。観測ポイントはT3の2次側(回路図の×印の場所)です。 T3の調整コアをボビンの上端の方向へ(反時計方向に)回して行くと発振が停止するポイントがあるはずです。 そこから逆に(時計方向へ)戻し、発振が再開したら更に1/4〜1/3回転ほどコアが入る位置へ回しておきます。
コアを発振の振幅がピークになる位置に調整してしまうと、わずかな条件変化で発振停止する危険があります。上記の調整方法のように、コアを発振のピークから安全方向へわずかに戻しておく訳です。 その後、電源のON/OFFを繰り返してみて確実に発振がスタートすることを確認しておきます。
【調整方法】
他のコイルの調整は簡単です。テストオシレータあるいは標準信号発生器:SSGから 50MHzを与え親受信機で5MHz帯に変換された信号を受信します。 T3は調整済みですから、T1、T2、T4のコアを調整して一番良く聞こえる状態に合わせれば終了です。 信号発生器がなければアンテナを繋いで外来ノイズを頼りに調整しても大丈夫でしょう。
50MHzのHAMバンドは4MHzもバンド幅があるので無調整でフルにカバーするのは無理があります。 バンド全体に渡ってまんべんなくオンエアされているわけでもないので、よく使われている周波数で最高感度になるようにしておけば良いでしょう。 私はSSB局が良く出ている50.25MHzで調整してみました。 その状態でCWバンドの上端あたりからSSB局が主に出ている周波数帯で感度差をあまり感じません。 50.62MHz付近のAM局や51MHz以上のFM局をメインにするなど、使用目的に応じ調整する周波数を決めます。
もしバリコンで同調可変式にするのなら、T2のところのC4:27pFを40pFくらいのバリコンにします。またT4のところにあるC9:100pFを固定コンデンサ50pF+100pFのバリコンにするのが良いでしょう。 C1:33pFはT1の共振がブロードなのでバリコンにするほどでもないようでした。
【受信成績】
2石のクリコンですから過剰な期待はできません。 しかし、まずまずの性能ではないかと思います。 HF帯のトランシーバを親受信機にしてSSGでチェックしたところ、CWモードでは-15dBμくらいのビートが十分確認できました。 そこで18mHの5エレ八木アンテナに繋いでみたらなかなかFBに聞こえます。 15kmほど離れたローカルさんは59+でしたが、遠方の移動運用局もノイズから浮き上がって聞こえてきました。 これから初夏に掛けて Eスポでも出たら賑やかに聞こえるでしょう。
クリコン自身のノイズフロアは拙宅の環境では外来ノイズ以下でした。 従ってS/Nも十分で、ゲインも必要にして十分な大きさが得られているように思います。 休日の昼過ぎ、S9++のローカル局が2局同時にオンエアしていたので強い両局の信号によって起こる混変調の具合を探ってみました。暫くワッチしてみたのですが目立って感じられませんでした。 定性的な評価ですが普段のオンエアで支障のない性能のようです。 回路構成上ゲイン過剰ではないので混変調特性も取りあえず実用範囲なのでしょう。
親受信機の性能が普通以上であればまずまずの性能が得られるようです。 3石の標準的な回路構成のクリコンに遜色のない性能ではないでしょうか。
【2石クリコン】
この2石クリコンが今回の製作のベースです。 引用元はCQ誌1971年1月号の付録だった小冊子「88シンプルトランジスタ回路集」です。 この回路集はすり切れるほど眺めたものでした。 なお、小冊子のこのクリコンは1967年ころのCQ誌掲載記事を転載したものです。CQ誌はすべて処分したので元の記事は何方の執筆だったのかわかりません。(参考:調査の結果は1967年12月号pp133〜4、pp143~4の4ページ:執筆は電通大電子工学科・JA1JJU竹内幸一さん)2019.11.27
記事が出た1967年当時、記事にあったパターンでプリント基板を製作した覚えがあります。残念ながら成功しませんでした。 基板はチューインガム1枚より小さいくらいの細長い形状でとてもコンパクトでした。(参考:60mm X 15mm)そのため固定バイアス回路にするなど省部品の設計になっています。上記小冊子には書いてありませんが、バイパスコンデンサ:C3が500V耐圧になっているのも形状の大きな円盤形セラコンを使ってコイル間のシールド板を兼用させる工夫です。
失敗した原因ですが幾つか考えられます。 まず、水晶発振子が良くなかったのではないかと思います。当時の水晶は性能が悪くて発振しにくいものが多かったようです。それに交換して試せるほどたくさん持っていませんでした。 あるいはコイルの巻き方が良くなかった可能性もあります。但し、GDMは既に持っていたので同調の確認はしていたはずです。 使ったトランジスタの型番は忘れましたが代替品だったので性能不足だった可能性もあります。hFEの違いが出易い回路なので、バイアスが適正ではなかった可能性は大いにあります。
コンパクトで部品数も少なく、簡単そうな製作でしたが見かけほど容易ではなかったのでしょうね。 ずいぶん年月は掛かりましたが、今回の製作でリベンジが果たせました。
【3石標準型クリコン】
これも上記と同じ冊子から引用した回路です。 この回路も同じくCQ誌に掲載された記事が元になっています。 1968年9月号の特集「5群のトランジスタで作るアマチュア機器集」で、JA6AAF/1北国さんの執筆によるものです。
当時、まだゲルトラが幅を利かせていた時代でしたが、登場しつつあった高性能なシリコントランジスタを主体にしてHAM用の機器を製作すると言う先進的な内容でした。 2SC387はfT=900MHzの高性能トランジスタです。(その後改良型の2SC387Aとなり、fT=1,000MHzになった) まだ2SA71や2SA58と言ったドリフト型のゲルトラさえ現役で使われていた時代でしたが、新トランジスタを使うことでローノイズ、ハイゲインが確実に得られることが示されていたのです。 もちろん、今でしたら2SC387は2SC1923や2SC2668など代替品はたくさんあってどれも安価です。
ちなみに、当時2SC387は¥1Kもした物が急に安価になって200円で買えるようになったと記事にあります。でもCQ誌も200円でしたからそんなにお手軽でもなかったのですよね。 なお特集記事の製作回路はどれも20pの小型ラグ板に載せています。 プリント基板を起こさずに済むのでお手軽感がありました。 クリコン回路そのものは非常にオーソドックスな物でトランジスタを使ったクリコンの標準型です。
【J-FETを使った3石クリコン】
このクリコンはJARL「アマチュア無線ハンドブック」(1970年版)に掲載されていたものです。 CQ誌など、どこかの雑誌にオリジナルの記事があるのかも知れません。どなたによる執筆かも記載がありません。
その当時の部品事情を反映しているのでしょう。 使われているJ-FETのMK10-2は登場して間もないころです。 高周波用の2SK19は登場まえか、まだ高価だった可能性があります。 価格や入手性を考慮すると他に選択肢のない時代だったので「FETと言えばMK10」と言うくらい何にでも使いました。
回路はJ-FETを使ったオーソドックスなものです。 帰還容量Crssが大きいことから、中和回路が必要です。 2SK192A(YまたはGR)で代替できるので作ってみるのも面白いでしょう。MK10より幾分性能は良くなり、まずまずの性能が得られるクリコンになるでしょう。 そのほか秋月電子に安価に登場したJ-FETのBF256Bもちゃんと使えるのでお試しあれ。 局発に2SC372を使っていますが、発振周波数が22MHzだからでしょう。ここはもっと高周波特性の良い石を使うと確実です。22MHzの水晶発振子も現在では基本波の物が容易に手に入るのでオーバートーン型よりもそちらを使った方が有利です。
参考:このクリコンの出力周波数は28MHz帯になっています。 HAMバンド専用受信機を親受信機にする場合、28MHzバンドに変換すると2MHzの受信幅が取れるので有利です。 但し、28MHz帯の性能は芳しくない受信機も多かったので、他の例に見られるように14MHzバンドへの変換がベストでしょう。 その代わり500kHz幅しかカバーしませんから、50MHz全体を受信するにはクリコンの局発水晶を切り替える必要があります。 9R59Dのようなジェネカバ・ラジオを使うならやや低めの4〜10MHzあたりに変換するのが適当です。
【J-FETとDi-DBMを使ったクリコン】
時代はずっと下って1977年発売のA5版書籍「アマチュアのV・UHF技術」(CQ出版)に掲載されていた半導体式のクリコンです。JH1GJF住広さんによる製作記事です。 そろそろJAでもショットキー・バリア・ダイオード(SBD)が入手容易になって来た時代で、SBDをリング状にしたDBM形式のミキサが注目されたころでした。
SBDはホットキャリヤ・ダイオードとも呼ばれ、米誌によれば非常に高性能とのことでした。しかしJAでは入手難だったのです。JAのHAMが初めて買えたSBDはNECの1SS16で、高価だった記憶があります。 SBDは強電界に弱いという触れ込みだったのでアルミフォイルに包んで慎重に保管したものでした。(いまのSBDも静電気で破壊し易い)
また、当時米QST誌ではSiliconix社のJ-FETであるU-310あるいはJ-310を使ったGGアンプが盛んに採り上げられており、ローノイズで混変調特性に優れたRFアンプの決め手と言われました。この製作記事ではSiloconix社のE-310というJ-FETが使われています。
E-310はパッケージ違いの「J-310」と思えば良いです。中身のFETチップは同じものですが、いまでは生産されていない形状のパッケージに入ったものです。 足ピンの並びに気をつければJ-310でそのまま代替できます。U-310でも良いでしょう。 或は手持ちがあればSONYの2SK125も使えます。
ミキサーのCM-1はいまでは聞かないVari-L社と言うメーカーのDBMモジュールです。同等品がミニサーキット社やR&K社にありますから支障ありません。 もちろんフェライトコアにトリファイラ巻きしたトランス2個と1SS97などRF用SBDを4本使って自作できます。手作りすれば安上がりで性能も既製品に遜色ありません。
従来型のクリコンではコンテストの時など混変調に悩まされました。それが、かなり解消される性能が得られたのです。 NFも良いのでGWでDXを狙うにも悪くないでしょう。いまでも通用するクリコンです。 ただしクリコン自体の消費電流はずいぶん大きくなりました。乾電池が電源の無線機には不向きだと思っています。
【7360を使った真空管クリコン】
真空管式のクリコンがないと寂しいかも知れません。 このクリコンは上記と同じ「アマチュアのV・UHF技術」に掲載された高性能な真空管式クリコンで、JA1LZK海老原さんによる製作記事です。
ローノイズで混変調特性に優れるビーム偏向管:7360をミキサに使っています。 RFアンプもカラーTVのチューナーを高感度化する目的で開発されたフレームグリッドの高性能管:6HA5です。3極管ですから中和回路は必須ですが低NFで混変調特性も良好です。 そのため、良く聞こえしかも大信号特性に優れた混変調の少ないクリコンになっています。真空管式のクリコンとしてはこれが集大成と言えるかも知れません。
7360をお持ちでしたら試してみるのも良いかも知れません。 ただ、無理に(高額で)手に入れるほどの価値はないと思うのであまり妄想を膨らませぬ方が宜しいです。 RFアンプやミキサに6AK5を使うような古典的クリコンと比べれば明らかに優秀ですけど・・・まあその程度でしょう。 半導体式の方が総じて優秀ですから、物珍しさ以上の価値はないのかも知れませんね。 今の時代、真空管を使うと電源が別系統になってしまうのも厄介です。そんな障害を乗り越えて作るほどのメリットがあるのか少々微妙なところです。w
【ニュービスタを使った真空管クリコン】
同じく、真空管式の高性能なクリコンとしてニュービスタ管を使ったものがあります。 上記の7360にはやや及ばないかも知れませんが、RCA社が混変調特性のデータ付きで盛んにPRしていただけあって、なかなか優秀なようです。
図はARRLの「VHF Handbook」(1965年版)を引用した物です。 この時代のARRL発行のハンドブックではクリコンはニュービスタ管が主流でした。
JAで手に入る部品に置き換えて作り易くした製作記事がCQ誌に掲載されたことがあります。たぶんこの回路を参考にされたのでしょう。JA6HW/JA1RST角居さんの記事でした。しかし球とソケットが特殊なのであまり流行らなかったようです。ニュービスタなんて地方のHAMにはご縁が無かったんです。 もしも「球+ソケット」が必要数手に入るなら試してみたい気もしますが・・・難しいでしょうね。 ただ、ガラス管でない真空管製作は何となく「ハリアイ」が少ないです。 球はオレンジに灯るフィラメントが見えなくてはね。(笑)
☆
世に登場したクリコン回路はまだまだたくさん有ります。 例えばDual-Gate MES-FETを使ったローノイズ・クリコンや、V-MOS FETのVMP-4を使う超弩級クリコンなど紹介したいものは沢山あります。 ただ、すでにクリコンなどなしで長波帯からUHF帯までフルカバーするトランシーバや通信型受信機が目新しくもない時代です。これ以上深入りする意味もないようですから,取りあえずこの辺でやめておきます。 こうしたVHF帯の製作は部品配置や配線こそ重要です。回路図があれば作れる訳ではありませんが、いずれ機会があれば続きでもやりましょう。w
短波のトランジスタラジオ(←リンク)の製作が切っ掛けと言うわけでもありませんが、何となくそれに合わせた製作になりました。 もちろんそのような製作にも向いていますが、わずかな電流で働いてくれますから既存のラジオに付加するような使い方も面白そうです。短波ラジオの製作と合わせて簡単6mAMトランシーバの受信部を作ってみては如何でしょうか。
SHF帯の自作などを除けばHAM用クリコンの製作は既に廃れていますが、クリコンが完全に無くなったわけではありません。 ワンセグチューナをジェネカバ受信機に応用するにはHF帯のアップコンバータが必要です。 和のヘテロダインを使うので周波数関係は逆になりますが基本は同じです。
近ごろは便利な世の中なので、局発には既成の水晶発振モジュールが使えます。ワンセグチューナのSDR応用では100MHzの発振モジュールを使うと便利です。 広帯域高周波増幅はMMICを使えば簡単です。 ミキサにはDi-DBMモジュールでしょうね。 50MHzのLPFと100MHzのHPFくらいは手作りする必要があるかも知れませんが、それほど難しくないでしょう。 既成のモジュールを組み合わせれば回路設計の手間を掛けず手軽に目的のクリコンが作れる時代なのです。
でも、消費電流は数mAでは済みません。 たっぷり電気を喰らうと思いますが、高周波設計の技術なところを省いたツケですから仕方がありません。あきらめて払って下さい。(笑) de JA9TTT/1
(おわり)nm
【クリコンのかなめ】シンプルなクリスタル・コンバータを作ってみましょう。 前回(←リンク)の続きです。 シンプルで低消費電流、実用的な性能のクリスタル・コンバータができました。
クリスタル・コンバータ、略して「クリコン」の要(かなめ)と言えばやはり局発(Local-OSC)でしょう。 スーパー・ヘテロダインの原理を使いますから、局発回路が確実な発振をしてくれなくては機能はストップしてしまいます。
クリコンはその名の通り、クリスタル(水晶発振子)を使った発振器を使います。 VHF帯を周波数変換するためには高い周波数の発振器が必要で、周波数安定度の点から「自励発振器」では実現困難なため水晶発振器を使うのが普通です。
まずは、確実な発振が可能か否か実際に部分試作して確かめました。 必要な周波数が高いことから水晶はオーバートーン発振させます。 オーバートーン発振用に作られた水晶発振子を使えば確実ですが手持ちの活用から一般的な水晶発振子をオーバートーンモードで使うことにします。 オーバートーン用ではない水晶発振子でオーバートーン発振させても支障はありませんが保証外になるので販売目的の製品に使うのは旨くありません。しかし、アマチュア的には何ら支障はありません。本来とは想定外の発振をさせるため事前確認しておけば確実です。
50MHz帯を5MHz帯に周波数変換するため50-5=45MHzの局発が必要です。 45MHzを得るために基本波の周波数が15MHzの水晶発振子を3次オーバートーン発振させるか、同じく9MHzの水晶を5次オーバートーン発振で行くのか比較テストしました。 オーバートーン発振の場合、基本波の周波数をちょうどn倍(nは奇数に限る)した値にはなりません。 整数倍から幾らかずれるのが普通なのです。 その結果、どちらの水晶でも確実な発振は可能でしたが発振した周波数には違いがありました。 15MHzの水晶が約45.035MHzで、9MHzの方が44.993MHzで発振しました。
オーバートーン発振での周波数のずれ具合は同一ロットの水晶では同じような傾向を示します。しかし周波数は同じでもまったく別の水晶では異なった傾向を示すようです。 高い方へずれるのか低い方へずれるのか、実験した範囲で明確な規則性は見いだせませんでした。 ですから15MHzの水晶なら3次オーバートーンで必ず45.000MHzの35kHz上で発振する訳ではありません。9MHzの5次オーバートーンが7kHz低かったのも手持ちの水晶のたまたまの現象でしょう。 ちゃんとしたオーバートーン用水晶では目的のオーバートーン周波数で発振するように周波数調整してあるわけです。
ここでは45.000MHzに近かった9MHzの水晶を使うことにします。 本来の目的外ですからジャスト3倍や5倍の発振周波数にならないのはやむを得ませんが、なるべく目的周波数に近い方を選びました。少しでしたら周波数調整も可能です。
試作した50MHz用クリコンの回路図です。 高周波増幅のあと、水晶発振と周波数変換を1つのトランジスタで兼用する自励コンバータを使った2石クリコンです。
デバイス数の削減は優先項目ではありませんが興味のあった回路なので参考にしてみました。 後ほどオリジナルの回路が登場しますが、そのままではなく改良を行なっています。 改良のポイントはバイアス回路で、トランジスタのバラツキに強くすることにあります。 そのため、トランジスタを差し替えても無調整で行けます。(もちろん程度問題ですが・笑)
Q1の高周波増幅(RF-Amp.)はベース接地型です。 エミッタ接地型にしてより高いゲインを得ることも可能ですが中和回路が必要になります。 周波数変換部分にもゲインがあるのでRF-Amp.はベース接地型で行くことにしました。 ベース接地のアンプは入力側と出力側のインピーダンス比でゲインが決まります。 入力はタップダウンしてあり、かなり低く、負荷側はタップ無しなので比較的インピーダンスが高いため十分なゲインがあります。
Q2は周波数変換と局発を兼用する回路で自励式コンバータの一種です。 局発回路としては3次、5次のいずれでもオーバートーン発振できます。 但しこの回路ではそれ以上の高次発振は難しそうでした。 このQ2の回路は周波数変換の機能を兼ねるので発振レベルが大きくなりすぎないようにするのが肝心です。T3の巻き数比やQ2のコレクタ電流で加減します。旨く動作させればゲイン、NFなど他励式コンバータに遜色の無い性能が得られます。局発注入レベルの調整が不要なのも良い点です。 ベースバイアス部分のC6はあった方が良さそうに感じますが、これがあるとブロッキング発振が起こります。なくても感度に影響を感じませんから付けないことにしました。
このクリコンに推奨するトランジスタは2SC1923Yあるいは2SC2668Yです。この2つは外観こそ少し違いますがまったくの同等品です。 50MHzですからfTが高いトランジスタを使います。 ほかに2SC535C、2SC387Aや2SC668EなどfTが500MHz以上のTrがFBでしょう。それぞれ比較テストしましたが性能はどれも類似でした。 何れも数10円のトランジスタですから良い性能のトランジスタを使うと安心できます。 残念ながら汎用品の2SC1815Yでは十分な性能は期待できません。fTが足りないので局発の発振が困難でした。またRF-Amp.に使ってもゲインは低めです。
このクリコンは水晶さえきちんと発振すればあとは特に難しいところはありません。上記のようなトランジスタを使えば問題ない筈ですが、うまく発振しないようなら水晶発振子の問題かも知れません。別の水晶に交換すると簡単に問題が解消する可能性があります。 たとえばaitendoで購入した9MHz(HC-49/US)の水晶では5次オーバートーン発振はできませんでした。3次オーバートーンの方が楽ですから15MHzの水晶を優先しても良いでしょう。
ポピュラーな14.318MHzの水晶発振子(HC-49/U)も旨く3次オーバートーン発振しました。悪くない選択だと思います。この場合7MHz帯に周波数変換されます。 クリコンの全消費電流は約2.4mAと省エネです。(電源電圧は6Vで設計しています)
【50MHzクリコンのコイル製作図】
たった2石のシンプル回路ですが、コイルは4つ必要です。 参考にしたオリジナル記事ではφ8mmのトランジスタ用ボビンに巻き線していました。 これは10Kタイプのボビンが出回る以前の記事だったからでしょう。
一部のコイルについては指定通りφ8mmのボビン(東光のモノコイル同等)でも試作してみました。 しかし巻き線しにくいのですべて10Kボビンに変更しました。 10Kボビンも幾つか種類があって、ここではコア材のμがやや小さい「VHF用」と称するものを使っています。
たまたまですがφ8mmのボビンと同じ巻き数になりました。 10Kボビンに巻いたコイルのQはあまり高くありませんが、実用性能が得られています。 なお、大きめのインダクタンスが必要になることから、5MHzの出力コイル:T4のみμが少し大きいコア材の10Kボビンを使いました。そのような10Kボビンを持っていなければ他と同じボビンに巻けるだけ巻き、同調容量のC9:100pFを大きくしても良いでしょう。 巻き線はすべてφ0.16mmのポリウレタン電線(UEW線)です。
既成のFCZコイル(同等品含む)はタップの位置や2次側の巻き数が適当ではないためそのままでは使えません。 巻き線されていないボビン素材を購入して巻くか、巻かれたコイルを分解して巻き直し改造します。 各コイルはAmidonのトロイダルコア(例:T25-#10など)とトリマコンデンサを使う形式に変更することも可能です。所定のインダクタンスになるように巻き線しタップ位置や2次巻き線の比率が近似になるようにします。
備考:一覧表のように同じインダクタンスでも使用する同調容量が異なるのは、配線によって付加されるストレー容量に違いがあるからです。 プリントパターン化する場合にも実際に合わせて同調容量を加減する必要があるかも知れません。
【ブレッドボードで試作】
50MHzと言うVHF帯になることから、ブレッドボードでの試作に不安を感じました。 配線インダクタンスを減らすためアースラインを複数にしたり列を飛ばすなどストレー容量にも考慮した結果、支障ない成績が得られました。
ブレッドボード起因の動作不安定も見られずHF帯となんら変わりません。 部品配置や配線を良く考えて作ればブレッドボードでも50MHzくらいまで行けることがわかりました。 以前行なったブレッドボードの分布容量や配線インダクタンスの調査が役に立っています。(トラ技:2014年3月号に記事あり)
使う部品にも注意を払っています。コイルはブレッドボード用の変換基板には実装せず、足ピンにメッキ線を足して最短配線になるようにしています。 バイパス・コンデンサは高周波特性の良いセラコンを使うのは当然として、VHF帯の製作であることを意識し各部品の足は必要最短にカットします。 勿体ないからと言って部品の足を長いままにするとアンプが発振したり、逆に発振回路が発振しないなどのトラブルに見舞われるかも知れません。 50MHzは立派な高周波ですから低周波のようなモヤシ配線の手法は通用しません。(笑)
【局発波形】
局発の発振波形です。 コイル:T3の2次側、あるいはQ2のベースで、300〜400mV(rms)の発振振幅 になる筈です。 離調させる方法で、振幅を増減してみましたが発振はこのくらいの大きさが最適な値にあるようでした。
T3の調整ですが、オシロスコープまたはRF電圧計を使います。観測ポイントはT3の2次側(回路図の×印の場所)です。 T3の調整コアをボビンの上端の方向へ(反時計方向に)回して行くと発振が停止するポイントがあるはずです。 そこから逆に(時計方向へ)戻し、発振が再開したら更に1/4〜1/3回転ほどコアが入る位置へ回しておきます。
コアを発振の振幅がピークになる位置に調整してしまうと、わずかな条件変化で発振停止する危険があります。上記の調整方法のように、コアを発振のピークから安全方向へわずかに戻しておく訳です。 その後、電源のON/OFFを繰り返してみて確実に発振がスタートすることを確認しておきます。
【調整方法】
他のコイルの調整は簡単です。テストオシレータあるいは標準信号発生器:SSGから 50MHzを与え親受信機で5MHz帯に変換された信号を受信します。 T3は調整済みですから、T1、T2、T4のコアを調整して一番良く聞こえる状態に合わせれば終了です。 信号発生器がなければアンテナを繋いで外来ノイズを頼りに調整しても大丈夫でしょう。
50MHzのHAMバンドは4MHzもバンド幅があるので無調整でフルにカバーするのは無理があります。 バンド全体に渡ってまんべんなくオンエアされているわけでもないので、よく使われている周波数で最高感度になるようにしておけば良いでしょう。 私はSSB局が良く出ている50.25MHzで調整してみました。 その状態でCWバンドの上端あたりからSSB局が主に出ている周波数帯で感度差をあまり感じません。 50.62MHz付近のAM局や51MHz以上のFM局をメインにするなど、使用目的に応じ調整する周波数を決めます。
もしバリコンで同調可変式にするのなら、T2のところのC4:27pFを40pFくらいのバリコンにします。またT4のところにあるC9:100pFを固定コンデンサ50pF+100pFのバリコンにするのが良いでしょう。 C1:33pFはT1の共振がブロードなのでバリコンにするほどでもないようでした。
【受信成績】
2石のクリコンですから過剰な期待はできません。 しかし、まずまずの性能ではないかと思います。 HF帯のトランシーバを親受信機にしてSSGでチェックしたところ、CWモードでは-15dBμくらいのビートが十分確認できました。 そこで18mHの5エレ八木アンテナに繋いでみたらなかなかFBに聞こえます。 15kmほど離れたローカルさんは59+でしたが、遠方の移動運用局もノイズから浮き上がって聞こえてきました。 これから初夏に掛けて Eスポでも出たら賑やかに聞こえるでしょう。
クリコン自身のノイズフロアは拙宅の環境では外来ノイズ以下でした。 従ってS/Nも十分で、ゲインも必要にして十分な大きさが得られているように思います。 休日の昼過ぎ、S9++のローカル局が2局同時にオンエアしていたので強い両局の信号によって起こる混変調の具合を探ってみました。暫くワッチしてみたのですが目立って感じられませんでした。 定性的な評価ですが普段のオンエアで支障のない性能のようです。 回路構成上ゲイン過剰ではないので混変調特性も取りあえず実用範囲なのでしょう。
親受信機の性能が普通以上であればまずまずの性能が得られるようです。 3石の標準的な回路構成のクリコンに遜色のない性能ではないでしょうか。
【精選クリスタルコンバータ回路集】
1960〜70年代になるとVHF帯への興味が高まったので、雑誌には毎月のように様々なクリスタル・コンバータ(クリコン)が登場しました。 最初は真空管式でしたが徐々に半導体化が進みました。 近ごろは「クリコン」はそろそろ死語になりつつあるようです。 そうなる前にちょっと個性的なクリコンをピックアップしておきました。
この2石クリコンが今回の製作のベースです。 引用元はCQ誌1971年1月号の付録だった小冊子「88シンプルトランジスタ回路集」です。 この回路集はすり切れるほど眺めたものでした。 なお、小冊子のこのクリコンは1967年ころのCQ誌掲載記事を転載したものです。
記事が出た1967年当時、記事にあったパターンでプリント基板を製作した覚えがあります。残念ながら成功しませんでした。 基板はチューインガム1枚より小さいくらいの細長い形状でとてもコンパクトでした。(参考:60mm X 15mm)そのため固定バイアス回路にするなど省部品の設計になっています。上記小冊子には書いてありませんが、バイパスコンデンサ:C3が500V耐圧になっているのも形状の大きな円盤形セラコンを使ってコイル間のシールド板を兼用させる工夫です。
失敗した原因ですが幾つか考えられます。 まず、水晶発振子が良くなかったのではないかと思います。当時の水晶は性能が悪くて発振しにくいものが多かったようです。それに交換して試せるほどたくさん持っていませんでした。 あるいはコイルの巻き方が良くなかった可能性もあります。但し、GDMは既に持っていたので同調の確認はしていたはずです。 使ったトランジスタの型番は忘れましたが代替品だったので性能不足だった可能性もあります。hFEの違いが出易い回路なので、バイアスが適正ではなかった可能性は大いにあります。
コンパクトで部品数も少なく、簡単そうな製作でしたが見かけほど容易ではなかったのでしょうね。 ずいぶん年月は掛かりましたが、今回の製作でリベンジが果たせました。
【3石標準型クリコン】
これも上記と同じ冊子から引用した回路です。 この回路も同じくCQ誌に掲載された記事が元になっています。 1968年9月号の特集「5群のトランジスタで作るアマチュア機器集」で、JA6AAF/1北国さんの執筆によるものです。
当時、まだゲルトラが幅を利かせていた時代でしたが、登場しつつあった高性能なシリコントランジスタを主体にしてHAM用の機器を製作すると言う先進的な内容でした。 2SC387はfT=900MHzの高性能トランジスタです。(その後改良型の2SC387Aとなり、fT=1,000MHzになった) まだ2SA71や2SA58と言ったドリフト型のゲルトラさえ現役で使われていた時代でしたが、新トランジスタを使うことでローノイズ、ハイゲインが確実に得られることが示されていたのです。 もちろん、今でしたら2SC387は2SC1923や2SC2668など代替品はたくさんあってどれも安価です。
ちなみに、当時2SC387は¥1Kもした物が急に安価になって200円で買えるようになったと記事にあります。でもCQ誌も200円でしたからそんなにお手軽でもなかったのですよね。 なお特集記事の製作回路はどれも20pの小型ラグ板に載せています。 プリント基板を起こさずに済むのでお手軽感がありました。 クリコン回路そのものは非常にオーソドックスな物でトランジスタを使ったクリコンの標準型です。
【J-FETを使った3石クリコン】
このクリコンはJARL「アマチュア無線ハンドブック」(1970年版)に掲載されていたものです。 CQ誌など、どこかの雑誌にオリジナルの記事があるのかも知れません。どなたによる執筆かも記載がありません。
その当時の部品事情を反映しているのでしょう。 使われているJ-FETのMK10-2は登場して間もないころです。 高周波用の2SK19は登場まえか、まだ高価だった可能性があります。 価格や入手性を考慮すると他に選択肢のない時代だったので「FETと言えばMK10」と言うくらい何にでも使いました。
回路はJ-FETを使ったオーソドックスなものです。 帰還容量Crssが大きいことから、中和回路が必要です。 2SK192A(YまたはGR)で代替できるので作ってみるのも面白いでしょう。MK10より幾分性能は良くなり、まずまずの性能が得られるクリコンになるでしょう。 そのほか秋月電子に安価に登場したJ-FETのBF256Bもちゃんと使えるのでお試しあれ。 局発に2SC372を使っていますが、発振周波数が22MHzだからでしょう。ここはもっと高周波特性の良い石を使うと確実です。22MHzの水晶発振子も現在では基本波の物が容易に手に入るのでオーバートーン型よりもそちらを使った方が有利です。
参考:このクリコンの出力周波数は28MHz帯になっています。 HAMバンド専用受信機を親受信機にする場合、28MHzバンドに変換すると2MHzの受信幅が取れるので有利です。 但し、28MHz帯の性能は芳しくない受信機も多かったので、他の例に見られるように14MHzバンドへの変換がベストでしょう。 その代わり500kHz幅しかカバーしませんから、50MHz全体を受信するにはクリコンの局発水晶を切り替える必要があります。 9R59Dのようなジェネカバ・ラジオを使うならやや低めの4〜10MHzあたりに変換するのが適当です。
【J-FETとDi-DBMを使ったクリコン】
時代はずっと下って1977年発売のA5版書籍「アマチュアのV・UHF技術」(CQ出版)に掲載されていた半導体式のクリコンです。JH1GJF住広さんによる製作記事です。 そろそろJAでもショットキー・バリア・ダイオード(SBD)が入手容易になって来た時代で、SBDをリング状にしたDBM形式のミキサが注目されたころでした。
SBDはホットキャリヤ・ダイオードとも呼ばれ、米誌によれば非常に高性能とのことでした。しかしJAでは入手難だったのです。JAのHAMが初めて買えたSBDはNECの1SS16で、高価だった記憶があります。 SBDは強電界に弱いという触れ込みだったのでアルミフォイルに包んで慎重に保管したものでした。(いまのSBDも静電気で破壊し易い)
また、当時米QST誌ではSiliconix社のJ-FETであるU-310あるいはJ-310を使ったGGアンプが盛んに採り上げられており、ローノイズで混変調特性に優れたRFアンプの決め手と言われました。この製作記事ではSiloconix社のE-310というJ-FETが使われています。
E-310はパッケージ違いの「J-310」と思えば良いです。中身のFETチップは同じものですが、いまでは生産されていない形状のパッケージに入ったものです。 足ピンの並びに気をつければJ-310でそのまま代替できます。U-310でも良いでしょう。 或は手持ちがあればSONYの2SK125も使えます。
ミキサーのCM-1はいまでは聞かないVari-L社と言うメーカーのDBMモジュールです。同等品がミニサーキット社やR&K社にありますから支障ありません。 もちろんフェライトコアにトリファイラ巻きしたトランス2個と1SS97などRF用SBDを4本使って自作できます。手作りすれば安上がりで性能も既製品に遜色ありません。
従来型のクリコンではコンテストの時など混変調に悩まされました。それが、かなり解消される性能が得られたのです。 NFも良いのでGWでDXを狙うにも悪くないでしょう。いまでも通用するクリコンです。 ただしクリコン自体の消費電流はずいぶん大きくなりました。乾電池が電源の無線機には不向きだと思っています。
【7360を使った真空管クリコン】
真空管式のクリコンがないと寂しいかも知れません。 このクリコンは上記と同じ「アマチュアのV・UHF技術」に掲載された高性能な真空管式クリコンで、JA1LZK海老原さんによる製作記事です。
ローノイズで混変調特性に優れるビーム偏向管:7360をミキサに使っています。 RFアンプもカラーTVのチューナーを高感度化する目的で開発されたフレームグリッドの高性能管:6HA5です。3極管ですから中和回路は必須ですが低NFで混変調特性も良好です。 そのため、良く聞こえしかも大信号特性に優れた混変調の少ないクリコンになっています。真空管式のクリコンとしてはこれが集大成と言えるかも知れません。
7360をお持ちでしたら試してみるのも良いかも知れません。 ただ、無理に(高額で)手に入れるほどの価値はないと思うのであまり妄想を膨らませぬ方が宜しいです。 RFアンプやミキサに6AK5を使うような古典的クリコンと比べれば明らかに優秀ですけど・・・まあその程度でしょう。 半導体式の方が総じて優秀ですから、物珍しさ以上の価値はないのかも知れませんね。 今の時代、真空管を使うと電源が別系統になってしまうのも厄介です。そんな障害を乗り越えて作るほどのメリットがあるのか少々微妙なところです。w
【ニュービスタを使った真空管クリコン】
同じく、真空管式の高性能なクリコンとしてニュービスタ管を使ったものがあります。 上記の7360にはやや及ばないかも知れませんが、RCA社が混変調特性のデータ付きで盛んにPRしていただけあって、なかなか優秀なようです。
図はARRLの「VHF Handbook」(1965年版)を引用した物です。 この時代のARRL発行のハンドブックではクリコンはニュービスタ管が主流でした。
JAで手に入る部品に置き換えて作り易くした製作記事がCQ誌に掲載されたことがあります。たぶんこの回路を参考にされたのでしょう。JA6HW/JA1RST角居さんの記事でした。しかし球とソケットが特殊なのであまり流行らなかったようです。ニュービスタなんて地方のHAMにはご縁が無かったんです。 もしも「球+ソケット」が必要数手に入るなら試してみたい気もしますが・・・難しいでしょうね。 ただ、ガラス管でない真空管製作は何となく「ハリアイ」が少ないです。 球はオレンジに灯るフィラメントが見えなくてはね。(笑)
☆
世に登場したクリコン回路はまだまだたくさん有ります。 例えばDual-Gate MES-FETを使ったローノイズ・クリコンや、V-MOS FETのVMP-4を使う超弩級クリコンなど紹介したいものは沢山あります。 ただ、すでにクリコンなどなしで長波帯からUHF帯までフルカバーするトランシーバや通信型受信機が目新しくもない時代です。これ以上深入りする意味もないようですから,取りあえずこの辺でやめておきます。 こうしたVHF帯の製作は部品配置や配線こそ重要です。回路図があれば作れる訳ではありませんが、いずれ機会があれば続きでもやりましょう。w
短波のトランジスタラジオ(←リンク)の製作が切っ掛けと言うわけでもありませんが、何となくそれに合わせた製作になりました。 もちろんそのような製作にも向いていますが、わずかな電流で働いてくれますから既存のラジオに付加するような使い方も面白そうです。短波ラジオの製作と合わせて簡単6mAMトランシーバの受信部を作ってみては如何でしょうか。
SHF帯の自作などを除けばHAM用クリコンの製作は既に廃れていますが、クリコンが完全に無くなったわけではありません。 ワンセグチューナをジェネカバ受信機に応用するにはHF帯のアップコンバータが必要です。 和のヘテロダインを使うので周波数関係は逆になりますが基本は同じです。
近ごろは便利な世の中なので、局発には既成の水晶発振モジュールが使えます。ワンセグチューナのSDR応用では100MHzの発振モジュールを使うと便利です。 広帯域高周波増幅はMMICを使えば簡単です。 ミキサにはDi-DBMモジュールでしょうね。 50MHzのLPFと100MHzのHPFくらいは手作りする必要があるかも知れませんが、それほど難しくないでしょう。 既成のモジュールを組み合わせれば回路設計の手間を掛けず手軽に目的のクリコンが作れる時代なのです。
でも、消費電流は数mAでは済みません。 たっぷり電気を喰らうと思いますが、高周波設計の技術なところを省いたツケですから仕方がありません。あきらめて払って下さい。(笑) de JA9TTT/1
(おわり)nm
2016年3月23日水曜日
【回路】Crystal Converter Design (1)
【回路:クリスタル・コンバータ】
【太宰府天満宮の紅梅】
春分の日も過ぎ、桜の便りも届いています。 桜には少し早く、梅にはもう遅いあいにくのタイミングでしたが少し旅に出てきました。
九州も鹿児島は訪問したことがありましたが、他県はみな初めてです。 福岡、大分、宮崎、熊本そして長崎と巡って帰ってきました。
良く交信して頂いている熊本のOMさんにもアイボールしたかったのですが、半日ほどの滞在ではそうも行きません。 シャックを訪問させて頂きたいと思いつつも、残念な思いで後にしました。
もっとゆっくりした旅ができたなら良いのですが、ツアーともなると自由が利きません。 三泊四日でしたが振り返って見れば慌ただしいでね。
☆
・・・と言うことで、旅の疲れもあり三月2回目のBlog更新は中身がありません。 あしからず。(笑)
【コイルの作成から】
簡単なクリスタル・コンバータ(略称:クリコン)を作ろうと思っています。 まだ検討している実験途中ですから回路図は次回以降にします。 回路は確定していませんが、取りあえず実験回路は決めたのでコイルを巻いたところです。
クリコンの入力周波数は50MHzで出力は5MHz帯を予定しています。 クリスタルは45MHzの3rdオーバートーン用あるいは、15MHzの水晶をオーバートーン発振させる方法を考えています。 いずれも無いようなら14.318MHzの水晶でも良いかも知れません。この場合は7MHz帯に周波数変換されます。 在庫未確認ですが、45MHz/3rd-OTの手持ちは無いかも知れないので第2案になりそうです。
コイルはトロイダルコアに巻いて同調はトリマ・コンデンサで行くか、10Kボビンに巻いてコアの調整で同調をとるか少々迷ったのですが、写真のように10Kボビンにしました。
50MHzともなると、こうしたボビンに巻き線するよりも太めのメッキ線・・銀メッキが良い・・でコイルを巻き、同調はエアートリマが良いのだろうと思いつつコンパクトな製作を優先して10Kボビンにしました。 凝った回路で優秀なデバイスを使う設計なら銀メッキ線+エアートリマに限ります。 しかし、ポピュラーなRF用デバイス・・要するに安価なデバイス・・だけで構成するつもりですから10Kボビンが似合っているでしょう。
インダクタンスvs巻数のチャートを使って巻き線しました。 周波数が高いため巻き回数はごく少ないので簡単に巻けます。 ただし前準備が面倒でした。 新品のボビンに巻くわけではありません。まずは分解して既存の巻き線や内蔵コンデンサを除去する必要があります。 シールドケースは結構しっかり止めてありますから、それを外すのが第1関門です。 コイルにダメージを与えずに奇麗に外すのが難しいですね。 頻繁にやるなら分解用の治具が欲しくなります。 まずはコイル巻きが終わったので、次回は少し回路実験も進むでしょう。
☆
ジェネカバの受信機やトランシーバが当たり前になっています。 50MHzなんて何の苦労も無く受信できます。 それに5〜600円も出せばUSBワンセグチューナが手に入り、そのSDR応用でオールバンド・オールモード受信ができる昨今です。もちろん50MHzも聞こえます。 ですから「クリスタル・コンバータ」を作って親受信機に付加するなんて言う受信法は時代遅れでしょうね。 それはその通りなので否定はしませんが遊ぶ中身がブラックボックスでは何となく物足りなさを感じます。 ディスクリート部品を寄せ集めて「受信機」とか作る方が面白く感じますね。コイルを巻きトランジスタをならべる製作の中に手作りの楽しさがあります。 de JA9TTT/1
(つづく)←続きへリンクfm
【太宰府天満宮の紅梅】
春分の日も過ぎ、桜の便りも届いています。 桜には少し早く、梅にはもう遅いあいにくのタイミングでしたが少し旅に出てきました。
九州も鹿児島は訪問したことがありましたが、他県はみな初めてです。 福岡、大分、宮崎、熊本そして長崎と巡って帰ってきました。
良く交信して頂いている熊本のOMさんにもアイボールしたかったのですが、半日ほどの滞在ではそうも行きません。 シャックを訪問させて頂きたいと思いつつも、残念な思いで後にしました。
もっとゆっくりした旅ができたなら良いのですが、ツアーともなると自由が利きません。 三泊四日でしたが振り返って見れば慌ただしいでね。
☆
・・・と言うことで、旅の疲れもあり三月2回目のBlog更新は中身がありません。 あしからず。(笑)
【コイルの作成から】
簡単なクリスタル・コンバータ(略称:クリコン)を作ろうと思っています。 まだ検討している実験途中ですから回路図は次回以降にします。 回路は確定していませんが、取りあえず実験回路は決めたのでコイルを巻いたところです。
クリコンの入力周波数は50MHzで出力は5MHz帯を予定しています。 クリスタルは45MHzの3rdオーバートーン用あるいは、15MHzの水晶をオーバートーン発振させる方法を考えています。 いずれも無いようなら14.318MHzの水晶でも良いかも知れません。この場合は7MHz帯に周波数変換されます。 在庫未確認ですが、45MHz/3rd-OTの手持ちは無いかも知れないので第2案になりそうです。
コイルはトロイダルコアに巻いて同調はトリマ・コンデンサで行くか、10Kボビンに巻いてコアの調整で同調をとるか少々迷ったのですが、写真のように10Kボビンにしました。
50MHzともなると、こうしたボビンに巻き線するよりも太めのメッキ線・・銀メッキが良い・・でコイルを巻き、同調はエアートリマが良いのだろうと思いつつコンパクトな製作を優先して10Kボビンにしました。 凝った回路で優秀なデバイスを使う設計なら銀メッキ線+エアートリマに限ります。 しかし、ポピュラーなRF用デバイス・・要するに安価なデバイス・・だけで構成するつもりですから10Kボビンが似合っているでしょう。
インダクタンスvs巻数のチャートを使って巻き線しました。 周波数が高いため巻き回数はごく少ないので簡単に巻けます。 ただし前準備が面倒でした。 新品のボビンに巻くわけではありません。まずは分解して既存の巻き線や内蔵コンデンサを除去する必要があります。 シールドケースは結構しっかり止めてありますから、それを外すのが第1関門です。 コイルにダメージを与えずに奇麗に外すのが難しいですね。 頻繁にやるなら分解用の治具が欲しくなります。 まずはコイル巻きが終わったので、次回は少し回路実験も進むでしょう。
☆
ジェネカバの受信機やトランシーバが当たり前になっています。 50MHzなんて何の苦労も無く受信できます。 それに5〜600円も出せばUSBワンセグチューナが手に入り、そのSDR応用でオールバンド・オールモード受信ができる昨今です。もちろん50MHzも聞こえます。 ですから「クリスタル・コンバータ」を作って親受信機に付加するなんて言う受信法は時代遅れでしょうね。 それはその通りなので否定はしませんが遊ぶ中身がブラックボックスでは何となく物足りなさを感じます。 ディスクリート部品を寄せ集めて「受信機」とか作る方が面白く感じますね。コイルを巻きトランジスタをならべる製作の中に手作りの楽しさがあります。 de JA9TTT/1
(つづく)←続きへリンクfm
2016年3月9日水曜日
【回路】Short Wave Radio Design (1)
【回路:短波ラジオの設計・試作】
【短波ラジオを開発する】
雑誌の記事やネットの検索で中波(BCバンド)のAMラジオを作る話はたくさん見つかります。でも、短波(SWバンド)が聞こえるラジオを作る話はずいぶん少なくなるようです。
試しに「短波ラジオ」で検索してみましょう。短波付き真空管式ラジオの話なら意外に見かけます。ノスタルジーを感じてご年配のお方が製作さているようですが、新たに部品を入手して作るのは難しそうです。
短波ラジオを半導体で作る話はぐっと少なくなります。再生検波のストレート式ならいくらか検索ヒットしますが、特にスーパーヘテロダイン式は希なようです。ICを使うと容易そうですがそれも珍しいのです。 自作ハムが作るHAM Band専用機はスーパー式が大半です。ただし受信周波数が限られていて「短波ラジオ」とは違うものです。短波帯を広くカバーするごく普通の「短波ラジオ」をトランジスタを使って、性能に優れるスーパー形式で作る話は殆ど見かけません。
トランジスタを使った短波ラジオを作ってみましょう。もちろんスーパー形式で行きます。今でもたやすく手に入る部品を使って作りたいと思います。
☆
写真はブレッドボードを使って短波ラジオを開発している様子です。もちろんスーパーヘテロダイン形式です。 ごくありきたりの入手し易いトランジスタやICを使っています。 受信できる周波数の範囲は3.4〜10.2MHzになるよう設計しました。 できたら3.5MHz帯のHAM Bandも含めたいと思い下限を3.4MHzにしています。 もちろん市販の短波付きトランジスタラジオのように3.9〜12MHzをカバーする設計もできます。以下、その方法も含めて説明しましょう。
ブレッドボード:BBでの試作ですから中波帯のラジオのようには行かない所があります。 一番の問題は周波数安定度でしょう。 短波ラジオは受信周波数が高くなるので周囲の影響を受け易くなって周波数安定度は悪くなります。部分によっては手を近付けただけでも受信周波数が変動します。 実用品にするにはきちんとハンダ付けして組み立て必要な箇所にはシールド(遮蔽)も施します。 実験としてはブレッドボードも良いのですが、試作が済んだら次のステップとしてハンダ付けで製作しましょう。
以下ご覧頂くと回路はごく簡単です。見かけは簡単ですが周波数の高い短波帯の製作になります。初心者がいきなり挑戦しても成功する可能性は小さいでしょう。 もしチャレンジされるなら中波帯のラジオ(スーパーヘテロダイン形式が良い)で製作と調整を体験してから取り組んで下さい。 単に製作するのではなくスーパーヘテロダインの仕組みを良く理解しておくことが大切です。 また、調整や確認にはそれなりの測定器が必要です。 なるべく詳しく説明していますが、DMM:デジタル・マルチメータだけでは完全な調整はできません。お知り合いの先輩がお持ちの測定器も頼りにして製作されることを期待しています。 想定している測定器は(1)オシロスコープ、(2)テストオシレータなどの高周波信号発生器、(3)デジタル・マルチメータ、(4)周波数カウンターです。
以下、自家用資料を含むため一部に一般的ではないデータもあります。 また詳しく書くにも限界がありますから貴方が知りたい事のすべてが書かれている訳ではないでしょう。 ご質問をいただいても大丈夫ですが常識の範囲でお願いします。私は占い師じゃありませんから断片的なお話だけでピタリとわかるわけではありません。ご質問を整理して具体的な内容をお聞かせください。 なお、この先の話は高級指向のお方には詰まらないと思われます。ここでお帰りが宜しいでしょう。 では『やさしすぎてツマラナイ話し』かと言えば、たぶんそうではありません。
参考:このBlogにはHAM Bandの受信を目的とした再生検波式の短波受信機の話(全6回)もあります。こちら(←リンク)
【局発回路の検討】
スーパーヘテロダイン形式のラジオで最も重要なのは局部発振器(局発:Local-OSC)ではないでしょうか。 例えば、電池が消耗してきて他の回路はまだ生きているのに、局発がストップしたらもう何も聞こえなくなります。
ストレート形式のラジオなら、感度や音質は悪いなりにも電池が消耗してからかなり聞こえるのが普通です。 しかし、スーパー受信機では局発が止まればそこでオシマイなのです。
ですから、スーパーでは局発がキーポイントです。 短波帯の広い周波数範囲で確実に発振し、少々の電圧低下では発振停止しない発振回路が必須です。 しかも良好な発振波形が得られるような局発回路の開発が短波ラジオでは最も重要で難しいものでした。 ことに局発コイルの設計が難しく、まず最初に着手した部分です。 写真は、局発コイルのテストと発振トランジスタの動作点を検討している様子です。 2SC1815Yと言ったシリコン・トランジスタだけでなく、2SA101のようなゲルマニウム・トランジスタでもテストしました。
実験により中波帯のラジオとは少々異なるセンスで設計しなくてはならないなど様々な知見が得られたと思います。 そのデータを検証するために標準的な短波ラジオを試作することにしました。 最終的には中波と短波の2バンド・トランジスタ・ラジオが目標ですが最初は短波専用で作ってみます。
【短波ラジオの回路図】
たくさんデバイスを使い各回路をブロックごとに独立して製作するなど、通信機のような高級な手段を使えばむしろ製作は容易になります。 しかし、ここは単なる短波ラジオですから、ごくシンプルにありきたりのトランジスタを素材にミニマムな設計にしています。
短波帯の電波は中波放送と比べてかなり微弱です。そのため中波ラジオのようにフェライト・コア材を使ったバーアンテナを内蔵しただけでは良く聞こえません。最初から外部アンテナを使って受信するのを前提にしました。 従って、アンテナコイルは普通のコイルになっていてバーアンテナ形式ではありません。アンテナコイルの1次側はローインピーダンス設計です。使用するアンテナはロングワイヤなどではなく、受信周波数に合わせたダイポールアンテナを同軸ケーブルで接続するのに向いています。 もちろん、数mのビニル線のような簡易なアンテナでも日本向けの短波放送くらいなら十分聞こえるでしょう。 良好な短波受信には良いアンテナに勝るものはありませんが・・・。
周波数変換は「自励式コンバータ」を採用しています。 局部発振と周波数変換を1つのトランジスタで行ないます。 それだけに最適な動作をさせるのは難しいのですが、後の説明のようなコイルを製作することで満足できる性能が得られています。 消費電力が少ないので、熱的な安定度も良好で短波のラジオ放送でしたら長い時間ダイヤルの再調整なしに聞くことができます。
中間周波増幅は一般的な6石ラジオと同じ2段増幅です。周波数はラジオでは標準の455kHzです。トランジスタは2SC1815Yを使います。 ゲインは十分ありますが、選択度はそれほど良くないので必要に応じてセラミック・フィルタなど補うと良いでしょう。フィルタについてはあとで説明があります。 検波はゲルマニウム・ダイオードの1N34Aを使いました。 1N60や1K60でも同じように使えます。 ショットキー・バリア・ダイオード:SBDの1SS97などでも大丈夫です。
低周波増幅部分もトランジスタで作ることができますが、まずは高周波部分の実験が目的ですからICを使って簡略化しました。 電源電圧は6Vで設計しました。従って定番のLM386が適当でしょう。 ゲインは200倍で使っています。 ▲印のコンデンサはすべて0.1μFの積層セラコンを使います。耐圧は10V以上あれば何Vでも良いです。(回路図中の注意書きが漏れておりました)
短波ラジオと言うことで、ビート発振器(唸周波発振器:BFO)を追加してあります。 ブレッドボードのままでは選局や周波数安定度の点で難がありますがBFOがあればCWやSSBが結構聞こえるのがわかりました。 きちんと製作してスプレッド・ダイヤルなどを補えば通信型受信機のように扱えそうです。十分な感度もありますのでHAM Band受信のためにBFOを付ける意味があります。 なお、プロダクト検波のような高級回路は搭載していないためBFOの注入はIFアンプの初段のところが良かったです。 あまりBFOが弱いとSSBの復調が困難です。 逆に注入が強すぎればAGCが掛かって感度が低下するので、BFOの注入レベルは加減が必要です。 具体的にはC27:10pFで加減します。
4石2ダイオード、1-ICです。回路を見たらラジオで肝心のRF部は6石スーパそのままなので馬鹿にされそうです。 ところが、マトモなアンテナの使用が前提ではありますが、3.5MHzや7MHzのHAMバンドの受信でも実用的な感度があります。 これで下手な五球スーパ以上に良く聞こえますから驚かされます。 それもそのはず、例えばハムにおなじみの簡単トランシーバ:PIXIE-Ⅱなど、へんてこ(失礼)な検波回路のあと、LM386で増幅しているだけです。 それでもQSOできるのです。 それと比べれば、周波数変換部で30dB近いゲインがあり、中間周波増幅2段で50dBほどのゲインがあるのですから良く聞こえて何も不思議ではありません。良くできた6石スーパなら100〜120dB(10万〜100万倍)のゲインがあるんですから侮れずですね。 ここで作る「短波ラジオ」も120dBくらいのゲインがあってアンテナさえ悪くなければ十分良く聞こえるわけです。
こんなシンプルな短波ラジオでも、操作しやすいようにきちんとしたダイヤルを付けてやればかなり楽しめるでしょう。 そのような意味でスプレッド・ダイヤルやアンテナ・トリマ、BFOなど通信用にも使える装備を搭載しています。 製作するのでしたら、ぜひそれらを設けて下さい。主同調のバリコンには必ず減速機構を付けます。 カバーする周波数範囲が中波ラジオの何倍(この例では6倍以上)も広いためダイヤル操作は非常に微妙になります。 取りあえず実験してみるなら別ですが、減速ダイヤルなしで短波ラジオは殆ど実用になりません。十分に減速されたダイヤル機構はHAM用ではなくても短波ラジオには絶対必要です。
消費電流の少なさも特筆できます。 無信号状態では8〜9mAしか流れません。 大きな音を出すと消費電流は増えますが、それでも単三乾電池4本で長時間受信できます。 本格的に通信機に仕立てるなら相応の装備を付加したくなります。 しかし、それら回路の消費電力も考えたいところです。デジタル表示の周波数カウンタなど付けたなら100mA以上必要ですから電気の食い過ぎです。すなおにアナログ式ダイヤルで済ませた方がマッチしているでしょう。そのあたりどうやって読み取り精度を上げるとか、メカ部分のウデの見せどころでしょうか。(笑)
【コンバータ部】
以下、簡単に各部を見て行きます。 最初はコンバータ部です。 既に説明のように、局部発振器と周波数変換を1石で兼用しています。 たいていの小信号用シリコン・トランジスタが使えると考えて良いでしょう。 厳密には2SC1815Yよりもこの用途に向いたトランジスタがあって、測定器で比較すれば差異がわかるようです。
しかし2SC1815Yほか色々差し替えてみましたがどれでも大差なく良好に受信できます。例えば2SC183、2SC372、2SC458、2SC536、2SC710、2SC828、2SC945など何でも大丈夫でした。 但し無闇にfTの高いトランジスタは避けた方が無難です。(fTが1000MHz以上のようなトランジスタ) 回路図と同じトランジスタを使っても個々のバラツキによってコレクタ電流に違いが現れます。 回路定数は直流増幅率:hFE=150前後のトランジスタを想定して設計してありますが、コレクタに流れる電流;Icが大幅に違ようようなら、回路図のR1:15kΩを加減してIc=1mA前後に調整します。
オシロスコープがあれば、バリコンを回しながらエミッタの発振波形を観測して下さい。 発振振幅は周波数が低い方から高い方までバリコンを回して観測してみて400〜600mVppあたりであって、大きな変動がなければ正常です。 周波数の高い方で少し正弦波が崩れ波形が劣化すると思いますが、ブロッキング発振(間欠的に起こる不規則な発振現象)を伴わなければ特に支障はありません。 周波数が高い方でブロッキング発振が起こるようなら、まずはR1を大きくしてコレクタ電流を減らしてみます。それでもダメそうなら、思い切って別の種類のトランジスタに交換してみます。
【中間周波増幅と検波】
2段ある中間周波増幅も2SC1815Yを使っています。 ここも小信号用のシリコン・トランジスタなら何でも使えると思って大丈夫です。(写真は2SC372Yに交換してテストしている様子)トランジスタを変えたら後述の様にコレクタ電流を測定し、必要に応じバイアス抵抗を加減・調整します。
1段目の2SC1815YにはAGC(自動利得制御)を掛けてあります。リバースAGCですからAGCが掛かるとコレクタ電流は減少します。 ただし、こうした近代的シリコン・トランジスタは少々コレクタ電流を減少させたところで、ゲインはそれほど低下しません。従って、あまりAGCは効かないと思った方が正解です。 それでも、強力な信号で飽和するのを防ぐ意味はありますからAGCは無意味と言うことではありません。
バイアス調整用の抵抗R7: 47kΩでIF初段のコレクタ電流、R10:27kΩで2段目のコレクタ電流を調整します。 概ね回路図に記載の電流値の・・±30%以内くらい・・・になっていれば調整しなくてもOKです。 もちろん、無信号状態で確認・調整します。
なお、信号を受信し、AGCが掛かるとIF初段のコレクタ電流が変化(減少)します。 エミッタ電流も同じように変化しますので、エミッタ抵抗R5:1.2kΩと直列にフルスケール500μA程度のラジケータを入れると簡易なSメータになります。 その場合、ラジケータの内部抵抗(たぶん数100Ωでしょう)の分だけ、R5の値を減らして下さい。例えば500Ωのラジケータなら、R5を680Ωに変更して下さい。 だいたいの値で大丈夫です。
このSメータは特別な部品が要らないうえ、無用な消費電流もないので悪くないのですが指針は逆触れになります。 信号がないとき右に振り切れていて、強い信号が入ると電流が減って指針が左に下がる特性です。 振り切れ具合はバイアス調整用の抵抗:R7で加減できます。 非常に簡易なSメータですが同調指示器として便利ですから、付けておくと良いでしょう。本当の意味でのラジケータの使い方です。(笑)
☆さっそく引出しから約500μAのラジケータを見つけ、Sメータにしてみました。 使ったラジケータの内部抵抗は700Ωくらいあったので、R5は470Ωにしました。 簡易型とは言えSメータはかなり効果的で指針の振れを見ながらの同調は容易になりました。 また短波放送は電離層の状態により、信号の強さが時々刻々かなり変化しています。 Sメータの動きを見ていると短波の伝搬状態が見えてくるようで楽しいものです。 おすすめの装備と言えるでしょう。(追記:2016.03.12)
【IFTとセラミック・フィルタ】
元々が短波ラジオなのでHAM用通信機ではないと言うコンセプトですから選択度は特別良くしていません。従って一般のAMラジオ並みです。 それでも短波ラジオ放送の受信にはまずまずでした。海外放送が良い感じに受信できます。
しかし、ちゃんとしたアンテナを付けるとHAMバンドも意外に良く聞こえますからもう少し選択度を良くしたくなるかも知れません。 本格的なフィルタ・・・Collinsのメカフィルや高級なクリスタル・フィルタを付けたのでは通過損失が大きすぎて感度の低下が甚だしいでしょう。 フィルタを付けるのでしたら、少々選択度は甘いのですが写真のようなラジオ用セラミック・フィ
ルタが向いていると思います。(写真のCFT-455B/Cは既にディスコン部品かもしれません)
BCLにはそれで十分な選択度だろうと思います。 私はRN2(ラジオ日経・第2プロ)の音楽をHi-Fi(?)に聞きたいので、あえて普通の中間周波トランスのままにしています。 HAMバンドの交信はだいぶ混信しますが短波放送の受信には支障はありません。 左図はこのラジオに向いた簡易なフィルタのピン接続図です。かなり古い物がほとんどなので参考程度にどうぞ。
写真のようなトランス内蔵型のセラミック・フィルタが手に入らない場合は、IFTを併用するとうまく行きます。選択度も概ね同等になります。
すべて一般的なIFTだけで済ませる場合、市販されている3個組の「トランジスタ・ラジオ用IFT」を購入します。あるいは、aitendoで売っている「IFTきっと」に自分で巻線して製作することも可能です。写真のブレッドボードの製作例では自作したIFTを使っています。この「IFTきっと」を使ったIFTの自作方法についてはトランジスタ技術誌2015年10月号に詳しい記事があります。そのほかトランジスタ・ラジオの製作に有用な情報を纏めました。ラジオがお好きなお方にお買い求め頂けたら嬉しいです。バックナンバーがあるうちにどうぞ。(←下記の書籍をお薦めします)
参考:上記トランジスタ技術誌の記事のほかICを使ったラジオの製作記事などをまとめ、幅広くラジオの製作を扱った書籍が発売されています。コイル巻きについて実践的で詳しい話も載ってます。お手頃な価格ですがラジオ作りがお好きならたっぷり楽しめるでしょう。私も執筆に参加してます。詳しくは出版社(←リンク)の案内でご覧を。(2021.12.05)
【BFOと低周波増幅】
唸周波発振器:BFOはSSB(単側帯波通信)やCW(無線電信)の受信には必須です。 もともと短波の国際放送を聴くための「短波ラジオ」がコンセプトだったので、最初は付けていませんでした。
しかし、試しに付けてみたところ7MHzのHAMバンドでHAM局の交信が聞こえてきました。 できるだけ良く聞こえるようにBFOの注入レベルや注入場所などを検討した結果、回路図のような方法に落ち着きました。 検波ダイオードの所に注入するには、かなり大きなBFOレベルが必要でした。また、そのようにすると受信信号によるBFO周波数の引っぱり現象(Pull-In)が発生してうまくありません。
色々試して、弱めのBFO信号をIFアンプの初段に注入する方法が一番良さそうでした。 なお、そのようにするとBFOによってAGCが掛かってしまいます。 しかし、先に書いたようにもともとAGCの効きは良くないので、BFOの注入レベルを加減してやれば支障なく受信できるようです。 まずはAM受信の状態で回路の動作が完全になったら、最終調整としてC27:10pFを加減してSSBやCW受信が快適にできる所を見つけて下さい。 数pF〜10pFくらいの所に最適点があるようです。 BFO発振に使うIFT:T3の種類によってもC27の最適値は異なります。BFO回路のトランジスタは他と同じように選んでOKです。要するにシリコンの小信号用なら何でも大丈夫です。
BFOコイル:T3にはトランジスタラジオ用のIFTを使います。コアの色が白い中間段用のものです。2次巻数の関係から初段用(黄)か段間用(白)のIFTが良いでしょう。
BFOの発振状態はR20:3.9kΩで加減します。 オシロスコープを使って、T3の出力側:2次巻線のところで発振波形を見ながら奇麗な正弦波になるようR20の大きさを加減して下さい。 もしも発振しないようなら、R20の値を小さくします。 発振波形が歪んでいるようなら抵抗値を大きくします。 話が前後してしまいましたが、上記のC27の調整はこれが済んでからということになります。
【アンテナコイルと局発コイル】
アンテナコイルと局発コイルがこの短波ラジオを製作する上で、もっとも重要なポイントです。
残念ながら適当な市販品はありませんから自分で巻きます。 同調側に途中タップの引出しがあり、2次側にリンクコイルがあります。 既製品として手に入る「FCZコイル」も同じような構造ですが、タップの引出し位置や巻数比が適当ではないためそのまま使うことはできません。 必ず巻きなおして使うことになります。
ここでは、昔々購入した10Kコイルのジャンクを使って巻くことにします。 具体的には、このあとに示す巻数対インダクタンスのグラフにより、必要な全巻数を決めてからタップの位置を比計算で求めます。 その後、実際に巻き線することになります。
トラッキング回路の設計ですが、まずは受信範囲を決めます。 受信周波数の下限と上限の比は1:3以下でないと多くの場合設計が困難になります。ここでは下限:3.4MHz、上限:10.2MHzですからちょうど1:3です。
次に使用するバリコンを選定します。 バリコンは必ず等容量の2連型を使う必要があります。 中波ラジオでおなじみのトラッキングレス・バリコンは使えません。トラックングレス・バリコンは中波ラジオを簡略化するために作られた専用部品だからです。 短波ラジオを作るには等容量の2連バリコンを使います。 ここでは、手持ちの中から最大容量:Cmax=275pF、最小容量:Cmin=7.5pFの2連ポリバリコンを使いました。
市販品として、aitendoに最大容量266pFの等容量2連バリコン:443AB型(←お店にリンク)があります。公称の最大容量は少し違いますが、わずかの差ですからそのまま代替可能でしょう。 調整で吸収できる範囲の違いです。なお、お店の説明ではAMが2連でFMが2連の4連バリコンのように書いてあります。 現物を調べたところAM用の266pF2連ポリ・バリコンに4連のFM用バリコンが一緒になった6連バリコンでした。 背面にある4つのトリマ・コンデンサはFM用4連バリコンに付属のものです。 この短波ラジオに於いては、FMセクションを単独でスプレッドバリコンとして、2セクション並列でアンテナ・コンペンセータ(アンテナ・トリマ)として活用できます。(注:同じバリコンを3個購入し、主同調用に1つ、スプレッド用に1つ、アンテナ・トリマ用に1つ使います)
参考:このバリコン:443AB型を実際に入手して詳しく調べてみました。もし入手予定なら評価レポート(←Blog内リンク)をご覧下さい。
バリコンを決めたら、必要なトラッキング設計を行ないます。 少し面倒な計算ですから途中の過程は省きますが、局発コイルが6.35μH、アンテナ・コイルが7.27μHになるように巻き線します。 その他、タップの位置や2次側リンクの巻数はインダクタンスとQuなどから決めるほか、ある程度実験的に追い込む必要もあります。 このあたりが既製品のコイルで済んでしまう中波ラジオより難しく、厄介なため短波帯のトランジスタ・ラジオの製作例が少ないのでしょう。 しかし、そうした検討が済んでいる下記の製作例を参照して巻けば大丈夫です。
写真のコイルは完成した状態です。
参考:標準的な3.9〜12MHzをカバーする短波ラジオの作り方。
アンテナコイル:5.57μH、局発コイル:4.96μHを目標にコイルを巻いて下さい。 巻数が求まったらタップ位置と2次側の巻数は比計算で求めて下さい。 また、局発回路のパディング・コンデンサ:C15は2150pFに変更します。(2200pFで良い) ストレー容量、トリマコンデンサなどは上記の例と同じで大丈夫です。
【短波ラジオのコイル製作図】
同じボビンがないと、そっくりそのまま同じように巻き線するわけにも行きませんが、少し詳しく書いておきます。 自家用の備忘でもありますが、具体的な構造がわかるでしょう。
手持ちのボビンに巻く時は、まずは必要なインダクタンスを得るための巻数を実測から求めて下さい。 巻数を求める際、中心のネジコアはシールドケースの上端から概略2mm程度下がった位置にしておきます。 そのようにして、約6.4μHと約7.3μHのインダクタンスが得られる巻数を求めます。 あとはタップの位置と2次側巻線の巻数を図を参照して比例計算で求めます。
類似のコイル・ボビンを改造するなら巻数が極端に違うことは無いはずです。 巻数が2倍、あるいは半分になるような時は、使用予定のコイル・ボビンの用途を再確認して下さい。 お薦めは、FCZ-10S3.5のような、3.5MHz帯のハムバンド用コイルの改造(巻換え)です。 元来の目的から考えて類似した性能のコイルが製作できる筈です。
局発コイルは巻き方向を間違えると発振しませんので特に注意して下さい。図の黒ドット●があるピンが巻き始めです。 そこから必ず同じ方向に巻いて行きます。 私の場合、●のピンから巻き始め、コイルを上側から見た時に「反時計回り」に巻いて行くのを標準にしています。 接続は回路図も参考にしながら、上図にある通りに行ないます。
【例:10Kコイルのインダクタンス】
ここで使用したコイルの巻数対インダクタンスのグラフです。 コイルの型番はたまたまジャンクで入手した現品に印刷されていたものです。 在庫部品の識別のために書いてあるだけで、何かメーカーの型番と言うわけではないと思って下さい。単なる識別記号です。
このようなグラフが作ってあれば簡単にコイルを巻くことができます。 これが役立つ人は殆どいないでしょうが、一例として示しておきました。 グラフを見るとわかりますが、こうした10Kコイルは意外にQが低いようです。 周波数帯によって最適なインダクタンスがあるわけですが全般に低めでした。 これはFCZコイルでもそれほど違いません。 Amidonのトロイダルコアの方がQuが高くて良いのですが、巻いたあとからインダクタンスの加減ができないのが欠点です。 そのため、こうしたラジオの場合うまい具合にトラッキング調整ができません。
【コイルの内部構造】
見ても仕方がないと思いますが、このような状態です。 10Kボビンに対して、やや大きめのインダクタンスなのでφ0.16mmの巻線ではほぼ一杯の巻数になります。
写真のコアは3段の巻ミゾがあります。 調べたところ4段ミゾの物もあるので、巻数が必要な場合はそうした物を使うと良いでしょう。 一般に4段巻ミゾのものはコア材の比透磁率:μもやや大きいようです。 大きめのインダクタンスが得易いようにできているようでした。 10Kボビンにはそれほど種類はないと思っていたのですが、改めて調べなおしたら手持ちの中にも幾つかバリエーションがあることがわかりました。 それぞれ適材適所があると思うのでその辺りを調べて特性を掴んでおきたいと思っています。
以上、コイルの巻き方を主に短波ラジオの作り方を説明しました。 短波ラジオに適したコイルを作るのがキーポイントです。 コイルさえ作れれば、昨今の半導体を使えば殆ど差のない性能が得られるでしょう。 各自工夫して頂くのは大いに結構ですが、まず最初はなるべく例示したデータに基づいて実験してみて下さい。 あまりにも逸脱した製作では、ご質問頂いてもお答えは困難です。
☆
【調整方法】 以下、ごく簡略になりますが短波ラジオの調整手順を説明します。順を追って調整を行なって下さい。
(1)製作の確認:
まずは十分な目視確認をします。 続いて各部の電流や電圧を確認して配線や部品に間違えのないこと確認して下さい。 配線間違いは通電する前に気付くのがベストです。 誤りの内容によっては一旦通電してしまうとトランジスタやICなど半導体を破損してしまう危険性があります。
(2)中間周波トランスの調整:
テストオシレータ等の信号発生器で455kHzを発生します。変調を掛けると調整が容易です。 やや強めに信号を発生し、アンテナ端子から加えます。 中間周波トランス:
IFT1(黄)〜IFT2(白)〜IFT3(黒)のコアを順に調整して信号が一番良く聞こえるようにします。 良く聞こえるようになってきたら、徐々にテストオシレータの信号を弱く絞って行くようにします。なるべく絞った状態で、各コアを調整して終了します。
(3)局発の調整:
最初に10pFのスプレッド・バリコン:VC3を羽根が半分入った位置に固定します。 以後VC3は調整が済むまで動かしてはダメです。 テストオシレータ等の信号発生器で3.4MHzを発生します。 変調を掛けると信号がわかり易いでしょう。 その状態で、バリコン:VC1abを反時計方向に回し切って最大容量の位置にします。 信号発生器をアンテナ端子に接続します。 なお、信号発生器の信号強さは調整が進むにつれ徐々に絞るようにします。最終的には確認ができる範囲で必要最小限の強さに絞って調整して下さい。
まず、局発コイル:T2のコアを回して3.4MHzの信号が一番良く聞こえるようにします。 次にテストオシレータで10.2MHzを発生します。 バリコン:VC1abを時計方向に回し切り、最小容量の位置にします。 その状態でトリマ・コンデンサ:TC2を回して10.2MHzの信号が一番良く聞こえるようにします。
以上、3.4MHzでT2のコア、10.2MHzでTC2の調整を周波数を上下2点間で往復しながら数回繰り返します。 普通は3〜4往復すれば、バリコン:VC1ab最大容量の位置で3.4MHzが、バリコン:VC1ab最小容量の位置で10.2MHzが受信できるようになる筈です。 この2点が良く合ってきたら、10.2 MHzにてTC2を最後に微調整して局発の調整を終了します。これでこの短波ラジオの受信周波数範囲を設定することができたことになります。
参考:スーパーヘテロダインに付き物のイメージ周波数の受信があります。 まちがってイメージ周波数に合わせぬように理屈を考えながら調整します。 特に高い周波数側の調整で間違え易いようです。 10.2MHzにて、トリマコンデンサ:TC2をいっぱいに入れた状態(最大容量)から、抜いて行くと最初に聞こえるのがイメージ信号の方です。 さらに抜いて行くと、聞こえる方が本物の信号の方です。 TC2は最小容量の状態から増やす方向へ調整する方が安全かも知れません。最初に捉えた信号に合わせれば良い訳ですので。 調整が進んでくると間違えにくくなりますが、最初のうちはズレが大きいのでイメージ信号の方に合わせてしまう可能性があります。十分に注意して下さい。
(4)アンテナ・コイルの調整:
最初にアンテナ・トリマ:VC2の羽根が半分入った位置に固定します。 このバリコン:
VC2は調整が済むまで動かしてはダメです。 また局発コイル:T2や関連のトリマコンデンサ:TC2には触れないように注意します。 それらは既に調整済みなので、もし間違って手をつけたなら上記の(3)の調整を再度行なう必要があります。
まず、テストオシレータから3.8MHzを出します。 同調バリコン:VC1abを低い周波数の側からゆっくり高い周波数の方向へ回して行き、その3.8MHzの信号を受信します。 受信できたらダイヤルをそこで止め、アンテナコイル:T1のコアを回して一番良く聞こえる位置に調整します。
次に、テストオシレータから9.2MHzを出します。 同調バリコン:VC1abを高い周波数の側からゆっくり低い周波数の方向へ回してその信号が(最初に)受信できる位置に止めます。 更に周波数を下げて行くともう一度信号が聞こえるポイントがありますが、そちらはイメージ周波数なので間違えないようにします。 正しい信号の方が捉えられたら、その状態でトリマコンデンサ:TC1を調整して一番良く聞こえるようにします。 以上、3.8MHzでT1のコア、9.2MHzでTC1を周波数を数回往復して調整します。最後にTC1の微調整で終了します。 以上でスーパーヘテロダインで最も重要なトラッキング調整は終了です。 アンテナを繋いでみましょう。きちんと調整ができていると良く聞こえるようになったのがわかります。
参考:厳密にはトラッキングエラーを調べてエラーが大きすぎるようならパディングコンデンサの大きさを変えてみるなどの修正を行ないます。この短波ラジオの設計ではアンテナ・トリマ:VC2でトラッキング状態の補正ができるためそこまで厳密に行なう必要はありません。
(5)BFOの調整:
BFOピッチ調整のバリコン:VC4を羽根が半分入った位置に固定します。 455kHzの無変調信号をテストオシレータで発生させ、アンテナコネクタより加えます。 BFOをONしたら、BFOコイル:T3のコアをゆっくり回して発振周波数が455kHzになり、ゼロビートの状態になるようにします。 済んだらBFOをOFFします。
(6)ダイヤル目盛の記入:
テストオシレータから3.5MHz、4MHz・・・など、0.5MHz或は1MHzおきの周波数など適宜発生させダイヤル目盛板に周波数マーキングします。 上手にダイヤル板を作れば周波数直読も可能かも知れませんが、もともと高級なものではなく、単なる「短波ラジオ」ですから大まかな目盛りでも良いでしょう。 あとは気の済むようにやれば良いです。
文章で書くと難しそうですが要領がわかれば簡単だと思います。 現物と回路図を見ながら、まずは調整のイメージを良く掴んでから始めて下さい。
通常の受信時には使用するアンテナに合わせてアンテナトリマを調整しながら最も良く聞こえるようにして使います。 またハムバンドのワッチではスプレッドバリコンを併用すると同調し易くなります。
☆
真空管式の2バンドラジオなら良く見掛けるのですが、トランジスタでスーパー形式の短波ラジオを作る例はあまり見掛けません。 真空管にはコイルパックや標準的なコイルが市販されていました。だから製作が容易なのでしょう。 もしもコイルから自作する必要があったなら真空管で短波ラジオが作れる人は限られたでしょう。
短波付きトランジスタラジオ製作用コイルが市販された記憶はありません。東光のモノコイルのようなものはありますが、基本的にHAMバンド用です。それにアンテナコイルとして使うための物です。短波ラジオの製作にそのまま使えるようなものではありませんでした。 そのあたりが半導体で短波ラジオを作るのを難しくしているのでしょう。
自分でBCLラジオのようなものを作ってみたい人もあると思いますが、なかなかハードルは高いのです。 でもコイルさえ自分で巻くことができれば大丈夫です。トランジスタでスーパー形式の短波ラジオの自作は十分可能です。
例示したような自励コンバータ形式の場合は特に局発コイルの製作が難しいようです。 過去に何回か試したことがあるのですが、なかなか思ったように行きませんでした。色々なトランジスタラジオの回路図を眺めてみたのですがヒントは見いだせません。 そこで少し視点を変え、理想追求ではなく多少割り切ることで比較的容易に製作できる感触が得られました。 さっそく試作してみたところ、思った以上に良好だったのでBlogで扱ってみました。 短波の性質上、昼間はラジオ日経くらいしか聞こえませんが夜間ともなると放送バンドを主にたくさんの海外からの電波が受信できます。 家庭用2バンドラジオで夜な夜な「短波」を探った若かりし頃が思い出されます。
6石ラジオのような短波ラジオでも作り方次第で意外な実力を発揮するようです。 たくさん半導体を使った高級な回路が高性能なのは当たり前です。 高級指向のお方はこんなシンプルな短波ラジオに負けないよう「通信型受信機」で短波受信機の製作に挑戦されて下さい。 de JA9TTT/1
追記:ラジオ用IC:TA2003Pで短波ラジオを作る続編があります。こちら(←リンク)
(おわり)nm
【短波ラジオを開発する】
雑誌の記事やネットの検索で中波(BCバンド)のAMラジオを作る話はたくさん見つかります。でも、短波(SWバンド)が聞こえるラジオを作る話はずいぶん少なくなるようです。
試しに「短波ラジオ」で検索してみましょう。短波付き真空管式ラジオの話なら意外に見かけます。ノスタルジーを感じてご年配のお方が製作さているようですが、新たに部品を入手して作るのは難しそうです。
短波ラジオを半導体で作る話はぐっと少なくなります。再生検波のストレート式ならいくらか検索ヒットしますが、特にスーパーヘテロダイン式は希なようです。ICを使うと容易そうですがそれも珍しいのです。 自作ハムが作るHAM Band専用機はスーパー式が大半です。ただし受信周波数が限られていて「短波ラジオ」とは違うものです。短波帯を広くカバーするごく普通の「短波ラジオ」をトランジスタを使って、性能に優れるスーパー形式で作る話は殆ど見かけません。
トランジスタを使った短波ラジオを作ってみましょう。もちろんスーパー形式で行きます。今でもたやすく手に入る部品を使って作りたいと思います。
☆
写真はブレッドボードを使って短波ラジオを開発している様子です。もちろんスーパーヘテロダイン形式です。 ごくありきたりの入手し易いトランジスタやICを使っています。 受信できる周波数の範囲は3.4〜10.2MHzになるよう設計しました。 できたら3.5MHz帯のHAM Bandも含めたいと思い下限を3.4MHzにしています。 もちろん市販の短波付きトランジスタラジオのように3.9〜12MHzをカバーする設計もできます。以下、その方法も含めて説明しましょう。
ブレッドボード:BBでの試作ですから中波帯のラジオのようには行かない所があります。 一番の問題は周波数安定度でしょう。 短波ラジオは受信周波数が高くなるので周囲の影響を受け易くなって周波数安定度は悪くなります。部分によっては手を近付けただけでも受信周波数が変動します。 実用品にするにはきちんとハンダ付けして組み立て必要な箇所にはシールド(遮蔽)も施します。 実験としてはブレッドボードも良いのですが、試作が済んだら次のステップとしてハンダ付けで製作しましょう。
以下ご覧頂くと回路はごく簡単です。見かけは簡単ですが周波数の高い短波帯の製作になります。初心者がいきなり挑戦しても成功する可能性は小さいでしょう。 もしチャレンジされるなら中波帯のラジオ(スーパーヘテロダイン形式が良い)で製作と調整を体験してから取り組んで下さい。 単に製作するのではなくスーパーヘテロダインの仕組みを良く理解しておくことが大切です。 また、調整や確認にはそれなりの測定器が必要です。 なるべく詳しく説明していますが、DMM:デジタル・マルチメータだけでは完全な調整はできません。お知り合いの先輩がお持ちの測定器も頼りにして製作されることを期待しています。 想定している測定器は(1)オシロスコープ、(2)テストオシレータなどの高周波信号発生器、(3)デジタル・マルチメータ、(4)周波数カウンターです。
以下、自家用資料を含むため一部に一般的ではないデータもあります。 また詳しく書くにも限界がありますから貴方が知りたい事のすべてが書かれている訳ではないでしょう。 ご質問をいただいても大丈夫ですが常識の範囲でお願いします。私は占い師じゃありませんから断片的なお話だけでピタリとわかるわけではありません。ご質問を整理して具体的な内容をお聞かせください。 なお、この先の話は高級指向のお方には詰まらないと思われます。ここでお帰りが宜しいでしょう。 では『やさしすぎてツマラナイ話し』かと言えば、たぶんそうではありません。
参考:このBlogにはHAM Bandの受信を目的とした再生検波式の短波受信機の話(全6回)もあります。こちら(←リンク)
【局発回路の検討】
スーパーヘテロダイン形式のラジオで最も重要なのは局部発振器(局発:Local-OSC)ではないでしょうか。 例えば、電池が消耗してきて他の回路はまだ生きているのに、局発がストップしたらもう何も聞こえなくなります。
ストレート形式のラジオなら、感度や音質は悪いなりにも電池が消耗してからかなり聞こえるのが普通です。 しかし、スーパー受信機では局発が止まればそこでオシマイなのです。
ですから、スーパーでは局発がキーポイントです。 短波帯の広い周波数範囲で確実に発振し、少々の電圧低下では発振停止しない発振回路が必須です。 しかも良好な発振波形が得られるような局発回路の開発が短波ラジオでは最も重要で難しいものでした。 ことに局発コイルの設計が難しく、まず最初に着手した部分です。 写真は、局発コイルのテストと発振トランジスタの動作点を検討している様子です。 2SC1815Yと言ったシリコン・トランジスタだけでなく、2SA101のようなゲルマニウム・トランジスタでもテストしました。
実験により中波帯のラジオとは少々異なるセンスで設計しなくてはならないなど様々な知見が得られたと思います。 そのデータを検証するために標準的な短波ラジオを試作することにしました。 最終的には中波と短波の2バンド・トランジスタ・ラジオが目標ですが最初は短波専用で作ってみます。
たくさんデバイスを使い各回路をブロックごとに独立して製作するなど、通信機のような高級な手段を使えばむしろ製作は容易になります。 しかし、ここは単なる短波ラジオですから、ごくシンプルにありきたりのトランジスタを素材にミニマムな設計にしています。
短波帯の電波は中波放送と比べてかなり微弱です。そのため中波ラジオのようにフェライト・コア材を使ったバーアンテナを内蔵しただけでは良く聞こえません。最初から外部アンテナを使って受信するのを前提にしました。 従って、アンテナコイルは普通のコイルになっていてバーアンテナ形式ではありません。アンテナコイルの1次側はローインピーダンス設計です。使用するアンテナはロングワイヤなどではなく、受信周波数に合わせたダイポールアンテナを同軸ケーブルで接続するのに向いています。 もちろん、数mのビニル線のような簡易なアンテナでも日本向けの短波放送くらいなら十分聞こえるでしょう。 良好な短波受信には良いアンテナに勝るものはありませんが・・・。
周波数変換は「自励式コンバータ」を採用しています。 局部発振と周波数変換を1つのトランジスタで行ないます。 それだけに最適な動作をさせるのは難しいのですが、後の説明のようなコイルを製作することで満足できる性能が得られています。 消費電力が少ないので、熱的な安定度も良好で短波のラジオ放送でしたら長い時間ダイヤルの再調整なしに聞くことができます。
中間周波増幅は一般的な6石ラジオと同じ2段増幅です。周波数はラジオでは標準の455kHzです。トランジスタは2SC1815Yを使います。 ゲインは十分ありますが、選択度はそれほど良くないので必要に応じてセラミック・フィルタなど補うと良いでしょう。フィルタについてはあとで説明があります。 検波はゲルマニウム・ダイオードの1N34Aを使いました。 1N60や1K60でも同じように使えます。 ショットキー・バリア・ダイオード:SBDの1SS97などでも大丈夫です。
低周波増幅部分もトランジスタで作ることができますが、まずは高周波部分の実験が目的ですからICを使って簡略化しました。 電源電圧は6Vで設計しました。従って定番のLM386が適当でしょう。 ゲインは200倍で使っています。 ▲印のコンデンサはすべて0.1μFの積層セラコンを使います。耐圧は10V以上あれば何Vでも良いです。(回路図中の注意書きが漏れておりました)
短波ラジオと言うことで、ビート発振器(唸周波発振器:BFO)を追加してあります。 ブレッドボードのままでは選局や周波数安定度の点で難がありますがBFOがあればCWやSSBが結構聞こえるのがわかりました。 きちんと製作してスプレッド・ダイヤルなどを補えば通信型受信機のように扱えそうです。十分な感度もありますのでHAM Band受信のためにBFOを付ける意味があります。 なお、プロダクト検波のような高級回路は搭載していないためBFOの注入はIFアンプの初段のところが良かったです。 あまりBFOが弱いとSSBの復調が困難です。 逆に注入が強すぎればAGCが掛かって感度が低下するので、BFOの注入レベルは加減が必要です。 具体的にはC27:10pFで加減します。
4石2ダイオード、1-ICです。回路を見たらラジオで肝心のRF部は6石スーパそのままなので馬鹿にされそうです。 ところが、マトモなアンテナの使用が前提ではありますが、3.5MHzや7MHzのHAMバンドの受信でも実用的な感度があります。 これで下手な五球スーパ以上に良く聞こえますから驚かされます。 それもそのはず、例えばハムにおなじみの簡単トランシーバ:PIXIE-Ⅱなど、へんてこ(失礼)な検波回路のあと、LM386で増幅しているだけです。 それでもQSOできるのです。 それと比べれば、周波数変換部で30dB近いゲインがあり、中間周波増幅2段で50dBほどのゲインがあるのですから良く聞こえて何も不思議ではありません。良くできた6石スーパなら100〜120dB(10万〜100万倍)のゲインがあるんですから侮れずですね。 ここで作る「短波ラジオ」も120dBくらいのゲインがあってアンテナさえ悪くなければ十分良く聞こえるわけです。
こんなシンプルな短波ラジオでも、操作しやすいようにきちんとしたダイヤルを付けてやればかなり楽しめるでしょう。 そのような意味でスプレッド・ダイヤルやアンテナ・トリマ、BFOなど通信用にも使える装備を搭載しています。 製作するのでしたら、ぜひそれらを設けて下さい。主同調のバリコンには必ず減速機構を付けます。 カバーする周波数範囲が中波ラジオの何倍(この例では6倍以上)も広いためダイヤル操作は非常に微妙になります。 取りあえず実験してみるなら別ですが、減速ダイヤルなしで短波ラジオは殆ど実用になりません。十分に減速されたダイヤル機構はHAM用ではなくても短波ラジオには絶対必要です。
消費電流の少なさも特筆できます。 無信号状態では8〜9mAしか流れません。 大きな音を出すと消費電流は増えますが、それでも単三乾電池4本で長時間受信できます。 本格的に通信機に仕立てるなら相応の装備を付加したくなります。 しかし、それら回路の消費電力も考えたいところです。デジタル表示の周波数カウンタなど付けたなら100mA以上必要ですから電気の食い過ぎです。すなおにアナログ式ダイヤルで済ませた方がマッチしているでしょう。そのあたりどうやって読み取り精度を上げるとか、メカ部分のウデの見せどころでしょうか。(笑)
【コンバータ部】
以下、簡単に各部を見て行きます。 最初はコンバータ部です。 既に説明のように、局部発振器と周波数変換を1石で兼用しています。 たいていの小信号用シリコン・トランジスタが使えると考えて良いでしょう。 厳密には2SC1815Yよりもこの用途に向いたトランジスタがあって、測定器で比較すれば差異がわかるようです。
しかし2SC1815Yほか色々差し替えてみましたがどれでも大差なく良好に受信できます。例えば2SC183、2SC372、2SC458、2SC536、2SC710、2SC828、2SC945など何でも大丈夫でした。 但し無闇にfTの高いトランジスタは避けた方が無難です。(fTが1000MHz以上のようなトランジスタ) 回路図と同じトランジスタを使っても個々のバラツキによってコレクタ電流に違いが現れます。 回路定数は直流増幅率:hFE=150前後のトランジスタを想定して設計してありますが、コレクタに流れる電流;Icが大幅に違ようようなら、回路図のR1:15kΩを加減してIc=1mA前後に調整します。
オシロスコープがあれば、バリコンを回しながらエミッタの発振波形を観測して下さい。 発振振幅は周波数が低い方から高い方までバリコンを回して観測してみて400〜600mVppあたりであって、大きな変動がなければ正常です。 周波数の高い方で少し正弦波が崩れ波形が劣化すると思いますが、ブロッキング発振(間欠的に起こる不規則な発振現象)を伴わなければ特に支障はありません。 周波数が高い方でブロッキング発振が起こるようなら、まずはR1を大きくしてコレクタ電流を減らしてみます。それでもダメそうなら、思い切って別の種類のトランジスタに交換してみます。
【中間周波増幅と検波】
2段ある中間周波増幅も2SC1815Yを使っています。 ここも小信号用のシリコン・トランジスタなら何でも使えると思って大丈夫です。(写真は2SC372Yに交換してテストしている様子)トランジスタを変えたら後述の様にコレクタ電流を測定し、必要に応じバイアス抵抗を加減・調整します。
1段目の2SC1815YにはAGC(自動利得制御)を掛けてあります。リバースAGCですからAGCが掛かるとコレクタ電流は減少します。 ただし、こうした近代的シリコン・トランジスタは少々コレクタ電流を減少させたところで、ゲインはそれほど低下しません。従って、あまりAGCは効かないと思った方が正解です。 それでも、強力な信号で飽和するのを防ぐ意味はありますからAGCは無意味と言うことではありません。
バイアス調整用の抵抗R7: 47kΩでIF初段のコレクタ電流、R10:27kΩで2段目のコレクタ電流を調整します。 概ね回路図に記載の電流値の・・±30%以内くらい・・・になっていれば調整しなくてもOKです。 もちろん、無信号状態で確認・調整します。
なお、信号を受信し、AGCが掛かるとIF初段のコレクタ電流が変化(減少)します。 エミッタ電流も同じように変化しますので、エミッタ抵抗R5:1.2kΩと直列にフルスケール500μA程度のラジケータを入れると簡易なSメータになります。 その場合、ラジケータの内部抵抗(たぶん数100Ωでしょう)の分だけ、R5の値を減らして下さい。例えば500Ωのラジケータなら、R5を680Ωに変更して下さい。 だいたいの値で大丈夫です。
このSメータは特別な部品が要らないうえ、無用な消費電流もないので悪くないのですが指針は逆触れになります。 信号がないとき右に振り切れていて、強い信号が入ると電流が減って指針が左に下がる特性です。 振り切れ具合はバイアス調整用の抵抗:R7で加減できます。 非常に簡易なSメータですが同調指示器として便利ですから、付けておくと良いでしょう。本当の意味でのラジケータの使い方です。(笑)
☆さっそく引出しから約500μAのラジケータを見つけ、Sメータにしてみました。 使ったラジケータの内部抵抗は700Ωくらいあったので、R5は470Ωにしました。 簡易型とは言えSメータはかなり効果的で指針の振れを見ながらの同調は容易になりました。 また短波放送は電離層の状態により、信号の強さが時々刻々かなり変化しています。 Sメータの動きを見ていると短波の伝搬状態が見えてくるようで楽しいものです。 おすすめの装備と言えるでしょう。(追記:2016.03.12)
【IFTとセラミック・フィルタ】
元々が短波ラジオなのでHAM用通信機ではないと言うコンセプトですから選択度は特別良くしていません。従って一般のAMラジオ並みです。 それでも短波ラジオ放送の受信にはまずまずでした。海外放送が良い感じに受信できます。
しかし、ちゃんとしたアンテナを付けるとHAMバンドも意外に良く聞こえますからもう少し選択度を良くしたくなるかも知れません。 本格的なフィルタ・・・Collinsのメカフィルや高級なクリスタル・フィルタを付けたのでは通過損失が大きすぎて感度の低下が甚だしいでしょう。 フィルタを付けるのでしたら、少々選択度は甘いのですが写真のようなラジオ用セラミック・フィ
ルタが向いていると思います。(写真のCFT-455B/Cは既にディスコン部品かもしれません)
BCLにはそれで十分な選択度だろうと思います。 私はRN2(ラジオ日経・第2プロ)の音楽をHi-Fi(?)に聞きたいので、あえて普通の中間周波トランスのままにしています。 HAMバンドの交信はだいぶ混信しますが短波放送の受信には支障はありません。 左図はこのラジオに向いた簡易なフィルタのピン接続図です。かなり古い物がほとんどなので参考程度にどうぞ。
写真のようなトランス内蔵型のセラミック・フィルタが手に入らない場合は、IFTを併用するとうまく行きます。選択度も概ね同等になります。
すべて一般的なIFTだけで済ませる場合、市販されている3個組の「トランジスタ・ラジオ用IFT」を購入します。あるいは、aitendoで売っている「IFTきっと」に自分で巻線して製作することも可能です。写真のブレッドボードの製作例では自作したIFTを使っています。この「IFTきっと」を使ったIFTの自作方法についてはトランジスタ技術誌2015年10月号に詳しい記事があります。そのほかトランジスタ・ラジオの製作に有用な情報を纏めました。
参考:上記トランジスタ技術誌の記事のほかICを使ったラジオの製作記事などをまとめ、幅広くラジオの製作を扱った書籍が発売されています。コイル巻きについて実践的で詳しい話も載ってます。お手頃な価格ですがラジオ作りがお好きならたっぷり楽しめるでしょう。私も執筆に参加してます。詳しくは出版社(←リンク)の案内でご覧を。(2021.12.05)
【BFOと低周波増幅】
唸周波発振器:BFOはSSB(単側帯波通信)やCW(無線電信)の受信には必須です。 もともと短波の国際放送を聴くための「短波ラジオ」がコンセプトだったので、最初は付けていませんでした。
しかし、試しに付けてみたところ7MHzのHAMバンドでHAM局の交信が聞こえてきました。 できるだけ良く聞こえるようにBFOの注入レベルや注入場所などを検討した結果、回路図のような方法に落ち着きました。 検波ダイオードの所に注入するには、かなり大きなBFOレベルが必要でした。また、そのようにすると受信信号によるBFO周波数の引っぱり現象(Pull-In)が発生してうまくありません。
色々試して、弱めのBFO信号をIFアンプの初段に注入する方法が一番良さそうでした。 なお、そのようにするとBFOによってAGCが掛かってしまいます。 しかし、先に書いたようにもともとAGCの効きは良くないので、BFOの注入レベルを加減してやれば支障なく受信できるようです。 まずはAM受信の状態で回路の動作が完全になったら、最終調整としてC27:10pFを加減してSSBやCW受信が快適にできる所を見つけて下さい。 数pF〜10pFくらいの所に最適点があるようです。 BFO発振に使うIFT:T3の種類によってもC27の最適値は異なります。BFO回路のトランジスタは他と同じように選んでOKです。要するにシリコンの小信号用なら何でも大丈夫です。
BFOコイル:T3にはトランジスタラジオ用のIFTを使います。コアの色が白い中間段用のものです。2次巻数の関係から初段用(黄)か段間用(白)のIFTが良いでしょう。
BFOの発振状態はR20:3.9kΩで加減します。 オシロスコープを使って、T3の出力側:2次巻線のところで発振波形を見ながら奇麗な正弦波になるようR20の大きさを加減して下さい。 もしも発振しないようなら、R20の値を小さくします。 発振波形が歪んでいるようなら抵抗値を大きくします。 話が前後してしまいましたが、上記のC27の調整はこれが済んでからということになります。
【アンテナコイルと局発コイル】
アンテナコイルと局発コイルがこの短波ラジオを製作する上で、もっとも重要なポイントです。
残念ながら適当な市販品はありませんから自分で巻きます。 同調側に途中タップの引出しがあり、2次側にリンクコイルがあります。 既製品として手に入る「FCZコイル」も同じような構造ですが、タップの引出し位置や巻数比が適当ではないためそのまま使うことはできません。 必ず巻きなおして使うことになります。
ここでは、昔々購入した10Kコイルのジャンクを使って巻くことにします。 具体的には、このあとに示す巻数対インダクタンスのグラフにより、必要な全巻数を決めてからタップの位置を比計算で求めます。 その後、実際に巻き線することになります。
トラッキング回路の設計ですが、まずは受信範囲を決めます。 受信周波数の下限と上限の比は1:3以下でないと多くの場合設計が困難になります。ここでは下限:3.4MHz、上限:10.2MHzですからちょうど1:3です。
次に使用するバリコンを選定します。 バリコンは必ず等容量の2連型を使う必要があります。 中波ラジオでおなじみのトラッキングレス・バリコンは使えません。トラックングレス・バリコンは中波ラジオを簡略化するために作られた専用部品だからです。 短波ラジオを作るには等容量の2連バリコンを使います。 ここでは、手持ちの中から最大容量:Cmax=275pF、最小容量:Cmin=7.5pFの2連ポリバリコンを使いました。
市販品として、aitendoに最大容量266pFの等容量2連バリコン:443AB型(←お店にリンク)があります。公称の最大容量は少し違いますが、わずかの差ですからそのまま代替可能でしょう。 調整で吸収できる範囲の違いです。なお、お店の説明ではAMが2連でFMが2連の4連バリコンのように書いてあります。 現物を調べたところAM用の266pF2連ポリ・バリコンに4連のFM用バリコンが一緒になった6連バリコンでした。 背面にある4つのトリマ・コンデンサはFM用4連バリコンに付属のものです。 この短波ラジオに於いては、FMセクションを単独でスプレッドバリコンとして、2セクション並列でアンテナ・コンペンセータ(アンテナ・トリマ)として活用できます。(注:同じバリコンを3個購入し、主同調用に1つ、スプレッド用に1つ、アンテナ・トリマ用に1つ使います)
参考:このバリコン:443AB型を実際に入手して詳しく調べてみました。もし入手予定なら評価レポート(←Blog内リンク)をご覧下さい。
バリコンを決めたら、必要なトラッキング設計を行ないます。 少し面倒な計算ですから途中の過程は省きますが、局発コイルが6.35μH、アンテナ・コイルが7.27μHになるように巻き線します。 その他、タップの位置や2次側リンクの巻数はインダクタンスとQuなどから決めるほか、ある程度実験的に追い込む必要もあります。 このあたりが既製品のコイルで済んでしまう中波ラジオより難しく、厄介なため短波帯のトランジスタ・ラジオの製作例が少ないのでしょう。 しかし、そうした検討が済んでいる下記の製作例を参照して巻けば大丈夫です。
写真のコイルは完成した状態です。
参考:標準的な3.9〜12MHzをカバーする短波ラジオの作り方。
アンテナコイル:5.57μH、局発コイル:4.96μHを目標にコイルを巻いて下さい。 巻数が求まったらタップ位置と2次側の巻数は比計算で求めて下さい。 また、局発回路のパディング・コンデンサ:C15は2150pFに変更します。(2200pFで良い) ストレー容量、トリマコンデンサなどは上記の例と同じで大丈夫です。
【短波ラジオのコイル製作図】
同じボビンがないと、そっくりそのまま同じように巻き線するわけにも行きませんが、少し詳しく書いておきます。 自家用の備忘でもありますが、具体的な構造がわかるでしょう。
手持ちのボビンに巻く時は、まずは必要なインダクタンスを得るための巻数を実測から求めて下さい。 巻数を求める際、中心のネジコアはシールドケースの上端から概略2mm程度下がった位置にしておきます。 そのようにして、約6.4μHと約7.3μHのインダクタンスが得られる巻数を求めます。 あとはタップの位置と2次側巻線の巻数を図を参照して比例計算で求めます。
類似のコイル・ボビンを改造するなら巻数が極端に違うことは無いはずです。 巻数が2倍、あるいは半分になるような時は、使用予定のコイル・ボビンの用途を再確認して下さい。 お薦めは、FCZ-10S3.5のような、3.5MHz帯のハムバンド用コイルの改造(巻換え)です。 元来の目的から考えて類似した性能のコイルが製作できる筈です。
局発コイルは巻き方向を間違えると発振しませんので特に注意して下さい。図の黒ドット●があるピンが巻き始めです。 そこから必ず同じ方向に巻いて行きます。 私の場合、●のピンから巻き始め、コイルを上側から見た時に「反時計回り」に巻いて行くのを標準にしています。 接続は回路図も参考にしながら、上図にある通りに行ないます。
【例:10Kコイルのインダクタンス】
ここで使用したコイルの巻数対インダクタンスのグラフです。 コイルの型番はたまたまジャンクで入手した現品に印刷されていたものです。 在庫部品の識別のために書いてあるだけで、何かメーカーの型番と言うわけではないと思って下さい。単なる識別記号です。
このようなグラフが作ってあれば簡単にコイルを巻くことができます。 これが役立つ人は殆どいないでしょうが、一例として示しておきました。 グラフを見るとわかりますが、こうした10Kコイルは意外にQが低いようです。 周波数帯によって最適なインダクタンスがあるわけですが全般に低めでした。 これはFCZコイルでもそれほど違いません。 Amidonのトロイダルコアの方がQuが高くて良いのですが、巻いたあとからインダクタンスの加減ができないのが欠点です。 そのため、こうしたラジオの場合うまい具合にトラッキング調整ができません。
【コイルの内部構造】
見ても仕方がないと思いますが、このような状態です。 10Kボビンに対して、やや大きめのインダクタンスなのでφ0.16mmの巻線ではほぼ一杯の巻数になります。
写真のコアは3段の巻ミゾがあります。 調べたところ4段ミゾの物もあるので、巻数が必要な場合はそうした物を使うと良いでしょう。 一般に4段巻ミゾのものはコア材の比透磁率:μもやや大きいようです。 大きめのインダクタンスが得易いようにできているようでした。 10Kボビンにはそれほど種類はないと思っていたのですが、改めて調べなおしたら手持ちの中にも幾つかバリエーションがあることがわかりました。 それぞれ適材適所があると思うのでその辺りを調べて特性を掴んでおきたいと思っています。
以上、コイルの巻き方を主に短波ラジオの作り方を説明しました。 短波ラジオに適したコイルを作るのがキーポイントです。 コイルさえ作れれば、昨今の半導体を使えば殆ど差のない性能が得られるでしょう。 各自工夫して頂くのは大いに結構ですが、まず最初はなるべく例示したデータに基づいて実験してみて下さい。 あまりにも逸脱した製作では、ご質問頂いてもお答えは困難です。
☆
【調整方法】 以下、ごく簡略になりますが短波ラジオの調整手順を説明します。順を追って調整を行なって下さい。
(1)製作の確認:
まずは十分な目視確認をします。 続いて各部の電流や電圧を確認して配線や部品に間違えのないこと確認して下さい。 配線間違いは通電する前に気付くのがベストです。 誤りの内容によっては一旦通電してしまうとトランジスタやICなど半導体を破損してしまう危険性があります。
(2)中間周波トランスの調整:
テストオシレータ等の信号発生器で455kHzを発生します。変調を掛けると調整が容易です。 やや強めに信号を発生し、アンテナ端子から加えます。 中間周波トランス:
IFT1(黄)〜IFT2(白)〜IFT3(黒)のコアを順に調整して信号が一番良く聞こえるようにします。 良く聞こえるようになってきたら、徐々にテストオシレータの信号を弱く絞って行くようにします。なるべく絞った状態で、各コアを調整して終了します。
(3)局発の調整:
最初に10pFのスプレッド・バリコン:VC3を羽根が半分入った位置に固定します。 以後VC3は調整が済むまで動かしてはダメです。 テストオシレータ等の信号発生器で3.4MHzを発生します。 変調を掛けると信号がわかり易いでしょう。 その状態で、バリコン:VC1abを反時計方向に回し切って最大容量の位置にします。 信号発生器をアンテナ端子に接続します。 なお、信号発生器の信号強さは調整が進むにつれ徐々に絞るようにします。最終的には確認ができる範囲で必要最小限の強さに絞って調整して下さい。
まず、局発コイル:T2のコアを回して3.4MHzの信号が一番良く聞こえるようにします。 次にテストオシレータで10.2MHzを発生します。 バリコン:VC1abを時計方向に回し切り、最小容量の位置にします。 その状態でトリマ・コンデンサ:TC2を回して10.2MHzの信号が一番良く聞こえるようにします。
以上、3.4MHzでT2のコア、10.2MHzでTC2の調整を周波数を上下2点間で往復しながら数回繰り返します。 普通は3〜4往復すれば、バリコン:VC1ab最大容量の位置で3.4MHzが、バリコン:VC1ab最小容量の位置で10.2MHzが受信できるようになる筈です。 この2点が良く合ってきたら、10.2 MHzにてTC2を最後に微調整して局発の調整を終了します。これでこの短波ラジオの受信周波数範囲を設定することができたことになります。
参考:スーパーヘテロダインに付き物のイメージ周波数の受信があります。 まちがってイメージ周波数に合わせぬように理屈を考えながら調整します。 特に高い周波数側の調整で間違え易いようです。 10.2MHzにて、トリマコンデンサ:TC2をいっぱいに入れた状態(最大容量)から、抜いて行くと最初に聞こえるのがイメージ信号の方です。 さらに抜いて行くと、聞こえる方が本物の信号の方です。 TC2は最小容量の状態から増やす方向へ調整する方が安全かも知れません。最初に捉えた信号に合わせれば良い訳ですので。 調整が進んでくると間違えにくくなりますが、最初のうちはズレが大きいのでイメージ信号の方に合わせてしまう可能性があります。十分に注意して下さい。
(4)アンテナ・コイルの調整:
最初にアンテナ・トリマ:VC2の羽根が半分入った位置に固定します。 このバリコン:
VC2は調整が済むまで動かしてはダメです。 また局発コイル:T2や関連のトリマコンデンサ:TC2には触れないように注意します。 それらは既に調整済みなので、もし間違って手をつけたなら上記の(3)の調整を再度行なう必要があります。
まず、テストオシレータから3.8MHzを出します。 同調バリコン:VC1abを低い周波数の側からゆっくり高い周波数の方向へ回して行き、その3.8MHzの信号を受信します。 受信できたらダイヤルをそこで止め、アンテナコイル:T1のコアを回して一番良く聞こえる位置に調整します。
次に、テストオシレータから9.2MHzを出します。 同調バリコン:VC1abを高い周波数の側からゆっくり低い周波数の方向へ回してその信号が(最初に)受信できる位置に止めます。 更に周波数を下げて行くともう一度信号が聞こえるポイントがありますが、そちらはイメージ周波数なので間違えないようにします。 正しい信号の方が捉えられたら、その状態でトリマコンデンサ:TC1を調整して一番良く聞こえるようにします。 以上、3.8MHzでT1のコア、9.2MHzでTC1を周波数を数回往復して調整します。最後にTC1の微調整で終了します。 以上でスーパーヘテロダインで最も重要なトラッキング調整は終了です。 アンテナを繋いでみましょう。きちんと調整ができていると良く聞こえるようになったのがわかります。
参考:厳密にはトラッキングエラーを調べてエラーが大きすぎるようならパディングコンデンサの大きさを変えてみるなどの修正を行ないます。この短波ラジオの設計ではアンテナ・トリマ:VC2でトラッキング状態の補正ができるためそこまで厳密に行なう必要はありません。
(5)BFOの調整:
BFOピッチ調整のバリコン:VC4を羽根が半分入った位置に固定します。 455kHzの無変調信号をテストオシレータで発生させ、アンテナコネクタより加えます。 BFOをONしたら、BFOコイル:T3のコアをゆっくり回して発振周波数が455kHzになり、ゼロビートの状態になるようにします。 済んだらBFOをOFFします。
(6)ダイヤル目盛の記入:
テストオシレータから3.5MHz、4MHz・・・など、0.5MHz或は1MHzおきの周波数など適宜発生させダイヤル目盛板に周波数マーキングします。 上手にダイヤル板を作れば周波数直読も可能かも知れませんが、もともと高級なものではなく、単なる「短波ラジオ」ですから大まかな目盛りでも良いでしょう。 あとは気の済むようにやれば良いです。
文章で書くと難しそうですが要領がわかれば簡単だと思います。 現物と回路図を見ながら、まずは調整のイメージを良く掴んでから始めて下さい。
通常の受信時には使用するアンテナに合わせてアンテナトリマを調整しながら最も良く聞こえるようにして使います。 またハムバンドのワッチではスプレッドバリコンを併用すると同調し易くなります。
☆
真空管式の2バンドラジオなら良く見掛けるのですが、トランジスタでスーパー形式の短波ラジオを作る例はあまり見掛けません。 真空管にはコイルパックや標準的なコイルが市販されていました。だから製作が容易なのでしょう。 もしもコイルから自作する必要があったなら真空管で短波ラジオが作れる人は限られたでしょう。
短波付きトランジスタラジオ製作用コイルが市販された記憶はありません。東光のモノコイルのようなものはありますが、基本的にHAMバンド用です。それにアンテナコイルとして使うための物です。短波ラジオの製作にそのまま使えるようなものではありませんでした。 そのあたりが半導体で短波ラジオを作るのを難しくしているのでしょう。
自分でBCLラジオのようなものを作ってみたい人もあると思いますが、なかなかハードルは高いのです。 でもコイルさえ自分で巻くことができれば大丈夫です。トランジスタでスーパー形式の短波ラジオの自作は十分可能です。
例示したような自励コンバータ形式の場合は特に局発コイルの製作が難しいようです。 過去に何回か試したことがあるのですが、なかなか思ったように行きませんでした。色々なトランジスタラジオの回路図を眺めてみたのですがヒントは見いだせません。 そこで少し視点を変え、理想追求ではなく多少割り切ることで比較的容易に製作できる感触が得られました。 さっそく試作してみたところ、思った以上に良好だったのでBlogで扱ってみました。 短波の性質上、昼間はラジオ日経くらいしか聞こえませんが夜間ともなると放送バンドを主にたくさんの海外からの電波が受信できます。 家庭用2バンドラジオで夜な夜な「短波」を探った若かりし頃が思い出されます。
6石ラジオのような短波ラジオでも作り方次第で意外な実力を発揮するようです。 たくさん半導体を使った高級な回路が高性能なのは当たり前です。 高級指向のお方はこんなシンプルな短波ラジオに負けないよう「通信型受信機」で短波受信機の製作に挑戦されて下さい。 de JA9TTT/1
追記:ラジオ用IC:TA2003Pで短波ラジオを作る続編があります。こちら(←リンク)
(おわり)nm
2016年2月23日火曜日
【回路】455kHz Ceralock Ladder Filter Design
【回路:455kHzのセラロックを使ったラダー型フィルタ】
【CSB455E】
村田製作所のセラミック発振子:CSB455Eを使ったラダー型フィルタを検討してみましょう。
もう10年くらい前だと思いますが、村田製作所は製品番号の付与方法を変更しました。CSB455Eと言うのは旧型番で、現在はCSBLA455KE***となっている筈ですが、それもすでに生産中止になっているようです。 いまでもお店で見掛ければ安価に入手できますから有効活用したいものです。
参考:BFOなどに使うセラミック発振子を使った455kHzの発振器についてはこちら(←リンク)を参考にして下さい。以下の記述では同じ455kHzの発振子を使った帯域フィルタの設計について記述しています。
セラミック発振子:®セラロック(村田製作所の登録商標)を使って製作したラダー型フィルタを、愛称:世羅多フィルタ(せらだフィルタ)と名付けて過去何回か紹介してきました。 セラミック発振子の等価回路も水晶発振子のそれと類似です。 ですから、水晶発振子と同じようにラダー型フィルタの製作が可能なことは自明でしょう。しかし、同じ周波数の水晶発振子と比較すると等価回路定数の値には大きな違いがあります。そのためセラミック発振子に適した設計を行なう必要があります。
旧来は、Cohn minimum loss型と言う形式で設計してきました。 Cohn型(コーン型)では3素子までがButterworth特性です。それを超えるものも類似特性ではありますが、何と呼ぶべきかちょっと正体不明なものになります。 出来上がったものを測定してみて支障無ければ使うと言った半ば成り行き任せの状況だったのです。 それでもかなり効果的なフィルタが作れたので愛用して来たのでした。
ここでは、もう一歩進めて新しい設計法で「世羅多フィルタ」を検討してみたいと思います。 理屈の上では設計できて当然なのですが、では具体的にどのくらいの性能のフィルタが作れるのでしょうか? セラミック発振子の「水晶定数」に相当する値を実測から求め、それに基づいた設計を試みたいと思います。設計方法そのものは水晶発振子を使った場合と概ね同じです。
いつもの様に実験研究の自分用メモです。研究の概要を抜粋したものなので貴方の知りたいことのすべてが書かれている訳ではないかも知れません。以下、もし良かったらご覧下さい。
【SSB用フィルタの検討】
これまで、世羅多フィルタでは主にCW用を考えてきました。 これは、Quの小さなセラミック発振子では良い形のSSB用フィルタは難しかったからです。 セラミック発振子の無負荷Q:Quは水晶発振子のそれと比べて数桁も小さいのです。
左表はCSB455Eを50個測定して、なるべくQuの大きなものを8個選別した一覧です。 平均のQuは2,500に届きません。 水晶なら少なくとも10万近くあるのでかなり小さな値です。 そのためフィルタに使った場合、減衰域に向かう傾斜の部分がかなりなだらかになってしまいます。
SSB用フィルタも、もっぱら受信用なら混信を我慢して使えないことはありません。 しかし、SSBジェネレータに使ったら不要な逆サイドが漏れてしまい問題になるでしょう。 このあたりが、新しい設計法でどのくらい改善できるのか検討したいと思います。 旨くすればSSBジェネレータに使えるようなフィルタが作れるかも知れません。
従来の設計法では、セラミック発振子の性能から素子数を増やしても性能に限界がありました。 新しい設計では8素子に増やして検討します。 やはり3〜5素子では可能な性能に限界があるからです。
【フィルタ設計】
発振子(共振子、振動子)の性能がある程度よくないと急峻な特性のフィルタは製作できません。 Quが2,500に満たなくては、Chebyshev型での設計は殆ど見込みがありません。 これは、事前特性補正型の設計であっても同じです。 補正可能な程度にも限界があるのです。
この設計では、Butterworth型で行くことにしました。 Butterworthと言えども、低いQuを考えると事前特性補正型にならざるを得ません。 それでどの程度の特性のフィルタが可能なのか探ってみることにしましょう。 得られたフィルタ定数はLT-Spiceにインプットしてシミュレーションします。
【シミュレーション用回路】
LT-Spice用の回路図です。 CSB455Eの「水晶定数」、Lm、Cm、Ch、Rmの平均値のほか、上記の設計ソフトによって得られたフィルタ定数を回路図にインプットします。
検討した結果、基準MeshはX2にとるのが合理的でした。 取りあえず、平均値に基づいたシミュレーションを行なって様子を見ることにしましょう。 シミュレーションの結果があまり芳しくないようなら、設計方法を変えるなどの対策を考えます。 場合によって製作を諦めることにもなるでしょう。 既にシミュレーションと実製作との一致度は高いことが実証されていますから、結果が良くなければ作るまでもないことになります。
【シミュレーション結果】
セラミック発振子は周波数の低い455kHzでも、直列共振周波数:fsと並列共振周波数:fpの周波数間隔が広いのでSSBフィルタの設計は十分可能です。(ラダー形式の場合、455kHzの水晶発振子では帯域幅の広いSSB用はうまく作れません)
しかし、セラミック発振子の無負荷Q:Quは低いので通過帯域の低端側で傾斜が緩やかになってしまいました。 USB波の発生にはいま一歩と言ったところではないでしょうか。 LSB側ならSSBジェネレータにもなんとか使えそうです。(キャリヤ周波数は上側にとります) ヘテロダインを工夫してSSBジェネレータではLSBのみ発生させると言う方法をとるのも良いと思います。 なお、図は横軸一目盛りが1kHzで、縦軸は10dBです。
通過帯域がやや右下がりで平坦度も悪いのは本質的にQuが小さいためでしょう。 セラミック発振子を使ったフィルタとしてはかなり改善されているとは思いますが、実用にはもうひと工夫が必要かも知れません。 製作に掛ける手間を考えると、この先進むのも躊躇われるため一旦ここまでにしました。
(参考)通過域の中心から見て左右非対称なのが大きな問題なので、低端に減衰極を持って来れば改善が期待できます。 上端側の傾斜がなだらかになりますが許容範囲に収まる筈なので検討に値すると思っています。
【CWフィルタの検討】
SSB用と同じように8素子で検討してみます。 これはCW用フィルタの通過帯域幅が狭いからで、Quが小さいセラミック発振子で6素子では不十分と考えたからです。 従来型のCohn minimum loss型の6素子型でも実用になる性能は得られていました。しかし特性の実測ではいま一つであって、高性能な受信機にはもう少し良いものが望まれていたように思います。
表は50個測定した中から選別して8個選んだものです。 但し、SSB用を最優先にしたのでそれに余った8個と言う訳です。 そのため、無負荷Q:Quはやや劣っているのがわかると思います。 村田製作所のセラミック発振子:セラロックは比較的バラツキは少なくてSSB用を選んだ残りとは言っても極端な差がある訳ではありません。
(参考)中国製の同等品:CRB455と言うセラミック発振子が出回っています。ややバラツキは大きいようですが、選別して使えばほぼ同等のフィルタが製作できるでしょう。ただし、LmやCmと言った等価定数は少し異なるのでそれに合わせた設計が必要です。
【CWフィルタ設計】
どうせ作るなら、位相直線系のフィルタにしましょう。 時間軸上の波形再現性にすぐれ、余韻を引かない特性こそCWフィルタとして相応しいと思うのです。いわゆる「良い音のCWフィルタ」ということです。
3.58MHzの水晶発振子による作例では、Trasitional Gaussian to -6dBと言う形式で設計しました。 セラミック発振子でも同じ形式による設計は可能です。 しかし素子数を多くすれば純粋のGaussian特性と比べて周波数特性の違いは少ないようです。
ここでは、8素子に増やしたこともあり、Gaussian特性で設計することにしました。 なお、Gaussian特性はBessel特性とほぼ等価です。 Gaussian特性はもともとなだらかな傾斜なので、Qの小さな共振回路(共振子、振動子)でも実現可能な範囲は広いのですが、それも程度問題です。 455kHzで数100Hz幅の狭帯域フィルタはそれなりのQがなくては作れません。 Qu < 2,500のセラロックでは事前特性補正型でなくては思った特性は得られないようです。
【シミュレーション用回路図】
SSBと同じようにシミュレーションで様子を見ましょう。いつものようにシミュレータはLT-Spiceです。
シミュレーションを行なう周波数範囲は違いますが、SSB用と同じ回路で行けるので簡単にシミュレーション可能です。 もちろん、GND間にある結合容量やセラミック発振子の直列容量は上記の設計ソフトによって求めた値に書き換えます。
インプットが終わったら、Runボタンを押すと5秒と掛からずに終了するでしょう。さっそく観測プローブを出力側にある終端抵抗:R2のホット側に当ててやればフィルタの周波数特性がグラフィカルに表示されます。
【シミュレーション結果】
わかり易いように横軸の範囲や縦軸の刻みを調整して表示しています。各軸の部分にマウスのポインタを持って行きボタンをクリックすれば範囲や刻みが変更できます。画面の隅の部分を引っ張ってやればこのような表示にできます。 もちろん、見やすくしているだけでインチキをしている訳ではありません。(笑)
このように非常に奇麗なGaussian特性が得られることがわかりました。 455kHzあたりのセラミック発振子の直列共振周波数:fsと並列共振周波数:fpの間隔は約15kHz程度です。 それと比べてずっと帯域幅の狭いCWフィルタでは、通過帯域の中心軸から周波数の上下を見た時の対称性が良くなるのです。 このあたりが先にシミュレーションしたSSB用との違いとなって現れています。
一見して山型のさえない特性に思われそうですが、縦軸全体で110dB、横軸の刻みは500Hzで、全体で4.5kHzの範囲を表示しています。 見かけと違いかなり良く切れるフィルタです。 この程度の切れ味ならCWフィルタとして不満はないでしょう。 もちろん、非常に混んだコンテストのような場面ではもうちょっと帯域幅は狭い方が良いかも知れません。 言うまでもありませんが、Gaussian特性ですから時間軸上の波形再現性は申し分ない筈です。
ちなみにアナログ・オシロスコープの垂直軸アンプはGaussian特性になっていました。バンドパス特性ではありませんが、高域の遮断特性(=LPFになる)がGaussian特性になるように作られていました。測定器ですから、観測波形が実際と異なって表示されたら困るからです。 Gaussian特性の波形再現性の良さがわかります。
【特性比較】
これは、従来型で設計した「世羅多フィルタ」の特性例です。これは5素子のものです。 上の図よりも切れ味が良さそうに感じるかも知れません。 この実測では横軸の一目盛りは2kHzになっています。 全体では20kHzと言うことになります。 上の図は一目盛りが500Hzで全体で4.5kHzですから新設計の方がずっと切れ味が良いことがわかるでしょう。
このフィルタでも十分実用になるのですから、上記のようなフィルタならより理想に近付けるだろうと思います。 比較してみて新しい設計法の採用で、なかなか良いフCWィルタが作れそうなことがわかりました。
共振子としての性能が良くないセラミック発振子:®セラロックでも、用途を誤らなければ使い物になるフィルタが作れそうです。 また、工夫次第ですがSSB用も可能性が見いだせました。 既知の技術で工夫できる範囲にありますから十分検討に値するでしょう。 この先時間を見つけて455kHzのセラミック振動子でSSB用とCW用フィルタを試作したいと思っています。
【エピローグ】
新しいラダー型フィルタの設計と称して、6素子の8MHzSSB用を手始めに、色々なフィルタを作ってみました。 すべて成功例ばかりとは言えませんが、それぞれ課題は残しつつも十分希望が持てる結果が得られたのではないでしょうか。 製作に当たってのポイント・・・例えば水晶発振子はどんな物を選ぶべきか・・・などの知見は得られたと思っています。シミュレータの活用と合わせて再現性の向上もできました。
従来は成り行きに任せるしかなかったラダー型フィルタが幾らか制限はありますが概ね意図した特性で製作できるようになりました。 これにより用途や目的に応じて最適なフィルタを選択・製作ができるようになった訳です。 特別な特性を持った「フィルタ」は市販品では得られませんから、自身で製作できるようになったメリットはずいぶん大きいと感じています。 切れ味でChebyshev型を選んだり、音色で純粋なButterworth型を試してみるなど、SSB用フィルタの選択肢も広がりました。
数ヶ月に渡り、興味を持ってご覧頂き有り難うございました。 新しいラダー型フィルタの特集はひとまず終えることにします。 一連のBlogが「こんなモノが作れるんだ・・」と言う参考にでもなってくれたらFBです。 この先は製作したフィルタの使用例が登場して行くだろうと思います。使う上でのポイントなど紹介の機会もあるでしょう、 de JA9TTT/1
(おわり)fm
☆
参考・1:ラダー型フィルタ関連のBlog内リンク:(記事は新しい順です)
(1)11MHz帯のラダー型フィルタ設計→11MHz X-tal SSB Filter Design
(2)3.58MHzの水晶で音の良いCWフィルタ→X-tal CW Filter Design
(3)続・12.8MHz.・8素子ラダーフィルタの設計→8-pole X-tal Ladder Filter+1
(4)12.8MHz・8素子ラダーフィルタの設計→8-pole X-tal Filter Board
(5)続々・8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design . Plus+1
(6)続・8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design , Plus
(7)8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design
以下は従来設計のラダー型フィルタです。
(8)ラジオ用IC・LA1600に世良多フィルタを→世羅多フィルタとLA1600
(9)真空管受信機に世羅多フィルタを付けるには→STARのIFT(5)
(10)ラダー型フィルタをシミュレーション→世羅多フィルタシミュレーション
(11)14.318MHzの水晶でラダー型フィルタ→ラダー型フィルタ(再)
(12)世羅多フィルタの基板実装法→世羅多フィルタの実装例
参考・2:水晶発振子と水晶定数に関連のBlog内リンク;(記事は新しい順です)
(1)水晶発振子テスト用12.5Ω治具製作法→Quartz Crystal Test Fixture
(2)続・水晶発振子の等価定数測定→Crystal Motional Parameters, Plus
(3)水晶発振子の等価定数測定→Crystal Motional Parameters
(4)8MHzを例にしたキャリヤ発振器の実際→8MHz Carrier Oscillator
(5)小さくなった水晶発振子→X-tals to small. too small !
(6)旧型水晶発振子の研究:FT-243型→FT-243型水晶振動子
(7)旧型水晶発振子の研究:FT-241型→FT-241型水晶振動子
参考・3:その他フィルタ関係のBlog内リンク:(記事は新しい順です)
(1)7.8MHz・CB用クリスタルフィルタ→Transistor Balanced Modulator , Part2
(2)フィルタ用IC・FLT-U2で超低歪発振器→FLT-U2 Sine wave Oscillator
(3)TRIOのLPF:LF-30の研究・その3→TRIO LPF LF-30 ; Part 3
(4)TRIOのLPF:LF-30の研究・その2→TRIO LPF LF-30 : Part 2
(5)TRIOのLPF:LF-30の研究・その1→TRIO LPS LF-30 : Part 1
(6)Norton Amp. LM3900を使うBPFの研究→More Norton Amp.
(7)136kHzバンドパスフィルタ設計・製作→136kHz Bandpass Filter Design
(8)電話搬送用20kHz SSBフィルタの特性→SSB on Breadboard
(9)各種SSBフィルタとキャリヤ発振器→Some Hints for DDS Controller
(10)AD9850/51・DDS用ローパスフィルタ→SMD LC Filter
(11)DDSモジュール搭載LPFの特性→Freq. Response of Filter on DDS Module
(12)スター製・真空管用IFTの再生→STARのIFT(1)
(13)IFフィルタ交換でAMチューナHi-Fi化→AM Tuner その後
(14)CW用アクティブ・フィルタ・特性研究→700Hz Bandpass Filters
(15)続・シミュレーテッド・インダクタでCWフィルタ→Simulated Inductor (2)
(16)シミュレーテッド・インダクタでCWフィルタ→Simulated Inductor (1)
(17)受信音に優れたCW用AFフィルタの研究→良い音のCWフィルタ
(18)GICを使ったコイルレス高性能フィルタの研究→GIC型LPF
(19)Collinsが作ったCB用メカフィルの特性→ヤスモノだが・・
◎ネット上にも有用な情報があります。リンクの許可をもらうのと後々のメンテナンスが厄介なため、ご紹介しておりません。ご自身で検索してみて下さい。
☆全部読んだら一日じゅうぶん潰せそう。
☆☆全部試したら一ヶ月じっくり遊べます。
☆☆☆全部応用したら一年たっぷり楽しめる・・
<裏>
×全部読んだら一日無駄に空費します。
××全部試したら一ヶ月じっくり悩みます。
×××ぜんぶ応用を試みたら一年以上苦労の連続・・
・・かもしれない。(笑) de JA9TTT/1
【CSB455E】
村田製作所のセラミック発振子:CSB455Eを使ったラダー型フィルタを検討してみましょう。
もう10年くらい前だと思いますが、村田製作所は製品番号の付与方法を変更しました。CSB455Eと言うのは旧型番で、現在はCSBLA455KE***となっている筈ですが、それもすでに生産中止になっているようです。 いまでもお店で見掛ければ安価に入手できますから有効活用したいものです。
参考:BFOなどに使うセラミック発振子を使った455kHzの発振器についてはこちら(←リンク)を参考にして下さい。以下の記述では同じ455kHzの発振子を使った帯域フィルタの設計について記述しています。
セラミック発振子:®セラロック(村田製作所の登録商標)を使って製作したラダー型フィルタを、愛称:世羅多フィルタ(せらだフィルタ)と名付けて過去何回か紹介してきました。 セラミック発振子の等価回路も水晶発振子のそれと類似です。 ですから、水晶発振子と同じようにラダー型フィルタの製作が可能なことは自明でしょう。しかし、同じ周波数の水晶発振子と比較すると等価回路定数の値には大きな違いがあります。そのためセラミック発振子に適した設計を行なう必要があります。
旧来は、Cohn minimum loss型と言う形式で設計してきました。 Cohn型(コーン型)では3素子までがButterworth特性です。それを超えるものも類似特性ではありますが、何と呼ぶべきかちょっと正体不明なものになります。 出来上がったものを測定してみて支障無ければ使うと言った半ば成り行き任せの状況だったのです。 それでもかなり効果的なフィルタが作れたので愛用して来たのでした。
ここでは、もう一歩進めて新しい設計法で「世羅多フィルタ」を検討してみたいと思います。 理屈の上では設計できて当然なのですが、では具体的にどのくらいの性能のフィルタが作れるのでしょうか? セラミック発振子の「水晶定数」に相当する値を実測から求め、それに基づいた設計を試みたいと思います。設計方法そのものは水晶発振子を使った場合と概ね同じです。
いつもの様に実験研究の自分用メモです。研究の概要を抜粋したものなので貴方の知りたいことのすべてが書かれている訳ではないかも知れません。以下、もし良かったらご覧下さい。
【SSB用フィルタの検討】
これまで、世羅多フィルタでは主にCW用を考えてきました。 これは、Quの小さなセラミック発振子では良い形のSSB用フィルタは難しかったからです。 セラミック発振子の無負荷Q:Quは水晶発振子のそれと比べて数桁も小さいのです。
左表はCSB455Eを50個測定して、なるべくQuの大きなものを8個選別した一覧です。 平均のQuは2,500に届きません。 水晶なら少なくとも10万近くあるのでかなり小さな値です。 そのためフィルタに使った場合、減衰域に向かう傾斜の部分がかなりなだらかになってしまいます。
SSB用フィルタも、もっぱら受信用なら混信を我慢して使えないことはありません。 しかし、SSBジェネレータに使ったら不要な逆サイドが漏れてしまい問題になるでしょう。 このあたりが、新しい設計法でどのくらい改善できるのか検討したいと思います。 旨くすればSSBジェネレータに使えるようなフィルタが作れるかも知れません。
従来の設計法では、セラミック発振子の性能から素子数を増やしても性能に限界がありました。 新しい設計では8素子に増やして検討します。 やはり3〜5素子では可能な性能に限界があるからです。
【フィルタ設計】
発振子(共振子、振動子)の性能がある程度よくないと急峻な特性のフィルタは製作できません。 Quが2,500に満たなくては、Chebyshev型での設計は殆ど見込みがありません。 これは、事前特性補正型の設計であっても同じです。 補正可能な程度にも限界があるのです。
この設計では、Butterworth型で行くことにしました。 Butterworthと言えども、低いQuを考えると事前特性補正型にならざるを得ません。 それでどの程度の特性のフィルタが可能なのか探ってみることにしましょう。 得られたフィルタ定数はLT-Spiceにインプットしてシミュレーションします。
【シミュレーション用回路】
LT-Spice用の回路図です。 CSB455Eの「水晶定数」、Lm、Cm、Ch、Rmの平均値のほか、上記の設計ソフトによって得られたフィルタ定数を回路図にインプットします。
検討した結果、基準MeshはX2にとるのが合理的でした。 取りあえず、平均値に基づいたシミュレーションを行なって様子を見ることにしましょう。 シミュレーションの結果があまり芳しくないようなら、設計方法を変えるなどの対策を考えます。 場合によって製作を諦めることにもなるでしょう。 既にシミュレーションと実製作との一致度は高いことが実証されていますから、結果が良くなければ作るまでもないことになります。
【シミュレーション結果】
セラミック発振子は周波数の低い455kHzでも、直列共振周波数:fsと並列共振周波数:fpの周波数間隔が広いのでSSBフィルタの設計は十分可能です。(ラダー形式の場合、455kHzの水晶発振子では帯域幅の広いSSB用はうまく作れません)
しかし、セラミック発振子の無負荷Q:Quは低いので通過帯域の低端側で傾斜が緩やかになってしまいました。 USB波の発生にはいま一歩と言ったところではないでしょうか。 LSB側ならSSBジェネレータにもなんとか使えそうです。(キャリヤ周波数は上側にとります) ヘテロダインを工夫してSSBジェネレータではLSBのみ発生させると言う方法をとるのも良いと思います。 なお、図は横軸一目盛りが1kHzで、縦軸は10dBです。
通過帯域がやや右下がりで平坦度も悪いのは本質的にQuが小さいためでしょう。 セラミック発振子を使ったフィルタとしてはかなり改善されているとは思いますが、実用にはもうひと工夫が必要かも知れません。 製作に掛ける手間を考えると、この先進むのも躊躇われるため一旦ここまでにしました。
(参考)通過域の中心から見て左右非対称なのが大きな問題なので、低端に減衰極を持って来れば改善が期待できます。 上端側の傾斜がなだらかになりますが許容範囲に収まる筈なので検討に値すると思っています。
【CWフィルタの検討】
SSB用と同じように8素子で検討してみます。 これはCW用フィルタの通過帯域幅が狭いからで、Quが小さいセラミック発振子で6素子では不十分と考えたからです。 従来型のCohn minimum loss型の6素子型でも実用になる性能は得られていました。しかし特性の実測ではいま一つであって、高性能な受信機にはもう少し良いものが望まれていたように思います。
表は50個測定した中から選別して8個選んだものです。 但し、SSB用を最優先にしたのでそれに余った8個と言う訳です。 そのため、無負荷Q:Quはやや劣っているのがわかると思います。 村田製作所のセラミック発振子:セラロックは比較的バラツキは少なくてSSB用を選んだ残りとは言っても極端な差がある訳ではありません。
(参考)中国製の同等品:CRB455と言うセラミック発振子が出回っています。ややバラツキは大きいようですが、選別して使えばほぼ同等のフィルタが製作できるでしょう。ただし、LmやCmと言った等価定数は少し異なるのでそれに合わせた設計が必要です。
【CWフィルタ設計】
どうせ作るなら、位相直線系のフィルタにしましょう。 時間軸上の波形再現性にすぐれ、余韻を引かない特性こそCWフィルタとして相応しいと思うのです。いわゆる「良い音のCWフィルタ」ということです。
3.58MHzの水晶発振子による作例では、Trasitional Gaussian to -6dBと言う形式で設計しました。 セラミック発振子でも同じ形式による設計は可能です。 しかし素子数を多くすれば純粋のGaussian特性と比べて周波数特性の違いは少ないようです。
ここでは、8素子に増やしたこともあり、Gaussian特性で設計することにしました。 なお、Gaussian特性はBessel特性とほぼ等価です。 Gaussian特性はもともとなだらかな傾斜なので、Qの小さな共振回路(共振子、振動子)でも実現可能な範囲は広いのですが、それも程度問題です。 455kHzで数100Hz幅の狭帯域フィルタはそれなりのQがなくては作れません。 Qu < 2,500のセラロックでは事前特性補正型でなくては思った特性は得られないようです。
【シミュレーション用回路図】
SSBと同じようにシミュレーションで様子を見ましょう。いつものようにシミュレータはLT-Spiceです。
シミュレーションを行なう周波数範囲は違いますが、SSB用と同じ回路で行けるので簡単にシミュレーション可能です。 もちろん、GND間にある結合容量やセラミック発振子の直列容量は上記の設計ソフトによって求めた値に書き換えます。
インプットが終わったら、Runボタンを押すと5秒と掛からずに終了するでしょう。さっそく観測プローブを出力側にある終端抵抗:R2のホット側に当ててやればフィルタの周波数特性がグラフィカルに表示されます。
【シミュレーション結果】
わかり易いように横軸の範囲や縦軸の刻みを調整して表示しています。各軸の部分にマウスのポインタを持って行きボタンをクリックすれば範囲や刻みが変更できます。画面の隅の部分を引っ張ってやればこのような表示にできます。 もちろん、見やすくしているだけでインチキをしている訳ではありません。(笑)
このように非常に奇麗なGaussian特性が得られることがわかりました。 455kHzあたりのセラミック発振子の直列共振周波数:fsと並列共振周波数:fpの間隔は約15kHz程度です。 それと比べてずっと帯域幅の狭いCWフィルタでは、通過帯域の中心軸から周波数の上下を見た時の対称性が良くなるのです。 このあたりが先にシミュレーションしたSSB用との違いとなって現れています。
一見して山型のさえない特性に思われそうですが、縦軸全体で110dB、横軸の刻みは500Hzで、全体で4.5kHzの範囲を表示しています。 見かけと違いかなり良く切れるフィルタです。 この程度の切れ味ならCWフィルタとして不満はないでしょう。 もちろん、非常に混んだコンテストのような場面ではもうちょっと帯域幅は狭い方が良いかも知れません。 言うまでもありませんが、Gaussian特性ですから時間軸上の波形再現性は申し分ない筈です。
ちなみにアナログ・オシロスコープの垂直軸アンプはGaussian特性になっていました。バンドパス特性ではありませんが、高域の遮断特性(=LPFになる)がGaussian特性になるように作られていました。測定器ですから、観測波形が実際と異なって表示されたら困るからです。 Gaussian特性の波形再現性の良さがわかります。
【特性比較】
これは、従来型で設計した「世羅多フィルタ」の特性例です。これは5素子のものです。 上の図よりも切れ味が良さそうに感じるかも知れません。 この実測では横軸の一目盛りは2kHzになっています。 全体では20kHzと言うことになります。 上の図は一目盛りが500Hzで全体で4.5kHzですから新設計の方がずっと切れ味が良いことがわかるでしょう。
このフィルタでも十分実用になるのですから、上記のようなフィルタならより理想に近付けるだろうと思います。 比較してみて新しい設計法の採用で、なかなか良いフCWィルタが作れそうなことがわかりました。
共振子としての性能が良くないセラミック発振子:®セラロックでも、用途を誤らなければ使い物になるフィルタが作れそうです。 また、工夫次第ですがSSB用も可能性が見いだせました。 既知の技術で工夫できる範囲にありますから十分検討に値するでしょう。 この先時間を見つけて455kHzのセラミック振動子でSSB用とCW用フィルタを試作したいと思っています。
【エピローグ】
新しいラダー型フィルタの設計と称して、6素子の8MHzSSB用を手始めに、色々なフィルタを作ってみました。 すべて成功例ばかりとは言えませんが、それぞれ課題は残しつつも十分希望が持てる結果が得られたのではないでしょうか。 製作に当たってのポイント・・・例えば水晶発振子はどんな物を選ぶべきか・・・などの知見は得られたと思っています。シミュレータの活用と合わせて再現性の向上もできました。
従来は成り行きに任せるしかなかったラダー型フィルタが幾らか制限はありますが概ね意図した特性で製作できるようになりました。 これにより用途や目的に応じて最適なフィルタを選択・製作ができるようになった訳です。 特別な特性を持った「フィルタ」は市販品では得られませんから、自身で製作できるようになったメリットはずいぶん大きいと感じています。 切れ味でChebyshev型を選んだり、音色で純粋なButterworth型を試してみるなど、SSB用フィルタの選択肢も広がりました。
数ヶ月に渡り、興味を持ってご覧頂き有り難うございました。 新しいラダー型フィルタの特集はひとまず終えることにします。 一連のBlogが「こんなモノが作れるんだ・・」と言う参考にでもなってくれたらFBです。 この先は製作したフィルタの使用例が登場して行くだろうと思います。使う上でのポイントなど紹介の機会もあるでしょう、 de JA9TTT/1
(おわり)fm
☆
参考・1:ラダー型フィルタ関連のBlog内リンク:(記事は新しい順です)
(1)11MHz帯のラダー型フィルタ設計→11MHz X-tal SSB Filter Design
(2)3.58MHzの水晶で音の良いCWフィルタ→X-tal CW Filter Design
(3)続・12.8MHz.・8素子ラダーフィルタの設計→8-pole X-tal Ladder Filter+1
(4)12.8MHz・8素子ラダーフィルタの設計→8-pole X-tal Filter Board
(5)続々・8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design . Plus+1
(6)続・8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design , Plus
(7)8MHzのラダー型フィルタ設計→8MHz Ladder Filter Design
以下は従来設計のラダー型フィルタです。
(8)ラジオ用IC・LA1600に世良多フィルタを→世羅多フィルタとLA1600
(9)真空管受信機に世羅多フィルタを付けるには→STARのIFT(5)
(10)ラダー型フィルタをシミュレーション→世羅多フィルタシミュレーション
(11)14.318MHzの水晶でラダー型フィルタ→ラダー型フィルタ(再)
(12)世羅多フィルタの基板実装法→世羅多フィルタの実装例
参考・2:水晶発振子と水晶定数に関連のBlog内リンク;(記事は新しい順です)
(1)水晶発振子テスト用12.5Ω治具製作法→Quartz Crystal Test Fixture
(2)続・水晶発振子の等価定数測定→Crystal Motional Parameters, Plus
(3)水晶発振子の等価定数測定→Crystal Motional Parameters
(4)8MHzを例にしたキャリヤ発振器の実際→8MHz Carrier Oscillator
(5)小さくなった水晶発振子→X-tals to small. too small !
(6)旧型水晶発振子の研究:FT-243型→FT-243型水晶振動子
(7)旧型水晶発振子の研究:FT-241型→FT-241型水晶振動子
参考・3:その他フィルタ関係のBlog内リンク:(記事は新しい順です)
(1)7.8MHz・CB用クリスタルフィルタ→Transistor Balanced Modulator , Part2
(2)フィルタ用IC・FLT-U2で超低歪発振器→FLT-U2 Sine wave Oscillator
(3)TRIOのLPF:LF-30の研究・その3→TRIO LPF LF-30 ; Part 3
(4)TRIOのLPF:LF-30の研究・その2→TRIO LPF LF-30 : Part 2
(5)TRIOのLPF:LF-30の研究・その1→TRIO LPS LF-30 : Part 1
(6)Norton Amp. LM3900を使うBPFの研究→More Norton Amp.
(7)136kHzバンドパスフィルタ設計・製作→136kHz Bandpass Filter Design
(8)電話搬送用20kHz SSBフィルタの特性→SSB on Breadboard
(9)各種SSBフィルタとキャリヤ発振器→Some Hints for DDS Controller
(10)AD9850/51・DDS用ローパスフィルタ→SMD LC Filter
(11)DDSモジュール搭載LPFの特性→Freq. Response of Filter on DDS Module
(12)スター製・真空管用IFTの再生→STARのIFT(1)
(13)IFフィルタ交換でAMチューナHi-Fi化→AM Tuner その後
(14)CW用アクティブ・フィルタ・特性研究→700Hz Bandpass Filters
(15)続・シミュレーテッド・インダクタでCWフィルタ→Simulated Inductor (2)
(16)シミュレーテッド・インダクタでCWフィルタ→Simulated Inductor (1)
(17)受信音に優れたCW用AFフィルタの研究→良い音のCWフィルタ
(18)GICを使ったコイルレス高性能フィルタの研究→GIC型LPF
(19)Collinsが作ったCB用メカフィルの特性→ヤスモノだが・・
◎ネット上にも有用な情報があります。リンクの許可をもらうのと後々のメンテナンスが厄介なため、ご紹介しておりません。ご自身で検索してみて下さい。
☆全部読んだら一日じゅうぶん潰せそう。
☆☆全部試したら一ヶ月じっくり遊べます。
☆☆☆全部応用したら一年たっぷり楽しめる・・
<裏>
×全部読んだら一日無駄に空費します。
××全部試したら一ヶ月じっくり悩みます。
×××ぜんぶ応用を試みたら一年以上苦労の連続・・
・・かもしれない。(笑) de JA9TTT/1
登録:
投稿 (Atom)











































