【超再生式受信機・その2 実験編(1)】
Introduction
I am conducting experiments on super-regenerative receivers. In the super-regenerative detector—the key component—the Radio-frequency choke coil (RFC) is considered crucial. I will build an RFC suitable for the circuit by hand and compare it with a commercially available one. The results showed that the difference between the handmade and commercial versions was negligible. I think you shouldn’t overcomplicate things when using an RFC—just use it. And if it doesn’t work well, you can always replace it. For this experiment, I built two types of circuits: one using a germanium transistor and one using a silicon transistor. So far, I haven’t achieved very good results. I plan to continue these experiments going forward. (2026.09.27 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【RFCを手作りする】
雑誌で超再生式受信機の作例を見ていると高周波チョークコイル:RFCの重要性が強調されているのを目にします。 前回のBlog:調査編(←リンク)の回路例にもRFCの手作り方法が書いてありました。 またQEX誌の例では「モールドタイプ」・・・すなわち既製品でも小型の樹脂モールド型のRFCは避けろと書いてあります。 要するに超再生検波回路においてRFCはかなり重要な部品という位置付けです。
しかしインダクタンスが100μHというようなRFCを手作りで小さく作るのはかなり困難でしょう。 ここでは両端にリード線の付いたベークライト製ボビンがあったので利用して自作してみました。ボビンの径は6mmで長さは19mmです。巻線にはφ0.32mm・UEW線を使い、密着巻きで46回巻いてあります。 このようなボビンがない場合は抵抗値の大きな抵抗器(例えば1MΩ・1W型とか)の上に巻線する方法があります。
さっそくインダクタンスを実測してみると案外小さくて、4.25μHしかありません。(左写真)なお、無負荷Q:Quは約15ですが、これは測定周波数が低い(100kHz)からです。HF帯ではずっと大きくなります。(Q=ωL/rsなのでωに比例する)
4.25μHでも、例えば50MHzのようなVHF帯では1.3kΩくらいのリアクタンスがあるのでRFCとして十分使えるはずです。 50MHzでQu=50とすればインピーダンスは約67kΩですから回路インピーダンスの低いトランジスタ回路用のRFCとしては十分なはずです。 これを使って実験してみましょう。 モールド型の既製品との比較を試みます。
☆
超再生検波器を実際に製作してみました。 ところが出だしから、なかなか苦戦しています。(笑) 回路の動作解析が不十分なまま手探りのような製作では重要なポイントがなかなか掴みきれないのです。 いくつか作って観察すればだんだんわかってくるだろうと思って始めたのですが・・・未だなかなか要領を得ません(笑)
したがって、さしたる有用な情報は提供できませんから暇つぶし程度にでもご覧あれ。 あなたのように忙しいお方は無意味な時間を過ごさぬよう特に御注意を!
【超再生検波回路・その1】
オーソドックスと思われる回路を作ってみます。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
無理にゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ:Ge-Tr)使う必要もないのですが、むかし手に入れた買い置きがあったので使いました。
2SA341は松下/Panasonic社製の古いゲルトラです。有名な2SA70の小型パッケージ版と思えば良いでしょう。中身のチップは一緒のようです。こんな機会でもなかったらまず使いません。VCE=-10V,Ic=-1mAにおけるfTは実測で120MHzです。
ほか戴きもののAF106(独ジーメンス製・Geメサ型RF用:実測fT=213MHz)も同じPNP-Trで足配置も同じなので合わせて実験しました。
RF特性の良いシリコンのPNP-Trで置き換えても良いでしょう。 しかしそれくらいなら電源の極性を変えてNPNの高周波用(シリコン)を使うべきです。選択肢がはるかに多くなって有利です。 ゲルトラにこだわる理由は何もありません。 まあ、ここは遊びですので。(笑)
小型トランスを使わないCR結合形式で作ります。(トランス結合も後でやらねば)
問題のRFCはトランジスタのエミッタとGNDに向かって入っているものです。(L1;100μHと書いてある) 受信周波数帯(VHF帯)で十分なインピーダンスを持てば良いはずですが、過去の回路例をみると10μHくらいから100μH以上までまちまちなのです。
重要と言いつつこれでは怪しく感じてしまいますね。 まあ、作って交換すればわかるだろうということで・・・さっそく始めましょう。
【超再生検波・その1を作る】
ピンク色のコアが入っているのが同調コイルでVHF帯用のおそらくFMラジオ等に使うものでしょう。
空芯コイルでも良いと思いますが、インダクタンスが調整できた方が便利なので既製品を使いました。 インダクタンスは0.27μH(中心値)で、Qu=120です。
問題のRFCですが、写真で下の方に写っています。 小型に作ったつもりですが、それでもこのサイズです。
真空管回路ならまだ小型と言えるのかもしれませんが、トランジスタ回路用の部品としては大きすぎるでしょう。
【動作波形を見る・手作りRFC】
AF Output端子(検波出力端子)を観測しています。
写真のようにクェンチング波形に重畳してVHF帯の発振まで見えています。
クェンチング周波数は約77kHzでした。 この周波数が最適なのか否かは良くわかりませんが、一般的には100kHz前後らしいので標準的なところでしょうか?
この状態をクリスタル(セラミック)イヤフォンで聞いてみると、いわゆる超再生らしい「シャー」っというノイズが聞こえます。 感度の良し悪しまでは判断できず。
余談ではありますが、6年ほど前の2020年ころ、近所にコミュニティFM局が開局しました。周波数は89.3MHzで市内のビル屋上に上げたアンテナでオンエアしていました。パワーは15Wとのこと。 ローパワーとはいえごく近距離(1.5kmくらい?)なので十分聞こえるかと思ったのですがダメでした。 おかしいなと思って調べたら昨年の秋には閉局したんだそうです。 5年間の免許が更新できなかったんでしょうか? まあ、はじめっから商業的には厳しそうでした。 FMラジオの実験用にアテにしていたのでちょっと残念です。w
【既製品RFCに交換】
続いて既製品のRFCに交換してみました。
インダクタンスは100μHです。 1/4W型の抵抗器と同じくらいのサイズですからかなり小型です。
トランジスタ回路にマッチしていると思いますが、当然フェライト・コアのような磁芯が中心に入っているでしょう。直流抵抗:DCRは3.25Ωです。 QEX誌の記事によればいわゆる「使ってはいけない」というRFCです。
交換してイヤフォンで聞いてみるとあまり違いは感じられませんでした。 コレ、ホントにダメなのでしょうか?
【動作波形を見る・既製品RFC】
先の観測とおなじくAF Output端子(検波出力端子)を見ています。
クェンチング周波数は約67kHzでした。 RFCのインダクタンスは20倍以上も違いますが、クェンチング周波数は10%少々下がっただけです。 クェンチング周波数はRFCのインダクタンスの影響をあまり受けないということのようです。 そのようなことから過去の製作例によってインダクタンス値がまちまちなのでしょう。(笑)
耳で聞いて、いわゆる超再生らしいノイズもさしたる違いは感じられず、RFCは何でも良いとは言いませんが、案外適用範囲は広いのではないでしょうか? RFCについて、それほど悩まなくても良いと思います。よって「ダメなら交換してみる」というスタンスで良さそうです。その「ダメそう」という判断が難しいかもしれませんが。(笑)
なお、FCZ式の超再生検波検波器では10μHのマイクロインダクタ(既製品でしょうね)が使われています。 それで支障はないのだと思います。
言うまでもないと思いますが、自己共振周波数が受信周波数帯に存在するようなRFCは使ってはいけない代表です。 しかし半導体回路用の小型RFCを調べると、自己共振周波数はかなり低いところにあるのが普通です。 その場合、その周波数から上ではごく小容量(数pF)のキャパシティ(コンデンサ)として働きます。ちなみに100μHのRFCの自己共振周波数は数MHzにあります。
【超再生検波回路・その2】
いつまでも時代遅れのゲルトラで実験を続ける訳にも行きません。 シリコントランジスタに移行しました。
実は、上で試作したゲルトラの超再生はイマイチ感度が良くないように思われたのです。 それで少し違う回路で試作してみました。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
トランジスタのバイアス周りの回路が異なっています。また再生状態の加減を回路に加える電圧を可変して行なっています。 まあ、本質的な違いはないと思うので極端に違わないはずです。 どちらかと言えば低い電源電圧向きの回路です。 RFCは既製品のマイクロインダクタで、15μHのものを使いました。
耳で聞きながら実験していてどうも感度的に思わしくない・・・ゲイン不足を感じたので応急に簡易な低周波アンプを付加してみました。 2SC372Yのシンプルなアンプですがそこそこゲインはありますので、検波しただけよりノイズは大きく聞こえます。
【超再生検波・その2を作る】
検波トランジスタは高周波用の汎用品:2SC2668Yです。拙宅の定番です。 低周波アンプには2SC372Yを使いました。ここは2SC1815Yでも良いでしょう。
アンテナコイルは空芯型です。 だいたいFMラジオの周波数がカバーできるように巻いてあります。巻線はφ1.0mmの錫メッキ銅線です。内径8mmで、巻き長さは12mmです。5回巻いてあります。
イヤフォンはセラミック型です。 クリスタル型(ロッシェル塩)の方が良いのですが、すでに入手難でしょう。
【GDMを動員する・笑】
まだ十分な評価はできていません。 なかなか手ごわいように思います。
どんな周波数を受信しているのか、まずはそれが問題になってしまいました。 SSGから信号を出して探ってみたのですが、どうも要領を得ず、方法としてうまくない感じでした。
選択度は非常にブロードなので細かく周波数を読んでも大して意味はありません。 それで大まかにわかれば十分と考えて、昔懐かしのGDM(グリッド・ディップ・メータ)の登場となりました。DELICAの真空管式です。
GDMで探ったところ、おおむねFMの放送バンドに合っているようでした。 だいたい予定通りといった感じです。 成績などまだ纏めきれていませんので今回はここまでです。
☆
以前実験したときは長さ1mくらいのリード線でもFMラジオが1〜2局くらい聞こえたように思います。 しかし今回の実験ではどれもダメなので何か問題を感じてしまいました。 まだ原因は追いきれていませんので今後の課題です。どうも半導体式の超再生検波器の出力は案外小さいのではないかと思っています。 他の製作例でもかなりゲインのある低周波アンプを使っています。 このあたり、いまだ確証はないのですけれど・・・。 せっかくご覧いただきながらあまり有益な情報を提供できず申し訳ありません。 何かございましたらお気軽にコメントなどお願いします。
☆
せめてローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りをと思って始めています。
次回も超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 まだ始めたばかりですから検討すべき回路・部品はたくさん存在します。 気が向いた時にぼちぼちやってみましょう。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
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(つづく)fm









6 件のコメント:
楽しんでますね。超再生はほとんど経験がなくとても興味あります。ブレッドボードでも80MHzが行けそうですか?GDMも懐かしく拝見しました。続編期待してます。
JA2HVW 水島さん、おはようございます。 北関東はちょっと寒く感じる朝です。ww
さっそくのコメントありがとうございます。
> 超再生はほとんど経験がなく・・・
私もあまり経験がなくて楽しんでいると言うより超再生に「遊ばれてる」感じがしてきました。(爆)
> ブレッドボードでも80MHzが行けそうですか?
行けそうですが、生基板の上に立体構造で組んだ方が楽ではないかと思っています。 BBでも100MHzくらいまで不可能ではなさそうなんですけれど・・・
> GDMも懐かしく・・・
ほんとに久しぶりに使いました。シンプルなだけに寿命は長いようです。
> 続編期待してます。
相手は手強いので、ちょっと仕切り直してから再挑戦したいと思っています。hi hi
私も最近の実験はもっぱら生基板に立体配線。GNDインピーダンスが低いので安定ですね。ご存知と思いますが1tube2026のイタズラも生基板。これに慣れるとシャーシ加工が億劫になり今回基板をシャーシ代わりにします。良好なシールドも期待できるので。
JA2HVW水島さん、再コメありがとうございます。
> もっぱら生基板に立体配線・・・
最短距離でGNDに落とせるので変な結合が出にくいのがメリットです。途中での変更が自在なのも良いところ。
> 1tube2026のイタズラも生基板。
すみません、不勉強でした。 水島さんの実験を先ほどざっと拝見いたしました。 後ほどさらに詳しく拝見したいですね。 同じようなコンセプトのプリセレクタを企画したことがあります。アプローチは違いますが・・・(笑)
> シャーシ加工が億劫になり今回基板をシャーシ代わりに・・・
意外に強度もあるので簡易製作以上の物ができます。 以前は生基板に立体配線で各種機器を作っていました。例えばSSBジェネレータとか・・・(笑)
◎VHF帯の超再生受信機の実験に向いていると思います。
1tube2026はFBの真空管式無線機グループの企画のようですので同グループに参加リクエストを致しておきました。 参加が承認されましたら宜しくです。
意外と苦戦(?)していらっしゃるようですね。トランジスタ式のは2石のFM帯用のラジオだけですが、回路だけ泉弘志先生ので「作ったら鳴った」ので、まだ苦労を知りません。
昔のおもちゃのトランシーバーでは、チョークコイルはベーク某に巻いたもの、空芯、コア入り、昔の薄い藤色(?)で大豆のような大きさの、などといろいろありました。超再生検波用のトランジスタでは2SC945が何機種かで使われていました。
私が作り始めた QEX 誌の Fig 12 のは回路部分を生基板の上にピンヘッダーをラグ板代わりにして組み立て終わり、今はダイソーで買った透明なケースを加工しているところです。
12V で 8Ω のスピーカーでは電池がかわいそうですので、秋月の 25Ω の 57 mmΦ のスピーカー@100円を買って来ようと思っています。手許に 20 Ω のがありますので、とりあえずそれで実験しようと思います。記事には 9V でも動くようなことが書いてありましたので、できればそうしたいところです。
exJR2PDC 加藤さん、こんにちは。 北関東は午後になってもはっきりしないお天気です。
いつもコメントありがとうございます。
> 「作ったら鳴った」ので、まだ苦労を知りません。
そう言う製作記事はたいへん良い記事ですね。 試行錯誤で良い所を見つける必要がある・・・というのでは、嫌になってしまうかもしれません。(笑)
> チョークコイルは・・・などといろいろありました。
実際はそのようなのですが、デリケートな部品のように書いてあることが多いと思っています。
> ケースを加工しているところです。
もうすぐ完成でしょうか。 早いですね! さすがです。
> 秋月の 25Ω の 57 mmΦ のスピーカー@100円を買って来ようと・・・
大きな音がなる必要はないのでしょうから25Ωのスピーカーで十分でしょうね。 私も実験用に幾つか買っておこうかな。hi
電源は9Vでも十分動作するんじゃないでしょうか??
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